小説掲示板悔やみきれないのスレッド詳細|夜遊びweb関西版

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悔やみきれない

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  • 1:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺には恋愛というモノがよく解らなかった。
    「好き」という感情も。
    女に対して全くってくらい興味がなかった。
    俺が16の時ホストの世界に足を踏み入れたのは
    別にそこまで深い意味はなかった。
    ただ酒が好きで、飲んで金がもらえる。
    それでよかった。自分次第で収入も膨らむ。

    2005-10-28 13:36:00
  • 250:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    いつの間にか時刻は12時を回って俺の誕生日になった。
    同時に従業員達や優也も出勤してきた。
    俺の携帯が鳴り通し始める。
    客達からのハッピーバースデーメールと電話。

    2006-01-03 02:09:00
  • 251:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    だけど由里からは連絡が来なかった。
    俺は軽くショックを受ける。
    そうしてるうちに開店時間になり一斉に客が入り始めた。
    由里の姿はなかなか現れない。

    2006-01-03 02:11:00
  • 252:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    感情を表に出さない俺もあの日ばかりは結構焦っていたのが表に出ていたかもしれない。
    淋しさを紛らわすように客達が卸してくれたシャンパンを飲みまくった。
    (早く酔ってしまいたい…)
    「貴晃いつもより気合い入ってるねー!」

    2006-01-03 02:14:00
  • 253:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    客達が珍しそうに口を揃えて言う。
    「当たり前やん!1年に1度しかない誕生日やしー?!」
    (別に気合いが入っとんちゃうねん。由里が祝ってくれんから寂しいねん。)
    心のどこかでそう叫ぶもう一人の俺。

    2006-01-03 02:18:00
  • 254:

    名無しさん

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    2006-01-03 11:32:00
  • 255:

    名無しさん

    あげぇ

    2006-01-04 18:49:00
  • 256:

    あげ☆

    2006-01-06 22:13:00
  • 257:

    名無しさん

    あげたった

    2006-01-07 02:27:00
  • 258:

    ☆彡

    あげたったたたん♪

    2006-01-07 05:10:00
  • 259:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    みなさんスレッドをあげてくださってありがとうございますm(_ _)m
    更新遅れてしまってすみません><
    今からまた更新します^^

    2006-01-07 14:16:00
  • 260:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    時刻は既に午前4時を回っていた。
    (いつもなら由里はこの時間には絶対来てくれてるのに…)
    そう思うとまたどんどん落ち込んでいった。
    俺はすでにほろ酔いを超えて意識が朦朧としそうだった。

    2006-01-07 14:18:00
  • 261:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    従業員達も俺のヘルプに着いて潰れるまで飲もうと頑張ってくれている。
    俺が自分の私情で落ち込んで酔いつぶれる訳にはいかなかった。
    せっかくの誕生日。気を持ち直して未だ頑張ろうとしていたその時。
    店のドアが開いた。

    2006-01-07 14:21:00
  • 262:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    開いたドアから見えたのは紛れもなく由里。
    俺が誰よりも心待ちにしていた由里だった。
    俺は一気にテンションが上がる。
    「お誕生日おめでとう^^ごめんね遅くなって…」

    2006-01-07 14:23:00
  • 263:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    いつもと同じ笑顔で俺の元へやってくる。
    俺はとりあえず他の客に一言断って真っ先に由里の席へ着いた。
    たぶんあの時の俺の顔はかなり緩んでたと思う。
    優也も一緒に由里の席へ着いた。

    2006-01-07 14:26:00
  • 264:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    優也が心配そうに言う。
    「ホンマいつも通りドリンク飲んでてえーから!!」
    俺ももう由里には金を使わせたくないからそう言った。
    ぶっちゃけ俺はワインがあまり好きじゃないからロマネは飲みたくなかったのもある。笑

    2006-01-07 14:41:00
  • 265:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「無理なんてしてないよー?ロマネってワインだよね…?あたしあんまワインは好きじゃないからワインタワーでもする?笑」
    「いやいやそれはもったいなさすぎだから!!!!!!!!」
    俺と優也の言葉が見事にハモる。笑
    「決めた♪誕生日のお祝いはワインタワーで^^」

    2006-01-07 14:45:00
  • 266:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「え…?!いやあかんって!!!!」
    「なんで…?」
    「そんなのもったいないやん…タワーがしたいならカフェパとかでええやん…!」
    「そういう事お客さんに言うもんじゃないよー?貴晃は代表失格!笑」

    2006-01-07 14:48:00
  • 267:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「だって由里の事は客やと思ってへんもん!」
    「え…?そうなの??」
    ついつい出た俺の本音に不思議そうな顔で俺の目を真っ直ぐ見る由里。
    俺の方を真顔で見て明らかに何か言いたそうな優也。

    2006-01-07 14:51:00
  • 268:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (やばい…まずったかも…)
    俺は一気に酔いが冷めて冷静になる。
    「まー貴晃があたしをどう思ってるのかは知らないけどー?笑 とりあえずロマネをタワー出来る分だけ持ってきてよ^^」
    やっぱり金銭面では強引な由里。

    2006-01-07 14:55:00
  • 269:

    名無しさん

    2006-01-07 15:49:00
  • 270:

    名無しさん

    ぉもろぃ?
    頑張って書いてね?

    2006-01-08 16:45:00
  • 271:

    ☆彡

    age↑

    2006-01-09 04:00:00
  • 272:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    >>279さん読みやすくしてくれてありがとうございます^^
    >>280さん頑張って更新していくのでこれからも読んでやってください^^
    >>☆彡さんいつもスレを上げてくださって応援してくれてありがとうございますm(_ _)m

    2006-01-09 12:07:00
  • 273:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺は仕方なくロマネの在庫を確認しにカウンターまで向かった。
    確認したところロマネはあと4本だった。
    シャンパングラスを集めてボトル4本で出来そうなタワーのセッティングをする。
    タワーは少し小さめの6段になった。

    2006-01-09 12:10:00
  • 274:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里はワクワクした様子で並べられたシャンパングラスを眺めている。
    ここまで来たらもうするしかない…。
    やっぱり複雑だけどかなり嬉しくはある。俺は覚悟を決めてマイクパフォーマンスをした。
    「5番テーブル!由里ちゃんからロマネコンティー4本でタワー頂きましたぁぁぁ!!!!」

    2006-01-09 12:14:00
  • 275:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    店内が一瞬にしてざわめく。
    他の客が信じられないと言った目でタワーの方を凝視してくる。
    従業員達のコールに合わせて次々とロマネをタワーに注いだ。
    由里はタワーの真ん前で満足そうに笑っていた。

    2006-01-09 12:16:00
  • 276:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    タワーのグラスにロマネが全て注ぎ終わってから優也が
    「ここで由里ちゃんから一言!」といきなり由里にマイクを向けた。
    由里は「貴晃誕生日おめでとう!!これからも応援しています。」とマイクを通して言った。
    俺はなんだか感動して涙が出そうになった。

    2006-01-09 12:19:00
  • 277:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    席に戻って一息ついたあと3人で乾杯をした。乾杯の後に
    「あ!そういえばふたりに言ってなかったっけ…?」
    イキナリ由里が唐突に言い出した。
    「え…?何を?!」由里の答えは少し信じ難いものだった。

    2006-01-09 12:24:00
  • 278:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「あたしねー、仕事辞めたの。」
    「え?!いつ?!」
    またまた俺と優也の声がハモった。
    「んー9月頃かなぁ。」

    2006-01-09 12:26:00
  • 279:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (え…?!9月って随分前じゃねーか…!?)
    「嘘やん?!由里10月頃も週2回仕事帰りに来てくれよったやん!」
    「あー仕事帰りに見せかけて家から来てたんだけどね。笑」
    「じゃぁ今は仕事してへんの?!」

    2006-01-09 12:28:00
  • 280:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「うん。毎日ゴロゴロしてるよ。笑」
    (マジで?!じゃぁ一体どこから大金が出てくんねん…?!)
    俺はかなりビックリしていた。でもあまり詮索したくはない…。
    由里なりの事情があって仕事を辞めたんだろうと思った。

    2006-01-09 12:31:00
  • 281:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    そこで優也も唐突に言い出した。
    「というか俺、さっきから気になっとったんやけど…」
    「なに??」
    「由里ちゃんと貴晃、付けてるネックレスが全く同じじゃね?!ビーゼロワンとインゴット…」

    2006-01-09 12:34:00
  • 282:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (やばい…!しくった…!!)
    俺は一瞬にして焦る。それまで気にも止めなかった。
    確かにひとつまでならまだしも、ふたつも同じ物を付けているのは誰がどう見ても偶然とは思わない。
    「あーこれあたしが貴晃にあげたんだもん^^ふたつともお揃いなの。」

    2006-01-09 12:37:00
  • 283:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里は無神経なのか、まさか優也がまだ自分の事を諦めてないと思いもしなかったのかありのままに言った。
    (終わった……)
    俺は急に顔が青ざめる。優也は一瞬にして顔を曇らせた。
    「なぁ…貴晃。正直に言えよ?こないだアフター行くっつって買い物行った相手も由里ちゃんなのか?」

