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悔やみきれない

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  • 1:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺には恋愛というモノがよく解らなかった。
    「好き」という感情も。
    女に対して全くってくらい興味がなかった。
    俺が16の時ホストの世界に足を踏み入れたのは
    別にそこまで深い意味はなかった。
    ただ酒が好きで、飲んで金がもらえる。
    それでよかった。自分次第で収入も膨らむ。

    2005-10-28 13:36:00
  • 100:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    慌てて優也も俺と由里の元へ追いかけてくる。
    店内に入るとみんながビックリしてざわついていた。
    従業員達が「由里ちゃんどしたん?!その怪我…!」
    と口を揃えて聞いてくる。
    俺はイライラが止まらなかった。

    2005-12-12 17:00:00
  • 101:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里が「なんでもないから気にしないで^^」と従業員達に笑顔で答えている傍らで
    「お前らさっさと仕事戻れ!」と俺は怒鳴り散らした。
    客達が感情的になっている俺を見て驚いて珍しそうにこっちを凝視してくる。
    (マジなんかもう何もかもうぜーな…)
    自分に一番苛立っていた。

    2005-12-12 17:03:00
  • 102:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    優也にはとりあえず指名客の席へ着かせて
    俺は由里の怪我の手当をしていた。
    口の中が切れていてすごく痛そうだった。なかなか血が止まらない。
    それでも由里は笑顔で俺の心配をしていた。

    2005-12-12 17:06:00
  • 103:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「貴晃くんは怪我してない?ほんと貴晃くんらしくないよ…喧嘩なんて。」
    眉間に皺を寄せて真剣な顔で少し淋しそうに由里に言われた。
    (俺らしくない…?一体誰の所為だよ。)
    イライラしっぱなしの俺はこんな事を心の中で思っていた。
    俺は何も答えずに由里の止血を黙々としていた。
    由里の手当が終わると次第に由里の口が腫れてきた。

    2005-12-12 17:11:00
  • 104:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    本当に痛そうだ。よく見ると由里の歯が少し欠けていた。
    俺が慌てて「病院行く?!結構な怪我やし素人の手当じゃあかん気がするわ…」
    と言うと
    「ううん。大丈夫だよ。そんなに痛くないから。ありがとう。でもごめんそろそろ帰るね。」
    と由里はチェックを済ませた。

    2005-12-12 17:15:00
  • 105:

    名無しさん

    2005-12-12 23:52:00
  • 106:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    読みやすくしてくれてありがとうございます^^
    少しずつですが頑張って更新していくのでよかったらこれからも読んでください。m(_ _)m

    2005-12-13 01:02:00
  • 107:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺は店に居たくないのもあって由里を家まで送る事にした。
    こんなんじゃ代表失格かもしれない。それでもよかった。由里が心配だった。
    タクシーを捕まえて由里と一緒に乗り込む。
    由里がタクシーの運転手に自分の家の住所を言っていた。
    その後はタクシーの中で特に何も話す事なく15分ほどで由里の家へ着く。

    2005-12-13 01:05:00
  • 108:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (つくづく不思議な女…謎すぎる…)
    こんなにも他人に興味を持った事などなかった。
    だけどどう考えても普通の庶民が借りれるようなマンションではない。
    あの時の大金と言い一体由里は何者なのだろうか。
    時給5千円弱のラウンジで働いているはずなのに。

    2005-12-13 01:18:00
  • 109:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    なんだか腑に落ちないまま俺は店に戻った。
    客達がヒソヒソと噂しているのが嫌でも耳に付く。
    「あの女何者なん?!わざと怪我して貴晃の気を引こうとしてるの丸解りやし!」
    俺はまたキレそうになった。
    でも客を相手にキレるわけにはいかない。

    2005-12-13 01:22:00
  • 110:

    名無しさん

    2005-12-13 01:24:00
  • 111:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    なんとか客達をなだめて何事もなかったかの様に振る舞う。
    俺は得意なはずだ。感情を全く表に出さないのは。
    だけど由里が絡むといつもの調子が狂うのは何故だろう。
    俺らしくない。だけど俺らしさって一体なんだろう。
    あの頃の俺はただ困惑していた。

