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一人ぼっちが嫌なだけ

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  • 1:

    さき

    目が覚めて気付いた。あれ?家じゃない。隣には男が寝ていた。二日酔いの頭を軽く叩きながら昨日の出来事を思い出す。
    飲み会に行って…ゲームして…そっか。こいつと二人でこっそりばっくれたんだっけ。
    私は裸。こいつも裸。名前も下の名前しか知らない相手と私は寝てた。

    2006-02-06 12:18:00
  • 2:

    さき

    飲み過ぎた体はかなりダウンしてた。重い体を起こして、冷蔵庫に水を取りにいった。
    ラブホだったけど私は特にびっくりすることはなかった。
    なんでって?こうゆうことたまにあるからね…。馬鹿だと思われても仕方ないけど、一人でいたくない夜だってあるからさ。

    2006-02-06 12:22:00
  • 3:

    さき

    お酒の勢い?そんな感じかもね。じゃなきゃ初対面の男と会ったその日にセックスなんてできない。
    シラフではさすがに無理やね…。
    寂しかったんかな。なんか一人でいたくなかった。誰かがそばにおるだけでよかった。

    2006-02-06 12:25:00
  • 4:

    さき

    シャワーを浴びてベッドに戻ると男は起きて座ってた。
    「起きてたんや?」
    「あぁ…」
    分かる?ちょっと気まずい空気。やっちゃったねみたいな。まぁ元から一夜のワンナイトラブな遊びのつもりやし気を使われるのも逆にしんどかった。
    「帰っていいよ。あ、お金は半分置いてってな」

    2006-02-06 12:29:00
  • 5:

    さき

    「いいって。全部出すから気にせんといて」
    男はそう言ってすぐに着替えてテーブルの上に一万円札二枚を置いて帰った。
    「じゃあ…また連絡するわ。ありがとうな」
    男は部屋から出て行った。あっさりした別れ。まぁ好きでもない男やし全然いいねんけど。

    2006-02-06 12:32:00
  • 6:

    さき

    でも寂しいねんな。「また」がないことも分かってるし。
    気付けばいつも後悔してる。なんでこんなことしたんやろう…って。
    優しさはその場だけ、言葉は偽りだらけの男に私は抱かれて…結局むなしくなるだけやった。
    私は一人残ったホテルの部屋で意味なくまた眠りについた。

    2006-02-06 12:36:00
  • 7:

    さき

    次に目を覚ました時はお酒も抜けてたしすぐに着替えて精算を済ました。
    チェックアウト16800円。お釣りの3200円を見て思った。
    私の一夜は3200円みたいなもんやねんなぁと。タクシーに乗って家に帰ると誰もいない部屋に着く。
    「ただいま…」
    つぶやいてみても誰も何も言ってくれるはずもない。

    2006-02-06 12:40:00
  • 8:

    さき

    着信履歴を見てみた。
    昨日の飲み会メンバーだった友達からかかってきてたからかけてみた。
    「もしもしー電話した?どうしたん?」
    「昨日こうじ君と消えたけど大丈夫やった?ってゆーかめっちゃいいカンジやったやん」
    「あぁ…大丈夫やったよ。あれからすぐ帰ったし」

    2006-02-06 12:43:00
  • 9:

    さき

    嘘をついた。何でほんまのことゆわんのって?
    なんとなく言いにくいし、そうゆう自分が嫌やったから。カッコ悪いやん。
    こうじって名前やったんや…忘れかけてた。体を重ねた相手の名前を忘れるなんて…私も最悪やな…。

    「また進展あったら教えてなぁ」友達はそう言って電話を切った。進展なんてあるわけないやん…もう終わったこと。違うわ…始まってもないのに。

    2006-02-06 12:47:00
  • 10:

    さき

    はぁ…気付けばため息ばかりが出てた。
    私は何をしてるんやろう…あほすぎる自分につくづく愛想がつきる。
    いつから私がこうなったのか。自分でもよく分からん。でも原因といえるならただ一つ。病気のせい。

    2006-02-06 12:50:00
  • 11:

    さき

    私は小さい頃に両親が離婚して父親に引き取られた。母の顔なんて覚えてないし写真すらない。
    でも普通は母親が引き取るもんやろうって物心ついた頃に思った。
    まぁでもそうこう思ってるうちに私には新しい母親ができた。お父さんは再婚した。再婚相手はお父さんより11歳も若かった。

    2006-02-06 12:54:00
  • 12:

    さき

    再婚した当時、私は12歳で小学校六年生やった。父は36歳で再婚相手は25歳。
    でも私は可愛がってもらってたし特に新しいお母さんに嫌なことも思わんかった。
    でもまだ若い二人のあいだにはすぐに赤ちゃんが生まれた。想像つくかな?
    私、弟ができたときは嬉しかった。でもすぐに嫌いになってん…。

