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夜のポチ。

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  • 1:

    名無しさん

    ポチは、お日様をあまり浴びないので、真っ白だ。
    そして、ポチの体はいつだって冷たい。
    雪の様なポチ。

    2006-09-22 21:27:00
  • 2:

    名無しさん

    茶色くて丸い目をキラキラ
    そんなポチと出会ったのは、夜のミナミだった。

    2006-09-22 21:33:00
  • 3:

    名無しさん

    いつものコンビニ。
    いつものミルクティー、そしてタバコ。
    レジをしている金髪の姉ちゃんは、今日も右頬に痣ができている。
    やれやれ。

    2006-09-22 21:38:00
  • 4:

    名無しさん

    『477円です。』
    視線を合わすこともなく、小銭を渡し、釣りを受け取って『ありがとうございました。』
    二人の軽快なやり取りはいつも、ものの数秒で華麗にフィニッシュを迎える。

    2006-09-22 21:46:00
  • 5:

    名無しさん

    あたしは少々訳アリで、二年前広島から一人上京してきた。
    今はミナミでキャバ嬢とやらをしていて、まぁまぁ裕福な暮らしをさせてもらっている。
    友達もたくさんでき、毎日が充実していた。

    2006-09-22 21:52:00
  • 6:

    名無しさん

    『・・・さむっ!!』
    コンビニを出た瞬間、冷たい風邪が頬を切った。
    冬ってこんなに寒かったか?と、寒がりの私は冬になる度自問している。
    少し震える手でようやくタバコに火をつけ、深く煙を吸いこんだ。

    2006-09-22 21:59:00
  • 7:

    名無しさん

    フウ・・・と白いもやを吐き出すと、
    『なぁなぁ、こんだけ寒いとさぁ、これってタバコの煙か寒くて白なった息かわからん!!てならん?なるよなぁ?』
    と言いながら、同じくタバコを喰っている男が隣にいた。

    2006-09-22 22:05:00
  • 8:

    名無しさん

    『や、ならん。』
    とだけ言うと、私は携帯をいじりながら歩きだした。
    そいつはニコニコ無邪気に笑いながらついてきて、『え〜なるやん!!ほらっ!!・・・ふ〜!!・・・はぁ〜!!』
    と、執拗に違いを見せ付けてくる。

    2006-09-22 22:08:00
  • 9:

    名無しさん

    無視すること数分。
    あたしはもう店の近くまで来ていた。
    男は相変わらずホラホラと楽しそうだ。
    いい加減イライラしていた私は、
    『あんたいい加減にして帰りぃよ。』
    と冷たく吐き捨てた。

    2006-09-22 22:15:00
  • 10:

    名無しさん

    NANAのパクリっぽい

    2006-09-22 23:56:00
  • 11:

    名無しさん

    そおか??

    2006-09-23 00:06:00
  • 12:

    名無しさん

    彼は一瞬、きょとんとした顔でこっちを見ると、またすぐにニコニコと可愛い八重歯を見せながら笑った。
    ・・・へんな奴。

    『なぁ-自分の店ってここぉ?』

    2006-09-23 13:40:00
  • 13:

    名無しさん

    (―・・・は?)
    足を止めると、ROSEと書かれたド派手な看板。ネオン。

    あら。ついてもた。

    2006-09-23 13:43:00
  • 14:

    名無しさん

    むしろレモンティーに似てる

    2006-09-23 16:00:00
  • 15:

    名無しさん

    別に似てへんと思うけど。
    でも人物像は被るとこあるから、これからの展開次第ちゃう。

    2006-09-23 16:36:00
  • 16:

    名無しさん

    そのまま、ふり返らずに店に入った。
    男はまだ何か言っていたようだったけれど、あたしの頭の中はすでに『お金』、『うそ』、『ストレス』が複雑に絡み合い、膨らみ、その言葉を飲み込む余裕などなかった。

    2006-09-25 13:44:00
  • 17:

    名無しさん


    ――それが、あたしとポチの出会いだった。

    2006-09-25 13:45:00
  • 18:

    名無しさん

    それからというもの、毎回同じポイントで例の男に出会うようになった。
    ずば抜けた容姿。
    馴々しい話し方。
    そして、屈託のない笑顔・・・
    彼が某店の人気ホストだという事実は、勝手に耳に入った。

    2006-09-25 13:52:00
  • 19:

    名無しさん

    あたしは同業者が嫌いだ。
    今の自分が嫌いだから、嫌い。

    2006-09-25 13:55:00
  • 20:

    名無しさん

    目標や理由がどうであれ、この世界は嘘と欲でまみれている。
    あたしもそれに浸りながら、それを生き抜いてゆく技術を日々延ばす。磨く。使う。多額の金が動く。
    その代わり、『今までの自分』がいつの間にか削れていく。

    2006-09-25 14:01:00
  • 21:

    名無しさん

    『仕方ない』で終わらせ、隅に追いやってきた現実をはっきりと目の前に映し出されるようで、胸がもやもやする。彼らを見るたび。
    彼らの笑顔はあたしの笑顔。
    上手に、臨機応変に、そしていつも自分を隠ながら、暖かなほほ笑みを。

    2006-09-25 14:07:00
  • 22:

    名無しさん

    あたしはきっといつも、彼に冷たく接してしまっていることだろう。
    八つ当り?・・・わからない。ただ、どうしようもなくイライラする。
    ある日、あたしは『お客さんにはなれないから、ごめんね。』と、男に言った。

    2006-09-25 14:17:00
  • 23:

    名無しさん

    『そんなんじゃないわ!!あんたと友達になってみたいなぁと思ったから、タイミング待ってただけや。』

    『ここで??』

    『うん。』

    2006-09-25 14:20:00
  • 24:

    名無しさん

    『なんで??』

    『う〜ん・・・初めて出会った場所やから・・・かな??あは♪』

    『ふ〜ん・・・』

    2006-09-25 14:23:00
  • 25:

    名無しさん

    会いたいならあたしの店に来ればいいのに。
    そうすれば、友達になる話でも何でも、ゆっくりできるのに。
    節約家なのか?あたしが細客、痛客的な雰囲気を醸し出しているのか?それともそこまでして客はいらないのか?さぐり期間なのか?
    まぁなんにせよ、中途半端な営業だなぁと思った。

    2006-09-25 14:31:00
  • 26:

    名無しさん

    『なぁなぁ・・・』

    『でもあたし、たぶん明日からココもう通らんけぇごめんね?じゃあね。』

    『え?』

    2006-09-25 14:34:00
  • 27:

    名無しさん

    それだけ言うと、あたしはスタスタ歩きだした。
    また、男は何か叫んでいた。
    言葉もまた、脳の情報処理機関の入り口で、突き返された。

    2006-09-25 14:38:00
  • 28:

    名無しさん

    ――――――――――――

    2006-09-25 14:38:00
  • 29:

    名無しさん

    男の名は、『翔』というらしい。
    同期の中で特別親しくしているマリが教えてくれた。
    彼女はホスト通いが趣味で、そっちの知識に長けている。

    2006-09-25 14:41:00
  • 30:

    名無しさん

    『なぁ〜あんた今日も翔くんと会ってたん?』
    待機室で一服しながら、マリがにやにや笑いをしてきた。彼女は顔を合わす度、飽きもせず同じ質問をしてくる。
    『だから〜会ってたとかじゃないって!!なんかいっつもおるんよ・・・店があの辺じゃけキャッチがてらに絡んできとるだけじゃないの-』
    あたしは適当に流しながら、小さなチョコレートを一粒、口に放り込んだ。

    2006-09-25 14:52:00
  • 31:

    名無しさん

    『ちがうよ〜』
    もうすでに面倒くささがMAXに近い。
    (めんどいなぁ・・・もうほっとけや・・・)
    すると、ヒメカが読んでいた雑誌をあたしの目の前に突き付けてきた。

    2006-09-26 10:26:00
  • 32:

    名無しさん

    『でもこっちの翔のほうが絶対かっこいいし〜♪』

    ヒメカの飾りたてられた長い付け爪が示す先には、例の男がやさしく笑っていた。

    『・・・あ。』

    2006-09-26 10:31:00
  • 33:

    名無しさん

    (よぉ見たら本間にきれーな顔しとるなぁ・・・)
    思わず、じっと見つめてしまった。
    すると、ヒメカが少しムッとした顔をし、素早く雑誌を奪い取ると、かばんにしまって言った。
    『あかんで!!翔はヒメカのんやねんからなっ!あ〜翔かっこいい〜♪リョウさんの翔とはえらいちがい〜♪』

    2006-09-26 10:36:00
  • 34:

    名無しさん

    『おまえ見たことあんの??』
    マリがあげ足を取る。
    『ないけどぉ・・・だいたいわかるし!!どーせしょぼいやん?翔はな〜クールで大人でめっちゃ頭よくて〜こう・・・なんしか冷たい感じがかっこええね〜ん♪ああ〜やばい・・・すきぃ・・・』

    2006-09-26 10:41:00
  • 35:

    名無しさん

    『おまえ見たことあんの??』
    マリがあげ足を取る。
    『ないけどぉ・・・だいたいわかるし!!どーせしょぼいやん?翔はな〜クールで大人でめっちゃ頭よくて〜こう・・・なんしか冷たい感じがかっこええね〜ん♪ああ〜やばい・・・すきぃ・・・』

    2006-09-26 10:42:00
  • 36:

    名無しさん

    (クールで大人で頭いい・・・てかWW)

    あたしは笑いながら、『・・・大違いじゃねWW ごめんねWW』と小さい子をあやすように言った。
    ヒメカは満足気に化粧を直しはじめる。

    2006-09-26 10:46:00
  • 37:

    名無しさん

    (この子にはクールキャラで接してるんか・・・何営なんじゃろ?)
    想像すると、あまりの不自然さに笑えてくる。
    あたしの中の彼は、あの可愛い笑顔。
    まぁるい茶色の瞳。