    2005-12-13 01:25:00
  • 112:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    今までの俺と由里と出逢ってからの俺が
    なんだか別人へなっていく気がして怖かったりもした。
    由里は一体何者なんだ… そんなの俺が知りたい。笑
    その日もなんとか閉店時間までは仕事をこなした。
    優也とはやっぱりまた気まずいまま。

    2005-12-13 01:28:00
  • 113:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    その日独りでタクシーに乗って帰る時、由里に電話をかけた。
    怪我が心配だったからだ。
    由里は電話に出なかった。ますます心配が募る。
    由里に聞きたい事もたくさんあった。
    だけどなんだかあまり聞いちゃいけない気もした。

    2005-12-13 01:55:00
  • 114:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    モヤモヤした気持ちのまま家に着いた。
    優也は既に帰っていたけど気付かないフリをして自分の部屋に入った。
    ベットに倒れ込むとコンコンッとノックの音がする。
    どうせ優也が謝りに来たんだろう。俺は寝たフリをして無視していた。

    2005-12-13 01:57:00
  • 115:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「貴晃…寝てんのか…?」
    優也の声にビックリした。泣き声だったからだ。
    俺は優也が泣いたのを今まで見た事がない。もう10年以上の付き合いなのに。
    「起きてるから入れ」
    そう言ってドアを開けた。

    2005-12-13 02:00:00
  • 116:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    優也は泣き腫らしたような目をして暗い表情だった。
    (そんなに由里を殴っちまった事が堪えたのか…)
    俺は慰めるように「そんなに気にするなよ。事故だったんだし…」
    と言うと
    「いや…違うんだ…」と言いにくそうに優也が答えた。

    2005-12-13 02:02:00
  • 117:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺はビックリして「何かあったんか?」と聞いた。
    優也の答えは驚くべきものだった。
    「俺さ、ショックな事聞いたんだ…」
    (ショックな事…?)
    優也は勿体ぶってなかなか言い出そうとしない。

    2005-12-13 05:32:00
  • 118:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「何聞いたんだよ?!言わねーとわかんねーだろ!」
    落ち込んでる優也に思わずまた怒鳴ってしまった。
    優也は必死に涙を堪える様子で口を開いた。
    「由里ちゃんさぁ…彼氏おるらしいねん…」

    2005-12-13 05:35:00
  • 119:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「はぁっ?!マジで?!誰からそんなの聞いたんだよ!」
    「今日来てた俺のお客さんで由里ちゃんと昔仲良かったって言う子が居てさぁ…その子が言ってた…」
    俺も優也のその言葉になんだか隠しようのないショックを受けた。
    目の前が真っ暗になるってこういう事を言うんだろうか…

    2005-12-13 05:37:00
  • 120:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「でもそんなのホントがどうかわかんねーじゃん!本人から聞いた訳じゃねーし!」
    自分に言い聞かせる様に優也にそう言った。
    「でもさ…」
    言いにくそうにまた優也が口を開く。
    「何?!」

    2005-12-13 05:40:00
  • 121:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「俺、家に帰ってすぐに由里ちゃんに電話したねん。とりあえず謝りたかったし。そしたら由里ちゃんに「なんで喧嘩なんてしたの?」って聞かれてさ…」
    (由里、俺の電話は取らねーで優也の電話は取ったのか…?)
    一瞬そんな事が頭を過ぎった。
    「それでお前は何って答えたん?」

    2005-12-13 05:43:00
  • 122:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「俺、一瞬なんて答えていいか分かんなかったけど、その時告るチャンスだと思ってん。」
    (はぁ?!いやいや全然チャンスじゃねーし!絶対バカだろ優也…)
    「…」
    「それで話したんだ。俺が由里ちゃんの事好きだから自分の客そっちのけで由里ちゃんの席着こうとするから貴晃にキレられて喧嘩になった…って。」

    2005-12-13 05:47:00
  • 123:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「それで由里は何って?」
    俺の鼓動が早くなるのが自分でも解った。
    優也はこの調子だからフラれたのは悟っていたが
    なんだか言いようのない緊張が俺の中に走る。

