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一番星に恋をする
-
1:
叶
「あ!一番星!」
夕方の空に星が輝く。
小さい頃母と見た一番星。横を見ると母は優しく微笑んだ。その瞬間が大好きで一番星を見つけるととても幸せに感じたんだ。
だからきっと私はアナタに恋をした。2006-05-22 00:21:00 -
2:
叶
『ありがとう、でもサヤも綺麗やで!』
私が地元の友達で仲良くしているのは極数人だ。サヤはそのうちの一人で小学校からの付き合い。サヤとは夏以来あってなかったけど変わらない態度に心が和んだ。2006-05-22 00:34:00 -
3:
叶
『さっきまでユキ一緒やったけど今みんなのとこ行ってるわ!』
「そうなん?後で会うしまぁええわ。てかノド乾いたしジュースのもや」
私はサヤと自販機でジュースを買いベンチに座った。2006-05-22 00:41:00 -
4:
叶
『叶いつまでこっちおるん?しばらくおるんやったら明日サヤ暇やし翔太らと飲まへん?ゲロ地帯で♪ワラ』
「明後日帰るし明日やったらええよ☆てか翔太とホンマ仲ええな!もう二年半ぐらい?」
『幸せでスマンね♪』2006-05-22 00:59:00 -
5:
叶
「あはは!いっぺん殴ったろか☆」
懐かしい顔に懐かしい話。なんだか嬉しくなった。
『叶ち〜ん!オヒサ☆』
ユキも交じって思い出話に盛り上がった。
『叶ちん彼氏はぁ?』2006-05-22 01:03:00 -
6:
叶
「おるけど別になんもないで。もう別れそうやし」
『マジで?まぁ叶ちんやったらすぐ次見つかるからええか☆』
私らは自分で言うのもなんやけどモテる方やった。たぶん田舎やからってのもあるけど中学の時は3人で誰が一番多く告られるか競争したりした。2006-05-22 01:10:00 -
7:
叶
サヤとユキは付き合ったりしてたけど私は彼氏はあまり作らなかった。
『叶今仕事何してるん?パチンコ屋まだいってんの?』
「あぁ〜‥うん」2006-05-22 01:14:00 -
8:
叶
仕事の話が出ると心が痛む。二人には隠し事した事なかったけどさすがに風俗とは言えない。ユキがキャバで働いてた事があってその時言おうかと思ったけど結局言えなかった。ユキも彼氏と同棲して夜上がったし尚更言いヅライ。
2006-05-22 01:17:00 -
9:
叶
『あ、翔太や♪』
『ダァリン登場やん☆てか知らん子いっぱいやな』
スーツを着た翔太達の中に私服の男の子が何人か交じっていた。
『翔太見てみて〜♪可愛い?』2006-05-22 01:22:00 -
10:
叶
翔太に近寄りながらサヤが着物姿をお披露目した。
『可愛い可愛い☆叶もユキも似合ってんなぁ』
「そらどぉ〜も!」
ユキと二人で嫌味たっぷりに返事して笑った。
「翔太、その子ら誰?」2006-05-22 01:25:00 -
11:
叶
私は私服の子らを見て言った。
『一個下のやつ。覚えてない?』
「ん〜、見覚えはあるけど知らん」
『佐伯先輩っすよね?中学一緒やったんすよ☆』2006-05-22 01:29:00 -
12:
叶
「そうなんや、叶お姉おるから上はわかるんやけど下は全然わからんねん、ごめんなぁ」
『いやいや、全然いいっすよ☆あ、コイツは大阪のやつなんすけど一緒に連れて帰ってきたんすよ♪』2006-05-22 01:35:00 -
13:
叶
『俺がタカシでコイツがユウキです☆』
タカシが自己紹介をしてニッコリ笑った。翔太とサヤは二人の世界にいってしまってた。
『ユウキ、叶先輩とユキ先輩、翔ちゃんとおるんがサヤ先輩。3人共中学で有名やった人らやねん』2006-05-22 01:47:00 -
14:
叶
『有名やってぇ♪』
ユキが楽しそうに笑う。
「タカシ君らも大阪住んでるん?叶も大阪やねん」
『そうなんすか?じゃあまた大阪でも遊びません?俺らよくミナミいるんで』2006-05-22 01:52:00 -
15:
叶
「ええよ☆ユウキ君もよろしくな♪」
『はい』
ユウキ君は笑ったけど私の顔をじっと見ていた。
「…?」
『叶ちん!式始まるみたいやで!』2006-05-22 01:55:00 -
16:
叶
私らは慌てて会場に入りそれから一時間ほど話を聞いた。私はユウキ君の事が気になっていた。
やたら見てたけどどっかで会った事あるんかな?
私の仕事場もミナミやから会っていてもおかしくない。いろいろ考えていると式は終わってしまった。2006-05-22 02:00:00 -
17:
叶
二次会も終わり、私とユキはサヤの家に泊まる事にした。三人で飲みなおしていつのまにか寝ていた。その頃にはユウキ君の事なんて忘れてしまってた。
2006-05-22 02:03:00 -
18:
叶
夕方、サヤとユキを起こして支度をすると昨日言っていた飲み会に出かけた。
場所は私の家のそばにある牧場の遊戯場。居酒屋とか行けばいいのにいつもここ。理由は思い出のゲロ地帯だから。ワラ2006-05-22 02:07:00 -
19:
叶
『サヤ、こっちやで!』
翔太が手を振って合図した。三人で駆け寄って『マジ寒い!』となぜか翔太にキレた。
『叶!こっちこい!』
「コウちゃん!」
コウちゃんは小学校から一緒で唯一恋愛感なくつるんでいた。困った時必ず駆け付けてくれるコウちゃんは私のヒーローやった。2006-05-22 02:15:00 -
20:
叶
「コウちゃん昨日来てなかったやん!」
『式とかめんどいやん、今日来たからええねん♪』
コウちゃんはサヤと翔太をくっつけた日一緒に計画を立ててくれた人やった。小学校の時はコウちゃんに恋してたけど今は友達でも好きな人でも家族でもない不思議な存在。でも一番心が安らぐ。2006-05-22 02:20:00 -
21:
叶
『叶先輩こんばんわ〜』
「あ、タカシ君やん!今日も来たんや☆」
『ユウキもいますよ☆今他のやつと買い出し行ってます』
ユウキ君…あの子なんか知ってそうで恐い。2006-05-22 02:24:00 -
22:
叶
『あ、帰ってきた』
その言葉にビクっとして私は「トイレ行く!」と慌てて立ち去った。
なんやろう。ユウキ君に会うの嫌やな…
そう思いながらトイレを出た。2006-05-22 02:29:00 -
23:
叶
『ミ・キ・ちゃん♪』
「ぎゃぁぁあっ!!」
トイレの入り口でユウキ君が待ち伏せしていた。私はかなりビビって柱に抱きついた。
『いやいやビビりすぎやろ!』2006-05-22 02:34:00 -
24:
叶
ユウキ君は爆笑しながら私を見た。私は顔を真っ赤にしながら柱から離れた。
ん?ミキちゃん?今ミキちゃんって言ったやんな?