    2006-01-09 12:41:00
  • 284:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「そうだ。」
    俺が静かにそう言うと優也は立ち上がって俺の胸ぐらを掴んだ。
    「なんで俺に嘘付くねん!!!同情でもしてたんか?!傷付けたくないとか偽善者ぶってたんやろ?!どうせ俺の事見下して優越感に浸ってたんやろが!!!」
    爆音のBGMも掻き消す程の大声で俺に怒鳴って来た。

    2006-01-09 12:44:00
  • 285:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里は何が何だか解ってない感じで呆然とその光景を見ている。
    俺達の異変に気付いて従業員達は慌てて優也を宥めにかかる。
    「貴晃表出ぇや!!!!!!!!!」
    優也の怒りはなかなか治まらない。

    2006-01-09 12:45:00
  • 286:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    他の客達もこっちの様子を驚いた顔で見てくる。
    せっかくの誕生日が一瞬で台無しになった。
    とりあえず俺は優也と一緒に店の外に出る事にして優也の後を着いて行く。
    由里が俺を追いかけて来て心配そうに

    2006-01-09 15:36:00
  • 287:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「もう喧嘩はダメだよ?!なんで優也くん怒ってるの…?」
    と哀しそうに言ってきたから
    「大丈夫やって!他の客の目もあるしなんとか表で優也宥めて来るから待っといてな。」
    そう言って由里の頭をポンポンと撫でた。

    2006-01-09 15:38:00
  • 288:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺は優也が今までにない程にキレているのは手に取るように解っていたから
    正直宥める事は不可能だろうと思っていた。
    気が済むまで殴ってもらうしかないかな と覚悟を決めて表へ出た。
    由里には心配をかけたくないけど…こうなってしまった以上仕方がない。

    2006-01-09 15:40:00
  • 289:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    従業員達も心配して一緒に外へ出てきたけど、優也が
    「貴晃とふたりにしてくれ」と静かに言ったのでふたりで表に出た。
    ふたりになった途端、優也はまた俺の胸ぐらを掴んで壁に押し付けて来た。
    「気が済むまで殴れ。」

    2006-01-09 15:46:00
  • 290:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺は至って冷静だった。
    「お前…由里ちゃんと付き合ってんのか…?」低い声で優也が嘆く。
    「付き合ってない。」
    「じゃぁなんでお揃いのネックレス貰ってんねん?!」

    2006-01-09 15:48:00
  • 291:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「わからねぇ。」
    「なんで俺に嘘付いてん?!」
    「優也を傷付けたくないから。」
    俺がそう言った瞬間優也は拳を振り上げる。

    2006-01-09 15:49:00
  • 292:

    ☆彡

    由里ちゃん羨ましぃ(○′3`)

    2006-01-09 22:57:00
  • 293:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    ☆彡さんへ。
    由里は確かに美人でスタイルもいいし愛想もいいからかなりモテていました。
    でも由里はすごく不憫な奴で…。
    やっと半分くらいは書けたと思うので、これからも完結まで是非読んでやってください。^^

    2006-01-09 23:25:00
  • 294:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (殴られる…!)
    そう思って歯を食いしばった瞬間、優也は俺の顔の真横の壁を思いっきり殴った。
    鈍い音がする。優也の拳から血が噴き出す。
    俺は驚いて顔を上げた。優也は俯いていたが頬に雫が流れている…。

    2006-01-09 23:28:00
  • 295:

    ☆彡

    由里さんカナリ不思議な所がイッパィあるから楽しみに完結までバッツィリ見させてもらぃまぁぁ〜す(´∀`)

    2006-01-09 23:29:00
  • 296:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「俺…お前の事親友やと思ってた…。隠し事もないって思ってた。やのにどうしてそんなしょーもない嘘とか付くねん…」
    優也は急に寂しそうに呟く。
    俺は胸が痛くて仕方なかった。「ごめん…優也ほんまにごめん…」
    涙を堪えてそう言うのが精一杯だった。

    2006-01-09 23:31:00
  • 297:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    いっそ気が済むまで殴ってくれた方がマシだった。
    傷付けまいと付いた嘘が余計傷付けてしまう事もある事を19歳にもなってその時初めて知った。
    優也はその後何も言わずに一人でエレベーターに乗ってどこかへ行こうとした。
    「優也…?!オイ!どこ行くねん!!!!」

    2006-01-09 23:33:00
  • 298:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    優也は何も答えずにエレベーターのドアを閉めて1Fへ降りて行ってしまった。
    慌てて俺も階段で1Fまで駆け下りた。
    優也を引き止めようとしたけど、優也は既にタクシーに乗り込んで俺の目の前から走り去った。
    優也が去った後、表現出来ない感情が込み上げて来て、俺は一人でしゃがみこんで泣いた。

    2006-01-09 23:36:00
  • 299:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    泣くのなんて何年ぶりだろう。
    大切な大切な親友をあんなに傷付けてしまった。
    それだけがなんだか悔しくて仕方なかった。
    10分程1Fで呆然としていたけど、我に返って涙を止めて店へ戻った。

    2006-01-09 23:38:00
  • 300:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    店へ入ると従業員達が駆け寄ってくる。
    「貴晃さん大丈夫でしたか?!あれ…?優也さんは……?」
    「あーアイツはとりあえず帰ったわ。俺は大丈夫やからホンマ気にせんといてくれ。」
    心中穏やかではなかったけど、優也と俺の問題だから従業員達に心配をかけたくはない。

    2006-01-09 23:41:00
  • 301:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「貴晃遅かったね…。大丈夫??優也くんは…?」
    由里の席に戻ると由里にまた同じ事を聞かれた。
    「優也は帰った。俺は大丈夫やから。待たせてごめんな由里。」
    「なんで優也くんは怒っちゃったの…?」

    2006-01-09 23:43:00
  • 302:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺は由里には正直に喧嘩の理由を言った。
    優也がまだ由里を好きな事。俺が優也に嘘を付いた事…。
    由里は複雑そうな顔をして
    「優也くん、きっとちゃんと解ってくれると思う。今は無理でもまた仲良しに戻れるよ。ごめんね…あたしのせいだよね…」

    2006-01-09 23:46:00
  • 303:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    と言った。
    俺はなんだかまた泣きそうになった。
    涙を堪えて「いや由里のせいちゃうから…優也とは絶対仲直りするし由里は気にせんといてな…」
    自分に言い聞かせるようにそう言った。

    2006-01-09 23:48:00
  • 304:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    >>306の☆彡さんへ
    由里は確かに不思議な女ですよね^^;
    俺は最後の最後までありのままの由里の姿を知る事が出来ませんでした。
    沢山後悔があります。
    本当に毎回レスくれてかなり励まされます。

    2006-01-10 00:09:00
  • 305:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    その日はその後の事をあまり覚えていない。
    だけど折角の誕生日で俺の為に来てくれた沢山のお客さんをガッカリさせたくはなくて
    がむしゃらに気持ちを切り替えて頑張ったと思う。
    由里はその日ラストまでそんな俺を見守って居てくれた。

    2006-01-10 00:12:00
  • 306:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    やっとラストソングが流れて一斉に客達のチェックを済ませる。
    由里の会計は700万ほどだった。
    またしても由里は躊躇いなく札束をバッグから出す。
    やっぱり不思議な女だ。一晩でこんなに使っていいものなのだろうか…。

    2006-01-10 00:15:00
  • 307:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    客達をみんな送り出して由里を最後にタクシーに乗るまで見送る。
    「また連絡するな。ほんまに今日はありがとう!!言葉にならんほど嬉しかった!!」
    「…貴晃元気出してね…?何かあったらすぐあたしに連絡して。じゃーね。」
    一瞬寂しそうな顔をしたけど笑顔でタクシーの中から手を振る由里。

    2006-01-10 00:17:00
  • 308:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺も笑顔で手を振り返した。
    由里を見送った後、俺もすぐにタクシーに乗り込んだ。
    とにかく優也が心配だから一刻も早く帰りたかった。
    タクシーで10分ほどの距離が今日はやけに長く感じる…。

    2006-01-10 00:19:00
  • 309:

    ☆彡

    謎のままなんですね(T-T)それはカナリせつないですね。。。
    毎回ぉ返事ウレシィです(●>_

    2006-01-10 02:10:00
  • 310:

    名無しさん

    2006-01-10 02:25:00
  • 311:

    名無しさん

    しぉり?

    2006-01-10 15:54:00
  • 312:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    やっとマンションに着いた。
    エレベーターに乗っている間もソワソワして落ち着かない…。
    優也は帰っているんだろうか。
    緊張しながら家の鍵を開ける。

    2006-01-11 16:04:00
  • 313:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    なぜか何回投稿してもNGワードのエラーになってしまって感想のレス返しが出来ません…><
    本当にごめんなさいm(_ _)m

    2006-01-11 16:10:00
  • 314:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    玄関には優也の靴がなかった。
    俺は安心したような寂しいような気分に襲われる。
    恐る恐る優也の部屋に入ってみる。
    そこで俺は驚愕した。

    2006-01-11 16:12:00
  • 315:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    明らかに荷物が減っている…。
    よく着ている服や香水、CD…。
    いろんなものが無くなっていた。
    (優也…?もしかして出ていったのか…?!)