    2005-12-13 05:50:00
  • 124:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「由里ちゃんは「冗談やめてよー」って笑ってた。だから「冗談じゃない」って真剣な声で言ったらしばらく沈黙が続いて…」
    「…それで?」
    「「優也くんの気持ちは嬉しいし、知り合って間もないけどいい人だって事は解るよ。でもあたしすごく大切な人が居るから気持ちに応える事は出来ない…ごめんね。」って言われた。」
    優也は堪えきれなくなったのかまた涙を流す。

    2005-12-13 05:53:00
  • 125:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺は頭が真っ白になってた。
    秘かにどこかで自信があった。きっと由里は俺を好いてくれている…と。
    確信にも近い自信があったりしたから余計に突き落とされた感じだった。
    自惚れもいいとこだ。
    それに(優也が一人の女の事でこんな簡単に泣くなんて…)という驚きも隠せなかった。

    2005-12-13 05:57:00
  • 126:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (よっぽど優也は由里に惚れてんだろな…)
    そう思うと俺まで胸が締め付けられる思いがした。
    俺は自分の戸惑いを隠してひたすら優也を慰めていた。

    その日から約2週間位、由里は俺達の前から姿を消した。

    2005-12-13 06:00:00
  • 127:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (所詮ホスト相手の逆色恋って事か?)
    なんだかプライドを踏みにじらされた思いだった。
    そんな9月末のある日。
    俺の積もりに積もった不安が一気に吹き飛ぶ出来事が起こる。

    2005-12-13 06:14:00
  • 128:

    名無しさん

    2005-12-13 06:28:00
  • 129:

    まみ

    続き気になる?

    2005-12-13 07:57:00
  • 130:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    名無しさん、まみさんありがとうございますm(_ _)m
    文章とか下手くそですが、不器用ながらもマイペースに更新していくつもりなので
    これからもどうぞよろしくおねがいします^−^
    完全実話です。

    2005-12-13 15:19:00
  • 131:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    その日俺はいつも通りに仕事をしていた。
    胸にモヤモヤした気持ちを抱えたまま、それを誰にも見せずに。
    優也はかなり落ち込んでいて仕事も休み勝ちだった。
    「俺が怪我させたり告ったりしたせいで…由里ちゃんが姿を消した…」
    と自分を責めてばかりいて精神的に不安定になっていた。

    2005-12-13 15:22:00
  • 132:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    開店して約2時間が経った頃。
    店のドアが少しだけ開いてすぐに閉まった。
    当時俺の店のドアには鈴を付けてあったから音でドアの開閉がよく解る。
    (一体誰だろ…?)
    不思議に思って店の外の様子を伺う為に俺はドアを開いた。

    2005-12-13 15:25:00
  • 133:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    ドアを開けるなり俺はとにかくビックリした。
    そこには由里が立っていたからだった。
    いつもの笑顔で「久しぶり^^」と少しだけ照れくさそうに言った。
    俺はなんだか何も言葉に出来なかった。

    2005-12-13 15:28:00
  • 134:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    複雑な感情が一気に思考回路をぐるぐると回る。
    (由里のせいで優也が…彼氏がいるくせに今更何の用だ…)
    だけど紛れもなく一番大きな感情は
    (会えて嬉しい…)だった。
    (いつの間にこんなに好きになってたんだろう…人を好きになるってこういう事なんか…)

    2005-12-13 15:31:00
  • 135:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    何を言っていいのか解らず呆然と突っ立てる俺に
    由里はいきなり腕を俺の首に回してきた。
    (え…?!何…?!)俺は内心キョドりまくってた。
    「よっし^^じゃぁ帰るね♪この後行く所あるから^^」
    何が起こったのか一瞬解らなかった。

    2005-12-13 15:34:00
  • 136:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    なんだか首もとが少し冷たい。
    首もとを触ってみるといつの間にかネックレスが付いていた。
    BVLGARIのB.zero1のWGのネックレス。由里がいつも付けていたのと同じものだった。
    由里は事態の飲み込めていない俺を置いてエレベーターに乗り込もうとする。

