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一人ぼっちが嫌なだけ
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1:
さき
目が覚めて気付いた。あれ?家じゃない。隣には男が寝ていた。二日酔いの頭を軽く叩きながら昨日の出来事を思い出す。
飲み会に行って…ゲームして…そっか。こいつと二人でこっそりばっくれたんだっけ。
私は裸。こいつも裸。名前も下の名前しか知らない相手と私は寝てた。2006-02-06 12:18:00 -
76:
さき
バン!私は席を立って帰ろうとした。
「中村、もうちょっとここおれ。今は昼休みの時間やし生徒もうろうろしてるから」
武藤にそう言われた。仕方ない。私は私服やし他の生徒に会ったら悪影響を与えるとでも思ったんやろう。私は相談室でしばらく待ってた。
武藤以外の他の先生達は午後からの授業の用意で出て行った。2006-02-07 19:45:00 -
77:
さき
嫌な空気やった。息がつまりそう。武藤は私をじっと見てニヤニヤ笑ってた。
「お前気持ち悪いねん。ニタニタすんなや新米教師が。はよ出て行け」
私は武藤をにらみつけた。武藤はそれでもこっちを見て笑いながら立ち上がってドアのほうに歩いて行った。2006-02-07 19:49:00 -
78:
さき
やっと出てってくれんのか…私はほっとしてた。でも武藤は出て行くどころかドアの鍵を内側から二重にしめた。
私が通ってた中学は歴代的にもかなり悪さの激しい地域にあり、とにかく最悪。こんな相談室が四つもある。相談室とは名前だけで中身を見て見れば窓もなく汚い豚箱のようなものだった。2006-02-07 19:52:00 -
79:
さき
「お前!何してんねん。さっさと出ていけや」
私は少しびびってた。武藤は笑ってるけど目が怖かったから。とっさに思った。こいつはヤバイ…2006-02-07 19:55:00 -
80:
名無しさん
頑張って?
2006-02-07 20:28:00 -
81:
さき
「おい中村。俺はなぁ、お前みたいないちびりが一番嫌いなんや。フッ…クソガキがいきがって」
武藤はそう言いながら私に近付いてきた。やばい…殴られる…そう思った時、武藤は私の髪をおもいっきりつかんで顔を上に向けた。…でこをなめられた。2006-02-07 20:35:00 -
82:
さき
体中が身震いした。気持ち悪い…
「お前なになめてんねん!こんなことしてただですむと思うなよ!」
私はびびりながらも強気で武藤に向かってつばをはいた。武藤の頬につばがかかった。
「ちっ…」武藤は舌打ちをした後、髪をもっと強く引っ張りながら服の上から私の胸を触った。2006-02-07 20:39:00 -
83:
さき
「やっ…やめろや!」
私は一瞬わけが分からんかった。こいつ私を殴るつもりじゃない。なんかするつもりや…
とっさに何故かそう思った。私は正直いってヤンキーはヤンキーやったけど、彼氏はいなかった。付き合ったことはあっても適当に付き合ってたから処女は守ってた。ほんまに好きな人ができた時に…やるもんやと思ってたから。2006-02-07 20:43:00 -
84:
さき
武藤は私の言葉にも耳をかさず、しだいに着ていたジャンパーの中のスエットにまで手を突っ込もうとしてきた。
私は無我夢中やった…一瞬しかなかった。武藤につかまれてた髪がいくら抜けても逃げたかった。
横目で見たらこんな相談室にも花瓶があった。もう…これしかない2006-02-07 20:46:00 -
85:
さき
私は武藤の手が一瞬ゆるんだその時、その花瓶におもいっきり手を伸ばして右手でつかむと、向き合った体勢の武藤の頭を後ろ側から強く殴った。
ゴツン…割れはしなかったけどとんでもない鈍い音がした。人の頭を殴ったのは生まれて初めてやった。2006-02-07 20:49:00 -
86:
さき
喧嘩はなんぼでもしたことはあった。でも私は頭は殴ったことはない。何故かって?分からんけど先輩にはそう教えられてた。
とにかく体はいくらいってもいいけど頭はいくなって言われてた。
だから気持ち悪い感触が手に残ってた…
武藤は頭をおさえて倒れこんでしまった。2006-02-07 20:52:00 -
87:
さき
私は気持ちわるさと怖さで急いで鍵をあけるとすぐに相談室を飛び出した。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い…
ちょっと手が震えてた。そのまま学校の裏門を飛び越えるととりあえず近くの公園に向かった。
水道のところまで走ってすぐに顔を…でこを洗った。「くっそ…ぉ」悔しかった。2006-02-07 20:57:00 -
88:
さき
ちょっと時間がたったら少し落ち着いた。公園のジャングルジムに座りながらぼーっとしてた。
私には帰る家はない。家はあるけどあそこは私の居場所ではない。だったらどうする?またあの裏切りものの夏川らの所に戻るん?