    2006-01-11 16:15:00
  • 316:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺は焦って優也に電話を掛けた。
    でも何度掛けても電源が入っていない…。
    さすがの俺でもかなり凹んだ。
    パニくって由里に電話を掛けた。

    2006-01-11 16:17:00
  • 317:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里の声を聞くと涙を堪え切れなくなった。
    「優也が…家から出てったみたいなんだ…」
    涙声で由里に訴える俺はすごくカッコ悪かったと思う。
    「え…?!本当に?!どこか行き先に心当たりとかない?!」

    2006-01-11 16:19:00
  • 318:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「うん…思い付かねぇ……」
    「あたしも一緒に探すからそんなに気を落とさないでね…」

    優也はそれ以来少しの間姿を消していた。

    2006-01-11 16:20:00
  • 319:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    勿論仕事にも来なかった。
    従業員達も客達も同じ事を何度も聞いてくる。
    「ねぇ優也どこ行ったの?!」
    俺はその質問に本当にうんざりしていた。

    2006-01-11 16:22:00
  • 320:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    全く連絡も取れずに時間だけが流れていく…。
    俺の中で代表なんだからしっかりしなければという気持ちと、どうしても優也が心配な気持ちが交差して
    精神的に参りかけていた。
    由里は普段通りに俺に接して励ましてくれていた。

    2006-01-11 16:24:00
  • 321:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    そんな日々が1か月も続こうとした頃。
    由里がいつもの時間に店まで来た。
    でもいつもより一段と表情が明るい。
    俺の所へ駆け寄って来るなり

    2006-01-11 16:27:00
  • 322:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「貴晃にプレゼントあるのー!店の外出てみて?^^」
    と極上の笑顔で言った。
    俺は不思議に思って由里と一緒に外へ出る。
    外に出て一瞬腰が抜けそうになった。

    2006-01-11 16:29:00
  • 323:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    そこに居たのは紛れもなく優也だった。
    何故か首には大きなリボンを付けている。
    「だーりん優しくし・て・ね♪」
    なんてふざけて言っている。

    2006-01-11 16:30:00
  • 324:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里は手を叩きながら大爆笑…。
    俺は何がどうなっているのかサッパリ解らなかった。
    「おま…!一体何処行ってたんだよ?!??心配したんだぞ!?」
    俺はビックリしすぎてついつい大声で怒鳴った。

    2006-01-11 16:32:00
  • 325:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺の怒鳴り声に優也と由里は俺以上に驚いた顔をする。
    「心配かけてごめんな…。俺しばらく頭冷やしよってん。由里ちゃんといろいろ話し合ってさー。」
    (え…?由里は今まで優也と連絡が取れてたんか…?!)
    「貴晃ごめんね…あたし優也くんと連絡取ってたん。でも優也くんが貴晃には連絡取れてる事を言うなって言われてて…」

    2006-01-11 16:34:00
  • 326:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (由里は俺がどんなに落ち込んでたか知ってるはずなのに優也の味方をしたんか…?!)
    自己中だけど一瞬そんな事を思ってしまった…。
    なんだか急にふたりに仲間はずれにされたような気分になる。
    「つーかさー!お前達両思いなんだからさっさと付き合えよー?!」

    2006-01-11 16:36:00
  • 327:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「は…?」
    (両思い…?俺と由里が…?)
    「俺は由里ちゃんの事頑張って諦めるしさー。心配かけたお詫びにちゃんと応援するし!」
    由里は少し照れた様に俯いて微笑んでいる。

    2006-01-11 16:39:00
  • 328:

    まりぁ

    ゆりちゃん可愛い?

    2006-01-11 21:39:00
  • 329:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    まりぁさんありがとうございますm(_ _)m
    由里もそんな風に言ってもらえると喜んでいると思います。笑
    今からまた少し更新していきますね^^

    2006-01-11 23:58:00
  • 330:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「優也くんからね、貴晃もあたしの事好きって思ってくれてるって聞いたの…。すっごく嬉しかったよ。あたし頑張って元彼忘れようと思う。」
    由里から真っ直ぐな目でそう言われて
    俺もすごく嬉しかった。でもなんだか恥ずかしくもあった。
    「ほらー貴晃!俺の事は気にせず由里ちゃんと今日から付き合え!なっ?」

    2006-01-12 00:02:00
  • 331:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    優也が何故かしつこく急かしてくる。
    俺はその時いろんな事を考えて頭をフル回転させていた。
    俺はその頃本当に毎日仕事で1日も休みがない状態だった。
    最近客達の間でも俺と由里の関係が怪しまれつつある…。

    2006-01-12 00:04:00
  • 332:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (由里と付き合うのならきちんと付き合いたい…。今の俺じゃあんまり構ってやれずに寂しい想いをさせるのは目に見えている…それにもし客達の間で由里に嫌がらせをするような事があったら…)
    本当にいろんな事を頭の中で巡らせた。
    沈黙が続く。
    「貴晃どーなんだよー?!そんなに返事に渋るなら俺が由里ちゃん貰うぞ?!」

    2006-01-12 00:07:00
  • 333:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    優也にそう言われてもその時は今すぐ付き合う気にはなれなかった。
    由里の事は大切にしたいって心から思う。でも今の俺じゃきっと無理だ…。
    「俺の仕事が落ち着くまで由里に待っといて欲しい…」
    俺がその時ようやく出した答えだった。

    2006-01-12 00:10:00
  • 334:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「はっ?!なんだよそれー?お前もハッキリしない奴だなー!」
    優也は呆れ返ったように言う。
    由里は一瞬とても寂しそうな表情をした。
    でもすぐに笑顔になった。

    2006-01-12 00:12:00
  • 335:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「貴晃がそう言うのなら何年でも待つよ^^あたし一度惚れたらしつこいねん。もーええわってなるくらいまで待つ。」
    由里は芯の強い口調で俺にそう言ってくれた。
    「ごめんな…でも俺ホンマに由里の事好きやから。付き合うならちゃんと付き合いたいねん…」
    俺がその時きっと産まれて初めて女を相手に口にした言葉。「好き」って言葉。

    2006-01-12 00:16:00
  • 336:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    優也は俺が口にしたその言葉を聞いてすごく驚いていた。
    「貴晃が好きとか言ったの俺初めて聞いたし、由里ちゃんは信じて待ってあげて…^^裏切るような事は絶対ないと思うし。もし不安になったりしたら俺はいつでも由里ちゃんの相談乗るでー!」
    優也は本当に応援してくれるみたいで、俺もなんだか申し訳ないけれど有り難く思った。
    「うん^^優也くんホントに有り難う。ちゃんともうケンカせずに貴晃と仲良くしてよー?」

    2006-01-12 00:20:00
  • 337:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「おう!ホント貴晃心配かけてごめんな。ちゃんと家にも戻るし仕事にも戻る。その代わり由里ちゃんを泣かせたら俺が絶対許さねーから!」
    「わかった。ありがとな優也…」
    幸せだった。すごく。俺はなんて幸せ者なんだろうって思った。
    優也が戻って来て、由里とも両思いになれた。あの日はこの上ない幸せな日だった。

    2006-01-12 00:24:00
  • 338:

    まりぁ

    ゅりちゃんみたいな女の子になりたぃ?って素直に思ったぁ?どうなっちゃうのか気になります?
    >>1-180>>180-350

    2006-01-12 00:25:00
  • 339:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里、ごめんな。
    あの日の俺の決断は本当に間違ってたと思う。
    すぐにでも由里と付き合うべきだった。俺のエゴでお前を苦しめていた事にさえ気付けなかった。
    あの時すぐに付き合っていればお前をもっと幸せに出来たはずなのに…
    今も一番後悔しているんだ。あの時の事を…。

    2006-01-12 00:27:00
  • 340:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    >>349のまりぁさんへ
    由里はホントにいい子すぎて不思議なくらいでした…^^;
    でもかなり無理はしてたと思います…
    続き頑張って更新していきますね^^

    2006-01-12 03:35:00
  • 341:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    その後は店の中へ3人で入った。
    「優也さん?!?優也さんだ!一体今までどこ行ってたんですかー!」
    従業員達はすごく驚いていた。
    「ちょっと一人旅に出てただけー♪ただいまー!」

    2006-01-12 03:42:00
  • 342:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (いつもの優也だ…ほんとに戻って来てよかった…)
    俺はかなり安心した。
    一息ついて由里の席へ着いた時、由里にお礼を言った。
    「由里、ホンマにありがとうな…。優也が戻って来て嬉しいわ…」

    2006-01-12 03:45:00
  • 343:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「貴晃は優也くんが大好きだもんねぇ^^貴晃の力になれたならよかった…」
    そう言って綻んだ笑顔の由里を無性に抱き締めたくなった。
    一体どうすればいいんだろう…本当に由里が好きで仕方がない。
    こんな気持ちも初めてだ。全力で大切にしたいと心に誓った。

    2006-01-12 03:49:00
  • 344:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「あれ…?そう言えば由里その足のアザどうしたん…?!」
    俺は自然と由里の膝の上辺りの青あざに目が行った。
    「え…?あぁ…ちょっとぶつけただけだよ^^全然痛くないし大丈夫。」
    その時は(そっか…)って思ってそんなに気にも止めなかった。

    2006-01-12 03:52:00
  • 345:

    ☆彡

    気にナルage↑

    2006-01-12 04:40:00
  • 346:

    にきび

    今一気によんだぁ?ばぁり気になるッ?とりあしおり?