    2006-02-06 12:58:00
  • 13:

    さき

    なんでって?そりゃ私は二人の子供じゃなかったから。義理の弟の学(マナブ)が溺愛されてる姿を見てると憎く思えてきた。
    やっぱり私は母親が違うから学ばっかり可愛がられてんねやって思った。

    そうなると少しずつ反抗的になってた。あほみたいにすぐすねたりしてた。

    2006-02-06 13:02:00
  • 14:

    名無しさん

    2006-02-06 13:03:00
  • 15:

    さき

    学のことも嫌いやったから昔っから学のことはあんまり相手にもしてなかった。兄弟やねんから仲良くしなさいっていつも私が怒られてたけど、学は怒られることなんかなかった。
    学と私は13歳離れてた。私と義理の母親も13歳離れてた。複雑な感じやった。
    若いお母さん羨ましいわってよく言われたけど、全然そんなことなかった。

    2006-02-06 13:06:00
  • 16:

    さき

    あんまりご飯はおいしくなかったし掃除も手抜きやった。シャンプーのストックも用意してないような人で。
    でも顔だけは綺麗やし外ヅラがいいからみんな勘違いすんねんな。
    義理の母親は中学二年ぐらいからなつかんようになった私にはだんだん冷たくなっていった。

    2006-02-06 13:09:00
  • 17:

    さき

    ご飯も私だけ違う場所で食べさせてきたり、嫌いなものをわざと作られたりした。
    おこづかいももらわれへんし、服だって全然買ってくれんかった。お父さんも分かってたくせに私のことを見て見ぬふりしてた…。

    当然私はグレてんな…。

    2006-02-06 13:13:00
  • 18:

    さき

    「名前は!住所は!さっさとゆわんかい」
    警察にやっかいになるのは日常茶飯時。中学二年の時に私は地元の族に入って連日連夜、暴走に明け暮れてた。
    その日も捕まって歩道された。私は先輩の単車の後ろに座ってたからすぐに帰してもらえたけど、お父さんも義理の母親も警察には迎えにこんかった。

    2006-02-06 13:25:00
  • 19:

    さき

    警察から家に帰ったらすぐにお父さんに殴られた。
    ガラスの灰皿でおでこのはしっこを叩かれた。私のおでこは切れて血が出た。
    その血を見て思った。こうゆう時だけ父親ヅラして…こんなやつ殺したる!って。

    「おまえ殺したるからな!」私は叫んでキッチンに行って包丁を取りに走った。

    2006-02-06 13:28:00
  • 20:

    さき

    「やめなさい!」義理の母親が叫んだ。
    「おまえも殺したるわ!」私は母親に叫んだ。
    お父さんは黙って突っ立ってた。やるんならやれって目で見てた。
    「お前はあいつにそっくりや。気にいらんことがあったらそうやって反抗することしかせん。男にもだらしなかった。お前の母親は男に走ったんや。お前にもそんな汚い血が流れてるんやぞ」

    2006-02-06 13:33:00
  • 21:

    さき

    私は初めて聞いた言葉でショックやった。お母さんが男作って出て行ったってこと?
    心の中で勝手に記憶だけで作り上げてたお母さんの姿が一瞬でつぶされた気がした。
    「あほらし…お前ら三人で家族だんらんしとけや」
    私はそう言って家を出た。それが中学二年の冬やった。

    2006-02-06 13:36:00
  • 22:

    さき

    私は先輩の家に泊めてもらいながらあんまり学校にも行かずに毎日毎日遊びまわってた。原ちゃりとか単車ぱくったり塗装してかっこいい単車作ったりして。

    三年生になってからはたまに学校行ったらいつも先生に呼び出されて家に帰るよう説得されてた。
    「あんな家に帰ったらキレて頭おかしなるわ」
    私はよく先生とそんな話をしてた。先生はなんかよく分からんけど私に親切にしてくれた。

    2006-02-06 13:41:00
  • 23:

    さき

    たまに学校に行った時は、自分のお弁当くれたりした。
    三年生の修学旅行の時は、私の分のお菓子とか買ってきてくれた。
    東先生ってゆう先生やってんけど、おばちゃんな先生で私にとってはお母さんみたいな先生やった。
    優しくてなんかあったかさのある先生。

    2006-02-06 13:44:00
  • 24:

    さき

    なんか知らんけど、ちょっとずつ学校行くのが楽しみになってた。
    東先生がおるから行ってたようなもんやった。学校以外ではいつも悪いことしてても、学校におる時だけはちゃんとおとなしく先生のゆうこと聞いた。

