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1:
◆veUs8IjfB6
私はしがない風俗嬢。
夢の為?借金返済の為?はたまたホストに貢ぐ為?
そんな明確な目的なんてものはありません。ただただ其の日暮らしの為に「風嬢」やってます。2007-04-25 03:19:00 -
2:
「あーもー、ほんま苛つくわ!」
独り言として不適切な程盛大に言葉を吐き出して、手にしていた携帯を投げ棄てる。
壁にぶち当たっても勢いは衰えず、床に叩き付けられ無残に電池パックが転げだした哀れな携帯。2007-04-25 03:20:00 -
3:
「うっとーしいねん…」
メールしていた相手に向けた科白だが、先程の惨劇で電源の落ちた携帯では電波ですら相手に届かない。
行く先の閉ざされている言葉は虚しく空気に溶け込むしかなかった。2007-04-25 03:23:00 -
4:
何が悪い、何なのか。この苛立ちの正体は。
突き詰めれば簡単に答えは出て、メールの相手のホストが原因だ。さらに追求すれば、先週に同じ店の彩織に誘われて行ったホストクラブに行った事が何もかもの根源だ。
__________2007-04-25 03:26:00 -
5:
ガチガチの色営(本営?)で精神拘束されている彩織は、彼に促されるまま軽快にドンペリ二本。座って5分も経ってないもんで、先が思いやられる。
シャンパンコールの準備をする従業員をドン引きで眺めていたら、私とは対極的にノリノリで隣に座ったホスト。渡された名刺にはしっかりと「代表取締役」と印刷されていて、瞬間的にこみ上げる笑いを噛み殺したけど、完全には堪え切れなくて肩が震えた。
寒さで震えたとでも勘違いしたのか、すかさず彼は私の肩を抱き寄せる。2007-04-25 03:29:00 -
6:
鑑識眼はいいね。でも、着眼点がよくないね。
本格的に我慢出来なくて、堪えた努力も虚しく吹き出してしまった。
怪訝そうに見つめられたけど、彼の疑問を解決する気はなかった。2007-04-25 03:32:00 -
7:
この店を「代表」する人。ナンバーワンとはまた別で、店の象徴的存在の人。
象徴が一番最初に着いてしまえば、後につく従業員の存在感が稀薄になってしまう。小型店なら代表が従業員と何一つ変わらずに接客するのもアリだけど、この「エタニティ」は結構大型店。こんなでっかい箱で、パネル指名もしてなくて、新規で即行代表が着くなんて、よっぽど暇だったのかな?其れとも私が好みだった?なんてね、そんなわけない。
確実に私を捕らえてしまいたいだけだね。2007-04-25 03:35:00 -
8:
手の透けるような事してるから、笑ったんだよ。
ホストってほんと、わかりやすい。
彼に対し何の関心も無い私は冷静に彼の行動を分析出来るけど、色営にやられてる彩織の気持ちだって、わからなくもない。2007-04-25 03:38:00 -
9:
職種を軽々しく公表出来ない我ら風嬢は、人との縁が脆いうえに少ない。上っ面では平気なふりして虚勢張ってても、疎外感と劣等感の塊なのだ。
ネットでは不特定多数の人にある事無い事書き込まれ、大体の風嬢が他人を信じない。
だから、一人の寂しさを、一人で解消しなきゃならない時がある。ホストはお金さえ差し出せば無条件に迎え入れてくれるから。
だから、わかりやすくたって、お金持ってくる限り途切れない縁があるなら、其れで構わないのだ。2007-04-25 03:41:00 -
10:
色も本も趣味も、きっと気付く事なんて簡単。だけど、気付けば孤独を消してくれる媒体を失ってしまうから。だからわざと気付かない。気付かないうちは、其れ以上に必要なものなんてないから。
私は、この孤独を失くしてくれるホストに出会っていないけど。そんじょそこらのホストに明け渡せる程、単純な孤独じゃない、から。2007-04-25 03:44:00 -
13:
◆veUs8IjfB6
「名前なんてーん?」
シャンパンコールの最中、代表が耳元で囁くように訊いてきた。へらへらとした、唇の先だけで音にした印象を持つ、頭の悪そうな喋り方が鼻につく。臨機応変に態度を変化させる彼らの事、私が頭悪そうに見えた証明になるから。
