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  • 1:

    ◆qrlDpe3WiM

    友情と愛情 
    どっちを取るって    聞かれたら           
    今ならそう          
    あたしは
    迷わず答えれるのに―…

    2007-05-30 22:21:00
  • 11:

    ◆qrlDpe3WiM

    『はい…??』     状況がまったく掴めてないあたしに、彼は手際よく説明を始める。ホストだと思っていた男は、どうやらキャバクラの黒服のようだった。
    【キャバクラ】。アパレルの仕事をしていた時に、仕事仲間が掛け持ちをしていると言っていた。話や愚痴は良く聞いた。だけれど、やはり未知の世界…。     
    『そんなん無理やわ。夜の仕事とかした事ないし。』あたしは、彼の誘いをアッサリと断った。

    2007-05-31 00:04:00
  • 12:

    ◆qrlDpe3WiM

    《月奈っ、あたしはあんたの事を想って――ッ…!》《違う!花梨は結局自分の事しか考えてないやん!》《なんで・・?なんで分かってくれへんの――ッ?なぁ、月奈ぁぁ…ッ!》      
    ねぇ花梨、あなたに伝えなければいけない事が。  伝えなければいけなかった事が。

    まだ、たくさんあるんだ。

    2007-05-31 01:57:00
  • 13:

    ◆qrlDpe3WiM



    2007-05-31 01:58:00
  • 14:

    ◆qrlDpe3WiM

    あの日から一週間後、結局あたしはあの男に電話をかけた。思い通りに仕事も見つからず、興味本位のままに、その名刺に書かれた番号にダイヤルしていた。 「…もしもーし?!どちらさん?!」   
    彼はすぐに電話に出た。 『あっ……あの、あたし』そう言えば、あたし名前言ってないやん。どうしよう…。覚えてるわけないよなぁ…。         「…あー。あっ、もしかして烏龍茶の子!?一週間くらい前ミナミにいてた?」『覚えてたんや…。』  驚いた。声で分かったのだろうか。それとも、彼はスカウトが本職ではないのかもしれない…。     「電話くれたって事は、うちで働く気になってくれたん!?」
    嬉しそうに聞く電話ごしの声。      
    『とりあえず、話だけでも聞きたいな…って思って』

    2007-05-31 02:07:00
  • 15:

    ◆qrlDpe3WiM

    あたしが答えると、すぐにでも会って話をしたいとの事で、今日の夜早速会う事になった。待ち合わせは、前に会ったミナミの自販機の前に7時…。     どんな格好をするべきか分からず、まぁまだ働くと決めたわけじゃないし。適当にいつも通りのカジュアルな格好で家を出た。     
    「おー久しぶりやんっ!」 待ち合わせ場所に着くと、彼はもう自販機の前にいて相変わらずコーラを片手に飲んでいた。      『ごめん…!待たせた?』慌てて時計を見ると、まだ7時10分程前だ。    「いやいや、俺が早めに着いただけやから気にせんとってー!時間間違えて一時間前に着いたねん(笑)」 思わず、笑ってしまった。彼の足元には、コーラの缶が二本も置いてあった。

    2007-05-31 02:17:00
  • 16:

    ◆qrlDpe3WiM

    適当にその辺りにあった喫茶店に入り、話を聞く事にした。何でも頼んでいいと言われたので、とりあえずコーヒーを頼んだ。   「…で、まず、名前やん!俺、名前知らんし。俺の名前は知ってるやんな?」 『え…?知らんけど?』 「名刺渡したやん!どうやって電話かけてこれたんよ、君は(笑)」      あ、ほんまや・・。電話番号しか見てなかったから、名前なんてちゃんと目を通してなかった。     『ごめん…。名前ちゃんと見てなかった…。』   正直に、答える事にした。「正直やから許したる(笑)俺の名前は、藤堂 拓美やから覚えといてな!一応、Candleの店長やから。」 『えっ・・・』     店長やったんや…。若いし軽快な感じだっから、普通のボーイさんだと思ってたあたしは少し驚いた。

    2007-05-31 02:33:00
  • 17:

    ◆qrlDpe3WiM

    「なんのえっ!やねん(笑)」『いや…店長なんやね。ちょっとびっくりして。』 だから、普段はスカウトとかしなかったんだろうな。「あー良く言われるから、もう慣れてるわ。」   そう言って拓美は笑った。  
    「んで、本題に入るけど…」拓美は、お店の事をある程度詳しく説明してくれた。店名【Candle】     ミナミの中じゃそこまで大きなお店ではないらしいけど、常連のお客さんが多く暇な日はあまりないらしい。時給は、面接の際に決まる。待機カットはなし。

    2007-05-31 02:40:00
  • 18:

    ◆qrlDpe3WiM

    夜の仕事に何の知識もなかったあたしは、話を聞いていてもそのくらいの事を理解するのでいっぱいいっぱいだった。    
    「とりあえずー…さっ、いきなりやけど今日体入してみーひん!?」
    『体入って?』     「1日体験入店やで。」  『えっ…いきなり??』 「だって説明だけ聞いても分からへんやろ?働くか働かないかはそれから決めてくれたらいいから☆」 
    正直、こんなに展開が早いとは思ってなかったから急に不安になってきた…。 「大丈夫やって!俺が一緒におんねんから!」   どんな理由やねん。とか…思いながら、結局は拓美の押しに負けてしまい。あたしは、体験入店をすることになった。

    2007-05-31 05:15:00
  • 19:

    ◆qrlDpe3WiM

    「じゃ、早速案内するわー!もうすぐちょうど開店時間やから。」  
    『うん…。』 
    不安で重たい気持ちと、重たい腰をゆっくりあげる。「あ、肝心なこと聞き忘れてたわ。君、名前なんてゆーん??」       『…き。』       「え!?聞こえんから(笑)」『…佐久間 雪。』      
    「りょーかいっ!ほなら雪ちゃん行きますかー☆」 大阪に来て、二週間。行きずりで出会った男に仕事を紹介され着いていく。  あたしって、こんなに行動力あったんやなぁ……。

    2007-05-31 05:24:00
  • 20:

    ◆qrlDpe3WiM

    【club Candle】    拓美に連れられ緊張した足取りでお店に入ると、店内にはもうちらほら女の子が出勤していた。華麗なドレスに、綺麗にセットされた髪。どの女の子も、キラキラと輝いて見えた。   店内は想像していたよりも広く、カウンターにBOX席が六席ある。真ん中には、煌びやかなシャンデリアがぶら下がっていた。      
    「雪ちゃん、代表が面接して下さるみたいやからこっちおいでー。」     呆然と突っ立っていたあたしに、拓美が声をかける。なんだか、ますます不安になってきた。こんなん絶対世界が違いすぎるわ―…。   
    事務所のような部屋の中に入ると、代表と呼ばれる男の人がソファーに座っていた。          「初めまして。Candle代表の谷上 蓮です。どーぞおかけ下さい。」  あたしに気付くと爽やかな笑顔で、挨拶を交わす。   
    夜の仕事の人間は、みんな若く見えるのだろうか。 この人が代表・・?経営者って事やんね?     その男の人は、どう見ても20代で。ピシッと決まったストライプ柄のスーツが良く似合っていた。

    2007-05-31 05:43:00
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