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東京心中24時50分

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  • 1:

    NN

    毎晩毎晩、その一瞬一瞬に新しいホストが生まれ、そして消えていく。彼らに行く末は何処にもないのかもしれない。それとも永遠にこの世界で生きていけるという道があるのかもしれない。
    どちらにせよ、消費されていくんだ、体も心も。そして新しいものが生まれていく。消耗品であることは間違いないみたいだ。いつ自分は消えていくのかな。

    2005-10-21 02:30:00
  • 2:

    NN

    そう思うのは怖い。だけど今はずっと先のことは見えない。いや、見たくないだけなのかな。

    2005-10-21 02:31:00
  • 3:

    NN

    夜に舞う蝶。何て例えがよすぎる気がするな。昼はひっそりしてる。夜になると点滅しだす。その答えはなんだ。派手に着飾ったホストが、深夜を前にぞろぞろ出現する。
    そんなホストの集団にまぎれながら、睦月彩人も、足早に店に急ぐ。

    2005-10-21 02:32:00
  • 4:

    NN

    「うっわぁ今の人見た?カッコイイ!!」「えっ知らないの?彩人だよ。カムプリのNo2の彩人!前TV出てなかったっけ」
    「今のが!?やっぱカムプリ、すごいわぁ〜!!!」水商売風の若い女の視線。こんなものは慣れっこだ。日常茶飯事。

    2005-10-21 02:33:00
  • 5:

    NN

    黒いスーツに、胸まではだけた白いシャツ。金髪の髪の毛。片手には携帯電話。首からぶら下がるsilverのネックレスは昨日、客にもらったばかり。昨日の記憶がうっすらよみがえる。
    「明日も行くからネックレス、付けと居てねっ。これ、彩人をつないでる首輪なの。主人はアタシだからねっ?」彩人がとなりに座ったとたんから、腕からくっついて離れないのは、週に三回現れ、その度に彩人を指名し毎回、20万近く彩人に落とすアンジュ。

    2005-10-21 02:33:00
  • 6:

    NN

    月300万の稼ぎがあるだけでなく、そのほかにも欲しいものはソープの客である「パパ」が何でも買ってくれるという。
    つまり、彩人の大事なエース客だ。機嫌をそこねるわけにはいかない。

    2005-10-21 02:35:00
  • 7:

    NN

    「ありがとう。大事にする」笑顔で礼を言うと「あたし、その笑顔見ると、いっくらでも彩人に使いたくなる!!」と、アンジュは彩人以上に微笑んだ。俺のこの笑顔はドンペリをおろしてもらったアンジュへの感謝。
    アンジュの持ってるヴィトンの財布の中からは、せがめばせがむ程に金が溢れ出しそうな気さえもする。

    2005-10-21 02:36:00
  • 8:

    NN

    暗い照明の店内で、アンジュはささやく。「ねぇ、彩人、今月はどぉなのっ?カオルに勝てそうなの??」唇のグロスだけがやたらに光る。
    「アンジュの頑張りしだい」「やぁだぁ彩人、それ、みんなに言ってるんでしょぉ?」またうまいこといってぇ、と、アンジュは加えたが、顔はずっと笑顔だ。

    2005-10-21 02:38:00
  • 9:

    NN

     「やっばぁあい彩人カッコイイ!!ねぇ、ドンペリ、も一本あけて!」
    ―またまた、毎度あり。 一本開けばもう一本。このテンションでどんどんアンジュに空けさせて、No1の夢舞台へ走りたい。もっと、もっと。もっともっと。飲みきった瞬間、視界がやたらにグラつく。体が悲鳴をあげた。

    2005-10-21 02:41:00
  • 10:

    NN

    「ちょっとトイレに行ってくるよ」「いいよーそのかわりっすぐ、帰ってきてねっ」
     店内の左端にある「関係者以外立ち入り禁止」のコーナーに入ってすぐ右。狭いトイレがある。従業員専用トイレだ。彩人は緊張がほぐれたように一気に嘔吐する。目からは涙がこぼれ落ちる。ホストになって一年が経つが、まだ体が酒に慣れてくれないようだ。

    2005-10-21 02:42:00
  • 11:

    NN

    「体質は変えられないからな」俺は、東吾が何を考えてるかわからないのに、東吾は俺の全て見透かしている気さえする。
    「体質なんて関係ねぇよ。No1になりたいのに酒に弱いだなんて。飲めなくたって詰めて詰めて、最後に出せばいいんだ。」「そう。」短く返事をして、相変わらず全く表情を変えない東吾。

    2005-10-21 02:44:00
  • 12:

    NN

    こいつはホストに向いてる気がする。酒が強くて、プライベートで何かあっても全く顔に出ない。
    「お前はさ、酒、強いだろ?俺の知ってる限りじゃ飲んでも全然変わらないし。お前も、No1になりたいって、ぶったおれたってかまわないから、とにかくカオルさんのポジションを奪いたいって気持ちない?」俺はそういった。

    2005-10-21 02:45:00
  • 13:

    NN

    「そういうのって、向上心とか闘争心っていうのか?」不思議そうな顔をしながら東吾がつぶやく。「多分、そう言うんじゃん?人間やってる限り、何か絶対譲れないってもんが、あるだろ。ずっと無気力ってわけにもいかないだろ。」俺は力強く答える。

    2005-10-21 02:46:00
  • 14:

    NN

    「向上心。闘争心。そういうのって邪魔。無気力でも人間はやってける。実際、俺は無気力で21年間生きてこれたわけだ。今の現状に満足だ。俺は向上したいとは思わない。争うのもめんどくさい。」そういい残すと、東吾は口にくわえたセブンスタ−に火をつけようと、右のポケットから金色のライターを取り出す。

    2005-10-21 02:48:00
  • 15:

    NN

    そうだよな。東吾はそういう奴だ。嫌味なんかじゃないけど、東吾が羨ましいよ。俺は火が付いたら止まらない。止まれない。No1になるまで、カオルさんのポジションを奪うまで、辞められない。

    2005-10-21 02:50:00
  • 16:

    NN

    あの後もアンジュが色々追加注文してくれたから、昨日はだいぶ飲んだ。その後にも指名客が来て飲んではいて、飲んで飲んで。、、はいて..。繁華街の片隅。5階立てのビルの中には、ラウンジ『華』やら色々、ごっちゃまぜに入っている。エレベーターのボタンを押す。3階で止まる。扉が開くと、青色の壁紙に『カムプリンセス』の文字が黒く光る。

    2005-10-21 02:51:00
  • 17:

    NN

    「このパネルさぁNo1ポジションっていうんじゃないよ、カオルポジションってゆうんだよ」なんて、店内のホストはもちろん客にも囁かれるほど、カオルさんは不動のNo1を、ここ何年もキープし続いている。

    2005-10-21 02:54:00
  • 18:

    NN

    カオルさんとの出会い以前は、まさか自分が「ホスト」になるだなんて思っても見なかった。一年前、フリーターだった俺はたまたまコンビニで見たホスト雑誌に人生を変えられた。
    表紙は、スーツ姿で微笑むカオルさんだった。「すげぇ男前..」俺は同性にも関らず、写真の中で微笑むカオルさんにド肝を抜かれた。

    2005-10-21 02:56:00
  • 19:

    NN

    関東地区人気ホスト特集、というタイトルでカオルさんが特集されていた。表紙はもちろん、グラビアの写真もインタビューも、俺に衝撃を与えた。

    2005-10-21 02:58:00
  • 20:

    NN

    。「一生の仕事やなんて思ってへんけど、ホストの仕事は、今はこれだって思ってることやから。目の前にある目標を全部達成して、次のステップに行きたいんですよ。だから、今、ホストって仕事で自分を試してるんです。」
    かっこいい。当時18歳だった俺の体に電流が流れたかのように、しびれた。

    2005-10-21 02:59:00
  • 21:

    NN

    気がつけば求人情報に電話をしていて、憧れのカオルさんと同じ「カム・プリンセス」にいた。そして一年が過ぎた。俺はNo2にまで踊り出たが、憧れでありライバルのカオルさんには、差をつけられっぱなしだ。追えば追うほど、カオルさんはどんどん先を走っていって、全く手が届かない。
    いつになったら、この差はつまるんだろうか。

    2005-10-21 03:00:00
  • 22:

    NN

    店の扉を開くと、カウンターに並ぶのは数百万のボトルワイン。これが毎日、ものすごいスピードでどんどん、開いていく。一晩で何百万の札がこのフロア内で落ちては消えてゆく。異常な光景だ。なのにその光景は見慣れてしまった。

    2005-10-21 03:02:00
  • 23:

    NN

    店内では開店前のミーティングが行われていた。30人近いホストが、店内の中央に集まる。異様な雰囲気が流れている。「おう、彩人!遅いぞ、始まる」「ああ、雷さん。おはようございます」遠くから手招きするのは、雷さんだ。最上雷はホスト暦4年。この店のNo3だ。

    2005-10-21 03:04:00
  • 24:

    NN

    それであり、カムプリの店長、という役職までついている。つまり、「ヒラ社員ホスト」ではないわけだ。ルックスにはホストらしい派手さはないが、万人受けするスタンダードな男前顔で、根強いファンは多い。

    2005-10-21 03:05:00
  • 25:

    NN

    常に後輩を気にする根っからの兄貴肌で雷さんがいるからこそ、カムプリは新人も働きやすい環境なのだろう、と、俺は思う。実際に新人だった頃面倒をよく見てくれたのは、雷さんだった。しかも雷さんはあのNo1のカオルさんが絶対の信頼を置いている、というのもあって、店内でも、カオルさんとは違う意味で特別な人だ。

    2005-10-21 03:06:00
  • 26:

    名無しさん

    おもしろそう!!

    2005-10-21 05:34:00
  • 27:

    名無しさん

    おもしろい?

    2005-10-24 17:52:00
  • 28:

    アユカ

    更新楽しみにしてます☆☆

    2005-10-24 18:56:00
  • 29:

    NN

    読んでくれてありがとうございます☆★がんばります!!!

    2005-10-25 00:03:00
  • 30:

    NN

    「えー今日は、まず、新人が入りました。挨拶して」オーナーの声が響く。新人か。どれだけ続くかかけてみる?と、何処からか笑い声が聞こえてくる。
    弱肉強食の世界。確かに、どれだけ続くか見ものだ。

    2005-10-25 00:11:00
  • 31:

    NN

    「アリス、あいさつして。」「源氏名、アリスかよ..」俺の隣に座っている雷さんの言葉が漏れる。オーナーの後ろからヒョコっと、金髪の男が顔を出した。「岩堀アリスです。今日からお世話になります。18歳です!新人だけど、新人ポジションで満足するつもりはないですから。新人同士で争うなんてバカみたい。僕はそういうのとは違いまーす。さいしょっからNo1目指す気持ちでやるので、どうぞヨロシク!」

    2005-10-25 00:15:00
  • 32:

    NN

    ニッコリ笑うアリスとは真逆に店内は一瞬静まった。新人の初々しさが全くない新人は、初めてだった。「はい、拍手して。」
    オーナーの言葉にホスト軍団はいっせいに、パチパチ、と、リズムのない拍手を送る。

    2005-10-25 00:16:00
  • 33:

    NN

    ミーティングは20分弱で終わり、オープン一時間前だ。いつもならまだ寝てる時間。
    「おいアリス!!来い!!」たいてい、新人ホストのお世話役をかってでるのは雷さんで、アリスの教育係にも、雷さんが就任した。

    2005-10-25 00:33:00
  • 34:

    NN

    「新人は先輩ホスト客の席へ一緒に座りヘルプをしたり、指名が決まっていない新規のお客さんに気に入ってもらって指名を確保したり、街頭キャッチで、外から店まで客を引きずりこんで、自分の客にしなくてはいけない。そうしてどんどん固定客を増やしていくのだ。さ、お前もわかったらとっとと街頭キャッチにいってこいよ。」
    雷さんはアリスに、そんな話を真剣にしていたが、アリスは大きなあくびをしていた。

    2005-10-25 00:35:00
  • 35:

    NN

    「そんな地味な新人まがいのこと、やりたくありません」まるで幼い子供のように、アリスは口をとがらせた。「何いってんだお前は立派な新人だろが」
    その子供を怒るように雷さんは声を上げる。「だって僕、新人なんて思わないもん。」

    2005-10-25 00:36:00
  • 36:

    NN

    「お前なぁ..何か勘違いして入店してきたのかよ?ホストっーのは貢がれて金ガッバガバなんて奴、ほんの一握りだぜ。新人は街頭で必死に客引き。罰金とかなんやら引かれたらマイナスになる月だってあるんだぜ。」「何それ、自分の経験??」
    馬鹿にしたように、アリスは雷さんを見て笑う。もちろん、雷さんが黙っているはずがない。

    2005-10-25 00:38:00
  • 37:

    NN

    「このクソガキ!!お前、調子のりすぎだぞ!!何がアリスだ!!ガキ!!」「僕の言うことがあたってるからってムキにならないでよ。あっ、もしかして、彩人さんですか?No2の、睦月彩人さんですよねっ。雑誌でよく見たことありますっ」
    怒る雷さんを尻目に、横で携帯をいじっていた俺の元に、アリスが顔を出す。

    2005-10-25 00:44:00
  • 38:

    NN

    アリスにNo2と言われると、なぜだかとてつもなく嫌味に聞こえるのは、気のせいか。「うっわぁーやっぱり実物もかっこいいやぁ。顔小さい〜わぁ〜肌キレイ!!化粧水とか使ってるんですか!!??」
    アリスは彩人に顔を近づける。「ごらガキ!!話を聞け!!」雷さんの声が響き渡る。アリスはまるで聞いていないかのようなそぶりで、「さぁ、仕事、ガンバろぉ!」と、微笑むと店を出て行った。

    2005-10-25 00:45:00
  • 39:

    NN

    何だかんだで雷さんの言われた通り、客引きにいったのだろう。「あいつはダメだな!今日限りでクビで!店長としてあいつだけは許せないな!」と、雷さんが何度も彩人呼している姿が、少しおもしろかった。

    2005-10-25 00:46:00
  • 40:

    NN

     雷さんのモットーは誠心誠意。「俺の事指名するなら金出せ出せってやり方、好きじゃないんだ。誠心誠意、一瞬一瞬、自分を選んでくれたお客さんのために尽くす。それが、接客業ってもんだと思うんだな。ホストだって立派な接客業だから」俺が新人だったころに、何度も雷さんが繰り返して言ってた言葉だ。

    2005-10-25 00:47:00
  • 41:

    NN

    雷さんみたいに、ホストになってから、今までずっと、心をこめて裏表のない平等な接客をしてるホストって、なかなかいない。
    気がつけば、汚い方に、汚い方に、どうしたらこの客はどれだけ自分に使ってくれるか、と、考えるようになってしまう。俺もそうだ。

    2005-10-25 00:48:00
  • 42:

    NN

    No1になりたいのに..この頃商売衣装であるスーツでいる自分がやたらに息苦しい。

    2005-10-25 00:50:00
  • 43:

    NN

    その日も、相変わらず無意識のまま花をしょって、カオルさんは店に登場した。オープン時間は一時間過ぎている。「よっ彩人、おはよー」
    店内の隅に立つ俺を見つけると、カオルさんは軽く手を振った。男から見ても完璧な顔立ちだ。

    2005-10-25 00:51:00
  • 44:

    NN

    それでかつ、酒に強くて、会話上手。入店して3年。一気にNo1に上り詰めた氷咲カオル。一日の指名の数は十数回で、もちろんダントツ。
    カオルさん見たさに観光客までも来るくらいだ。

    2005-10-25 00:56:00
  • 45:

    NN

    客とカオルさんの撮影会、っていうのも、店内でも見慣れた光景で、カオルさんの固定客から「カオル、カオル、カオルで、彩人って感じだよね。彩人もカッコイイっちゃカッコイイしオーラもあるけど、やっぱカオルでしょ。」なんて影口ももちろん日常茶飯事。
    その度、毎度のことだなんて思いながらも、カオルさんへの闘争心は燃え上がる。

    2005-10-25 01:02:00
  • 46:

    NN

    アンジュはもちろん、俺の顧客のほぼ全員が口をそろえて「カオルを倒してNo1になってね!」って言葉をかける。そしてシャンパンやボトルを「激励」と言いながら、開け出す。
    俺はカオルさんとNo1争いのライバル、みたいな設定で売り出してるけど、カオルさんからしたら、全然、そんなつもりないんだろうな。

    2005-10-25 01:05:00
  • 47:

    るぃ??

    楽しみに待ってマス!
    マタ書いて下さいね♪♪

    2005-10-26 18:07:00
  • 48:

    名無しさん

    あげ

    2005-10-29 05:44:00
  • 49:

    名無しさん

    書いて下さい

    2005-11-01 16:15:00
  • 50:

    名無しさん

    2005-11-01 21:36:00
  • 51:

    NN

    ありがとうございます。

    2005-11-01 23:57:00
  • 52:

    NN

    カオルさんの眼中にすら、俺ははいっていないと思う。あの余裕のある「おはよー」の挨拶からも、そうわかる。それがわかるから、悔しい。「おはようございます」
    小さくうなずくと、カオルさんは顔を近づける。「お前、ちょっと顔色悪いで。大丈夫?」「はい。」大丈夫?っていう、余裕がある。

    2005-11-01 23:58:00
  • 53:

    NN

    カオルさんの前職はフリーター。多分、職探しか何かで関東に出てきたのだと思う。「関東のホストNo1が関西弁を話す氷咲カオルなんておかしいよな。あれ、絶対関西弁効果も聞いてるだろ」、と、カオルさんのことをよく思わない他店のホストが話しているのを聞いたことがあった。

    2005-11-01 23:59:00
  • 54:

    NN

    カオルさんは、俺がホストになるきっかけになった雑誌のカバーインタビューで、「夢を叶える途中でホストという仕事に出会った。ホストは通過点にしかすぎない」と話していた。
    何か叶えたい夢があるようだけど、それを知ってるのは雷さんくらいなんじゃないかな。

    2005-11-02 00:00:00
  • 55:

    NN

    ―やばい。カオルさんに今月も差をつけられる。少しでも差を縮めたいのに。
    カオルさんは以前、ホスト雑誌で「やっぱりライバルは彩人クン?」と記者に聞かれたのに対し「彩人君はまぁ若いから。頑張ったら、いいと思いますよ。そしたら、いずれかNo1になれるんちゃうかな。まぁ、俺がいるうちは無理ですけどね」と、サラっと答えていた。

    2005-11-02 00:06:00
  • 56:

    NN

    眼中にないだなんてわかっていたはずだ。だけど、ここまで格下に扱われるとは思っていなかった。
    だから、今月は、今月こそは…今月は。何度も何度も、俺はカオルさんの背中を見るたび、胸の中で「今月こそは」と繰り返す。

    2005-11-02 00:07:00
  • 57:

    NN

    「彩人、指名だ」雷さんの声に振り返る。「いやーん彩人ッ、会いたかったぞぉ〜!!」真っ黒のドレスを着込み、茶色の髪の毛をグリグリに巻いたキャバ嬢のシュナが、彩人に抱きつく。最近「カムプリンセス」に現れ始めた彩人の固定客だ。
    今日はどうやら仕事を早退したらしい。キャバ嬢としては結構有名で、雑誌なんかで時々見かける。

    2005-11-02 00:08:00
  • 58:

    NN

    ねぇ雷さん。誠心誠意で一瞬一瞬、お客さんに尽くす。敵な言葉だと思うよ。
    だけど雷さんと俺の「誠心誠意」の意味はちょっと違うみたいだな。俺はNo1に誠心誠意をかけるんだ。

    2005-11-02 00:11:00
  • 59:

    NN

    大学生での東吾の顔は知らないけど、多分、学校でも店と同じ、無表情で何を考えているかわからないやつなんだろう。

    俺たちは店の外では友達だとしても、同じ店にいる時間からはライバルになるんだ。

    2005-11-02 00:13:00
  • 60:

    NN

    「シュナ、俺には夢があるんだよ。」俺は、シュナに顔を近づける。「なになに??」「聞いてくれる?」
    シュナは目をみひらき、ウン、と、うなずく。シュナが手に持っているタバコからは、淡々と煙が流れ出す。シュナの性格は大体、わかってる。 半年前、大学進学のため田舎から出てきて、キャバ嬢を始めたが、夜の世界にハマりすぎて、大学は休学状態。

    2005-11-02 00:14:00
  • 61:

    NN

    今はホストクラブ通いやブランド品買いのために、キャバで稼ぎ続ける毎日だ。  
    まだ上京して半年だからか、それともシュナの性格か、いい意味で騙しやすい。涙もろく、「絶対アタシが彩人を一番にしてあげるからっ」と、何かにインプットされたかのように繰り返す。

    2005-11-02 00:16:00
  • 62:

    NN

    「いずれかはホストやめたいんだ。」「えっ?」チカチカと点滅するライトが頭上を回転する。シャカシャカシャカと機械音みたいに聞こえるテクノサウンドは、店内を盛り上げる。
    まるで嘘を隠すかのように。

    2005-11-02 00:17:00
  • 63:

    NN

    「今は、こうやってみんな俺のこと指名してくれたりするけど、それは俺がホストだからだろ?多分、ホストやめたら一人になると思う。その時、俺を好きだっていってくれる子、すごく魅力的に思う。」「彩人…」
    シュナは彩人を見つめながら、力強くうなずいた。「シュナはっ彩人がホスト辞めても大好きだよっ?もうシュナ、彩人のためにお仕事がんばっちゃーうから!!」

    2005-11-02 00:18:00
  • 64:

    NN

    そういうと、シュナは「絶対彩人がやめるまでに、シュナが彩人をNo1にもさしてあげるっ!」と叫び、20万円のシャンパンを2本頼んだ。サンキュー、シュナ。ホスト辞めたらひとりになる?関係ない。
    だってホストやってる今だって、ひとりはひとりに違いねぇから。シュナの一声で、待ってました、と言わんばかりに、シャンパンコールがかかる。

    2005-11-02 00:21:00
  • 65:

    NN

    「シャンパン、いただきましたー!!」俺の声でさらに、店内は活気ずく。彩人はお酒に弱いから..なんて客に言われて何も飲まないなんて、廃業寸前のホストかよ。
    俺は体に逆らったって飲み続けるよ。寿命との戦いだなんて関係ない。

    2005-11-02 00:22:00
  • 66:

    NN

    No1になるなら、飲めない酒だって体が悲鳴あげたって関係ない。
    そう全てどうでもいいんだ。関係のないことなんだ。全てはNo1のためなんだから。

    2005-11-02 00:25:00
  • 67:

    NN

    「彩人、お前二本一気にいくのか?無茶だぞ」雷さんの声が耳に入る。いっちまいますとも、やっちまいますとも、限界への挑戦。
    閉め日まであと少し、カオルさんの売り上げを超えるチャンスはもう少ない。俺はパン!と派手な音を立ててあいたシャンパンに口をつける。 飲んで、飲んで、飲んで、ホストの声が踊る。
    視界はどんどん遠のく。

    2005-11-02 00:26:00
  • 68:

    NN

    「ありがとーございました!」5分も立たないうちに、カラになった二本のビンが転がる。
    足元がクラクラする。No1になりたい。その気力だけで今、ここに立っている気がする。
    「やん、彩人カッコイ!もう2本!」シュナの声に押されるようにして、20万円のシャンパンが二本追加する。

    2005-11-02 00:27:00
  • 69:

    NN

    シャンパンコールはまた、音が大きくなった気がする。この声に負けじと俺はまた、口にビンをつけるが、「これ以上はお前ヤバイだろ。」と、雷さんの声で現実に戻る。残りの二本は、雷さんをはじめ、他の仲間が回し飲みを始めた。
    「シュナ、もっと、興奮したくない?」

    2005-11-02 00:28:00
  • 70:

    NN

    彩人が微笑むと、シュナは顔を赤らませ、何度もうなずいた。「俺のもうひとつの夢、かなえてよ。」
    カウンターにある100万円のボトルを指差す。シュナに話した、もうひとつの夢。あの100万のリシャールをシュナと飲みたい。
    そう話したとき、シュナは絶対それを叶えてあげる、と、彩人に約束していた。

    2005-11-02 00:30:00
  • 71:

    NN

    「いいよっ。ねぇ、あれ、開けて?ねっ彩人、一緒に飲もう」店内がざわめき出す。 夜はまだまだ、これからだ。店内はさらに盛り上がりを見せた。
    「彩人!彩人!彩人!」彩人コールに押され、彩人は最初の半分を一気に口に含んだ。
    そして、シュナにキスをするように口の中に酒を押し込む。

    2005-11-02 00:31:00
  • 72:

    NN

    キスだろうがなんだろうがなんだっていい。これはシュナに毎度ありのサインだ。
    シュナは感激のあまり、涙目になっていた。「もう彩人、あたし、彩人のためならほんっとになんだってするっ!!」
    そういうとシュナはさらに20万円のボトルを注文した。視界にカオルさんの顔が入る。さすがに少し、こっちを気にしている。

    2005-11-02 00:33:00
  • 73:

    NN

    やった、少し振り返った。俺は心の中でガッツポーズを決めた。まだまだ、これからのところだった。なのに、体が弱音を吐いたその一瞬で、全ては崩れる。
    俺はシャンパンコールが鳴り止まない店内を走り出て、従業員専用トイレの下、嘔吐していた。昨日と、同じ光景だ。

    2005-11-02 00:34:00
  • 74:

    NN

    どれくらい、体を痛みつけているんだろう?痛みつけるほど、No1の栄光って価値あるものなんだろうか。最初はそんなことを考えた。だけど、体が痛みつくよりもNo1になれずNo2のままただずんでいる今の方がよっぽど体に悪いよ。
    俺はそう思う。だから明日も明後日も、一年後でもなんだっていいけど、ずっと飲み続ける。

    2005-11-02 00:35:00
  • 75:

    NN

    彩人がいなくなった店内では、相変わらずホストがシュナのオーダーした酒を飲み、シュナは満足げに笑顔で拍手しながら大声で笑っている。「彩人さんすげぇな..これがNo2の実力かぁ..。」
    新人ホストの言葉が全てを物語っていた。彩人はたった10分の間に、19歳のシュナに、何百万もの大金を使わせた。

    2005-11-02 00:36:00
  • 76:

    NN

    時計は深夜3時を回っていた。営業時間は8時まで。まだまだ、前半戦。『お客様のお送り』は『お客様の出迎え』より大事だ。
    アフターケアはしっかり、がルール。「ありがとうシュナ。お前が俺の夢、叶えてくれたよ。がんばってくれた。」

    2005-11-02 00:39:00
  • 77:

    NN

    彩人はシュナの頭をなでる。その瞬間シュナは笑顔になり、彩人に小さくもたれかかる。
    「シュナ、彩人がスゴイ好きなのっ。彼女にして?」正直、きたか、と思った自分がいた。
    客からの『愛の告白』はよくあること。

    2005-11-02 00:41:00
  • 78:

    NN

    彼女にして。この質問にNoなんて答えた日には逆ギレして店に来なくなる。YESなんて答えた日には「ホスト辞めて」だのなんだのわめきだす。
    正しい答え方はこれだ。

    2005-11-02 00:42:00
  • 79:

    NN

    「お前は客の中で一番好きだよ。客なんて思ってない。ただ俺はNo1になりたいからホストは辞められないんだ。だから、お前にも応援して欲しいんだよ。No1になるまで..応援してくれるな」
    俺は煙草に火をつける。俺の言葉の要約はこれだ。客の中では一番好き、だけどNo1になりたいからホストは辞められない、No1になったらホストをあがる、その時はお前のところへいく、だから今はお金を使って俺を応援してくれ と、なるわけだ。