    2006-09-26 10:50:00
  • 38:

    名無しさん

    もう一つの顔を見てみたいなぁと、少し思った。

    2006-09-26 10:51:00
  • 39:

    ――数週間後―――" " "06/09/26 10:52

    2006-09-26 10:52:00
  • 40:

    名無しさん

    ルートを変えてからは、例の男と会うことはなかった。
    しかし、店ではあたしに喧嘩を売りたいのか、嫉妬させたいのか、ヒメカが毎日翔、翔と仕様もない話を繰り広げているため、別段忘れてしまうという様なこともなかった。
    そんなある日、店に若いホスト風の団体がやってきた。

    2006-09-26 10:57:00
  • 41:

    名無しさん

    数人女の子達は何やらコソコソと内緒話をし合いながら、落ち着きがない。
    『あ〜っ!!翔やぁ〜!!』
    キンキン声を発しながら、ヒメカが目を輝かせている。
    (あら。久々に見た。)

    2006-09-26 11:00:00
  • 42:

    名無しさん

    彼らはフリーで入り、ボーイにおねだりしたヒメカとその仲間達がキャピキャピと楽しそうに話していた。
    『お〜お〜若いってええのぉ!!』
    と、隣でガハガハ笑っているこの『ぎりぎり若者』的な歳の兄ちゃんは、今日も愉快に酒を浴びている。

    2006-09-26 11:04:00
  • 43:

    名無しさん

    『あんたもまだ若い・・・とは言い切られんけどまぁ・・・うん・・・まだヤングの領域じゃけ飲め。ほれほれ。』
    あたしは焼酎を波々とついだ。
    『がはは!!お前はきれ〜な顔してえげつい事言いよんな〜!!』
    彼の名前は前ちゃん。
    年令27。職業不明。

    2006-09-26 11:10:00
  • 44:

    名無しさん

    読んでるよ?頑張って??

    2006-09-28 06:05:00
  • 45:

    名無しさん

    >>45さんありがとう?

    2006-09-28 07:44:00
  • 46:

    名無しさん

    しかしやたらお金を使う。使う。使う・・・。
    促したことは一度もない。
    あんたの収入源は??と何度か聞いてみたものの、相変わらずガハハと豪快に笑うだけだった。

    2006-09-28 07:48:00
  • 47:

    名無しさん

    前ちゃんは焼酎しか飲めないくせに、シャンパンばっかり並べたがる。
    その上、ここを吉野家かどこかと勘違いしているのだろうか??
    やたら丼ものを持ち込む。
    とればええのに・・・なんて言葉も華麗にスルー。
    とにかく変わった人なのだ。

    2006-09-28 07:55:00
  • 48:

    名無しさん

    『おいりょうさんよ!!』
    『なによ』
    『そっちの兄ちゃんやったらこっち見とんで〜!!お前と喋りたいんかの-?うはは!!』
    『ちょ、あんた声でかいんよ・・・』

    2006-09-28 09:08:00
  • 49:

    名無しさん

    前ちゃんの肩をギュウギュウつねりながら、ちらっと隣に目をやった。

    『あ。』

    2006-09-28 09:10:00
  • 50:

    名無しさん

    つづきたのしみにしてます?こんな系好き?

    2006-09-28 09:20:00
  • 51:

    名無しさん

    ばっちり目が合ってしまった。
    ・・・
    ・・・・・・
    ・・・・・・・・・気まずい。謎に。

    2006-09-28 10:10:00
  • 52:

    名無しさん

    その妙な空気を断ち切るように、前ちゃんに話をふると、奴はにやにや笑いながら、
    『なんや知り合いかいな〜えっへっへ』
    と意味深に言った。
    腹が立ったので、更に指先に力をこめておく事にした。

    2006-09-28 10:13:00
  • 53:

    名無しさん

    『いだだだだだ!!いたいがな!!えっへっ・・・へぁ!!いたい!!』
    前ちゃんをこらしめている最中、向けられている視線は無視し通した。
    また、目が合ったら困る。
    なぜか、あたしは柄にもなく焦っていた。
    どうしてだろう・・・。

    2006-09-28 10:16:00
  • 54:

    名無しさん

    ――――『ん?われなんじゃい』
    少し冷静な前ちゃんの声にはっとする。
    視線をあげる。
    ・・・奴が目の前に立っていた。

    2006-09-28 10:18:00
  • 55:

    名無しさん

    久しぶりにまじまじと見た翔とやらの姿。
    明るかった髪はトーンを落とし、服装もなんとなく大人っぽくなっている。
    が、あのくりくりとした宝石みたいな瞳は、そのままだ。
    ただ、可愛い笑顔は見られなかった。

    2006-09-28 10:22:00
  • 56:

    名無しさん


    『俺も、一緒に飲んでええすか。』

    2006-09-28 10:24:00
  • 57:

    名無しさん

    突拍子もない台詞に、あたし達はぽかんとした。
    しかし、しばらくするとまた、あの下品な笑い声が響いた。

    『ガハハハハハ!!兄ちゃん真顔で何言いだすかおもたら・・・おもろいの〜!!はよ座り!!ハッハッハ』

    2006-09-28 10:27:00
  • 58:

    名無しさん

    >>51さんありがとう?
    がんばります?

    2006-09-28 11:59:00
  • 59:

    名無しさん

    がんばって??あたしの頭の中では翔のくりくりのおめめが目にうかぶぅ?

    2006-09-28 12:13:00
  • 60:

    名無しさん

    あげ

    2006-09-28 17:07:00
  • 61:

    名無しさん

    『ありがとーございます!!』
    そう言うと、翔はあたしの向かい側にさっと座った。
    目は・・・合わせないようにされている?

    2006-09-28 17:57:00
  • 62:

    名無しさん

    あれよあれよと言う間に、すっかり打ち解ける翔と前ちゃん。
    響く笑い声。
    ・・・頭が痛い。
    『翔〜!翔の席こっちぃ!!ヒメさみしいやろぉ!!もぅ!!』
    ぷりぷり可愛く頬をふくらませて怒る、べたなヒメカ。そしてキンキン声。
    ・・・頭が痛い。

    2006-09-28 17:58:00
  • 63:

    名無しさん

    げんなりしていると、前ちゃんがあたしの頭をぽんぽんし、『たのしー夜になりそうやで??』と、ヒメカをちらっとあのニヤニヤ笑いで見た。
    (・・・・・・あら・・・なにやら怒ってるんやない?お姫さまったら。)
    ヒメカはあたしをすごい形相で睨んでいた。

    2006-09-28 18:03:00
  • 64:

    名無しさん


    『自分の客だけじゃ満足できひんのぉ?さすがNO1はやることちゃうわ〜』

    2006-09-28 18:07:00
  • 65:

    名無しさん

    と、あからさまに冗談っぽく、満面の笑みでつぶやかれた。
    (・・・・・・はぁ。)
    『翔、ともくんとかみんな待ってるねんで。早く!!もどろ♪』
    ヒメカの白い腕が、翔の腕にからみついた。

    2006-09-28 18:11:00
  • 66:

    名無しさん

    (さっさ戻らんかい。)
    カランカランと前ちゃんのグラスに落としながらも、あたしはアドレナリンの分泌を抑えるのに必死だった。
    ねちねちした女のいざこざ程興味をそそらぬものはない。

    2006-09-28 18:14:00
  • 67:

    名無しさん

    ↑訂正
    ・・・〜グラスに『氷を』落としながら〜・・・

    2006-09-28 18:16:00
  • 68:

    名無しさん

    相反して前ちゃんはご機嫌だ。
    全くにくたらしいオッサンかじりめ。
    その時、立っていたヒメカが、あたしの隣に勢い良く座った。
    というより、突き飛ばされたような・・・
    見上げた先には、翔。

    2006-09-28 18:21:00
  • 69:

    名無しさん

    『お前うっさいまじで。』
    見たこともないような表情。
    声。
    冷たい。

    2006-09-28 18:23:00
  • 70:

    名無しさん

    数秒?
    一瞬?
    きっとそれくらいだ。
    空気が止まったのは。
    しかし、あたしの脳内では、もっとずっと長いものに感じられた。

    2006-09-28 18:26:00
  • 71:

    名無しさん

    その張り詰めた空気を裂いたのは、翔だった。
    『ボーイさ〜ん!!俺この子指名〜♪』

    2006-09-28 18:29:00
  • 72:

    名無しさん

    (・・・は?)