かっちりスーツを着こなして、いかにもエリートな女には、もっと丁寧な言葉で切り出すのでしょう。2007-04-26 05:06:00 -
14:
「紫苑」
「紫苑?キレーな名前やな〜。俺は麗ってーの、よろしく〜」
「『うるは』?『れい』かと思いました」
「まあ本名其れやからな。読み方変えただけやねん。紫苑は?本名なん?」2007-04-26 05:09:00 -
15:
早速呼捨てにしてくれちゃってる麗君。第一印象が大して良くないせいか、些細な事でカチンとくる。
まあ、類は友を呼ぶって言うし、彩織が色営だから、私にも同じようなスタイルで攻めたら攻略出来ると思われているのだろう。色をかけるにはまずは距離感を失くさなきゃならないからね。
でも、既に見当違いな麗君に色かけられて満足出来る程、私の孤独を手懐けられるとは、思えないな。2007-04-26 05:12:00 -
16:
「紫苑は本名ですよー。てか馴れ馴れしいんですね。いつもそんな感じですか?」
「んー、お近付きになりたい女の子には、こうなるな〜。紫苑は、俺と仲良くするの、拒否系?」
彩織の贔屓にしているホストクラブ。再び訪れる可能性のある場所で、ふてこくするのは得策ではない。ましてや代表さまさまだ。それに私も彩織と同じく風嬢。そこそこのお金を持っている人材を代表に紹介したという名目で、彩織の顔も立つだろう。2007-04-26 05:15:00 -
18:
>>17さん
とても嬉しいお言葉有難う御座います。期待してて下さい!なんて(笑)
私が書き込むたびあがるのに気が引けるのでsageにしてるだけですよー。sage進行というスタンスでもないんで17さんにお任せします。2007-04-26 23:04:00 -
19:
別にそこまで彩織と仲が良いわけじゃないけど…閉鎖的な人間関係のうち、数少ない交流のある一人だ。繋ぎとめておきたい。
「いーえ、代表さんに仲良くしていただけるなんて光栄です」
「やめてや、代表さんとか〜ホストの肩書きなんて形だけやねんからふつーに麗て呼んでや」
従業員が苦しそうに回し飲みしている中、麗君はずっと私に集中していた。目の前のお客に必死になる熱意は認めるけれど、それって努力なのかな?この人はこうして幾つもの他人の努力を踏み台に、此処までのし上がってきたのだろうか。2007-04-26 23:07:00 -
20:
「そんなわけで〜お姫様がた!これで満足していただけましたでしょーーーか?!」
二本のドンペリは空になり、コールは煽りに切り替わっていた。お客様としてのマナーを護りつつ、風嬢としての特権を振りかざして、麗君を苛めてみようと思います。
マイクを此方に向けられた瞬間、私は満面の微笑み。私の生活費を搾取するんだから、それなりに苦しんでもらいましょう。2007-04-26 23:10:00 -
21:
「麗君と出会えた記念に〜ドンペリ2本!も・ち・ろ・ん、麗君がぜーんぶ飲んで下さいねー!」
別に安酒一気しろっていってんじゃない。それなりにお金使って苦しませるのだ。等価交換としては充分な対価だろう。
会話で楽しめる人じゃないと判断したのだから、ストレス発散要員にしても、赦されるよね。
麗君はいきなりの吹っかけに驚愕していたけれど、直ぐによっしゃー持って来い!と、乗り気で叫んでくれた。2007-04-26 23:13:00 -
22:
「今日初めて遊びに来ていただいた紫苑ちゃんから、代表へ愛の篭もった、ドンペリ二本いただきました〜!!」
ばっちり。飲んでいただきました。さすが代表。二本のドンペリを一人で飲み干しても、まだ余裕がありそうだ。潰す事が目的でもなければこれ以上のお金を彼に支払うのは正直割に合わないので、シャンパンは此処でストップ。
バカなお金の使い方だね。だけどこんなバカな事に後悔せず投資出来る事が、風嬢で良かったと思える数少ない瞬間なの。2007-04-26 23:16:00 -
23:
名無しさん
文章うまーい!小説書くのはじめてですか?ちなみに主さんは風俗の方?
