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殺してしまった
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1:
名無しさん
「泣くな、うるさい!」そう怒鳴りながら、母は私の服をまくりあげ、タバコを背中に押し付けた。「ーぁ゛あ゛」声にならない声が出た。私は泣くのをこらえた。「最初から、そうしてればいいのよ。」冷たい目で私にそう言うと、母はテレビに目を向けた。
2007-04-28 15:53:00 -
2:
名無しさん
私の背中には、幾つものタバコの跡がある。一生消える事はないであろうこの跡は、唯一母が私に残したものだった。
私は父の顔は知らない。どこかの街の病院の、院長の息子だということだけは知っていた。2007-04-28 15:58:00 -
3:
名無しさん
父は相当のお金持ちらしい。私と母は、父が毎年まとめて送ってくる、大量の養育費で、いい暮らしをしていた。
母は仕事もせず、仕送りに頼って、四六時中家にいた。朝食はシリアル。昼は、学校でたべる給食。夜は、いつも出前だった。2007-04-28 16:04:00 -
4:
名無しさん
学校から帰ると、母はいつもテレビを見ていた。化粧一つせず、頭はボサボサ。部屋はちらかり放題。こんな女が、なぜ私の母親なのかと、運命を呪った。
2007-04-28 16:09:00 -
5:
名無しさん
「さやか、あんたいつの間にかえってきたのよ〜。早く着替えなさい。」いつもは私がかえって来ても、口一つ聞いてくれない母が、みょうに優しい。「はい」無表情で答えたけれど、(お母さん、私の事嫌いじゃなくなったんだ)と、泣きそうなほど嬉しかった。
2007-04-28 16:15:00 -
6:
名無しさん
以前におばあちゃんが送ってくれた、お気に入りのワンピースに急いで着替えて、髪の毛をむすんで、母のいるリビングに行った。「お母さん、着替えてきたよ!」「そう。じゃあ、玄関で待ってなさい」そういって、母は化粧を始めた。
2007-04-28 16:22:00 -
7:
名無しさん
母は化粧をすると、別人の様に綺麗になる。若い内に私を産んだので、並んで歩くと、親子と言うよりは姉妹だった。この日はとても天気が良くて、街がキラキラしてて・・・。母が私の手を握って歩いている。話しかけてくれる。私に笑顔を向けてくれている。みんなには当たり前の事も、私にとってはなにもかも初めての事で、特別な事で・・。一生こうしていたいと思った。小学四年生になったばかりの、春の事だった。この日は、一生わすれられない日となった。
2007-04-28 16:35:00 -
8:
名無しさん
たどりついた先は、六本木の、とある大きなマンションだった。母がインターホンを鳴らすと、「おう、開ける。」と、低い男の声がした。「ねえ、誰のおうち?」「ママの彼氏だよ〜」母はニッコリ笑った。
2007-04-28 16:47:00 -
9:
名無しさん
頑張ってぇ
2007-04-28 16:53:00 -
10:
名無しさん
部屋からでてきた男は、不精髭をはやした、四十位のオヤジだった。「遅かったじゃん」タバコをくわえながら、私と母を交互に見つめる。「お、おじゃまします・・」挨拶する私を無視して、男は母にキスをした。怖かった。あまり、見たくはなかった。
2007-04-28 17:00:00