    2005-11-02 00:43:00
  • 80:

    NN

    ホストをあがったらどうするかなんて決めてはいないけど、客がある程度の「妄想」ができる風に設定した言葉を吐く。それがホスト。「No1になってホスト辞めたらシュナと2人で住もうね。シュナ、それまで応援する!!」
    シュナの答えはまさに「模範解答」だった。

    2005-11-02 00:44:00
  • 81:

    NN

    「ありがとう。気つけて。家帰ったらメールしてな。気をつけてな」俺はタクシーに乗り込んだシュナを笑顔で見送る。
    「うん、ありがと彩人」タクシーの中から手を振るシュナに答えるように、手を振り返す彩人。

    2005-11-02 00:45:00
  • 82:

    NN

    まるで恋人同士の別れのワンシーン。ただ決定的に違うことがあるのだけれど。
    タクシーが去ると同時に俺は店へと急いで戻った。

    2005-11-02 00:46:00
  • 83:

    NN

    負けられない。そう思った瞬間、雷さんの声が俺で我に戻った。「彩人、アンジュさん来てるから早く席つけ」
    「あ」そうだ、アンジュは今日3時過ぎに来ると行っていた。とっさに携帯電話を見るとアンジュから着信が3件。今から行くから、の電話だったのだと思う。俺は急いでアンジュの席へ走る。アンジュは案の定、不機嫌だった。

    2005-11-02 00:50:00
  • 84:

    NN

    負けられない。そう思った瞬間、雷さんの声が俺を我に戻した。「彩人、アンジュさん来てるから早く席つけ」
    「あ」そうだ、アンジュは今日3時過ぎに来ると行っていた。とっさに携帯電話を見るとアンジュから着信が3件。今から行くから、の電話だったのだと思う。俺は急いでアンジュの席へ走る。アンジュは案の定、不機嫌だった。

    2005-11-02 00:53:00
  • 85:

    NN

    「電話したのにっ!!」「ごめんごめん」「キャバクラ女ばっかの席ついてさぁ〜あたしは無視なわけ?」
    キャバクラ女、とは、シュナの事だろう。なんとか機嫌を取り戻して、俺はアンジュに小さくつぶやく。

    2005-11-02 00:54:00
  • 86:

    NN

    「俺のもうひとつの夢、叶えてくれる?」昨日同様、やってきたアンジュに、彩人は「使い古した夢」をまた吹きかける。
    アンジュは「彩人のためなら!」とうなずく。また、店内に75万のシャンパンが音をたてる。彩人は結局アンジュにも、合計90万近くを支払わせた。

    2005-11-02 00:55:00
  • 87:

    NN

    今日だけの稼ぎなら、カオルさんに負けてない。いい波がやってきた。このノリで明後日まで持ち越せば、もしかするとカオルさんに勝てるかもしれない。朝8時。店がクローズし、店内ではホストがあちらこちらでつぶれかえっている。「今日、ちょっと悪ノリしすぎじゃねぇか。」
    雷さんに声をかけられる。眉間にシワがよっている。どうやら、お説教モード突入のようだ。

    2005-11-02 00:56:00
  • 88:

    NN

    「特にシュナちゃん。お前にハマって、キャバクラやめて、今はソープやってるらしい」
    シュナがソープ?特におどろきはしなかった。シュナは以前からキャバじゃお金が足らなくなってきた、と、話していたし、いつかはソープまで行くと思っていた。

    2005-11-02 00:58:00
  • 89:

    NN

    あれだけホストクラブで豪遊してブランド品も買って、じゃ、金なんかいくらあっても足りなくなる。と、言いたかったが、相手が雷さんじゃ、そんなことも言えるはずがない。
    「いーやんか、今日、おもろかったで、彩人」雷さんの肩をなだめるようにたたき、カオルさんは微笑んだ。

    2005-11-02 00:59:00
  • 90:

    NN

    俺はあんなに死ぬほど飲み続けたのに、カオルさんにはまだ笑う余裕がある。
    ―全然、まだ、追いついていない。心から、そう思わされた瞬間だった。カオルさんは微笑みながら、店を後にしていった。

    2005-11-02 01:01:00
  • 91:

    NN

    「彩人さん、やっぱりカッコイイなぁー僕もまぁ、すぐ負けてないけど」「うわっお前アリス!!客引きはどうしてたんだ!もう店はクローズだっ!!」雷さんは、突如として現れたアリスに驚きながらも声を張り上げる。

    2005-11-02 01:05:00
  • 92:

    NN

    アリスはハイハイ、と、めんどくさそうにつぶやくと、「店まで連れてくるのメンドーなんだもん。番号は聞いたから、今晩から店に呼ぶんだー」と、携帯電話をいじりながら、ソファに座る。「呼ぶんだーってお前、そんな簡単なことかよ!」「うっるさいなぁあんま叫ばないでくれる?鼓膜がやぶれるー」
    舌を出し馬鹿にしたかのようにアリスは雷さんを見る。

    2005-11-02 01:07:00
  • 93:

    NN

    ほんとに大物というのかただの無神経で失礼な奴というのか、アリスは新人としては全てが異様だ。「なんだと?俺は先輩だぞ。お前は第一先輩に対しての言葉使いが」「こーまーくがーやぁーぶぅーれぇーるぅー!!!!!!」雷さんとアリスの乱闘が始まったので、俺は逃げるようにして店内を出た。

    2005-11-02 01:08:00
  • 94:

    NN

    朝を迎えた歌舞伎町に、夜のようなパワーはなく、ひっそりとしている。すれ違ったホストは大きなあくびをしている。「東吾!」目先には東吾が歩いていた。真っ黒なスーツに耳元に光るたくさんのピアス。軟骨にまで数多く刺さっている。東吾は振り返ると、ああ、彩人、とつぶやいた。

    2005-11-02 01:09:00
  • 95:

    NN

    「お前、今から家帰ってシャワーして大学?」「ああ。眠いな」話の返事になっていないって。東吾はやっぱり、どこかズレている。
    これで超有名大学の優等生だもんな。確かに東吾の言うこともあたっている気がする。

    2005-11-02 01:11:00
  • 96:

    NN

    アリスを見た時東吾が言ったんだ。「世の中おもしろい奴勝ちだ。なぜなら世の中おかしいからな。」っていうの。俺は東吾にまた今晩な、と声をかけ、タクシーをつかまえ家に戻った。

    2005-11-02 01:12:00
  • 97:

    NN

    騙し騙され生きている 言葉の響きはかっこいいけど、実際は騙す方も騙されるほうにも、暗黙の了解があるようにさえ見えるよ。店内ならなんでもできそうな自分が恐い。
    のに、止められない。それはきっと歌舞伎町マジックだな。 

    2005-11-02 01:13:00
  • 98:

    名無しさん

    久々の更新まってました☆

    2005-11-02 04:03:00
  • 99:

    名無しさん

    おもしろい?

    2005-11-02 10:12:00
  • 100:

    NN

    116さん 117さんありがとうございます!!読んでくれてる方がいるのか..と不安やったので、すごく嬉しかったです!!

    2005-11-02 23:15:00
  • 101:

    NN

    “最近彩人の勢いスゴイよね。前店行った時、客に信じられないくらい色々あけさしてたもん。かなりNo1になりたいって感じ。カオルは焦ったりしてないのかな。”“あの顔が何か誘ってくるんだよねーあたしもきっと騙されるわ笑。彩人ってカムプリはいって一年くらいだよね?で速攻No2になってそのまま一年経ち..みたいな?”

    2005-11-02 23:16:00
  • 102:

    NN

    “彩人口座の子はみんな「彩人No1にしてあげたい!」って言ってて、前に「ディテ●ール」ってキャバで人気あったシュ●って子、彩人に貢ぎまくって金ヤバくなって、今は売れっ子のソープやってるよ。もちろんその金も全部彩人につぎ込んでるけど”“今、カオルより勢いない!?もしかしたらNo1、マジでなるかもよ。来月あたり”“ありえる!彩人って、誘うオーラ、めっちゃうまいしねぇ!”

    2005-11-02 23:17:00
  • 103:

    NN

    「こんなもん、見るもんじゃないぞ。」店内でアリスが広げていたノートパソコンの画面は、ホストの情報や裏話、デマなどが大量にあふれ出している掲示板が映し出されていた。雷は不機嫌そうにアリスをにらむ。

    2005-11-02 23:18:00
  • 104:

    NN

    「すごいねーデカムの意見掲示板、ほとんど彩人さんのことばっかだ!カオルさんの話題、少ないよ。」アリスは画面に釘付け状態で、雷の顔を見ようともしない。金色に光るジッポをポケットから取り出し、雷はタバコに火をつける。「すごいもんか、最近の彩人はどうかしてる。あいつはNo2というよりスキャンダルNo1だな。」

    2005-11-02 23:19:00
  • 105:

    NN

    「ホストなんだから、何にでも二番より、どっか一番がある方がいいと思うけど!」マウスを慣れない手つきでカチカチと動かし、アリスは大きなあくびをした。「またお前は知ったかぶって..。ああいうやり方、俺は好きじゃないんだよ。シュナちゃんをソープにまでいかして..。」フっと息から煙を吐き出すと、アリスは臭いー!と叫んだ。

    2005-11-02 23:21:00
  • 106:

    NN

    店内にはまだ、夜の熱気が残ったままで、体が少しほてる。「ホストに貢ぐ限度を知らないシュナさんって人がバカなんじゃない?ホストなんか騙して客は騙されてなんぼ、なんてわかってるでしょ?あーインターネット飽きちゃった。電源きっといてー」そういうとアリスはノートパソコンを乱暴に雷の方へと寄せる。

    2005-11-02 23:22:00
  • 107:

    NN

    「最近、この店の風紀が乱れてる気がする。デカムはさ、純粋にお客さんがホストと酒を飲みながら話をしに来て、笑顔で帰って行ける店だったんだよ。なのに、カオルNo1、彩人No2、っていうのができてから、変わった。お客さんもホストも競いすぎてそれが表面にでてくる。これじゃあオラオラ、お前いくら俺に金使えるんだよ、って、のっけから脅してるみたいじゃねぇか。」と、雷がつぶやく。

    2005-11-02 23:23:00
  • 108:

    NN

    「風紀もクソもないでしょ?最近のホストクラブってのはそもそもそうなんじゃん。雷ってホスト向いてないんじゃない?とっとと居酒屋経営か何かにでも転職すれば?」本当にクソムカつくガキだ。雷は腹のそこからそう思った。しかし、アリスの言う言葉は全て正論だと、わかっている自分もいる俺は理想論ばっかり言ってる気がする。「だけど、彩人はフェアじゃないっていってるんだよ。第一シュナちゃんもなぁ。」そう雷がつぶやくと、アリスはフフん、と鼻で笑った。

    2005-11-02 23:24:00
  • 109:

    NN

    同時にアリスのポケットから、携帯の着信音がドでかい音を出し店内に響く。あ、じゃあ僕もう帰るね、とつぶやくと、アリスは雷に背を向けた。そして、一度振り返り、またフフんと鼻で笑った。「なーんか雷さんってすんごい正義感溢れるキャラだね。でもさぁ、そういうキャラって損だよ!いい人で終わるからねっ!」

    2005-11-02 23:25:00
  • 110:

    NN

    「なっ・・何だお前!何だよ損で終わるって!!」動揺する雷を横目にアリスは笑顔で手を振った。「シュナちゃん♪」
    「お前、なっなにを勘違いして、おっおれはそっそんなべっべつに好きとかじゃ」

    2005-11-02 23:26:00
  • 111:

    NN

    無我夢中に生きていた 明日のことはよくわからなかったけれど ただ夢だけはいつもそこにあった No1になること たったひとつの夢
    今は何も見えなくなってしまったけれど あの日 カオルさんに勝ち逃げされたまんまで 俺はこの店を去ることになるんだ

    2005-11-02 23:28:00
  • 112:

    NN

    ホストにプライベートはない。と、思う。家に帰って起きるのが夕方。たまった客からの着信とメールに目を通して返事。「今日これる?」と、確実な指名数を得るため客を呼び出す。23時半、俺はいつものように制服であるスーツに身をまとった。
    そろそろ仕事の時間だ。店に行かないと。

    2005-11-02 23:29:00
  • 113:

    NN

    携帯を開くと新着メールが一件。さっき全部目を通したはずなんだけどな..受信ボックスを開くと知らないアドレスだった。店のHPにも自分が紹介された雑誌にも、ホストの携帯番号とメールアドレスは記載される。だから知らないメールアドレスや番号から来たとしても、客になる可能性があるので、一応目を通すし電話にも出るのだ。

    2005-11-02 23:30:00
  • 114:

    NN

    *タイトル・無題*あんたが貢がせてるシュナ。キャバからソープで、今はAVもやってるよ。AVのタイトルは「真夜中のコール24回」っての。AVの内容はシュナちゃんが看護婦さんで 夜勤のときナースコールがなるんだよね。で、24人の奴とヤっちゃうって わけ。
    AV出演料に300万もらったってさ。これ、新人AVアイドルにしたら破格の値段だよ。+ヘルスで、今月の月給は400万越え。あんたのために飲まず食わずで、ソープ→AV→ソープ、の生活続けてるからねあんたすごいわ。さすがホスト。さすがデカムのNo2だね笑
    女にAVまでやらせて金欲しいってか笑笑馬鹿なホストにAVやってまで貢ぐ女も馬鹿馬鹿で、まぁ、いいんぢゃねぇ?笑

    2005-11-02 23:31:00
  • 115:

    NN

    「シュナがAV..?」メールを見て呆然とする。確か昨日雷さんがヘルスを始めた、とは言っていたけど、まさかAVにまで。一瞬、心臓の音が早くなったのが自分でもわかった。

    2005-11-02 23:33:00
  • 116:

    NN

    気がつけば「AV新作リリースNo1」をかかげて誇らしげに営業する、ドでかいAVレンタル屋の前に立っていた。店は異様な雰囲気を漂わせていて、入るのに少しためらった。
    彩人のためらう体を押せ押せといわんばかりに、ひとりの男性がビデオ屋にためらいもなく、入っていく。

    2005-11-02 23:34:00
  • 117:

    NN

    それについて行くかのように、彩人もビデオ屋に入る。ドアを開けると、そこには無愛想な中年の男性がレジにひとりいるだけで、店内はガラガラだった。彩人はすぐにレジに向かう。確認しなくちゃいけない こんなメールはデマかもしれない
    そう頭の中で何度も何度も繰り返しながら、レジに座る中年男性に「すみません」と声をかける。

    2005-11-02 23:35:00
  • 118:

    NN

    「はい」店員は無愛想な顔で短い返事をする。彩人は小さな声でつぶやく「AVについて聞きたいんですけど。『真夜中のコール24回』・・・っていうAV、おかれてますか」レジの横にあるパソコンで店員がビデオの検索でもしてくれるだろう、と、彩人は考えていたが、予想を裏切るかのように、店員はニッコリ微笑んだ。

    2005-11-02 23:36:00
  • 119:

    NN

    「ああ、そのAV。今日だけで電話問い合わせ、5回あった超人気新作AV。悪いけど、全部貸し出しちゃってるよ。」「そのAV..主演女優の名前ってわかりますか」「ああ、わかるよ。シュナだろ、有沢シュナ。」
     ―有沢シュナ 「真夜中の24回コール」 Avは実存してる。「そうですか」と、つぶやくのが精一杯だった。

    2005-11-02 23:37:00
  • 120:

    NN

    店員は彩人の顔をのぞきこみ、話を続けた。
    「お兄さんも、シュナちゃんのファンなの?あのAVの完成度はすごいねぇ。AV初出演作には思えないよ、シュナ、多分、AV界のアイドルくらいになると思うよ。お兄さん知ってる?有沢シュナって、元キャバ嬢で今はAVしつつソープ..何ていったかな、ああ、『光』って店でソープまでしてるんだろ。」

    2005-11-02 23:38:00
  • 121:

    NN

    「そのソープ、僕も一回、お世話になりにいこうと思ってるんだけどね。土台がキャバ嬢だけあって顔もめちゃ可愛いしさぁ、AVにまで出ててソープまでって、もう、たまんないね。」「そうですか」「あ、ビデオ予約入れる?今なら多分、二週間待ちくらいだよ。」いいえ結構です、そう言うと俺は逃げるようにして店内から出た。

    2005-11-02 23:40:00
  • 122:

    NN

    シュナがAV女優になった、というメールは、俺以外にも雷さん、カオルさんのところにまで同じ内容で送られていた、と、すぐ気がついた。雷さんからのメール。「今日、ちょっと早く店に来い。」それが、シュナのAVのことを知っている、と雷さんが物語っているようだった。

    2005-11-02 23:41:00
  • 123:

    NN

    雷さんは何気なく、俺の側に歩みよってくる。真っ黒なスーツの中に赤いネクタイ。何だか目がチカチカする。俺の胸にはアンジュにもらったsilverのネックレス。いつも暗い店内の、小さなスポットの光でキラキラ輝くこのネックレス。

    2005-11-02 23:42:00
  • 124:

    NN

    今日はこのネックレスが重く感じる。アンジュもAVに手を出したりし始めるのだろうか。ネックレスはますます重くなっていく感じがした。

    2005-11-02 23:43:00
  • 125:

    NN

    「彩人、今日からお前、無理にシュナちゃんにボトルをあけさせるのをやめろ。お前がカオルを抜いてNo1になりたいっていう気持ちはわかる。だけど、シュナちゃんがAVにまで出るようになったのは、お前のNo1になりたいってエゴに、シュナちゃんがつき合わされた結果だ」

    2005-11-02 23:44:00
  • 126:

    NN

    No1になりたくて。ただNo1になりたくて。雷さんの話を聞いている時の俺自身が怖かった。これは、シュナへの罪悪感じゃない。AV女優になったもんは、もうしょうがない。シュナに開けさせないとNo1になれない。そう思い続けている自分が恐かった。これは歌舞伎町マジックなんかじゃない。
    もう、自分は歌舞伎町という舞台から引くことができないのだ。

    2005-11-02 23:45:00
  • 127:

    NN

    「雷ちゃん雷ちゃん、エゴに付き合わされた結果っー言い方はおかしいで」「カオル!」腕を組み、壁に持たれながら、カオルさんは片手に火の付いたタバコを持ち眠そうな顔をして、つぶやいた。

    2005-11-02 23:46:00
  • 128:

    NN

    「No1にしたげたいって思ってシュナちゃんが勝手に働き始めたんも悪いやろ。別に彩人が女優なれ!て強制したわけちゃうねんから。シュナちゃんに限らずこういうことはよくあったやろ。過去にも。とまらへんくなってしまった一般のお客さんがソープなったりとか。ホストクラブにはつきもんみたいなもんや」お前なぁ・・・、と、雷さんはため息をついた。

    2005-11-02 23:47:00
  • 129:

    NN

    そしてカオルさんは俺の方を見ると「そうやんな」と同意を求める。「はい」と答えてしまう自分が悲しい。こんな時にでもNo1とNo2の差は一目瞭然だ。「雷ちゃん、妙に最近シュナちゃん関係の話で、彩人につっかかるやんなぁ」

    2005-11-02 23:48:00
  • 130:

    NN

    雷さんはあせると早口になる。と、店の誰かが言っていたけど、まさにその通りだと思った。早口になったら雷さんをまぁまぁそうカッカせんと、と、カオルさんは幼い子供をなだめるかのように、耳元でボソッとつぶやくようにささやく。「まぁ頑張りやー」「だっだから違うっていってるだろ!!!!」カオルさんと雷さんのやりとりを前に俺は店内をボーっと見渡していた。

    2005-11-02 23:49:00
  • 131:

    NN

    俺にそのボトルの価値があったのか。そんなことを考えだしたらキリがない。だけど譲れないものがあった。 誰を傷つけてもいいから。たとえ自分のためにソープになろうがAV女優になろうが、それは俺にとっての「毎度あり」だ。

    2005-11-02 23:52:00
  • 132:

    NN

    金さえかけてくれれば何だって綺麗に出来上がるさ。「本物」じゃなくても、金さえかけてくれれば、本物のそぶりくらいできるさ。あけてくれるなら、愛だって囁く、愛だって注ぐよ。
    俺がそうさ。本物のフリをした偽物。

    2005-11-02 23:54:00
  • 133:

    NN

    そんな偽物を手に取り 本物だと疑わない客。
    悪いのはどっちなんだろう?

    2005-11-02 23:54:00
  • 134:

    名無しさん

    ぉもろ?

    2005-11-03 00:06:00
  • 135:

    アユカ

    めちゃおもろぃです!!頑張ってくださぃ☆☆

    2005-11-03 00:15:00
  • 136:

    NN

    アユカさん 155さん 読んでくれてありがとございます!!めっちゃ嬉しいです。更新は続けるのでよかったらまた読んでください!!

    2005-11-03 00:52:00
  • 137:

    NN

    ホストという仕事は 世間一般でいうと 女を騙して金を巻き上げて 最低な仕事だっていう。
    だけどホストほど 勝ち負けがはっきりする仕事は そうそうないんじゃないか ここで勝ち上がるということは ここで勝ち続けるということは すごいことなんだ。ホストは戦ってるんだよ。自分と、そして残された体力と。

    2005-11-03 00:55:00
  • 138:

    NN

    シュナは今日来るだろうか..そう思った瞬間携帯が音を立てる。着信だ。画面を見るとシュナの文字。俺は雷さんから隠れるようにしてバックヤードに走り電話を取る。「もしもし?」平常心。心の中でそう繰り返していた。「もしもし彩人?今から行くねっ今タクシー乗ったところだから!」シュナはいつものように元気な声だった。

    2005-11-03 00:57:00
  • 139:

    NN

    「ああ、待ってる。近くまで来たら電話して。迎えに行くよ」俺はそう答えて電話を切った。切った瞬間、やるせない気持ちと、これでいいんだと言い聞かせている自分と、2人の自分が存在した。俺はホストだ。これは仕事だ。そう何度も何度も思った。「お客さんが自分のためにソープ行ってAVでる。そんなことよくある話だ、気にすることなんかないんだよ。」そう言ってオーナーは俺の肩を叩いた。

    2005-11-03 00:59:00
  • 140:

    NN

    そうだ、カオルさんだってそう言っていたじゃないか。俺は間違ってない。No1になるんだ、なるんだ。「彩人はまだ人間なんやな。」振り向けばカオルさんが立っていた。「どういう意味ですか?」俺は携帯を片手に握り締めカオルさんを見る。「俺なんてもうホストサイボーグやねん。もう、客がどうだこうだっていうよりも、自分のことしか考えてへん。彩人、客に罪悪感覚えてたらいつまでたってもNo1にはなれんで。」

    2005-11-03 01:02:00
  • 141:

    NN

    心臓を突き刺された気がした。カオルさんは今まで見たことのないぐらい、冷酷な顔をしてそうつぶやいた。「ホストに客への感情移入はいらんで。ナンバー入るようなホストならそんぐらいわかるやろ。」「すいません」俺は小さな声でカオルさんに謝り、頭を下げる。

    2005-11-03 01:05:00
  • 142:

    NN

    「彩人見てるとまぶしいわ。一生懸命すぎるからお前は。」「そんなことないですよ。カオルさんの..言うとおりだし、全部」素直にそう思った。シュナのことを心配してるなんて口ばっかりだ俺、心の中では金ズルがでかくなったと喜んでいる気がする。
    落ち込んだ顔で俺が床に座りこむと、カオルさんは悲しそうな顔をしてつぶやいた。

    2005-11-03 01:07:00
  • 143:

    NN

    「俺は、いつからこんなホストになってしまったんやろ。」

    2005-11-03 01:08:00
  • 144:

    NN

    カオルさんが 俺から勝ち逃げしたあの日 やっと その意味が 少し わかったんだ

    2005-11-03 01:12:00
  • 145:

    116

    頑張って完結して下さいね。最後までよませてもらうんで…。

    2005-11-03 01:45:00
  • 146:

    タィトル通り

    ァャトが客と心中?

    2005-11-03 01:54:00
  • 147:

    名無しさん

    2005-11-03 03:13:00
  • 148:

    なきほ

    ずっと読んでます。頑張ってくださぃ!絶対完結してくださぃね!