2007-04-26 23:37:00 -
24:
◆veUs8IjfB6
>>23さん
書き込み有難う御座います。私は風俗ではありませんよー。小説は夜遊びで書くのは初めてですね。
少しですが更新します。2007-04-30 11:47:00 -
25:
「もーまじ焦るわ!俺を酔わして何する気なん!」
どかっと私の隣を陣取っては、私の肩に腕を回してくる。…別に何する気もない、協調性がなく、身勝手に自分の結果だけを築こうとする姿勢がちょっとだけ気に食わなかったから何となく苛めただけ。シャンパンを一気する酷は、皆で分散させないと辛いよね?
「紫苑〜、俺紫苑と仲良くなりたいわあ…紫苑は、俺以外の奴興味あるん?」2007-04-30 11:47:00 -
26:
「…麗君にも別に興味ないですけど」
「うわ、きっつー!でもまあ当たり前やな!俺以外まだ誰もついてへんしな!」
甘いムードの演出を一転させ、けらけらと明るく笑い出した。こういう軽い感じの会話なら、麗君に対して好感が持てる。
「まあ、回転の時間までに紫苑のハートをがっちり捕まえるわ〜」2007-04-30 11:50:00 -
27:
さすがにドンペリ二本丸まる飲ませておいて、口座にしないのも気が引ける。これまでホスト遊びはある程度してきたけれど、彩織のようにどっぷりはまれるホストに出会った事がない。妥協して口座を決めるなんて当然の事だった。
「別にいいですよ。麗君口座にします」
「は、まじで?」
綺麗な切れ長の瞳の弧が強くなった。だけど其れは直ぐに弱まり、屈託のない笑顔に変わる。カラーコンタクトで遮蔽された瞳の奥では私であって私ではない、私から引き出せるお金を映しているとしても、喜びで構築された笑みは、本当だろうと思った。2007-04-30 11:53:00 -
28:
それから麗君は、何度か他の席を回ったりしていたけど、結構長い時間、私の隣に座っていた。これといって楽しい会話ではなかったけれど、気に食わない事も無かった。強いて言うならお決まりの色ホストの科白が退屈に感じて、時間の経過を常に感じながらの二時間。結構なお酒も入っている朝方で、さすがに睡魔が瞼に結集してきてこれ以上の延長は打ち切った。
初回料金とシャンパン代、飲み物は彩織の卸しているボトルを飲んで、しめて私の飲み代15万ちょっと。売れっ子でもない私でも、頑張ったなら、一日で稼げる金額。ちょっとくらいサボっても、三日あれば十分。
でも、ホストクラブなら、私の「頑張ったなら一日で稼げる15万」が、たったの2時間で消費される。正気の沙汰では考えられない事実が当たり前に展開するホストクラブは、まるで現実から切り取られた、夢の世界。いい夢か悪い夢かは、見る人次第だね。2007-04-30 11:56:00 -
33:
◆veUs8IjfB6
「おはよー…ってどしたん、めっちゃ不機嫌そーやん」
どうにも一人じゃ苛立ちの消化が満足に出来ず、不機嫌なまま出勤すると、彩織が待機室でコンビニ弁当を食べていた。能天気な光景に脱力して、彩織の隣に座り込んでは勝手に唐揚げを摘み取って自分の口に放り込む。彩織は特に咎める様子もなく、食べ続ける。
「ちゃうねん、この前の麗君、覚えてるやろ?あんたが色カノしてる店の代表」
「ああ、なんなん、色ってくるん?」2007-05-01 09:33:00 -
34:
食物を口に運搬する作業が止まり、均整の取れた顔に好奇心が滲む。
「あー、そやねん、うまくかわしてるつもりやねんけど、色カノの連れは取り敢えず色っとけなスタンスなんか知らんけど、やめる様子なくてさー」
「えーやん色られときーや、あたしがおもろいから」
「嫌やわ、しんどいねんて。寝起きで色メールこられたらうんざりすんねんて」2007-05-01 09:36:00 -
35:
そう、どうにも今日は寝つきが悪く、目覚めた瞬間からあまり気分が良くなかった。けたたましい携帯のアラームに起こされ、そのままメールをチェックすると、麗君からの、色の篭ったラブメール。
