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━secret━
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1:
◆qrlDpe3WiM
友情と愛情
どっちを取るって 聞かれたら
今ならそう
あたしは
迷わず答えれるのに―…2007-05-30 22:21:00 -
21:
◆qrlDpe3WiM
「この仕事は初めてなんやんね?何か聞いておきたい事とかある?」
『あ…いえ……。』 聞いておきたい事なんて考えれる余裕すら、あるわけなかった。緊張で、顔も強ばっていたと思う。 「名前は雪ちゃん、でいーんかな?そんな緊張せんでも大丈夫やでー(笑)」 笑いながら、代表は言う。その笑顔に少しだけホッとした。この人の笑顔は、 なんだかすごく安心した。
「雪ちゃん、源治名どーする?何か付けたい名前とかってある?」
源治名。どうしよう… 『特には…ないです。』 「そっかぁ、んーそうやなぁ……。あっ!今日って何日やったっけ?」 『え?15日です…かね?』「よし!(笑)決まり!」 『?』
「月…月…月奈。うん、これや!十五夜やから月奈やな!決定!」2007-05-31 07:47:00 -
22:
◆qrlDpe3WiM
なんて単純な……。思わず唖然としてしまったけど、あたしはこの瞬間"月奈"になる事を決めた。 なんとなく、やってみたいと思った。この世界で、この人達の住んでいる世界を、少し見てみたいと思った。
「月奈?なんでまた?」 『代表が決めてくれた。今日…十五夜やから月奈。』「あははっ単純やな。代表らしいわ(笑)」 拓美は、あたしに貸衣装のドレスを選んでくれた。 淡い黄色のロングドレス。
「めっちゃえー名前やん。月奈にちなんで、記念すべき初日は黄色の衣装で☆」『ありがとう…。』
拓美の選んでくれたドレスを着て、水割りの作り方など基本的な事を教わり、フロアに足を踏み入れた。 あたふたと接客をこなしながらこの日、無事に体入を終えてあたしは正式にclubCandleのキャストになった。2007-05-31 08:08:00 -
23:
◆qrlDpe3WiM
仕事を初めて1ヶ月、ようやく接客の基礎が身についてきた気がする。だけど、指名をとるのは素人のあたしにはやっぱり難しい。 特別美人でも可愛くもないあたしは、熟練された容姿や接客スタイルを持つ周りの女の子達に…かなうはずもなかった。 「月奈ぁ〜、お前またそんなとこでふてくされて。」『ふてくされてないし…』事務所の端っこで、携帯を充電しながら触っていると拓美が声をかけてきた。 「営業メールしてるん?」 『んー…ちょこちょこ。』連絡先交換したお客さんと、連絡のやり取りをする。もともと性格がマメじゃないあたしには、少し苦痛だった。だけど、指名を取る為にはきっと一番大事な事なんだろう。 「まぁ…それはいいとして。月奈、お前もしかして人見知りするタイプ?」 『へ…?なんでまた?』 「お前、女の子達と全くしゃべらんやん?んーなんてゆうか…仲いい子作るとか上辺だけでもいいから少しくらいコミュニケーション取ってた方が自分の為やと思うで??」
拓美は、心配してくれてるんだろう。まだ新人のあたしがいつもお店で一人でいる事を。2007-05-31 08:25:00 -
24:
◆qrlDpe3WiM
『…んー分かった!もっと話し掛けてみるわぁ。』 特別、友達が欲しいわけじゃなかった。拓美の言う通り、あたしは人見知りが激しい。だけど、せっかく心配してくれている拓美の気持ちを素直に受け取りたかった。
「了解…☆頑張れよ!あ、そーいや今日から花梨復帰するから仲良くしーや!」『花梨って?』 「うちのもとナンバーワンの子やで。しばらく休業してたんやけど、今日から復帰するねんよ。」 ナンバーワンか……。きっと、美人で気が強い感じなんやろな。現に、今のナンバーワンの"未来さん"はそんな感じだし。
『分かったー。挨拶くらいしてみるわー。』 「花梨はええ子やから大丈夫やで。まぁ、そう心配すんなって!(笑)」