    2005-12-13 15:37:00
  • 137:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺はやっと我に返って咄嗟に由里の腕を掴んだ。
    「ちょっ…由里待って!!」
    「ネックレス気に入ってくれたら毎日付けてね?あたしとおそろいー^^」
    「え…でもすっげー嬉しいけど受け取れねーよ…」
    「なんで??」

    2005-12-13 15:40:00
  • 138:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (今一番由里に聞きたい事を言うんだ!頑張れ俺…!笑)
    「由里…彼氏おるんやろ…?」
    「…え?」
    急に沈黙がエレベーター内に流れる。
    きっとほんの何秒かだっただろうけど俺にはその沈黙がとてつもなく長く感じる。

    2005-12-13 15:43:00
  • 139:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「なにそれー??彼氏とかいないよ!彼氏いたら夜の仕事とかしてないもん」
    あっけらかんとした表情で由里がそう答えた。
    俺は否定してくれた事に安心しながらも
    どこかではまだ由里の言葉を疑っていた。
    「ホントにおらんの…?」

    2005-12-14 03:19:00
  • 140:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「そんなの誰から聞いたの??」
    「いや…優也から…」
    「そっかぁ。優也くん勘違いしちゃったのかな…。しばらくあたしと連絡取れなくて淋しかったー?^^」
    「うん…」
    思わず俺は素直にそう答えてしまった。

    2005-12-14 03:23:00
  • 141:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    なんだか急にすごく恥ずかしくなった。
    こんなの俺じゃない。俺はこんなキャラじゃないはずなのに…。
    由里は俺の頭を撫でながら
    「ごめんね。いろいろあって携帯放置してた。もう携帯繋がるからまたいつでも連絡してきて?」
    と 優しく微笑んでいた。

    2005-12-14 03:29:00
  • 142:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    どうしてこの女は人の心を掴むのがこんなに上手なんだろうか。
    きっと無意識なんだろうけど
    俺は見事に由里に引き込まれていく。
    それが怖くてその日からいつもわざと少しだけ距離を置いていた。

    2005-12-15 15:27:00
  • 143:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    なぁ由里。
    あの時に俺がもっとしっかりしてれば
    お前をもっともっと幸せに出来たかな。
    ただ怖かっただけなんだ。傷付くのが。素直になるのが。
    悔しかっただけなんだ。いつからか好きになりすぎて−

    2005-12-15 15:30:00
  • 144:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「優也くんにもよろしく伝えといてね^^」
    そう言って由里はまた帰ろうとした。
    俺はもうひとつどうしても由里に聞きたい事があった。
    由里が優也に言った「大切な人。」
    一体誰なんだろう…

    2005-12-15 15:32:00
  • 145:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    だけど聞いちゃいけない気がした。
    自分が傷付いてしまうような気がした。
    だからそのまま由里を見送って仕事に戻った。
    なんとも言えない複雑な気持ちだった。
    でもとりあえず安心した。由里にまた会えて。

    2005-12-15 15:35:00
  • 146:

    ゅな☆

    この小説好きL1*(♪^U^♪)*頑張って完結さ?てネン(o^皿^o)

    2005-12-17 18:18:00
  • 147:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    >>153サン
    嬉しいお言葉本当にありがとうございます^^
    すごく励みになります!!
    頑張って完結まで更新していきます。

    2005-12-18 22:14:00
  • 148:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    その日は仕事から帰るなり俺は優也の部屋へ向かった。
    最近落ち込んでいて仕事も休み勝ちだった優也に
    由里が来た事を一番に報告したかった。
    優也は俺の話を聞いてすごくホッとしたような
    嬉しそうな表情だった。

    2005-12-18 22:17:00
  • 149:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「よかった…由里ちゃん元気そうやった…?」
    「うん。怪我もちゃんと治ってたで!優也くんにもよろしくって笑ってた。」
    「ほんまによかった…」
    少し涙目になりながらも優也の顔はどこか緩んでいる。
    なんか微笑ましく思えた。

