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いつもあの場所で…

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  • 1:

    優希

    冷たい風、体全体を冷やしてく。
    もう冬はすぐそこまできていた━━━━

    2007-07-19 20:14:00
  • 11:

    優希

    君を悲しませているものを取り除きたい。
    君の笑顔を見てみたい。
    悲しまないで、僕まで悲しくなる……。

    話した事もないのに彼女を見つめながら僕は自然に思っていた。

    2007-07-19 21:05:00
  • 12:

    優希

    終電の時間もすぎ、人気のない改札前には僕と彼女だけになっていた。
    きっと彼女は僕の存在に気づいてる。……当たり前か、こんな狭い空間に二人しかいないんだ。変質者と思われているだろうか…?それでもいい。彼女から目が話せない。昨日のあの目を見てしまったからなねかわからない。ただ彼女から目が反らせない。

    2007-07-19 21:09:00
  • 13:

    優希

    どれくらいの時間が経っただろうか…?きっと大分経っているだろう。彼女が立ち上がった。何処に行くのだろうと、僕も思わず立ち上がった。
    すると彼女はこちらを向き、足を動かせた。一歩一歩近づいてくる。僕は凍ったように体が動かない。鼓動が早くなる。  目が合う。更に鼓動は早くなる。とうとう彼女は僕の目の前まで来た。そこでピタっと足をとめた。僕は彼女を直視できず、下を向いた。沈黙が流れる。 僕の視界には彼女の足がうつっている。
    何を言われるのかとドキドキしていると透き通った声が耳に入った。

    2007-07-19 21:15:00
  • 14:

    優希

    「貴方は誰を待ってるの??」

    2007-07-19 21:16:00
  • 15:

    優希

    えっ…?
    その質問に思わず顔を上げた。目に入った彼女の顔。僕の中で時が止まった。
    白い肌に大きな目。鼻筋が通っていて、薄い唇。胸まである漆黒の髪は今まで一度も染めた事がないようにしなやか。
    整いすぎた彼女に釘付けになり、一瞬僕は声をなくした。 「ねえ?聞いてる?」
    「あっいやっ…俺は…その……」動揺しすぎて言葉が出てこない。それに、「君を見てた」なんて言ったら嫌われるかもしれない。どうしようと混乱していると彼女は小さく悲しく笑った。 「貴方も帰らない人を待っているのね……」

    2007-07-19 21:23:00
  • 16:

    優希

    悲しいその言葉は僕に重くのしかかった。
    ━貴方も…━

    僕は違う…いや、違ってはいない。僕は…君を待っていた。 君の笑顔を見れる日をずっと待ってるんだ…。

    2007-07-19 21:25:00
  • 17:

    優希

    「君は帰らない人を待ってるの?」僕の口は勝手に動いていた。その質問に彼女は一瞬悲しげな顔になったが、またすぐ笑顔になり僕の質問に答えた。  「そうなの…帰ってこないってわかってるのに毎日ここに来てしまう…」
    顔は笑っているが、目は今にも泣き出しそうなほどだ。   「よかったら聞かせてくれないか??…君は誰を待っているのか…」
    初対面なのに失礼かもしれない。それでも聞きたかった。それで僕にできる事があれば…と。彼女はそんな僕を不審に思わず、重い口を開けてくれた…… 「まだ最近の話なんだけどね……」

    2007-07-19 21:31:00
  • 18:

    優希

    ……………………………………

    2007-07-19 21:32:00
  • 19:

    優希

    まだ寒さが残る3月。
    彼女は幸せの絶頂にいた。  生まれて初めて心から愛せる人に出会えたのだ。そして婚約まで話が進んでいた。毎日がキラキラ輝いていて、何ともない毎日が幸せだった。
    彼が仕事から帰ってくる時間には改札前まで迎えに行き、家までの道のりをゆっくり歩いて帰った。
    二人は本当に幸せだった。  彼女にとって彼は自分の中の一つになっていた。また、彼にとっても彼女は自分の中の一つだった。たまに喧嘩はあったもの、仲がよかった。本当に誰が見ても仲がよかった…。

    2007-07-19 21:39:00
  • 20:

    優希

    どんな事があっても二人は離れない。
    そう固く誓いあって体を重なり合った。
    そう、どんな事があっても離れないはずだった……。

    2007-07-19 21:41:00
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