    東先生に迷惑かけたくなかったから…

    2006-02-06 13:46:00
  • 25:

    さき

    でも中学三年の夏休み、私は先生を裏切るようなことをしてしまった。それが原因で先生は教員をやめてしまうことにまでなった。

    1997年 夏
    私は窃盗事件を起こした。正確にいえば置き引き。スーパーの前に止めてあった自転車の前カゴにカバンが入ってた。それを取って友達と急いで逃げた。

    2006-02-06 13:51:00
  • 26:

    さき

    かばんの中には財布やら封筒やら通帳やら…いろんなものが入ってた。
    たまり場に行って中を見てみたら財布には2万。銀行の封筒には21万も入ってた。
    四人でぱくったから四等分しようって話になったけどなぜか私ら三人は5万で先輩だけ8万って感じで分けられた。

    2006-02-06 13:54:00
  • 27:

    さき

    でもその頃の私にとっては五万でもめっちゃ大金やったから全然よかった。
    でもパチンコとか行ってたらすぐになくなった。
    そんなある時、先輩の家にみんなでたまってたら警察がきた。
    「夏川ひろき、出頭してもらおか」
    先輩は一人連れて行かれた。残ってた私らも名前とか色々聞かれたけど私は全部うそっぱちを書いた。でも確認とられてすぐにばれた。

    2006-02-06 13:59:00
  • 28:

    さき

    「何で嘘を書くねん」
    結局なんか知らんけど家出してるのがばれて半年ぶりに家に連れて帰られた。
    「お前はほんま…近所のええ笑いもんや。よう帰ってこれたな」
    「はぁ?しゃあないやろ。あんたみたいな親もってたらそらこんなんなるわ」
    私はすぐにまた家を出た。

    2006-02-06 14:02:00
  • 29:

    さき

    「夏川先輩って何で出頭なん?」「あぁなんかこの前の喧嘩で傷害事件になったらしいわ」

    先輩の家に戻ったら他の友達とか先輩らが話してた。内心ちょっと安心した。
    あ…置き引きのことちゃうねんやぁってほっとした。

    2006-02-06 14:04:00
  • 30:

    さき

    それから夏川先輩はそのまま傷害事件のことで捕まってしまって鑑別所いきになった。みんな心配はしてたけど、結局自分のことがばれてないから夏川先輩のことなんてすぐに話題にもならんくなってた。
    でも八月に入ってすぐの頃、地元の花火大会があった。

    2006-02-06 14:07:00
  • 31:

    さき

    お祭り大好きな私らは団体で遊びに行ってた。あほみたいにビール飲んだりして騒いだりして…
    でもそんな時、私に声をかけてきたのは東先生やった。
    「中村さん…」
    私は振り返ってびっくりした。なんか学校の巡回でいろんな先生達が祭の見回りに来てたらしくて、東先生もその中の一人やった。

    2006-02-06 14:10:00
  • 32:

    さき

    「先生…。久しぶり」
    「顔赤いけど…大丈夫?あんまりむちゃしたらあかんよ」
    東先生は少し悲しそうに見えた。私もちょっと悲しかった。なんか分からんけど先生に嫌な気持ちさせてしまったなぁって。
    「なんか買ってあげるわ。ちょっとおいで」
    先生は私の手を引っ張って屋台のほうに歩いていく。

    2006-02-06 14:12:00
  • 33:

    さき

    かき氷を買ってもらった。でもその時気付いた。
    先生が持ってた財布…私らが置き引きした時のと同じ財布やった。偶然…やんな?私は動揺してた。

    でも考えてみたら財布の中身と封筒以外のものは触ってないし、お金を抜いてからかばんごとゴミ捨て場に捨てた…
    まさか…違うやんな?

    2006-02-06 14:15:00
  • 34:

    さき

    「先生その財布可愛いなぁ。黄色って風水的にもいいんやろー」
    私は意味分からんこと言ってた。
    「あぁ…そうなんかな。でもあんまりいいことないけどね…」
    東先生はちょっと困った顔をしてた。
    「なんで?なんかあったの?」私は聞いてみた。

    2006-02-06 14:19:00
  • 35:

    さき

    「うーん…ひったくりではないけどかばん取られてしまったみたいで…まぁお金以外の物は警察に行ったら届けてくれた人がいたみたいで大丈夫やったんやけどね」

    私はびっくりした。あれって…先生のかばんやったんや…。ものすごい罪悪感やった。先生がチャリで通勤してるのは知ってたけど、まさか…そんなことになるなんて…

    2006-02-06 14:22:00
  • 36:

    さき

    まして23万ものお金ぱくって…自分が最低な人間な気がして先生の目をまともに見られへんかった。
    ごめんな…私はそう思いながらも平気な顔して先生とバイバイした。
    「ちゃんと9月1日学校きいや。待ってるからね」
    そう言って先生は私に笑いかけながら手を振ってた。なぜか泣きそうになった。私にあんなに優しくしてくれる人やのに…

    2006-02-06 14:26:00
  • 37:

    さき

    私はちょっと考えたけど、やっぱり東先生にはお金を返したかった。
    「なぁ…あのな…」
    私はあの時一緒におった友達二人にどうにかして23万作って拾ったってゆってお金警察に届けようって話した。
    「はぁ?なに考えてんの?夏川先輩もおらんのに。だいたいうちら五万ずつしかもらってないねんで」

    2006-02-06 14:29:00
  • 38:

    さき

    「ほんまや。返したかったらさき一人で金作って返しーや。だいたい今更拾ったとか言って届けるほうがアヤシイで?疑われるに決まってるやん。ただでさえうちら警察に顔知られてんのに」
    二人は私にそう言ってキゲンが悪くなってた。

    2006-02-06 14:31:00
  • 39:

    さき

    「ごめん…」
    私はとりあえず謝った。どうにもできひんかった。友達に嫌われたくもなかった。
    しょせん私は仲間がおらないちびることもできひんかった。一匹狼にはなられへん弱い奴やってん。

    でも東先生のことはほんまに胸が痛くなった。なんで東先生のお金なんやろう…って思った。知らん人のものなら何も思わんのに…

    2006-02-06 14:34:00
  • 40:

    名無しさん

    2006-02-06 14:57:00
  • 41:

    さき

    私は初めて後悔した。自分のしたことを最低やと思った。だって…先生のことは好きやったから。
    私とめんと向かって向き合ってくれる人は先生ぐらいやったし…だからそんな先生にあんな嫌な思いさせてしまった私は最低な人間やった。

    2006-02-06 15:08:00
  • 42:

    さき

    でもお金はどうすることもできひんし、動きようがなかった。
    結局私はそのことがきっかけではないけど、その日からみんなで暴走はしてもあんまり悪いことには手をつけんようになった。
    置き引きもやめたし、バイクをぱくるのもやめた。人の物を盗むことを…やめた。

    2006-02-06 15:11:00
  • 43:

    さき

    でもそれから一週間後、先輩から嫌な話を聞いた。
    「お前らが置き引きしたカバンから夏川の指紋がでたらしいで。夏川と一致したからもしかしたらあいつ窃盗でもいかれるかもしれんなぁ」
    「えっ…あの…うちらのこと喋ったりしますかね?」友達が先輩に聞いた。
    「ゆわんやろー。分からんけど」

    2006-02-06 15:16:00
  • 44:

    名無しさん

    読んでますよ?頑張ってかいて下さいねッ??

    2006-02-06 17:03:00
  • 45:

    名無しさん

     

    2006-02-06 19:31:00
  • 46:

    名無しさん

    2006-02-06 23:12:00
  • 47:

    さき

    少しびびってた。ってゆうより怖かった。夏川先輩がもし喋ったら…私らみんないかれてまう。
    先生にもばれてしまうやんな。冷や汗をかいたのは初めてやった。
    でも後輩裏切ったりはせんやろう…私らそんな気楽な考えでおった。まぁすぐにそんな期待もきれーに裏切られてんけど。

    2006-02-07 05:07:00
  • 48:

    さき

    それから二日後、同いの友達一人も出頭になった。
    残った私ともう一人の友達は、あぁもう終わってもうたなと思った。あの子は絶対喋るって分かってたから。
    ま、そんなこんなでねずみ捕りみたいに捕まった。もちろん私も。

    2006-02-07 05:10:00
  • 49:

    さき

    いつものことながら親は警察暑にも現れへんかった。けど私は別にそんなことはどうでもよかった。
    ただ東先生にばれることが怖かった。容疑が固まれば確実にばれるやろうな…先生どんな顔するやろう。
    調書をとられてる間もずっとそればかりが頭にあった。

    2006-02-07 05:12:00
  • 50:

    さき

    「だから知らんってゆってるやんけ!」
    私は取り調べ室で声をあらげた。そう。嘘をつき続けた。認めへんかったらいいねん。だいたい夏川先輩が取ってんから…
    「もうみんなはいとんねん。全部ばれとんねん。さっさと喋って終わらせろ。時間かけたって同じなんやから」

    2006-02-07 05:16:00
  • 51:

    さき

    何回同じ言葉を言われたやろう?でもカマかもしれん。ほんまは誰も喋ってなくて容疑もはっきり固まらんから私に喋らすつもりかもしれんな…。
    こいつらそれが仕事やねんから。冤罪さえ作り上げてしまう。それが警察。裏を返せばこいつらこそが汚く見えてくる。