東先生の顔が浮かんだ…ちょっと涙がでた。2006-02-07 20:59:00 -
89:
名無しさん
読んでるよ?頑張って続き書いてね?
2006-02-07 21:01:00 -
90:
さき
私には結局誰もおらんかってんな…。夏川にも友達にもうまいこと仲間ごっこされてただけや。
唯一私を信じて向き合ってくれてた人を裏切って。ほんま…あほや。先生…今どこにいるんですか?
一言だけでいい。ただ…謝りたかった。2006-02-07 21:03:00 -
91:
さき
うすっぺらいジャンパーでは一月の寒い空気をしのぐことはけっこうきついもんやった。
寒っ…自然とゆってしまうぐらい寒い。でも行くところもなければお金もない。人間金じゃないってゆうけど結局お金がなければなんもできひん。
それを知ったのが15歳の冬の日やった。2006-02-07 21:05:00 -
92:
さき
動いても動かんでもなんもせんでもおなかはすくし人間って贅沢やなぁと思った。
仕方なく昔からよく万引きしてたお店に行った。おにぎり二個とチーズとアロエジュースをぱくった。ポケットが小さいからこんなもんしか入らんかった。
でもその時の私にはじゅうぶんやってん。2006-02-07 21:08:00 -
93:
さき
お店を出てすぐに食べた。おなかすいててんほんま。でも空腹が満たされれば次は何をしようかと思う。
何もすることもなく行くあてもない。私にはヤンキーの友達しかおらんかったし。でも東先生のことを思うとどうしてもあそこに戻ることだけはしたくなかった。
もう二度と会われへんくても傷付けてしまった人に償いたかった。2006-02-07 21:12:00 -
94:
さき
日も暮れていく。時間だけは過ぎていくねんな。気付いたら真っ暗やった。
仕方なくまた公園に戻った。汽車の中に入って少しだけ風から身を守る。ただの気休めやけど全然よかった。
寒いな…死ぬんかな…冬の日に死んだらまだいいかな。夏の暑い日よりは綺麗なまま死ねるやろう…2006-02-07 21:15:00 -
95:
さき
「おいこんなとこに女おるって」「うそやん!」
私が浅く眠りについた時、そんな声で目を覚ました。汽車の中から出口のほうを見たら右にも左にも男がおった。
えっ…ちょっとなに?
「こんなとこでなにやってんのー寒いやろ」「出ておいでや」「家出?」
口々に話し掛けてくる。2006-02-07 21:20:00 -
96:
さき
「おい!中に女おるって!」「うそやん?」
私が浅く眠りにつきかけた時、そんな声が聞こえてすぐに目をあけた。
「なにしてるん出ておいでや」「家出かぁ?」
男達は口々にそういってきた。2006-02-07 21:23:00 -
97:
さき
やばい…こいつら…
くさかった。すぐにらりってるって分かった。目もいってる。どうしよう…げっ…
気付いた。知ってるやつがおった。違う地域のヤンキーで、私らの地域とは犬猿の仲の別の族のやつらや。しかもこいつ…夏川先輩らに一回いかれてたやつやん…私は必死でばれへんように顔を伏せた2006-02-07 21:27:00 -
98:
さき
「おーい!はよ出てこいやぁ」「ムシか?」
私が黙ってても次から次に話してくる。内心ドキドキやった。
「えーもんやるわ」そう聞こえた時、私のすぐ隣にねずみ花火が投げられた。私はびっくりして汽車から出た。
「な?最初っから出とけばえーねん」2006-02-07 21:29:00 -
99:
さき
「あっ…お前」「なんやねんヨシ知り合いか?」
「夜神連合の夏川らの後輩っすよ。俺らが去年いかれてた時笑って見てましたわこの女」
アホなやつでも変な記憶力はあんねんな。しかも私は見てただけ。まぁ笑ってたけど。
「お前パクられとったんか?髪真っ黒やんけ」2006-02-07 21:33:00 -
100:
さき
どうしよう…
「受験…があるから黒染めしたんです」
私あほやった。何でぱくられてたって言わんかったんやろう。隠す必要なんかなかった。夏川らのせいでぱくられてたって言っとけばよかった。
「はぁ?受験?笑わせんなや。ヤンキーはヤンキーらしく人の道はずして生きろや」2006-02-07 21:36:00 -
101:
さき
私は黙って走った。逃げようと思って急いで走った。でもすぐに手をつかまれてつかまった。
「なに逃げてんねん」
「なぁーお前夜神連合に仕返ししたったらえーねん。こいつまわして報復や」
一番偉そうな奴がヨシって男にそう言った。ま…わす?2006-02-07 21:40:00 -
102:
さき