‘ミキ’は私の源氏名。やっぱりコイツ私の事知ってたんや。2006-05-22 02:37:00 -
25:
叶
「なんで知ってるん?」
私はユウキ君を睨んだ。みんなにバラされたらマズイ。
『俺前にあの店で働いてたもん♪今はスカウトだけやけど☆』
「でも会った事ないやん」2006-05-22 02:42:00 -
26:
叶
『俺の会社あの店と契約してるしミキちゃんナンバー入ってるから有名やん。しゃべった事ないけど何回か見かけたし』
「で?誰かに言った?」
心臓がバクバクして手が震えた。2006-05-22 02:46:00 -
27:
叶
『やっぱりみんな知らんねや?誰にも言うてないで☆』
ユウキ君がニヤっと笑う。私は一気に体の力が抜けた。
「誰にも言わんとって?お願いやから」2006-05-22 02:50:00 -
28:
叶
『どうしよっかな〜♪』
「お願いやから!」
私はユウキ君の胸ぐらを掴んだ。
『お願いする態度ちゃうやん!』
ユウキ君はまたケラケラ笑った。私も我に返り手をはなした。2006-05-22 03:02:00 -
29:
叶
『言わへんよ。当たり前やん☆』
ユウキ君はニコっと笑った。その笑顔に安心した。
「ありがとう。」
そのまま立ち去ろうとしたら腕を掴まれた。2006-05-22 03:05:00 -
30:
叶
「なにぃな?!」
『番号!交換せえへん?』
なんだコイツ…?まぁ黙っててくれるんやしええか。
私はユウキ君に番号を教えた。2006-05-22 03:09:00 -
31:
叶
『名前…』
「カナウ」
『どんな字なん?』
「クチに十。願いを叶えるとかの叶。」
『バリええ名前やん☆』2006-05-22 03:11:00 -
32:
叶
「別に…なんも叶った試しがないしな」
『ふぅん?あ、俺ユウキっていれといてな♪』
交換した後二人でみんなのとこに戻った。ユウキ君は約束通り黙っててくれたけどその日の飲み会は楽しめなかった。2006-05-22 03:14:00 -
33:
叶
夕方の空が好きやった。
でもある時から空を見るのをやめた。真っ赤な空に一つだけ輝く星を見ると苦しくなる。
それはアナタを思い出すと苦しくなる感覚ととてもよく似ていた。2006-05-22 03:19:00 -
34:
叶
しゃーぼんだぁまとんだ、屋根までとんだ、屋根までとぉんで、壊れてきえた…
懐かしい声がする…優しくて暖かくて…とても心地いい…。そうだ‥これは私が小さい頃にお母さんがよく歌ってた。お母さん…2006-05-22 03:25:00 -
35:
叶
目が覚めると夕方やった。遠くで子供が遊んでる声が聞こえる。私の目から涙が流れていた。
「また…」
一言つぶやいてうつむいた。2006-05-22 03:28:00 -
36:
叶
大阪に帰ってきて3日たった。なぜかずっと同じ夢をみていた。前もたまにみてたけどこんなに頻繁にみる事はなかった。
「おっちゃんおつりいらんわ!」2006-05-22 03:33:00 -
37:
叶
私はピリピリしながらタクシーを降りた。あの夢をみた日は決まって機嫌が悪い。ソエモン町からひっかけを渡り、道頓堀筋に出た。
〜♪
携帯がなって名前も見ずに出る。2006-05-22 03:37:00 -
38:
叶
「はい?」
『あ、もし?叶?』
「誰?」
『ユウキやって!お前登録しとけよ!ワラ』
「ごめん、誰からか見てなかったから。何?」2006-05-22 03:40:00 -
39:
叶
『なんか機嫌悪いな。今どこ?』
「ミナミ。別に普通やから」
『あ!』
斜め前を見るとユウキ君がいた。2006-05-22 03:43:00 -
40:
叶
ユウキは電話を切って近づいてきた。
『なんしてんの♪』
「仕事行くとこ」
今日はあまり人と話したくない。仕事中は‘ミキ’を演じれるけど‘叶’を知ってる人に会いたくない。2006-05-22 03:48:00 -
42:
あ ◆zR1KF1Ox4o
あげ???
2006-05-22 03:51:00 -
43:
叶
『仕事何時から?』
「9時から予約入ってる」
ユウキ君は携帯で時間を見ると「まだ7時半やん!ちょっとしゃべって行けや♪」と言った。2006-05-22 04:00:00 -
44:
叶
強引に引き止められ仕方なく近くにあったベンチに座った。
『大阪で会うんはじめてやなぁ☆てかお前の地元バリ田舎!タカシとか…』
ユウキ君が話ている事が耳に入らない。何か考えてるわけじゃない。ただずっとあの歌声が頭にめぐる。2006-05-22 04:05:00 -
45:
叶
ああ…泣きそうや。
「ごめん、もう行くわ。準備に時間かかるし」
私はそれだけ言って逃げるように走り去った。
泣きたくない。だって今から仕事やし。泣いたらメイク崩れるやん。2006-05-22 04:10:00 -
46:
叶
その日の仕事は最低やった。作り笑いしかできなくて話も耳に入らない、客を怒らせたりしてしまった。
「何やってんねやろ…」
トボトボ道頓堀を歩いた。朝方の空気がやけに冷たくて顔が痛かった。2006-05-22 04:15:00 -
47:
叶
次の日もまた同じ夢を見ていたけど携帯の音で起こされた。
「はい‥」
寝起きの声で電話に出る。
『カナ?ごめん起こした?』2006-05-22 04:19:00 -
48:
叶
タツヤやった。タツヤはホストで私の彼氏。
『一昨日の話考え直してくれた?』
一昨日私は電話でタツヤに別れを切り出した。でもタツヤはもう一回考えてほしいと言ったので私は「わかった」と言って電話を切った。2006-05-22 04:24:00 -
49:
叶
考え直す気なんてなかった。タツヤの気が済むように返事しただけ。正直忘れてた。
「ごめん‥やっぱり無理やわ」
『…一回会って話たい。今日会われへん?』2006-05-22 04:29:00 -
50:
叶
「…わかった」
5時に約束して電話を切った。出かける準備をして5時すぎにミナミに行くとタツヤはすでに待っていた。マクドに入り席に座る。重苦しい空気に耐えれなくなって話を切り出した。2006-05-22 04:34:00 -
51:
叶
「電話でも言ったけどやっぱり無理。」
『なんでなん?他に男できた?俺の事嫌いなったん?』
「違うで。ただ恋愛感情がなくなってん。」2006-05-22 04:38:00 -
52:
叶
タツヤは黙ってしまった。私は「ごめんな」って言って席をたった。初めから別に好きじゃなかった。でもタツヤの押しに負けて付き合った。でもめっちゃ尽くしてくれるタツヤを見てると辛くなって別れようと思った。
2006-05-22 04:42:00 -
53:
叶
『嫌や!なんでやねん!こんなん納得いかへん!』
ひっかけを渡ろうとするとタツヤが追い掛けてきて引き止められた。
「しょうがないやん、気持ちないのに付き合ってても意味ないやろ?」2006-05-22 04:44:00 -
54:
叶
『男できたんやろ?!正直言えや!』
「はぁ?!違う言うてるやんけ!離せや!」
タツヤの手を振りほどいた。その瞬間タツヤがキレた。2006-05-22 04:48:00 -
55:
叶
ガッ…!
