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FAITH
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1:
◆veUs8IjfB6
私はしがない風俗嬢。
夢の為?借金返済の為?はたまたホストに貢ぐ為?
そんな明確な目的なんてものはありません。ただただ其の日暮らしの為に「風嬢」やってます。2007-04-25 03:19:00 -
56:
「紫苑ちゃんに会いたくてきてん」
瞳は揺れる事なく安定していて、私を貫くように真っ直ぐ見つめている。
「…何で?」
追求すると彼は目を逸らした。動揺したのが手に取れてわかる。私に会いたいと思う衝動に、私に言いたくない理由があるのが明白だ。やはり彩織目当ての営業なのか。やはり彼は見たままの通り、ホストなのだろう。罪悪感を感じた事に後悔し、私も彼から目を逸らした。2007-05-06 13:25:00 -
57:
「……結構前、雑誌で見て、……会いたくなって」
消えそうな声で、彼は言う。横目で盗み見るように見れば、彼は俯いていて、少し長めの髪が顔にかかり、表情をうまく隠している。顔を見たいと思ったが、まだ何か続くような科白の切り方だったので、私は取り敢えず聞き手に徹する事にした。
「前の雑誌やし、風俗の子ーら長い事はおらんやん?まだ店におるんか心配やったけど、電話してみたら、おってさあ…」2007-05-06 13:28:00 -
58:
「…ほんま、会えて嬉しい…」
返す言葉が出てこない。感情の宿ったように思える彼の科白。これは全て演技なのだろうか。判断に困り、私は答えを出せずに沈黙するしかなかった。
「…会いたかった…」
嘘みたいに、私に会えた事に感慨極まっている。雑誌を閲覧しただけで、会った事も無い私の為にわざわざ足を運んでくれたお客さんは、今まで何人か居る。其の為の雑誌だから当然の結果だ。だけど、ここまで心の篭った言葉を貰ったのは、今まで生きていて初めてだと思う。2007-05-06 13:31:00 -
59:
「……何でそこまで感動するんですか?たかが風嬢に会えただけやのに」
「う…ん、ほんま会いたかったからかな?」
そう言って、へらりと笑う。笑ってごまかす、とは誰が言い出したのか。今の彼にぴったりと当て嵌まる表現だ。やはり彼は、私に会いたかった理由を告白しない。二度も拒絶したのだから、言わないと決意しているのだろう。其の謎に拘る事はやめにした。2007-05-06 13:34:00 -
60:
>>49さん
面白いと感じていただけて安心しました。さくさくとした文章ではありませんが、これからも見ていて下さいね。書き込み有難う御座います。
>>梢さん
読みやすいですか!夜遊び受けする文体では無いと思っていたので、そう言っていただけると凄く励みになります。書き込み有難う御座います。2007-05-06 13:39:00 -
61:
◆veUs8IjfB6
「…変な人…」
私は俯いて、静かに言い捨てた。そうする事しか出来なかったのだ。顔を合わせる前に描いていた彼へのイメージで、しょっぱなから身勝手な悪態をついていたため、彼の私に対する第一印象は最悪なものだろう。だから、最後までこの人格を突き通す事が、彼に対する誠意だと思った。
今更彼の純粋な言葉を受け止め、其れに順応して態度を変えるなど、彼の優しさに甘えて自分を正当化するだけだ。
其れにどんな想いがあるにしろ、風嬢に性欲以外の憧れを持つなんて、おかしいのだ。私が満たす事が出来るのは、性欲以外に無いのだから。2007-05-28 18:43:00 -
62:
「あはは、よー言われるで、でも普通より変わってるほうがええわ」
言葉は意図を外れて機能する。彼はにこにこと嬉しそうに笑い、前髪を指先でもてあそぶ。超絶に格好いい、わけではないけど、決して不細工ではない。物腰柔らかな喋り方と、少し垂れ気味の大きくも小さくもない瞳、鼻筋の通った顔立ちが、穏やかな印象を濃くして安心感を与えてくれる。そして何処か落ち着いた姿勢が、包容力も感じさせる。
それらは全て無意識、なのだろう。きっと彼は意識せずとも女に好かれるタイプだ。
「あ、紫苑ちゃんて、何が好きなん?俺に紫苑ちゃんの事教えてや」2007-05-28 18:47:00 -
63:
「そんなもの…」
「何でもいいねん、好きなもの、嫌いなもの、楽しい事、嫌な事。教えれる事だけ、生きてきた事教えてや」
不思議な人だ。威圧ではなく、優しさで制している。決して強制されているわけでもないのに、なんとなく逆らう事が出来ない。子供に向けられる無邪気さと似た、居心地の悪いそれ。
「貴方の事も、教えてや。名前も、知らんもん」2007-05-28 18:50:00 -
64:
抵抗としてはかなり無意味な、ただの時間稼ぎ。だけどマナーとして当然の事。名前も知らない人に、私の個人情報は教えられない。…なんて、其れは結局一般論でしかなく、今の私にとっては本当にただの時間稼ぎの作意でしかない。
「あ、ごめん、俺、朝比奈紫苑」
「………は……?」
聞きなれた単語が復唱された気がした。否。気がしたのではなく、確信だ。2007-05-28 18:53:00 -
65:
「あはははは、俺も紫苑ってーの、紫苑ちゃん」
驚きで無防備になった私の表情がおかしかったのか、結構本気で彼は笑っている。私も思わず吹き出して、驚きの表情を笑顔で染め上げた。
「はは…あはははは…紫苑ちゃんとか呼んでて照れへん?」
「まあ、結構きもいもんあるで」2007-05-28 18:56:00