    2005-11-04 15:08:00
  • 149:

    NN

    読んでくれてありがとうございます!!絶対完結させます。

    2005-11-04 23:33:00
  • 150:

    NN

    シュナはその日、1時過ぎに店に現れた。いつもと変わらない笑顔で「彩人っ!」と手を振っていた。最近シュナは少しやせた気がする。今、そんなことに気がついたんだけど。
    「もう彩人ぉ会いたかったぁ」そういっていつものように俺に抱きつこうとした瞬間、雷さんがシュナの腕をつかんだ。

    2005-11-04 23:35:00
  • 151:

    NN

    「シュナちゃん、ちょっといいかな。」「え?」そういうと、あっけにとられたまま、シュナは雷さんにひっぱられ、店から消えた。
    何かのドラマのワンシーンを見ているようだった。

    2005-11-04 23:36:00
  • 152:

    NN

    「王子様がお姫様を、悪魔から救いにきたんやね」カオルさんは微笑んだ。「俺、悪魔ですか。」俺が渋い顔でつぶやくと、カオルさんはケケケと笑う。「あんな、正義のヒーローよか悪役の濃ゆいキャラのが、以外にファンがつくもんやねんで。」

    2005-11-04 23:37:00
  • 153:

    NN

    じゃあ仮に雷さんが正義のヒーローで悪役の濃いキャラが俺だとしたら。カオルさんは一体何だろう。どのポジションだ。どんな魔法も使える魔法使い。そんなところだろうな。魔法使いの言葉はいつも妙に説得力がある。

    2005-11-04 23:38:00
  • 154:

    NN

    さすが、魔法使い。悔しい。まだ、全然、この人には歯がたたない。 

    2005-11-04 23:39:00
  • 155:

    NN

    彼女の腕をつかんで、俺は店の裏までやってきた。賑やかな表向きとはちがい、裏は静かだ。たまに人がパラパラと歩いてくるだけ。まるで別世界だ。「何ですか、雷さん。」
    彼女は驚いた表情のまま、顔をかしげながら俺にたずねる。

    2005-11-04 23:40:00
  • 156:

    NN

    ドクン、と心臓が音をたてる。腕をつかんでやってきただけで、実は何も考えていなかった。「..これ以上、お金、使わないでほしいんだ。」「え?」
    自分でも何を言っているかわからなかった。だけど、そう伝えるしかなかった。右手をグッとこぶしにすると、汗が出ているのがわかった。

    2005-11-04 23:41:00
  • 157:

    NN

    「もしかして、心配してくれてるんですか。あたしが..AVに出てるの。」「えっ」「さっきね、デカムに入ろうとしたら、綾人口座の子に言われたの。あんたAVまでやって彩人に貢いでるんでしょって。デカムのホストの中でも噂になってるよ、って。」 噂になってる..
    と、まではいかないが、俺と彩人とカオルはシュナちゃんがAVに出ていることを知っている。

    2005-11-04 23:42:00
  • 158:

    NN

    だけどシュナちゃんが、まだこれからもAVを続けていくと話題は拡大するだろう。「でね、その子に言われたの。彩人は誰もスキじゃないよ、ただ愛を囁いてくれるのはあたし達が金を使うからだよ、彩人に踊らされてAVに出る、あんたの度胸は尊敬するけどねって。」「誰がそんなこと」雷の言葉をさえぎるように、シュナは続ける。「ねぇ雷さん。彩人、あたしの事スキになってくれないのかな?AVに出てお金、いっぱいもらったの。このお金で、彩人、あたしのこと、本気で好きになってくれないのかな?」
    何で君はそんな悲しそうな顔をするんだ。AV女優になったって噂が充満していることより、シュナちゃんは彩人に愛されないでいる方が悲しいみたいだ。そんなのおかしいじゃないか。

    2005-11-04 23:43:00
  • 159:

    NN

    「もう..シュナちゃんやめよう?もう、お金、稼がなくったっていいから..一度、彩人から、うちの店から、離れた方がいい。」「どうしてそんなことを言うの?絶対いやよ、彩人と会えなくなるなんて、絶対に嫌、耐えられない。あたしは彩人がいなくなったら何もかもなくなる気がするの。彩人はいつか絶対、あたしのこと、好きになってくれる。雷さんだって店のホストじゃない、店に来るななんて、そんなこと客に言うのはおかしいわ。」

    2005-11-04 23:44:00
  • 160:

    NN

    わかってる。俺だって店のホストだよ。だけど、その前に男なんだ。プロ失格。自分の勝手な想いだけで、こんな行動をとってる。プロ失格。だけど、誰だって譲れないものがある。それが、これなんだよ。今、そう気がついたんだよ。夜風がなんだかすごく冷たく感じた。

    2005-11-04 23:45:00
  • 161:

    NN

    彩人がシュナさんを好きになる確率はほぼゼロだろう。彩人にとってシュナさんはNo1になる道具でしかない。AV女優になったとしてでも、何でも、自分に金を落としてくれればきっと満足だろう。彩人には才能がある。ホストとしての、才能は全て備わってる。だけど、違うだろ。ホストとしての才能より、人間としての本質があいつにはかけてる。
    だからこうして、シュナさんの人生を狂わせようとしてる。その瞬間を、俺は黙ってみてられない。正義感でも偽善でも何でもない。ただ、

    2005-11-04 23:46:00
  • 162:

    NN

    「どうして?今日の雷さんおかしいわ」ただ「好きなんだ。シュナちゃんのことが」「好き?」

    2005-11-04 23:47:00
  • 163:

    NN

    一世一代の言葉に、シュナちゃんはフっと笑った。「..そうなんだ。雷さん、あたしがAV女優だからでしょ?すぐヤらせてもらえるって思ってるんだ。ヤりたいの?」その言葉は、俺の心臓を突き刺した。そして、俺は叫んだ。大声で、叫んだ。

    2005-11-04 23:48:00
  • 164:

    NN

    「俺はヤりたいんじゃない!!抱きしめたいんだ!!」何かを言おうと君は唇を動かした。だけど君の口からもう何も聞きたくなかった。君の唇からこれ以上、「彩人」なんて聞きたくなくって、臆病な俺はキスで言葉をさえぎった。

    2005-11-04 23:49:00
  • 165:

    NN

    彼女はびっくりしていたけど、涙目になって俺を見つめるその目を見て、初めて離したくないと思った。一瞬、時間が止まったのかと思った。
    無表情にすれちがう人、車のクラクション、噂話、肌寒さ、何も感じなかった。ただ抱きしめた彼女の心臓の音が小さく聞こえた。

    2005-11-04 23:51:00
  • 166:

    NN

    一瞬驚いた彼女だったが、すぐに俺の腕を振りきって、走っていった。「嫌われたってかまわないから!俺、しつこいから!ずっと、ずっと、シュナちゃんのこと好きだから!!」何ふりかまわず俺は叫んだ。去っていく彼女がどんどん小さくなるなか、叫び続けた。「好きだ!!!!!」

    2005-11-04 23:52:00
  • 167:

    NN

    ここは歌舞伎町。性と欲望と金だけじゃなくて 愛だって この場所のどこかで 存在しているはずだ。 世界の中心で なんて大げさだ 
    この歌舞伎町の片隅で 確かに俺は君に愛を叫んだ 確かに 愛を 叫んだ

    2005-11-04 23:55:00
  • 168:

    ?

    泣ける

    2005-11-05 01:39:00
  • 169:

    名無しさん

    2005-11-05 01:57:00
  • 170:

    名無しさん

    すごい!

    2005-11-05 12:38:00
  • 171:

    なきほ

    更新されてたぁ!ありがとぅ!なんか胸がキュンってなった…頑張ってな!また待ってます

    2005-11-05 14:28:00
  • 172:

    191デス

    シュナの気持ちが地味にヮカルょッ??ゥチもホスはまってやるせん時ぁったァ…シュナの話書いてッ???雷チャン萌バクワラ?メタメタ切ナィ?

    2005-11-05 17:42:00
  • 173:

    NN

    192さんまとめてくれてありがとうございます。なきほさん、ずっと読んでくれてありがとうございます!!めっちゃ嬉しいです。195さんシュナの話はまだちょっと続くんで、読んでやってください。
    みなさんの感想めっちゃ嬉しかったです!!ありがとうございます!!

    2005-11-05 18:05:00
  • 174:

    NN

    店内に戻ると店はいつも通り、にぎやかだった。テクノサウンドが頭の中を刺激する。暗い照明の店内で、カオルは俺を待ち構えていたかのように、「ほんまに根っからのヒーロー体質やね、雷は」と、つぶやいて微笑んだ。「お前、見てたのかよ」
    「企業秘密ってことにしとくわ」カオルは、全く食えない奴だ。

    2005-11-05 18:08:00
  • 175:

    NN

    彩人は、いつもの顔で客を接客している。今日はなんだか彩人の笑顔が無性に目に付いた。わかってる。彩人への嫉妬だと。
    わかってるのに止められない。

    2005-11-05 18:09:00
  • 176:

    NN

    「人を好きになるってのは一種のドラック現象。止まらない、止まらない、気がついた頃には骨までボロボロ..なんてならんようにね。」 カオルの”忠告”がやたらに胸に響いた。
    俺、最低だな。後輩に嫉妬してイライラするなんて。シュナちゃんに会いたいけど きっと会ってはくれないだろう。だけど彼女は彩人に会いたくなるから またこの店に来るだろう

    2005-11-05 18:09:00
  • 177:

    NN

    「彩人さぁ何か今日、疲れてる?顔がなんかそんな感じ。」客に言われてハッとした。まさか顔にまで出ているなんて。「いや、何もないよ」笑顔でそう言うと、客は「ならいいけど」と微笑んだ。 -雷さんに余計なことをされた。
    正直、そう思っている自分がいた。

    2005-11-05 18:10:00
  • 178:

    NN

    雷さんがシュナをつついたせいで、シュナは今日、店にやってこない。シュナがいないと、NO1とNO2の差は開いていく。新しいエース客を見つけないと。頭の中でグルグル回る言葉はひたすら、それだけだった。

    2005-11-05 18:11:00
  • 179:

    NN

    まるで客を消耗品扱いしてる。いつからこんな人間になったんだろう。
    この仕事をしているゆえかな。それともそれはただのいいわけであって、俺はずっとこんな人間だったのかな。

    2005-11-05 18:12:00
  • 180:

    NN

    とてもじゃないけど、世界の中心で愛なんて叫べたもんじゃない。たった一人を純粋に愛せるわけもない。
    人間としては失格だ。ホストとしても、こんなやり方は失格かもしれない。
    だけど止まらない。もう、止まれない。

    2005-11-05 18:13:00
  • 181:

    NN

    だけど夢を手に入れることがこんなに窮屈なことだとは思わなかった。
    こんなにも他人を犠牲にするんだな。人ひとりとして傷つけず 夢を叶えるなんて無理だ
    俺はNo1になりたい その夢がある限りずっと 人を傷つける

    2005-11-05 18:15:00
  • 182:

    NN

    従業員トイレに足を踏み込むと、東吾がタバコを吸っていた。セブンスターの匂いが狭い空間の中で充満している。
    俺が入ってくるのを見ると、東吾は「ゲロ?」と訪ねる。「ちげぇよ。」短い返事をすると、「そうか」と、もっと短い返事が返ってくる。

    2005-11-05 18:16:00
  • 183:

    NN

    スーツの内ポケットから、俺もタバコを取り出す。そしてその手で火をつける。 無表情でタバコの煙をフっと、口から東吾が吐き出す。 そしてトイレの水の中に、セブンスターの吸殻を落とした。ポチャン、と音を立てる。
    セブンスターの香りが妙に鼻につく。その香りが、俺の香水と微妙に混じって、身動きが取れなくなるみたいに。

    2005-11-05 18:18:00
  • 184:

    NN

    譲れないもの。No1になること。それだけあれば十分。その気力だけで俺は生きてるってわけだ。何もなかった俺に生きる気力を与えてくれたのがこの仕事。
    誰にも譲れないんだ。譲れない。だから..。

    2005-11-05 18:19:00
  • 185:

    NN

    だとしたら、必要ない。この体、ブっつぶれるまでやってやる。それで死ねるなら本能だ。これ以上幸福な死はない。
     夢のためなら 死ぬことさえ 恐れない それがあの頃の俺の最大の強みだった。

    2005-11-05 18:21:00
  • 186:

    ???

    頑張って?

    2005-11-06 01:17:00
  • 187:

    ?

    この話の元になってるホス君トカいるんですか??

    2005-11-06 01:28:00
  • 188:

    ?

    ァャト??コレゎ元ゎァ○ァなんで素かッ??

    2005-11-08 05:17:00
  • 189:

    名無しさん

    2005-11-08 07:17:00
  • 190:

    ????????????????????????

    2005-11-08 14:49:00
  • 191:

    NN

    読んでくれてありがとうございます。モデルは特にいませんし元ネタもないですよ〜

    2005-11-08 22:35:00
  • 192:

    NN

    シュナの事件から1週間がたった。ナンバーは相変わらず、カオルさん、俺、雷さんという順番だった。

    2005-11-08 22:37:00
  • 193:

    NN

    シュナは雷さんとの事件以来全く姿を現さなくなってしまった。
    一度こっちから連絡してみたものの、電話に出ることはなく、メールを送ってみるとエラーで返ってきた。
    どうやら店からも姿をくらませているらしく、「伝説のAV女優」としてその名前が1人歩きしているだけだ。シュナのあけた穴をどう埋めるか。俺の頭の中はそれだけだった。

    2005-11-08 22:40:00
  • 194:

    NN

    3日前の出来事だ。「女1人つぶしといてあんたは何様なの。シュナは本気であんたが好きだったんだよ!!」
    シュナが以前勤めていたキャバクラの女に言われた。どうやら女はシュナの親友らしかった。店内まで乗り込んできた女は俺を散々罵倒した。
    俺は何も言わなかった。ここで吠えたって意味がないことはよくわかってる。黙っていた。

    2005-11-08 22:41:00
  • 195:

    NN

    最後は痛烈にビンタを一発食らったけれど、これくらいで済んだらまだマシだなと思った。
    そして俺はこれまで以上に新規客、つまりまだ指名が決まっていない客の接客には神経質になった。短い時間でどうやって自分をアピールするか。どうやってデカイ客を捕まえるか。頭の中はただただそれだけだった。

    2005-11-08 22:42:00
  • 196:

    コレ

    スゴイリァルだ

    2005-11-10 04:28:00
  • 197:

    なきほ

    あげとく☆頑張って

    2005-11-10 09:12:00
  • 198:

    名無しさん

    221さん、ありがとうございます。なきほさん、毎回読んでくれてありがとうございます!!すごく嬉しいです。

    2005-11-10 23:42:00
  • 199:

    NN

    「これ見てな。これ。昨日、金ためて買ってもった!」朝7時。クローズした店内で、カオルさんは手のひらサイズのデジカメを満足げに手にとり、店内をパシャパシャ撮影していた。カオルさんの給料じゃデジカメなんて金ためて買うまでもないだろ、と、俺は思ったけど、そうですか、と返事をしておいた。
    雷さんとはあれから口を聞いていない。店内の真ん中で、パソコンを無表情で触っている。何だか東吾みたいな顔をしている。その東吾はソファで夢の中。

    2005-11-10 23:44:00
  • 200:

    NN

    「カオルさん。」「何や。」俺の声に返事をしながらも、パチ、パチ、というカオルさんのデジカメ撮影は止まらない。そして俺にカメラを向けて、パチっと一枚撮った。
    「おお、男前に撮れたでー」そう言って微笑んだ。微笑む口元からは八重歯がチラっと見える。

    2005-11-10 23:45:00
  • 201:

    NN

    何でカオルさん、ホストになったんですか。 その言葉で一瞬記憶がよみがえった。今、こうして歌舞伎町のネオン街で、そしてこの店でNo1になったとゆうこと。
    時々全て夢物語に思える。仕事が終わって夕方にふと目が冷めると、まだ、時々地元の友達の顔が浮かんでくる。あの街を離れてもう何年も経っているのに。まだ、あの時の記憶は明確に残っている。

    2005-11-10 23:46:00
  • 202:

    ????????????????????????

    2005-11-10 23:47:00
  • 203:

    NN

    一体何をそれだけ話すことがある?そう聞かれることもしばしばだったけど、俺達には聞かれても答えなんてスグ言い出せない程、本当にたくさんの話があり、そこには夢もあった。
    田舎でも都会でもない、だからといって何もこの街に不満はなかったはずだ。

    2005-11-10 23:49:00
  • 204:

    NN

    なのにひとつひとつ、毎年毎年、年をとっていくうちに、この街を出なくちゃいけないのかもしれない、と誰しもが考え出す。新しい土地での就職、夢を追いかけ上京。
    事情は人それぞれだが、制服を脱ぎ捨てた瞬間、街は僕らに「大人になって」と語りかけてくるんやな。

    2005-11-10 23:50:00
  • 205:

    NN

    コンビニでバカ騒ぎした仲間は今どうしているんやろう。あの街には、もういないやろうな。
    新井に柴田に、勝又に、野村に..。すれ違ってももう気がつかないやろおうな。もう立派な大人の顔になってたり、大学生になってたり、みんな新しい環境で一から全てを立ち上げてるんやから。そう、俺もそうやから。

    2005-11-10 23:51:00
  • 206:

    NN

    228さん読んでくれてありがとうございます!!

    2005-11-10 23:52:00
  • 207:

    NN

    金髪の髪の毛を何とかしろ、と毎朝怒りに教室までやってきた、毎日上下青ジャージの生徒指導の飯島、だけど何だか憎めない奴だったな。
    2年間付き合った彼女の名前は下田百合。あの日見えなかったものは何なのかな。今になってうっすらそれがわかってきた気がするのに。

    2005-11-10 23:56:00
  • 208:

    ???

    頑張って?

    2005-11-10 23:57:00
  • 209:

    NN

    卒業後すぐに百合とは上京することが原因で別れた。俺たちの2年は、そこで終わった。
    夢があった。東京に行かないと、叶わない夢。って言い聞かせてただけで、東京じゃなくてもよかったのかもしれない。

    2005-11-10 23:59:00
  • 210:

    NN

    だけど今出ないと 今走り出さないと 俺は自分を焦らせていた。でっかいスポーツバックと、でっかいカメラを首にぶらさげて、大阪を走り出た。お金なんかほとんどなかった。渋谷を歩いていると、「キミキミ」と呼び止められた。
    キミ、なんて言葉を生で聞いたのが初めてで、好奇心で振り向いてしまった俺は、気がつけばホストクラブっていう舞台に立った。

    2005-11-11 00:00:00
  • 211:

    NN

    上京後、一度実家に帰ったけど、ホストやってる、と、正直に言うと、親父に案の定勘当されてしまった。第一声は「二度帰ってくるな!!」だった。それから一回も実家には帰っていないけど、最近、親父から「雑誌見た。お前も頑張ってるんだな。」と、短い言葉が留守番電話のメッセージに残っていた。俺はそのメッセージを何度も何度も再生して、不器用な親父らしい、と、ひとり笑ってしまった。
    また時間が会ったら 帰るで その言葉、伝えたかったんやけど、伝える暇も時間もなく、何ヶ月も経ってしまった。

    2005-11-11 00:01:00
  • 212:

    NN

    季節は何度もめぐってその度、どんどんこの世界に染まりきって、抜け出せないでいる自分が居ることも確かだ。気がつけばカオルさんに憧れてホストになりました、なんて、言われるまで古株になってしまった。

    2005-11-11 00:03:00
  • 213:

    NN

    俺は一人、電話を片手に笑顔になる。夢はある。ホストはその途中で見つけた「拾い物」。まだ時々不安になるんや、俺も消耗品。いつか消えてしまうんかなって。やけど、たとえ俺自身が、ホストという仕事が、消耗されていくものだとしても、俺はなんぼでなんぼのナニワ大阪人。
    無駄な使い方はしぃひん。今はホストの世界で真剣勝負。夢に近づくのは、この仕事を終えてから。

    2005-11-11 00:05:00
  • 214:

    NN

    上京して失ったもんもあったかな やけど こうして 失ったと思っても よみがえってくるもんかて あるんやね。俺には守るものがある。夢もある。だから..

    大切に 記憶の中で あの頃を守ってゆけるように

    2005-11-11 00:06:00
  • 215:

    名無しさん

    続き待ってます。

    2005-11-11 02:38:00
  • 216:

    ????????????????????????

    2005-11-11 09:50:00
  • 217:

    なきほ

    ぃつも更新してくれるから大好きデス☆頑張って

    2005-11-11 10:32:00
  • 218:

    名無しさん

    2005-11-11 13:00:00
  • 219:

    名無しさん

    すごくジーンとくるとゆぅか胸が苦しく、切なくなるお話ですね?更新待ってます?

    2005-11-12 04:46:00
  • 220:

    名無しさん

    今一気に読みました♪気になったんゃけど、途中でホスクラの名前変わりました?カムプリ→デカムになったんですか?

    2005-11-12 14:07:00
  • 221:

    ゅりん

    ぁげ↑↑
    主ゎ女ですか?男ですか?めっちゃリァルなので聞ぃて見ました☆更新待ってまぁす(*^_^*)

    2005-11-13 13:31:00
  • 222:

    ???

    頑張ってね?

    2005-11-13 13:41:00
  • 223:

    NN

    246さん247さん、読んでくれてありがとうございます。なきほさん、毎回チェックしてくれててすごく嬉しいです。頑張りますので、ぜひ最後まで読んでください。249さん、まとめてくれてありがとうございます。
    250さん、切ないってゆってもらって嬉しいです。251さん、指摘ありがとうございました。ミスです..すみません!!店の名前の候補が2つあって気がつけば変わってました..正しくはカムプリのままで..すみません。ありがとうございました。

    2005-11-13 23:19:00
  • 224:

    NN

    ゅりんさん、ありがとうございます。これからもちょくちょく更新続けます。さてさて性別ですか??それは秘密です(笑)
    ???さん、ありがとうございます!!頑張ります。 感想を書いてくれた方、ありがとうございました。めっちゃ嬉しかったです。

    2005-11-13 23:21:00
  • 225:

    NN

    別に偉そうなことを言うわけじゃなけれど努力すれば願いは叶う だなんて笑ってしまった。生きてこのかた何かに必死になる、死に物狂いになるなんてことなかった気がする。
    別にそこまでっていうものがなかったのかな、今まで生きてきた世界は 息もできなかった。だけど今の仕事と出会えて 生まれ変わるって言葉を実感した

    2005-11-13 23:25:00
  • 226:

    NN

    この仕事は俺に命をくれた、そして この仕事を失うと言うことは 俺が命を失うということだ。いっそ殺してくれたってかまわないよ
    努力すれば願いは叶う 今なら信じられそうだ

    2005-11-13 23:27:00
  • 227:

    NN

    俺はカオルさんに火をつけられて、それでいつも東吾の言葉に目を覚めさせられる。東吾の言葉は覚醒という名のドラッグだな。
    2人でタバコを吸っている時が一番落ち着く。東吾と出会ってまだ2年位しか経っていないけど、ずっと一緒にいるような感覚にさえおちいってる。本当に不思議な奴だ。

    2005-11-13 23:28:00
  • 228:

    NN

    「あの人たちって雑誌に載ってたホストじゃない?」「カムプリのNo2でしょヤバイねぇやっぱかっこいい」「うんうんめっちゃカッコイイ..。」「何あれすげぇキモイんだけど」「うわぁナルシストくさっあんな男が一番いやぁ」

    2005-11-13 23:31:00
  • 229:

    NN

    色々な言葉が交差してどれも耳に入ってくるけど、中傷されたり冷やかされたりもあるわけだ。だけどそんなものは気にしない。何かしようとすれば、必ずそういうモノも背負わなくちゃいけない。目立ってこそのこの世界だ。
    それすらできないなら何もできないじゃないか。中傷になんか怯えてられない。

    2005-11-13 23:32:00
  • 230:

    NN

    「彩人ぉ!東吾ぉ!」客に会うことも珍しくない。今日も、でっかいシャネルのロゴが入ったかばんを片手に、フランス人形みたいな髪型をした女が俺に手を振る。今から仕事だそうだ。ユリ、彼女の職業はキャバクラ穣。俺の客の1人でもある。
    「おー今から仕事?」「うんっ今日、帰りカムプリ行くから」「おお、待ってる。」 短い会話。その中でいかに恋人気分にさせるか。
    それが営業。微笑む俺の横で東吾は相変わらずの無表情だった。

    2005-11-13 23:34:00
  • 231:

    NN

    彩人の仕事への熱意は、話していると時々、何かビリっと痺れるような感覚を覚える。彩人が、もし、今、仕事を失ったとしたら、本当にこいつは死ぬだろうなと本気で思う。
    死ぬ、なんて言葉は生きている立場からすればすごく非現実的なものに聞こえるが、彩人の口にする「死」は何だかすごく身近に感じて、この俺ですら恐くなるのだ。

    2005-11-13 23:38:00
  • 232:

    NN

    東吾は彩人に視線を向ける。彩人はメールを必死に打っている。−誰にだって譲れないものがあるだろ?−前にもアヤは俺に同じ言葉を投げかけた。
    彩人のその言葉に対して無気力で19年間生きてきた、と答えたような気がする。意識して無気力だなんて思ったことはない。

    2005-11-13 23:39:00
  • 233:

    NN

    周りにやる気がなさそう、とか、ダルそう、とか、人間離れしてる、と、言われることが多いのだ。ホストの仕事を始めたきっかけは、深夜ボケッと歩いていたら、スーツを着た実に胡散臭い男に話しかけられた。
    男は俺の肩をたたいて、「ねぇ君ホストとか興味ない?」と言った気がする。その胡散臭い男って奴は、この店のオーナーである原田さんなのだが。

    2005-11-13 23:40:00
  • 234:

    NN

    原田さんは「氷咲カオルって知ってる?有名なホスト。うちの店の子でね。君、なかなかホストにいけると思うよ、第二のカオル、なんて目指してみない?」と続けた。氷咲カオルなんて人間は全く知らなかったし、自分のどこがどうホストにいけるのか、だとか、疑問だらけだったが、原田さんは偉く熱心にずっと「ホスト」「ホスト」と連呼した。そして俺はyes も Noもなしに、気がつけばホストになっていた。

    2005-11-13 23:41:00
  • 235:

    NN

    店内に初めて連れて行かれた時、彩人とも初めて会った。彩人もその日が、初出勤だったのだ。つまり俺とやつは、同期というわけだ。ヤツは確か..黒いスーツを着て新人とは思えない位堂々としていたっけ。
    「東吾は初対面の時めっちゃ恐かったな。だって舌ピアスに耳にも数え切れないくらいピアスしててさ、しかも無表情でボサっと立ってるの。迫力に圧倒されたって。しかも同い年に見えなかったし。」昔話をすると、彩人は必ず俺にそう言う。俺から見た彩人の第一印象は..忘れた。

    2005-11-13 23:42:00
  • 236:

    NN

    ああ、やたらに香水くさくてホストっぽい男だなって思った。というか、ホストなんだな。金髪の髪の毛を一生懸命逆立ててるな とも思ったな。いまだに気が合うとは全然思えないが、同期だしなんとなく一緒に行動するようになっていた。
    彩人は自分では気がついてはいないと思うが、かなりの熱血男だと思うのだ。最近は「No1になりたい」しか言わなくなった。燃える精神というか。誰かこの炎を消火してやってほしい。

    2005-11-13 23:44:00
  • 237:

    NN

    って、誰にも消せるわけがないか。彩人がNo1にならない限り、この炎はどんどんどんどんデカくなるだろう。そしてもっと気がつけば自分もホストになって一年が経っていた。
    最初は、俺をスキだと言ってくれる客が奇妙に見えた。

    2005-11-13 23:47:00
  • 238:

    NN

    ホストの世界が奇妙だから、客も奇妙なわけだろうが、という結論に辿り着いた。流されるまま、毎晩酒を飲みながらそう思っていたが、一年経った今、あの頃と少し変わったことがある。タバコの銘柄。も、そうだが、もっと大事なことだ。
    スキだと言ってくれる客が今はありがたいということ。俺は彩人の憧れ?の、氷咲カオルのような客を盛り上げるような楽しい会話ができるわけでもなく、彩人みたいに派手なパフォーマンスもできない。
    なのに新人時代から今までずっと一年間俺に会いに来てくれる客が気がつけば増えていた。

    2005-11-13 23:49:00
  • 239:

    NN

    ある客に「俺と話していて何か楽しい?」と聞くと「楽しいよ。何で?」と逆に聞かれ「気になった」というと、「楽しいじゃない?あたし、東吾はすごい魅力あると思うよ」と笑いながらも答えてくれた。そのホストを初めて遅すぎるのかもしれないが、「やっててよかった」という気持ちが自分の中にうまれた。その後も、新しく自分を指名してくれる客に会うたび、その気持ちは大きくなっていく一方だ。彩人と違ってNo1になってやる!!って気持ちはないし、今の現状に満足だ。
    選んでくれる人がいる間はこの仕事を続けようと、俺は思うようになった。

    2005-11-13 23:50:00
  • 240:

    NN

    「東吾、どうしたんだよボケッとして。」「ああ、立ちながら寝てた」何だそれ、と、彩人はつぶやいた。「彩人、もしかしてホストって本当はすごく自分を好きになれる仕事かもしれないな。」
    「は?東吾、いきなりどうしたんだよ」あっけらかんとする彩人の横で俺は小さくうなずいた。

    2005-11-13 23:52:00
  • 241:

    NN

    ■■
    新人時代、もう毎日クタクタになるまで話し続けた。どんな客に対しても諦めるなんてことはしなかった。「何それ。おかしいじゃん。それはあなたが悪いっしょ。」アリスの一言で、一瞬世界が凍った。
    雷の指名客にアリスがヘルプで入った時の出来事だった。彼氏の愚痴を話していた客・エリコに向かってのアリスの『失言』。

    2005-11-13 23:53:00
  • 242:

    NN

    「何この子..」と、客のオンナは眉をひそめる。焦った雷はすぐに「ごめん!こいつ新人だから!」とフォローを入れる。オンナは、「いくら新人でもさぁ」と、つぶやくとアリスをにらみつける。
    「この子やだ、ヘルプさぁ他の子にチェンジして?」険悪な雰囲気は断ち切れなかった。アリスをはずし、他のホストをヘルプにつけたが、オンナはムスっとした顔のままだ。雷は体全身から冷や水が流れ出ていることに自分で気がついた。その時、背後からカオルが顔をのぞかせる。

    2005-11-13 23:55:00
  • 243:

    NN

    アリスのホストデビュー戦、初ヘルプは、エリコの機嫌をそこね、一瞬にして終了。雷は、店内にいたアリスを従業員トイレの前に呼び出し怒鳴りつけた。「お前さっきの接客はなーんだ!!あんなこと続けてると指名とれるどころかクビだぞ!!お客さんに対してなんだあの言い方は!!!!」
    静かなバックルームに雷の声が響く。「うっるさいなぁ」そして、小さな声でうっとおしいな、と付け足した。

    2005-11-13 23:58:00
  • 244:

    NN

    「うるさい!?うっとおしい!?大体お前、その態度がな」「もぉーいいじゃんっカオルちゃんのおかげでどうにかなったんだからさぁ」「いいってお前カオルちゃんってお前..」どこから注意したらいいのかもわからなくなってくる。大先輩でNo1のカオルに向かって新人ホストがカオルちゃん呼ばわり。助けてもらったというのに感謝の一言もない。注意する言葉にも詰まってしまう。「だーから次から気をつけるよー。」アリスは怒り心頭する雷に舌を出し、スキップしながらバックルームを去る。

    2005-11-14 00:00:00
  • 245:

    NN

    怒りを通り越してあきれてきた。新人教育を何人もしてきたが、あそこまで..何というか、神経がずぶといというか無神経というか礼儀がないというか、そんな奴は初めてだ。大体あいつはホストって仕事を何だと思っているのだろう?部活の延長だなんて思っていないだろうな。
    毎晩嘔吐する彩人はNo1に上り詰めたいがためだけに生きてるっていったって過言じゃない。カオルはいつも笑顔ではぐらかすけど、あいつにも何か大きな夢だとか目標があるからこの世界にいるからで。

    2005-11-14 00:01:00
  • 246:

    NN

    そんな二人のパワーで今店自体もどんどん有名になってきてる。本気になった奴が一番強いんだ。楽に稼げるからホスト、女にチヤホヤされたいからホスト。そういう目標で入店するのありだろう。新人の半分以上がそんな奴だ。だけど、実際入店したからにはがんばってもらわないことには困る。限界まで、がんばってもらわなくちゃ、困る。
    俺たちはプロなんだから。アリスはそれをわかっているのだろうか

    2005-11-14 00:03:00
  • 247:

    NN

    ?「雷は毎回、深刻に考えすぎるじゃねぇ?新人を教えたってどぉせやめんだし。時間のムダ、ムダ。アリスだってどうせすぐやめるだろ。適当に教えときゃいいんだよ。そんな事よか自分の客、増やすこと考えた方がよっぽど自分のためになるよ。」 2日前くらいに、同僚ホストにそういわれた。その言葉が何だか無性にやるせなかった。
    季節が変わって、散り遅れた花みたいに。今まで何人の新人を教えてきただろう。そして何人辞めていっただろう。多分、数え切れない。

    2005-11-14 00:04:00
  • 248:

    NN

    全て時間の無駄だったのか?適当に教えておけばよかったのか?そんなのいくらだって手を抜いて教えられるけど、そんなことしたって何の特になるのだろう。何だか自分のホストとしての価値を落とす気がするよ。教えることは自己満足なのか?
    人に教えるってことは少しだけだけど、教えた!っていう、自分の自己満足だって関わってくるんじゃないかなって、俺は思うんだ。新人と一緒に、俺も少しでいいから成長していきたいんだよ。

    2005-11-14 00:05:00
  • 249:

    NN

    「そういえば、俺を教えてくれたの、雷さんでしたよね。」顔を上げると、彩人が立っていた。アリスとのやりとりを見ていたのだろうか?バックヤードに一人座りこむ俺の横に、彩人も腰を下ろす。
    彩人は多分、吐いた後だろう。顔色がよくない。それでも、こいつは、この後、また飲むのだ。飲んで飲んで、もどしてもどしてまた飲んで。

    2005-11-14 00:06:00
  • 250:

    NN

    「そうだったな。俺としてはありがたい。お前は俺が教えた中で一番の成長株だ、悔しいけどな。あと、東吾もかな。あいつも、あそこまで売れるとは、思ってなかったからな」そう笑うと、彩人はいやいや、と少し微笑む。「俺ね、新人の頃、雷さんに教えてもらって、ほんとによかったと思ってますよ。」「何いってんだ、いきなり。」驚く俺を見ながら、彩人は、いや真剣な話で、とつぶやく。

    2005-11-14 00:07:00
  • 251:

    NN

    「今思えば、何もわかんなくって不安で、ただカオルさんになりたいってそれだけで入店して,,酒の知識もないし、酒も駄目、人と会話もうまくできないし。色々、助けてくれたの、雷さんでしたよね。俺、きっと雷さんじゃなかったら辞めてた。雷さんが、俺の、この何だろう、ホストとしての根っこ、作ってくれたんですよね。アリスも、そういう気持ち、いつかわかりますよ。きっと、俺みたいにちょっと年くってからだろうけど。雷さんは寛大な人だっなって。だって俺、もう、教える立場なのに自分のことでいっぱいいっぱいで。教えようなんて気持ち、なれないですよ。」

    2005-11-14 00:09:00
  • 252:

    NN

    彩人の言葉に、体中が熱くなる。俺だっていっぱいいっぱいだよ、だけど、いっぱいいっぱいになりながらも教えるんだよ。すごく嬉しかった。彩人の言葉が。不器用な口調で必死に、俺に元気を与えようとしてくれる。俺は間違ってなかったのかな。こうして教えた後輩ホストが今、逆にこうして教えてくれてるんじゃないか。人のために教えるんじゃない 自分が教えたいから教える それは自己満足かもしれないけど
    それで感謝されたら それはきっと それはすごく..

    2005-11-14 00:10:00
  • 253:

    NN

    「おい、アリス!」俺は店内に戻るとすぐにアリスをつかまえる。「また説教?」うんざりしたような顔でアリスは雷を見る。「そうだよ。お前には一流のホストになってもらわなきゃ、困るからな。」
    「何それ」「とーにかくキャッチ、行くぞ!!キャッチの基礎を教えてやるよ」

    2005-11-14 00:11:00
  • 254:

    NN

    一応、この年になってもホストとしての夢はたくさんある。例えばもっとたくさんのお客さんと触れ合いたいだとか、自分の店を持ちたいだとか。夢を語り出したらきっと一晩じゃおさまらないよ。だけど一番の夢は、ひとつなのかもしれない。

    2005-11-14 00:13:00
  • 255:

    NN

    今、この店で。彩人や東吾に続く新人ホストを教育して、プロにするんだ。それで、一緒に。

    一緒に、この店で働いていきたいって。

    2005-11-14 00:14:00
  • 256:

    名無しさん

    読んでると勝手に妄想しちゃいマス??ゥチは雷クン口座にするでしょゥッ…(笑)?

    2005-11-14 02:43:00
  • 257:

    なんか、ありえないほどクサイ話って思ったけど、きっとホンマはこんな人間臭い部分を誰しも持っていて、夜の世界はそれを出さないではぐらかして皆生きてんだよなぁ、結構現実に近い、皆隠しながら思ってることを書いてるなぁって思ったら泣けてきた。

    2005-11-14 08:50:00
  • 258:

    ????????????????????????

    2005-11-14 10:22:00
  • 259:

    ???

    頑張ってね?

    2005-11-14 12:21:00
  • 260:

    名無しさん

    2005-11-14 12:46:00
  • 261:

    マリナ

    250です?
    この小説今1番スキです?頑張って下さぃ??

    2005-11-14 16:44:00
  • 262:

    NN

    291さんありがとうございます。こんな小説でよかったら妄想しちゃってください。292さん、ありがとうございます。風俗、キャバクラ、ホスト。職種関係なく夜の世界にいる人達はどこか本当自分を偽って仕事をしますよね。時々本当の自分はどんな人間だったのだろう?と思ってしまうことがあります。感想とても嬉しかったです。293さんありがとうございます。294さん、ありがとうございます。頑張ります。マリナさん、感想ありがとうございます。好きっていってもらえてすごく嬉しいです。更新続けるので、また見てやって下さい。
    感想をくれた方、ありがとうございました。

    2005-11-14 17:43:00
  • 263:

    NN

    「勝ち続けること」それがNo1。「必ず追い抜くこと」それがNo2。カオルさんは相変わらず他者を寄せ付けない人気だった。カオルさんのバースディがあった先日の2日間で、まだ今月も半ばだというのに俺との売り上げの差は、三百以上開いた。店の周りはカオルさんへと書かれたドでかい胡蝶蘭が並び、見るところすべて花だらけ。カオルさんの人気を物語っていた。OPENと同時に洪水のように流れだす客で、あっという間に満席。シャンパンコールがエンドレスに響き、店の中央に置かれたシャンパンタワーは溢れんばかりに重なりあい、雑誌・TVなどの取材のカメラがカオルさんをフィルター越しにうつす。

    2005-11-14 17:44:00
  • 264:

    NN

    顔、喋り、飲み、そして天性の素質。ホストがうらやむような素質を全部持ち合わせた氷咲カオルっていう人間にはきっと今に不満なんてない、みんなそう思っていたんだと思う。もちろん、俺も、そう思った。

    2005-11-14 17:45:00
  • 265:

    NN

    「来 年 も よ ろ し く な」の言葉。

    2005-11-14 17:47:00
  • 266:

    NN

    その出なかった言葉の意味。もしかしてあの時もうカオルさんは決意してたのかもしれないね。
    だとしたら俺たちは夜の世界で輝く「氷咲カオル」というホストを知っていても、本当の「かおる」さんは誰も知らなかったんだ。いや、きっと誰にもみせなかったんだ。

    2005-11-14 17:48:00
  • 267:

    NN

    あの日カオルさんが突然店から消えてしまったとき。きっとあの時、俺のホスト人生が終幕を迎えたんだ。これでよかったんだ。カオルさんはいつも手品師みたいなマジックつかってみんなを驚かせるんだ。だけど決してタネアカシをしないんだよ。そのまま「なんで?なんで?」ってみんなが聞くのをふりほどいてどこかに消えてしまうんだよね。

    2005-11-14 17:49:00
  • 268:

    NN

    もう限界って思ったことはないんやけど もうここにいたらあかんのちゃうって思うことは何度もあるカオルさんが、そんな言葉を雷さんにもらしていたことを知るのは、まだ少し先の話だ。
    −あの日 何がカオルさんをそうさせたのか 今だに 俺は わからないでいる−

    2005-11-14 17:50:00
  • 269:

    マリナ

    主さんいつも返事ありがとう??
    話が気になるゥゥ????
    続き楽しみにしてまぁす?

    2005-11-15 01:51:00
  • 270:

    名無しさん

    2005-11-15 17:00:00
  • 271:

    これは

    ミカエル?

    2005-11-15 17:11:00
  • 272:

    NN

    マリナさん、こちらこそいつも読んでくださってしかも感想までありがとうございます。とっても嬉しいです(^^)これからも書き続けますので、のぞいてやってください。307さん、読んでくださりありがとうございます(^^)ミカエル?ではないです。

    2005-11-16 00:10:00
  • 273:

    NN

    ■■
     あれは一年前の出来事だった。狭い控え室の中、一枚の履歴書を広げ、中年の男はタバコに火をつけた。カム・プリンセスの経営者である原田は、眉をひそめる。ここ一週間で自薦20人目の面接者。だいたい、面接で断る、ということはあまりしないが、今回ばかりは慎重になる。カム・プリンセスにここまで自らホスト志願者が来るとは、完全なカオル効果だ。
    カオルとは、氷咲カオルのことだ。このカム・プリンセスにおいて不動のNo1を誇る超人気ホスト。先日、カオルのドキュメンタリーが、全国区で放送された。

    2005-11-16 00:13:00
  • 274:

    NN

    と、いっても深夜に一時間だが、深夜、テレビの中に写る「王子様」に、何十万人の女性が心を奪われたことか。あの日以来、またカオルの指名客は倍増する一方だ。TVのタイトルは「TV!!24!!〜超人気ホスト・月収700万円の氷咲カオルに密着」TV放送の効果は、カオル指名客倍増だけにとどまらず、「カオルのようになりたい」と、どんどんホスト志願者が面接にあらわれるようになった。

    2005-11-16 00:14:00
  • 275:

    NN

    放送内容は、カオルがホストになるまでの半生と現在の生活を混合させたドキュメンタリーもので、家賃75万円のマンションに住むカオルの姿に、視聴者やホスト志願者はド肝を抜かれたという。

    2005-11-16 00:15:00
  • 276:

    NN

    「ドラマちっくに仕上げた方が視聴者は食いつくし」、と俺が言うと、カオルは「そやけどやりすぎっしょ、俺と違って全然違う人の人生みたいやないですか」と笑った。「ドラマちっくに仕上げた方が視聴者は食いつくし」、と俺が言うと、カオルは「そやけどやりすぎっしょ、俺と違って全然違う人の人生みたいやないですか」と笑った。「俺、オヤジとはごっつ仲いい。最初はケンカばっかやったけど。むしろ、今、応援してくれてるしなぁ。貧乏生活。そんなことないと思うわ。別に、普通の父子家庭ってゆうか。愛をすべて失ったって。ちょっとひどい言い方やわ。俺はみんなの愛あってこそのカオルやのにさ。」と、続けた。

    2005-11-16 00:17:00
  • 277:

    NN

    カオルの言葉に間違いはなかった。すべての愛を失っていたら、カオルはこんなにいい笑顔ができるわけがない。むしろ彼は全ての愛に恵まれて育ったのではないかな。「あ、でもそうかも。俺と違って全然違う人の人生。そうやね、これは『氷咲カオル』であって、俺ちゃうもんね。」
     そう言うとカオルは笑った。

    2005-11-16 00:18:00
  • 278:

    NN

    人材はいつだって欲しいが、どの新人も一ヶ月と続かない。ホストの世界は厳しいのだ。放送以来地方から大量に送られてくる履歴書の山と鳴り止むことのない問い合わせの電話を前にそう思う。夢のような生活ができるホストなんて、ほんの一握りだというのに。
    ふと腕時計を見ると時間は22時。今日だけで面接が4回。当然だが次から次にヤローばかりで嫌気がさす。「カオル、お前のおかげで求人がたくさん来るようになった、ありがたい、ありがたい。」原田は控え室でジュースを飲んでいたカオルに声をかける。

    2005-11-16 00:19:00
  • 279:

    NN

    氷咲カオルは2年前「カムプリンセス」に入店するやいなや、その端麗なルックスと軽快なトークで、あっという間にNo1に躍り出た天才ホストだ。まだたった2年しかたっていないというのに、カオルの存在は異様だった。今やホスト雑誌の表紙を何度も飾り、TVで特集されることもしばしば。カオルは完全にカムプリンセスのドル箱アイドルだ。「なーんや原田さん、ありがたい言うてるわりには顔が怖いねんけど」
    カオルが笑う。

    2005-11-16 00:20:00
  • 280:

    NN

    すると、原田はいやいや、と手を横に振る。「いや、ありがたいよ。新宿駅でお前を見た時、こいつは使える!と思って俺がスカウトしたけど、まぁさかここまで売れるなんてな。だてに俺も現役時代No1やってたわけじゃないなと。」「まだホストの世界、未練あるん?」
    カオルの瞳が動く。「いや、経営の方が楽しいね。この年になると。まぁもう一回モテてみたいっていうのも、あるけどな。」笑いながら原田は控え室の椅子に腰を下ろす。カオルもそれにつられるように笑う。

    2005-11-16 00:21:00
  • 281:

    NN

    気がつけば原田はカオルの肩をたたいていた。「君さぁボケっとして何してるの?その大きな荷物は?もしかして、上京したばっかりなの?それとも家出?」派手なネクタイに茶色の髪の毛、腕には金の時計。原田さん、第一印象怖すぎた、だって普通のサラリーマンにはどうみたって見えなかったから、これが、東京のオヤジなんかって!めっちゃビビったわ、大阪のオヤジはもっと人がよさそうやねんで、と、後になってカオルから聞いた。

    2005-11-16 00:24:00
  • 282:

    NN

    確かに、話しかけた時カオルの顔は強張っていた気がする。大阪から上京したてで、金もないし土地勘もないし行き場に困っている、って話をカオルはしたかな。 整った目鼻に加え、クニュっとあがる口角が印象的だった。カオルのルックスに関西弁が妙なくらいマッチしていて、俺は久々の「大物」を前に興奮を抑えられなかった。
    こいつはいい!ホストとして使える!そう確信したのだ。

    2005-11-16 00:25:00
  • 283:

    NN

    どうして上京したの?と聞くと、カオルは確か、そう、この瞬間だけは何にも動じず、はっきりと前を見て答えた。「夢があって。東京に来ないとかなえられない夢があるんです」
    と言った。だけど金がないのを忘れてたんですけどね、と付け足して言っていた。つまり後先を何も考えずに東京にきた、というわけだ。

    2005-11-16 00:26:00
  • 284:

    NN

    俺が「ホストなんか興味ない?寮もあるし住むところはあるし。」と、カオルを誘うと、「やります!やらしてください!」と、即答した。あまりの答えの速さに、驚いたが、カオルはきっとのたれ死にする寸前だったのだろう、「救われた〜やっぱ東京にも優しい人っておるんやなぁ〜」と、つぶやいていた。あれから2年。のたれ死にそうになっていた男は、今やこの店の看板ホスト。
    この店を支えているのは、完全に氷咲カオルだ。

    2005-11-16 00:27:00
  • 285:

    NN

    「カオル、悪いな。」「なにが?」「お前、夢があるっていってたよな。夢の為の資金集めだろ。毎月500あれば資金もクソもないだろ。お前やりたいことがあるだろうに、店の為に、いてくれてるんだろ」俺が真剣な顔をしてそういうと、カオルはプっと吹き出すように笑った。そして、テーブルの上に置いてあったタバコの箱から、一本、取り出す。

    2005-11-16 00:28:00
  • 286:

    NN

    「やめてくださいよ。そーゆうの。そういうつもり、ちゃいますから。」カオルはタバコに火をつけると、うつむき気味に携帯電話をいじり始める。

    2005-11-16 00:30:00
  • 287:

    NN

    「今日、面接はもうないんですか」「ああ。22時20分に一人、いるよ。18歳の子だけど」大して興味はなかった。またどうせカオルくずれみたいな者がくる。とりあえすカオルくずれの中から5,6人採用して..続くのが1人いるかどうか。その1人だって売れっ子になる、なんて保証はない。カオルと談笑を続けていると、控え室の扉が3回ノックされる。
    あ、面接か。腕時計を確認すると面接時間の5分前だ。

    2005-11-16 00:31:00
  • 288:

    NN

    「どうぞ」そう言うと「失礼します」と同時に男が部屋に入ってくる。その瞬間、俺は久々に息を飲んだ。男は顔が小さく、足が長い、長身でほっそりとしたモデル体系。少し辛口の顔立ちとのバランスがいい。特に目元だ。目じりがグッと上がっていて、それでかつ秘めた瞳が何かを物語っている。ホストはルックスじゃない。だけど、面接の第一難関はルックスでもあるのだ。

    2005-11-16 00:32:00
  • 289:

    NN

    「そこに、かけて。」原田がそう言うと男ははい、とつぶやく椅子に座る。男の正面にはカオルが座っている。手に汗が流れる。この衝撃はカオル以来かもしれない。俺は震える手を落ち着かせるかのように、こぶしを握り締めた。カオルの正面に座った男はすぐに声を出した。「氷咲カオルさんですよね?」「そうやでー。」カオルは笑顔で返事をする。

    2005-11-16 00:33:00
  • 290:

    NN

    男は「雑誌で見たまんまだ」と少しだけ感動していたが、すぐにカオルの方をまっすぐに向いた。その視線に迷いはなかった。「俺はカオルさんに憧れて面接に来ました。ホストになりたくって来たと同時に、No1になるために、来ました。目標はNo1。それだけです。カオルさんと並ぶ、じゃなくて、抜くのが夢です」本人を前に堂々の宣戦布告。

    2005-11-16 00:34:00
  • 291:

    NN

    「夢があって。東京に来ないとかなえられない夢があるんです」俺は当時のカオルの姿に、男を重ねた。ソックリだったのだ。揺るがない信念、そしてその奥にある強い意志、あきらめることを知らない強さ。カオルは男の言葉に「おおっ」とつぶやき、「何かはずいなぁ」と少し笑った。「君、今日から働ける?」「はい!」何だかだいぶ前の話みたいに聞こえるけど、あれから、まだたった一年しか経っていないんだよな。
    カオルと彩人の出会いはお互いにとって必然だったのだと俺は思うよ。

    2005-11-16 00:35:00
  • 292:

    NN

    彩人、お前には話していないことがあるんだ。お前の面接が終わった後、いつもおちゃらけしてるカオルが、今まで見たことないくらい真剣な顔で、俺に言ったんだ。「あれは怖いね。俺もウカウカしてられへんわ。店入って始めてやね。こーゆ−気持ちになったんわ。」ってね。今じゃNo1 と No2対決は店の見世物状態。TVで報道されることもしばしば。酒も飲めてトークも軽快いつもニコニコ顔のサービス満点な天才肌のカオルと、酒が苦手で毎晩嘔吐の繰り返し、駄目だと思えば顔に一瞬顔に出てしまうけど、勢いのある努力家の彩人と。

    2005-11-16 00:36:00
  • 293:

    NN

    対照的で楽しいよ。だけどどこか似ているんだろうな。この店はおもしろい店になったのかもしれないね。経営者としては非常に、ありがたいことだけれど。だけど お前はまだ気がついてないのかもしれないね

    2005-11-16 00:37:00
  • 294:

    NN

    彩人 お前の才能は 誰よりもカオルが最初にわかっていたんだ。
    そういうことを

    2005-11-16 00:38:00
  • 295:

    ????????????????????????

    2005-11-16 02:07:00
  • 296:

    名無しさん

    2005-11-16 04:06:00
  • 297:

    名無しさん

    ?

    2005-11-16 06:03:00
  • 298:

    名無しさん

    2005-11-16 08:25:00
  • 299:

    名無しさん

    2005-11-16 08:48:00
  • 300:

    名無しさん

    2005-11-16 09:48:00
  • 301:

    297を読んでおもったんだけど、それは夜とか昼とか関係無い様な気がする。上手く言えないけど、生きていくだけで皆、多少なり偽りの自分がいると思う。そうしないと今の世の中生きづらいもん。

    2005-11-16 10:10:00
  • 302:

    なきほ

    久々にのぞきました☆ゴメンねっ(>_

    2005-11-16 15:35:00
  • 303:

    名無しさん

    ?

    2005-11-17 00:35:00
  • 304:

    名無しさん

    ?

    2005-11-17 05:15:00
  • 305:

    ゆいな

    初カキコです。すごくおもしろい!カオルたωのファンなりそうです★頑張ってくださぃ★

    2005-11-17 14:48:00
  • 306:

    名無しさん

    色々感想いただいてありがとうございます。風邪をひいたので2日ほど更新をお休みします。
    風邪がなおりましたら感想いただいた方に返信します..すみません迷惑かけます。

    2005-11-17 23:22:00
  • 307:

    マリナ

    主さん風邪大丈夫ぅ??ゆっくり休んでしっかり治して下さぃね??気長に待ってます?

    2005-11-18 06:51:00
  • 308:

    名無しさん

    2005-11-20 02:27:00
  • 309:

    名無しさん

    ?

    2005-11-20 03:00:00
  • 310:

    名無しさん

    2005-11-20 03:05:00
  • 311:

    名無しさん

    あかさん 失礼しました。夜も昼も関係ない、その通りだと思います。偏見したような発言をしてしまい、失礼しました。偽りの自分を作らないと、生きずらい。何だか胸に残りました。なきほさん、いつも応援してくれてありがとうございます。すごい嬉しいです。
    ゆいなさん、はじめまして。おもしろいっていってもらえて嬉しいです。カオルのファンになってやってください(^-^)347 さんありがとうございます。マリナさん、風邪の心配までしてくれてありがとうございます!!もうばっちりです。
    仕事が忙しくなってきたので更新は少し遅れるかもしれませんが..読んでくださってる方、感想をくださった方、ありがとうございました。

    2005-11-20 22:05:00
  • 312:

    NN

    ■それは3日前の出来事だ。「女1人つぶしといてあんたは何様なの。シュナは本気であんたが好きだったんだよ!!」シュナが以前勤めていたキャバクラの女に言われた。どうやら女はシュナの親友らしかった。店内まで乗り込んできた女は俺を散々罵倒した。俺は何も言わなかった。ここで吠えたって意味がないことはよくわかってる。
    黙っていた。

    2005-11-20 22:08:00
  • 313:

    NN

    最後は痛烈にビンタを一発食らったけれど、これくらいで済んだらまだマシだなと思った。そして俺はこれまで以上にフリー客、つまりまだ指名が決まっていない客の接客には神経質になった。短い時間でどうやって自分をアピールするか。どうやってデカイ客を捕まえるか。
    頭の中はただただそれだけだった。

    2005-11-20 22:09:00
  • 314:

    NN

    深夜0時。あいにくの大雨で車はクラクションの鳴らしあい。傘と傘がこぜり合いになっては、人ごみは苛立つ。きっとこの雨が何かを予感させてたんだ。店内で一番苛立ちを隠せないのは最少年の新人ホスト、アリスだった。
    キャッチに出て10分で店内に舞い戻り大声で叫ぶ。「雨の日にキャッチなんかやってらんないしっ!!」「何が雨の日だ。お前は晴れでも雨でもさぼってるだろが!!」

    2005-11-20 22:10:00
  • 315:

    NN

    ―まーた始まった。雷さんとアリスの兄弟喧嘩。俺は携帯を片手に客に一斉にメールを送信する。2人の声からなる『騒音』と、店の外から聞こえる『雨の音』が重なり合って耳がおかしくなりそうだ。「いーからお前はキャッチ行ってこい!!」暴れるアリスをつまみ出す雷を横目に「やっと静かになるな」と東吾がつぶやく。カオルさんは2時出勤だ。多分まだ寝ているだろう。15分くらいキャッチに出よう、俺は重い腰をあげる。雨はやむ気配を見せない。この調子で朝方までずっと降り続けるだろう。

    2005-11-20 22:11:00
  • 316:

    NN

    「まーったく雨の日のキャッチなんてやったって無駄だってばっ」雷がうるさいから店内出てきたけど、全く新人だからってキャッチばっかり、おもしろくないや、アリスは独り言のように小さくつぶやく。アリスは1人、店の裏路地で携帯電話を触る。前のキャッチで何人か番号とメアドを聞き出したからとりあえずメールだけでも送ってみよう。

    2005-11-20 22:12:00
  • 317:

    NN


    『おはよーアリスだよヽ(゚∀゚)ノ仕事中??終わったら連絡ちょうだいっ☆』

    2005-11-20 22:13:00
  • 318:

    NN

    こんな感じでいいのかなぁ。アリスは画面をしばらく見つめて、送信ボタンを押す。ホストってけっこう楽じゃないんだ。TVの世界に騙されたなぁ。彩人さんとカオルちゃんはまさにTVの人!!って感じのホストだけど、雷なんかは居酒屋にいそうなおっさんと変わらないしスパルタ教育だし。唇に雨の水滴が落ちる。歌舞伎町は何かありそうな気がしたんだ。歌舞伎町では誰か「僕」を呼んでくれる気がしたんだ。「せめて雨、止まないかなぁ..」空から降る大粒の雨がビニール傘を直撃する。

    2005-11-20 22:13:00
  • 319:

    NN

    ふっと路地に目をやると、足早に歩くピンクの傘を持った女が通る。左手には大きなルイヴィトンのカバン。―とりあえず声かけとくか。アリスは女の後を急いで追う。「ねぇねぇ何してんのっちょっとはなそーっ!!」「うわっもうびっくりした..いきなり声かけてくるから」
    女は目を大きくし心臓に手をあてながら驚いたぁと繰り返す。

    2005-11-20 22:15:00
  • 320:

    NN

    あれ。アリスは女の顔を見たとたん、停止する。茶色の長い髪。大きな瞳。気のせいかな。どっかで見たことある気がするんだけど。「歌舞伎町で仕事してる子?」「うんしてる、今はちょっと休業中だけど」女はアリスの顔さえ見なかった。早口で質問に答える。急ぎ足のままだ。アリスは女の進路を妨害するかのように前に立ち、身振り手振りで会話を続ける。「そーなんだーじゃあさぁよかったら飲んでかない?初回5000円だし飲み放題フリータイム!!」「飲まない、いらないっどいて」女は短く返事をする。

    2005-11-20 22:16:00
  • 321:

    NN

    「そんなこと言わないでーあのねーすぐ近くのカムプリンセスって店なんだけどー知ってるでしょ??氷咲カオルちゃんがいる」「カムプリンセス!!??」女の声が大きくなる。雨が一瞬、強くなった気がした。

    2005-11-20 22:17:00
  • 322:

    NN

    店内を出ると、雨はさらに強さを増している。彩人は傘を片手にため息をつく。キャッチに出ようと誘った東吾には「雨が嫌い」という理由で簡単に断られてしまった。―路地から回るか。店の裏道を抜けると目先にはスーツを着た金髪の男と傘を持った女2人が道の真ん中で立っていた。「あっあれアリスじゃねーか..。」正面に立っているのはアリスだ。あの女は客?傘を持っているから足しか見えない。何だ何だトラブルか。キャッチしてんのかあいつ。俺は隠れるようにして様子をうかがう。

    2005-11-20 22:18:00
  • 323:

    NN

    「店、知ってるの?」アリスの声が聞こえる。「あのね。」女は声を詰まらせる。まさか。声を聞いた瞬間、耳を疑った。少し鼻にかかるような声。雨とリンクして声がブレる。車の音がやけにうるさい。一瞬全部止まった気がした。俺は背中が凍りつく。この声は「あのね、彩人はどうしてるの?元気?」

    2005-11-20 22:19:00
  • 324:

    NN


         シュナだ   
     

    2005-11-20 22:20:00
  • 325:

    NN

    「もしかして、シュナさん?」アリスがつぶやく。どうやらアリスも、雷との一見を見ていたため一部終始を知っているようだ。後で店内でもだいぶ噂になったし、噂好きのアリスが知らないわけがない。「やっぱり知ってるんだ、あたしのこと。友達がね、彩人の殴りこみに行ったとか聞いて..心配で。彩人の顔、見たくなってちょっと近く通ったんだ。会えるんじゃないなかって思って。」「彩人さん、今日、出勤してるよ、店これば会えるよ!おいでよ」シュナの腕をアリスが引っ張るとシュナは首を大きく横に振った。

    2005-11-20 22:21:00
  • 326:

    NN

    「でも実際、会う勇気ないんだ。連絡も無視しちゃってるし、今仕事も休業して..今は昼間にバイトして..彩人とは全然違う世界みたいだし。あたしを今日ここで見たこと、彩人には絶対言わないでね。少し休んで..また夜の世界戻ったら彩人に会いに行くつもりなの。またビデオとか出たらお金、できるし。」彩人は息を飲んだ。シュナがそこまで考えているなんて、全く知らなかった。シュナの目は涙であふれていた。ホストは客を騙して客は騙されて金を出すんだ。最初はニセモノだってわかってるんだけど、「ニセモノの愛でもお金をかければいつかは本物になるんじゃないかな」ってどんどん狂ってくるんだ。迷路だ。抜け出せない。相手に対する愛はあるけどお金が回らなくなる。

    2005-11-20 22:22:00
  • 327:

    NN

    「ねぇシュナさん、愛はお金で買えないってことは僕が誰より知ってるよ。お金をかけたって愛には結びつかないよ。実際、僕がそうだったんだよ」「どういうこと?」シュナは顔を上げる。「お金をかければ愛につながるなんて大間違いだ。人を愛することにお金なんていらないんだ。僕、急いでるから!じゃあね!」

    2005-11-20 22:23:00
  • 328:

    名無しさん

    2005-11-20 22:25:00
  • 329:

    NN

    雷のスパルタ教育に影響されてる!!ダメだこんな熱血なキャラクターじゃなかったのに。アリスは店内の片隅で頭を抱えていた。あのままシュナちゃん引っ張ってこれば彩人さんにも感謝されたのに。どうして突き放したりなんかしたんだろう。「おいお前まだ30分しかたってねーのにもう帰って来たのか!どーせお前さぼってたんだろが。」「さぼってないもん!!!」雷オヤジがウルサイ。僕ちゃんと仕事してきたのに。「彩人、機嫌悪い?」東吾がソファに座る彩人に声をかける。「いや別に」さっきの出来事が頭から離れないだけだ。アリスとシュナのやり取りを見て思ったんだ。

    2005-11-20 22:25:00
  • 330:

    NN

     もしかして 俺は 人間として ホストとして 取り返しのつかないところにまで来ているんじゃないかって

    2005-11-20 22:26:00
  • 331:

    名無しさん

    2005-11-20 23:47:00
  • 332:

    名無しさん

    2005-11-21 01:34:00
  • 333:

    名無しさん

    ?

    2005-11-21 02:39:00
  • 334:

    NN

    「いらっしゃいませ!!」店内のドアが大きく開く。新人ホストが入り口へと駆け寄る。本日1人目のお客さんの登場だ。俺は入り口に視線を向ける。と、同時に息を飲む。「シュナ」路地でアリスと話した後、その足で店に向かってきたのだろう。コートが少し雨で濡れている。

    2005-11-21 03:03:00
  • 335:

    NN

    シュナは下を向いたまま、俺の顔を見ようとはしない。雷さんとアリス、2人の強い視線を感じた。「さっさささとりあえず席へ!」様子を見かねたホストが、シュナを一番隅の席へと案内する。無言のままソファに座るシュナの横に、俺が腰をおろす。するとシュナはようやく顔を上げて小さくつぶやいた。「ヘルプ、つけてほしいな。」

    2005-11-21 03:04:00
  • 336:

    NN

    2人じゃ気まずい?そういうと、シュナはそういうんじゃないけど、また声を小さくした。ヘルプはいらないの、彩人といつも2人で話してたいの!以前シュナはよくそういって新人ホストなんかが席に着くのを嫌がった。俺のほかの指名客がやってきて、ヘルプと2人きりにされたシュナはじゃあ帰る、といって帰ってしまったことも何度もあった。「わかった。」状況が状況だからか。俺は心の中でそうつぶやいた。

    2005-11-21 03:05:00
  • 337:

    NN

    理由は聞かない。客の心境なんて天気予報を当てるより、どんなギャンブルのカケを当てるよりも難しい時だってある。だけど担当ホストとしては、それくらいわからないといけない。

    2005-11-21 03:06:00
  • 338:

    NN

    「ヘルプなアキノリかミツキかあと東吾とか、」雷さんはやばいよな、そう思った瞬間、シュナが口を開いた「あの子がいい。アリス。」―マジでかよ。
    不意に声に出しそうになった自分がいた。俺は「わかった」と短く返事をすると「うん。ごめんね」とシュナは頭を下げた。さっきの2人のやり取りの延長戦をこの場でやる気か。

    2005-11-21 03:07:00
  • 339:

    NN

    アリスの接客は見れるもんじゃない、いや、聞けるもんじゃない、か。ヘルプについてほしくないホストNo1に間違いはないだろう。「おじゃましまーす」よそよそしアリスが俺たちの正面であるヘルプ席に座る。「お酒つくるねー」そういって、笑顔でグラスを持つ。目が泳いでいる。アリスなりに遠慮しているのがよくわかった。何だ、ようするに2人で話がしたいってことか。そうなんだ。この状況での「邪魔者」は俺だってことか。

    2005-11-21 03:09:00
  • 340:

    NN

    「あのね、私」目線が泳ぎ小さな声で何か言おうとしている、そのシュナの姿がすごくうっとうしく感じた。雨のせいか。イライラと頭の中での暴走がとまらない。「偶然なんだけど。さっきの見てたよ、俺。アリスとシュナ話してるの」少し強い口調で言うと、シュナはまた黙り込んだ。

    2005-11-21 03:10:00
  • 341:

    NN

    テーブルの上には汗をかいたグラス。シュナが口元に注ぐと、水滴にまみれる指。「ヘルプ」の仕事は汗になったグラスをハンカチで拭くこと。「あっ」急いでアリスはスーツからハンカチを取り出し、シュナのグラスを拭く。アリスは新人だっていっても、それくらい俺が目線で合図しなくったって気がつかなくちゃいけない。「見てたんですかっでも別に世間話してたくらいだからっ」アリスの敬語は何だか滑稽だ。

    2005-11-21 03:11:00
  • 342:

    NN

    突然帰ってきたシュナ。俺のエース級であったシュナが今、求めているのは俺じゃない。店内には客がぽつぽつと顔を出し始める。この店はメインチェンジが可能。シュナはチェンジするつもりだろう。アリスに。俺からアリスに。そうならこうしてやってやるよ。シュナ、今までありがとう。これが最後の餞別だ。

    2005-11-21 03:12:00
  • 343:

    NN

    「愛は金で買えないってアリスは言ってた。だけど俺は違うんだ。愛こそ簡単に金で買えるものだと思う。」「彩人・・・?」このままアリスに俺のエースを横取りされるわけもいかない。俺はこの店でNo1になりにきたんだ。後輩ホストに客を取られた彩人なんていわれた日には全部が崩壊だ。もうシュナには以前の経済力はない。じゃあここで、もう2度と店に顔を出せない状態にすればいい。

    2005-11-21 03:13:00
  • 344:

    NN

    閉店後、静まり返った店内の中、雷さんのパンチが俺の頬へ飛んできた。「俺は人を殴るの初めてだよ。」そう強く言い放った。隣ではカオルさんが無表情な顔をして携帯電話を触っている。「お前は人間としておかしい!!」「でもね、雷さん。あのままシュナを引っ張ったらあの子はまたAVやりますよ。雷さんがそういうやり方汚いって言ったから今日、シュナにああいって切っただけです。」
    驚くほど冷静な自分がそこにはいた。心が全く動揺しない。

    2005-11-21 03:16:00
  • 345:

    NN

    雷さんは俺に全てを教えてくれた先輩 なのに今は雷さんの教えを背けてる 俺は雷さんの期待通りに育てなかったみたいだな

    2005-11-21 03:17:00
  • 346:

    NN

    「お前よくそんなこと言えるな!!仮にそうだとしても、言い方があるだろ!?」ソファに座っていた東吾が席を立つ。そしていつもの無表情で俺につぶやいた。「アリスにシュナを取られるのが怖くて切った、んだろう。アリスに取られたという噂が充満したら彩人は負けホストになる。取り返すために色恋かけた営業かけるにも、シュナにはもう風俗の肩書きはなし、ただの一般人で経済力もない。取り返す意味もない。取られたという噂だけが残る。それが嫌で切った、んだろ。」「さすが東吾」こいつにはカオルさんとは違う意味で心の中まで読みつくされてる。今日の相手がアリスじゃなくて東吾だったら?それでも多分、俺は同じ行動に出てる。

    2005-11-21 03:18:00
  • 347:

    NN

    「彩人、それは本当なのか。」「事実です」はっきりと答えると、雷さんは表情を強張らせた。今まで見たことがないくらい、厳しい表情だった。「そんなに自分のプライドが大事かよ。」俺雷さんに新人時代、色々教えてもらった。新人の時、今までとは全く違う昼夜逆転生活の慣れない環境で、「頑張れ」と背中を押してくれたのは雷さんだった。飲めずに悲鳴をあげた体をきずかってかわりに飲んでくれたことも幾度となくあった。雷さんにしか相談できないことも、沢山あった。ただひとつ。大きく違うんだ。何を教えてもらってもどれだけ相談にのってもらっても、ただひとつー

    2005-11-21 03:21:00
  • 348:

    NN

    仲間よりも大事なもの 先輩より大事なもの No1になること もうそれ以外いらない
    もう何も怖くないと思った。「大事です。自分のプライドは自分しか守れない」立ち上がれるよ。この舞台で生きている限り。この居場所を失わない限り。女は金だ。

    2005-11-21 03:23:00
  • 349:

    NN

    もう何も怖くない  もしかして そう自分に言い聞かせてただけで 本当はずっと 怯えてた 今になって気がついた だけど、遅すぎた あのころの俺は 女を金だと見てた いまなら少し 違ってたのかな

    2005-11-21 03:25:00
  • 350:

    名無しさん

    今日ゎ終わったかなぁ?

    2005-11-21 03:27:00
  • 351:

    NN

    389さん、読んでくれてありがとうございます。とりあえず今日はこれで更新が終わりです(他の方の小説を読んでいる時間です笑)明日明後日もできる限り更新を続けますので、よかったらまたのぞいてやってください。

    2005-11-21 03:48:00
  • 352:

    マリナ

    更新されてる???待ってマシタッ??
    主さんホントに文章書くの上手ですね?引き込まれちゃぃます?彩人の気持ちも、シュナゃ雷さんの気持ちも痛い位伝わってきて、切なくて苦しぃです?これからの展開が楽しみだなぁ??

    2005-11-21 04:56:00
  • 353:

    やたらリアル      だからほんまの話みたい 主文うまいなぁ     ここおるんもったいないで主はキャバ嬢?風俗嬢?ホス?

    2005-11-21 05:37:00
  • 354:

    桃香

    失礼シマース?
    >>2-200
    >>200-400

    2005-11-21 06:08:00
  • 355:

    この人可愛いねワラ?

    2005-11-21 06:19:00
  • 356:

    桃香

    ヽ(´Д`)ノ一気読み?楽しみにしてます?主さん頑張ってね???
    (人´ー`)カワイイなんてヤーンありあとござまーす?

    2005-11-21 07:46:00
  • 357:

    名無しさん

    2005-11-21 10:27:00
  • 358:

    愛ニャン?

    初めまちてッッ??
    この小説メチャ好きデス?
    がんばってくださぃねッ?

    2005-11-21 11:50:00
  • 359:

    名無しさん

    ?

    2005-11-21 13:32:00
  • 360:

    名無しさん

    2005-11-21 15:12:00
  • 361:

    ??????

    ?しおり?

    2005-11-21 18:20:00
  • 362:

    ?

    彼氏とハマッて読んでマス?

    2005-11-21 20:29:00
  • 363:

    名無しさん

    更新して?

    2005-11-22 08:41:00
  • 364:

    名無しさん

    待ってるよ?

    2005-11-22 18:05:00
  • 365:

    主です

    たくさん感想いただきありがとうございます。今おきて出勤準備、仕事なので更新は祝日の明日夕方〜夜ごろになります。読んでくださってる方、すみません

    2005-11-22 19:57:00
  • 366:

    名無しさん

    2005-11-22 23:09:00
  • 367:

    名無しさん

    2005-11-23 04:32:00
  • 368:

    キラ

    ?記念パピコ?

    2005-11-23 07:54:00
  • 369:

    なきほ

    ホントに胸に響いてきたよ…頑張ってね。待ってます

    2005-11-23 10:24:00
  • 370:

    NN

    読んでくださっている方、感想を下さった方、ありがとうございます。

    2005-11-23 19:32:00
  • 371:

    NN

    仕事が終わって家に着くのが昼の12時。ほんっとに流れに逆らうかのように真逆の生活をしてる。安眠..なんて、ここ最近した覚えはない。腹の中で溢れかえるかのような酒の波に襲われながら目を閉じる。携帯電話が鳴ると瞬時に反応。客からのメールはどんな時間でもいっさい手を抜かない。シャワーを浴びて何となくタバコを吸ってそれから..歯を磨いてそれから..。

    2005-11-23 19:34:00
  • 372:

    NN

    玄関のチャイムが勢いよく鳴る。朝っぱらから何だ。眉間をよせてドアの扉を開けると同時に大きな声が入り込む。「あやちゃーん。いっれてー」「カオルさん!」なんと現れたのはカオルさんだった。「家、知ってましたっけ」驚いた顔で声を出すと「とーごちゃんに聞いてん!おじゃま!」と、まるで『自分の家』のようにズケズケと玄関からリビングへと歩き出す。金髪の髪の毛が揺れる。胸には大きなクロスのダイヤが光る。太陽の光に反射する。カオルさんから朝の匂いを感じた。

    2005-11-23 19:34:00
  • 373:

    NN

    俺が止める間もなくリビングにやってきたカオルさんは部屋を見渡し「うわーええ部屋やん!」と、絶叫した。「ここ18階建てマンションやろー家賃いくら?俺もここ引っ越そかなー。」カオルはリビングのカーテンを広げると同時に、窓を開け、ベランダに出る。「すげぇ朝の景色もいい感じやんっ」「家賃は20万くらいですけど」「たかっ!ねぎってもらえんかなー」

    2005-11-23 19:35:00
  • 374:

    NN

    ・・20万。カオルさんだったら値切る値段じゃないんじゃないですか今つけてるネックレスは部屋の家賃の5倍くらいの値段だと思うんですけどと、言いたかったが「値切るのは無理ですよ」とつぶやいた。月収700万円越えのホストの口から値切る、はないだろう。「そっかー残念やなー。なぁあやちゃん2日くらい家泊めてや!ちょっと寝かせて!」「へ?」突然やってきて、気がつけば部屋の中まで押し入ってきたカオルさんは俺に「お願いっ」と手を合わせて頭を下げた。時計は12時15分を指していた。

    2005-11-23 19:36:00
  • 375:

    NN

    「自分の家、どうなったんですか?」「それが今やっかいやねんなー借金取立てのお兄ちゃんがきててーって違う違う!」1人で「ボケ」と「ツッコミ」をかましたカオルさんを横目に、「この人は何時に会っても本当に元気な人だな」と関心してしまった。東吾から聞いた話では、確かカオルさんは昨日、仕事が終わってそのまま雑誌の撮影で、同伴して店に来ていたから睡眠時間は0に近かったらしい。つまり丸1日近く寝ていないのだ。それでいて今、仕事終わりでだいぶ酒も入ってるのにこのパワーだ。

    2005-11-23 19:38:00
  • 376:

    NN

    「ちょーっちストーカーみたいなんにあってて。家の前とかいて怖いねんなーだから、店の子の家転々としてるねんな。やし頼む!」―ストーカーか。ありえる話だ。「いいですけど…」俺はカオルさんが全開にあけたカーテンを閉める。「ほんまに!ありがと!よかったー助かった!さっそく風呂かりるわー!」「あ、はい、どうぞ..。」なんだか完全に話のペースを持っていかれている気がする。カオルさんは2ヶ月に1回くらい部屋を引っ越すっていう噂があるけど、あれは多分本当なんだろう。俺も半年に1回は引越しをする。なにがしら客とトラブルになるからだ

    2005-11-23 19:39:00
  • 377:

    NN

    不思議な人だ。客にだってこうだろうな。警戒している相手にでもドンドン、最初は強引に.入り込んでいっても、最後にはそこにカオルさんがいることが自然になっていくんだから。天性のホストって呼ばれているのはきっとそういうところに理由があるんだろう。

    2005-11-23 19:40:00
  • 378:

    名無しさん

    2005-11-23 22:51:00
  • 379:

    名無しさん

    続き気になる?

    2005-11-23 23:30:00
  • 380:

    名無しさん

    ?

    2005-11-24 03:47:00
  • 381:

    名無しさん

    2005-11-24 13:40:00
  • 382:

    NN

    俺がリビングに布団をひいていると、風呂から出てきたカオルさんは「あっ俺ひくで!」と駆け寄ってきた。「これTシャツと下ジャージでいいですか」差し出した黒色のジャージを見ると「かっこいいやん!」とカオルさんは笑顔になった。「ありがとなー。」まさかカオルさんにジャージを貸す日ができるとは思わなかった。「彩人部屋で寝るん?」「そうですけど。」「そんな寂しいこといわんとさー修学旅行みたいにこう、こっち横布団ひいて寝たらいいやん。俺こんなだだっぴろいリビングで1人で寝たら寂しくて死ぬわ!」気がつけば俺はもう1セット布団をかかえてリビングにやってきていた。

    2005-11-24 23:11:00
  • 383:

    NN

    本当に完全にカオルさんペースだ。もう1時。体がだいぶだるい。それをわかってか、カオルさんは「あやちゃんごめんなーわがままゆうてー」と、つぶやいた。部屋を完全に閉め切る。カーテンの外には太陽が照っているはずなんだけど、この部屋はもう何時なんだかさっぱりわからない。カオルさんが部屋にいる時点で、もう全く違う空間に見える。「あーっ」声を上げるとカオルはリビングの床に散乱する膨大な数のホスト雑誌を手に取る。「俺の表紙のやつやーいやーこうして見るとハズイ!この写真ちょっと写り悪いしなー。」

    2005-11-24 23:12:00
  • 384:

    NN

    「カオルさんは自分が載ったのとか、店が載った雑誌とかは編集の人からもらわないんですか?見たりとかしないんですか?」俺は自分のページをよく見る。写真ひとつにしても、ああこっちの角度の方がよかったかな、とか、ちょっと写りが悪いかな、なんていってみたり。毎回「今回どう!?」と感想を求めすぎて、東吾から「うざい」なんていわれることもしばしばだ。だけどそれ以上にカオルさんのページは隅から隅まで見ている。「俺なぁコラム連載してるやん?コラムは見て今回つまらん!とかダメ出しするねんけど、他の自分のグラビアとかインタビューとかはほっとんどみぃひんなぁ。」「何でですか?」

    2005-11-24 23:13:00
  • 385:

    NN

    さっきから彩人インタビュアーみたいになってんなぁとカオルさんは笑った。気がつけばカオルさんを質問攻めにしていた自分がいた。本当に雑誌のインタビューみたいだ。「最初はあっ俺雑誌載ってるわ!なんて思ったんやけど。だんだん雑誌の中に氷咲カオルがいても、俺がおらんってわかって。自分のことかどうかってピンとこぉへんねん。」カオルさんは布団にもぐりこんだ。俺は一瞬呆然としたんだ。―じゃあ雑誌の中のカオルさんは何? 今俺と話しているカオルさんは?天性のホスト・氷咲カオルなんて人間はほんとうにカオルさんの中に存在してるのかな。

    2005-11-24 23:14:00
  • 386:

    NN

    よく考えれば入店してから一度として、カオルさんと一対一で長く話したことはなかった。カオルさんは小さくつぶやいた。「そろそろ被写体するんは飽きたのかもしれん」カオルさんの言葉に隠された本当の意味を知るまでそう時間はかからなかった。

    2005-11-24 23:15:00
  • 387:

    NN

    ■■
    ホストクラブなれしている客、今日が初めてだとツレと2人で現れる客。ホスト目当てに来る客。ただ仕事のストレスを 発散させに現れる客。客の種類も目的もばらばらだ。ただホストにかける金に「欲望」を混ぜ込んでいる。そしてその欲望の裏には、寂しさが重なりあってるように見える。

    2005-11-24 23:17:00
  • 388:

    ?

    おもろい!

