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売れない女優
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1:
夕夏
あたし、夕夏。
職業…女優。って言ってもちょい役でドラマに出たりする売れないってか売れてない女優。
そんなあたしの物語。2008-06-27 14:20:00 -
46:
夕夏
ふと目が覚めると、あたしは亀ちゃんの腕の中に居た。
“あったかい…”
寝ている亀ちゃんを起こさないように、そっとベッドから下りると携帯を手に取った。
着信は全て徹で埋まっていて、メールは“もう二度としない”とか“愛してるのはお前だけ”なんて、そんな陳腐な言葉で綴られていた。
今までのあたしなら許していただろう。でももう限界。徹にも、真央にも関わりたくないし思い出したくもなかった。2008-06-28 11:38:00 -
47:
夕夏
『起きたんか?今何時?』『9時やで。』
『あ〜仕事行く用意しな。お前どうする?ここおる?』
『ううん帰るわ。』
家に帰って、部屋を掃除したかった。全て捨ててしまわないといけない様な気がした。2008-06-28 11:42:00 -
48:
夕夏
亀ちゃんと別れ家に帰る。『ただいま〜』
『お帰り。あれ?今日徹君と遊ばんの?』
『別れた。』
母は一瞬驚いた顔をしたけど、それ以上何も聞いてこなかった。
ゴミ袋を片手に部屋に向かい、徹との思い出の詰まった物を全部捨てた。2008-06-28 11:48:00 -
49:
夕夏
明日からは学校。
幸い徹や真央とはクラスが違うから、そんなに会う事は無い。
『夕夏〜ご飯やで〜!!』
その日の晩御飯は、あたしの大好きなハンバーグだった。
『お前オーディションて何の事や?』2008-06-28 11:53:00 -
50:
夕夏
父が突然聞いてきた。
『女優の。市原さんに勧められてん。』
『ほんまになりたいんか?』
『ん〜まぁ一回受けてみよかなぁと思って。』
うちの両親は結構放任主義で、勉強さえちゃんとしていればあまりうるさい事は言わない。2008-06-28 11:55:00 -
51:
夕夏
『お前が女優ねぇ…』
父はブツブツ言っていたけど母の了解は得ているから恐いもの無しだ。
次の日の事を考えると少し憂鬱になったけど、意外と平気な自分にびっくりしつつ眠りについた。2008-06-28 11:58:00 -
52:
夕夏
『おはよー!!』
『夕夏おはよ!!』
にっこり笑顔のもう一人の親友、綾。
いつもあたしの事を気遣ってくれる優しい子だ。2008-06-28 12:07:00 -
53:
夕夏
『あたし徹と別れた。』
『嘘やん!?何で!?』
真央とは綾も顔見知りだし言おうか迷ったけど、どうせバレるだろうと全て隠さずに話した。
『ちょっ!!何で綾が泣いてんのよ(笑)』
話を聞いていた綾がボロボロと泣き出した。2008-06-28 12:11:00 -
54:
夕夏
『だっで…真央ぢゃん…許されへん…ヒック…』
『でも真央も悩んだやろしもぉいいねん。誰が悪いとかちゃうし。』
本気で思っていたの半分、自分に言い聞かせたの半分でそう答えた。
ただ、自分の事の様に泣いてくれるこの子を一生大事にしようと、心に誓った。2008-06-28 12:15:00 -
55:
夕夏
『んでな、亀ちゃんに告られた。』
『あっやっと告ったんや』『何で知ってるん!?』
『だって綾前から亀ちゃんに相談されてたもぉん!!』綾は亀ちゃんと同じ美容院で働く子と付き合っていて、その子と三人で話している時に色々と相談されていたらしい。
『知らんかった…』2008-06-28 12:19:00