    2005-12-18 22:20:00
  • 150:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「あ!それと由里に聞いたけど彼氏なんて居ないっつってたぞ??」
    「マジで?!」
    「うん。彼氏居たら夜の仕事なんてしないっつってた。」
    「…確かにそれもそーかな…なんか安心した…っつーか貴晃そのネックレス…」
    俺はハッとした。由里に貰ったお揃いのネックレスが俺の胸元で無駄に輝いていた。

    2005-12-18 22:30:00
  • 151:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「それ由里ちゃんがいつもしてるのと同じやん…?」
    優也は急に淋しそうな表情になる。
    (やべー気まずい……)
    俺は咄嗟に嘘を付いてしまった。
    「あーこれ今日客に貰ってん!由里と勝手にお揃いなってもーたけど…」

    2005-12-18 22:33:00
  • 152:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「そーなん?!えーなぁ貴晃!俺もそのネックレス前から欲しかってん。てっきり由里ちゃんから貰ったんかと思ったー!」
    「いやいやそんな訳ないやん!(笑)」
    (危ない危ない…優也を傷付けたくはない。)
    俺は少し引きつりながらも笑顔を作って優也を傷付けまいと必死だった。
    この時の俺の嘘が後にまた喧嘩の種になる。

    2005-12-18 22:38:00
  • 153:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    それから由里は前の様にまた俺の店へ週2回くらい通うようになった。
    メールや電話での連絡もほぼ毎日だった。
    だけど由里から連絡してくる事は僅かだった。
    最初は由里からばかり連絡してくれていたのに…
    どこか淋しいし悔しいけど所詮惚れたモンが負けなのか。
    俺は暇さえあれば由里へ連絡する様になっていた。

    2005-12-18 22:42:00
  • 154:

    この小説好きー(゚∀゚)??頑張ッてくださLlね(・∀・)

    2005-12-18 23:20:00
  • 155:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    >>161サン
    好きとか言ってもらえるとホントに光栄ですm(_ _)m
    これからも頑張るのでよかったら完結まで読んでください^^

    2005-12-19 02:06:00
  • 156:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里は相変わらず謎な女だった。
    根っから八方美人なのか誰にでもとにかく愛想が良い。
    俺の店は完全友営を目指していたので男の客も少なくはなかった。
    そんな男客の間でもアイドル的な存在になっていた。
    携帯の番号などを聞かれても、断れない性格なのか誰にでも教えたりしていた。

    2005-12-19 02:12:00
  • 157:

    名無しさん

    2005-12-19 02:14:00
  • 158:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    店の従業員達も由里に近付くべく俺に隠れてこっそり番号やメアドを聞いている奴が多かった。
    俺はどこかでそんな由里に不信感を募らせていた。
    (嫌なら嫌だとハッキリ言えばいいのに。)
    なんとも言えない苛立ちというか今思えばただの嫉妬だったと思う。
    好きな気持ちが募る程に由里を独占したかった。

    2005-12-19 02:15:00
  • 159:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    でも由里はどことなくいつも俺だけを特別扱いしてくれていた。
    明らかに俺に対する態度と他の人に対する態度は違っていた。
    俺の中でまた自信が付いてきていた。
    (由里もきっと俺を好いてくれているよな…?)
    だけど特に進展のないまま時間だけは流れていく。

    2005-12-19 02:23:00
  • 160:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    気付けば11月も半分を過ぎようとしていた頃。
    その頃には由里が週2日俺に会いに店に通ってくれるのが当たり前になっていた。
    11月の末には俺の19歳の誕生日が控えていた。

    2005-12-19 02:26:00
  • 161:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里からイキナリのメール。
    滅多に由里からメールをくれる事がなかったので内心俺は有頂天だった。
    メールの内容は
    「貴晃くんと今度買い物に行きたいな♪」
    だった。

    2005-12-19 04:04:00
  • 162:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    由里は事実、俺の客ではある。
    実際に店まで来て金を使ってくれているから。
    だけど他の客とは全く違う。俺の中では。
    きちんと一人の女として由里の事を好きになれていた。

    2005-12-19 04:11:00
  • 163:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    勿論俺は由里の誘いを断る訳もなくメールを返信する。
    「いいよ^^どこに行きたい??」
    俺は秘かに由里と一緒に買い物へ行くのをかなり楽しみにしていた。
    買い物へ行く日は俺の誕生日の2日前に決まった。