「すいません。ほんとにそれだけはやめて下さい…私ほんまはばくられてました。今日…出てきたとこなんです。夏川先輩らにはめられて捕まって…だから夜神には戻る気もないし私になにかしたって仕返しにもなりません…よ」
必死で喋りまくった。みんな笑ってた。2006-02-07 21:42:00 -
103:
さき
「お前ほんなら何でさっき嘘ついてん?俺は嘘が一番嫌いなんや。やれ」
そいつはあごで私のほうをさした。私は一人の男に後ろから羽交い締めにされ、汽車の中にひきづられた。声が…でんかった。
「お願……やめ…」
もうわけがわからんかった。次から次に知らない男のものが入ってくる。痛くて叫べば顔を殴られ口を手でふさがれた。2006-02-07 21:46:00 -
104:
さき
私の生まれて初めてのセックス。処女を失った日。涙もでんかった。
いつか本気で好きな人ができた時に、その時まで…って思ってた。そんなことも泡のようにはじけてしまった。
男たちはやるだけやるといなくなった。走り去っていくバイクの音が耳に残る…私が心をなくした日。涙を流すことを忘れた日だった…2006-02-07 21:52:00 -
106:
さき
ふとももやいろんなところについた汚いものを私は自分のジャンパーで拭いた。ジャンパーはその場に置いてスエットとズボンだけになって汽車の中から出ると、空からは雪が舞い降りてた。
寒さも感じひんかった。ただ…心が冷たくなっていく気がした。2006-02-07 21:58:00 -
107:
さき
暗い夜の道を歩いてると前から発電光をつけた自転車が二台走ってきて私の目の前に止まった。
私の目に映ったのは…チャンポリ。警察や…
条件反射で逃げようとした私を警察官はすぐに取り押さえるとそのままパトカーを呼ばれ、警察に連れていかれた。2006-02-07 22:02:00 -
108:
さき
なんでまたこなあかんねん…私がそう思ってるとすぐに見覚えのあるおっさんが私のところに来た。
「おーまたやらかしたらしいのう。出てきたその日に傷害事件とは…あきれてものもゆえんわ」
警察官は私を見てそう言った。
「はぁ?なんのことよ!」私はわけが分からんかった。2006-02-07 22:06:00 -
109:
さき
「お前中学乗り込んで先生殴ったらしいやんけ。六針も縫う大怪我やったらしいぞ」
「は…い?」
武藤や…そう思った。私は…悪くない。
「なぁ、自己ぼう…なんやったっけ?自分を守るためやってんって!あいつ私の体触ってきたから…」2006-02-07 22:08:00 -
110:
さき
「自己防衛ってか?もうええから。その先生から一通り話は聞いた。いきなり殴り掛かったらしいな。また逆戻りやな。次は厳しいぞー。へたしたら少年院行きやな」
笑って言われた。あ…そうや。忘れてた。こいつらはこうゆう奴やってんな。
頭ごなしに決めつけて事実じゃないことまでを真実に変えてしまう。武藤の言葉を信じるんや…2006-02-07 22:12:00 -
111:
さき
世の中腐ってる。間違いだらけや。間違ってるやつらが偉そうに笑う。
間違ってるやつらが大きい顔してる。こんなこと…
「さっさと連れてけや。年少でもどこでも行ったるわ」私は否定することをやめた。
何でって?そんなんしても意味がないねん。私を信じて耳をかしてくれる人もおらんし何を言ってもムダだらけ。2006-02-07 22:23:00 -
112:
さき
考えてみればあの日私が鑑別所から出たことには何の意味もなかった。
何のために出た?東先生に会いたくて、真面目に頑張って出所予定よりも早く出れたんやんな…。
それが…先生には会えず、武藤みたいに会ったり星光連合の奴らにまわされて…結局出戻った。どんだけあほやねん…2006-02-07 22:26:00 -
113:
さき
私はあの警察官の言う通り、家庭裁判所で少年院送致を言い渡された。
次は一年と長かった。でもぱくられるのが長かろうが短ろうがそんなことはもう
━どうでもいい━2006-02-07 22:34:00 -
114:
さき
心を失い、涙を流すことも忘れた私は、人であることすら分からなかった。
少年院一日目、鑑別所の時よりもやばそうな奴らが周りにはいっぱいいた。すぐに新入りやなぁと煽られ、使われる。
死んでもええわ。そう思ってた私は、聞いた。
「一番偉い奴誰?挨拶しとこうと思って」
「あぁ、やめとけって。関わらんほうがいいで」2006-02-07 22:39:00 -
116:
名無しさん
しおり?読んでるからがんばってね?
