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干物女

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  • 1:

    飛鳥

    私は干物女。名前は飛鳥。22歳。無職歴半年。毎日家でぐーたら。同棲中の彼氏とモコっていう犬と暮らしてる。

    2006-12-08 00:32:00
  • 206:

    飛鳥

    「ふ〜ん♪」隆君は物珍しいのか、まだキョロキョロしていた。少ししてからポンポンとソファーを叩き、あたしに隣に来いとばかりに呼ぶ。隣に座るあたしを「飛鳥かわいいねっ♪」なんて言いながら、抱き締められた。『この関係でもいい。隆君と一緒にいられるなら。』好きすぎて、もうどうにでもなれって思った。隣の部屋には妹達が寝ている。声を押し殺しながらエッチをした。終わった後、腕枕をされながら隣では寝息をたてている隆君。体だけでもいい。少しでも特別なら、あたしはそれで良くなっていた。

    2006-12-27 03:27:00
  • 207:

    飛鳥

    それからは、ホテルだったり隆君の家だったりあたしの家だったり‥、秘密の関係が続いた。相変わらず電話では冷たかったりするけど、会えば優しい隆君が大好きだった。その頃にいろんな噂をたてられた。ヤリマンだとか、売女とか、利用されてるとか‥。それでも隆君とは体だけの関係じゃなく、悩みを聞いてくれたりしてくれていた。あたしが隆君の先輩にヘタウチした時もかばってくれて、裏で話をつけてくれていたり。そのせいで悩んでいた時も朝まで電話を付き合ってくれて、あたしを励ましてくれた。

    2006-12-27 03:35:00
  • 208:

    飛鳥

    お兄さんの家に遊びに行った時だった。お兄さんの友達やあたしの友達と、みんなで飲み会した時。「隆とはどうなの?」コソッとお兄さんに聞かれた。みんなはワイワイ賑わっていて、あたし達の会話は聞こえてない。「ちょくちょく会ってます。」あたしは素直に言った。「飛鳥がこの場にいて襲われたりしないのは、隆のおかげなんだよ」と言われた。「隆が飛鳥の事、彼女じゃないけど大切にしてるのみんな知ってるから、無理矢理手をだしたり口説いたりしないんだよ。」

    2006-12-27 03:42:00
  • 209:

    飛鳥

    確にお兄さんの友達には、みんなに良くしてもらっていた。すごくかわいがってもらっていたと思う。あたしが遊びに来た時は、いろいろ遊びに連れてってもらってたし、楽しく過ごせるようにしてもらえてたと思う。けれど誰として携帯の番号を聞く人もいなかったし、酔った勢いでどうにかなった事もなかった。「そうやで。」考えていると後ろから声がした。隆君の友達の卓ちゃんだった。「飛鳥は隆の羊やん。隆の持ってる牧場の柵の中にいる羊が、飛鳥なんやん。」

    2006-12-27 03:51:00
  • 210:

    飛鳥

    あたしの頭が『?』になっている。卓ちゃんは続ける。「隆は、飛鳥を柵から出したくないねん。誰かが柵に勝手に入ってくんのも嫌がる。柵の中やったら自分の目が届くやん?だから安心。その中にいる羊が飛鳥って事。」なんとなく分かった。隆君はあたしの飼い主って事らしい。前に「妹みたいで心配なる。」って言われた事も思い出した。あたしはおかしくて笑った。だってその例えがピッタリやったんやもん。転がされてても、そうやって心配してくれてる事が嬉しかった。

    2006-12-27 03:58:00
  • 211:

    飛鳥

    事の後のベッドの上で、あたしは隆君の腕枕で寝ながら煙草を吸っていた。この時の隆君はいつもと違った。例のあたしにメールをしてきた彼女と別れたらしい。煙草を吸い終わったあたしは、隆君にピッタリと抱きつき「なぁ!あたしと付き合って♪」と言った。「飛鳥は男いっぱいいるやん。初めて家に行った時も服あったし‥」この時期のあたしは彼氏ができても二股とか当たり前で、飽きたらポイッて感じだった。隆君とは何でも話せたから、隆君もその事は知っていた。「隆君だけになるもん。」あたしはプゥーとほっぺを膨らまして、スネてみせた。

    2006-12-27 04:07:00
  • 212:

    飛鳥

    「‥。しばらく飛鳥に男の影がなかったら、考えるわ♪」「ほんま!?飛鳥頑張るわ☆」そう言って隆君にキスをした。この時には隆君は関西を離れる事が決まってたん?どういう気持ちやったんかも分からんけど、そう言ってくれた事がすごい嬉しかった。あたしは早速、訳分からん男関係を切った。隆君以外いらんかった。別に好きでもなかったし、切る事に抵抗なかった。『やっとチャンス来たんちゃうん!!』そればっかり考えていたから、隆君の大事な変化に気付けなかった。

    2006-12-27 04:18:00
  • 213:

    飛鳥

    年が明けてすぐ、隆君の周りから聞く事になった。『隆が夢叶える為に東京に行く。』その出発まで、あと1ヶ月も無かった。あたしはその話を聞いて、すぐに隆君の家に向かった。隆君のお母さんとお父さんが迎えてくれた。リビングでお茶をもらう。隆君が用事から帰ってきて、隆君の部屋で話す。「東京行くって‥本当なの?!」あたしは単刀直入に聞いた。「‥うん。」頷く隆君。「なんで言ってくれないの?」「タイミング無かったから‥。」本当だった‥。夢があってその為に東京へ行く。もう決心している。話を聞いても、あたしには止める理由なんて無い。彼女でも無いし、応援するしかなかった。「頑張って‥」とだけ言った。

    2006-12-27 04:27:00
  • 214:

    飛鳥

    それから隆君の出発までの間、一緒にいる時間を大切にした。エッチとかは、あまりしなかった。一緒に音楽を聞いたり、ゲームをしたり、ご飯を食べに行ったり、朝までみんなで飲み会をしたり‥たくさんの時間を一緒に過ごした。初めてのりか達と行ったカラオケ屋が潰れるのを聞いて、みんなでカラオケをしに行った。あたしは夜の仕事を辞めたのもあって、隆君が暇な時はいつでも一緒にいた。大好きな隆君と一秒でも一緒にいれて嬉しかった。

    2006-12-27 04:35:00
  • 215:

    飛鳥

    出発の当日、あたしは駅前のコンタクト屋さんにいた。隆君が準備で忙しくて取りに行く事ができないから、代わりにコンタクトを取りに来た。コンタクトを受取り、喫茶店で待ち合わせまで時間を潰す事にした。思い出がいっぱいの手帳を開く‥。案の定、日記には隆君の名前がいっぱいだった。思い出が蘇る。『この時はこんなんだったなぁ〜』なんて思いながら、ページをめくる。ふと手がとまる。『頑張れ!』あたしの字ではない‥。『隆より』いつ書き込まれたのか分からないが、隆君からのメッセージが書いてあった。

    2006-12-27 04:43:00
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