    2005-12-19 04:13:00
  • 164:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    買い物へ行く当日。朝9時過ぎまで仕事をこなして由里の家までタクシーへ向かう。
    タクシーに乗り込む前に優也に
    「貴晃俺と一緒に帰らないのか?どっか行くん?」
    と聞かれて
    「ちょっと客とアフターがあるから先帰っててくれ。」

    2005-12-19 04:16:00
  • 165:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    とだけ言った。
    また咄嗟に嘘を付いてしまった。
    (優也にはやっぱり言えない…言いにくい…)
    「へー!お前がアフター?!そんなの初めてじゃね?!すっげー意外!まーがんばれよ♪」
    優也は何も疑わずに、だけど結構驚いた様子で俺にそう言って別のタクシーへ乗り込んでいた。

    2005-12-19 04:19:00
  • 166:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    優也は由里にフラれて以来、それでも諦める事なく由里を想っている。
    以前の様に自分中心な考えはあまりせずに、由里が店に来た日に
    由里に会えて由里と話せる事をささやかに何より心待ちにしている様子だった。
    電話やメールも以前と比べると控え目にしていた。
    そんな優也を応援したい気持ちも山々だが、やっぱりなんだかんだで俺達は俄然ライバル関係だ。

    2005-12-19 04:23:00
  • 167:

    ☆彡

    今、初めてイッキに読みました(●>_

    2005-12-19 04:53:00
  • 168:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    >>175さんありがとうございます^^
    頑張って更新していきますので、これからも読んでやってください♪

    2005-12-22 05:40:00
  • 169:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    タクシーで由里の家へ向かう間の10分ほどの間
    流れていく景色をボーっと見ながらなんだかんだで俺の心は躍っていた。
    由里の住んでいるマンションの前に着く。
    相変わらずどこから見ても豪華なマンションだ。
    由里に家の前へ着いた事を電話で知らせた。

    2005-12-22 05:42:00
  • 170:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    タクシーから降りて5分ほど待っているとマンションから由里が出てきた。
    「おまたせー^^お仕事お疲れ様っ♪」
    いつ見ても由里はほんわかしてて可愛らしい。
    顔が綻びそうなのを堪えて自然に振る舞う。
    「うん。疲れたわぁ…で、今からどこ行くん??」

    2005-12-22 05:45:00
  • 171:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「そうだなぁ…ヴィトンのお店とかある所がいいな♪」
    そんな会話をしてまたふたりでタクシーに乗り込んだ。
    「由里は何を買いたいん??欲しいものでもあるん?」
    「内緒^^とりあえず着いてからいろいろ見てみる♪」
    タクシーで30分ほど走って某有名なショッピングモールへ着いた。

    2005-12-22 05:48:00
  • 172:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    そのショッピングモールはブランド品から服屋、靴屋、レストランなど
    一通りのものはあるような所だ。
    タクシーから降りて店の中へ入る。
    俺が先にスタスタ歩くと必死に由里がチョコチョコと着いてくる。
    なんだかそれだけで幸せだった。

    2005-12-22 05:51:00
  • 173:

    ☆彡

    更新されてる(゜▽゜)♪
    頑張っちゃってくださぁ〜ぃ(´∀`)

    2005-12-23 04:54:00
  • 174:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    >>181さん
    またレスして下さってスレッド上げて下さって嬉しいです^^
    頑張りますので完結まで宜しくお願いしますm(_ _)m

    2005-12-23 10:30:00
  • 175:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「もー貴晃歩くのはやーい!!」
    由里が少しスネた様に必死で俺の元へ駆け寄ってくる。
    (え…?今由里、俺の事初めて呼び捨てで呼んだ…?やべー今顔にやけてるかも俺…)
    「あーごめん^^由里が歩くの遅いんやん!笑」
    周りから見ると俺達も立派なカップルに見えるのだろうか?