【俺さー紫苑の事考えると何か一日頑張れる気がするねん、まだ会ったばっかやけど、ほんま俺の支えやわあ。一目惚れでもしたんかなー。出来ればもっと近くで支えてほしい。そしたら俺も確信もって紫苑の為に頑張れるからさ。】
いつもなら見なかった事にして何事も無かったようにそっと携帯を閉じていた。虫の居所が悪いと普段気にも留めない愚行が無性にイラっとくる。寝起きで思考能力の低下している頭は、苛立ちが促すがままに携帯を投げるという短絡的な暴挙に出た。2007-05-01 09:39:00 -
36:
「ほな今日あたし行った時にさー、麗君に言うとくわ、『あの子連絡ない方が燃え上がるタイプやで』とか『色よりお笑いのが好きやねんで』とか」
「うん、言うといてや。人から言われたほうが信憑性増すしな」
「オッケ、麗君が落ち着いたらまたいこや」
「えーで、彩織の色られっぷり見るんも楽しいしな」2007-05-01 09:42:00 -
37:
「やろ、色カノナンバーワンですから」
彩織はそう言って誇らしげに笑む。彼女は「色カノ」というポジションを悲観的に感じる事はなく、本カノに成り上がりたいとも考えていないようだ。サイトで何度も色カノネタで叩かれても、『必死で叩かんでもわかってるっちゅーねん』とけらけら笑って堂々としているくらいだから。
「色カノでエース、稼がな大変ですね〜」
「誰や思てんの、あたしは『キッス』ナンバーワンでっせ〜」2007-05-01 09:45:00 -
38:
彩織の発言通り、彼女はこのホテヘル、『キッス』ナンバーワン。
彼女は本当に美人だ。新規は99%リピートにするんじゃないかとまことしやかに囁かれている程の容姿の持ち主。元々有名キャバクラ出身で、そこでもナンバー入りしていたらしく、一般的には十分に贅沢出来る収入を得ていただろう彼女はエタニティのナンバーワンホスト、「雫」の色カノになる為に、風俗に転職した。
私はキャバクラ事情に疎いので詳しくは知らないが、彩織が風俗へ行った事で業界は大騒ぎだったらしい。
有名キャバクラのナンバー。其の肩書きにはプライドも地位もあっただろう。其れを棄ててまでの価値が、今にあるものなのか。人それぞれ思う事はあるが、彩織が笑顔で雫の色カノを続けている事が、其の答えなのだろう。2007-05-01 09:51:00 -
39:
◆veUs8IjfB6
「彩織さん〜お客様です〜」
会話を遮断する義務的な声。時計を見れば夜の八時過ぎ。仕事も終わり、ご飯も食べ、そろそろサラリーマンの夜遊びが活発になる時間帯。
「げ、弁当食べきってへんしな…」
「食べといたるやん」2007-05-04 13:24:00 -
40:
にこにこと微笑みながら、彩織から箸を奪う。食べ物の恨みは何とやら。彩織は恨めしそうに目を細ませるものの、これから忙しくなる彼女は食べる暇が無いと観念しているのか、抵抗はしない。
「…まー、ええわ、またはなそ、何か奢りや!」
彩織は大儀そうに立ち上がると、全身鏡で身だしなみチェック。特に乱れてもいない髪に軽く触って、待機室から出て行った。2007-05-04 13:25:00 -
41:
(あーあ、彩織行ったら暇やなあ…)
待機室には何人か女の子が寛いでいて、話し相手には困らない…筈なのだが。他の待機している女の子数人は、私の存在など無いものかのように、グループに別れそれぞれ喋っている。
彩織はわりと誰とでも仲良く出来るが、私が軽く会話が出来る人は彩織くらいしかいない。あまり社交的な性格でないうえ、言葉に嘘は吐かないが、心を篭められないので、冷たい印象を持たれ女の子からは敬遠されやすい。2007-05-04 13:31:00 -
42:
(えーわもう、雑誌でも読んどこ)
立てかけてある雑誌を広げ、食べながら適当に眺める程度に目を向ける。
