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◆Precious◆
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1:
諸星リナ。
幼い頃の夢はなんだっただろう。
最近思い出せずにいたが、急に思い出した。
2007-03-02 18:07:00 -
23:
諸星リナ。
帰りが遅くなる仕事で、家の近いあたしはオーナーからタクシーで帰っていいといわれても、少し街を歩いた。
何かが起こることを期待して。
半年祇園で過ごしても、誰一人あたしの身には何も起こらなかった。2007-03-02 21:41:00 -
24:
諸星リナ。
ある夜―
カクテル以外のお酒が飲めなかったのに、お客さんに進められてビールを飲んだ。
酔っ払って夜の街を歩くあたしに声をかけてきたのが直人だった。2007-03-02 21:46:00 -
25:
諸星リナ。
その頃の直人は不動のナンバーワンで怖いものナシだった。
30歳を超えているようには見えない端正な顔立ちで、キレイが似合う人だった。
あたしたちは、2人が出会えた偶然を今でもよく話す。
そして、いつもは通らないその細い路地を通るたびに、あの瞬間を思い出す。2007-03-02 21:53:00 -
26:
諸星リナ。
あたしはホストが嫌いだった。
女の子を騙してヘラヘラ笑ってる人たちを支援するようなお金は一円だって払いたくないと思っていた。
でも−
それ以上に、彼らをのさばらせるようなお金をはたく女の子が嫌いだった。
だから、あたしはそうなりたくないと思った。2007-03-02 21:57:00 -
27:
諸星リナ。
けれど、今のあたしは機嫌がいい。
本当は誰かにかまわれたことが嬉しい。
あたしが今日祇園という街に出てきた意味があったかもしれない。
ホストみたいな格好しているのに、なんだろう・・この人なんか違う。
何が・・・?2007-03-02 22:13:00 -
28:
諸星リナ。
「なぁなぁ・・・」
「ん?」(・・・ホストかなぁ?スカウト?ボーイさん・・・かな??)
「それかして。」
「・・・」2007-03-02 22:33:00 -
29:
諸星リナ。
そのボーイさんのようなスカウトまんのような男はあたしの持っているトランクを指している。
「いやや。パクられるし。」とあたし。
「パクらへんって。そんなにデカかったら乗れるやん。」
「イヤって。」(ずっとついてくるなぁ・・・この変な人。)2007-03-03 01:07:00 -
30:
諸星リナ。
「貸してぇやって。」
「イヤって。」(ベタな声のかけ方やなぁ。)
「そんなもん持ち歩いて祇園歩くやつ初めてみたわ。」
「荷物多いねん。」(初ホスト・・やんなぁ?どんな誘い方しよんねやろ。)
「なんぼなんでも!」2007-03-06 01:51:00 -
31:
諸星リナ。
期待と興味、それから酔っていることもあって直人と連絡先を交換した。
携帯の番号は教えても名前を聞かないあたしに不思議そうな顔をする直人。
「・・・あのー一応直人って名前あんねんけど?登録してや?」
「・・・」(登録してないのばれたかなぁ?)2007-03-06 01:58:00 -
32:
諸星リナ。
ホストに通うつもりはない。
きっとこの人は1、2回電話をかけてきて客にならないと思ったら連絡もつかなくなるだろう。
登録する必要もないと思った。
直人はあたしが酔ってゆっくりと『なおと』と登録するのを確認してから「気ぃつけて帰れよ」といった。2007-03-06 02:55:00