2006-02-07 23:43:00 -
117:
さき
「さっさとゆえ殺すで」私がそう言うといきなりそいつは殴りかかってきた。
「新入りがいちびんな!」私とそいつは取っ組み合いの喧嘩になったけどすぐに監視員に止められた。
鑑別所の時と違うのは、団体で行う体操や食事以外、私は個人部屋みたいな場所に入れられてた。たいしたことしたわけちゃうのに初日から暴れたかららしいけど。2006-02-07 23:47:00 -
118:
さき
でもそんな日が続いた11日目、食事をしてた私の目の前にどかっとデカイ女が座った。
「お前なんかうちに用あるらしいやん」
「は?誰やねん」
「一番偉い奴探してたんちゃうんか。うちがここでは一番偉いんじゃ。口の聞き方考えろよ」
へぇー。こいつか。なんや図体でかいだけのシャクレやん。2006-02-07 23:50:00 -
119:
さき
「なぁあんた何やらかしてぱくられたん?」
私はひるむことなく聞いた。そいつは腹が立った顔で私を見ながらゆった。
「刺してぱくられたんじゃ文句あるか?」
「殺したん?」
「死なんかったけど。ってお前に何の関係があんねん」2006-02-07 23:55:00 -
120:
さき
「ほんな殺人未遂?」
「まぁうまいことやって傷害になったけど」得意げに私に向かって話す。
「ほんなら一緒やん。ちゅーか傷害とかザラやろ?なんであんたが一番偉いん?なんか持ってんの後ろ」2006-02-07 23:58:00 -
121:
さき
「あほか。そんなんなくても余裕やわ。お前どこのやつやねん?」
「元は夜神。今は…」
「今はなんやねん」
「今はどっこも入ってへんわ。一匹狼やな。なーんも考えてへんし死ねるでいつでも。だから次出た時は二人殺したろうかと思って今計画してんねん」2006-02-08 00:02:00 -
122:
さき
「お前…頭いってんの?監視員に聞こえてんで」
「あー。聞こえるようにゆうてるからな。傷害もくそもないわ。だいたい誤認逮捕やで?でもだーれも信じてくれんし信じてもらいたい人もおらんからな。それなら飯食えて寝れるとこあるほうがいいかなと思っただけ」2006-02-08 00:04:00 -
123:
さき
「気に入った。うちは道化師魔天楼のレディースの総長」
「魔天楼…ってあの摩天楼?」
びっくりした。魔天楼は関西一大きい暴走族で、男女共に人数もかなりおる。同じ名前のレディースもあって、それは魔天楼のバックがあるからレディースさえも私ら暴走族からは一目置かれるような存在やった。
その…総長…なんや2006-02-08 00:10:00 -
124:
さき
「仲ようしよや。肝すわってそやわ。あんた」
そう言って笑った魔天楼のレディース総長。彼女の名前は福本すず。彼女は私の人生で初めて友達と呼べる存在になっていく。
歳は私より二つ上だった。15歳の春、私は二度目のいい出会いをした。東先生以来やった…2006-02-08 00:16:00 -
125:
さき
「歳なんぼ?」「15」
「くそがきやな」
またすずは笑った。くそがき。今まで何度も言われたことのある言葉やった。でも変やったな…あの時から。
くそがき、ゴミ、恥さらし、虫けら、笑い者。今までこんな言葉ばっかり言われてた私。ろくな育ち方せんやろ。
でもすずに言われた時は、なんか嫌な気持ちにはならんかった。2006-02-08 00:20:00 -
127:
さき
「私は中村さき。あんたは?」私は聞いた。
「うちは福本すず。つーかお前あんたはないやろ。うちお前より二つ上やで」
「ほんならすずやな」
「は?くそ生意気やなぁ。まぁえーわ。お前はほんならさきな。まぁよろしく」
考えてみれば魔天楼の総長相手にこんなことをしてるって思ったらゾッとした。少し前の私なら…絶対に無理やったのに。2006-02-08 00:25:00 -