    2006-02-07 05:18:00
  • 52:

    さき

    黙っとこう。そう。私は関係ない。そんなこと知らん。置き引きなんてしてないねん。
    忘れてしまおう。そうや。私は被害者やねん。誤認出頭させられてるだけや。いい迷惑や…。何度も自分に言い聞かせた。

    2006-02-07 05:22:00
  • 53:

    さき

    「ラチあかんしお前もよんぱちやな」
    三時間否定し続けた後、刑事は私にそう言った。よんぱちか…留置かよ。お前もとかゆってるけど他の二人は?同じ?
    「はぁ?なんでやねん。頭おかしいんか」私は必死で抵抗したけどあかんかった。
    「あとお前、家に連絡したら学校連絡してくれやとよ。親にも見捨てられてんのか?ロクな子供ちゃうのうかわいそうに」

    2006-02-07 05:26:00
  • 54:

    さき

    「もっぺんゆうてみろ!」私は調書をとってた刑事につかみかかった。
    ソッコーで1発グーでおなかを殴られた。私はまだ殴ってないのにやで。でも一言いわれた。
    「なんや?自己防衛や。なんか文句あるか」

    腐った世の中の腐った大人たち。汚い心に汚い言葉。そんな大人を見て育つ私たち。だから同じことの繰り返し。

    2006-02-07 05:32:00
  • 55:

    さき

    でもそんな私の目にも綺麗に映った人がおった。それが東先生やってん…。
    私がよんぱちになってすぐに学校に連絡が入ったらしい。もちろん担任の東先生には夏休み中にもかかわらず連絡がいった。

    嫌やった…先生に軽蔑されるのが…どうしても嫌やった。

    2006-02-07 05:35:00
  • 56:

    さき

    私に初めて面会に来たのは東先生やった。少し目が腫れてた。泣いたあと…みたいな。
    「中村さん…何かの間違いやね?」先生は静かに私に聞いた。私は先生を裏切った。また嘘をつく。
    「当たり前やんか。いい迷惑やわ。ひどない?びっくりしたわ」
    「そう…よかった。先生も中村さんは絶対にそんなことする子じゃないって分かってるから。疑いはれるまで頑張ろうね」

    2006-02-07 05:39:00
  • 57:

    さき

    先生の言葉を聞いて胸が苦しくなった。私を信じてるんや…信じてくれるんや…ごめんな。
    先生のまっすぐな目は眩しかった。優しくてあったくて。心が洗われるような気持ちになる。
    私もっと早くに…先生と出会いたかった。ぐれたりする前に会えてたら…先生を傷つけることなんかなかったのにね。

    2006-02-07 05:43:00
  • 58:

    さき

    先生は夏休みやのに毎日のように私に会いに来てくれた。でも私は毎日取り調べ。毎日嘘を重ねてた。
    そんなある日…全てがばれてん。同い歳やった友達がとうとう喋った。どうやってお金を分けたとか、私の担任の先生のかばんってことを知ってお金を返そうとしてたとこやって。

    2006-02-07 05:47:00
  • 59:

    さき

    「お前捕まる前から誰のもんやったか知ってたらしいな。ひどいもんやのう。被害者はあの先生で犯人はお前らとは…お前知っててあの担任の先生に嘘ついとったんか。面会にまで毎日来てくれとったのにな。ごみ以下やなほんま」

    私は目の前が真っ暗になった。

    2006-02-07 05:50:00
  • 60:

    さき

    全部…ばれた…。もっと最悪なことも言われた。
    「夏川も井上も佐竹も、全部お前が首謀でやったってゆうとるけど。お前夏川の後輩やのに元締めやっとったんけ?まぁお前の鑑別所行きは確実やから」

    は…い?元締めってなに?首謀って…。くそ…はめられてる…あいつら…

    2006-02-07 05:54:00
  • 61:

    さき

    人間みんな自分が大事。そんなこと分かってた。でも仲間を売るようなこと…するなんて。同じ罪かぶって同じ償いしたらいいんちゃうの?
    先輩にも友達にも裏切られた。でもそれよりも悲しかったのは東先生に全てがばれること、それから私がやらせたように思われてしまうことが悲しかった。

    2006-02-07 05:56:00
  • 62:

    さき

    先生に嘘をつき続けた私。そしてそれを信じてくれてた先生。
    私は先生を裏切った。甘ちゃんやってんな…ばれへんってタカをくくってたから。
    先生はその日から面会に来ることはなかった。ただ鑑別所に送還される日の前日、一通の手紙を監視員に手渡された。

    2006-02-07 06:00:00
  • 63:

    さき

    二枚の和紙に綺麗な達筆の字で手紙は書かれてた。

    中村さんへ
    今あなたは何を思いながらこの手紙を読んでいるのでしょうか。私は教師を27年間やってきました。一年も休むことなくです。旦那はいるけど子供ができなかったからね。だから育児休暇も必要なかったの。でも私にはたくさんの教え子達がいたから子供みたいなものだと思ってこの27年間、毎日母親として子供達と接してきました。
    どんな年代でもつっぱってる子はいました。でも私は手がかかる子ほど可愛くてね。

    2006-02-07 06:08:00
  • 64:

    さき

    結局寂しいのよみんな。愛されたい子達ばかりがつっぱってるように見えてね。だから私はそんな子達の心の母でいたかった。そう思ってずっと教師を続けてきました。
    中村さん、私はあなたを信じてましたよ。あなたの心の支えになりたいと思ってました。でもあなたは違ったみたいですね。
    私を母とは思ってくれていなかったね。あの時あなたが「当たり前やん」と言った言葉、私は信じてました。あなたが言ったから信じました。私はあなたを自分の子供のように思ってましたから。

    2006-02-07 06:15:00
  • 65:

    さき

    親なら子を信じて当たり前でしょ?だから私は中村さん。あなたを信じたんですよ。
    先生ね、今まで数え切れないヤンキー生徒達と出会ってきた。そのたびにきちんと向き合ってきた。だから中村さんと向き合うことができなかったことはすごく残念に思いました。
    あの時正直に言ってほしかった。私には本当のこと、話してほしかった。誰にだって過ちや間違いはあるんだから。私はもう教師を続けて行く自信がなくなりました。卒業させてあげることができなくてごめんね。 東 朝美

    2006-02-07 06:21:00
  • 66:

    さき

    読み終わった時には大粒の涙が両目からこぼれてた。先生…ごめんな…
    信じてくれた人を裏切った。信じていたやつらに裏切られてた。私が守るべきものって一体なんやってん…私と向き合おうとしてくれてた先生を…傷つけた。
    死にたいぐらい悲しかった。

    2006-02-07 06:25:00
  • 67:

    さき

    私が1番会いたかった人。それは東先生やった。だから更正するために真面目に頑張った。
    先生と卒業式に出たかった…。でも知らんかってん。私は鑑別所を出るまで…先生が学校を辞職してたことを。
    年があけた1月20日、私は予定よりも早く鑑別所から保護観察付きで釈放された。その足ですぐに会いに行った。中学へと急いで…

    2006-02-07 06:32:00
  • 68:

    さき

    私が学校に行くと、まずソッコーで相談室に連れていかれた。私服の私にすぐに気付いた先生達にばれたからやった。
    まっ黒髪の私を見て先生達は物珍しい顔をしてた。ま、仕方ないか…ずっと金髪やったもんな…

    2006-02-07 06:34:00
  • 69:

    さき

    「なぁ東先生は?すぐ呼んできて。会いたいねん」私はすぐに言った。
    「え?中村お前知らんのか?東先生二学期が始まる三日前に辞職届け出してやめはったんやぞ」
    「そうそう。体調が悪いとかなんとかで。でもまぁもう51歳やったからね。長年やっててガタがきたんちゃう?」
    先生達は口々に東先生の話をする。

    2006-02-07 06:38:00
  • 70:

    名無しさん

    2006-02-07 06:39:00
  • 71:

    さき

    「うそやん…」
    私はショックで仕方なかった。二学期が始まる三日前?ってことは…私に手紙を届けに来てくれた時?
    信じたくなかったけど東先生はほんまにおらんようになってて、かわりに若い熱血系のGTOみたいな男教師が相談室に来た。
    「中村。今はこの先生が3組の担任や」

    2006-02-07 06:56:00
  • 72:

    名無しさん

    無料着うただぁぁ?いい音出てるよん?http://chacaz.com/?i=23&c=01422159

    2006-02-07 07:32:00
  • 73:

    ひかり

    頑張って☆読んでます★☆

    2006-02-07 18:49:00
  • 74:

    さき

    いかにも暑苦しい感じの冬やのに黒く焼けてるような肌の先生。
    「はじめましてー中村。二学期から三組の臨時教師として配属された武藤や。よろしくな」
    よろしくな?なんやねん…こいつなんか知らん。私の担任は東先生ただ一人や。こんなやつ…
    「もう学校なんか来ることないしあんたを担任やとも思ってないから。東先生がおらんようなったら来る意味ないしな」

    2006-02-07 19:39:00
  • 75:

    さき

    「おい中村!」
    他の先生たちが私に注意をしてきた。
    「まぁまぁ。僕はどっちでもいいですわ。問題起こされるぐらいならこんほうがマシですしね。だいたい前担任の先生は君のせいで辞めたらしいやんか」
    武藤は私を見て少し笑ってた。気持ち悪い…