    2005-11-24 23:23:00
  • 389:

    NN

    ?さん 418さん 419さん 読んでくださりありがとうございます!!(^^)

    2005-11-24 23:39:00
  • 390:

    NN

    その女は、新規だった。火曜日の深夜2時に、1人で店に足を入れた。胸まである黒髪。アーモンドのような目元。薄いレッドのグロスが口元で光る。「いらっしゃいませ!」ホストが一斉に頭を下げると女は照れたように小さく頭を下げた。そして案内されるままに席についた。「でねーでっ聞いてる、彩人?」「ああ。」アンジュ席に座っていた俺は、その女を遠くから一瞬横顔を見ただけだった。

    2005-11-24 23:40:00
  • 391:

    NN

    新規の客だ。ホストはみんな一度は顔を見せに行く。そこで自分をアピールして指名をもらう..。俺はシュナというエースを失ってから新規に敏感になっていた。「もー彩人っ寝てるのぉ?ぼーっとして」アンジュが心配そうな顔で彩人の顔を覗き込む。「シャンパン飲んだら目覚めるかも」笑いながら彩人がいうと「おしきた、クリューグ!」アンジュはクリューグをはじめ、シャンパンを一瞬にして数本おろした。

    2005-11-24 23:41:00
  • 392:

    NN

    コールがおこる店内で、奥に座っている新規の女は、驚いたように彩人の席を見ていた。派手なシャンパンコールが終わる。その後、なじみの客が3、4組現れ俺は、慌しく席を行き来きしていた。その横で同じようにカオルさんも忙しそうに席をまわっている。カオルさん指名の客は大体、1時間で15分〜10分しかカオルさんと話せない。人気ホストは指名がとにかくかぶり、それでもとカオルさんを指名する客は、どんどんシャンパンをおろし相当太い客が多い。「彩人、新規つけ。」と、雷さんに声をかけられた。ああ、あの席か。「ちょーっと乾杯」「ええっ彩人もぉどっかいくの?」女が彩人のスーツを引っ張る。「いやすぐ戻るよ」そういって俺は女の頭をなで、急いで新規の客のもとへ歩いた。

    2005-11-24 23:43:00
  • 393:

    NN

    「初めましてー彩人です。」「あっはじめまして、愛です」「愛ちゃんね」俺が笑うと、女は頭を下げた。こりゃあホストクラブ初体験だな。女の顔を見ると、そこそこ綺麗な顔をしている。髪の毛は巻かずストレート。黒いジャケットに白のキャミソール、細身のGパンに黒色のサンダル。水商売や風俗のような派手さはない。昼職か..何となくそんな感じがした。時計ナシ。アクセサリーなし。バックは小さな黒。これは細いな。一瞬にしてそう思った。

    2005-11-24 23:44:00
  • 394:

    NN

    「今日はどうしてお店に来たんですか?」「えっと..一回こういうところにきてみたかったの」そうなんだ、と俺は返す。10分もたたないうちに、他のホストが現れたので俺は名刺だけ置き席を立った。通路を歩いていると、すれ違ったカオルさんが俺につぶやく。「あの新規。愛ちゃん。」「え?」俺が振り返る。「あっれは太い思うで。」「は?」意味がわからなかった。俺は意味のわからないまま、席に戻った。太い?そんなわけはないだろ。

    2005-11-24 23:45:00
  • 395:

    NN

    次にアリスが愛の席についた。「はじめましてー」アリスが微笑むと、愛は「はじめまして」といった。「愛さんはいくつですか?」「22だよ。アリスくんは?」「18!」「若っ!」合コンみたいな会話が場を和ませる。愛にも自然と微笑みが出る。「ねぇアリスは何でホストになろうとしたの?」愛は酒を作り出すアリスの顔を見てつぶやいた。「えーっなになにいきなり」突然の質問にアリスは目を白黒させる。「何かキッカケ、あるでしょ?人が何かする時は」「そぉだけど。うーん、きっかけかぁうーん」ホストになとうとしたきっかけ..はテレビを見てかっこいいなぁって思っただけの、すごくミーハーな理由なんだけどなぁ、そんなこといったらカッコ悪いしもっと何か絵になることいわなきゃいけないのかなぁ、アリスは答えに詰まる。

    2005-11-24 23:49:00
  • 396:

    NN

    「ごめん困らせちゃった?」「ううん、ミーハーな理由ではずかしいから言えないよ」アリスはいただきます、っと、いってグラスを持ち上げる。カチン、という音が小さく響く。「後悔したくないんだよね。やりたいことやりたいなぁって思った。」「もしホストして売れないままだったらどうするの?」愛がアリスの答えくいつく。「今、現にこうして僕、売れてないんだけど、何か明日があるっていう希望があるんだよね」「希望?」グラスの汗をアリスはハンカチで拭く。

    2005-11-24 23:51:00
  • 397:

    NN

    「うん、希望。だって明日があるじゃん。明日があるってことは、明日にはもしかしたら可能性があるってことかもしれないよね。今日苦しくても泣いてても、明日にはどうなるかわかんないじゃん。」「希望・・明日がある」愛がグラスを両手で抱える。「あっごめんね偉そうなこといって、ごめんっ。ちょうしのった!」アリスは頭を下げた。いいのいいの、と、愛は大きく手を振った。愛は、指名をアリスに入れたようだ。初の指名にアリスは大喜びし、雷さんは「アリス調子にのるな」といっていたけど、内心は嬉しそうだった。

    2005-11-24 23:53:00
  • 398:

    NN

    アリスは早速席についた。その様子を心配してか、雷さんも保護者のように愛の席についた。何だかんだいってアリスを一番心配してるのは雷さんだ。せっかくついた初めてのお客さんに無礼がないように監視するのだろう。「指名ありがとー!初指名なんだよね。嬉しいなぁ」アリスがニコニコすると、雷さんは横で「ヘルプの雷です」と微笑んだ。「どうも」と愛は笑った。「こいつのどこがよかったですか?」雷さんが単刀直入にそう訪ねると「一生懸命なところ」と答えた。そして「あのお酒なに?」と店の中央に置かれたショーケースを指差した。「あれはねーリシャールっていうお酒だよ。お値段100万」「あれおろして?」「は?」アリスが聞き返すと、「あれ、飲みたいから。」一瞬席が凍る。

    2005-11-24 23:54:00
  • 399:

    NN

    雷は「あっあれは100万で」お金の心配が..と付け加えようとした瞬間、愛は黒いバックから100万円の束を置いた。「ちゃんと、お金、あるんで。」そう言った瞬間、また席が凍った。雷は「あつし!リシャール出して」と大きな声で新人ホストに声をかける。あつし リシャール出して その声に俺は振り返る。今…リシャールって聞こえたのは気のせいか?俺があつしを見るとあつしはリシャールを持ちアリスの席に置いた。「リシャールはいりました!ありがとうございます!」ホストの声が響く。

    2005-11-24 23:55:00
  • 400:

    NN

    愛ちゃん あっれは太いと思うで カオルさんの声が響く。その言葉に後押しされるように、アリスの席でドンペリが10本空いた。マイクごしのポン、ポン、とどんどん抜かれていく酒の筒が愛の太さを物語った。愛はその日300万近くアリスに落とした。アリスはそのまま愛とアフターで焼肉を食べに行くらしい。朝から焼肉..さすが最年少ホスト。若さとパワーが違う。

    2005-11-24 23:56:00
  • 401:

    NN

     「あーっ俺も愛ちゃんの指名ほしかったわー」カオルさんは、携帯電話を片手にソファに座る。欲しかったーというわりにあんまり、羨ましくなさそうな気がした。カオルさんの客には愛クラスの上客は少なくない。「カオルさん、なんであの愛って子が太いってわかったんですか?」そういうと、カオルさんは笑った。「カン」は?俺が聞き返す。「古いけど、ビビってきただけやって」笑いながらカオルさんは店を出て行った。アリスに謎の太い客がついた。

    2005-11-24 23:58:00
  • 402:

    NN

    朝の光がまぶしい。夜に仕掛けたトリックが、朝の光の前では丸裸になってしまう気がした。アリスと、愛は焼肉屋に足を踏み入れる。駅の近くには夜のにおいを漂わせた女が2、3人いた。「可愛い、あれどこのホスト?」「カムプリでしょ?前新人特集か何かで見た」「うそうそ可愛い。あれ彼女かな」そんな声が聞こえてきた。「アリス人気者だね。」「えへへ」愛に誉められアリスは照れくさそうに笑った。酔っ払って道路に寝転んでいるホストを見て愛がつぶやく「ホストって大変な仕事なのね。」

    2005-11-25 00:00:00
  • 403:

    NN

    焼肉屋はガラガラで鉄板の音だけがジワジワと音を立てる。アリスは「いただきます」と割り箸を折る。「どうぞ」と、愛が微笑む。愛はその日を皮切りに連続して店に現れた。小さなかばんの中にパンパンにふくらがった札束は、愛の太さを物語っていた。連日連夜の豪遊。ドンペリが音を立てて空き続ける。アリスの成績は右肩上がりだった。「今日も愛ちゃんくるのかよ?」雷さんがアリスの肩を叩く。アリスは現在、第2週目の段階で売り上げNo5になっていた。

    2005-11-25 00:02:00
  • 404:

    NN

    「くるとおもうけど」アリスは無表情で携帯電話をながめる。気がつかないうちにアリスも少しホストの顔になった気がした。「どうしたんだよ、あんまり嬉しくなさそうじゃねぇか。」「うん。」ここまで売り上げが売りあげが伸びれば有頂天になるだろうと予想していたアリスが、売り上げが上がるほど暗くなっている。「何かこれでいいのかなぁって思うんだよね。」アリスはため息をつく。「愛ちゃんどんなお酒を沢山おろしても全然嬉しそうな顔しないんだよ。そりゃあ笑ってくれたりするけど、何か違うってゆうか..」

    2005-11-25 00:03:00
  • 405:

    NN

    ホストとして。アリスが初めて自分の仕事に対して、自分の客に対して向き合おうとしている。今はそっとしておくべきか。雷は悩むアリスを横目に小さくため息をついた。1時半。愛は店内に現れた。そしていきなりドンペリを入れた。さすがの彩人も愛を意識せざるおえなかった。ヤバイ。あれはかなり太い。愛の席ではシャンパンコールが続く。今日は何本あけるんだろうか。

    2005-11-25 00:06:00
  • 406:

    NN

    アリスは「おはよー」といって愛の横に着く。「アリスーおはよ。今日、ラストまでいるからアフターいこうよ。何か食べたいものある?」愛は口にタバコをくわえる。同時にカチッと音をたててアリスはシルバーのライターを向ける。「うーん。特にないなぁー」「お寿司とかは?アリススキそうじゃない」愛は微笑む。この微笑が不自然だとおもったのはいつからだろう。自分にお金を使って酒を飲みに来てくれてるお客さん。そのお客さんに心からの笑顔を向けてもらいたいのに。なんてそんな考え、あの雷の影響なのかな。

    2005-11-25 00:13:00
  • 407:

    NN

    何だか自分がホストだということに物凄く不甲斐なさを感じた。ホストとしてできること。そんなこと本当には一つもないと思った。

    2005-11-25 00:16:00
  • 408:

    名無しさん

    2005-11-25 01:08:00
  • 409:

    マリナ

    ホントぉもしろぃデス?アリス好きだぁ??笑 続き楽しみにしてまぁす?

    2005-11-25 04:34:00
  • 410:

    ?ァム?

    ゥチもァリス派?↑サン気が合ぅッてぉもッて初カンソゥ??ゥチのメィンとカオルチャンが似てるしカオルチャンもスキ???どぅなるんショ…ャッパ心中なんカナ

    2005-11-25 04:42:00
  • 411:

    麻衣子☆ ◆vqwsSGDLQ2

    時間をかけて読ませていただきました?読んでいて、吸い込まれるような文章力ですね?おもしろい?今後も期待します?

    2005-11-25 06:37:00
  • 412:

    名無しさん

    2005-11-25 10:39:00
  • 413:

    名無しさん

    ?

    2005-11-25 10:52:00
  • 414:

    名無しさん

    2005-11-25 12:02:00
  • 415:

    マリナ

    ?アム?さん気が合いますねッ??

    ??ァゲァゲ??

    2005-11-26 01:14:00
  • 416:

    アム?

    まりサン?主ゎ風かホスか

    2005-11-26 06:05:00
  • 417:

    ぬしは

    アクア狂やろワラワラ

    2005-11-26 06:27:00
  • 418:

    ァム

    ブンが切れてたァァあっしゎアリス?

    2005-11-26 06:32:00
  • 419:

    リン?

    ぁたぃわひかるサン大好き?

    2005-11-26 12:37:00
  • 420:

    主です

    明日の深夜ごろ更新します。読んでくれてる方ありがとうございます。寝ます?

    2005-11-26 13:29:00
  • 421:

    名無しさん

    ?

    2005-11-26 15:40:00
  • 422:

    マリナ

    ぁげちゃぅ??

    2005-11-27 01:04:00
  • 423:

    名無しさん

    2005-11-27 07:44:00
  • 424:

    NN

    感想有り難うござします(^^)主はアクア行ったことはないです(^^:)リンさん、マリナさん、麻衣子さん、名無しさん、アムさん、感想ありがとうございます。

    2005-11-27 22:03:00
  • 425:

    NN


      どうせ死ぬなら東京で死にたいと思った 東京で死にたいんじゃない 東京と死にたかった

    2005-11-27 22:09:00
  • 426:

    NN

    昼12時半。アリスと愛はいつものように、繁華街へと向かっていた。夜には全く浮かない派手な金髪にスーツのアリスは、昼間には「ホストだ」と指をさされ、「うわー」という声まで聞こえた。お寿司お寿司―とアリスが微笑むと、愛もほんとアリスって可愛いねとつぶやいた。「アリスはいいホストだよね」「えっ何突然」驚いたアリスは足が止まる。「だって何かホストって感じしないよ。癒されるアロマみたいな。」「マジで?照れるなぁアリスじゃなくて源氏名アロマにすりゃあよかったなぁっ」

    2005-11-27 22:10:00
  • 427:

    NN

    アリスは細い路地裏に入り込み、自動販売の前に座る。愛もつられて横にしゃがみこむ。「アハハ。アハハハ。アリスおもしろいね」愛が口に手を当て大きな声で笑い出す。あまりの声の大きさに周囲の人々は振り返る。「あーーあっ!!」アリスが愛を指差して叫ぶ。「えっ何!」アリスの声に愛が笑いを止める。「愛ちゃん、初めて本当に笑ってくれた気がしたよ、今」「え」「愛ちゃんの本当の笑顔、見れた気がして」

    2005-11-27 22:11:00
  • 428:

    NN

    嬉しかった。やっと見せてくれた愛ちゃんの笑顔が。すごく嬉しかった。アリスはポケットから小銭を取り出し、コーヒーのランプを押す。「あっ愛ちゃんもコーヒーでいい?」「うん。あっあと、あ、あのねアリス..」愛は重たい口を開く。

    2005-11-27 22:12:00
  • 429:

    NN

    「愛?」その瞬間、背後から男が愛の顔を覗き込む。「やっぱりそうだ、愛だ」「タカシ..」一気に愛の顔色が変わる。スーツをピシっと着こなしサラリーマン風の男。短髪の黒髪が、彫りの深い彼の顔を際立たせている。年齢は、24,25だろうか。

    2005-11-27 22:13:00
  • 430:

    NN

    「知り合いなの?」「うん..まぁ」アリスが訪ねると、愛は小さな声でつぶやいた。その様子を見てか、タカシはアリスを上から下までジロジロと見る。「彼氏..?じゃないよな。ホストくんか何か?」タカシはフっと笑いアリスを見る。何だよこいつ人のこと見下すみたいに..男の仕草、言葉、視線、アリスの気に触る。愛は黙ったままだ。

    2005-11-27 22:16:00
  • 431:

    NN

    「まぁ愛なんかいいカモだよな。お前、俺のこと裏切っておいてすぐにホスト遊びか。さすがだな」「ちょっとお前タカシか何か知らないけど、いきなり失礼じゃん!!」食いつくようにアリスがタカシをにらむ。「事実じゃないか。俺はな、2年付き合って愛と結婚する約束までしてたんだよ、2ヶ月前までな。」「結婚..?」アリスは驚いて顔をしかめる。愛は下を向いてうつむいている。

    2005-11-27 22:17:00
  • 432:

    NN

    「お前みたいな馬鹿なホストにはわかんないだろうけどな、こいつ、俺のこと騙してやがったんだよ。」タカシの声が大きくなる。「コソコソ風俗なんかで働きやがって!!こいつはなぁ汚い女なんだよ!!!汚い体しやがって!!俺が会社リストラされて稼ぎがない時、こいつはのうのうと風俗で金作って俺にあげるなんて金渡してくるような汚い女なんだよ。お前いつも俺のこと馬鹿にしてたんだろ!!??風俗で金作って私の方が金もってるみたいな顔してよ」

    2005-11-27 22:18:00
  • 433:

    NN

    何だよこの男 何だよいかれてんじゃないのかよ アリスはふと横目で愛を見た。愛は必死に涙を我慢しようと、目をこすっていた。きっと彼女が笑えなかったのはこの男のせいなんだ。男のために大金ためて、別れて、使う意味がなくなったからホストで流すように使ってるんだ。だとしたらー..

    2005-11-27 22:19:00
  • 434:

    NN

    「そんなの関係ないじゃん!!あんたのこと助けようとして愛ちゃん風俗で働いてたわけじゃん!!風俗やってりゃ体が汚いなんておかしいじゃん!!!風俗で働いて平気な女の子なんていないよ!!あんたのためだから頑張れてたんじゃないのかよ!!」アリスは大声で叫んだ。きっと、多分だ。僕はきっと愛ちゃんの苦しみはわからない。だけど僕は思う。人を否定する資格なんて人間誰もみんな持ってないんだ。

    2005-11-27 22:22:00
  • 435:

    NN

    愛する人を守るため 自分の中の何かを捨てなくちゃいけない時があるはずだ 愛ちゃんはきっとそうだったはず 体を張って この男を守ろうとしたんだ「僕からみたらあんたの方がよっぽど汚いよ。彼女のこんな気持ちもわからにで!愛ちゃんに謝れ!!」「何だよお前!!」タカシのパンチが頬に飛ぶ。「きゃー!!」愛が悲鳴をあげる。「愛ちゃんに謝るまで僕、殴られ続けてもいいよ」「何だよお前頭おかしいんじゃねぇの」

    2005-11-27 22:24:00
  • 436:

    NN

    頭がおかしい それって正しい気がするよ 僕は愛ちゃんにあっておかしくなった 急にどきどきしたり 金だと思ってた気持ちにいつしか金って文字が消えて愛するって気持ちを覚えたんだ ホスト失格なのかな 感情で動いてしまう僕は ホスト失格なのかな だけど 人として 人でいたいから 僕はホスト失格といわれたって構わない だって守りたいものがあるんだから

    2005-11-27 22:26:00
  • 437:

    名無しさん

    しぉり????

    2005-11-27 22:37:00
  • 438:

    名無しさん

    ?しおり?

    2005-11-27 22:39:00
  • 439:

    NN

    477さん 478さん しおりしてくださってありがとうございます(^^)

    2005-11-27 23:25:00
  • 440:

    NN

    「やめて!!やめてタカシ!!」愛はタカシの腕を掴む。タカシはフっと笑った。「まぁせいぜいホストと遊んどくんだな」そういうと、タカシは笑いながら路地から消えていった。すぐに愛は倒れこんだアリスの背中をさする。「大丈夫!!??ねぇ大丈夫、アリス!!」「うん..」そう返事するアリスの唇が切れている。血が流れ出す。愛はカバンからティッシュを取り出す。

    2005-11-27 23:26:00
  • 441:

    NN

    「あたし、あの日カムプリに行ったのは何でだろうって、最近思ったの。同じ職場の女の子にも、ホストに通ったりしてる子はいたわ。だけど、あたしはホストなんか絶対行かないって思ったの。だけど、あの日、タカシやうちの両親やらに、風俗してることがばれて..大騒ぎになって、もう帰ってくるなって勘当されたわ。その日の深夜、行く場所もなくってただフラフラして歩いてたの。もう死んでしまおうかとも思った。その時、そうだ、ホストいこうって思った。無駄なお金なんだし、一気に使い果たそうと思った。どうせホストもそれが狙いなんだしって思ったの。ハッキリ割り切れてるし、気持ちがいいと思ったの。」

    2005-11-27 23:28:00
  • 442:

    NN

    そういうと、愛は小さな声で、つぶやく。「だけど、だけど、アリス、あなたみたいなホストがいったから、あたしは」愛は瞳から涙を流す。ひとつ、またひとつ、愛の頬を伝う。「アリスが最初にあたしにいった言葉が忘れられないの。明日があるから、明日があるってことは明日に希望があるかもしれないってことじゃんっていったよね。その言葉聞いたとき、あたしまだやり直せると思ったの」あふれ出す涙が止まらないように、愛は話し続けた。アリスは、そっか、とつぶやく。

    2005-11-27 23:29:00
  • 443:

    NN

    「何だかね。僕..今まで何かこう、人に何か伝えたりするのって馬鹿らしいって思ってたんだよね。どうせわかってもらえないし、誤解されるくらいなら何も伝えなかったらいいんだって。」「うん、うん」アリスの唇をティッシュで拭きながら、愛はうなずく。「だけど、何かいま、思ったんだ。口に出さないと伝えられない気持ちがあるんだって。僕、愛ちゃんが好きみたい。」「アリス。もう、もういいから..」「泣かないでよ。僕まで悲しくなるんだ。」「違うの、違うの、悲しくないの。私も今知ったの、涙って悲しい時だけに流れるものじゃないんだって。人を好きだっておもったときも流れるものなのね」

    2005-11-27 23:30:00
  • 444:

    NN

    抱きしめたら愛ちゃんの「何か」が伝わってくる気がした。人は抱きしめあうことで、人を感じ人を愛し人を想う。なんてかっこつけた言葉だなと思った。だけど今は愛ちゃんを感じて、愛ちゃんを愛して、愛ちゃんを想ってる自信があるよ。誰よりも、きっと誰よりも。これからも、ずっと。

    2005-11-27 23:31:00
  • 445:

    ?

    雷くんのシーンもよかった?でもアリスのもいい?

    2005-11-27 23:44:00
  • 446:

    名無しさん

    2005-11-28 01:31:00
  • 447:

    マリナ

    ???ヶ゙?ヶ゙??
    ぅゎァ〜ん??ぃぃ話ャァ?胸がキュィーン?ってなるぅ-?ホンマ胸ぅたれるゎぁ??
    涙ゎ人を好きって思った時に流れるっての、めっっっちゃよく分かる??そのとーりです???????

    2005-11-28 05:08:00
  • 448:

    名無しさん

    ?

    2005-11-28 07:02:00
  • 449:

    なきほ

    おひさデス(^O^)すごい良かったよぉ!!頑張ってね

    2005-11-28 10:29:00
  • 450:

    名無しさん

    2005-11-28 10:52:00
  • 451:

    名無しさん

    ?しおり?

    2005-11-28 11:03:00
  • 452:

    名無しさん

    大好き?

    2005-11-29 03:15:00
  • 453:

    名無しさん

    2005-11-30 00:19:00
  • 454:

    NN

    ■舞台は用意されてた 同時に終幕も用意されてた もう この街を振り返ることはしない 二度と まるで打ち上げ花火。その言葉がピッタリだった。カオルさんはTVや雑誌に連日現れた。「カオルー最近、いつにもまして絶好調だな」雷さんが微笑むと「当たり前やん。氷咲カオルはいつでも絶好調や」と笑った。だけどカオルさんはどの雑誌を見ても同じ笑顔で微笑むんだ。他の表情は見せないんだ。それはまるでカオルさんが残した「遺書」みたいだった。微笑むカオルさんはきっと、「氷咲カオルの終わり」を告げていたんだろう。 大きく咲いて、散り際は静かに。誰も気がつかないうちに、静かに夜の空を散っていく。

    2005-11-30 00:19:00
  • 455:

    NN

    俺がどんなに体を痛めても 苦しんでもがいても No1になりたかったのはカオルさんに勝ちたかったから カオルさんを尊敬していた だから、勝ち上がってカオルさんの横に並びたかった カオルさんがいてこその俺のホスト人生だった だから もしカオルさんが消えてしまったのなら 俺は同時に夢を失ってしまうんだ 

    2005-11-30 00:20:00
  • 456:

    NN

    その日、深夜2時に俺は出勤した。いつもと何も変わらないはずだった。バックルームに入ると、雷さんが血相を変えた顔で俺の肩を叩いた。「彩人、カオルから何か連絡とか、なかったよな」「え?ないですけど」俺が驚いた顔をすると、雷さんは小さな声でつぶやいた。「カオル、携帯突然解約したみたいで、繋がらないらしいんだよ。俺も今カオルのお客さんから聞いたんだけど」カオルさんが携帯を解約?「マジですか?」「そうなんだよ。それに今日まだ来てないし、あいつ無断欠勤なんて一度もないのに、何かあったんじゃないかって心配になってさ」

    2005-11-30 00:21:00
  • 457:

    NN

    そりゃあ雷さんが心配する気持ちはわかる。2時といったらカオルさんがもう出勤している時間だし、携帯が解約されてるなんておかしい。俺は自分の携帯からカオルさんに電話をかける。−お客様のおかけになった電話は 現在使われておりません 「本当だ..」俺はモヤモヤした気持ちのまま仕事につく。カオルさんの客が何度も来たけど、雷さんが今日は欠勤してて、と話していた。

    2005-11-30 00:22:00
  • 458:

    NN

    その日の8時過ぎ、店はクローズし店内には酔って寝転んでるホストがたくさんいた。いつもと変わらない朝。ただその中にカオルさんがいないだけ。「今日カオルちゃんどぉしたんだろぉねっ」アリスが俺の顔を覗き込む。「携帯も解約されてるみたいだし、何かあったのかなとは思うけどな」彩人が返事をするとアリスは夜逃げしたとか!と笑った。あのカオルさんが無断欠勤。突然の携帯解約。

    2005-11-30 00:24:00
  • 459:

    NN

    ホストの情報が書かれた携帯サイトを見ると、「カオル携帯解約されてる!」「メールがエラーで返ってくるんだけど、カオル飛んだの?」「飛ぶわけないじゃんあんなに売れてるし今日発売の雑誌もバンバン出てるし」「雷ちゃんが今日は休みってゆってたよ」「でも雷ちゃんどもってなかった?様子おかしいし」と、すでにカオルさんの客が書き込んでいて、大騒ぎになっていた。

    2005-11-30 00:25:00
  • 460:

    NN

    「俺、今からカオルさんちいって様子を見に行くよ」ソファから立ち上がると「彩人、俺も行く」と、雷さんが同時に立ち上がる。歌舞伎町からタクシーで15分。その距離にカオルさんのマンションはある。そういえばストーカーに悩まされてうちに泊まったことがあったけど、カオルさんのマンションに来たのは初めてだった。雷さんも、「今まで1回しか行ったことねぇんだよなぁ。あいつ、秘密主義だから」とタクシーの中でつぶやいた。

    2005-11-30 00:26:00
  • 461:

    NN

    車の中では原田さんが好きなやたらにうるさいヘビロックがかかる。仕事終わりの体にガンガン、ロックの音が耳を責めてくる。原田さんはそれに気がついてか、音を消す。「カオル、会えました?どうなってました?」助手席に座った雷さんが原田さんの顔を見る。すると渋い顔をした原田さんの表情がミラー越しに写る。「いや、それがマンションの部屋、昨日で引き払われてたみたいなんだよ。あの部屋にはカオル、もう住んでないみたいだ。」その言葉を聞いた瞬間、言葉を失った。

    2005-11-30 00:28:00
  • 462:

    NN

    部屋が引き払われて 携帯が解約されて 今日の無断欠勤 これじゃあカオルさんは飛んだみたいじゃないか。動揺する俺と雷さんを横目に、原田さんはつぶやく。「大変なことになったな。No1が飛ぶとなると..」

    2005-11-30 00:29:00
  • 463:

    NN

    俺は家に戻り、今日発売のホスト雑誌を手に取った。カオルさん。一体どうしたっていうんだ。何でこんな突然消えたりするんだ。俺はその日、カオルさんが載った雑誌を全部読み返して、カオルさんの歴史をたどったけど、答えに辿り着くことはできなかった。

    2005-11-30 00:32:00
  • 464:

    名無しさん

    ?しおり?

    2005-11-30 00:45:00
  • 465:

    名無しさん

    めっちゃ気になる?

    2005-11-30 01:00:00
  • 466:

    マリナ

    主サンいつもご苦労様デス?

    ってか続きがスゴィ気になる???気になりスギて今日ゎ寝れなぃょぉ???もぅすぐ完結かぁ…。淋しぃ気がスル?でも頑張って下さぃ???

    2005-11-30 03:48:00
  • 467:

    名無しさん

    2005-11-30 07:05:00
  • 468:

    名無しさん

    2005-11-30 07:49:00
  • 469:

    名無しさん

    ?あげ?

    2005-11-30 23:07:00
  • 470:

    名無しさん

    ?しおり?

    2005-11-30 23:47:00
  • 471:

    名無しさん

    風俗やって平気な子なんていない あんたのためだから 頑張れたんだよ 誰かのために何か捨てなきゃいけないときがある ありすのことばすごい感動しました。

    2005-12-01 02:56:00
  • 472:

    名無しさん

    2005-12-01 04:10:00
  • 473:

    名無しさん

    ?

    2005-12-02 00:06:00
  • 474:

    NN

    感想ありがとうございます。なかなか更新できなくってごめんなさい(^-^:)読んでいただいていることが励みになります!!ありがとうございます!!