タツヤはグーで私の顔を殴った。私は壁にぶつかって何が起こったか急いで整理した。左頬がジンジンする。クチの中が切れて少し血が出た。
‘殴られた’2006-05-22 04:52:00 -
56:
叶
「…ったいんじゃボケぇ!」
キレた。タツヤの胸ぐらを掴んで殴り返す。タツヤもやり返そうとしてきたから足を思いっきり蹴った。一瞬動きが止まった隙に更に顔面を殴ろうとした。2006-05-22 04:57:00 -
57:
叶
『叶!!』
誰かに名前を呼ばれて我に返った。
『お前何してんねん!』
「ユウ‥キ君?」
気が付くと周りは野次馬だらけやった。2006-05-22 05:01:00 -
58:
叶
「ヤバ…」
私は薄ら笑いを浮かべた。その瞬間ユウキ君が私の腕を引っ張った。何が起きたかわからず振り向くとタツヤがうずくまっていていた。
タツヤが後ろを向いている私に殴りかかってきたからユウキ君は私をかばってタツヤを蹴り飛ばしたんだ。2006-05-22 05:08:00 -
59:
叶
『なんか知らんけど女に手あげるんはやめとけ!』
ユウキ君はタツヤに怒鳴ると私の手を引っ張ってスタスタ歩いていく。
「ごめん…」
何も言わないユウキ君に謝った。2006-05-22 05:12:00 -
60:
叶
ユウキ君は急に立ち止まるとこっちを見て爆笑しだした。
「はっ?なによ?」
『お前あんなとこでケンカすんなよ!しかも相手男って!それより弱冠お前のが強かったんが一番笑ける!』2006-05-22 05:16:00 -
61:
叶
笑い続けるユウキ君を見てるとなんかおかしくなってきて私も笑った。
『とりあえずお前顔冷やした方がええんちゃう?殴られたやろ?』
ユウキ君はコンビニでタオルを買うと、それを濡らして私にわたした。2006-05-22 05:21:00 -
62:
叶
「あ〜、ちょっと青タンできてるし↓」
『べっぴんやのに可愛そうに☆』
「まぁええわ。さっきありがとうな、でも一人でも勝てたから」
『そうやろな!ワラでもポリ来そうやったからな』2006-05-22 05:25:00 -
63:
叶
『なんでケンカしたん?』
私がユウキ君に事情を話すとユウキ君は『男キモイな。』と笑った。
「とりあえず帰るわ、こんな顔で仕事できひんし。」
『そやな!客もドン引きしてまうわな☆』2006-05-22 05:30:00 -
64:
叶
お父さんは何回も学校に呼び出しされてそのたびに私を軽蔑の目で見た。
お姉は私が妹である事を恥だと言った。
でもどうでもいい。家族なんか他人と一緒。簡単に裏切るんやから。2006-05-22 05:40:00 -
65:
叶
イライラする。きっと夢のせいや。思い出したくない。なんで今になってこんな夢見るんやろ…。
〜♪
ユウキ君からメールやった。
『大丈夫かぁ?今日はゆっくり休みや☆』2006-05-22 05:47:00 -
66:
叶
「変な子やなぁ…」
能天気なユウキ君のメールを見るとなんか笑えた。そのまま眠ってしまった。2006-05-22 05:50:00 -
67:
叶
なんでかな…?私はいつも笑っていたハズやのに心は真っ黒で不安とイライラが消えなかった。
誰にも気付かれたくなかった。だから私は心に鍵をかけた。
気付いたのはアンタやった…2006-05-22 05:54:00 -
68:
叶
『叶ちゃん、お母さんは叶ちゃんが世界で一番だぁい好き』
やめて…
「叶もお母さん大好き」
違う、大嫌い‥
『叶ちゃんがおるだけでお母さんは幸せやねんで』2006-05-22 05:58:00 -
69:
叶
「いやや!嘘つき!」
あれ…あ‥また夢か…
「もうええってマジで…」
腕を顔に乗せてつぶやいた。
〜♪2006-05-22 06:02:00 -
70:
叶
着信 ユウキ
「はい」
『モ〜ニングコールですよ〜♪そして顔大丈夫か?!』
「寝起きにそのテンションきついな。ワラ」2006-05-22 06:05:00 -
71:
叶
嘘。ホンマは能天気なユウキ君に救われた。
「てかまだ昼前やん。こんな時間に起きて何してんの?」
『俺今日は昼の仕事やもん♪』
「昼の仕事?スカウトだけ違うん?」2006-05-22 06:10:00 -
72:
叶
『スカウトだけでもいいねんけど男って浮気性やん?だからたまには違うもんも味わってみたいってゆうか〜♪』
「はいはい。で?仕事中じゃないん?」
『今休憩☆てか今日2時ぐらいまでやねん』2006-05-22 06:15:00 -
73:
叶
「そうなん?良かったやん」
『とゆう事で3時にミナミ集合な☆バイバイ♪』
プツっ…
「はぁ?」
3時にミナミ?なんでいきなりそうなんねん…2006-05-22 06:18:00 -
74:
叶
わけもわからずとりあえず用意した。ユウキ君の行動はホンマに理解できひん。でもなんかわからんけどワクワクした。
毎日淡々と過ぎていく日々にユウキ君は風を送ってくれた。2006-05-22 06:21:00 -
75:
叶
大阪に来てから太陽が昇ってる時間に外に出るなんてほとんどなかった。
「眩し…」
気分的に電車に乗ってミナミまで行った。ミナミに着く直前にユウキ君からメールが来た。2006-05-22 06:28:00 -
76:
叶
『御堂筋側の道頓堀やで☆』
自己中全開やな…
『おはよう☆ちゃんと遅れんときたやん♪』
「うるさいわ!てか何すんの?」
『とりあえずコンビニで弁当買う♪』2006-05-22 06:32:00 -
77:
叶
なんで弁当…?大丈夫かコイツ‥
あれやこれや言いながらユウキ君はお弁当を決めてお茶も買ってコンビニを出た。
『よし、行くぞ!』2006-05-22 06:35:00 -
78:
叶
混乱する私を無視してユウキ君はスタスタ歩いていく。