私は彩織とは違ってしがない風俗嬢。一日本指があるか無いか。正直6〜7時間勤務のうち、待機している時間のほうが長い日もあったりする。そんなんでホストでシャンパン卸したりして貴方生活出来るのって感じですけど、容姿はぶっちゃけ悪くはないので、至極たまーに出る雑誌の取材費と、パネル指名と店のお情けの保障に助けられてたりするのです。
……すいませんねえ、期待外れの給料泥棒で。2007-05-04 13:34:00 -
43:
「紫苑さん〜、お客様です〜」
「…ふぇ?私?」
予想外のお客の来店に間の抜けた声が出る。出勤して30分は大概暇なので、まだ思考を仕事モードに切り替えていない。慌てて適当に化粧直しをして、食べかけの弁当をゴミ箱に入れて待機室を出る。
「紫苑さん〜、やったな!本指やで」2007-05-04 13:37:00 -
44:
マネージャーがにやにやとして私の背を軽くどつく。こうして目に見えて喜ばれるのは、本指が少ない証明でもあり少し情けない。通路にあるグラフを見てみれば、まあ、確かに、下から数えたほうが早い成績…。
「てか、誰なん?藤岡さん?」
藤岡さんというのは、わりとよくご来店され、紳士的な方なのでマネージャーも把握しているのだ。しかし藤岡さんは来る1時間程前に必ず私に連絡を入れてくる。歩きながら携帯のディスプレイを覗くが、着信もメールも無い。
「いや、何か結構若い奴やったで。ホストっぽいな〜」2007-05-04 13:40:00 -
45:
「…ホストぉ?」
鎮まっていた不機嫌が膨張し、あからさまに顔をしかめる。ホストという単語で即座に連想されるのは、今のところ麗君以外にいない。だが、直感でしかないが麗君は自己中のパイオニアっぽいので、いくら営業でもわざわざお客の為に店に出向いたりはしない気がした。
「…また彩織目当てのホストなんかな…」
彩織は雫の色カノでエース。それだけでも十分な知名度だというのに、違った意味でも有名人だ。キッスナンバーワン、元有名店ナンバーキャバ嬢、超絶美人。金のなる実で、飾りとしても色褪せない彼女はホスト個人どころか店ぐるみで欲しがっている。2007-05-04 13:43:00 -
46:
眠気に逆らって書いたせいか、読み返してみて文章がいつも以上にめちゃくちゃな事に気付きました。
ちゃんと何度かチェック入れたほうがいいですね。以上言い訳でした。2007-05-04 13:50:00 -
47:
名無しさん
面白いです?
2007-05-04 17:08:00 -
48:
梢
読みやすいです?頑張ってくださいね
2007-05-06 09:35:00 -
49:
◆veUs8IjfB6
(ったく、何処のホストやねん、気ー悪いわ…)
「彩織を釣る餌」として見られる事は、其のホストに関心が無いとはいえ不愉快だ。自分の低レベルさに貼り付けられたレッテルだが、彩織を営業する勇気の無いヘタレホストになめられているのは本気で腹が立つ。
適度に余裕はあるので、口座に問題が無ければ、呼ばれれば行くし、適当に何か卸したりもする。ホストに行くのは好きでも嫌いでもないといったところ。別に行かなくても支障は無いし、ストレス発散なら其れ以外にも方法はある。
わりとどうでもいい存在の彼らに見下されている事実。努力すれば見る目が変わるのかもしれないが、今更努力するのも面倒くさい。2007-05-06 13:04:00 -
50:
香坂紫苑、21歳。18の頃から風俗を続けてきて、適当な成績しか見出だせていないので、「売れる」事なんて想像出来ない。想像出来ない事に向かって頑張れる程、気力のある人間でもないのだ。
(ホストなんてリピートにもならんし、適当にしてかえろ)
__________2007-05-06 13:07:00 -
51:
ドアをノックして、鍵が解除された音を聞き、ドアノブに手をかけて扉を開ける。
「失礼しまーす…」
俯きながら思い切りやる気の無さを主張する声。自分自身、「紫苑」を必要としてくれる「お客様」にはそれなりに愛着も沸き、満足させようという仕事意識も出るものの、私を経由して彩織を必要とする奴らはもはやお金を払っていても客として見えない。…この人が、そうだと断定出来たわけではないのだけれど。2007-05-06 13:10:00 -