"はいはい"と適当に愛想笑いをすると、拓美は笑顔で仕事に戻っていった。2007-05-31 08:36:00 -
25:
◆qrlDpe3WiM
花梨と始めて出会った日。あたしは、まだ全然この世界に歩き始めたばっかりで。この先、こんなにもあなたに救われていくなんて全く予想もしなかったんだ。
《月奈ぁぁ…。信じてや?あたしはッ……あんたを守る為に… 裏切ってなんかないからッッ!あたしは…》《言い訳なんか聞きたくないっ!…花梨だって、同じなんやろ?ほんまはあたしが…邪魔やったんやろ?》
ねぇ、花梨。あたしはあなたに救われた。何度も何度も、救われて生きてきた。自ら手放してしまったその手を…あたしはまだ忘れられずにいる。2007-05-31 08:48:00 -
26:
◆qrlDpe3WiM
「おー花梨久しぶりやん!相変わらずチビやなぁ(笑」「たっくんー久しぶりっ!チビは余計やで!(笑)」 しばらくして事務所の入り口から、声が聞こえた。 ガラッ――。
「おはようございまーす!」中に入ってきた女の子と、一瞬目が合う…。
『あ…おはようございます。』
拓美の言ってた花梨って、この子の事だろう。第一印象は、"ちっちゃ!!!" 花梨にこの話を後から言うと、"ひどいわー(笑)"と怒られたけど。
でも、そのくらい花梨はちっちゃかった。小柄というか、なんというか。華奢で小顔で、まるでお人形さんのようだった。2007-05-31 09:02:00 -
27:
◆qrlDpe3WiM
実は同じ年だったあたしと花梨。この日から、次第に仲良くなりあたし達はお店で会うたびにいつも話すようになっていた。
花梨は、声だけじゃなくて性格にも本当にギャップがあった。黙っていたら、まるでお人形なのに…性格はサバサバしてて、男女問わず接客中も自分を作ったりなんかしない。 この子がナンバーワンだった理由は、きっと見た目だけじゃないと確信できた。2007-05-31 09:22:00 -
28:
◆qrlDpe3WiM
『花梨ーッ。どうやったら指名取れるん〜!?』 今日は出勤前に、花梨とご飯を食べに来ていた。お店の近くの小さな居酒屋だ。あたしは、花梨に泣き付いていた。
「月奈、営業メールとかはしてるん!?」
『うん…最近はマメに。』「じゃあ、大丈夫やって!あたしが見てる中じゃ、月奈の接客は良く出来てるしお客さんからも、イイ噂良く聞くし☆」
『じゃあ、なんで本指に返ってこないんやろぉ…』 はぁぁ…と、溜め息をつきながらあたしは目の前のビールを一口飲んだ。 「この仕事はな、すぐに結果に出る人と、努力を溜めて後から結果になる人の2パターンあるねん。月奈はきっと後者やわ!花梨が保障するから!」 花梨は笑顔で言った。 『花梨〜。。ありがとっ』経験豊富の花梨に保障してもらえるなら、なんとも心強い。―…確信なんかなくても、励ましてくれる花梨の気持ちが嬉しかった。2007-05-31 10:51:00 -
29:
◆qrlDpe3WiM
『そういや、花梨って彼氏とかいてるん!?』 花梨とは、恋愛話をした事がなかった。いないわけはないと思ってたが、興味津々に聞いてみる。 「…んー彼氏かぁ。一応、いてるよ。うまくいってないけど(笑)月奈は?」 『あたしはこっち引っ越す時に別れたぁ。なんかマンネリしてたしさ!花梨やっぱ彼氏いるんやー。どんな人?どんな人?』 花梨の彼氏やったら、やっぱり男前やろなぁ。
「…優しくて…冷たい人、かな。」
『…え?なんか矛盾してるやん(笑)』
「うん。矛盾ばっかりの人やねん(笑)」 そう言って、花梨は笑った。この時に一瞬見せた悲しい目の意味を、あたしはまだ気付くわけもなかった。2007-05-31 11:07:00 -
30:
◆qrlDpe3WiM
《月奈…あたしな…》 《聞きたくない!花梨の話なんか…ッ。もう信用出来ひんねんッ!もうあたしに関わらんといて!!》 《……ごめん…ね。》
花梨、気付いてあげれなくてごめん。あの時、あたしが花梨の話を最後まで聞いていれば―。あなたはまだあたしの隣で、あの頃みたいに笑ってくれた?
なぁ、花梨。
あんたは何処にいるん…?2007-05-31 11:14:00