「ちょぉ、どこ行くん?」
『散歩!』
「はぁ?」
『ええからええから』2006-05-22 06:38:00 -
79:
叶
ブツブツ文句言いながらついていったけどホンマは楽しかった。なんやろな?小さい頃って探険とか秘密基地とかドキドキするやん?あんな感じ。理解不能なユウキ君について行くとなんかおもしろい事がありそうでワクワクした。
2006-05-22 06:42:00 -
80:
叶
「うわ…きれい‥」
木造の階段があってそこから川が見れる。
『ここええやろ?俺この前見つけてここでのんびり弁当食いたかってん☆』
「こんなとこあるなんか知らんかった!」2006-05-22 06:47:00 -
81:
叶
興奮する私にユウキ君は楽しそうに笑った。
階段に座って二人でお弁当を食べる。「なんか遠足みたい」って言うと『ガキ扱いすんな!』とユウキ君はすねた。2006-05-22 06:50:00 -
82:
叶
お弁当を食べてダラダラしゃべっているといつのまにか夕方になっていた。
『もう夕方やん☆冬の太陽は根性ないなぁ』
「根性とかゆう問題じゃないと思う」
『例えやろ!』
「そんな例えいらんわ」2006-05-22 06:52:00 -
83:
叶
夕焼けをちゃんと見るのはいつぶりやろう…。見るのが恐くてずっと避けてた。夕方の空は私の記憶を蒸し返す。
マズイと思った。だってユウキ君が言った言葉は私の閉じ込めてたモノに触れたから。2006-05-22 06:59:00 -
84:
叶
『あ、一番星みぃつけた♪』
何かに引っ張られるような感覚に襲われた。
‘叶ちゃん’
‘叶ちゃん大好きよ’
‘叶ちゃん、一番星やで’2006-05-22 07:03:00 -
85:
叶
「お母‥さん…」
『え‥?叶?』
うつむいた私にユウキ君は手をのばした。
「いやぁぁあ!」
私は悲鳴をあげてユウキ君の手を払い除けた。2006-05-22 07:09:00 -
86:
叶
『なんやねん‥なんで泣いてるん?叶?』
泣いてる?ああ…なんか目から流れてる。私泣いてるん?
「ははっ…ホンマや、なんで泣いてんねやろ‥ごめ…っ」2006-05-22 07:13:00 -
87:
叶
『お前なんかあったんか…?』
誰にも気付かれたくなかった。だから心に鍵をかけた。夕方の空を見なくなった。見なければ思い出さずに済むから。2006-05-22 07:17:00 -
88:
叶
見ないで見ないで見ないで。誰も私の心に触れないで。苦しくなんかない。悲しくもない。まだ笑える。私はまだ大丈夫。一人でも恐くない。私はずっとそうやってうまく生きてきたんだ。ずっとずっとそうやって…
でも‥いつまで続くの?2006-05-22 07:24:00 -
89:
叶
ホントはどこかで思ってた。
‘誰かたすけて’
私の中には爆弾がある。2006-05-22 07:26:00 -
91:
叶
「あ‥一番星…」
私は夕方の空に光る星を指差して言った。ユウキ君はキョトンとした顔で私を見た。
「叶の小さい頃の口癖やってん…」2006-05-22 07:39:00 -
92:
叶
私はお母さんが大好きやった。お母さんの後をいつもチョコチョコくっついてまわってた。優しくて大好きなお母さん。
‘叶ちゃん’って呼ばれるたび私は暖かい気持ちになった。2006-05-22 07:44:00 -
93:
叶
お母さんはよく歌を歌ってた。シャボン玉の歌やお母さんの歌。
私はいつもそれを嬉しそうに聞いていた。
小学校から帰ってくると雨の日以外は二人で散歩をした。2006-05-22 07:48:00 -
94:
叶
夕方の真っ赤な空を二人で眺めるのが好きやった。
「あ!一番星!」
私が一番星を見つけるとお母さんは『叶ちゃんは一番星好きやなぁ』って言って私の頭をなでた。その時のお母さんの優しい笑顔が大好きやった。2006-05-22 07:52:00 -
95:
叶
歌が好きなお母さん。
ケーキを焼くのが好きなお母さん。
‘叶ちゃん’って呼ぶお母さん。
優しく頭をなでるお母さん。2006-05-22 07:55:00 -
96:
叶
大好きな大好きなお母さん。
でもお母さんはある日突然死んでしまった。
いつだったかお母さんは私に言った。
『もしお母さんが死んだらお母さんは一番星になる‥そしたら叶ちゃんは絶対見つけてくれるやろ?』2006-05-22 07:58:00 -
97:
叶
その時のお母さんはいつもと違って悲しそうやった。
私はまだ小さかったからなんでお母さんがそんなん言ったんかわからんかった。でもお母さんが死んでから私は一番星を見つけるのをやめた。
思い出したくなかったから。2006-05-22 08:02:00 -
98:
叶
「だから夕方の空は嫌い…一番星が嫌い」
ユウキ君は私の話を黙って聞いていた。
『俺の名前な、ユウキやねん♪』
ユウキ君が突然クチを開いた。2006-05-22 08:07:00 -
99:
叶
「‥知ってるけど…?」
『漢字どう書くかわかる?』
「わからん‥」
『夕方に輝くって書くねん』2006-05-22 08:10:00 -
100:
叶
「…」
『オトンがな、俺が生まれる時何もできひんもどかしさでせめて祈ろうと思ったんやって。それがちょうど夕方で夕焼けの中に一つだけ星光っててその星に祈っててんて。だから無事生まれた事をその星に感謝して夕輝ってつけたらしい。だから俺は夕方の空が一番好きやねん。』2006-05-22 08:22:00 -
101:
叶
「そうなんや…」
何も言えなかった。夕方の空を嫌う私、夕方の空が好きな夕輝君。なんの嫌がらせやねん…
『だから付き合おか!』
「は?」2006-05-22 08:25:00 -
102:
叶