52:
「こ、こんばんは…来てくれてアリガト…」
何を言ってるんだか。貴方が指名している以上、私が此処に来るのは義務なのだから、お礼を言われる事でもない。慣れていないのだろう。どうしたらいいのかわからないような顔をしている。これからのプレイが全てなのだから、言葉で教える義理なんてない。私は取り敢えずタイマーを回し、バスルームへと身体を反転。完全な無視。
「あ、てか待って!」
がしっと腕を掴まれ、バスルームへと向かおうとする私を阻む。イラっときて鋭い目つきで見上げれば、困惑した様子で私を縋るように見ている。2007-05-06 13:13:00 -
53:
「ちゃうねん…ごめん、仕事モードにさせといてごめんやけど、俺、違うねん」
「何、しやんの?営業するにしろお金勿体無いでしょう?貴方の事どうでもいいから話するよりかはプレイした方が楽なんですけど」
面倒くささと苛立ちがきつい言葉を吐き出させた。本音半分、嫌味半分といったところ。彼は顔面蒼白になり絶句している。白々しい、ショック受けた演技でもしているのか。本当は怒りに任せて罵倒したいくせに。
「……ご、ごめん、面倒な事させてごめんやけどほんまプレイせんといて?取り敢えず座って」2007-05-06 13:16:00 -
54:
はあ、と大きく溜息を吐いて、ベッドに腰掛けた。これからの話が安易に予想出来て、また溜息が出た。
彼は私の不機嫌な態度に困惑しつつも、備え付けの冷蔵庫からジュースを取り出して私に渡してきた。彼と目も合わさずお礼も言わずに受け取って、一口飲む。沈黙が支配するホテルの一室。
「……何かあった?」
彼は私の隣に座り、おずおずと訊いてきた。やかましい、と思ったと同時、自分の非に気付く。彼は「ホスト」で「営業」に来ていると、先入観で判断してしまっているだけで、もしかしたら全く違う職業で、別の目的で来ているのかもしれない。其の可能性は何も話していない今の段階では十分にありえる事で、そうだとしたら全面的に私が悪い。…どんな目的で来ていてもこの態度は悪いとしか言いようがないのだけれど。2007-05-06 13:19:00 -
55:
そう思うと急に罪悪感が芽生え、発作的に彼を見た。多分、彼が怒っていないか、不機嫌になっていないかを確かめようとしたのだろう。彼は急に目を合わせた私に驚きもせず、ただ黙って見つめ返してくる。
目を見て人格が完璧に評価出来るわけじゃないけれど、見るものを選び、生きてきた過程を記録してきた瞳は少なからずその人の内面を映している気がする。彼の目は綺麗で、其処に自分が映っているのが酷く惨めに思えた。
「……何しに来たんですか?」
目を逸らす事に敗北感を感じ、私は目を逸らさずに訊いた。2007-05-06 13:22:00 -
56:
「紫苑ちゃんに会いたくてきてん」
瞳は揺れる事なく安定していて、私を貫くように真っ直ぐ見つめている。
「…何で?」
追求すると彼は目を逸らした。動揺したのが手に取れてわかる。私に会いたいと思う衝動に、私に言いたくない理由があるのが明白だ。やはり彩織目当ての営業なのか。やはり彼は見たままの通り、ホストなのだろう。罪悪感を感じた事に後悔し、私も彼から目を逸らした。2007-05-06 13:25:00 -
57:
「……結構前、雑誌で見て、……会いたくなって」
消えそうな声で、彼は言う。横目で盗み見るように見れば、彼は俯いていて、少し長めの髪が顔にかかり、表情をうまく隠している。顔を見たいと思ったが、まだ何か続くような科白の切り方だったので、私は取り敢えず聞き手に徹する事にした。
「前の雑誌やし、風俗の子ーら長い事はおらんやん?まだ店におるんか心配やったけど、電話してみたら、おってさあ…」2007-05-06 13:28:00 -
58:
「…ほんま、会えて嬉しい…」