    さっきの態度が全くの嘘だったかの様に、翔はまたニコニコと笑顔になり、ポッキーを口へ運んだ。

    2006-09-28 18:33:00
  • 73:

    名無しさん


    『・・・ブフッ・・・』

    2006-09-28 18:36:00
  • 74:

    名無しさん

    『ふ、ふふ・・・ぶぁははははっは〜!!やっぱおもろいの〜われ!!ガハハハハ!!』
    腹を抱える前ちゃん。
    茫然とするあたし。
    目に涙をたくさん溜めながら、小さく震えるヒメカ。
    そして、ポッキーを二本ずつがっつく翔・・・

    2006-09-28 18:39:00
  • 75:

    名無しさん


    ・・・頭が痛い。

    2006-09-28 18:41:00
  • 76:

    名無しさん

    ヒメカはボーイに文句を言ったが、前ちゃんが一時間ならりょうを貸すだの言いだし、丸く収まった。
    刺さるヒメカからの死線。
    ・・・いたい。

    2006-09-28 18:43:00
  • 77:

    名無しさん

    ・・・そして、二人は違う席へ移動・・・

    2006-09-28 18:44:00
  • 78:

    名無しさん

    『初めまして。りょうです。』
    とりあえず他人のふりをしてみる。
    翔は、名刺をジロジロ見ながら、
    『ほんまの名前なに。』
    と無愛想に聞いてきた。

    2006-09-28 18:47:00
  • 79:

    名無しさん

    『お名前聞かせて頂いてもよろしいですか??』
    あえて無視。
    淡々と酒をつくる。
    『・・・な・・・・・たん。』

    2006-09-28 18:50:00
  • 80:

    名無しさん

    『はい??』
    翔はチッと舌打ちすると、グラスをひっつかみ、ぐいっと飲み干した。
    『だぁからぁ!!なんであの道とおらんくなったん!!ってきいとんねんだぁほ!!』

    2006-09-28 18:53:00
  • 81:

    名無しさん

    『え・・・』
    急にでかい声をだすもんだから、前ちゃんで耐性があるものの、少し驚き、たじろいだ。
    そして翔はあたしの目を、あのまんまるな瞳でとらえた。
    今日、初めてこっちを見た。
    なぜか、ドキドキした。

    2006-09-28 18:58:00
  • 82:

    名無しさん

    『・・・』
    『・・・』
    沈黙がつづく。
    『あのっ・・・』
    あたしが言いかけたとき、

    2006-09-28 19:00:00
  • 83:

    名無しさん

    『あ〜!!翔おまえ〜なにしとんねんこんなとこで〜!!』
    べろべろに酔った翔のツレだった。
    『も〜迷惑かけちゃうやろ〜』とマリが優しくフォロー。
    マリにじゃれるツレ。どうやらマリにぞっこん。

    2006-09-28 19:04:00
  • 84:

    名無しさん

    (そうそう。さっさと連れ帰れ。さぁマリ早くイケ!!)
    しかしその願い虚しく、急に連れは、鼻と鼻がぶつかりそうになるほど顔を近ずけてきた。
    『・・・あ〜〜っ!!!!どっかで見たことあるおもたらコンビニでよく会うねーちゃんやぁん!!こいつなぁ〜あれからもず〜っとあんた待っててんでWW ずっとやで??バリうけるしWW』

    2006-09-28 19:09:00
  • 85:

    名無しさん

    『え、そうなんですか?なんか照れるなぁ〜』
    からかい半分、ちらっと隣を見ると・・・・・・耳まで真っ赤な翔さん。
    『・・・あ、あ、ほなごゆっくり〜♪』
    空気を読んだマリが連れをひきずって帰る。

    2006-09-28 19:15:00
  • 86:

    名無しさん

    『あ・・・』
    また訪れる沈黙。
    なんとなく、そっとしておかなければならない空気。

    2006-09-28 19:17:00
  • 87:

    名無しさん

    『・・・ずっとまっとってんからな。』
    突然口を開く翔。
    『でもあたしもう通らないって言ったのに・・・』
    『まっとったら来るとおもうやん。ハチ公だってずっと主人まってたやん。まぁ最終けえへんかったけど・・・』

    2006-09-28 19:22:00
  • 88:

    名無しさん

    ハチ公・・・
    名犬・・・ハチ公・・・

    『ぶふっWW』

    2006-09-28 19:23:00
  • 89:

    名無しさん

    しょんぼりとふてくされた様に下を向いて、酒をすする翔の姿が、なぜか昔飼っていた犬を思い出させた。
    (なんか・・・やっぱ可愛い奴じゃねぇ)

    2006-09-28 19:28:00
  • 90:

    名無しさん

    『じゃあポチって呼ぼ♪』

    あたしは、初めて翔に笑いかけた。

    2006-09-28 19:30:00
  • 91:

    名無しさん

    >>60くりくりおめめはイイ('A`)!!
    >>61あげありがとうございます?
    今日はこのへんで失礼します。

    2006-09-28 19:47:00
  • 92:

    名無しさん

    ??

    2006-09-29 01:16:00
  • 93:

    名無しさん

    93>>あげてくれてありがとう?

    2006-09-29 08:10:00
  • 94:

    名無しさん

    それからというもの、あたしはまた、あの道を通るようになった。
    最初は、本当に待っているのか疑わしかったが、いざその場所に近づくと、地べたにしゃがみ、まわりをキョロキョロして、連ればかりにキャッチさせている翔の姿があった。
    (本間にハチ公みたいじゃWW)
    あたしは、そばにかけよると、彼の頭をポンポンとなでた。

    2006-09-29 08:18:00
  • 95:

    名無しさん

    『ん?!!』
    怪訝そうに見上げる彼に、満面の笑みで言った。
    『えらいじゃんか、ポチくん。』

    2006-09-29 08:22:00
  • 96:

    名無しさん

    ポチはまた耳まで赤くなった。
    しかしすぐに笑顔になり、
    『おかえり!!』
    と言った。

    2006-09-29 08:24:00
  • 97:

    名無しさん

    やがて、ポチはそのまま店までお供するようになり、一時間だけ飲んで、仕事に行くようになった。
    そして、あたしの上がり時間になると、ちゃんと店の外で待っている。
    なんの忠誠心なんだ。ポチよ。

    2006-09-29 08:29:00
  • 98:

    名無しさん

    しかし、あたしはポチの姿を見かけると安心する。
    なんだか、優しい気分になる。
    よしよししてあげたい衝動にかられる。
    ポチが笑うと、胸がきゅんとする。

    2006-09-29 08:33:00
  • 99:

    名無しさん


    ―――本当に、ポチの生まれ変わりみたいだ。ポチは。

    2006-09-29 08:45:00
  • 100:

    名無しさん

    あたしは、ポチの事を何も聞かなかった。
    ポチも、あたしの事を何も聞こうとしなかった。
    ただ、いつも必ず、同じ場所で待っていてくれた。

    2006-09-29 08:48:00
  • 101:

    名無しさん

    あたし達は、携帯番号を交換した訳でもないので、二人をつなぐのは、この場所のみ。
    あたしは、気になることがあった。

    【ポチには、帰る場所があるのだろうか】

    2006-09-29 08:54:00
  • 102:

    名無しさん

    ふと、昔の出来事が、鮮明にフラッシュバックした。

    2006-09-29 08:55:00
  • 103:

    名無しさん

    血。肉。息。涙。

    2006-09-29 08:57:00
  • 104:

    名無しさん

    体が、芯から冷えていくように感じた。
    暗やみが、近づく。手を伸ばす。
    あたしは頭のなかをからっぽにするため、プッシャーを手に取った。

    2006-09-29 08:59:00
  • 105:

    名無しさん

    すーっと脳内の霧が晴れていく。
    虚ろな目。
    力ないからだ。
    無力的な自分。
    また、押し込めた記憶の断片。

    2006-09-29 09:01:00
  • 106:

    名無しさん

    いい加減、解放してよ。
    言葉はふわふわ虚空を舞い、弱々しく消えた。
    【新しい自分を始める為に】というのは、ただのお飾りの名目。

    2006-09-29 09:04:00
  • 107:

    名無しさん


    【執拗な過去からの逃走】

    2006-09-29 09:05:00
  • 108:

    名無しさん

    それが、いつだってあたしの疲れた体を奮い起こし、涙を噛み殺し、どこまでも走らせる。
    止まれば終わり。
    この生活が今のあたしのリアル。

    2006-09-29 09:08:00
  • 109:

    名無しさん

    なんかおもろくなってきたぁ???

    2006-09-29 09:14:00
  • 110:

    名無しさん

    この薬が、これまで何度も癒してくれた。
    しかし、今はポチの存在が、少なからずあたしの生に影響している。

    2006-09-29 09:22:00
  • 111:

    名無しさん

    誰かの恋人かもしれないポチ。
    誰かの悪魔かもしれないポチ。
    誰かの父親かもしれないポチ。
    誰かの光かもしれないポチ。

    2006-09-29 09:24:00
  • 112:

    名無しさん

    あたしは、あなたをよく知らない。

    でも、あたしの前にいる時だけは、あたしのポチ。

    2006-09-29 09:26:00
  • 113:

    名無しさん

    ――――――――――――

    2006-09-29 09:27:00
  • 114:

    名無しさん

    その日、店からでると、外はどしゃぶり。
    慌てて雨宿りをしているであろうポチを探した。
    が、ポチは相変わらず屋根も無いいつもの場所でしゃがんでいた。

    2006-09-29 09:30:00
  • 115:

    名無しさん

    『あんた何しよるん!!傘は?!』
    駆け寄ると、また、にっこり笑って『おかえりぃ』と言った。

    2006-09-29 09:41:00
  • 116:

    名無しさん

    あたしはタクを拾い、自分の家に向かった。

    初めてポチを家に入れた。

    2006-09-29 09:44:00
  • 117:

    名無しさん

    >>110 それはよかったですWW

    ちょっと中断します?