『叶はオカン大好きやん?だから空の一番星見付けんの嫌になったんやろ?でもやっぱりお前は一番星見つけずにはおられんかったんやで☆』
何を言ってるのかわからない…
「意味がわからんのやけど‥」2006-05-22 08:29:00 -
103:
叶
『だからぁ!空の一番星見付けんくなった分俺を見つけたんちゃう?』
よくわからんけど‥なんとなく何が言いたいかはわかった。
「それと付き合うのとどう関係あるん?」2006-05-22 08:32:00 -
104:
叶
『特にないな!』
そうか、この人頭がおかしいんか…
『でもお前の事好きやし。お前がまた一番星好きになったらええと思うし』
「え!叶の事好きなん?!」
『だから今日誘ったんやけど』2006-05-22 08:36:00 -
105:
叶
そうやったんや…
『叶は俺嫌い?』
「嫌いじゃない」
『じゃあ好き?』
「好きっちゃ好き」
『昨日殴ったやつと比べたら?』2006-05-22 08:39:00 -
106:
叶
「確実夕輝君!」
『ほなええやん☆俺も正味まだ気になってるぐらいやし』
「軽いなぁ」
『有りやろ♪無理やったら別れたええし☆』2006-05-22 08:42:00 -
107:
叶
夕輝君はニッと笑って私の頭をなでた。
『叶が全部話してくれて嬉しかったで』
夕輝君はそう言った。
1月21日、私は夕輝君と付き合う事になった。2006-05-22 08:47:00 -
108:
叶
夕輝君は『全部話してくれて嬉しかった』と言った。
でも私は肝心な事を言えずにいた。あの時の私にはあれが精一杯やった。
私の抱えている爆弾はもっと別の所にある。
恐くて自分でも触れる事ができない…2006-05-22 08:51:00 -
110:
叶
新井夕輝 19歳
職業スカウト、週二回だけ昼間コンビニでバイト。
両親と弟と妹の5人家族。好きなんは楽しい事、寝る、カラオケ、甘いもの、服、ブランド、金。
嫌いなんはうっとしい奴、野菜。
誕生日9月13日、Β型。2006-05-22 09:59:00 -
111:
叶
「何これ?」
『俺のプロフィール☆』
夕方起きると夕輝からメールが来ていた。なんの前ぶれもない行動に頭の中はハテナでいっぱいやった。
仕事行く前に夕輝に会ったから聞くと楽しそうに答えてくれた。2006-05-22 10:03:00 -
112:
叶
「アンタの行動理解不能!」
私は爆笑した。なりゆきで夕輝と付き合う事にしたけど正解やったかも。夕輝の意味不な行動は私のツボやった。
『お前笑いすぎやろ!』
夕輝はちょっと照れて笑った。2006-05-22 10:08:00 -
113:
叶
なぁ夕輝?あんだけ毎日見てたお母さんの夢、この日は見んかったんやで。
アンタの言う通り一番星を見つけたからかもしれん。空の一番星はまだ見つけるの恐いけど私は夕輝ってゆう一番星を見つけた。2006-05-22 10:12:00 -
114:
叶
『え!ユウキって飲み会来てたユウキ君?』
「うん、なんかようわからんうちに付き合う事なってもた」
サヤから電話がかかってきたから夕輝の事を話した。サヤは意外な展開に驚きながらも喜んでくれた。2006-05-22 10:22:00 -
115:
叶
『かっこいいとゆうか可愛い感じの子やったやんなぁ☆ええやんええやん♪』
「意味不な行動多いけどな、Β型特有の自己中全開やし。ワラ」
『ああ〜Β型はしょうがない!』
「サヤもΒやん!」2006-05-22 10:35:00 -
116:
叶
『だからしょうがない言うてるねん!わかってるんやけど治らんのよなぁ〜』
「救いようがないな☆」
『言いすぎ言いすぎ!』
「てか何か用事ちゃうん?」2006-05-22 10:38:00 -
117:
叶
『あ、そうそう!叶のお父さんに会ったで。叶と連絡つかんって言うてたけど大丈夫なん?』
「ああ〜、なんか電話あったけど無視ってるねん」
『仲悪いやろけど心配してはるんちゃう?一回連絡入れたりや☆』2006-05-22 10:43:00 -
118:
叶
「了解☆ありがとうな」
軽く返事をして電話を切った。
心配?私が何かやらかしてないかの心配か?
ムカついて机を蹴った。
「〜‥ったぁ〜!」2006-05-22 10:47:00 -
119:
叶
机の角に小指をぶつけた。「最悪…おっさんの呪いやな‥」わけのわからない事をつぶやいていると携帯がなった。
『もしぃ、叶?』
夕輝だ。2006-05-22 10:51:00 -
120:
叶
「なに?」
『何してるん?』
「おっさんの呪いにかかってる」
『あ、そうなん?てかマジ意味わからんから〜♪ワラ』
「机の角に小指ぶつけた」2006-05-22 10:54:00 -
121:
叶
『お前究極アホやな!』
電話の向こうで爆笑する夕輝に殺意を覚えた。ワラ
「もう!本気で痛いねんからな!」
『はいはい、頑張れよ☆また電話するわ♪』
勝手にかけてきて勝手に切る。夕輝はいつもこうやった。2006-05-22 10:59:00 -
122:
叶
夕輝と付き合ってから穏やかな日々が続いた。
勝手気ままな夕輝に振り回される事もあったけど自分の心すべてを見せていないせいかちょうどいい距離感やった。でもたまに苦しくなる。私は誰にも心を見せずに生きていく。夕輝だけじゃない、サヤやユキにも。それは上辺だけの付き合いともいえるんやんな…2006-05-22 11:42:00 -
123:
叶
なぁ、夕輝。人間て簡単に死んでまうんよな。私はそれを人一倍わかってたハズやのに夕輝と過ごすうちに忘れてた。
だからこんなに痛いんかな?どんなに叫んでももう優しい声は聞こえない2006-05-22 11:59:00 -
124:
叶
〜♪
「ん…はい‥」
『叶?!夕輝やけどタカシから聞いたけどお前今日誕生日なん?』
誕生日…?