    2005-12-23 10:33:00
  • 176:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    ホントはその時由里と手を繋ぎたかった。でもなんか恥ずかしかった。
    意外とシャイな俺。笑
    沢山ある店の中で由里が一番に向かった先はヴィトンの直営店だった。
    ふたりでウロウロとヴィトンの店内を見学する。
    (由里は一体何を買う気なんだろ…?)

    2005-12-23 10:38:00
  • 177:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「ねー貴晃何がほしいー?」
    「へ?」
    唐突にそう聞かれて思わずマヌケな返事をしてしまった。
    「誕生日プレゼント!あさって誕生日でしょ?何でも買うよ??」
    (俺の誕生日一回しか言ってないはずなのに覚えてくれてたんや…)

    2005-12-23 10:40:00
  • 178:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    なんだか胸の奥がジーンとした。こんなに感動するのはいつぶりだろう。
    たったこれだけの些細な事なのに。
    プレゼントなんて要らない。由里が誕生日を覚えてくれていて
    祝おうとしてくれている事だけで充分だった。

    2005-12-23 10:43:00
  • 179:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    まさか由里が俺の誕生日を覚えているなんて思わなかったから余計に。
    「いやいやホントに何も要らんで!!」
    「そーいう訳にもいかんやんっ!ヴィトン好きやろー?^^」
    「いやヴィトンは確かに好きやけどさ…」
    「貴晃はダミエ好きやんなぁ♪遠慮せんといてよー?!」

    2005-12-23 10:46:00
  • 180:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「遠慮やしてへんけどホントに気持ちだけで充分やから…」
    「じゃー勝手に選んじゃお♪」
    由里はほんと変な所で強引だ。
    ダミエのコーナーへ俺を引っ張りながら向かって行く。
    「既に持ってるやつあったら言ってねー?」

    2005-12-23 10:48:00
  • 181:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「これとこれと…あっ!それも!!」
    由里はダミエのコーナーで次々と店員に商品を出してもらっている。
    俺は唖然としながらただその光景を見ていた。
    「この中で貴晃が既に持ってるやつあるー??」
    「え…?いやひとつもないけど…」

    2005-12-23 10:51:00
  • 182:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「じゃーこれ全部ください^^」
    「?!?!?!!!いやいやありえへんやろ!」
    「なんで??ダミエほぼ全制覇じゃん♪笑」
    俺がキョドるのもそのはず。

    2005-12-23 10:57:00
  • 183:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    ガラス棚の上に並べられたダミエ尽くしの商品達。
    ジェロニモスにセカンドバッグ、ダミエのネクタイ全色(10本)にシガレットケース、キーケース、ベルト…
    「こんなにいらへんよ!ひとつで充分やって!!」
    俺が必死で止めようとするにも全く聞く耳を持たない由里。
    強引に店員に会計をさせている。

    2005-12-23 11:02:00
  • 184:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺はただ呆れるしかなかった。
    そりゃ内心飛び上がる程嬉しかったけれど、そこまではしてほしくない。
    会計は50万ほど。
    動じる事なく財布から札束を出す由里。
    (ホンマに由里は一体何者やねん…)

    2005-12-23 11:06:00
  • 185:

    名無しさん

    2005-12-25 03:11:00
  • 186:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    読みやすくしてくださってありがとうございます^^>>193さん

    2005-12-26 22:53:00
  • 187:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (金がないからっつって夜の仕事を始めたのは一体どこのどいつだよ…)
    ヴィトンの店員がひとつひとつの商品を丁寧に包装している間、由里とふたりで店内のソファーで腰掛けて待ちながら
    俺はボーっと以前の由里とのメールを思い出していた。
    (確かに「お金がないから…」っつってたよなぁ…?)
    なのにどう考えても金が有り余る程あるように見える由里。

    2005-12-26 22:56:00
  • 188:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    なんか考えれば考える程に謎な女だ。
    あまりに呆然として口を閉ざしている俺に由里は少し呆れたように
    「貴晃眠いの…?」と尋ねてきた。
    「いや眠くはないけど…なんか言葉にならへんわ…嬉しいけどこんなん悪いし…」
    「あたしがいいって言ってんだからいいの^^気にしないでよー!」