    2006-01-12 06:23:00
  • 347:

    まりぁ

    更新されてる?ゅりちゃんどうなっちゃうの???最近毎日これ読むのが楽しみデス?頑張って完結させて下さいね???

    2006-01-12 16:42:00
  • 348:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    ☆彡さん本当にいつもありがとうございます^^
    にきびさん初めましてm(_ _)mしおりありがとうございます♪
    まりぁさん毎日読んでくれてるとか嬉しすぎます><
    そう言ってくださるとトコトン書く気が湧いてきます^^

    2006-01-12 17:43:00
  • 349:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「あ!そうだ!貴晃今日仕事終わった後何か予定ある??」
    「え…?今日は別にないで?」
    「じゃぁあたしの家おいでよ^^」
    突然の由里の誘いにビックリした。

    2006-01-12 17:45:00
  • 350:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    あの時何を思って由里は俺を家に来るように誘ったのかは定かではない。
    だけど俺は単純に嬉しかった。由里も喜んでいる。
    別にやましい気持ちや下心なども一切なかった。
    ただ少しでも一緒に居る時間を増やしたい。

    2006-01-12 17:50:00
  • 351:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里はその日俺の仕事が終わるまで店で大人しく待っていてくれた。
    従業員達も帰って、優也にも由里の家へ遊びに行く事を報告してから
    一緒にタクシーへ乗り込んだ。
    「なんか緊張するわぁ…!」

    2006-01-12 17:52:00
  • 352:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「え…?なんで??」
    「俺女の子の家とかあんま行った事ないしなぁ…」
    「そうなんだ?!なんか意外かも。笑 まぁ楽にしてよー!^^」
    タクシーの中でそんな会話をしていると由里のマンションへ着いた。

    2006-01-12 17:54:00
  • 353:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    タクシーから降りて由里の後を着いて行った。
    マンションの中へ入るととりあえずその豪華さに驚く。
    大理石が敷き詰められたエントランスホール。
    フロントには3人ほどフロントマンまでいる。

    2006-01-12 17:56:00
  • 354:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    エレベーターに乗ってる時間もやけに長い。
    タワーのエレベーター並の長さだ。
    何分かの間エレベーターに乗ってやっと最上階に着く。
    エレベーターを降りると一面強化ガラス張りの絶景が広がっていた。

    2006-01-12 18:05:00
  • 355:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「うわ…!すげぇ…」
    街を充分見渡せる景色が広がっている。
    「結構キレイでしょ^^もう見飽きちゃったけど…さっ!部屋入って^^」
    由里が部屋の鍵を開ける。

    2006-01-12 18:08:00
  • 356:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    中を見て俺はあまりの広さに絶句した。
    玄関の床は当たり前のように大理石。
    リビングダイニングは30畳くらいある。
    小綺麗なシステムキッチンに部屋はリビングの他に4つもある…。

    2006-01-12 18:12:00
  • 357:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「マジ広すぎやん…ほんとに由里ここに一人で住んでんの?!」
    「うん…。ただ広いだけで全然落ち着かないけどね。部屋4つも必要ないし。笑 でもここにもう2年くらい住んでるかな…」
    ふいに哀しそうな目を見せる由里。

    2006-01-12 18:15:00
  • 358:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (2年も?!由里17歳だよな?!ってことは15歳から一人で…?!)
    「なぁ前から気になってたんやけど、由里は金とか一体どうしよん?!今仕事もしてへんのやろ…?」
    ずっと不思議で仕方なかった事を俺はその時やっと聞いた。
    だけど由里は黙って俯いたまま。

    2006-01-12 18:18:00
  • 359:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「…まぁとりあえず座ってよ^^お茶入れるね。」
    由里は話を反らす様に俺を座らせて台所へ向かった。
    (やっぱ聞いちゃいけないんかな…でも気になって仕方ねーし…)
    悶々とソファーに座って考え込む。

    2006-01-12 18:21:00
  • 360:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「はい。どうぞ。熱いから気を付けてね。」
    由里がお茶を差し出して来て俺の隣に座った。
    「あ…ありがと…」俺は少しそのお茶をすする。
    少し沈黙が続いた。

    2006-01-12 18:27:00
  • 361:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    それからイキナリ由里は口を開いて唐突にこう言った。
    「あたしのお父さんね、○○○の社長やねん。」
    「え…?!」
    ○○○にはきっとどんな庶民でも知っているような有名な会社の名前だった。

    2006-01-12 18:29:00
  • 362:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里は長者番付にも毎年上位に入るくらいの億万長者の娘…。
    その言葉を聞いて俺はいろいろと納得して胸のつかえが取れた感じだった。
    由里が大金を躊躇いなく使うのも、なんとなくおしとやかで上品さがあるのも。
    「そうやったんやぁ…。ビックリや…」

    2006-01-12 18:33:00
  • 363:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    なんかどう反応していいのか解らずに俺はそんな言葉しか返せなかった。
    「あたしね、昔から自分の事を金持ちって目で見られるの嫌やねん。金目当てで寄ってこられるのも、もううんざり…」
    「今までになんかあったん…?」
    俺だったら金持ってたら調子に乗るけどなぁ…というか普通は調子に乗るだろ…。

    2006-01-12 18:37:00
  • 364:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「お金って人を変えるもん。」
    苦笑いしながらそう言う由里の言葉にはどこか奥が深いものがあった。
    「何があったんか嫌じゃなかったら俺に話してくれへん…?」
    「んー…じゃぁちょっとだけ話そうかな…^^」

    2006-01-12 18:40:00
  • 365:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    そう言って今までの経歴を語り始めた由里の話はあまりにも酷すぎるものだった。
    「あたしの両親ね、あたしが12歳の頃に離婚したの。原因はお母さんの浮気。お母さんに他に好きな人が出来て、家を出る時にあたしも一緒に連れてってくれたの。
    あたしは仕事ばっかりのお父さんよりも優しいお母さんの方が好きだったから、お父さんと離れるのは寂しかったけどお母さんと一緒で嬉しかったなぁ…

    2006-01-12 19:23:00
  • 366:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    お母さん、お父さんからは毎月あたしの多額の養育費を貰ってたみたい。
    それからはお母さんと新しいお父さんと3人で人並みに暮らしてた。
    新しいお父さんは仕事もしないしロクでもない人だったけど、あたしには結構優しくしてくれた。
    でもそんな生活も2年ともたなかったの。

    2006-01-12 19:27:00
  • 367:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    新しいお父さんはお母さんの通帳を持っていきなり消えた。
    あたしが14歳の時だったかな。
    毎月お父さんがたくさん振り込んでくれてたお金全部持ってちゃったの。
    それからというものお母さんは毎日お酒飲んで…荒れてて…見てられなかった。

    2006-01-12 19:30:00
  • 368:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    ある日お母さんがいつも通りお酒飲んでる時に、言われた言葉がある。
    「あたしがあんたを引き取ったのはアイツから養育費を貰う為だけだったの!目障りだからもうお父さんの所へ帰りな!」って…。
    そんな事を言われても私は荒れてるお母さんを放っておけなかった…。
    あたしがお父さんに事情を説明してまたお金振り込んでもらったりして助けてもらってた。

    2006-01-12 19:35:00
  • 369:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    でもそんな日々も長く続かなかった……」
    由里は急に話を止めて目に涙を溜めた。
    俺はただそんな由里を抱き締めるしか出来なかった。
    「ゆっくりでいいから。話せる事だけ話して…」

    2006-01-12 19:37:00
  • 370:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「うん…………あたしがね…、15歳になりたての頃…お母さん自殺したの…」
    「え?!」
    「遺書には「由里ごめんね…」って一言だけ。あたしは絶望するしかなかった…」

    2006-01-12 19:42:00
  • 371:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    泣きじゃくる由里の頭を優しく撫でながら
    俺は軽はずみにとんでもない事を聞いてしまった気になった。
    由里が俺に涙を見せたのはこの日が最初で最後だった。
    由里は更に話を続ける。

    2006-01-12 19:44:00
  • 372:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「その後お母さんの葬儀で会ったお父さんは新しい奥さんを連れてた。
    なんかね、その時自分だけ取り残されてひとりぼっちになった様な気がした。
    お父さんはそんなあたしに後ろめたい気持ちがあったのか新しい家を買ってくれたの。
    それがここなんだけどね…。