    2005-12-02 00:41:00
  • 475:

    NN

    ■カオルさんが去って1週間がたった。店内は以前の活気がなくなり、空席が目立つ日が増えた。同時に「無責任だ」と腹を立てながら、心配した表情を繰り返す雷さんに、ずっと無表情を続ける原田さん。何だか店が音を立てて傾いている気がした。だからこそNo2ががんばらなくては そう思うのが普通だ。だけど俺は放心状態だった。

    2005-12-02 00:42:00
  • 476:

    NN

    「ヤク中になったみたい」「オンナと心中した」「不治の病で入院した」「原宿で10キロぐらいやせたカオルを見た」「ノイローゼみたいになってた」ネットの掲示板には色々な書き込みが分単位で更新されていたけど、真実は闇に葬られたままだった。カオルさんがいなくなり、2週目を迎えた頃、カオルは飛びました、といわんばかりにカオルさん客のみメインチェンジが可能になった。

    2005-12-02 00:43:00
  • 477:

    NN

    「カオルちゃんのパネル、はずすらしいよ。」アリスが俺のスーツのすそを引っ張る。「え」俺が入口近くのパネルに顔を向けると、原田さんがカオルさんのパネルをはずしていた。パネルの中で微笑むカオルさんが、この店に別れを告げている気がした。「彩人、お前が今日からNo1だ」カオルさんのパネルを片手に持った原田さんが、俺の肩を叩く。肩を叩かれた瞬間、ズシンと重く何かが俺にのしかかる。

    2005-12-02 00:44:00
  • 478:

    NN

    何でだよ 俺はずっとNo1になりたかったんだ 願ってもない夢 やっと叶ったんじゃないかやっとNo1だよ やっと夢見た No1になれたんだよ ちっとも嬉しくないNo1になったんだ「カオルさん、勝ち逃げしやがって..」何だよ、こんなNo1なんてちっとも嬉しくない。俺は何のために今まで頑張ってきたんだよ。カオルさん、遠くから見てるなら何かゆえよ。俺がNo1やっていって、ただいまっていって帰ってきてくれよ。

    2005-12-02 00:45:00
  • 479:

    NN

    カオルさんは、まるでそこにカオルさんが最初からいなかったかのように、忽然と姿を消した。氷咲カオルという人間は本当に居たのか? 氷咲カオルというホスト自体、この歌舞伎町が生んだ夢物語に思えた。

    2005-12-02 00:47:00
  • 480:

    NN

    「カオルさん抜け」から、店は一気に従業員を増やし、活気を取り戻そうとしていた。だけど、俺はNo1になってからやる気を全く失った。実際No1の俺とNo2のリョウタとの売り上げの差は3倍以上あって、誰も後ろから追いかけてこない、誰も追い越す人がいない。月の前半に今月の目標売り上げを稼いで、あとは適当にダラダラ営業、という日が続いた。

    2005-12-02 00:48:00
  • 481:

    NN

    「また彩人は無断欠勤か」雷はバックルームで、出勤表を見ながらため息をつく。「だって彩さんもう売り上げ達成してるじゃん!先月だって何だかんだで手取り500万近くとってるんだし、やることやってるんだしさぼったっていいじゃん!」イライラする雷を横目にアリスは大きなあくびをする。「お前なぁー…。やっぱりカオルがいなくなって一番衝撃をくらったのは彩人だよ。あいつカオルがいた時はあんな熱心に毎日体ひきずってまできたじゃねぇか?それが今は二日酔いが残ればこない、シャンパンが空いても自ら飲まないでヘルプと新人に飲ませる。あいつはやる気がない」ため息ばかりが溢れる。客足は戻ってきたが、彩人のやる気は一向に戻ってこない。

    2005-12-02 00:48:00
  • 482:

    NN

    「しょーがないじゃん、彩ちゃんはカオルちゃんに片思いしてたんだからさぁ」「片思いって..アリス、お前気持ち悪いこというなよ。俺らは仕事してんだよ。恋愛とは違う。」そういうと雷は、ポケットから胃腸薬を取り出す。そしてコップの水をグイっと飲み干す「仕事も恋愛も根っこは一緒だよ。どれだけ一生懸命になれる相手がいるかいないか。それで変わるんじゃない?」「アリスー、指名だー」店内から声が聞こえる。「はーい!雷、あんま考えるとはげるよ!」そういうとアリスは、席に急いで走っていく。

    2005-12-02 00:49:00
  • 483:

    NN

    何だあいつも結構大人になったじゃねぇか。雷は心の中でつぶやく。あいつが俺の教えた新人で一番、俺に似てるのかもしれない。仕事も恋愛も根っこは一緒 どれだけ真剣になれる相手がいるか、いないか それで変わる確かにな。お前のいうことも一理あるよ。

    2005-12-02 00:50:00
  • 484:

    名無しさん

    ?

    2005-12-02 01:24:00
  • 485:

    名無しさん

    心中て何??

    2005-12-02 01:28:00
  • 486:

    名無しさん

    2005-12-02 03:29:00
  • 487:

    マリナ

    更新待ってました??

    続きガめちゃ気になる??カォル???ァリス???笑

    2005-12-02 04:44:00
  • 488:

    名無しさん

    2005-12-02 04:48:00
  • 489:

    名無しさん

    2005-12-02 07:18:00
  • 490:

    名無しさん

    心中とは
    複数の人間が共に自殺すること。ある仕事や団体などと運命を共にすること。情死

    2005-12-02 11:06:00
  • 491:

    名無しさん

    心中もしらんの‥?

    2005-12-02 11:44:00
  • 492:

    名無しさん

    ?

    2005-12-02 14:50:00
  • 493:

    名無しさん

    >>332ぁりがと??
    >>333ぁほゃねン?ごめぇ?んねッ??

    2005-12-02 18:21:00
  • 494:

    名無しさん

    間違えた??
    >>532あリまと?ワラ
    >>533あぽリたンやねン?ごめんちぃ???

    2005-12-02 18:23:00
  • 495:

    これ

    おもろいけど暗い、、、、読むと病む小説いちばん

    2005-12-03 04:19:00
  • 496:

    名無しさん

    2005-12-03 08:01:00
  • 497:

    名無しさん

    カニなる

    2005-12-03 08:17:00
  • 498:

    マリナ

    ぁげっ?

    2005-12-04 02:04:00
  • 499:

    名無しさん

    ?

    2005-12-04 04:17:00
  • 500:

    名無しさん

    2005-12-04 06:52:00
  • 501:

    NN

    ★読んでくださってありがとうございます★

    2005-12-05 00:00:00
  • 502:

    NN

    ■ここは東京なんだろうか?そんな錯覚を一瞬覚えた。あのネオンの強い光もない。すれ違う酔っ払いや、客引きをする黒服の姿もない。夜になれば店のシャッターが下りておやすみなさいと、風が背中を押す。この小さな商店街は何だか地元を思い出すあったかい匂いがする。「おっちゃーん、これ、まけて?バナナとーリンゴとー、苺とー買うから、300円まけてーな。」フラっと現れた男は、関西弁を話した。斜めに流れる黒髪の前髪が、男の表情を隠しているように見える。

    2005-12-05 00:01:00
  • 503:

    NN

    「300円かぁーうーんどうしようかな。お兄さん関西弁だねぇ?」八百屋のオヤジが男に笑いかける。「関西の子やねん。っていっても、でてきてだいぶたつけど」「そうなんだ。仕事でも探しにきたの?」オヤジは、袋にバナナとリンゴ、そして苺を詰める。「うんそうやねん。今はカメラマンの卵」男はオヤジから果物の入った袋を受け取ると微笑む。「ん?お兄さんどこかで見たことあるね」オヤジが男を見ると、男はまた笑った。「気のせいちゃいます?」そういうと「まけてくれてありがとうなぁまたくるわー」と大きく手を振り店を後にした。

    2005-12-05 00:04:00
  • 504:

    NN


    手に入れたいものがあった たとえ 今を失っても
    手に入れたいものがあった たとえ 過去を失っても

    2005-12-05 00:05:00
  • 505:

    NN

    ■土曜の深夜2時。歌舞伎町にタクシーを止め、俺は店の前に立った。今日も仕事が始まる。俺は大きくため息をついて携帯を見る。12日か。カオルさんが消えて1ヶ月がたつ。カオルさんの情報はいまだナシ。死んだーなんて話も出てきてる。あの人は今何処で何をしているんだろうか

    2005-12-05 00:06:00
  • 506:

    NN

    遅刻だと怒る雷さんを目に店内を突っ切って客の待つテーブルへつく。正直もうどうだっていい。今もしNo1から転落したって勝ちあがろうなんて思わない。俺の適当な仕事ぶりに限界がきたのか、雷さんはかなりイライラしているようだ。「彩ちゃんやる気だしてよね。雷に八つ当たりされて困るんだよー」と、アリスが俺の横でつぶやいた。

    2005-12-05 00:09:00
  • 507:

    NN

    「大丈夫だよ。その八つ当たりもすぐなくなる。」俺がそういうと、アリスが「え?」と聞き返す。「今月で、俺、ホスト辞める予定」「ええええっ!!」アリスが大声で叫ぶ。バックルームに響くアリスの声を横に、俺はタバコに火をつける。「辞めるってねぇどうしてっ??」驚いた顔のままアリスは俺の顔をのぞきこむ。タバコの煙が広がる。俺はフウ、とケムリを吐き出す。「もうNo1にもなったし。目標達成、みたいな」「目標達成のわりに、嬉しそうな顔してないじゃん。」ピルル、と、アリスの携帯が鳴る。メールが受信した音のようだ。うっるさいなぁと電話を片手にアリスはつぶやき携帯をマナーモードにする。

    2005-12-05 00:13:00
  • 508:

    NN

    「確かに何かカオルさんがいない店内でNo1になったって全然、うれしくないな」「辞めなくたっていいじゃん!またがんばろうよ」まさかアリスに励まされる日が来るとは思わなかった。アリスも入店して半年、だいぶ人間として成長したみたいだ。「もう頑張る理由がないからさ。ダラダラ続けるんなら、辞めるよ。」そういうと、俺は重い腰を持ち上げ、タバコを灰皿に押し付ける。「ねぇ彩くん。本当に後悔しないの?」暗い表情をしたアリスが俺を見る。「俺も自分が何したいかわかんないんだ」

    2005-12-05 00:18:00
  • 509:

    名無しさん

    ?

    2005-12-05 03:29:00
  • 510:

    さぁ

    めちゃくちゃおもろーぃ?

    2005-12-05 03:41:00
  • 511:

    名無しさん

    2005-12-05 03:46:00
  • 512:

    ???????

    しおりん????

    2005-12-05 04:08:00
  • 513:

    名無しさん

    2005-12-05 04:37:00
  • 514:

    名無しさん

    500

    2005-12-05 05:04:00
  • 515:

    NN

    感想ありがとうございます☆

    2005-12-05 21:15:00
  • 516:

    NN

    ■俺も自分が何したいかわかんないんだ。そういって俺は、一年間戦った「戦場」に別れを告げようとしていた。ホストを辞めてどうしようか。今は何も考えてない。ただカオルさんへの怒りが消えることはなかった。ここ最近はTVや雑誌に店が取り上げられてか新人ラッシュが続いている。今日もまた1人、新人ホストがカムプリの扉を叩いた。

    2005-12-05 21:17:00
  • 517:

    NN

    「新人を紹介しますー」見慣れた光景だ。1人のホストが席を立つ。大きな瞳にバランスの整った口元。全体的にパーツがはっきりしていて、健康的な肌色が映える。身長は180前後で、顔も小さく、顔、スタイル共に全体的なバランスもとれている。「初めまして。今日から入ったリョウです。18です。」栗色の髪の毛を揺らし一礼するとリョウは席に座る。パチ、パチ、と拍手が店に響く。18歳か、アリスと同じ歳じゃん、まぁ入店も同期みたいなもんだろ、と従業員のホストがつぶやくと「僕の方が半年も先輩だよ」とアリスは怒った口調でつぶやいた。

    2005-12-05 21:18:00
  • 518:

    NN

    俺はその様子をボケっと見ていた。もうどうでもいいんだ、どうでも。「どいだ、久々のヒットだろ?」原田さんが俺の肩を叩く。「ですね」短く返事をする。「どうしたんだよ。あいつはお前をおびやかす存在になるぞ、きっと」そんなことをいわれたって。

    2005-12-05 21:22:00
  • 519:

    NN

    「いらっしゃいませ、はじめまして、リョウです」ワイルドなルックスに新人ホストがもつ初々しさ。そのギャップがウけ、リョウはあっという的な存在感を放った。店はカオル、彩人以来の大型新人として、ロングインタビューに3ページのグラビアを、ホスト雑誌に掲載し、リョウの売り出しを盛大に行った。アリスデビューの際にも店はリョウ並みに広告を打ち雑誌にも出した。かわいい!と反響は強かったものの、アリスの刺々しい性格にファンがつかなかった。

    2005-12-05 21:23:00
  • 520:

    NN

    しかしリョウは店の期待に答えるかのようにあっという間にその月の新人売り上げNo1に躍り出た。2ヶ月前に18歳になったばかりというリョウは、2日目には3組も客を呼んだ。新人にしては上出来すぎる結果だ。即売れっ子になった新人リョウだったが、天狗になることはなかった。誰よりも早く出勤しては、夜の街頭に立ちキャッチを始め、新規客を掴む。新人ホストの鏡のような行動だ。

    2005-12-05 21:26:00
  • 521:

    NN

    「すげぇなリョウ。最近、新規の客あいつに流れるもんなぁ」「来月はナンバー入りなんじゃねぇ?」控え室では連日リョウの快進撃話で持ちきりだった。その裏でリョウを妬むホストも少なくはなかった。「異様だよな。枕でもしまくってんじゃねぇの。」「おい」雷さんの低い声が響く。「冗談だよ」ホストは笑って煙草に火をつける。「冗談でも口に出していうな。従業員同士で根も葉もない噂作って潰し合いをしだしたら終わりだ」その通りだ。俺は雷さんの横で小さくうなずく。嫉妬する時間なんて必要はない。

    2005-12-05 21:28:00
  • 522:

    NN

    「お前がんばってるな」彩人が控え室で髪の毛をセットするリョウに声をかける。リョウは笑顔で「はい!ありがとうございます!」と答えた。「俺、彩人さんに憧れてホストになったんです。」俺は動きが止まる。「俺にあこがれて?」「はい!」リョウは俺の目をまっすぐ見る。

    2005-12-05 21:31:00
  • 523:

    NN

    「俺、昔、歌舞伎町通りかかったとき、女の人に必死に声かけて頑張ってた彩人さん、何度も見たんです。かっこいい人だなと思ってて。彩人さんキャッチしてる時、女の子に無視され続けても、ウザがられても絶対あきらめない。すごいって思ったんです。それでホスト雑誌見て調べてこの店にきたんです。やっぱりNo1だったんですね。すごいですよね!」キャッチか..確かに新人時代、一番めげそうになった仕事だ。だけど続けた。毎晩毎晩、女の子に声をかけてどんな答えが返ってきても、絶対にめげなかった。それはきっとNo1になりたかったから。

    2005-12-05 21:32:00
  • 524:

    NN

    「No1っていってもカオルさんが抜けたから、繰り上がりしたんだよ。補欠合格みたいなもん。実力でも何でもないよ」俺が苦笑いをすると、リョウは真剣な顔つきになった。そして、俺につぶやく。「でも事実、今はNo1は彩人さんじゃないですか。いつかもし、偶然カオルさんに会ったとき、No1ですって胸はれる仕事してるなら、綾人さんがNo1に変わりないんですから」

    2005-12-05 21:33:00
  • 525:

    NN

    その瞬間、体中に電流が走った。。いつかもし、偶然カオルさんに会ったとき、No1ですって胸はれる仕事してるなら、俺がNo1に変わりない..その通りだった。だけど今。仕事は適当、前半に売り上げをあげてあとは遅刻、無断欠勤、営業手抜き。そんな今の俺の姿がNo1っていえるのだろうか。カオルさんにもしも偶然であった時、俺は「今おれがNo1です」と胸を張っていえるのだろうか。「えっすみません生意気いって」リョウが頭を下げる。「いや、いいんだ」

    2005-12-05 21:35:00
  • 526:

    NN

    そうだ 俺は何をしてるんだ なにをしてたんだ No1は今、俺なんだ もうカオルさんの背中を追いかけない 俺は追いかけられる立場として 戦うんだ
    いつまでも過去に甘えるな 俺は俺の体で No1に誇りを持って守り続けるんだ

    2005-12-05 21:36:00
  • 527:

    名無しさん

    http://dogbre.jp/f.php?9943900cf6070795.18149804

    2005-12-05 21:39:00
  • 528:

    NN

    一年後。

    2005-12-05 21:55:00
  • 529:

    NN

    カムプリは歌舞伎町でも有数のホストクラブとされ、テレビや雑誌に頻繁に掲載された。「No1彩人」「No2リョウ」「No3雷」と、「パネルの位置はあんまり変動がないな」と原田さんは笑ったけど、リョウの毎月追い上げも激しく、危ない思いも何度かした。「ちょっとちょっとー最近、綾人うるおってるけど、なに?女できたの??」アンジュの笑声が俺の横で響く。そうだな。あの時、見えなかったものが今になったらうっすらとわかるよ。客を捨てゴマとしか思ってなかったあの日。きっと俺は客に何も見せなかったんだ。今なら苦しいときは苦しいっていうよ。嬉しいときは嬉しいっていうよ。カッコイイだけの男より、人間らしい男になりたいんだ。そう、俺は男だし、ホストだし、だけどそれ以前に人間なんだから。

    2005-12-05 21:58:00
  • 530:

    NN

    「入店一年と半年で、やーっとNo4だぁ!!うわーっ嬉しい!!」アリスが給料明細を見て声をあげる。「愛ちゃーん今日給料日なんだよねっなに食べたいっ?あっあとNo4になったんだ僕!」アリスが笑顔で携帯を片手に話す。愛とは順調で、2人は半年前同棲を始めた。「あいつも立派になって。あと少しわがままがなおればいいんだがなぁー」と、雷さんが笑う。「雷は年々ジジイに近づいてるよね」「うるせーっ!!」相変わらず2人はよく喧嘩をするけど、本当の兄弟みたいに仲がいいのも事実だ。

    2005-12-05 22:01:00
  • 531:

    名無しさん

    ?

    2005-12-05 22:07:00
  • 532:

    NN

    。「騒がしいな」東吾は無表情だけど、最近はホスト業に本腰を入れてがんばってる。相変わらずわけのわからない奴だけど、大事な戦友だ。「来月こそNo1になりますから!覚悟してくださいね」毎月そう宣告するリョウは、本当にいいホストになった。努力することを怠らない。その姿は新人の頃から全く変わらない。

    2005-12-05 22:08:00
  • 533:

    NN

    きっとこんな世界が永遠に続くんだと思ってた。終わりを予感させず、その日は突然、俺の目の前にやってきた。

    2005-12-05 22:09:00
  • 534:

    NN

    昨日の酒がまだ体に残ってる。今日はどれだけ頑張れるかな。ーあ、薬を飲まなくちゃいけなかった。俺は急いで、タバコを灰皿に押し付ける。そしてポケットから薬を取り出す。これは俺にとっての「救い」だ。「それ、薬か?」『薬』に東吾が興味を示す。そして顔を近づけ、俺が手に持つ薬をまじまじと見つめる。「医者に処方してもらったんだ。これで、体が少しはマシになるんだ。気持ちだけだけど。」

    2005-12-05 22:12:00
  • 535:

    NN

    そういったものの、薬はやっぱり、気持ちにしかすぎない。その日も体が悲鳴をあげた。だけど、悲鳴をあげたのがいつもより早すぎた。OPENして、1時間半だった。5万円のシャンパンを二口、口にした瞬間。俺は客に「ちょっとごめん」と声をかけ、席を立った。俺のカバーには、雷さんが回ってくれた。席を立つ瞬間、雷さんは無言で「無理するな」と言わんばかりに、背中を軽く叩かれる。その横で、カオルさんの元客で、今はリョウの客・ユキさんが、13万のシャンパンを空け、毎度おなじみの派手なシャンパンコールがかかる。

    2005-12-05 22:14:00
  • 536:

    NN

    「ユキちゃんに感謝して。リョウ、いただきます!」と、リョウの声が響いた。リョウの声で、俺の中にある「焦り」がまた目を覚ます。どうして俺の体はこうなんだ。何度もそう繰り返すしかなかった。俺は逃げるようにしてトイレへ急いだ。トイレのドアを勢いよくあけると、その瞬間にドアも閉めずに吐く。何度も、何度も吐く。

    2005-12-05 22:16:00
  • 537:

    NN

    どうしてだろう。昔から酒には弱かった。だけどカオルさんがいなくなったあとぐらいから、もっと酒に対して体が敏感になってるんだ。日に日に体が酒に弱くなっていってる気がする。このままじゃダメだ。今が大切な時期なのに。今が。いや、これからが。ある程度嘔吐を終えると、俺は5分程だろうか、トイレの前から動けなくなった。

    2005-12-05 22:17:00
  • 538:

    NN

    「仕事、辞めなさい。もう体限界だろう」通ってる医者に何度か言われた。そして昨日、最終宣告された。「死ぬよ」って。この仕事以外何もいらないんだ 神様 もしあんたがいるのなら お願いだこの仕事を俺から奪わないでくれないか 何もいらないんだ この仕事以外。死ぬなら歌舞伎町で死ぬ。1人で死ぬのは寂しいな。だけど、まぁ、気楽かもね、1人の方が。今までたくさん女を騙してきたツケだね。

    2005-12-05 22:20:00
  • 539:

    NN

    俺は重い腰を上げる。限界まで、勝ち続けるんだ。それがNo1の使命だって思うから。この店と、この東京で、歌舞伎町って街で、心中してやる。

    2005-12-05 22:21:00
  • 540:

    名無しさん

    終わり?

    2005-12-05 23:06:00
  • 541:

    マリナ

    更新されてる??

    ってか既に泣けましたァ?文ぅますぎ切なすぎ?
    あと少しカナ?
    頑張って下さい???

    2005-12-06 00:45:00
  • 542:

    名無しさん

    2005-12-06 01:45:00
  • 543:

    名無しさん

    2005-12-06 01:46:00
  • 544:

    名無しさん

    ?

    2005-12-06 03:01:00
  • 545:

    みさとチン

    あげぇ?

    2005-12-06 03:21:00
  • 546:

    マリナ

    ?ぁげまぁーす?

    2005-12-07 04:09:00
  • 547:

    ??????????

    しおりん??

    2005-12-07 04:28:00
  • 548:

    名無しさん

    2005-12-07 14:40:00
  • 549:

    名無しさん

    2005-12-07 15:05:00
  • 550:

    名無しさん

    ?

    2005-12-07 16:37:00
  • 551:

    NN

    感想たくさんありがとうございます!!まとめてくださってる方、いつもありがとうございます。マリナさんいつも本当にありがとうございます、みさとさんあげてくれてありがとうございます、590さんしおりしてもらって嬉しいです、593さんありがとうございます。もうすぐ終了と書いたんですが最後がなかなかうまくまとまらなくて(^^:)もう少しお付き合いしてください。

    2005-12-07 17:00:00
  • 552:

    NN

    ■戦うことに疲れた だけど 逃げ出すことだけは嫌だった どうせなら ここで戦死することを選ぶ

    2005-12-07 17:01:00
  • 553:

    NN

    その日は、深夜から大雨で、日付が変わる夕方まで振り続けた。ついに、死刑宣告をされた。「医者としてお願いする。仕事、辞めてくれ」そう担当医師に言われた。店の人間には、誰一人として相談してない。話したってどうにもならないこと。今俺が店を辞めたら。どうなるんだろう。カオルさんの時と同じで、初めは色々大変なんだろうけど、結局どうにかなるんだろう。人間誰しも代わりはいるんだな。そう思うと妙にやるせなかった。ホストを辞める。今、辞めたら俺はどうなってしまうんだろう?ボケっと俺は傘を片手に信号を待つ。ホスト辞めた後は、見えない。何も見えない。未来がない。生き詰るくらいなら、いっそあの店と心中だ。俺が生きてきたあの店と。

    2005-12-07 17:02:00
  • 554:

    NN

    携帯電話が鳴る。俺はメールを開ける。「彩さん今日の新規ゲット(^^)彩さんの言う通りにしたらバッチリだった!初指名ですごく嬉しい!これからも色々教えて下さい!」メールはゴロウからだった。一週間前に入った新人だ。俺は雷さんに続き、新人指導までするようになっていた。店長補佐のポジションにまで昇格した。俺が今へたってる場合じゃないんだ。新人も教えたい。店の中でも戦っていたい。なのにー..。

    2005-12-07 17:03:00
  • 555:

    NN

    時計は昼の12時半。家に帰ったらすぐ寝よう。雨が強くなってる気がした。俺は、病院の前にある信号を渡ると、小さな白いアパートの前を通る。タクシーをつかまえよう。その瞬間だった。「今日スーパー何が安いやろうなぁー」アパートから、聞きなれた懐かしい声が聞こえた。不意に振り返る。忘れるはずがない。この声は。

    2005-12-07 17:04:00
  • 556:

    NN

    「カオルさん!!」俺は声をあげる。指名手配犯を見つけるってこんな気持ちなんだろうか。「あーあー!!彩人やん!」カオルさんは、以前のNo1オーラが完全に消えていた。汚いGパンに、ねずみ色のTシャツ。髪の毛は真っ黒で、無造作に伸びている。首からは相当年季が入ってるだろう、サビってるカメラ。俺は一瞬、目を疑った。

    2005-12-07 17:05:00
  • 557:

    NN

    「いやいや、久しぶりやなぁ」だけど近くで見ると、整った綺麗な顔は相変わらずで、笑うと八重歯がチラっと見えた。カオルさんの横には女がいた。腰まである黒い髪の毛、白いブラウスに薄ピンクのスカート。かわいらしい人だ。カオルさんの彼女なんだろうか。カオルさんの腕をつかんでいる。俺は、一瞬あっけにとられたけど、すぐに「久しぶりって..そんな。カオルさん、何してるんですか!」と、声をあげた。

    2005-12-07 17:06:00
  • 558:

    名無しさん

    2005-12-07 17:07:00
  • 559:

    NN

    「いやぁ何ゆわれると困るねんけどなぁ」一年ぶりの再会。突然姿を消したカオルさんが今、俺の目の前にいる。あの頃と変わらない喋り方で、そして、あの頃の笑顔のままで。言いたいことがたくさんあるんだ。聞きたいこともたくさんあるんだ。「彩人、時間ある?話、するか?」俺の様子を察してかカオルさんが微笑む。「はい。」そういうと、カオルさんは「ちょい待って、花、部屋まで戻すし」そういうと、カオルさんは、腕を組んでいた女の人の手を取り、アパートの部屋まで引っ張る。

    2005-12-07 17:08:00
  • 560:

    NN

    「ごめんなさいね、ちょっとだけ待ってやってくださいね」女の人は小さくつぶやく。可愛い声だ。俺は「はい」とつぶやく。あの女の人..目が見えないのか?俺は遠くからその様子を見ていた。カオルさんに寄り添うように、花さんは、部屋に戻っていく。1階の102号室。ここがカオルさんの今の部屋..カオルさんが消えたあの日、雷さんと訪れたあのマンションと比べると、大きさは比べ物にならなかった。あんなきらびやかな世界にいた人が今..こんな小さいアパートで..。俺は傘を握り締める。

    2005-12-07 17:08:00
  • 561:

    NN

    「ごーめん、ごーめん、待たせた待たせた。」カオルさんが笑う。すると部屋のドアが開く。「いいじゃないの、部屋にあがってもらえば」花さんがそういうと「それもそうやなー」といって、カオルさんは「入り!」と俺を部屋に入れた。玄関にはカオルさんの汚いスニーカーが3足、そして花さんのものであろう明るい色のパンプスが並んでいた。花さんは、「ゆっくりしていってくださいね」といってソファに寝転び、俺に背を向けた。

    2005-12-07 17:10:00
  • 562:

    NN

    「まぁ茶でも飲んで」カオルさんがコップを出す。何から話したらいいのかわからなかった。部屋は綺麗にされていたけど、これが元No1の今の部屋だと思うと..。

    2005-12-07 17:11:00
  • 563:

    NN

    「あん時はごめんな。」話をきりだしたのはカオルさんだった。「いえ。突然いなくなっちゃったから心配しましたけど、雷さんなんて特に」「やなぁ。雷はなぁーうん、何か連絡しずらくて1年たったゆう感じやねんけど」カオルさんは真剣な顔でつぶやいた。「何で突然消えたんですか」俺の声が雨の音に重なり合う。

    2005-12-07 17:12:00
  • 564:

    NN

    「ずっと整理しててん。自分の中で。誕生日終わったころに、もう、来年はここにはおらんやろうって思ってた。やりたいことがやっと明確になってん。ホストは、あがろうって思った。お客さんにさよならはいいたかってんけど、変に混乱するんやったらサクっと消えた方がええかなと思って。」何だかすごくカオルさんらしいと思った。派手に打ちあがった後は、静かに、まるで何もなかったみたいに身を消す。

    2005-12-07 17:13:00
  • 565:

    NN

    「今はカメラマンしとるねん。っていっても駆け出しのペーペーやけど。東京に出てきた目的も写真で飯食いたかったから。でも、ホストなってくうちに、何やろ、自分が誰かわからんくなった。」「え?」俺は聞き返す。「俺、本名が田村薫っていうねん」「そうなんですか」初耳だった。「有名なってくうちに、どんどんみんな氷咲カオルが好きゆうてくれてた。だけど俺は田村薫。俺なんかいらんやん。誰も俺を知りたい思ってない。雑誌出てもこれはほんまに俺なん?って思ってた」

    2005-12-07 17:14:00
  • 566:

    NN

    カオルさんは続けた。ホストを辞めて、今、田村薫でいることが今、すごく幸せに思う、と続けた。俺はその話を黙ってずっと聞いていた。「花はな、目、みえんねん。やけど俺の写真見て、いってん。素敵な写真撮るのね、あなたって。私、目が見えないんだけど、あなたの写真、わかる。優しい匂いがするのって。そういわれたとき、俺は氷咲カオルが抜けたんやと思った。田村薫が今、ちゃんと自分の写真の中に存在してるんやって思ってん」

    2005-12-07 17:16:00
  • 567:

    NN

    本当だ。何だか全くの別人みたいだ。俺はカオルさんの話が納得できなかった。夜の世界で輝き続けたカオルさん。そのカオルさんが今、小さいアパートで幸せですーっていくら俺にいったって説得力がない。美しい恋愛物語ですね。そういうべきなのか?俺には今のカオルさんの姿が許せなかった。

    2005-12-07 17:17:00
  • 568:

    NN

    「カオルさん、俺、今日、医者に死刑宣告されたんです。これ以上ホスト続けるなら、命の保証できないからやめてくれって。」俺が憧れ続けたカオルさんが、今こんな暮らしをしてる。競争心、闘争心、それらを失ったカオルさんには、もう何も憧れない。

    2005-12-07 17:18:00
  • 569:

    NN

    「俺あのころ、カオルさんに死ぬほど憧れてました。今、正直カオルさんに会って話しをしたこと、後悔してる。あのころのきらびやかなままのカオルさんを記憶にとどめとけばよかったんだ。カオルさんは諦めただけなんだ。戦うのが嫌になって逃げたんじゃないか!」強くそういうと、俺は玄関まで歩く。

    2005-12-07 17:20:00
  • 570:

    NN

    「彩人、あんな」「俺は死ぬまでホスト、やりますから。俺、逃げませんから!逃げるくらいならあの店で死にます」何か言おうとしたカオルさんをさえぎった俺は、走ってアパートを後にした。

    2005-12-07 17:22:00
  • 571:

    NN

    雨は止む事を知らず地面を打ち続ける。No1。飲めば一気、話せば爆笑、笑えば惹きつけられ..ホストが憧れる要素を全てかねそろえて誰よりも歌舞伎町で輝いていたカオルさんが..。
    俺にはわからなかった。あの人が選んだ新しい道が。理解できなかった。

    2005-12-07 17:23:00
  • 572:

    名無しさん

    2005-12-07 18:22:00
  • 573:

    花子

    しおり?