128:
名無しさん
2006-02-08 01:07:00 -
130:
さき
でも嬉しかったな…。つっぱっていちびっててもほんまは心のどこかで一人ぼっちが嫌やったんやと思う。人に心を開きたかったんかな…
次の日からすずとよく一緒におった。なんか分からんけど私もすずとおったらすげーと思われてたみたい。あのレディース魔天楼の総長、福本すずを呼び捨てにするやつなんてここには誰一人おらんかったから。2006-02-08 15:06:00 -
131:
さき
「なぁさき、お前誤認やとかゆうてたけどあれってほんまの話?」
すずとよくいるようになって一ヶ月がたつ頃、突然聞かれた。
「あぁ…まぁ。つーかかなりやな」
「詳しくゆいーや」
あまり思い出したくないことやったけど、まぁすずやし私は話した。2006-02-08 15:08:00 -
132:
さき
「ほんなぁさきが殺したるゆうてた二人のうちの一人はその武藤ってセンコーなんや?」
「そやで」
「ほんならあと一人は誰やねん?」
「星光の…多分総長」
すずは少し驚いてた。まぁ多分族の名前は聞いたことがあったと思う。2006-02-08 15:16:00 -
133:
さき
「なんでやねん?」
すずは私を見て不思議そうに聞いた。
「言いたくない」
「まぁええけど。でもしばかれたとか単車いかれた系やろ?どうせ」
何かが…壊れていく音がした。私はすずにつかみかかってた。すずはそんな私にキレるんかと思ってた。でもすずは一言私に「ごめん」って謝った。2006-02-08 15:20:00 -
134:
さき
情けなかった。すずには関係のないことやのに。
「変なことゆって悪いと思ってる。ほんまごめん」
すずはそう言って私に背中を向けると黙って歩いて行った。
「すず!待って…」
私は何故か呼び止めた。怖かった。すずに嫌われたんかと思うと苦しくなった。2006-02-08 15:23:00 -
135:
さき
「どーしたん」
すずは振り返って私の目の前に来た。少し目が綺麗に見えた。すずはこんなすごい奴やけど…きっと芯はものすごいまっすぐなんやと思った。
「ちょっと来て…」
私はみんながおる場所から少し離れたところに行って、すずに話した。なんで星光の総長を殺ろうとしてるかってことを。2006-02-08 15:27:00 -
136:
さき
「まわ…されたって…さきお前…」すずは悲しそうな目をしてた。
「しかも処女やで。笑ってまうやろ」
私は精一杯の笑顔ですずに笑いかけた。
「なぁ…うちやっと分かったわ。なんでさきがいつも悲しい目して笑うんかが。ずっと気になっててん。お前苦しかったんやろな…」2006-02-08 15:32:00 -
137:
さき
「ははっ。全然。悲しさも感じひんぐらいになってもうたもん。おかげでもう人の心なくしてしまったわ。腐ってもうた」
「なにゆってんねん。お前全然腐ってなんかないわ。ここにおるはずの人間なんかじゃないわ…」
すずはそう言って私の肩をたたいた。
「任しとき。うちに」そう言いながら…2006-02-08 15:41:00 -
138:
さき
「なにを任すん?」
「うちがやったる。さきはもう自分の手汚したりすんな。うちあと五ヵ月ぐらいで多分出れるから…お前はあと十ヵ月ぐらい残ってるやろ」
「なにゆうてんのよ!やめてなそうゆうの。すずは早く出て戻るべきところに戻らなあかんねんから」
私は必死ですずに言った。2006-02-08 15:45:00 -
139:
さき
「人間な、強いものと弱いものがあるとすればそれはなんやと思う?」
すずは静かに聞いた。
「金もってるとか…あとは権力があるとかかな?そんな感じちゃうの?」
考えたけどそれしか浮かばんかった。
「ちゃうで。って言いたいとこやけど…結局そうなるわな。目には目を歯には歯をってゆうやろ」2006-02-08 15:51:00 -