    2006-02-07 19:41:00
  • 76:

    さき

    バン!私は席を立って帰ろうとした。
    「中村、もうちょっとここおれ。今は昼休みの時間やし生徒もうろうろしてるから」
    武藤にそう言われた。仕方ない。私は私服やし他の生徒に会ったら悪影響を与えるとでも思ったんやろう。私は相談室でしばらく待ってた。
    武藤以外の他の先生達は午後からの授業の用意で出て行った。

    2006-02-07 19:45:00
  • 77:

    さき

    嫌な空気やった。息がつまりそう。武藤は私をじっと見てニヤニヤ笑ってた。

    「お前気持ち悪いねん。ニタニタすんなや新米教師が。はよ出て行け」

    私は武藤をにらみつけた。武藤はそれでもこっちを見て笑いながら立ち上がってドアのほうに歩いて行った。

    2006-02-07 19:49:00
  • 78:

    さき

    やっと出てってくれんのか…私はほっとしてた。でも武藤は出て行くどころかドアの鍵を内側から二重にしめた。
    私が通ってた中学は歴代的にもかなり悪さの激しい地域にあり、とにかく最悪。こんな相談室が四つもある。相談室とは名前だけで中身を見て見れば窓もなく汚い豚箱のようなものだった。

    2006-02-07 19:52:00
  • 79:

    さき

    「お前!何してんねん。さっさと出ていけや」
    私は少しびびってた。武藤は笑ってるけど目が怖かったから。とっさに思った。こいつはヤバイ…

    2006-02-07 19:55:00
  • 80:

    名無しさん

    頑張って?

    2006-02-07 20:28:00
  • 81:

    さき

    「おい中村。俺はなぁ、お前みたいないちびりが一番嫌いなんや。フッ…クソガキがいきがって」
    武藤はそう言いながら私に近付いてきた。やばい…殴られる…そう思った時、武藤は私の髪をおもいっきりつかんで顔を上に向けた。…でこをなめられた。

    2006-02-07 20:35:00
  • 82:

    さき

    体中が身震いした。気持ち悪い…
    「お前なになめてんねん!こんなことしてただですむと思うなよ!」
    私はびびりながらも強気で武藤に向かってつばをはいた。武藤の頬につばがかかった。
    「ちっ…」武藤は舌打ちをした後、髪をもっと強く引っ張りながら服の上から私の胸を触った。

    2006-02-07 20:39:00
  • 83:

    さき

    「やっ…やめろや!」
    私は一瞬わけが分からんかった。こいつ私を殴るつもりじゃない。なんかするつもりや…
    とっさに何故かそう思った。私は正直いってヤンキーはヤンキーやったけど、彼氏はいなかった。付き合ったことはあっても適当に付き合ってたから処女は守ってた。ほんまに好きな人ができた時に…やるもんやと思ってたから。

    2006-02-07 20:43:00
  • 84:

    さき

    武藤は私の言葉にも耳をかさず、しだいに着ていたジャンパーの中のスエットにまで手を突っ込もうとしてきた。
    私は無我夢中やった…一瞬しかなかった。武藤につかまれてた髪がいくら抜けても逃げたかった。
    横目で見たらこんな相談室にも花瓶があった。もう…これしかない

    2006-02-07 20:46:00
  • 85:

    さき

    私は武藤の手が一瞬ゆるんだその時、その花瓶におもいっきり手を伸ばして右手でつかむと、向き合った体勢の武藤の頭を後ろ側から強く殴った。
    ゴツン…割れはしなかったけどとんでもない鈍い音がした。人の頭を殴ったのは生まれて初めてやった。

    2006-02-07 20:49:00
  • 86:

    さき

    喧嘩はなんぼでもしたことはあった。でも私は頭は殴ったことはない。何故かって?分からんけど先輩にはそう教えられてた。
    とにかく体はいくらいってもいいけど頭はいくなって言われてた。
    だから気持ち悪い感触が手に残ってた…
    武藤は頭をおさえて倒れこんでしまった。

    2006-02-07 20:52:00
  • 87:

    さき

    私は気持ちわるさと怖さで急いで鍵をあけるとすぐに相談室を飛び出した。

    気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い…
    ちょっと手が震えてた。そのまま学校の裏門を飛び越えるととりあえず近くの公園に向かった。
    水道のところまで走ってすぐに顔を…でこを洗った。「くっそ…ぉ」悔しかった。

    2006-02-07 20:57:00
  • 88:

    さき

    ちょっと時間がたったら少し落ち着いた。公園のジャングルジムに座りながらぼーっとしてた。
    私には帰る家はない。家はあるけどあそこは私の居場所ではない。だったらどうする?またあの裏切りものの夏川らの所に戻るん?
    東先生の顔が浮かんだ…ちょっと涙がでた。

    2006-02-07 20:59:00
  • 89:

    名無しさん

    読んでるよ?頑張って続き書いてね?