    2005-12-26 23:01:00
  • 189:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (ホントにいいのか…?)
    やっぱり複雑だ。好きな女にトコトン貢ぐ女みたいな真似はしてほしくない。
    少し経ってヴィトンの店員が「お待たせいたしました^^」とドでかいヴィトンの袋を4つも渡してきた。
    由里とひとり2つずつ持つ。
    結構重い…。

    2005-12-26 23:09:00
  • 190:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    ヴィトンの店を出て、またショッピングモールを歩く。
    すれ違う人達が沢山のヴィトンの袋を下げている俺達を振り返って見てくる。
    なんだか結構恥ずかしかった。
    由里は「最後にヴィトン行けばよかったね…荷物重いし…」と笑いながら言った。
    「次はどこ行くん??」

    2005-12-26 23:15:00
  • 191:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「とりあえずご飯食べよ^^マクド食べたい♪」
    「え?!マクド??」
    なんか意外だった。由里は安い物全般に興味が無さそうに見えたから。
    「嫌…?こう見えてもあたしマクド大好きやねん^^笑」
    俺もマクドは小さい頃から大好きだ。笑

    2005-12-26 23:18:00
  • 192:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    マクドの店内に入る。
    どう考えても場違いだった。笑
    仕事帰りでスーツ姿の俺に私服でもバッチリお姉系でキメている由里。
    手には沢山のヴィトンのでっかい袋達。
    カウンターで注文をして席へ座る。

    2005-12-26 23:22:00
  • 193:

    ???

    頑張って?

    2005-12-27 01:21:00
  • 194:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    >>201さんありがとうございます^^
    励まされます…ゆっくりですが頑張って更新していきますね♪

    2005-12-27 03:12:00
  • 195:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    荷物を隣のイスに置いて由里と向かい合わせに座った。
    由里はフィレオフィッシュ1コだけ。
    俺はちゃっかりバリューセットを頼んだ。
    さすがにマクドくらい奢りたかったのに由里は会計の時に隙なく素早くお金を出した。
    俺が金を払おうとしても全く受け取ってもくれない…

    2005-12-27 03:17:00
  • 196:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    (なんでこういう金銭面では由里はいっつも強引なんやろ…)
    ふとそんな事が頭をかすめる。
    「貴晃セットだけで足りる??」
    「…え?充分やで!!由里こそそれだけで腹一杯になるん?!」
    「あたし小食やからこれだけでも充分だよ^^」

    2005-12-27 03:21:00
  • 197:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    そんな会話をしてから食べ物に手を付ける。
    俺は結構お腹が空いてたから黙々と食べていた。
    由里はフィレオフィッシュをわざわざ一口サイズに千切ってから口に運ぶ。
    ちょっと驚いた。
    「俺ハンバーガーわざわざ千切ってから食べる人初めてみたわー!」
    「え…?そぉなの?だってハンバーガーにかぶりつくの恥ずかしいもん//」

    2005-12-27 03:25:00
  • 198:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    俺はそれを聞いてすごく女の子らしいなって思った。
    少し照れている仕種がなんだかやけに可愛く思えて仕方ない。
    だけどマクドを頬張ってる由里はやっぱり17歳の普通の女の子なんだな、とも感じた。
    由里は外見そこまで大人っぽい訳でもない。
    童顔とまではいかないが可愛らしい顔つきだから年相応に見えるはずだ。

    2005-12-27 03:30:00
  • 199:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    でも俺の知っている由里は17歳とは思えない程に内面がしっかりしていて
    妙に大人びていて振る舞いとかがとても俺の年下に見えないイメージがあった。
    だからなんだかどこか安心したんだ。
    夜の世界で…俺の店の中で見せる顔とは違う顔の由里を見れた気がした。

    2005-12-27 03:33:00
  • 200:

    貴晃 ◆fnkquv7jY2

    「貴晃の食べ物を食べてる姿、なんかハムスターみたい^^かわいい♪」
    「え…?!そんなん初めて言われたし//」
    由里に初めて「かわいい」なんて言われて思わず顔が火照る俺。
    「食べてる姿がかわいい人なんてあたしも初めて見たー^^」
    無邪気に笑う由里。

    2005-12-27 03:39:00
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