    2006-01-12 19:47:00
  • 373:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    それから毎月お金も振り込むって言われて、あたしは断ったの。もう自分で働けるからって。
    でもそういう訳にはいかないって毎月たくさんお金振り込んでくれてた。
    あたしはそのお金に一切手を付けたくなかったの。
    なんだかんだでお父さんに対する当て付けだったのかもしれないけど…

    2006-01-12 19:49:00
  • 374:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    お父さんはお父さんの人生があるし、あたしに責任感じる事はないって思って。
    でもほんとは寂しかった。お金なんかよりも…自分勝手だけど私はまたお父さんと暮らしたかった…。
    だけど新しい生活を手に入れてるお父さんの邪魔はしたくなかった…。
    だから中学卒業してから必死で働いたの。お父さんのお金に頼らずに生きていこうって…。

    2006-01-12 19:52:00
  • 375:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    そんな頃にね、元彼に出逢った。
    ここで1年くらい同棲してたんだけどね…。
    すごく大切にしてくれて、あたし一人じゃないんだって思えて幸せだった。
    でも結局その元彼もあたしのお金が目当てだった…。

    2006-01-12 19:55:00
  • 376:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    急に姿を消したの。置き手紙には
    「お前腐る程金持ってるくせに使えねぇ。親父から貰った金くらい使えばいいのに。もう俺付き合いきれねーわ。」
    って残されてた。あたしはまたどん底になった。
    もう人を信じたくなかった…。その頃貴晃に出逢ったんだよ。」

    2006-01-12 20:01:00
  • 377:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    無理矢理笑顔を作って俺に微笑みかけながら由里はそう言った。
    「そうやったんや…なんか言葉が出てこんわ…」
    「ううん…ごめんね。暗い話で…」
    俺はその話を聞いて由里を苦しめた奴等が心底憎かった。

    2006-01-12 20:04:00
  • 378:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    無邪気でいつも笑顔な由里がこんなにも大きな傷を背負っていたなんて……
    由里を思いっきり抱き締めて
    「俺が由里を一生守るから…絶対これ以上哀しい想いもさせへん…元彼も忘れさせてみせる。だから俺の事だけは信じてな…」

    2006-01-12 20:06:00
  • 379:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    自分に誓うように由里にそう言った。
    「ありがとう…ほんとに…貴晃に出逢えてよかった…」
    由里は涙声で俺の耳元でそう言った。
    「あたしが貴晃にお金使ったのは貴晃の事試してた部分もあったの…」

    2006-01-12 20:08:00
  • 380:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「え…?」
    「でも貴晃全然がっついて来ないし、この人は信用出来るかなって思ったよ…^^」
    「そうやったんや…俺はなんでそんなに金持ってんのか気になって仕方はなかったけど…由里の事本当に大切にしたいから金とか使わせたくなかっただけやねん…」

    2006-01-12 20:10:00
  • 381:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「そっかぁ…ありがとう…そんな事言われたの初めて…」
    「あ!そぉや!」
    「え??」
    俺はその時前に一緒に買い物に行った時の帰りのタクシー代の事を思い出した。

    2006-01-12 20:13:00
  • 382:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「これ由里が置いてったタクシー代。返すな^^」
    「え…?貴晃使わなかったの?!」
    「うん。ずっと返そう返そうと思って財布の隅によけといた!」
    「変な所で律儀なんだね^^笑」

    2006-01-12 20:15:00
  • 383:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里はやっといつもの笑顔に戻ってタクシー代を受け取ってくれた。
    俺は安心して咄嗟に話題を変えた。
    「あ!そういえば由里は誕生日欲しいもんある?^^」
    「え…?あたしの誕生日2月だよー?!まだ今12月なのに。笑」

    2006-01-12 20:17:00
  • 384:

    ゅか

    実は私この小説初めから読んでて毎日チェックしてました??〃でも書き込みとかしたことなかったからしなかったけど、今日は書き込みしたくなってしちゃいました?貴晃くん頑張って最後まで完結さして下さいね?

    2006-01-12 20:25:00
  • 385:

    まりぁ

    更新されてなぃ?ゅりちゃんすごいなぁ?忙しいと思いますが頑張って下さい?

    2006-01-14 16:34:00
  • 386:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    ゅかさん初めまして^^
    書き込みすごく嬉しいです!!頑張って完結させますから見ていてくださいね。
    まりぁさん更新遅れてすみません><
    由里はホントすごいですよね…^^;頑張って更新していきます(^o^)

    2006-01-14 18:21:00
  • 387:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「えぇねん!今のうちに聞いておく!笑 何がほしいー?^^」
    「んー…じゃぁ指輪が欲しいな…」
    「指輪?解った!楽しみにしといてな^^」
    「ねー貴晃…」

    2006-01-14 18:23:00
  • 388:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「ん…?」
    「あたしの誕生日までには貴晃の仕事落ち着くかなぁ…?」
    急に寂しそうな顔を見せるの由里。
    「なんとか頑張るわ!!早く仕事が落ち着くように^^」

    2006-01-14 18:25:00
  • 389:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「うん^^」
    俺の言葉に優しく微笑む由里。
    「ええ子にして待っといてな^^笑」
    由里の頭を撫でながら俺も微笑んで言った。

    2006-01-14 18:27:00
  • 390:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    なぁ、由里。今も俺、分かんないんだ。
    お前は本当の自分を俺に見せてた?
    いい子過ぎるお前はずっと俺の前でも無理をしてた?
    俺、少しでもお前の痛みを知りたかった。助けてやりたかった。

    2006-01-14 18:32:00
  • 391:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    そしたら今とは違う未来があったのかな。
    意味のない後悔は募るばかりで
    俺は今もお前の居ない世界を彷徨ってる。
    もう一度だけでも お前に会いたいだけなのに−

    2006-01-14 18:35:00
  • 392:

    名無しさん

    2006-01-14 19:28:00
  • 393:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    その日はそんな会話をした後にふたりとも疲れていたから由里の布団で手を繋いで寝た。
    キスを何度かしたくらいで俺はそれ以上の事は何もしなかった。
    大切にするって難しい。抱かなければ大切にしているとは言い難い。
    だけど俺はその時充分過ぎる程に幸せだった。

    2006-01-15 00:18:00
  • 394:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    だからそれ以上は求めなかった。
    最初はお互い照れながら布団の中で笑い合ってたけど
    俺は気付けば由里よりも先に寝てしまっていた。
    なぁ由里もあの時は俺と同じくらい幸せだった?

    2006-01-15 00:20:00
  • 395:

    にきび

    更新されてるぅ?がんばって?しおり?

    2006-01-15 20:46:00
  • 396:

    まりぁ

    更新されてるぅ???何か先がわかってきたかも??ゅりちゃんィィ女すぎるよ?そんな環境なのに性格ィィし顔もィィなんて?見習わなきゃ?

    2006-01-15 20:51:00
  • 397:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    にきびさんしおりありがとうございます^^頑張りますね!!
    まりぁさん先が解ってきましたか!?すごいです…笑 600くらいで完結出来ると思います^^

    2006-01-16 15:07:00
  • 398:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    爆睡してた俺がようやく目を覚ますと隣で寝てる筈の由里が居なかった。
    「由里…?!」寝ぼけながら由里を探す。
    時刻はPM9:00頃。
    (やべーちょっと寝過ぎた…仕事の準備に帰らんとあかん…)

    2006-01-16 15:09:00
  • 399:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里の部屋から出てリビングへ行く。
    なんかおいしそうな匂いが漂っている。
    「あ!貴晃おはよ^^オムライス作ったけど食べる…?」
    キッチンに立ってた由里が笑顔で言ってきた。

    2006-01-16 15:10:00
  • 400:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「え?由里が作ったん?!食べるっ!!」
    あまり時間に余裕がなかったけど俺は子供みたいに目をキラキラさせて言ったと思う。
    「もーちょっと時間かかるから先にお風呂入ったらー?お風呂貸すよ^^」
    (由里ってホンマ気が利くな……)

    2006-01-16 15:13:00
  • 401:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    確かに自分の家に帰ってから風呂に入るよりも今ご飯待ちの時に入れた方が時間が短縮出来る。
    「ありがと^^じゃぁ借りるわ♪お風呂どこ??」
    「廊下に出て4番目のドア^^というかなんかアタシ達同棲してるカップルみたいだね笑」
    「そうやな^^」

    2006-01-16 15:16:00
  • 402:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里の頭をくしゃくしゃっと撫でて照れ笑いしている由里につられて俺もちょっと照れた。
    「じゃー風呂行ってくるわ♪」
    「いってらっしゃい^^」
    言われた通り俺は廊下に出て4番目のドアを開く。

    2006-01-16 15:18:00
  • 403:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    ひとつは銭湯並にでかい風呂でもうひとつは丸いジャグジー風呂。
    両方とも由里が俺が起きる前に沸かしてくれてくれたみたいだった。
    (どっちから入ろーかなー…♪)
    俺は初めて銭湯に来た小学生みたいにウキウキしてた。笑