「ん〜‥しらぁん」
『知らんちゃうわ!ええから今すぐ出てこいよ!』2006-05-22 12:07:00 -
125:
叶
2月5日。私の二十歳の誕生日。
「ホンマや‥誕生日か」
私は誕生日があまり好きじゃなかった。お母さんが死んでから私の誕生日はなくなった。祝う気のない人にわざわざ祝ってもらうのが嫌で誕生日を自分から言う事はなくなった。2006-05-22 12:11:00 -
126:
叶
時計を見ると夜の8時やった。
「あ、仕事いかな」
珍しく爆睡したせいか体がダルイ。一時間で支度を済ませ家を出た。この日はなかなかタクシーが捕まらなかった。私は仕方なく少し歩くけどタクシー乗り場まで行く事にした。2006-05-22 12:17:00 -
127:
叶
〜♪ 着信 夕輝
『もう家出た?』
「出たけどタク捕まらんからタク乗り場までいかなアカン」
『歩きちゃうん?危ないし電話しとくわ』
「ええよええよ、着いたらまた連絡するから」2006-05-22 12:21:00 -
128:
叶
珍しく夕輝が心配して電話を切らなかったのに私は自分から切った。
なんで切ったんやろう。甘えてれば良かった。
私は誕生日があまり好きじゃなかった。でもこの日から‘嫌い’になった。2006-05-22 12:23:00 -
129:
叶
〜♪
あ…携帯なってる‥
この音誰やっけ…
そうや…夕輝や‥
出な‥でも頭痛い‥夕輝…2006-05-23 00:18:00 -
130:
叶
頭のすぐそばに転がってる携帯をゆっくり手をのばしてとった。
「は‥い…」
『叶?お前今どこおるん?』
どこ‥?どこやろ…
「わからん…」2006-05-23 00:23:00 -
131:
叶
『わからんって‥何回かけてもでぇへんしもう11時前やで?ミナミまで何時間かかるねん』
「ごめ‥ん…頭痛い…動かれへん…」
『は?ちょぉお前どこおるん?何かあったんか?』2006-05-23 00:29:00 -
132:
叶
何か…そうや‥タクシー乗り場まで歩いてたんや…そしたら急に頭殴られて…それから…それから…
『叶?!』
「頭‥殴られて…」
『は?!大丈夫なん?てかどこおるん?何かわからんの?』2006-05-23 00:34:00 -
133:
叶
「ブランコ…公園‥?」
『お前ん家のそばの公園ちゃうん?』
「うん…」
『すぐ行くから!』
そのまま電話が切れた。2006-05-23 00:38:00 -
134:
叶
何が起こったんやろう…歩いてたら後ろから何か固いモノで頭を殴られた。意識が遠退いていく中で何人かの男の声が聞こえてた。
カメラのフラッシュとシャッターの音。男がニヤっと笑った。
「暴れたら刺すで?」2006-05-23 00:45:00 -
135:
叶
ああ…私…レイプされたんや…
頭から血が流れてる。震えが止まらない。恐い‥
「たす‥けてぇ…」
涙が溢れた。2006-05-23 00:51:00 -
136:
叶
どれぐらい時間がたったやろう…ボロボロになった服を握りしめ膝を抱えて動けなかった。
耳から離れない男の笑い声や息づかい何度も鳴り響いていた夕輝の着信音。2006-05-23 00:55:00 -
137:
叶
『‥う!叶!』
公園の入り口に夕輝が見えた。夕輝も私に気付いた。
『叶!』
走りよってくる夕輝が一瞬アイツらに見えた。
「い‥やぁぁあ!」2006-05-23 00:59:00 -
138:
叶
『叶!大丈夫か?!おい、しっかりしろや!』
悲鳴のような声をあげながら泣く私を夕輝は抱き締めた。
『もう大丈夫やから!な?叶…』2006-05-23 01:05:00 -
139:
叶
『とりあえず家帰ろ、歩けるか?』
夕輝は着ていたジャケットを私に着せると私を抱き起こした。フラつきながら家まで辿り着くと私は気持ち悪くなって吐いた。夕輝は何も言わず背中をさすっていた。2006-05-23 01:12:00 -
140:
叶
『消毒液とか買ってくるけど鍵かけていくから絶対自分からあけるなよ』
夕輝はそう言って出ていった。私はお風呂場に行ってシャワーをひねると服のまま浴びた。服といってもボロボロになっていてただの布みたぃなもんやった。2006-05-23 01:18:00 -
141:
叶
動く気力もない。頭がズキズキしてひたすら水だけが流れる。
『叶?』
帰ってきた夕輝の声にビクっとした。夕輝はシャワーを止めるとタオルで私の頭をふきはじめた。2006-05-23 01:22:00 -
142:
叶
『どうする?ポリ行くか?』
うつむいたまま首をふった。
『わかった。…犯人の顔みた?』
夕輝は犯人についていろいろ聞いてきたけど私ただ首をふるばっかりやった。2006-05-23 01:26:00 -
143:
叶
夕輝、この日夕輝はそれ以上何も言わずにただそばにおってくれた。
でも黙ってる夕輝の背中を見て私は死にたいと思った。夕輝が何を考えてるのか聞く勇気も夕輝から離れて一人になる勇気もなかった。ただこの世界から消えてしまいたいと願った…2006-05-23 03:03:00 -
144:
???
しおり?
2006-05-23 13:10:00 -
145:
叶
私は昔から一人でいる事が好きだった。
でもそれは人を信じる事ができない弱虫な自分から目をそらすため。
裏切らないで、一人にしないで。だから私は一人でいたかったんだ。2006-05-25 13:54:00 -
146:
叶
「叶、出かける用意して」
次の日の昼間、結局眠れなかった私らはずっと黙ってテレビを見て過ごしていた。
「どこ行くの?叶外出たくないわ…」2006-05-25 14:05:00 -
147:
叶
「ええから、化粧せんでもいいしスウェットでいいから風呂ぐらい入ってこい」
よくわからなかったけど夕輝の言うとおりにした。夕輝なりに気使ってるんかな…
お風呂から出て髪の毛を乾かすと夕輝の支度が終わるのを待った。2006-05-25 14:09:00 -
148:
叶
「行くで、寒いからちゃんと上着ろよ」
「なぁ、どこ行くん?もぅ暗くなるし嫌や…」
もぅ夕方になっていた。外は薄暗くて昨日の今日で外に出るのはさすがに恐かった。2006-05-25 14:12:00 -
149:
叶
「いいから、俺一緒におるし叶もずっと閉じこもっててもしょうがないやろ?」
夕輝は強引に私を外に連れ出した。電車に乗ると手が震えた。でも夕輝は何度も私の手を強く握り直してそれは「大丈夫やから」って合図みたいで少し安心した。2006-05-25 14:17:00 -