返す言葉が出てこない。感情の宿ったように思える彼の科白。これは全て演技なのだろうか。判断に困り、私は答えを出せずに沈黙するしかなかった。
「…会いたかった…」
嘘みたいに、私に会えた事に感慨極まっている。雑誌を閲覧しただけで、会った事も無い私の為にわざわざ足を運んでくれたお客さんは、今まで何人か居る。其の為の雑誌だから当然の結果だ。だけど、ここまで心の篭った言葉を貰ったのは、今まで生きていて初めてだと思う。2007-05-06 13:31:00 -
59:
「……何でそこまで感動するんですか?たかが風嬢に会えただけやのに」
「う…ん、ほんま会いたかったからかな?」
そう言って、へらりと笑う。笑ってごまかす、とは誰が言い出したのか。今の彼にぴったりと当て嵌まる表現だ。やはり彼は、私に会いたかった理由を告白しない。二度も拒絶したのだから、言わないと決意しているのだろう。其の謎に拘る事はやめにした。2007-05-06 13:34:00 -
60:
>>49さん
面白いと感じていただけて安心しました。さくさくとした文章ではありませんが、これからも見ていて下さいね。書き込み有難う御座います。
>>梢さん
読みやすいですか!夜遊び受けする文体では無いと思っていたので、そう言っていただけると凄く励みになります。書き込み有難う御座います。2007-05-06 13:39:00 -
61:
◆veUs8IjfB6
「…変な人…」
私は俯いて、静かに言い捨てた。そうする事しか出来なかったのだ。顔を合わせる前に描いていた彼へのイメージで、しょっぱなから身勝手な悪態をついていたため、彼の私に対する第一印象は最悪なものだろう。だから、最後までこの人格を突き通す事が、彼に対する誠意だと思った。
今更彼の純粋な言葉を受け止め、其れに順応して態度を変えるなど、彼の優しさに甘えて自分を正当化するだけだ。
其れにどんな想いがあるにしろ、風嬢に性欲以外の憧れを持つなんて、おかしいのだ。私が満たす事が出来るのは、性欲以外に無いのだから。2007-05-28 18:43:00 -
62:
「あはは、よー言われるで、でも普通より変わってるほうがええわ」
言葉は意図を外れて機能する。彼はにこにこと嬉しそうに笑い、前髪を指先でもてあそぶ。超絶に格好いい、わけではないけど、決して不細工ではない。物腰柔らかな喋り方と、少し垂れ気味の大きくも小さくもない瞳、鼻筋の通った顔立ちが、穏やかな印象を濃くして安心感を与えてくれる。そして何処か落ち着いた姿勢が、包容力も感じさせる。
それらは全て無意識、なのだろう。きっと彼は意識せずとも女に好かれるタイプだ。
「あ、紫苑ちゃんて、何が好きなん?俺に紫苑ちゃんの事教えてや」2007-05-28 18:47:00 -
63:
「そんなもの…」
「何でもいいねん、好きなもの、嫌いなもの、楽しい事、嫌な事。教えれる事だけ、生きてきた事教えてや」
不思議な人だ。威圧ではなく、優しさで制している。決して強制されているわけでもないのに、なんとなく逆らう事が出来ない。子供に向けられる無邪気さと似た、居心地の悪いそれ。
「貴方の事も、教えてや。名前も、知らんもん」2007-05-28 18:50:00 -
64:
抵抗としてはかなり無意味な、ただの時間稼ぎ。だけどマナーとして当然の事。名前も知らない人に、私の個人情報は教えられない。…なんて、其れは結局一般論でしかなく、今の私にとっては本当にただの時間稼ぎの作意でしかない。
「あ、ごめん、俺、朝比奈紫苑」
「………は……?」
聞きなれた単語が復唱された気がした。否。気がしたのではなく、確信だ。2007-05-28 18:53:00 -
65:
「あはははは、俺も紫苑ってーの、紫苑ちゃん」
驚きで無防備になった私の表情がおかしかったのか、結構本気で彼は笑っている。私も思わず吹き出して、驚きの表情を笑顔で染め上げた。
「はは…あはははは…紫苑ちゃんとか呼んでて照れへん?」
「まあ、結構きもいもんあるで」2007-05-28 18:56:00