    2006-01-16 15:25:00
  • 404:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    一通り風呂に入ってシャンプーをして身体を洗って風呂場を出た。
    バスタイルで身体と髪を拭いてまたスーツを着た。
    廊下を歩いてリビングに向かっていると由里の電話で話している様な話し声が聞こえてきた。
    「解ってます。ちゃんと今日行きますから…そんなに心配しないでください。」

    2006-01-16 15:37:00
  • 405:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (由里自分の父親に敬語で話すんや?!)
    なんとなくビックリした。
    まぁこの時の由里の電話の相手、ホントは父親じゃなかったけど…。
    この時の俺には由里の嘘に気付く訳がなかった。

    2006-01-16 15:41:00
  • 406:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「今日親父さんとこに行くん??」
    「うん…。しばらく行かなきゃいけないの。いろいろ事情あって。」
    また急に寂しそうな表情を見せる由里。
    (やっぱり親父さんと気まずいんかな…?)俺はそのくらいにしか思ってなかった。

    2006-01-16 15:44:00
  • 407:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「あ!貴晃風邪引いちゃうから髪の毛乾かさなきゃ!ドライヤー出して来るね。」
    どことなく気まずい雰囲気に由里は逃げる様に風呂場へドライヤーを取りに行く。
    (やっぱ由里はさりげない事ひとつにも良く気が利くなぁ…)
    俺はただただ感心するばっかりだった。

    2006-01-17 02:49:00
  • 408:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「はい^^ドライヤー。そこにコンセントあるから髪の毛乾かしてて。あとは卵焼くだけだから^^」
    「ありがと^^オムライス楽しみやわー!」
    俺はソファーに腰掛けて自分の髪を乾かしながら、キッチンに立ってる由里の後ろ姿を見てた。
    (俺は絶対由里みたいな人と結婚したいわ…というか奥さんにするなら由里がええな…)

    2006-01-17 02:53:00
  • 409:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    ぼんやりとそんな事を思った。
    「よしっ♪オムライス出来たぁ^^」
    由里が笑顔でソファーに座ってる俺の前に大きなお皿を持って来る。
    由里が作ったオムライスは俺が想像してたのとかなり違った。

    2006-01-17 02:55:00
  • 410:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「うわ!マジでうまそうなんやけど!!!!!!」
    俺が想像してたのは普通のチキンライスにケチャップのオムライス。
    でも由里が持ってきたのはまるでオムライス専門店で出される様な手の込んだものだった。
    ケッチャップではなくデミグラソースで卵も半熟。チキンライスも味付けが全く違う。

    2006-01-17 02:59:00
  • 411:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    中にはとろけるチーズまで入っていた。俺は感激して食べながら
    「ほんとにこれ由里が作ったん?!マジおいしいしプロ並やわ!!!」と言うと
    「ありがとう…^^オムライスはあたしの一番得意な料理やねん♪」
    と由里は照れくさそうに笑っていた。

    2006-01-17 03:02:00
  • 412:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「あれ…?由里は食べへんの…?!」
    「あたしお腹空いてないから^^もう自分の作るオムライスにも飽きちゃったしね笑」
    なぁ由里。あの時お前の変化に全然気付けんでごめん。
    笑いながらもあの日はずっとどっか寂しそうな顔してたよな。

    2006-01-17 03:05:00
  • 413:

    名無しさん

    2006-01-17 03:58:00
  • 414:
    2006-01-17 04:04:00
  • 415:

    まりぁ

    ぇ 何で嘘ついたの?急展開だぁ?楽しみに待ってます?

    2006-01-17 15:49:00
  • 416:

    名無しさん

    早く書いてぇ〜気になって寝られへん(>_

    2006-01-18 15:41:00
  • 417:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    428さん429さん読みやすくして頂いてありがとうございます^^
    まりぁさんいつも感想ありがとうございます♪これから完結に向けてラストスパートです。
    431さん更新遅くなってごめんなさい^^;今からまた更新します♪

    2006-01-18 20:36:00
  • 418:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺がオムライスを食べ終わったのはPM10:30頃だった。
    「あーそろそろ仕事の準備しに帰らんとあかん…」
    「そっかぁ…寂しいな…。でもお仕事頑張ってね^^」
    「ありがと^^また来てもかまん??」

    2006-01-18 20:39:00
  • 419:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「もちろん♪下まで送るね。タクシー呼ぶ??」
    「あーうん。タクシー呼んで。」
    ふたりで由里の家を出てエレベーターに乗る。
    エレベーターの中で何度もキスをした。

    2006-01-18 20:41:00
  • 420:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    1Fに着いて由里がフロントの人に
    「タクシーを1台呼んでください」と言っていた。
    エントランスホールにあったふかふかのソファーに二人で腰掛けて待つ。
    5分くらいですぐにタクシーは着いた。

    2006-01-18 20:43:00
  • 421:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    マンションから出て俺はタクシーに乗った。
    由里はタクシーに乗り込んだ俺を見ながら笑顔で手を振っている。
    でもいつもよりもどこか哀しそうな笑顔だった。
    今も目に焼き付いて離れない。俺が見た由里の最後の笑顔−

    2006-01-18 20:46:00
  • 422:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里はあの時一体どんな想いで俺に笑顔を作った?
    そう想うといたたまれないんだ。
    なぁ、ひとつだけ言わせてくれ。
    由里のその有り余る程の優しさは俺にとっては少し残酷過ぎたよ。
    そんな優しさなら 俺は要らなかったんだ。

    2006-01-18 20:50:00
  • 423:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺はその後自分のマンションに着いてさっさと着替えて仕事へ行く準備をしていた。
    コンコンッ イキナリ着替え中に部屋のドアを叩く音がする。
    「優也どしたん?」そう言ってドアを開くとにやけた顔の優也が入って来た。
    「貴晃相変わらずえぇ体しとるのぉ♪」

    2006-01-18 20:53:00
  • 424:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    エロオヤジ並の優也のにやけ顔に思わず俺は笑った。
    「あれー?帰るの遅かった割にはキスマークとか付いてへんやーん?」
    「お前はアホか!!!!!!!!」
    俺は照れながら怒鳴った。

    2006-01-18 20:55:00
  • 425:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「えー?もしかしてお前由里ちゃんとヤラんかったん?!」
    「そんなんするわけないやろー!!」
    「マジ?!なんで?!よー我慢出来たなー!由里ちゃんあんなええ身体してんのに!俺やったら家でふたりきりとか間違いなく押し倒すわー!」
    「お前と一緒にすなっ!!笑 俺は由里を大事にすんねん!付き合ってないのにそんなんしたくない。」

    2006-01-18 20:58:00
  • 426:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「…なぁお前、ホンマに由里ちゃんの事は裏切んなよ?!俺がやっとの想いで諦めたんやから!」
    急に真剣な声になる優也に少し驚いた。
    「由里を裏切る訳ないやろ。今は一刻も早く仕事を落ち着かせたいねん。それから由里と真剣に付き合うし。」
    俺も真顔で優也を真っ直ぐ見て言った。

    2006-01-18 21:01:00
  • 427:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「そっか…。俺は貴晃の事も由里ちゃんの事も大好きやからホンマふたりには幸せになって欲しいわ!メッチャ応援するで!!」
    「ありがとな優也。俺もお前の事はホンマに大切に想っとんで!!」

    優也…ごめん。お前はあの時「ふたりには幸せになってほしい」ってどんな想いで言った?
    俺、由里の事幸せにするってお前の誓ったのに守れんでごめん。

    2006-01-18 21:07:00
  • 428:

    名無しさん

    続き気になる!!

    2006-01-18 21:44:00
  • 429:

    名無しさん

    続き待ってます?

    2006-01-18 22:42:00
  • 430:

    名無しさん

    守りきれなくても精一杯の気持ちがあったないいと思う☆一人でできない事一人でしようってがんばりすぎないくださいねm(__)m読んでるんでがんばってください!

    2006-01-18 22:55:00
  • 431:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    443さんもうすぐ完結出来ると思うので頑張って更新していきますね。
    444さん続きを楽しみにしてくださる方がいるとかなり励みになります。ありがとうございます。
    445さん後悔なんて意味のない事。でも悔やまずには居られない事も沢山ありますよね。
    俺は由里が居なくなってから自分を責めてばかりでした。
    完結までどうか読んでやってください^^

    2006-01-18 23:30:00
  • 432:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺は準備を終えて優也と一緒にタクシーに乗っていつもと同じ道のりを走る。
    タクシーの中では由里の家での出来事を優也に話していた。
    「うわー!俺も由里ちゃんの作ったオムライス食いたかったなー…」
    応援する と気持ちを切り替えたものの優也はやっぱり羨ましそうだ。

    2006-01-18 23:33:00
  • 433:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里は俺が家へ遊びに行った日からプッツリと俺の店に現れなくなった。
    俺は由里に会いたくて仕方がなかった。
    メールは必ず毎日していた。でも電話は掛けても由里は滅多に出なかった。
    会えなくなって1か月が経った頃。

    2006-01-18 23:36:00
  • 434:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    やっぱり会いたくて我慢が出来なくなった俺は由里にメールで
    「由里ん家遊びに行きたい…」と送った。
    由里からの返信は
    「ごめんね…。しばらく無理なの…あたし今東京に居るから…」だった。

    2006-01-18 23:38:00
  • 435:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (え…?!なんで東京…?!)
    驚いた。そんな事一切聞いてない。
    「なんで東京なんっ?!」
    「お父さんのところ…。落ち着いたらまた貴晃のお店にも遊びに行くから^^」

    2006-01-18 23:40:00
  • 436:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (そう言えば親父さんとこ行くっつってたよな…もしかして今親父さんと一緒に住んでんのかな…)
    前に由里から聞いた話で由里の複雑な家庭環境は知ってた。
    だからあまり深くは詮索したくなかった。
    「そっか…俺由里に会いたくてたまらへんわ…><」

    2006-01-18 23:42:00
  • 437:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「あたしも貴晃に会いたいよ…;;」
    由里もメールで会いたいと言ってくれてとりあえず安心した。
    由里がイキナリ俺に会いに来てくれなくなって
    やっぱりずっと不安で仕方なかった。

    2006-01-18 23:45:00
  • 438:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    なぁ由里があの時に突き通してた嘘は、一体何を守る為やった?