    2006-09-29 09:58:00
  • 118:

    名無しさん

    玄関でタオルを渡して、すぐにお湯を張りに行く。
    ポチが風邪をひいたら大変。
    戻ってくると、ポチはまだ玄関にいた。
    寒さで、震えている。
    『なにしとるん?!風邪ひくからはよ中入り!!』

    2006-09-29 10:16:00
  • 119:

    名無しさん

    『でも。』
    『でもじゃない。』
    『・・・おじゃしまぁす』

    2006-09-29 10:21:00
  • 120:

    名無しさん

    『服気持ち悪いじゃろ?そこバスローブあるけー風呂はいっておいで??』
    『ありがと』
    ポチはふにゃっと笑い、風呂場に向かった。
    あたしは上着を脱ぎ、暖房をつけて部屋を暖めた。

    2006-09-29 10:26:00
  • 121:

    名無しさん

    ソファーに寝転び、しばらくうつらうつらしていると、ポチがホカホカになって出てきた。
    『お風呂ありがとお!あ〜生き返った!!』
    と、ポチはにこにこ。可愛いポチ。
    『そらよかったWWあたしここで寝るし、あんたそこのベット使い。』

    2006-09-29 10:30:00
  • 122:

    名無しさん

    そう言って、目をつぶった。
    『ちょ、逆!!俺こっちでいい!!』
    揺する揺する。
    『あんた弱ってるねんから言うこと聞き!!はい、さっさ寝る!!』

    2006-09-29 10:38:00
  • 123:

    名無しさん

    『・・・じゃあ、一緒に寝よう??』

    『・・・』

    2006-09-29 10:39:00
  • 124:

    名無しさん

    雄くさい発言。
    ちょっと悲しい・・・親心??
    まぁいいか。
    よからぬ事をしたら、ちゃんと躾せねば。

    2006-09-29 10:45:00
  • 125:

    名無しさん

    『いいよ。』
    あたしは、のそのそとベットに潜り込んだ。
    少し遅れて、ポチもつづく。
    シングルベットなのと、ポチのでかい体のせいで、かなり狭く感じる。
    しかし、ポチがホクホクしているおかげで、今日は布団が冷たくない。

    2006-09-29 10:49:00
  • 126:

    名無しさん

    ものの数分で、彼は寝息をたてはじめた。
    (疲れとんやなぁ・・・)
    髪をなでてやると、幸せそうな顔をする。
    それを見て、幸せになる。
    あたしは、その晩久しぶりに、夢も見ずに深く眠った。

    2006-09-29 10:55:00
  • 127:

    名無しさん

    あげあげ?

    2006-09-29 11:32:00
  • 128:

    名無しさん

    >>123さんありがとう?
    見にくい等あれば言ってくださいね?

    2006-09-29 16:39:00
  • 129:

    名無しさん

    >>129さんでした?

    2006-09-29 16:53:00
  • 130:

    名無しさん

    >>128さんや(;´Д`)ぼけてる・・・

    2006-09-29 18:49:00
  • 131:

    名無しさん

    昼過ぎに目覚めると、ポチはまだ夢のなかだった。
    不思議と、ポチがこうして自分の隣に眠っていることの違和感は全くなく、むしろどこか懐かしいような気さえした。

    2006-09-29 18:58:00
  • 132:

    名無しさん

    ぼーっとしたままの頭で、スヤスヤと健やかに眠る彼を見ていると、あたしは以前ポチが朝ご飯は白飯と味噌汁!!と熱く語っていたことを思い出した。
    ・・・
    ・・・・・・
    この憎たらしいほど長いまつげの持ち主は、まだまだ起きそうにない・・・。

    2006-09-29 19:01:00
  • 133:

    名無しさん

    ――――――――――――

    2006-09-29 19:05:00
  • 134:

    名無しさん

    『・・・・・・ぉあよ-・・・』
    しばらくして、ポチ様起床。
    『よぉ寝たねぇ。』
    『ぅん・・・・・・あ!!今何時!!??』
    『四時半。』

    2006-09-29 19:14:00
  • 135:

    名無しさん

    時間的に余裕だったのか、わかりやすいほど表情がほころんだ。
    『ごはん食べる??』
    あたしはにんまり笑う。
    『あんの?!くう〜くいます〜♪』
    ポチはくしゃくしゃになって笑う。

    2006-09-29 19:27:00
  • 136:

    名無しさん

    味噌汁、ごはん、たまごやきしか作れなかったのに、ぎゃーぎゃー喜ぶポチ。
    米粒ひとつ残さず、きれいに食べきるポチ。
    嬉しい、美味しいを連発するポチ。

    2006-09-29 19:51:00
  • 137:

    名無しさん

    ポチが笑うとすごく嬉しい。
    だけど、やっぱりチクチク痛い。
    眩しいものから、目を逸らす癖。
    遠くからが、丁度いい。

    2006-09-29 20:14:00
  • 138:

    名無しさん

    『一緒に住む?』
    コーヒーを入れながら聞いた。
    どうして?
    わからない。

    2006-09-29 20:20:00
  • 139:

    名無しさん

    『すむ。』
    お風呂どうする??
    と聞いて、
    はいる。
    と答えるくらい軽い返事。

    2006-09-29 20:23:00
  • 140:

    名無しさん

    そこから、二人のどこか奇妙な暮らしが始まった。

    2006-09-29 20:27:00
  • 141:

    名無しさん

    ポチは、相変わらずいつもの場所で待っている。
    変わった事と言えば、二人でいる時間が増えたこと。
    ポチのいろんな顔が見れるようになったこと。
    恐い夢を見なくなったこと。

    2006-09-29 20:32:00
  • 142:

    名無しさん

    しかし、困った点も幾つかある。
    ポチはどこへ行くにもひっついて来るので、いつしかよからぬ噂が一人歩きするようになってしまったのだ。
    『あんた仕事に影響するけーちょっとは離れて歩きぃよ。』
    何度促しても、ポチは『いいねん!!』と、繋いだ手を離そうとしなかった。
    その時のポチが決まってどこか淋しそうな表情をしていたのが、印象的だった。

    2006-09-29 20:43:00
  • 143:

    名無しさん

    ある時、マリが某ホストの爆弾サイトとやらを見せてきた。
    『翔はキャバの本彼と同棲中』『翔はガキおる』『ROSEのりょうはエース』『りょうは色彼』『パンコ』『パパと寝た金で通ってる』『不細工』『しね』『翔落ちた』『最低』

    2006-09-29 20:59:00
  • 144:

    名無しさん

    (お〜恐ぁWW)

    なるほど。最近ヒメカの陰湿さが増してきたわけだ。

    2006-09-29 21:05:00
  • 145:

    名無しさん

    あたしは図太いのでどーでもいいが、一応NO1ホストの翔は、やはり苦労していることだろう。

    ・・・ちょっとまずい。

    2006-09-29 21:18:00
  • 146:

    名無しさん

    (そーいえばポチは同伴とかどうしてるんじゃろ・・休みは家にいるし、携帯もめったにいじっとらん。)


    ・・・まずい。
    ・・・・・・まずい予感。

    2006-09-29 21:20:00
  • 147:

    名無しさん

    あたし達がもしも恋人同士だったなら、話はまた変わってくるのだろうが、あいにく、ただのポチとあたし。
    体の関係すらない。
    ただ、同じ家に住む家族のような、柔らかい存在同士。
    それにあたしは、人のやり方に口出しできるような、立派な人間でもない。

    2006-09-29 21:29:00
  • 148:

    名無しさん

    今日も、ポチは待っている。



    なぜ?

    2006-09-29 21:32:00
  • 149:

    名無しさん

    今日も二人、家路に着く。
    手は、繋がせない。
    『なんで??』
    答えてやらない。

    2006-09-29 21:40:00
  • 150:

    名無しさん

    ふてくされるポチ。
    無言。
    玄関のドアを開ける。
    リビングへ引っ張る。
    ソファーに腰掛けさせる。

    2006-09-29 21:43:00
  • 151:

    名無しさん

    『・・・なんやねん。』
    『あんた、仕事どない?』
    『ふつう。』
    『あそ。』

    2006-09-29 21:46:00
  • 152:

    名無しさん

    険悪なムード。
    言葉が中々まとまらない。
    『今の仕事、あんまり好いとらんのん?』
    『なんで。』

    2006-09-29 21:48:00
  • 153:

    名無しさん

    『・・・あんた、何がしたいん??』
    『だから、何が?』
    イライラしているのが、手に取るように分かる。
    『なんでちゃんと仕事せんのん』

    2006-09-29 21:50:00
  • 154:

    名無しさん

    『してるわ。』
    『NO1が同伴もせん、アフターもせん、プラベもあそばん、連絡も少ないでええんか?あんたに着いてきた客の気持ちも少しは考えや。』

    2006-09-29 21:52:00
  • 155:

    名無しさん



    ―――バンッ!!―――

    2006-09-29 21:54:00
  • 156:

    名無しさん

    気になるぅ?あげ?うまくスペースもあって文もうまいし読みやすいですっ?

    2006-09-30 02:58:00
  • 157:

    名無しさん

    >>157さん めっちゃ嬉しいです( ;ω;)やったらやる気でてきました(・∀・)!!

    話的にはもう半分くらい書けたので、中編小説になると思いますが、よかったら最後までお付き合いください?

    2006-09-30 09:44:00
  • 158:

    名無しさん

    ポチは、テーブルを思い切り殴った。
    あたしは、ただ驚き、固まっていた。


    『関係ないやん。ほっといて。』

    2006-09-30 11:22:00
  • 159:

    名無しさん

    いつかのように、ポチの目は恐ろしく冷たく、そしてどこか淋しそうだった。
    ポチは、財布と携帯だけ持って家を出た。
    『ここはアンタの家なんじゃけいつでも帰ってきいよ!!』
    辛うじてドアが閉まりきる前に、あたしは言った。

    2006-09-30 11:26:00
  • 160:

    名無しさん

    ポチはいつだって優しくて、楽しそうで、本当によく笑っていたから
    だから
    あたしとは真逆の人間だと思っていた
    太陽みたいなひと
    そばに居るだけで、暖かい気持ちにさせてくれる

    2006-09-30 11:29:00
  • 161:

    名無しさん

    きっと
    ポチのそんな所に惹かれて
    皆集まってくるんだろう
    澱みの無い澄んだ光に照らされているときだけ
    自分の影を忘れられるような気がして・・・

    2006-09-30 11:39:00
  • 162:

    名無しさん

    だけど
    結局何も分かってなかった
    【影】の無い人間に【光】なんて創れないこと
    ポチの笑顔
    たまに見せる淋しそうな顔

    2006-09-30 11:41:00
  • 163:

    名無しさん

    その意味
    気付いて欲しかったこと
    淡い期待

    そして、繰り返す闇。

    2006-09-30 11:43:00
  • 164:

    名無しさん

    ――――――――――――

    2006-09-30 11:45:00
  • 165:

    名無しさん

    ポチは2〜3日帰って来なかった。
    今度は、あたしがポチを待っている。
    いつもの場所に、いつもより一時間早く行き、きょろきょろしながらポチを探す。
    白い息。と、冷たい風。
    手を擦り合わせながら、ひたすら待った。

    2006-09-30 11:49:00
  • 166:

    名無しさん

    行き交う男女。
    楽しそうな声。

    ポチの体は、いつも冷たかった。

    2006-09-30 11:52:00
  • 167:

    名無しさん


    気が付くと、頬が涙で濡れていた。

    2006-09-30 11:54:00
  • 168:

    名無しさん

    ――やがて時間になり、あたしは立ち上がった。足に感覚が無くなっていた。
    帰りは、三時間待った。
    しつこいナンパと喧嘩になったので、家に帰った。

    2006-09-30 11:58:00
  • 169:

    名無しさん

    誰もいなくなった家。
    目についたゲーム機。
    ポチがやっていたドラクエ。
    電源を入れてみる。

    2006-09-30 12:03:00
  • 170:

    名無しさん

    主人公は、翔。
    ヒロインは、りょう。


    ・・・一度だってあたしを名前で呼んだこと無いくせに。

    2006-09-30 12:06:00
  • 171:

    名無しさん

    最初はシンプルだった部屋。
    今はポチの好きな、外国のおもちゃだらけ。
    勝手に住まわせたのに、毎週いつのまにか財布に入れられていた、札束。

    2006-09-30 12:09:00
  • 172:

    名無しさん

    いつのまにか使わなくなったプッシャー。
    売人の番号。
    知らない間に、満たされていたスカスカの心。

    2006-09-30 12:11:00
  • 173:

    名無しさん

    独りぼっちの空間。
    やけに広い部屋。
    とまらないタバコ。
    そして

    2006-09-30 12:13:00
  • 174:

    名無しさん



    ・・・
    ・・・・・・恐怖。
    再来する、過去の恐怖。

    2006-09-30 12:13:00
  • 175:

    名無しさん


    暗い暗い濁った川を逃げ回り、足を取られながらやっと掴んだものは、注射器だった。

    2006-09-30 12:16:00
  • 176:

    名無しさん

    理性が朦朧とする中、ポチがあたしに背をむけ、どんどん離れていく幻を見た。
    振り返りもせず、彼は行った。

    2006-09-30 12:18:00
  • 177:

    名無しさん

    あげ?

    2006-09-30 17:29:00
  • 178:

    名無しさん

    ずっと読んでるよ
    あげ??

    2006-09-30 18:49:00
  • 179:

    名無しさん

    >>178あげてくれでありがとう?
    >>179ただの自己満小説ですが、誰か一人でも見てくれてると思うとやっぱ嬉しいです( ;ω;){アリガトゥ

    2006-09-30 21:01:00
  • 180:

    名無しさん

    夢か現実か。
    よく分からないけれど、ふわふわの白い毛が、あたしの頬をかすめた。
    『・・・??』
    うつろな目を、ゆっくり動かす。

    2006-09-30 21:05:00
  • 181:

    名無しさん

    優しい目をした大きな犬が、ハッハッと軽く息を切らせながら舌を出し、なんだか微笑んでいる様にも見える。


    ・・・ああ、これは、あたしのポチだ。

    2006-09-30 21:09:00
  • 182:

    名無しさん

    昔、道端で拾った犬。
    まだ小さかったポチは、薄っぺらな布の上、おそらく生まれて初めてであろう雪に、ぶるぶる震えて。
    軽くて冷たい体を抱き上げると、まんまるな目があたしの目を不安そうに見た。
    その時から、ポチはあたしの一番の宝物になった。

    2006-09-30 21:15:00
  • 183:

    名無しさん

    可愛いポチ。
    学校から帰るあたしを、いつも玄関でお座りして待っていてくれた。
    泣いているときは、ポチまで悲しそうに泣きながら、ずっとそばに居てくれた。
    何より大切にしてきた。
    大切に、大切にしてきたのに・・・

    2006-09-30 21:20:00
  • 184:

    名無しさん

    あたしは、あいつと出会ってしまった。

    2006-09-30 21:23:00
  • 185:

    名無しさん



    何より大切なポチを殺したのは、あたしだ。

    2006-09-30 21:25:00
  • 186:

    名無しさん

    ふと、目の前のポチが低く唸り始めた。
    ――そうか。
    あたしを恨んでいるんだろう。
    当たり前だ。
    ポチの姿が、徐々にくずれていく。

    2006-09-30 21:27:00
  • 187:

    名無しさん

    頭がぱっくりと割れ、赤黒い血がドクドクと白い毛並みを汚した。
    片方の目玉はどろりとこぼれる。
    歯も、もう何本かしか残っていない。
    そして、至る所からの血。肉。

    2006-09-30 21:30:00
  • 188:

    名無しさん

    前脚が折れているのか、ポチはうまく立てないようだ。
    しかし、そんな中でも彼は、血走った目であたしをひたすら恨んでいる。


    ・・・あたしを殺したいの?

    2006-09-30 21:34:00
  • 189:

    名無しさん

    いっそのこと、このまま首を噛み切って欲しい。
    何もかもから、解放されたい。
    あたしも連れていって?
    また、いつかみたいにずっと一緒にいたいよ・・・・
    ポチ・・・。

    2006-09-30 21:37:00
  • 190:

    名無しさん

    手を伸ばすと、ポチもまた、あたしに背を向けてどこかへ行ってしまった。


    残ったのは、やはり、ただの闇だけだった。

    2006-09-30 21:40:00
  • 191:

    名無しさん

    ――――――――――――

    2006-09-30 21:41:00
  • 192:

    名無しさん

    あれから、一体どのくらい時間が経過したのか分からない。
    目の前にはからっぽの酒がたくさん転がって、タバコの吸い殻が灰皿から溢れている。
    薬が、たぶんもう無い。
    効き目も、たぶんもう無い。

    2006-09-30 21:44:00
  • 193:

    名無しさん

    手探りで携帯を探すも、電池はとうに無くなっていた。
    『めんどくさ。』
    充電機の所までのそりのそりと這いながら行く。
    まるで虫か何かの様。

    2006-09-30 21:47:00
  • 194:

    名無しさん

    電源を入れると、店や客からの連絡で溢れていた。
    また、吐きそうになる。
    マリや友人が心配してくれていた。
    目を逸らしたくなる。
    そんな中、珍しく前ちゃんからメールが届いていることに気付く。

    2006-09-30 21:50:00
  • 195:

    名無しさん



    【おい。お前これ見たらすぐに連絡せえ。】

    2006-09-30 21:51:00
  • 196:

    名無しさん

    なに?
    どことなく切れ気味なメール。
    まぁいいか。
    イマイチはっきりしない思考のまま、電話をかけてみた。

    2006-09-30 21:54:00
  • 197:

    名無しさん

    前ちゃんは、ワンコールで電話をとった。

    『早・・・』
    『早・・・ちゃうやろボケコラァアアア!!われ今どこおんねん!!のぉ!!』

    2006-09-30 21:59:00
  • 198:

    名無しさん

    いきなり怒鳴り散らされた。
    『おっさんでかい声だしてなんならぁ・・・。なに?店いかんから切れとるん?』

    『だぁとれカス!!わしは今どこやぁーゆうて聞いとんねん!!ちゃっちゃ答えんかいや!!』

    2006-09-30 22:02:00
  • 199:

    名無しさん

    『家や家。』
    『んなそこ動くなよ!!ほなな!!』


    ガチャン。プーップーッ・・・

    2006-09-30 22:04:00
  • 200:

    名無しさん

    用事があるので今日はここまでにします。
    呼んで下さってた方、ありがとうございました( ^ω^)

    2006-09-30 22:12:00
  • 201:

    名無しさん

    ↑読んで↑でした・・・最後の最後に変換ミスってしまった・・・

    2006-09-30 22:14:00
  • 202:

    名無しさん

    めちあおもろい?
    書き方うますぎ???

    2006-10-01 12:50:00
  • 203:

    主よ。そろそろトリップつけたほうがええかと。偽者が出たらウザイので。

    2006-10-01 20:18:00
  • 204:

    名無しさん

    >>203 いやいやいやいやいや!!駄文ですんません・・・暇つぶし程度のただの自己満なので、軽い気持ちでみまもってください('A`)
    >>204 もしよければトリップとやらの付け方を教えて頂ければ嬉しいのですが・・・

    2006-10-01 22:34:00
  • 205:

    名無しさん

    名前#@@@@
    @のとこに好きな文字いれるねんで?

    2006-10-01 23:45:00
  • 206:

    名無しさん

    めちゃ気になる??早くみたい。

    2006-10-02 01:24:00
  • 207:

    名無しさん

    続きが読みたい?あげ?

    2006-10-02 10:23:00
  • 208:

    ◆sF45pHHizM

    >>206 わざわざすいません!!では早速トリップつけてみます?
    >>207 気になってくれるなんて・・・( ;ω;)
    >>208 続きが読みたいだなんて・・・( ;ω;)
    カンムリョウ・・・????

