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  • 1:

    ◆qrlDpe3WiM

    友情と愛情 
    どっちを取るって    聞かれたら           
    今ならそう          
    あたしは
    迷わず答えれるのに―…

    2007-05-30 22:21:00
  • 17:

    ◆qrlDpe3WiM

    「なんのえっ!やねん(笑)」『いや…店長なんやね。ちょっとびっくりして。』 だから、普段はスカウトとかしなかったんだろうな。「あー良く言われるから、もう慣れてるわ。」   そう言って拓美は笑った。  
    「んで、本題に入るけど…」拓美は、お店の事をある程度詳しく説明してくれた。店名【Candle】     ミナミの中じゃそこまで大きなお店ではないらしいけど、常連のお客さんが多く暇な日はあまりないらしい。時給は、面接の際に決まる。待機カットはなし。

    2007-05-31 02:40:00
  • 18:

    ◆qrlDpe3WiM

    夜の仕事に何の知識もなかったあたしは、話を聞いていてもそのくらいの事を理解するのでいっぱいいっぱいだった。    
    「とりあえずー…さっ、いきなりやけど今日体入してみーひん!?」
    『体入って?』     「1日体験入店やで。」  『えっ…いきなり??』 「だって説明だけ聞いても分からへんやろ?働くか働かないかはそれから決めてくれたらいいから☆」 
    正直、こんなに展開が早いとは思ってなかったから急に不安になってきた…。 「大丈夫やって!俺が一緒におんねんから!」   どんな理由やねん。とか…思いながら、結局は拓美の押しに負けてしまい。あたしは、体験入店をすることになった。

    2007-05-31 05:15:00
  • 19:

    ◆qrlDpe3WiM

    「じゃ、早速案内するわー!もうすぐちょうど開店時間やから。」  
    『うん…。』 
    不安で重たい気持ちと、重たい腰をゆっくりあげる。「あ、肝心なこと聞き忘れてたわ。君、名前なんてゆーん??」       『…き。』       「え!?聞こえんから(笑)」『…佐久間 雪。』      
    「りょーかいっ!ほなら雪ちゃん行きますかー☆」 大阪に来て、二週間。行きずりで出会った男に仕事を紹介され着いていく。  あたしって、こんなに行動力あったんやなぁ……。

    2007-05-31 05:24:00
  • 20:

    ◆qrlDpe3WiM

    【club Candle】    拓美に連れられ緊張した足取りでお店に入ると、店内にはもうちらほら女の子が出勤していた。華麗なドレスに、綺麗にセットされた髪。どの女の子も、キラキラと輝いて見えた。   店内は想像していたよりも広く、カウンターにBOX席が六席ある。真ん中には、煌びやかなシャンデリアがぶら下がっていた。      
    「雪ちゃん、代表が面接して下さるみたいやからこっちおいでー。」     呆然と突っ立っていたあたしに、拓美が声をかける。なんだか、ますます不安になってきた。こんなん絶対世界が違いすぎるわ―…。   
    事務所のような部屋の中に入ると、代表と呼ばれる男の人がソファーに座っていた。          「初めまして。Candle代表の谷上 蓮です。どーぞおかけ下さい。」  あたしに気付くと爽やかな笑顔で、挨拶を交わす。   
    夜の仕事の人間は、みんな若く見えるのだろうか。 この人が代表・・?経営者って事やんね?     その男の人は、どう見ても20代で。ピシッと決まったストライプ柄のスーツが良く似合っていた。

    2007-05-31 05:43:00
  • 21:

    ◆qrlDpe3WiM

    「この仕事は初めてなんやんね?何か聞いておきたい事とかある?」 
    『あ…いえ……。』   聞いておきたい事なんて考えれる余裕すら、あるわけなかった。緊張で、顔も強ばっていたと思う。   「名前は雪ちゃん、でいーんかな?そんな緊張せんでも大丈夫やでー(笑)」  笑いながら、代表は言う。その笑顔に少しだけホッとした。この人の笑顔は、 なんだかすごく安心した。    
    「雪ちゃん、源治名どーする?何か付けたい名前とかってある?」 
    源治名。どうしよう…  『特には…ないです。』 「そっかぁ、んーそうやなぁ……。あっ!今日って何日やったっけ?」    『え?15日です…かね?』「よし!(笑)決まり!」  『?』   
    「月…月…月奈。うん、これや!十五夜やから月奈やな!決定!」

    2007-05-31 07:47:00
  • 22:

    ◆qrlDpe3WiM

    なんて単純な……。思わず唖然としてしまったけど、あたしはこの瞬間"月奈"になる事を決めた。    なんとなく、やってみたいと思った。この世界で、この人達の住んでいる世界を、少し見てみたいと思った。
    「月奈?なんでまた?」  『代表が決めてくれた。今日…十五夜やから月奈。』「あははっ単純やな。代表らしいわ(笑)」     拓美は、あたしに貸衣装のドレスを選んでくれた。 淡い黄色のロングドレス。   
    「めっちゃえー名前やん。月奈にちなんで、記念すべき初日は黄色の衣装で☆」『ありがとう…。』       
    拓美の選んでくれたドレスを着て、水割りの作り方など基本的な事を教わり、フロアに足を踏み入れた。 あたふたと接客をこなしながらこの日、無事に体入を終えてあたしは正式にclubCandleのキャストになった。

    2007-05-31 08:08:00
  • 23:

    ◆qrlDpe3WiM

    仕事を初めて1ヶ月、ようやく接客の基礎が身についてきた気がする。だけど、指名をとるのは素人のあたしにはやっぱり難しい。 特別美人でも可愛くもないあたしは、熟練された容姿や接客スタイルを持つ周りの女の子達に…かなうはずもなかった。      「月奈ぁ〜、お前またそんなとこでふてくされて。」『ふてくされてないし…』事務所の端っこで、携帯を充電しながら触っていると拓美が声をかけてきた。 「営業メールしてるん?」 『んー…ちょこちょこ。』連絡先交換したお客さんと、連絡のやり取りをする。もともと性格がマメじゃないあたしには、少し苦痛だった。だけど、指名を取る為にはきっと一番大事な事なんだろう。      「まぁ…それはいいとして。月奈、お前もしかして人見知りするタイプ?」  『へ…?なんでまた?』 「お前、女の子達と全くしゃべらんやん?んーなんてゆうか…仲いい子作るとか上辺だけでもいいから少しくらいコミュニケーション取ってた方が自分の為やと思うで??」  
    拓美は、心配してくれてるんだろう。まだ新人のあたしがいつもお店で一人でいる事を。

    2007-05-31 08:25:00
  • 24:

    ◆qrlDpe3WiM

    『…んー分かった!もっと話し掛けてみるわぁ。』 特別、友達が欲しいわけじゃなかった。拓美の言う通り、あたしは人見知りが激しい。だけど、せっかく心配してくれている拓美の気持ちを素直に受け取りたかった。
    「了解…☆頑張れよ!あ、そーいや今日から花梨復帰するから仲良くしーや!」『花梨って?』     「うちのもとナンバーワンの子やで。しばらく休業してたんやけど、今日から復帰するねんよ。」    ナンバーワンか……。きっと、美人で気が強い感じなんやろな。現に、今のナンバーワンの"未来さん"はそんな感じだし。 
    『分かったー。挨拶くらいしてみるわー。』    「花梨はええ子やから大丈夫やで。まぁ、そう心配すんなって!(笑)」  
    "はいはい"と適当に愛想笑いをすると、拓美は笑顔で仕事に戻っていった。

    2007-05-31 08:36:00
  • 25:

    ◆qrlDpe3WiM

    花梨と始めて出会った日。あたしは、まだ全然この世界に歩き始めたばっかりで。この先、こんなにもあなたに救われていくなんて全く予想もしなかったんだ。

    《月奈ぁぁ…。信じてや?あたしはッ……あんたを守る為に… 裏切ってなんかないからッッ!あたしは…》《言い訳なんか聞きたくないっ!…花梨だって、同じなんやろ?ほんまはあたしが…邪魔やったんやろ?》

    ねぇ、花梨。あたしはあなたに救われた。何度も何度も、救われて生きてきた。自ら手放してしまったその手を…あたしはまだ忘れられずにいる。

    2007-05-31 08:48:00
  • 26:

    ◆qrlDpe3WiM

    「おー花梨久しぶりやん!相変わらずチビやなぁ(笑」「たっくんー久しぶりっ!チビは余計やで!(笑)」 しばらくして事務所の入り口から、声が聞こえた。 ガラッ――。     
    「おはようございまーす!」中に入ってきた女の子と、一瞬目が合う…。 
    『あ…おはようございます。』
    拓美の言ってた花梨って、この子の事だろう。第一印象は、"ちっちゃ!!!" 花梨にこの話を後から言うと、"ひどいわー(笑)"と怒られたけど。        
    でも、そのくらい花梨はちっちゃかった。小柄というか、なんというか。華奢で小顔で、まるでお人形さんのようだった。

    2007-05-31 09:02:00
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