    2005-12-07 20:26:00
  • 574:

    ??????????

    しおりん??????

    2005-12-07 20:45:00
  • 575:

    名無しさん

    http://choco2.jp/i.php?id=tptw

    2005-12-07 21:25:00
  • 576:

    名無しさん

    2005-12-07 21:44:00
  • 577:

    名無しさん

    2005-12-07 23:07:00
  • 578:

    アム

    彼氏がハマりまくりデス?

    2005-12-08 01:21:00
  • 579:

    名無しさん

    2005-12-08 03:01:00
  • 580:

    名無しさん

    ?

    2005-12-08 03:07:00
  • 581:

    風嬢

    ダイスキです。 泣けてきました。 薫クンの幸せに疑問をもつァャトがリァルです。

    2005-12-08 03:10:00
  • 582:

    マリナ

    まだもぅちょっと続くんだぁ?ゃったッ?笑
    焦らずにマィペースで頑張って?サィ???

    2005-12-08 16:03:00
  • 583:

    名無しさん

    2005-12-08 16:48:00
  • 584:

    なきほ

    後少し頑張ってね(^_-)-☆

    2005-12-08 17:16:00
  • 585:

    名無しさん

    ?

    2005-12-08 22:01:00
  • 586:

    名無しさん

    ?

    2005-12-09 02:50:00
  • 587:

    名無しさん

    2005-12-09 03:13:00
  • 588:

    名無しさん

    頑張って

    2005-12-09 06:07:00
  • 589:

    マリナ

    ?

    2005-12-09 11:12:00
  • 590:

    マリナ

    あげます?

    2005-12-10 04:40:00
  • 591:

    主です

    たくさんの感想&ご感想ありがとうございます 更新&いただいた感想のお返事は明日の夕方を予定しております 遅くてすみません

    2005-12-10 04:52:00
  • 592:

    主です

    すみません脱字 脱字→感想&ご感想

    2005-12-10 04:55:00
  • 593:

    名無しさん

    2005-12-10 11:28:00
  • 594:

    名無しさん

    2005-12-10 11:29:00
  • 595:

    名無しさん

    2005-12-10 11:30:00
  • 596:

    NN

    感想たくさんありがとうございます。あと少し、あと少しといってなかなかまとまらずダラダラしてすみません..。。

    2005-12-10 16:26:00
  • 597:

    NN

    ■体は限界だった。このまま続ければ命は..。彩人がいなくなった部屋で、ソファから起き上がり花がつぶやく。「カオル、今日の人、ホストの時の人?」「そうやで。彩人ってゆってNo2やってん、あいつ。今はNo1やけど。」カオルは言葉少なめにつぶやく。窓の外で雨が強くなっている。どうして雨ひとつでここまで心が憂鬱になるんだろう。それとも少し過去を振り返ってしまったからかな。「戻りたい?」「俺はあの店を捨てた人間やで」戻りたいわけがない。彩人の言うた通り俺は逃げたんやから。あの街から。あの店から。ホストという仕事から。

    2005-12-10 16:27:00
  • 598:

    NN

    時計は3時だった。店内はまだ前半戦。俺の客は広い店内で現在、4組。席は満席に近く。店内は活気づいていた。今日はアリスの誕生日イベントだ。アリスおめでとうという声と共にシャンパンがどんどん降りていく。アリスが頑張った結果がそこにはあった。よく成長してくれたと雷さんは涙目だった。後輩の誕生日イベント、サポートにまわって動き回っていた体に異変がおきた。「ちょっとごめん」俺は席を立つ。

    2005-12-10 16:28:00
  • 599:

    NN

    唾液と血がまざりあって、めまいが起きる。「おい、大丈夫か」様子を見に来た東吾が俺の背中をさする。「おう」返事をするのだけで限界だった。

    2005-12-10 16:31:00
  • 600:

    NN

    今日は、止まらなかった。死にそうだ。気持ちが悪い

    2005-12-10 16:33:00
  • 601:

    NN

    見たくなかったもの。見ないふりをしてきたもの。それは「限界」というもの。No1のためなら死ねる..なんてゆっても実際、死が近づいてくると恐くなってくるものだ。「お前、体やばいんじゃないか」「おう..」テクノサウンドの音が耳に響く。アリスおめでとう!とマイクごしに客の声が聞こえる。「もう、俺、ホスト続けるのは限界だっていわれた。」「そうか」東吾の少し悲しい顔をした気がした。今までずっと無表情の顔しか見せなかった東吾が、、。

    2005-12-10 16:34:00
  • 602:

    NN

    「東京には死ぬほどホストクラブがあってさ、ホストなんて星の数ほどいるんだ。新しいホストがいれば今日消えていくホストもいる。すぐに新しいものがうまれる、古いものは捨てればいい。俺たちホストは消耗品だ。夜に踊らされてる消耗品。そう思ってた。ずっと。モノと変わらないんだって思ってた。だから感情隠して客にも簡単に嘘もつけたし、シュナがAVに行った時だって正直なんとも思わなかったんだ。」俺がそういうと、東吾はただ小さくうなずいていた。

    2005-12-10 16:35:00
  • 603:

    NN

    「だけど今、思うよ。俺たちはモノじゃないんだ。俺たちはホストで、男で、そして、人間なんだ。今更そんなことに気がついたんだ」もう、大丈夫だ、俺は。大丈夫だ、歩くんだ、この足で。希望が、夢が、永遠にこの歌舞伎町から消えることのないように..。

    2005-12-10 16:36:00
  • 604:

    ぁゅ

    今までやっと全部読みおわったぁ??途中泣いたり?も吹き出し笑いもしたけどコレまぢイケてる??かんなり面白いわぁ???早く続きが読ましてほしぃ??最後まで応援ちてるよ?

    2005-12-10 19:12:00
  • 605:

    名無しさん

    2005-12-10 20:27:00
  • 606:

    名無しさん

    2005-12-11 00:30:00
  • 607:

    名無しさん

    2005-12-11 00:31:00
  • 608:

    ?

    東京心中完結したらありすと愛ちゃんのサイドストーリー書いてください?

    2005-12-11 02:23:00
  • 609:

    名無しさん

    2005-12-11 04:39:00
  • 610:

    マリナ

    ぁげぁげぇ??

    2005-12-11 16:48:00
  • 611:

    NN

    ぁゅさん、応援してくださってありがとうございます。今日に全部完結させますので、あと少しお付き合いしてやってください。名無しさん、毎回まとめてくれてありがとうございます。?さん次回作も一応考えてはいるのですが、アリスですか..頑張って書いてみようと思います。マリナさん、ずっと書き込み&感想丁寧にありがとうございました。すっごくすっごく励みになって、すごっく嬉しかったです。いよいよ完結することができました。長い間読んでくださってありがとうございました。

    2005-12-11 20:36:00
  • 612:

    NN

    ■「新店を出そうと思うんだ」ある日、原田さんがミーティングでそういった。店内はザワめいた。「そこでその店の店長を、彩人、お前に任せたい」「え」突然のことに言葉がつまる。「新店って..」雷さんも言葉につまっている。俺はもうこの仕事は長く続けられないんだ。なのに。「ホストクラブじゃないんだ、大きさは中バコかな。バーを開こうと思ってな。こう、飲ませる飲ませる店じゃなくて、隠れ家みたいなゆっくり落ち着ける店を」−原田さんは俺の体のことを知ってるんだ。さすが元歌舞伎町No1。従業員の小さな変化にすぐ気がつく。

    2005-12-11 20:37:00
  • 613:

    NN

    俺は続けられるんだ。夜の仕事が。ホストじゃない。今度はバーの店長として..。少し目の前に希望が広がった。ただホストには未練がある。戦うことを決めたのに逃げ出す道を見つけ出してホッとした自分に嫌気がさした。「俺、まだ少しこの店で頑張りたいです」そう俺がいうと、原田さんが首を横に振った。「お前1人この店で心中させるわけにはいかないよ。死ぬときはみんな一緒。1人でかっこつけるな」そう原田さんが俺の肩を叩くと、聞きなれた声が俺の目を呼び覚ます。「そーやで、みんなで歌舞伎町、東京心中や」「カオルさん!」店内がざわめく。

    2005-12-11 20:38:00
  • 614:

    NN

    「おっおお前!!」雷さんが驚いたように目を白黒させる。突然の出来事に俺は固まった。「新店はカオルと一緒に頑張ってくれ」原田さんが微笑む。カオルさんと頑張るって..そんな。「だってカオルさんは」「彩人の一言で目、覚めたで。逃げ出さない。夢は同時に2つ叶うってこと、証明しよう思ってな」そう笑ったカオルさんは、あの時と全く変わらない、いや、あの時よりももっと楽しそうな顔をした。「2つの夢?」「そうや。水商売の世界でやってくこと、もうひとつは有名なカメラマンになること。もう俺はお前から逃げへん」その瞬間、俺は涙が出そうになった。

    2005-12-11 20:39:00
  • 615:

    NN

    ホストなんてずっと個人プレーだって思ってた。1人で戦って1人で生き続けてく仕事だから、最後も1人で消えていくんだって思ってた。競えあえば競いあうほど、誰も信用なんかできなくなって相手がミスしたり客にとばれたのみてざまあみろって笑ってた。だけど、実際はホストって仕事に限らず、どんな仕事でも、誰かに支えられてて、それも気がつかないで、1人だって思いこんでた自分が恥ずかしくなった。

    2005-12-11 20:40:00
  • 616:

    NN

    道が今、確実に広がった。キラキラ、とまではいかないけど、チカチカと、今にも光は消えてしまいそうだけど、その光を守って行きたい。この仲間と..。

    2005-12-11 20:41:00
  • 617:

    NN

    ホストしてきて、今に至るまで悔いは山のようにある。だからこそ、だからこそ..。引退式、シャンパンタワーの前でカオルさんがマイクを持って笑いながら叫んだ。「俺らおらんくなったからってこの店つぶれんなよー」「大丈夫!僕がいるからさっ」アリスが自信満々に微笑む。「これから忙しくなるな」俺は小さく微笑んだ。

    2005-12-11 20:43:00
  • 618:

    NN

    夜の世界は人と人の入れ違いが激しい。夜に限らず昼だってそうだ。出会いがあって別れがあって、それは全て運命でも必然的でも何でもない。そういう流れになっているんだ、社会は。何も考えず、この夜に飛び込むのは簡単だ。だけど夜を抜け出す瞬間、誰も何か考えるんだ。「振り返らずに歩いていくか?それともいつかまた戻ってくるのか?」それは未来の自分しかわからない。そう、1人や2人、例え100人歌舞伎町から消えたって誰も気がつかない。歌舞伎町は、そういう街だ。

    2005-12-11 20:44:00
  • 619:

    NN

    1人で生きて1人で死ぬ。そうなのかもしれない。だけど、自分のために共に市を迎え撃つことのできる人間が、そばにいてくれることの心強さ。心中するってそういう気持ちからなのかもしれない。

    2005-12-11 20:46:00
  • 620:

    NN

    訂正です 市を迎え→死を迎え (失礼しました)

    2005-12-11 20:47:00
  • 621:

    NN

    ネオンに輝く歌舞伎町。夜の世界に存在するものなんて、欲望、性欲、金、ドラッグ、嘘に偽善、そんなものばかりだと思ってた。だけど最近になってふと、もしかしてこの世界には、少しの愛と希望だってあるんじゃないかと、そんなことを思った。(END)

    2005-12-11 20:48:00
  • 622:

    NN

    完結です。長い間、駄文にお付き合いいただいてありがとうございました。毎回感想くださった方や応援してくださった方、すごく感謝してます。本当にありがとうございました。次回作として「東京ストリップ・ドール」という作品を書こうと思ってます。もしよろしければまたお付き合いしてください。ありがとうございました。

    2005-12-11 20:49:00
  • 623:

    ?あ-?

    完結おめでと
    ございます???
    ずッと読んでました??
    次回も楽しみにしてます??

    2005-12-11 20:58:00
  • 624:

    名無しさん

    お疲れ様でした。
    彩人が救われてよかったぁ…。カオルも。
    私も自分が人間なんだって思うのが難しい毎日で、でも消耗品だということにプライドも持てない毎日で、くじけそうだから消耗品なんだって言い聞かせてるような毎日で、変わらなきゃって思ってるけどそれが怖くて。
    夢は同時に二つ叶うって私もやってみようと思いました。
    次回作も読みますね。楽しみにしてます!

    2005-12-11 22:11:00
  • 625:

    名無しさん

    2005-12-11 22:14:00
  • 626:

    風嬢です

    感動しました。上の方がかいてらっしゃいますが私も自分は何なのか、結局消耗品なんだって思ってた だけどこれをよんでもう一度頑張ろうっておもいました

    2005-12-11 22:30:00
  • 627:

    名無しさん

    2005-12-11 23:46:00
  • 628:

    名無しさん

    2005-12-11 23:52:00
  • 629:

    マリナ

    ぉ疲れ様でした???
    感動しましたァ???
    この小説に出会えて良かったデス??最近色々ぁって悩んでたケド、生きる意味とか存在してる意味?みたぃな物を考ぇさせられました。ありがとぅ??次回作も楽しみにしてます??

    2005-12-12 00:07:00
  • 630:

    名無しさん

    感動しました??

    2005-12-12 00:24:00
  • 631:

    名無しさん

    初めから読んでいました。完結お疲れ様でした。次回作も楽しみにしています。

    2005-12-12 00:33:00
  • 632:

    名無しさん

    2005-12-12 00:47:00
  • 633:

    名無しさん

    2005-12-12 01:50:00
  • 634:

    なきほ

    完結ぉめでと!!☆ぃつも楽しみで.ぃつも励まされたりしながら見てきました☆ホントにぁりがとぅ(^_-)-☆次も楽しみに待ってます!お疲れ様デシタ

    2005-12-12 10:04:00
  • 635:

    名無しさん

    2005-12-12 12:46:00
  • 636:

    名無しさん

    2005-12-13 01:12:00
  • 637:

    名無しさん

    めっちゃよかったゃん

    2005-12-13 15:15:00
  • 638:

    名無しさん

    2005-12-14 01:44:00
  • 639:

    名無しさん

    2005-12-14 02:03:00
  • 640:

    名無しさん

    次回作早く?

    2005-12-14 02:55:00
  • 641:

    名無しさん

    2005-12-14 03:14:00
  • 642:

    名無しさん

    2005-12-14 03:52:00
  • 643:

    名無しさん

    話の途中で薫が女と心中する結末やと思ってました?HAPPYENDで終わってよかったです?次回作楽しみにしてます??

    2005-12-16 04:21:00
  • 644:

    名無しさん

    今日の朝の11時くらいから今までぶっ通しで読みました?笑こんなこと言うと失礼ですが、タイトルを見た時、ぇ?心中?なんか話暗そう…てか思ってました?ごめんなさい??だけど気になって読んでいるとハマっていた自分がいました(笑)次回作、楽しみにしてます??

    2005-12-16 14:21:00
  • 645:

    NN

    ひさしぶりに夜遊びのぞきました。感想たくさんいただいてすごく嬉しかったです。長い文章なのにわざわざ読んでもらって感想までくださった方、本当に感謝です。ありがとうございました。

    2005-12-16 15:47:00
  • 647:

    名無しさん

    2005-12-17 19:57:00
  • 648:

    名無しさん

    やばい?感動?

    2005-12-18 00:23:00
  • 649:

    名無しさん

    これ一番いい。。 うちの口座も読んでたよ?

    2005-12-18 03:19:00
  • 650:

    名無しさん

    2005-12-18 21:30:00
  • 651:

    名無しさん

    2005-12-18 23:49:00
  • 652:

    名無しさん

    2005-12-19 01:30:00
  • 653:

    名無しさん

    1人1人の気持ちが伝わる

    2005-12-19 17:47:00
  • 654:

    名無しさん

    アリスや雷の続編を!

    2005-12-19 17:52:00
  • 655:

    名無しさん

    2005-12-19 17:55:00
  • 656:

    名無しさん

    2005-12-20 01:12:00
  • 657:

    名無しさん

    2005-12-20 01:15:00
  • 658:

    名無しさん

    75

    2005-12-20 03:04:00
  • 659:

    名無しさん

    ?あげ?

    2005-12-21 13:45:00
  • 660:

    名無しさん

    2005-12-27 04:20:00
  • 661:

    名無しさん

    2005-12-27 05:20:00
  • 662:

    名無しさん

    2005-12-28 02:29:00
  • 663:

    名無しさん

    2005-12-28 07:18:00
  • 664:

    名無しさん

    2005-12-29 10:10:00
  • 665:

    名無しさん

    2005-12-29 10:28:00
  • 666:

    名無しさん

    2005-12-30 03:36:00
  • 668:
    age

    あげ

    2005-12-30 18:31:00
  • 669:

    名無しさん

    2005-12-30 21:34:00
  • 670:

    名無しさん

    2005-12-30 21:45:00
  • 671:

    名無しさん

    ?

    2006-01-02 07:57:00
  • 672:

    大阪心中24時50分
    http://bbs.yoasobiweb.com/test/mread.cgi/yomimono/1134715795/-5

    2006-01-02 09:22:00
  • 673:

    名無しさん

    ?

    2006-01-02 21:13:00
  • 674:

    名無しさん

    2006-01-03 04:03:00
  • 675:

    名無しさん

    ?

    2006-01-03 11:12:00
  • 676:

    名無しさん

    ごりあげ?????

    2006-01-05 11:29:00
  • 677:

    名無しさん

    2006-01-06 05:52:00
  • 678:

    名無しさん

    2006-01-06 06:07:00
  • 679:

    名無しさん

    2006-01-11 23:10:00
  • 680:

    名無しさん

    2006-01-12 05:40:00
  • 681:

    名無しさん

    雷がシュナにしたことって、明らかつぶし行為やから普通クビよな??

    2006-01-13 15:26:00
  • 682:

    名無しさん

    やなぁワラワラ
    でもこの小説良かった?

    2006-01-14 00:09:00
  • 683:

    名無しさん

    うん          泣けた つぶしでもやたらリアルやった

    2006-01-14 02:15:00
  • 684:

    名無しさん

    2006-01-25 18:40:00
  • 685:

    名無しさん

    ァゲ

    2006-02-03 09:06:00
  • 686:

    名無しさん

    2006-02-04 03:56:00
  • 687:

    名無しさん

    2006-02-06 01:35:00
  • 688:

    名無しさん

    あげ

    2006-02-22 03:43:00
  • 689:

    名無しさん

    あげげ

    2006-03-11 23:00:00
  • 691:

    名無しさん

    2006-03-14 07:39:00
  • 692:

    名無しさん

    2006-03-15 02:23:00
  • 693:

    名無しさん

    2006-03-15 02:47:00
  • 694:

    名無しさん

    2006-03-15 03:50:00
  • 695:

    名無しさん

    2006-03-15 04:15:00
  • 696:

    名無しさん

    2時間ぐらいかけて読みました?夜の仕事について、いい意味でも悪い意味でも深刻に考えさせられました?めっちゃハマりました?大阪心中も読ませてもらいます??

    2006-03-15 05:56:00
  • 697:

    名無しさん

    2006-03-21 02:35:00
  • 698:

    名無しさん

    2006-03-21 02:38:00
  • 699:

    名無しさん

    とちゅぅで何度もゃめょ思ったケド最後まで読みましなぁ
    これほど低ぃ、っまらん、下手、きもぃ、のゎ初めて読みましたぁ

    2006-04-16 00:39:00
  • 700:

    名無しさん

    ↑でも読んじゃったんだ??

    2006-04-22 22:18:00
  • 701:

    名無しさん

    あはは(*^_^*)結局読んだとか、なんか可愛い子やな(笑)

    2006-04-22 22:23:00
  • 702:

    名無しさん

    口座ホスにすすめられ読んだケロ素直によかッた

    2006-05-20 02:15:00
  • 703:

    名無しさん

    2006-05-20 02:16:00
  • 704:

    名無しさん

    2006-06-08 11:33:00
  • 705:

    名無しさん

    2006-06-08 11:34:00
  • 706:

    名無しさん

    2006-06-08 11:34:00
  • 707:

    名無しさん

    2006-06-08 11:35:00
  • 708:

    名無しさん

    2006-06-08 13:16:00
  • 709:

    名無しさん

    2006-06-11 07:43:00
  • 710:

    名無しさん

    おもしろいよ?

    2006-06-13 08:31:00
  • 711:

    名無しさん

    2006-06-13 12:15:00
  • 712:

    名無しさん

    2006-06-15 18:18:00
  • 713:

    名無しさん

    あきらかなぱくり

    2006-07-18 04:16:00
  • 714:

    名無しさん

    なんの?だれの?

    2006-07-18 17:01:00
  • 715:

    名無しさん

    2006-09-18 04:20:00
  • 716:

    名無しさん

    2006-09-20 00:26:00
  • 717:

    名無しさん

    むちゃよかった?

    2006-09-20 15:55:00
  • 718:

    アャ

    ョカッタ?ハッピーェンドだケドどこかせつナィ?       ‘夢は同時に二つ叶えることができる’

    2006-10-01 19:33:00
  • 719:

    名無しさん

    ちょっと泣けたゃん。o゜(p´□`q)゜o。
    ゃぱゥチでもホスト好キ。。。
    ホストも人間ゃん↓↓
    これからゎちゃんと信じてぁげる…

    2006-10-02 07:44:00
  • 720:

    名無しさん

    大阪心中も面白いよ?

    2006-10-02 09:08:00
  • 721:

    名無しさん

    大阪心中みれない?

    さいこやった??

    2007-01-23 16:45:00
  • 722:

    名無しさん

    大阪心中アゲといたで。

    2007-01-24 23:14:00
  • 723:

    名無しさん

    あげ

    2007-06-11 00:59:00
  • 724:

    名無しさん

    2007-06-12 11:52:00
  • 725:

    名無しさん

    おもしろかったぁ?

    2007-06-17 00:50:00
  • 726:

    名無しさん

    名作

    2007-06-24 20:54:00
  • 727:

    名無しさん

    2007-06-25 20:31:00
  • 728:

    名無しさん

    めいさく(・∀・)?

    2007-06-26 08:50:00
  • 729:

    名無しさん

    あげ

    2008-01-04 17:59:00
  • 730:

    名無しさん

    オモシロイー

    2008-05-21 01:56:00
  • 731:

    名無しさん

    777

    2008-05-21 02:54:00
  • 732:

    名無しさん

    泣いた。何度も泣ける

    2008-05-27 02:30:00
  • 733:

    名無しさん

    a

    2008-05-27 17:03:00
  • 734:

    名無しさん

    今日知ってはじめてよんだ
    おもろかったありがとう

    2008-05-27 22:00:00
  • 735:

    名無しさん

    あげ

    2008-05-29 09:48:00
  • 736:

    名無しさん

    名作あげ

    2008-07-08 17:10:00
  • 737:

    名無しさん

    ただ泣ける。

    2008-07-12 01:54:00
  • 738:

    名無しさん

    私は風俗の仕事してる。この小説は悲しいくらいわかる。消耗品にだってプライドがある。賞味期限ぐらい自分でわかる。周りにいわれんでも。しゅなは昔のうちとかぶるわ、、

    2008-07-17 02:43:00
  • 739:

    名無しさん

    NNさんもぉ小説書いてないんでしょうか??

    2008-07-17 02:57:00
  • 740:

    名無しさん

    これ続きないん??
    バリ気になる

    2008-07-19 12:34:00
  • 741:

    名無しさん

    桜井亜美のコピーみたいな文

    2008-07-20 03:04:00
  • 742:

    名無しさん

    .

    2008-07-24 00:09:00
  • 743:

    名無しさん

    男前 美人の説明書きしつこい!!説明書きだけならまだ良いが男友達のセリフでも主人公の男女の容姿の表現と誉め言葉多くてしつこい!!男が男友達を誉めるときの第一声に『お前顔小さいし………』て作者の女目線丸出しでキモい。
    風景の表現も難しく格好良く賢そうな書き方に必死になってるのが見えてダルいしこれまたしつこい。

    2008-07-24 17:40:00
  • 744:

    名無しさん

    頭悪いからついていけんだけやろ(笑)

    2008-07-24 18:12:00
  • 745:

    名無しさん

    ソープとヘルスがごっちゃになってる?

    2008-08-09 20:10:00
  • 746:

    名無しさん

    ?

    2009-05-08 19:55:00
  • 747:

    名無しさん

    あげ

    2011-02-16 23:14:00
  • 748:

    名無しさん

    あげ

    2014-03-26 15:35:00
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