    2006-10-02 20:11:00
  • 209:

    名無しさん

    それから十数分後、玄関のチャイムが鳴った。


    (来たか・・・)

    2006-10-02 20:44:00
  • 210:

    名無しさん

    『鍵、あいとるよ。』

    そう声をかけると、荒々しくドアが開き、すごい剣幕の前ちゃん登場。
    般若みたいな顔をしながら、あたしを見下ろす。

    2006-10-02 20:58:00
  • 211:

    名無しさん

    続きが気になります。
    最後まで頑張ってくださいねp(^^)q

    2006-10-02 21:01:00
  • 212:

    名無しさん

    『お前。・・・ええ加減にせえ。』
    前ちゃんは、落ちていたパケとプッシャーを広い、ごみ箱へ捨てた。
    そして、ぼーっと壁にもたれて座るあたしの頭を撫で、
    『俺のゆうた通りになってもうたな。』
    と、苦笑いした。

    2006-10-02 21:13:00
  • 213:

    名無しさん

    『・・・あは。』
    あたしも、笑った。
    きっと笑えてないけど、口元の筋肉がそう動いた。
    習慣。反射。
    『・・・そやって笑うお前、結構嫌い。』

    2006-10-02 21:18:00
  • 214:

    名無しさん

    気が付くと、腕のなか。
    前ちゃんの匂い。
    今日は、酒臭くない。
    ・・・あったかい。

    2006-10-02 21:24:00
  • 215:

    名無しさん

    前ちゃんは、まるで泣き疲れた子供をあやすように、あたしの背中をポンポン軽く叩きながら、
    『これは、お前にはむいとらんねん。やめえ。分かった??
    やさしく、やさしく言った。

    2006-10-02 21:31:00
  • 216:

    名無しさん

    ・・・薬が欲しい。
    苦しくなくなる薬。

    『なんで、やったらいかんの・・・?』
    どうして、楽になろうとすることを止めるの?いけないことなの?

    2006-10-02 21:37:00
  • 217:

    名無しさん

    『りょう・・・』
    悲しそうな顔。
    ・・・どうして?あたしまた、悪いことした?

    ぐらぐらとした黒い何かが、体の奥から沸き上がるのを感じた。

    2006-10-02 21:43:00
  • 218:

    名無しさん

    『あたしが・・・悪いん?だって、教えてくれたやん。』
    あたしは前ちゃんを突き飛ばし、ごみ箱の中のビニールを眼前に見せ付けた。

    2006-10-02 21:44:00
  • 219:

    名無しさん


    『前ちゃんがあたしにこの薬、くれたんやんか・・・』

    2006-10-02 21:49:00
  • 220:

    名無しさん

    はぁ??せつない…?

    2006-10-03 01:06:00
  • 221:

    名無しさん

    あげ???

    2006-10-03 03:21:00
  • 222:

    ◆sF45pHHizM

    >>221 ちょっとずつの更新ですが、がんばります??
    >>222 あげありがとう??

    2006-10-03 05:17:00
  • 223:

    ◆sF45pHHizM

    前ちゃんは、ますます悲しい顔になり、
    『そうやな。』
    とだけ言うと、あたしにキスをした。

    2006-10-03 05:22:00
  • 224:

    ◆sF45pHHizM

    黙って舌を絡ませる。
    やがてそのまま体が押し倒され、服の上から強引に胸を揉まれた。
    前ちゃんは、なにか見たくないものがあるのか、ずっと目を閉じている。

    2006-10-03 05:27:00
  • 225:

    名無しさん


    ・・・あたしと前ちゃんの関係は、ただのホステスと客という間柄だけではない。
    友達同士。
    売人と客。
    そして、体を合わせる相手・・・。

    2006-10-03 05:32:00
  • 226:

    ◆sF45pHHizM

    前ちゃんとの出会いは、店ではなかった。
    あたしがこっちへ来たばかりの頃、クラブでナンパされたのが、始まり。
    自暴自棄だったあたしは、その日に前ちゃんとSEXした。
    愛は、そこに、必要なかった。
    ただ、一瞬でも何かに集中して忘れることができるなら儲け物だ、そう思ったし、やりたい男を満足させられるなら、一石二鳥だと、そう思った。

    2006-10-03 05:37:00
  • 227:

    ◆sF45pHHizM

    しかし、思わぬ収穫があった。



    ―――【覚醒剤】。

    2006-10-03 05:39:00
  • 228:

    ◆sF45pHHizM

    今だにきちんとした職業までは分からないが、前ちゃんは売人も、まれにやっているらしかった。

    『お前、なんか悩みあるみたいやなぁ。これ飲んでみ?忘れられるから。』

    その一言が、はじまり。

    2006-10-03 05:43:00
  • 229:

    ◆sF45pHHizM

    渡された錠剤。
    躊躇なく口へ放り込んだ。
    『噛め』
    言う通りにした。
    えもいわれぬ苦みが広がる。

    2006-10-03 05:45:00
  • 230:

    ◆sF45pHHizM

    しかしそれは、ビールによってすぐ胃へと押し流された。
    (なんだ。簡単。)
    あたしはその日、いつだってあたしを匿ってくれる、大きな秘密基地を見つけた気がした。

    2006-10-03 05:48:00
  • 231:

    ◆sF45pHHizM

    だから、気を張りながら生きてこれた。
    これがあったから・・・。
    前ちゃんが、頃合いを見ながら新たな薬をくれるので、メチャクチャになることはなかった。
    しかし、きっともう依存しているだろう。

    2006-10-03 05:50:00
  • 232:

    ◆sF45pHHizM

    後悔などしていない。
    いつ死んだって構わない。
    なのに・・・
    あなたが悲しそうな顔をするようになったのは、何故?
    止めるのは、どうして??

    2006-10-03 05:54:00
  • 233:

    ◆sF45pHHizM


    ――『あぁっ・・・んッ・・・ぁ・・・』
    前ちゃんの執拗な愛撫に、声が漏れる。
    気持ちがいい。
    早くちょうだい。

    2006-10-03 05:56:00
  • 234:

    ◆sF45pHHizM

    前ちゃんはあたしを気持ち良くするものをたくさん持っている。
    あたしはそれを求める。いつも。
    『ぁあっ!・・・も・・・して?・・・アッアッ』

    前ちゃんの目が、開いた。

    2006-10-03 06:00:00
  • 235:

    ◆sF45pHHizM

    『なんて?そんなちいちゃい声で言われても聞こえん。』
    ニヤリと、唇の端をもちあげて笑う。
    前ちゃんのこの表情が大好きだ。
    見るだけで、濡れてくる。

    2006-10-03 06:02:00
  • 236:

    ◆sF45pHHizM

    >>212 最後までちまちまがんばります(゚∀゚)!!

    2006-10-03 07:03:00
  • 237:

    名無しさん

    あげ

    2006-10-03 13:39:00
  • 238:

    名無しさん

    あげあげ??

    2006-10-04 06:09:00
  • 239:

    名無しさん

    つづき気になるぅ

    2006-10-05 09:49:00
  • 240:

    名無しさん

    頑張って??

    2006-10-06 04:05:00
  • 241:

    ◆r11LF9gUco

    >>238 あげありがとうございます(・∀・)
    >>239 ほんとうれしいです(・∀・)
    >>240今からのそのそ書いていきます(・∀・)
    >>241 ががががんばります(・∀・)!! あと、トリップ忘れてしまったので変えます??

    2006-10-06 16:45:00
  • 242:

    ◆r11LF9gUco

    『前ちゃ・・・して?』
    手を伸ばすと、前ちゃんは手首をぐいっと引っ張り、あたしを起こした。
    対面座位。
    ぐちゅぐちゅと卑猥な粘着音が響くなか、あたしは涙を流していた。

    2006-10-06 16:48:00
  • 243:

    ◆r11LF9gUco

    行為の最中はいつも、辛さも 苦しみも・・・何も感じなかった。
    だから、精神が滅入ってしまう時は、恋愛感情だとか生温い情には一切流されず、しかし、なにか確実な信用を持ち合わせている前ちゃんにだけ体を許し、求めた。

    2006-10-06 16:55:00
  • 244:

    ◆r11LF9gUco

    なのに、どうして今日は、こうも集中できないんだろう。

    涙がとまらない。

    胸がしくしくと痛い。

    2006-10-06 16:58:00
  • 245:

    ◆r11LF9gUco




    ・・・ポチの顔が、頭から離れない・・・

    2006-10-06 17:01:00
  • 246:

    ◆r11LF9gUco

    前ちゃんは、何も言わずにあたしの涙を拭う。
    果てるまで、激しく行為を続ける。
    この男のこういう所が、大好きだ。

    2006-10-06 17:03:00
  • 247:

    ◆r11LF9gUco

    (ポチ、あんたどこにおるん?そろそろ帰っておいでや・・・)

    いつものポチの寝床。あたしの隣。
    淋しがりで、ひっつき虫のポチは、毎回あたしの手を握っていた。

    2006-10-06 17:08:00
  • 248:

    ◆r11LF9gUco

    長いまつげ。
    可愛い寝顔。
    今、隣には前ちゃんの大きな背中。
    そっぽを向いた後ろ姿。

    2006-10-06 17:10:00
  • 249:

    ◆r11LF9gUco

    前は別にどうとも思わなかった。
    むしろ、ドライな方が心地いい。
    それは、今も変わっていない。

    ただ・・・

    2006-10-06 17:12:00
  • 250:

    名無しさん

    ぽちぃ?

