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?あいあい傘?
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1:
さる◆pxZzyekBIs
こんな冷たい雨が降りしきる寒い冬に僕たちは出会った。 曇ったショーウインドーに二人で書いた、あのあいあい傘がもし消えるのなら…。 何度でも書くよ。消えないように何度でも…。
2006-11-25 17:33:00 -
11:
さる◆pxZzyekBIs
ステンレスか何かの金属で作られたドアノブは手で触れるとひんやりと冷たかった。僕はドアを開けると薄暗い部屋の中に入った。 玄関のカベにある電気のスイッチをかじかんだ左手で押しながら靴を脱いだ。雨水を吸い込んだ革靴はいつもより重く感じた。 電気の明かりで照らされた部屋の中は僕がいうのも何だがキレイに片付いていた。片付けるほどの物もなかったというほうが正しいのだろうけれど。
2006-11-28 15:34:00 -
12:
さる◆pxZzyekBIs
僕は上着を脱ぎながらドアの方を振り返った。彼女はまだドアの前に立ち尽くしていた。暗くてよくわからなかったけれど彼女は小さく震えていた。確実に。 「そんなとこに立ってたらカゼひくよ?」 僕の言葉に小さく首を縦に振ると彼女は玄関に足を踏み入れた。そしてその場にしゃがみこんでしまった。まるで僕が声をかけた時と同じように。
2006-11-28 15:42:00 -
13:
さる◆pxZzyekBIs
僕は小さくひとつため息をついてクローゼットの中から真っ白な大きめのバスタオルを取り出した。そしてそのまま雨に濡れた彼女に手渡した。 「ありがと。」 彼女は細く小さな声で答えた。うつむいていたから顔は見えなかったけれど。 「そのままシャワー浴びなよ。好きに使っていいから。」 僕はそう言って脱衣室のドアを開けた。僕の部屋はセパレートだったから風呂とは別に脱衣所があった。
2006-11-28 16:04:00 -
14:
さる◆pxZzyekBIs
彼女は、ヨロヨロと力なく歩きながら脱衣所に入っていった。その横顔は鳥肌が立つぐらい綺麗だった。 『パタン』と乾いた音を立てて脱衣所のドアは閉まった。 僕は頭をかきながら部屋に戻った。そして部屋の隅に置いてある冷蔵庫の中からビールを取り出して、クリーム色の安物のソファに腰を降ろした。今日はやけに喉が乾いていていた。
2006-11-28 16:24:00 -
15:
さる◆pxZzyekBIs
『プシュッ』と缶ビールが空く音が静かな部屋に広がった。そして僕の喉をほろ苦く冷たいビールが滑り落ちていった。 僕はなぜ彼女を家までつれて帰ってきたのだろう?酔ってもいないのに頭の中がぐるぐる回った。 可哀想に思えたから? …そうじゃない 好きになった? …いいやそうじゃない。 放っておけなかった? …きっとそうじゃない。 じゃあなぜ? …わからない。
2006-11-28 16:44:00 -
16:
さる◆pxZzyekBIs
『カチャッ』とドアの開く音で僕は我に返った。振り替えるとバスタオルを首に巻いたスウェット姿の彼女がいた。 髪は濡れて化粧は落ちていたけれど、整った綺麗な顔をしていた。僕は少し見とれてしまっていた。 綺麗な顔をしてたからではなくて、アイツの面影をがそこにあったから…。
2006-11-28 16:59:00 -
17:
さる◆pxZzyekBIs
懐かしいというか何というか。言葉にできない感情だった。髪型も顔も体型もそっくりだった。なによりあの光のない目が…。 ふと目が合うと僕はなぜか恥ずかしくなった。思わず目をそらしてながら僕は言った。 「そんなとこに立ってないで座りなよ。」 すると彼女はまた小さく首を縦に振ると僕のちょうど向かいのソファーにちょこんと腰掛けた。
2006-11-28 23:43:00 -
18:
さる◆pxZzyekBIs
それからふたりの間に言葉はなかった。沈黙がふたりを包んでいった。 …どれくらいたったのだろう?僕はこの沈黙に耐え切れなくなっていた。それは少しの間だったかもしれないし、もしかしたら長い間だったかもしれない。 「名前は?」 少し冷たい言い方だったかもしれないけれど今の僕には精一杯だった。
2006-11-28 23:49:00 -
19:
さる◆pxZzyekBIs
彼女はうつむいたままで何も話そうとしなかった。こうなってしまえばもう仕方なかった。 「ベット使っていいよ。おれはこのソファーで寝るから。」 そう言って僕は、残った缶ビールを飲み干してソファーに転がった。Yシャツのまま寝転んだ安物のソファーは、あまり心地のいい物ではなかったけど寝るのに問題はなかった。 寝転んだものの寝れずにうっすらと開いたまぶたの先に彼女はいた。相変わらずうつむいたままだった。
2006-11-29 00:00:00 -
20:
さる◆pxZzyekBIs
『ピリリリッ・ビリリリッ・ピリリリッ』携帯の音で目が覚めた。いつの間にか眠ってしまったみたいだった。携帯のディスプレイには【着信 和哉】。 「もしもし。おはよう」 寝起きだったせいか上手く口が回らなかった。 「おはようございます。起きました?」 うるさいくらい和哉の声が携帯から響いていた。 「うん。今起きた。」 いつもの目覚まし時計がわりのモーニングコールだった。 「いつもみたいに遅刻しちゃだめですよ。じゃあまた店で。」 そういって電話はプツリと切れた。
2006-11-29 00:12:00