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干物女

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  • 1:

    飛鳥

    私は干物女。名前は飛鳥。22歳。無職歴半年。毎日家でぐーたら。同棲中の彼氏とモコっていう犬と暮らしてる。

    2006-12-08 00:32:00
  • 121:

    名無しさん

    何?

    2006-12-15 14:05:00
  • 122:

    名無しさん

    気になるっち?????

    2006-12-15 17:10:00
  • 123:

    飛鳥

    あたし達の住んでる家は、ワンフロアーに2つ部屋がある団地だった。覗き穴を見た瞬間、上の階からと下の階から人がたくさん部屋の前に集まってきた。急いで奥の部屋に身を隠す。『ピンポーン』チャイムがなる。「○○さん!」海君の名字を呼ぶ声もする。『ドンドン』とドアも叩かれている。あたし達は静かに息を殺してそれを聞いていた。あたしは少し離れて暮らしている海君のお姉さんに、メールで今の状況を伝える。『そっちに向かう。荷物まとめておいて』と返事が来た。

    2006-12-15 19:17:00
  • 124:

    飛鳥

    ドアの外ではまだ刑事があたし達を諦めてなかった。何か機械の音もする。居留守を使ってるのも分かってるのだろう。相変わらずチャイムも鳴り続けていて、名前を呼ぶ声も聞こえる。時計は夜中の1時を指していた。正直、「近所迷惑だろな」とかあたしは冷静に考えていた。刑事達も1時間程粘ってたが、あたし達が出てこないから諦めて帰ったようだ。外には静けさが戻る。

    2006-12-15 20:08:00
  • 125:

    飛鳥

    しばらくしてチャイムがまた鳴る。覗き穴を見ると、海君のお姉さんが立っていた。ドアを開ける。「刑事らしぶといな〜。やっと全員帰ったわ。」お姉さんとお姉さんの彼氏さんは、刑事が帰るまで車で待っていてくれたらしい。「とりあえず、刑事ら戻ってくるかも知らんから、早くここ出よ」あたしと海君は犬を連れて、お姉さんの家に向かった。「しばらくここでおとなしくしとき。あたしはこの人の所におるし」お姉さんはそう言うと、彼氏さんの家に行った。と、突然海君が口を開いた。「飛鳥…俺捕まるんやろか…。」海君は弱々しい声であたしに問う。あたしには「大丈夫」としか言う事ができなかった。あたし達にはもう時間が無かった。

    2006-12-15 20:18:00
  • 126:

    飛鳥

    次の日は1日中家で過ごした。外に出るのが怖かったから。海君は覚悟を決めたのか、友達とかに電話で「しばらくおらんようになる。飛鳥が困ってたら助けてやってくれ」と言っていた。夜になってお姉さんとその彼氏さんと会った。軽く話し合いをして、ご飯を食べに行く。海君は「しばらくこんなん食べれんくなるしな。」と言っていた。最後の晩餐。帰ってきてからもあたし達2人は寝れなくて、朝まで起きていた。朝お風呂に入って出掛ける準備をする。お姉さん達と合流して、隠していた車を取りに行く。

    2006-12-15 20:27:00
  • 127:

    飛鳥

    「朝10時28分。傷害罪で逮捕。」海君は警察署に出頭した。そして逮捕となった。海君はあたしをかばった。海君のお姉さん達が、「そん時いた女の子は、たまたまナンパした子って事にしとき!飛鳥ちゃんにも飛鳥ちゃんの親にも迷惑かかるし。」と言ってくれたから。刑事から、あたしの携帯に連絡があったのは、その日の夕方になってから。逮捕になった事と、しばらく帰れないから、着替えなどを持ってきてくれという事だった。「本当は君が事件の現場にいたんじゃないのか?」と聞かれたが、あたしは「知らない。また浮気でもして女といたんですか?」と刑事に怒ったフリをした。刑事は「まだ分からないから。怒らないであげて」と言って電話は切れた。

    2006-12-15 21:06:00
  • 128:

    飛鳥

    あたしは刑事に言われた通り、下着と着替えと洗面道具などをまとめて家を出た。お金も多少ある。留置所は現金を差し入れすると、煙草も買えるしご飯も出前ができる。あたしは警察署に向かった。警察署で名前と住所と拘留者との関係を書いて、差し入れをする。あたしは『婚約者』と書いた。海君はまだ取り調べが続いていて、今は接見禁止で面会はできないと言われた。あたしはすぐ家に帰った。

    2006-12-15 21:15:00
  • 129:

    飛鳥

    しばらく仕事をしていなかったが、これからは何かとお金が必要になる。家賃なんかもだけど、拘留されている海君にもお金がかかる。あたしは夜の仕事と昼の仕事を掛け持ちする事にした。毎日、朝起きて仕事に行ったあと差し入れに行く。1度家に帰ってから夜の仕事に行くの繰り返し。毎日3〜4時間しか寝れなかった。そんだけ働いても、お金はどんどん消えていく。海君のお兄さんやお姉さんに頼んでも、実家であるはずの家の家賃すら払ってもらえなかった。理由は『私達には払う理由がない』だった。お兄さんは会社を経営していて、お姉さんはクラブのナンバー1ホステス。あたしが寝る暇も無いくらい働いているのを知ってるはずなのに、援助は一切無かった。

    2006-12-15 21:24:00
  • 130:

    飛鳥

    海君のお母さんには、頼めなかった。あの事件があってからは、お母さんは海君の事を避けていたから。だからあたしも頼まなかった。唯一、海君の友達は、差し入れでお金をいれてくれてた。あたしの事も気にかけてくれていて、いつも心配して連絡をしてくれる。共犯となった元気君は、あたしを頼むという条件で、名前は隠す約束を海君はしていた。元気君も電話を頻繁にしてくれて「お金困ってない?」と最後まで気にかけてくれていた。

    2006-12-15 21:33:00
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