    2006-10-06 17:13:00
  • 251:

    ◆r11LF9gUco

    クスリより、
    快楽より、
    何よりポチが傍に居ることで、あたしは満たされていたのだと気が付いた。

    2006-10-06 17:17:00
  • 252:

    ◆r11LF9gUco

    無償に淋しくなり、ぐっすり眠った前ちゃんの背中に抱きついて、あたしはまた、静かに泣いた。

    2006-10-06 17:21:00
  • 253:

    ◆r11LF9gUco

    ――――――――――――

    2006-10-06 17:21:00
  • 254:

    ◆r11LF9gUco

    それから、長い長い時間をかけて、数日が経った。
    『りょうちゃーん・・・元気ないなりかぁ・・・??』
    マリが、フラペチーノのストローを噛みがら、あたしの顔を覗き込む。
    『ん?!何言いよん!! 元気すぎて怖いわWW』
    『うそ。ワンコ疾走事件からずっと元気ないやん。マリにまで強がんなし。』

    2006-10-06 17:26:00
  • 255:

    ◆r11LF9gUco

    マリは少しご機嫌ななめ。
    『ん-・・・ほんっまどこほっつき歩きよんかねぇ-?!あのバカ犬は・・・はぁ。』
    ぐりぐりとクリームを掻き混ぜる。
    『・・・よっしゃ♪よーやく素直になった広島女にマリちゃんが遊びつれてったろー!!さっ!!いきまっせ!!姉さんいきまっせ!!』
    急にテンションがあがった相方。あれよあれよと断るまもなく手を引かれ、二人はスタバをあとにした。

    2006-10-06 17:31:00
  • 256:

    ◆r11LF9gUco

    時間は夜の10時。
    居酒屋にでも行くのかと思いきや、ついたのはまぁまぁ大箱のホストクラブだった。
    『おい相方。』
    『なんじゃい姉さん♪』
    『何故にこーゆー場所をえらぶ・・・』

    2006-10-06 17:34:00
  • 257:

    ◆r11LF9gUco

    マリがにこぉ〜っと笑う。
    『毒をもって毒を制す!!や!!』
    『・・・意味わかってつこぉとるんWW』
    『いえす!!さぁ〜れっつごー!!』

    2006-10-06 17:37:00
  • 258:

    ◆r11LF9gUco

    無邪気なマリに不覚にも癒されるワタシ。
    エレベーターにのり、扉を開けた。

    『らぁっしゃいませぇーい!!!!』

    2006-10-06 17:39:00
  • 259:

    ◆r11LF9gUco

    うるさい音楽。うるさい人間。
    酒と香水と笑い声。
    そこに渦巻く嘘と欲。
    (やっぱこーゆうトコ苦手・・・)
    席に案内されると、マリと代表らしき人物が仲良さげに話し始めた。

    2006-10-06 17:45:00
  • 260:

    ◆r11LF9gUco

    『じゃあそーゆう感じでよろ☆』
    『りょーかい♪あ、ちょ、おまえ話長い!!申し遅れました!!』
    代表はあたしの隣へやってきて、すっと名刺を差し出す。
    『はじめまして。一応代表やらしてもらってます、晃です。いや〜べっぴんさんですねぇ!!』

    2006-10-06 17:55:00
  • 261:

    ◆r11LF9gUco

    と、優しく笑う晃さんは、びっくりするほどキレーな顔をしていた。
    『あ、どぉも。りょうです。普通のやつです。』
    『普通のやつて!!!!WW』
    びっくりしすぎて口を滑らせてしまった・・・。
    『ぶへWW んまりょう愛しいわ〜WW あ!!ちょ、晃!!楓くん来たからもうどっかいって!!シッシ!!』

    2006-10-06 18:00:00
  • 262:

    ◆r11LF9gUco

    『なんやねん!!ほなお前の隣いったるわホレ!!』
    ぎゃあぎゃあと騒ぐマリと晃さんは、すごく幸せそうに見えた。
    (たぶん付き合いよんじゃろぉな♪水臭いやつめ・・・)
    その時、またもやあたしの隣のソファーが沈んだ。
    『はじめまして。』

    2006-10-06 18:03:00
  • 263:

    ◆r11LF9gUco

    あぁまた挨拶か。
    (なんかホストクラブとやらは忙し-のぉ・・・てキャバの客もこんな感じに思うとるんじゃろ-な・・・前ちゃんも・・・プッWW)
    あたしは前ちゃんのいかつい顔を想像してしまい、含み笑いのまま振り返った。

    2006-10-06 18:08:00
  • 264:

    ◆r11LF9gUco

    『楓です。よろしく☆』
    そして、この人もまた、ど肝をぬかれるほどの男前だった。
    『あ、ども。』
    『りょ〜ちゃんクールWW』
    『そゆ所もすてきょ♪』

    2006-10-06 18:13:00
  • 265:

    ◆r11LF9gUco

    二人におちょくられながら、なんとなく照れた。
    楽しく会話しながらも、
    (ポチも今頃働いてるんかねぇ・・・まさか!!飢え死になんかしとらんやろうね・・・?!!)と、相変わらずポチの心配ばかりしていた。
    そんな時、指名が何組か被っていた楓くんは、ボーイに呼ばれた。

    2006-10-06 18:17:00
  • 266:

    ◆r11LF9gUco

    『おう!!きばってこいや〜売れっ子ぉ〜お!!』
    代表はそれでいいのかというぐらいマリの隣から動かない。
    (客の対処はどーしてるんじゃろWW)
    『ご馳走様でした☆』
    楓くんが言った。

    2006-10-06 18:21:00
  • 267:

    ◆r11LF9gUco

    『いえいえ☆頑張ってなぁ〜』
    『あの、番号聞いてもいいですか?』
    きらきら。天使のスマイル。
    たぶん、この笑顔でいままで何人もの女を落としてきたんだろう。
    あ〜こわい。

    2006-10-06 18:27:00
  • 268:

    ◆r11LF9gUco

    『や、来たくなったら勝手に来て勝手に指名するけ-えぇよ☆営業ってする側もされる側もめんどいしWW』
    『や、そーゆうんじゃなくて。ふつうに。』

    ・・・なんか、ポチとも似たようなやり取りしたなぁ・・・

    2006-10-06 18:34:00
  • 269:

    ◆r11LF9gUco

    あぁダメだ。また泣きそうになってきた。
    『あ、イキナリじゃとあれやから連絡ほしーもんな!!ごめんごめん・・・んじゃ楓くんの番号教えといて?』
    無理に明るくする。
    あたしは何をやっているんだろう。
    ・・・ポチに会いたい。

    2006-10-06 18:38:00
  • 270:

    ◆r11LF9gUco

    『・・・わりました。絶対連絡くださいね?』
    『はいはい☆んじゃね〜』

    それから一時間後、あたし達はチェックした。

    2006-10-06 18:40:00
  • 271:

    ◆r11LF9gUco

    タクシーに乗り、ホロ酔いなマリが抱きついてきた。
    『なぁ〜楽しかったやろ〜??楓くんかっこよかったやろ〜??なぁ〜』
    『はいはい楽しかったよWW ありがとうね、マリちゃんWW』
    頭を撫でると、マリは嬉しそうに笑い、『マリなぁ〜サプライズしてん!!おたのしみにぃ〜!!』
    それだけ言うと、すぐにぐうぐう寝てしまった。

    2006-10-06 18:45:00
  • 272:

    ◆r11LF9gUco

    (また訳わからん事ゆうて・・・WW)さして気にせず、心地よい揺れに瞳を閉じた。


    マリの謎なサプライズの正体は、翌日に発覚した。

    2006-10-06 18:52:00
  • 273:

    ◆r11LF9gUco

    翌日、あたしは客が三組かぶる上に前ちゃんとご飯を食べに行く約束をしていた為、昼には起きて、バタバタと支度をしていた。

    〜〜〜♪♪♪〜〜〜

    突然携帯が鳴った。

    2006-10-06 18:55:00
  • 274:

    ◆r11LF9gUco

    >>251 ポチくんはもーちょいしたら出てくるので、ちょっと休憩したらポチ復活までだだっと書きます( 。-∀-)b

    2006-10-06 19:07:00
  • 275:

    ◆r11LF9gUco

    おおかた前ちゃんの催促電話かと思っていたが・・・
    見たこともない番号は、なかなか鳴り止む様子もない。
    登録し忘れた客だとまずいので、とりあえず出てみることに。
    『もしもし』
    『あっ、もしもし??誰だかわかります??』

    2006-10-06 23:12:00
  • 276:

    ◆r11LF9gUco

    (うわぁ〜質問形式うぜ〜・・・)
    『いえちょっと存じ上げないんですが・・・どちら様でしょう?』
    とりあえず当たり障りなく。
    『もう!!やっぱり登録してないじゃないっすかWW』
    機械の向こう側の声が、急にやわらいだ。

    2006-10-06 23:16:00
  • 277:

    ◆r11LF9gUco

    『あ〜あのホスクラの?え〜・・・代表かもう一人の子かどっち・・・かなぁ??』
    『えぐいっすよお・・・かけてくるってゆうから待ってたのに全然やから、代表→マリちゃん→代表→俺経由で聞いたんすよ!!もう!!』

    ぁぁ・・・ゆうたような・・・

    2006-10-06 23:23:00
  • 278:

    ◆r11LF9gUco

    これがポチだったらどんなにいいか。

    『ごめん忙しいうえに忘れっぽいんよWW また行くね〜ばいばい☆』

    早く切りたい。

    2006-10-07 09:01:00
  • 279:

    ◆r11LF9gUco

    『ちょWW どんだけ俺としゃべりたないねんWW』
    楓が笑う。
    『そんなんおもぉとらんWW ただ眠いし切りたいなぁみたいな・・・WW』
    『あ!!夕方起床タイプ??!!ごめんごめん!!んなまたかけますわ〜☆あ、登録しといてや!!んなっ』

    2006-10-07 09:06:00
  • 280:

    ◆r11LF9gUco

    ・・・こんなうるさい感じやったかな・・・??
    まぁいい。
    あたしは携帯をテーブルに置き、また支度を始めた。

    2006-10-07 09:08:00
  • 281:

    ◆r11LF9gUco

    ようやく店につくと、時間帯をずらしといた客がもう来ていたり、ヒメカが遅刻していたり、マリが泣いていてホールになかなか出てこなかったり、ボーイの顔面にガーゼが貼ってあったりとやたら大変だった。
    しかし前ちゃんは一人焦るあたしを見て、放置中にもかかわらず、ガハハとおっさんの様に笑っていた。
    (もぉ帰りたい・・・;;)

    2006-10-07 09:21:00
  • 282:

    ◆r11LF9gUco

    『ご新規二名様○∴¢£・・・らっしゃいませ〜ぃい!!!!WW』
    思いっきり噛んどるがな!!
    ボーイよしっかりしてくれ・・・
    指名客の席につき、色々世間話していると、呼ばれた。

    2006-10-07 09:28:00
  • 283:

    ◆r11LF9gUco

    『さっき来たばっかりじゃんか!!なんね今日の殺人的忙しさは・・・女の子も今日に限ってぶち休み多いし・・・ぶつぶつ』
    『りょ〜ちゃん相変わらず方言大魔王やなWW がんばっといで☆生きてもどっておいでやWW』
    仮に客Aとするこの勝慎太郎のごときダンディーなオジサマは、あたしの理解ある太客の一人。
    『らじゃー!!一時ごちそーさん♪』
    あたしは席を立ち、すぐに違うボックス席に案内された。

    2006-10-07 09:37:00
  • 284:

    リあるたいむ?