150:
叶
降りた駅は難波。夕輝は私の手を引いてスタスタ歩いて行く。私は何も言わずに帽子を深くかぶってついていった。
「ちょっ…夕輝!なんで?」
着いた場所は私の仕事場やった。2006-05-25 14:20:00 -
151:
叶
夕輝は何も言わずに事務所へ迎う。
なんで?夕輝が何考えてるんかわからん。仕事なんかできひん。嫌や…
事務所の前で泣きながらグズる私を夕輝は無理矢理引っ張って事務所に入った。2006-05-25 14:23:00 -
152:
叶
「いらっしゃいませ…夕輝やん!久しぶりやなぁ!」
そういえば夕輝は前にここで働いてたって言っていた。でもなんで…
「久しぶりです☆店長か副店長います?」
さっきまで黙りこくってた夕輝じゃなくていつもの明るい口調やった。2006-05-25 14:27:00 -
153:
叶
「副店長やったらおるで、てかミキやんな?何?お前ら知り合いやったん?」
不思議そうな顔でスタッフが私を見た。私はうつむいて何も言わなかった。
「ちょっと話あるんで奥行きますよ?」
夕輝は勝手に事務所に入っていった。2006-05-25 14:31:00 -
154:
叶
「夕輝!どうしたん?戻ってくる気になったか?」
夕輝を見るなり副店長は嬉しそうに声をかけた。
「ちょっと話あるんですけど今いいですか?」
「いいよ?どうしたん?」2006-05-25 14:34:00 -
155:
叶
「ちょっと人いない方がいいんであっち行きましょ」
そう言うと副店長と私をつれて空いている待機部屋に行った。副店長は私の存在を気にしながらも何も言わずに夕輝についていった。
「話って何?ミキちゃんも何か関係あるん?」2006-05-25 14:37:00 -
156:
叶
副店長が私の方をチラっと見る。昨日無断欠勤した事もあって気まずい。
「コイツ今日で店やめます」
夕輝がクチを開いた。私も副店長も驚いた顔で夕輝を見た。でも夕輝は真っすぐ副店長を見ていた。2006-05-25 14:41:00 -
157:
叶
「ミキちゃん、どういう事?やめたいんか?」
わけがわからない私は困って夕輝の方を見た。
「俺、ミキと付き合ってるんです。それで昨日ミキが…」
「嫌や!やめて!」
夕輝が言おうとしてる事がわかって私は耳をふさいだ。2006-05-25 14:45:00 -
158:
叶
「叶!逃げんなや!このまま黙っててもみんなわけわからんやろ!」
「そんなんわかってるわ!でも昨日やで?そんな急に強くなられへん!叶の気持ちも考えてよ!」
「ちょっとちょっと!わけがわからんからとりあえず説明して?」
突然言い合いを始めた私らを副店長がなだめる。私は泣きながら夕輝を睨んだ。2006-05-25 14:52:00 -
159:
叶
「ミキちゃん昨日無断欠勤したんはなんでなん?」
副店長は優しく私に聞いた。もう嫌‥ここから逃げたい。そう思った時夕輝は私の手を強く握った。
‘大丈夫’
逃げたらアカンねや…叶の気持ち考えてるから夕輝は一緒にきてくれたんや‥2006-05-25 14:57:00 -
160:
叶
夕輝の手を強く握り返した。
「昨日…店に来る途中に…襲われました…」
なんでやろう‥言った瞬間涙があふれた。
「襲われたって…ケガは?大丈夫やったんか?」2006-05-25 15:02:00 -
161:
叶
副店長が心配そうな顔をする。私は帽子をとった。おでこにガーゼをしているのを見て副店長は何とも言えない顔をした。
「頭殴られて…何人かに…まわ‥されて…写真とか…」
「ミキちゃん!わかったから…もういいよ、ごめんね?恐かったね‥もうわかったから」2006-05-25 15:08:00 -
162:
叶
副店長の言葉に更に涙が出た。恐かった‥風俗で働いてるからそんなん大丈夫やろって言われたらどうしようって不安やった。
「副店長、コイツがこの先店に来れるかもわからんけど俺はもうやめさせるつもりです。俺がちゃんと面倒みていきます。コイツはナンバーも入ってるし店にとっては痛いと思うけど…」2006-05-25 15:15:00 -
163:
名無しさん
まだ
2006-05-30 18:18:00 -
164:
名無しさん
書いて?
2006-06-17 21:31:00 -
167:
叶
夕輝は申し訳なさそうな顔をしながら副店長に話してた。
私は黙ったままうつむいていた。いろんな事が頭をめぐって何も考えられない。そんな私に副店長が話かけてきた。2006-06-26 01:56:00 -
168:
叶
『ミキちゃんはどうしようと思ってるん?やっぱりやめたい?』
“店をやめる”
考えた事もなかった。入店してからいつのまにか店が私の居場所になって“ミキ”として必要とされて…失いたくない。でも‥2006-06-26 02:01:00 -
169:
叶
「店が大好きです‥でも…男の人に接する自信ないです…目見るのも恐い‥」
なんでこんな事なったんやろ‥風俗嬢の私が“男が恐い”なんか笑える。
『ミキちゃん…俺はな?夕輝としばらく仕事してて信用できるやつやと思ってる。副店長としては店に残ってほしい。でもな、一人の人間として傷ついた女の子に風俗で働いてほしくない。今のミキちゃんに働けなんか言われん。でもいつでも来ていいんやで?働かなくてもここはミキちゃんの居場所に変わりないからね』2006-06-26 02:13:00 -
170:
叶
胸が張り裂けそうやった。副店長の言葉が暖かくて涙が溢れて私はとっさに両手を顔にあてた。
思えば面接の時から副店長にはお世話になってた。顔で笑ってるのに心は冷めてた私を副店長はいつも心配そうに見てた。2006-06-26 02:19:00 -
171:
叶
『もし帰ってこようと思う時がきたらここに帰っておいで、これから先誰にも“ミキ”って名前はつけさせないから。遊びに来るだけでもいいから元気になったら顔見せにきてよ!』
副店長は優しく私に言うと夕輝と少し話をしてから私らは店を出た。2006-06-26 02:25:00 -
173:
名無しさん
?
2006-07-08 23:03:00 -
174:
名無しさん
続き気になる?頑張って?
2006-07-09 08:40:00 -
175:
名無しさん
http://town.cgiboy.com/diary/i/?t=v&i=250731
2006-07-09 13:24:00 -
176:
叶
最近すごく忙しくて書けずにいました?