    2006-02-07 21:01:00
  • 90:

    さき

    私には結局誰もおらんかってんな…。夏川にも友達にもうまいこと仲間ごっこされてただけや。
    唯一私を信じて向き合ってくれてた人を裏切って。ほんま…あほや。先生…今どこにいるんですか?
    一言だけでいい。ただ…謝りたかった。

    2006-02-07 21:03:00
  • 91:

    さき

    うすっぺらいジャンパーでは一月の寒い空気をしのぐことはけっこうきついもんやった。
    寒っ…自然とゆってしまうぐらい寒い。でも行くところもなければお金もない。人間金じゃないってゆうけど結局お金がなければなんもできひん。
    それを知ったのが15歳の冬の日やった。

    2006-02-07 21:05:00
  • 92:

    さき

    動いても動かんでもなんもせんでもおなかはすくし人間って贅沢やなぁと思った。
    仕方なく昔からよく万引きしてたお店に行った。おにぎり二個とチーズとアロエジュースをぱくった。ポケットが小さいからこんなもんしか入らんかった。
    でもその時の私にはじゅうぶんやってん。

    2006-02-07 21:08:00
  • 93:

    さき

    お店を出てすぐに食べた。おなかすいててんほんま。でも空腹が満たされれば次は何をしようかと思う。
    何もすることもなく行くあてもない。私にはヤンキーの友達しかおらんかったし。でも東先生のことを思うとどうしてもあそこに戻ることだけはしたくなかった。
    もう二度と会われへんくても傷付けてしまった人に償いたかった。

    2006-02-07 21:12:00
  • 94:

    さき

    日も暮れていく。時間だけは過ぎていくねんな。気付いたら真っ暗やった。
    仕方なくまた公園に戻った。汽車の中に入って少しだけ風から身を守る。ただの気休めやけど全然よかった。
    寒いな…死ぬんかな…冬の日に死んだらまだいいかな。夏の暑い日よりは綺麗なまま死ねるやろう…

    2006-02-07 21:15:00
  • 95:

    さき

    「おいこんなとこに女おるって」「うそやん!」
    私が浅く眠りについた時、そんな声で目を覚ました。汽車の中から出口のほうを見たら右にも左にも男がおった。
    えっ…ちょっとなに?
    「こんなとこでなにやってんのー寒いやろ」「出ておいでや」「家出?」
    口々に話し掛けてくる。

    2006-02-07 21:20:00
  • 96:

    さき

    「おい!中に女おるって!」「うそやん?」
    私が浅く眠りにつきかけた時、そんな声が聞こえてすぐに目をあけた。
    「なにしてるん出ておいでや」「家出かぁ?」
    男達は口々にそういってきた。

    2006-02-07 21:23:00
  • 97:

    さき

    やばい…こいつら…
    くさかった。すぐにらりってるって分かった。目もいってる。どうしよう…げっ…
    気付いた。知ってるやつがおった。違う地域のヤンキーで、私らの地域とは犬猿の仲の別の族のやつらや。しかもこいつ…夏川先輩らに一回いかれてたやつやん…私は必死でばれへんように顔を伏せた

    2006-02-07 21:27:00
  • 98:

    さき

    「おーい!はよ出てこいやぁ」「ムシか?」
    私が黙ってても次から次に話してくる。内心ドキドキやった。
    「えーもんやるわ」そう聞こえた時、私のすぐ隣にねずみ花火が投げられた。私はびっくりして汽車から出た。
    「な?最初っから出とけばえーねん」

    2006-02-07 21:29:00
  • 99:

    さき

    「あっ…お前」「なんやねんヨシ知り合いか?」
    「夜神連合の夏川らの後輩っすよ。俺らが去年いかれてた時笑って見てましたわこの女」
    アホなやつでも変な記憶力はあんねんな。しかも私は見てただけ。まぁ笑ってたけど。
    「お前パクられとったんか?髪真っ黒やんけ」

    2006-02-07 21:33:00
  • 100:

    さき

    どうしよう…
    「受験…があるから黒染めしたんです」
    私あほやった。何でぱくられてたって言わんかったんやろう。隠す必要なんかなかった。夏川らのせいでぱくられてたって言っとけばよかった。
    「はぁ?受験?笑わせんなや。ヤンキーはヤンキーらしく人の道はずして生きろや」

    2006-02-07 21:36:00
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