    俺はただ その言葉を信じるしか出来へんかった。
    由里の「また会いに行く」って言葉だけを信じるしか あの時には出来なかった。

    2006-01-18 23:48:00
  • 439:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    気付けば会えなくなって更に1か月があっと言う間に経って2月になった。
    由里の誕生日が目前に控えた頃。
    俺はやっと仕事が一段落しそうだった。
    「やっと仕事が落ち着きそうやわ。誕生日に指輪持って東京まで行くから。そう言えば由里の指輪のサイズは何号?」

    2006-01-18 23:51:00
  • 440:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「ホントに?!じゃぁやっと付き合えるよね…?^^サイズは5号だよ。」
    (5号?!メッチャほそっ!)
    俺はまさかそのメールが由里の最後のメールだなんて思いもしなかった。
    (はよ指輪買いに行かなんとあかんな…)

    2006-01-18 23:54:00
  • 441:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺はその日仕事が終わってから以前由里と一緒に買い物に来たショッピングモールへ向かった。
    由里へのプレゼントの指輪は以前から決めていた。
    ブルガリのビーゼロワンのダイヤ入りの指輪。
    (ブルガリが大好きな由里なら絶対喜んでくれるやろな…)

    2006-01-18 23:59:00
  • 442:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    そう思うと早く買って渡したくて仕方なかった。
    タクシーから降りてショッピングモールを歩いていると少し寂しくなった。
    (ほんの3か月前にここで由里と一緒に歩いてたのに…)
    やっぱり2か月近く会ってないせいか、さすがの俺でもセンチメンタルな気分だった。

    2006-01-19 00:02:00
  • 443:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    買う物は決まってたから俺は真っ先にブルガリの直営店へ入る。
    店内に入ってすぐに店員に「ビーゼロワンのダイヤ入りの指輪ください。」と速攻で言った。
    「畏まりました^^サイズは如何なさいますか?」
    「5号で。」

    2006-01-19 00:05:00
  • 444:

    ?ナツミ?

    今一気読みしたぁッ☆超読みやすい☆彡色々質問??したい事がぁるケド我慢?(>_

    2006-01-19 00:07:00
  • 445:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「申し訳ございません…今こちらでお取り扱いしているのは6号からで5号は特別注文になります…」
    「え?!マジでー?!」
    俺はガッカリして思わず子供みたいな大声を出してしまった。
    「こちらの指輪は結構縦の幅がございますので、普段5号の方なら6号あたりがピッタリだと思いますけど…^^」

    2006-01-19 00:09:00
  • 446:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    店員はそんな俺に慰めるように言ってくる。
    店員にそう言われて
    (それなら6号でも合わへん事ないよな…?逆にきつくて入らん方が困るし…)
    と思い「じゃぁ6号でいいです。」と言った。

    2006-01-19 00:11:00
  • 447:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「畏まりました^^こちらの商品でよろしいでしょうか?」
    店員がケースから出して商品を見せてくれた。
    沢山埋め込まれたダイヤがキラキラしていてキレイだ。それにしても小さい指輪。
    (こんなに小さいのホンマに由里の指に入るんやろか?でも身長もちっちゃい由里にはピッタリかな?♪)
    「はい。これで。」

    2006-01-19 00:18:00
  • 448:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    でも由里が今まで俺に使ってくれた金額とは比べものにはならないけれど…。
    店員がすぐに包装をしてくれてブルガリの袋を渡して来た。
    (これでやっと由里へのプレゼント買えた…はよ渡したいわぁ…)
    帰りのタクシーの中で由里の喜ぶ顔を早く見たいと思った。

    2006-01-19 00:38:00
  • 449:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    指輪を買った日は確か由里の誕生日の3日前だった。
    肝心の由里とはその日から連絡が全く付かなくなっていた。
    由里の誕生日がどんどん迫ってくる。
    せっかく仕事も落ち着いてやっと付き合い出せるのに…

    2006-01-19 00:42:00
  • 450:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺は不安で不安で仕方なかった。由里が心配で仕方なかった。
    (一体何しよんやろ?!何かあったんかな………)
    仕事も手に付かないくらいに心の中は乱れていた。
    だけど時間は待ってくれずについに由里の誕生日が来てしまった。

    2006-01-19 00:44:00
  • 451:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺は12時ピッタリに由里へメールを送った。
    「由里誕生日おめでとう!!最近ずっと連絡付かへんからホンマに心配や…落ち着いたら絶対連絡してな?!ずっと待ってるから…指輪買ったからどうしても渡したいねん…」
    返事は なかった。

    2006-01-19 00:47:00
  • 452:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺は気が気じゃなくなって由里に電話をかけた。何回も何回も。
    繋がるけど由里は電話に出る事はなかった。
    諦めて電話を掛けるのを辞めた約8時間後。ようやく俺の電話に由里の指定着信音が流れた。
    ディスプレイには由里の文字。

    2006-01-19 00:50:00
  • 453:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「え…?」
    受話器から聞こえてきたのは由里の声ではなかった。どう考えても大人の男性の声。
    でも確かにその人は俺の名前を言った。
    なにがなんだか解らない。一体なんやろ…この嫌な予感…。

    2006-01-19 00:59:00
  • 454:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    なぁ由里。お前の誕生日を俺は生涯忘れへん。忘れられへんわ。
    あの日は俺にとって紛れもなく今までの人生で一番最悪な日やった。
    由里とやっと付き合えると思いよった。
    どうせなら由里の誕生日を俺達の付き合い始めた記念日にしたかったねん…。

    2006-01-19 01:02:00
  • 455:

    まりぁ

    そろそろ完結ですかッ?どうなるか楽しみにしてます?頑張って下さい?

    2006-01-19 02:08:00
  • 456:

    ?プゥ?

    ごっつい気になる??更新待ってます??読みやすいし話に引き込まれマス???頑張って?

    2006-01-19 02:19:00
  • 457:

    名無しさん

    2006-01-19 07:07:00
  • 458:

    名無しさん

    2006-01-19 07:26:00
  • 459:

    名無しさん

    待ってます☆☆

    2006-01-19 23:00:00
  • 460:

    にきび

    ばぁり気になる????しおりぃ?

    2006-01-20 10:27:00
  • 461:

    マヂきになる☆☆
    あげですっっ♪

    2006-01-20 22:33:00
  • 462:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    みなさん沢山レスありがとうございます^^
    更新遅れてすみません><
    今から更新します。

    2006-01-21 05:07:00
  • 463:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「そうやけど…アンタ誰?!」
    俺は由里の携帯に男が出た事にもどこか嫌な予感が隠しきれなかったのもあってかなり動揺した。
    「とにかく今すぐに○○病院まで来てください。」
    「え?!それ一体どういう…」プツッ ツーツー

    2006-01-21 05:11:00
  • 464:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    謎の男はそう言った後すぐに電話を切った。
    (一体なんやねん?!なんで病院に………?)
    焦りを隠し切れなかった。鼓動が早くなる。
    (もしかして由里の身に何かあったんかも…しれへん…)

    2006-01-21 05:13:00
  • 465:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    そう思うと身震いがした。居ても立ってもいられない。
    (いやそんなわけがないわ…○○病院って結構近くやんな…とにかくはよ行かんと……)
    タクシーを呼ぼうと携帯で電話を掛ける俺の手は震えていた。
    (ほんまになんやろ…なんか怖い…)

    2006-01-21 05:15:00
  • 466:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    マンションの下でタクシーを待っている間も気が気じゃなかった。
    やっとタクシーが到着して俺は速攻で乗り込んだ。
    「○○病院まで!とにかく急いでください!!」
    タクシーの運転手にそう叫んでいた。

    2006-01-21 05:17:00
  • 467:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    慣れている車の渋滞もやけにイライラする。
    「もーここでかまへん!走っていきます!」
    俺はタクシーを途中で降りてタクシーの運転手に万札を投げて走り出した。
    (由里…頼むから無事でおってくれ…一体なんで病院やねん…)