読んでくださってる方いるんですね?ありがとうございます?2006-07-14 05:42:00 -
177:
叶
外に出ると空気はとても冷たかった。
繋いだ手から伝わる夕輝の体温が私に生きてると感じさせた。私は生きてる、私は生きてく。
この人と共に…
そう強く誓い、私はこの日店をやめた。2006-07-14 06:06:00 -
178:
叶
『行くで』
夕輝は私の手をひいて歩きだした。
「どこ行くの?」
『仕事!しばらく叶も一緒に出勤な☆』
夕輝はそう言うと携帯で誰かに電話をかけツタヤ前に向かった。2006-07-14 06:13:00 -
179:
叶
『夕輝!』
「お待たせ〜♪それからコイツ俺の女の叶やから☆叶、俺たいがいコイツと仕事中一緒おるねん。コウちゃんやで」
ツタヤ前につくと夕輝はコウちゃんに紹介された。私はペコっと頭を下げた。2006-07-14 06:23:00 -
180:
叶
『可愛い子やなぁ!よろしく☆』
「コウちゃん、しばらく叶も仕事の時連れてくるから俺がキャッチしてる時は叶とおったって☆触ったらしばくで♪」
『女と出勤ってお前やる気満々やな!ワラ代表とかにバレんようにしろよ☆』
夕輝とコウちゃんの会話をただ黙って聞いていた。2006-07-14 06:29:00 -
181:
叶
夕輝の優しさが痛いぐらい伝わってそれと同時に私は夕輝のお荷物になってるような不安を感じた。
でも夕輝はずっと笑顔で私を一人にする事はなかった。
『夕輝ええやつやろ☆』2006-07-14 06:33:00 -
182:
叶
一週間ほどそんな日々を過ごしてたある日コウちゃんが私に話かけてきた。コウちゃんは初日は二人になるたび話し掛けてきてたけど私がうつむいてポツポツとしか話さなかったせいか次の日からはただ黙って私のそばにいるだけになった。久しぶりにコウちゃんが話し掛けてきた事に少し驚いた。
2006-07-14 06:38:00 -
183:
叶
私はこの時初めてコウちゃんの目を見た。
『最初叶ちゃん連れてきた時ただ自慢したいだけかと思ったけど叶ちゃん見てたらわかったわ。なんかあったんやろ?夕輝がこんだけ女大事にしてるん初めて見るし。事情は聞かんけど何かあったら言うてな☆』
コウちゃんの目はなんて優しいんやろう‥あの日以来夕輝以外の男の目を見る事もできなかった。でも少し顔を上げるとこんなに優しい目をした人もいるんやな…2006-07-14 06:48:00 -
184:
叶
夕輝は私にたくさんの事を気付かせてくれる。コウちゃんの目がこんなに優しいのはきっと夕輝がコウちゃんを大事にしてきたから。私は今夕輝に守られて生きてる。でもいつまでもこのままでいいワケない‥少しずつ進まなければ‥
2006-07-14 06:54:00 -
185:
叶
「…とぅ‥」
『え?』
コウちゃんが不思議そうに私を見た。
「ありがとう…コウちゃん」
なんでか涙が溢れた。悲しくもないのに。冬の冷たい空気の中でホホをつたう涙を暖かく感じた。2006-07-14 20:07:00 -
186:
叶
「叶!どうした?!」
私が泣いてるのに気付いた夕輝が駆け寄ってきた。
「コウちゃん!叶に何言うたん!」
『俺?!えっ?!叶ちゃんごめんな!俺いらん事…』
「ぁはっ…」2006-07-14 20:14:00 -
187:
叶
本気で心配する夕輝、本気で焦るコウちゃん。二人を見てたらなんだかおかしくて笑えてきた。
『叶…』
夕輝とコウちゃんが驚いた顔で私を見る。
「え…?」2006-07-15 03:28:00 -
188:
叶
笑ったのがいけなかったのかな?とちょっと戸惑った瞬間二人は顔を見合わせ満面の笑みになった。
『よっしゃ〜!!』
「??」
嬉しそうに叫ぶ夕輝。ワケがわからない私。2006-07-15 03:32:00 -
189:
叶
『叶ちゃんが笑ったん初めてみた!!』
コウちゃんが嬉しそうに言う。
ああ…そういえばあれ以来笑った事がなかった‥
本当に嬉しそうな二人。私が笑う事をこんなに喜ぶ人がいる。この感情をなんてゆうんやろう…心が暖かくて体中に血がめぐるのがわかる。2006-07-15 03:39:00 -
190:
叶
ゆっくり夕輝に手を伸ばした。手を繋ぐ事はあったけどそれ以上は恐くてできなかった。夕輝は不思議そうな顔をしながら私の手を握る。
違う…私が今したい事は…
もう片方の手を伸ばし夕輝の目を見た。2006-07-15 05:47:00 -
191:
叶
夕輝は何か察したように階段に座る私と同じ目線になるようにヒザをつく。
ゆっくり、夕輝の胸に顔をうずめた。
少し肩が震える。それでも心地いい体温。夕輝の背中に腕をまわし、とても小さい声でつぶやいた。2006-07-15 05:54:00 -
192:
叶
「ありがとう、めっちゃ…幸せやで‥」
一人で生きると誓った。死にたいと願った。
‘シアワセ’
一人では感じれなかった。生きていなければ感じれなかった。
アナタがいなければ…2006-07-15 06:00:00 -
193:
叶
ささやくような小さな声を夕輝は聞き逃さなかった。ゆっくり私を包み込む。
「俺もや…」
夕輝の声が少し震えてた。2006-07-15 06:05:00 -
194:
もあ?
続きお願いしまウす?
2006-07-15 10:49:00 -
195:
叶
アナタがいなければこんな寂しいと思わなかった。
悲しみも痛みも苦しみも…
でもあの日確かに私はシアワセと感じたんだ。2006-07-15 12:52:00 -
196:
叶
「夕輝お帰り!」
『ただいま♪何か変わった事なかったか?』
4月、私は引っ越しをした。でも今度は一人じゃない。夕輝は実家を出て二人で暮らす事にした。2006-07-15 12:57:00 -
197:
叶
『叶ちゃん久しぶり☆お邪魔すんで♪』
コウちゃんが夕輝の後ろから顔を出した。
「いらっしゃいコウちゃん!」
私は笑顔で迎えた。2006-07-15 13:01:00 -
198:
叶
3人で鍋をつつきながら話した。
「叶ちゃん最近どうしてんの?」
『ん〜、家の事してるだけやねん↓』
「叶は今はゆっくりしてたええねん。焦って動いてもしんどいだけやろ」2006-07-15 14:29:00 -
199:
叶
夕輝は副店長に言った通り私の生活までちゃんとみてくれていた。私はこれまでヘルスで働いていたけど特に贅沢な事をしていたわけじゃなかったからそれなりに貯金があったけど夕輝はその貯金を崩すのを許さなかった。
2006-07-19 08:47:00 -
200:
叶
「叶ちゃん、よかったらなんやけど俺の女のとこでバイトせぇへん?すぐじゃなくていいし」
『コウちゃんの彼女?』
「うん、女ん家パン屋やねんけど家族でやってるしバイト募集するか悩んでたみたいやから叶ちゃんさえよかったら」
夕輝は知らんぷりしてテレビをみていた。2006-07-19 09:01:00 -
201:
名無しさん
続きが気になる
2006-07-19 09:58:00 -
202:
叶
更新遅くてすいません?かなりゆっくりですが時間できた時は書くようにしてるので気長に見て頂けるとうれしいです??
2006-07-19 11:38:00 -
203:
叶
コウちゃんが帰って布団に入ってからしばらく考えてた。そろそろ私も次の一歩を踏み出すべきちゃうんかな…
『夕輝‥寝た?』
目を閉じている夕輝に話かける。
「ん〜?どうしたん?」
『うん…』2006-07-19 11:43:00 -
204:
叶
「コウちゃんの話?」
『うん‥』
「叶がやりたいならやったらいいやん、コウちゃんもすぐじゃなくていいって言ってくれてるんやしちょっと考えたら?」
『うん‥』
夕輝は私のやりたいようにやらせてくれる。私は夕輝さえいいならやってみたかった。でもまだ男が恐い時があって知らない人と接するなんかできるんか不安やった。2006-07-19 11:50:00 -
205:
名無しさん
読んでるョン☆
2006-07-23 08:56:00 -
206:
名無しさん
ぁげ?
2006-07-28 02:15:00 -
207:
名無しさん
主さん書いてほしい↓続きが気になるぅー?
2006-10-19 02:09:00