140:
さき
「さき…お前がその星光の総長らにまわされたのは誰のせいや?お前の入ってた族のせいやろが。だからきっちり両方にカタつけさすから。魔天楼の先陣きって大戦争やったるわ!」
大…戦争…
「そんなことして大丈夫なん?いくら魔天楼でもすずになんかあったりしたら…やっぱりあかん。やめて」2006-02-08 15:55:00 -
141:
さき
「お前うちを誰やと思ってんねん。道化師摩天楼のレディース総長福本すずやで。うちはやるってゆうたらやる。決めたことはもう曲げれんから」
「そんな…」
結局すずはそう言って話を終わらせた。次の日からはその話題を口にすることもなくて、私もそんなことすっかり忘れてた。2006-02-08 15:58:00 -
142:
さき
少年院での生活は思ったよりも楽しかった。多分それはすずがおったからやと思う。
最初はでかい図体でいきがりのシャクレなんて思ってしまってたけど、よく見ればシャクレも変ではないし、大きい体やけど肉付きもそんなになくて綺麗な体をしてた。2006-02-08 16:01:00 -
143:
さき
「さき」「すず」と呼び合いながら毎日を私らなりに楽しみながら過ごしてた。一日一日がとても早くて、まるで学校にいるみたいに笑いのたえへん場所で…
でもそんな日々も長くは続かんかった。すずが出所になったから。
素行もよくなって、私と知り合ってからのすずは生活監視員にも変わったと言われるぐらい変わったらしい。2006-02-08 16:05:00 -
144:
さき
「さき手紙書くからな。うちがおらんようなって泣いたりすんなよ」
「はぁ?泣かんわ」
「強がんなって。出てくんの待ってるから。迎えに来たるからな」
「私もう族とか興味ないし。一匹狼ゆうたやん」
最後の日、私たち二人はこんな他愛ない話をずっとしてた。2006-02-08 16:08:00 -
145:
さき
「誰もお前に族入れってゆうてないやん。普通に…あれやん。あれ。なんてゆうん…遊んだらえーねん」
ちょっとすずは照れてるように見えた。
「なぁすず。ありがとう。私すずがおったから楽しかったで。こんな場所でもめっちゃ毎日が天国みたいやった。会えてよかった」2006-02-08 16:11:00 -
146:
さき
「うちもさきと会えてよかったわ。お前みたいなやつとこれから先出会うことなんかないやろな。ぱくられたことに感謝するわ。ポリもたまには役にたつもんやな」
「やなぁ」
私とすずは二人して笑ってた。多分私は久しぶりに心から笑えたような気がした。福本すず。彼女は私にとって初めての【友達】そして二人目の【恩人】。2006-02-08 16:17:00 -
148:
さき
すずがいなくなってからの私は毎日がからっぽやった。それなりにまぁまぁ生きながらそれなりの生活をおくる。
でもそれは「それなり」でしかなく何かが欠けていた…。人は周りにたくさんおった。私についてくるやつらもおった。
でも自分の居場所ってやつをずっと私は探し続けてたんかもしれんな…2006-02-08 16:21:00 -
149:
さき
すずが出所してからすぐ、私は何ですずがぱくられてたんかを詳しく知った。
すずが刺したってゆうのはほんまやったらしい。でもそれは魔天楼の次に関西では大きい暴走族の鬼人(きじん)との喧嘩で、すずの後輩が頭を殴られて脳内出血を起こし植物人間状態になったことが原因やと初めて聞いた。2006-02-08 16:41:00 -
150:
さき
すずはその後輩の仇をとるため、魔天楼の名前を守るため、たくさんいる仲間たちのためにたった一人で誰にも言わず鬼人に乗り込んで総長を刺した…。
聞いていて鳥肌が立った。すずは魔天楼の全頭の総長にも黙って行ったらしく、みんながみんな驚いてたらしい。2006-02-08 16:45:00