    2006-01-21 05:19:00
  • 468:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    全力疾走しながら頭の中は由里の事で一杯だった。
    とにかく心配でたまらんかった。
    やっと病院の前に着いて病院の中へ駆け込む。
    病院の入り口のドアの前では一人の白衣を着た医者が立ってた。

    2006-01-21 05:21:00
  • 469:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺はその医者を押しのけて自動ドアから入ろうとした。
    その瞬間医者に腕を捕まれた。
    「一瀬さんですか…?」
    「え…?!」

    2006-01-21 05:22:00
  • 470:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「なんやねん!俺急いでるねん離してくれ!!」
    「先程由里さんの携帯からアナタに電話をしたのは私です。」
    「え…?!アンタやったんか?!由里は一体どこにおんねん!!!!!!!」
    俺は息を切らしながらテンパッて医者に怒鳴った。

    2006-01-21 05:24:00
  • 471:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「…案内しますから着いてきてください。」
    「由里は無事なんか?!?」
    「……とにかく着いて来てください。」
    医者のなんとも歯切れの悪い言葉に何とも言えない苛立ちと恐怖を覚えた。

    2006-01-21 05:26:00
  • 472:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    恐る恐る医者の後を大人しく着いていった。
    (なぁ…由里は大丈夫やんな…?!)
    一歩一歩病院内を踏み締めながら俺の鼓動はドンドン早くなる。
    「ここです…。」

    2006-01-21 05:28:00
  • 473:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺は医者が足を止めた場所を見て思わず
    「ふざけんなよてめぇ!なんやねんここは!!こんな所に由里がおるわけないやろ!!!」と怒鳴った。
    「…残念ですが……」医者は俯いて今にも泣きそうな顔だった。
    医者が足を止めた場所には…紛れもなく「霊安室」と書かれていた…。

    2006-01-21 05:32:00
  • 474:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「嘘やろ…?!嘘やこんなん!!なんでやねん!?ざけんなよ!!!」
    俺は取り乱して医者の胸ぐらを掴んだ。
    「…とにかく入ってください……」
    医者はそれでも冷静に低い声でそう呟いた。

    2006-01-21 05:37:00
  • 475:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (嘘やんな…絶対そんなんありえへん…俺は信じへん…)
    言われた通りそっとその部屋のドアを開く。
    そこで俺が見た光景は…。
    由里の遺影にろうそくの火。線香の煙。白いシーツに横たわる由里。白い布で覆われた由里の顔。

    2006-01-21 05:40:00
  • 476:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    医者はそっと由里の顔の上の白い布を取った。
    俺は怖くてよく見る事が出来なかった。
    (こんなん夢や…現実な訳がない…これは由里じゃない…)
    俺はただ呆然と立ちつくしたままだった。何が何だか解らない。目の前が真っ暗。

    2006-01-21 05:43:00
  • 477:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    そんな俺を見て医者は
    「ごゆっくりして行ってください。後でお渡ししたい物とお話があります。」
    と言ってまた由里の顔に布を被せて部屋から出て行った。
    俺はしばらくそのまま固まっていた。

    2006-01-21 05:44:00
  • 478:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (絶対夢や…由里が死ぬ訳ないやん……)
    気が狂いそうだった。夢やと思うのに…夢であって欲しいと願うのに
    一体なんで涙が出てくんねん…?
    俺はしばらく経って恐る恐る由里の顔の上の布を取った。

    2006-01-21 05:46:00
  • 479:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺の目に映ったのは紛れもなく由里の寝顔だった。
    うっすら微笑んでいて本当に眠っているだけのような…。
    「由里…痩せた…?なぁ顔色悪いで?!ちゃんと食べんとあかんやん!!」
    話しかけてみても由里の返事は…ある訳がない。

    2006-01-21 05:50:00
  • 480:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「なぁ!由里?!起きてや!目開けてや!そうやって俺の事騙すん?!今日誕生日やろ…?!指輪持って来たのにちゃんと笑って受け取ってや…。なぁ…!お願いや…から…」
    由里の身体を激しく揺すりながら俺は泣きじゃくった。
    認めたくなかった。由里が死んだなんて…。
    本当に今にも由里は起きていつもの笑顔を見せてくれそうな位にキレイな寝顔だったから…。

    2006-01-21 05:53:00
  • 481:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺はしばらく由里の横で泣き続けた。
    一体そのままどれくらい時間が経っただろう…。
    イキナリ部屋のドアが開いてさっきの医者が入ってきた。
    「あなたにお渡ししたいものが…」

    2006-01-21 05:56:00
  • 482:

    500☆

    ものっすごぃ気になるとこやんーー(´□`)ハラハラ いつも読んでます☆文章うまいですね↑↑もうすぐ完結ですよね?!がんばってくださぃ!

    2006-01-21 07:15:00
  • 483:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 484:

    まりぁ

    やっぱりそうなっちゃったんだ?話の続き楽しみに待ってます?

    2006-01-21 10:32:00
  • 485:

    名無しさん

    出来れば完結まで一気に書いて下さい。

    2006-01-21 14:38:00
  • 486:

    名無しさん

    ↑そんな無理いったらあかんよ?おとなしく待っとこっ??

    2006-01-21 22:56:00
  • 487:

    名無しさん

    2006-01-22 10:41:00
  • 488:

    名無しさん

    2006-01-22 10:45:00
  • 489:

    のあ

    いっきに読みました??由里ちゃんはあんま好きくないけどめちゃめちゃおもしろいです???完結楽しみにしてます??

    2006-01-23 03:47:00
  • 490:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    みなさんたくさんレスありがとうございますm(_ _)m
    更新遅れ気味で申し訳ないです…
    完結までもうすぐなのですが、一気に書くのは無理だと思います^^;
    すみません><
    マイペースに完結まで頑張るので気長に待っててやってくださいm(_ _)m

    2006-01-23 06:05:00
  • 491:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「なぁ…その前に聞かせてくれ…一体なんでこんな事になってんねん…」
    医者はきっと何も悪くはないのに、俺は八つ当たりするかの様に医者を涙目で睨んでそう言った。
    だって本当に意味が解らない。
    ほんの2か月前に由里の家へ行ってご飯作ってもらって一緒に眠って…

    2006-01-23 06:08:00
  • 492:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    それやのになんで今由里は目を覚まさへんねん…?
    なんで俺の言葉に返事も返さへんねん……?
    「…話せば少し長くなりますが……」
    医者はそう言って淡々と語り出した。

    2006-01-23 06:10:00
  • 493:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「由里さんの場合、病気が解ったのは9月頃の事でした。
    ケガをされて病院に来られたみたいでしたが、最近眩暈が酷いからって
    貧血の血液検査も受けられて…。
    明らかに異常な検査結果が出て9月に2週間ほど検査入院をして頂いたんですが…

    2006-01-23 06:13:00
  • 494:

    名無しさん

    わぁーリアルタイムやぁドキドキ

    2006-01-23 06:15:00
  • 495:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    骨髄検査の結果、再生不良性貧血と診断されました。」
    (再生不良性貧血…?)
    「それは…一体どういう病気やねん…」
    「解りやすく言うと白血病に症状などはよく似ています…」

    2006-01-23 06:15:00
  • 496:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (白血病に…?!)
    「出血すると止まらなかったり、少しぶつけただけの打撲もアザになったり…
     この病気は15万人に1人ほどの割合で、完治させる事はほぼ不可能な病気です…。
     これと言った治療法がまだ発見されていないので国で難病としても指定されています。」

    2006-01-23 06:22:00
  • 497:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「この病気は重症度によって治療法も違うのですが…
     由里さんの場合は重度でした。原則として病気が発覚してすぐに入院して治療して頂きたかったのですが…」
    「…なんで由里はすぐに入院せーへんかったねん…?!」 
    「どうしても「まだ入院はしたくない…」とおっしゃって…。「ちゃんと毎日通院治療するから先生お願い…」と…。」

    2006-01-23 06:27:00
  • 498:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「由里さんは私が病気を告知した時もそれはそれは冷静で…
     命に関わるものだと言っても余命を告げても涙ひとつ見せませんでした…。
     普通は大人でも取り乱したり放心状態になるものなんですけど…。
     「限界になったらちゃんと入院はします。あと絶対に入院するまではお父さんには連絡しないでください。」って…。」

    2006-01-23 06:32:00
  • 499:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「とても17歳の少女とは思えませんでしたよ…。
     誰にも言わずに病気の事は隠し通せるまで隠し通したいのだとおっしゃりました。
     「同情されるのも嫌だからって…」無理に笑顔を作ってそう言うんです。
     それからの数ヶ月間は毎日通院して貰って輸血などを繰り返してました。」

    2006-01-23 06:35:00
  • 500:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「でもさすがに不安でしたでしょうね…。辛い治療に泣き言ひとつ言わない由里さんに
     通院する度に周りの私達医者や看護士達に笑顔でお礼を言ってくれる由里さんに
     私達は逆に励まされていましたよ…。
     だけど約2か月前に私があまりの病状の悪化に強制的に入院を勧めたんです…。」

    2006-01-23 06:38:00
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