    2006-10-07 09:40:00
  • 285:

    ◆r11LF9gUco

    『はじめまして。お隣失礼してもいいですか?』
    仕事なので新規にはやたら丁寧。話のなかで、相手に合った接客を見つけていくのがあたしのやり方。
    『うわ!!よそよそしい!!』
    (なんならぁ・・・いちいちうるさいガキじゃのぉ・・・)

    2006-10-07 09:42:00
  • 286:

    ◆r11LF9gUco

    隣に座った相手は、楓だった。
    『え!!!!何きとるん!!!!』
    ・・・思わず。
    『何きとるんて・・・来たらあかんのかい!!』
    楓がケラケラ笑う。

    2006-10-07 09:45:00
  • 287:

    ◆r11LF9gUco

    嫌。
    嫌だこの人。
    やっぱりちょっとポチに似てる。
    接客中の笑顔と、そうでない時の笑顔が全然違う。
    笑顔が、ポチに似ている。

    2006-10-07 09:47:00
  • 288:

    ◆r11LF9gUco

    胸がまた、痛む。

    『りょうちゃん?』

    覗き込む黒いまんまるな目に、ひどい顔のあたしが映っていて、我に返った。

    2006-10-07 09:49:00
  • 289:

    ◆r11LF9gUco

    『や、なんもない!!あ、何の飲む?!!』
    『・・・ん。じゃあドンペリ。』
    『しねWW』
    『なぁ〜。りょうちゃん好きな人おるん?』

    2006-10-07 09:52:00
  • 290:

    ◆r11LF9gUco

    『何よいきなり・・・。』
    『だってこないだ店きた時もなぁ〜たまにめっちゃ切なそ〜な顔しとってやぁ、好きでたまらん奴でもおるんかなぁ思って気になったから来ちゃった!!WW』
    『何ソレW』
    『あ、お兄さんピンドン!!をコールなしで物凄く自然に気配消しながらもってきて!!ウルサイのしんどいやろお互い!!』
    『何ソレWWW』

    2006-10-07 09:57:00
  • 291:

    ◆r11LF9gUco

    >>286 ばっちりリアルタイム?でしたねWW 用事してからまた書きます☆

    2006-10-07 10:00:00
  • 292:

    あリがとう?!!

    おもしろいから
    毎日楽しみにしてる?

    2006-10-07 10:35:00
  • 293:

    ひまり

    ドキドキ…?

    2006-10-07 10:35:00
  • 294:

    ??

    あげ(*´艸`)??

    2006-10-07 16:56:00
  • 295:

    ◆r11LF9gUco

    あさん>おもしろいとか・・・ヨダレ出そうになるぐらいうれしい( ;ω;)
    ひまりさん>ハァハァ・・・?WW
    ??さん>あげてくれてありがとう??

    2006-10-07 19:48:00
  • 296:

    ◆r11LF9gUco

    楓が、ポチと重なって仕様がない。
    ポチもこうして、仕事と私生活とはまったく違う顔を持っているのだろうか。
    『りょうちん?』
    明るい髪に黒い瞳。
    ポチの色違いみたい。

    2006-10-07 19:52:00
  • 297:

    ◆r11LF9gUco

    『また考えてたやろぉ!!ぶぅ!!』
    (ぶぅ!!て・・・店のクールキャラとのギャップすごいわいねぇ・・・。)
    『や、別に。よくそんなキャラ変えよるん??』
    適当に話を変えつつ、そういえばヒメカもクールキャラがどうとか言っていたなぁと考えていた。

    2006-10-07 20:03:00
  • 298:

    ◆r11LF9gUco

    『・・・早くゆってや。そいつんこと。』
    黒い真ん丸な目にみつめられると、錯覚してしまう。
    あたしはポチのことをあまり深く言わない。マリにさえ。
    なのに・・・
    気が付けば、涙混じりに、ため込んでいた言葉を次々と吐き出していた。

    2006-10-07 20:05:00
  • 299:

    ◆r11LF9gUco

    その間楓くんは相づちもうたず、ただじっとこちらを見ながら、静かに聞いていた。

    2006-10-07 20:07:00
  • 300:

    ◆r11LF9gUco

    ひとしきり胸のつかえが取れると、騒々しいコールによって、あたしは現実へと引き戻され、同時に、顔に火が点いた。
    『うわ!!なんかべらべら喋ってしもぉとった!!ごめんお客さんやのに・・・』
    相反して冷たい両手で、顔を覆った。
    穴があったら是非とも入りたい状況である。

    2006-10-07 20:15:00
  • 301:

    ◆r11LF9gUco

    その時、生暖かい息がふぅっと耳元に吹き付けられた。
    ビクッ!!!!
    『びんか〜ん音符』
    楓が、ちょけてみせる。
    『あたし耳弱いんじゃけやめてWW 』

    2006-10-08 01:46:00
  • 302:

    名無しさん

    主サンほんまの広島人??

    2006-10-08 01:50:00
  • 303:

    ◆r11LF9gUco

    『敏感とかすばらしい〜音符』
    『語尾にいちいち音符てつけんでよろしWW』
    『なぁ・・・家行ってもい??』
    『え!!!!』

    2006-10-08 01:59:00
  • 304:

    ◆r11LF9gUco

    何を言いだす急に・・・。というのが正直なところ。
    しかし、あまりに直球すぎて、押し黙ってしまった。
    『・・・あかん??』
    『いいよ。』
    『え!!いいんや!!』

    2006-10-08 02:04:00
  • 305:

    ◆r11LF9gUco

    『聞いといてWW』
    『じゃあ店の近くの○○で待っとくから!!ついたら電話して!!初電話!!』
    『わかったWW』

    2006-10-08 02:07:00
  • 306:

    ◆r11LF9gUco

    そんなこんなで無事仕事も終わり、着替えていた時。
    『は〜次は楓か。ほんっま好きやなぁ〜ホス狂い。何様のつもりなん?きんも〜』
    明らかに文句をたれられているが、ヒメカはいつもあたしには言わない。
    ロッカーか、年下の似たようなギャルのどちらかの方を向いて。
    だから、どうでもいい。

    2006-10-08 02:19:00
  • 307:

    ◆r11LF9gUco

    『おつかれさまでしたー』

    マリは早退したようなので、一人で楓の待つ場所へと向かった。

    2006-10-08 02:22:00
  • 308:

    ◆r11LF9gUco

    >>304 あたしは根っからの大阪人です?が、彼氏が広島マンなので、大好きな広島弁を無理矢理りょうに使わせていますWW

    2006-10-08 02:25:00
  • 309:

    名無しさん

    2006-10-08 02:45:00
  • 310:

    名無しさん

    2006-10-08 02:46:00
  • 311:

    名無しさん

    そっか?あたし広島人ぢゃけ-何か違うなぁ思って?この話バリ好きぢゃしめっちゃ見よ-るけぇ頑張ってね?

    2006-10-08 04:23:00
  • 312:

    名無しさん

    ぱくりか…おもんない

    2006-10-08 05:14:00
  • 313:

    ◆r11LF9gUco

    >>311 >>312アンカー機能って復活したんですか?? 
    >>313彼氏は大阪弁が大好きで大阪弁を好んで使うのですが、やはり広島弁が抜けず、所々大阪まじりの広島弁・・・とゆう微妙な方言を日々使っている為、りょうというキャラも→広島から来て大阪弁に親しもうとするも、結局は彼氏のように変な混合方言を使うようになってしまった。みたいな感じに無理矢理しましたWW わかりずらくて申し訳ないですm(__)m
    >>314 パクり・・・。似たようなやつがあるんですか?そら知らなんだ・・・orz しかしながら、これは完全あたしの乏しい脳からその場その場で無理矢理考えだされている、完全妄想自己満かきものなので、もしこれが完結して尚、あなたがそうだと思われる作品とドン被りならばお手数ですがURLを貼りつけてくださいm(__)m

    2006-10-08 05:41:00
  • 314:

    名無しさん

    ――――――――――――

    2006-10-08 05:42:00
  • 315:

    ◆r11LF9gUco

    ○○とは、ちょっと穴場っぽいBAR。
    朝までやっているのでよく利用していたのだが、楓が知っていたのは驚きというか、途中から来た者と秘密基地を共用するような、ちょっとくやしい感じがした。
    階段を降りると、すぐに彼をみつけた。
    地味にカウンターの端に座っているが、やたら妙なオーラを放っているので、なんとなく目立つ。

    2006-10-08 05:49:00
  • 316:

    ◆r11LF9gUco

    『ども。』
    隣に座る。
    『わ!!急に現れんなし!!ほないこか〜☆』
    楓が席を立つ。
    ・・・あれ??

    2006-10-08 05:51:00
  • 317:

    ◆r11LF9gUco

    『え、あたしまだ飲んでな・・・』
    『とりあえず家!!家いこて!!な!!ほらタク捕まえにいくでっ!!』
    楓はあたしに最後の言葉を飲み込ませ、そのままずんずん引きずり、そしてタクシーに放り込んだ。
    (・・・ヤりたい盛りやわいねぇ・・・)
    自宅に来るのをOKした身だとはいえ、ここまでの素早い行動力を目の当たりにすると、少し腰がひけた。

    2006-10-08 05:58:00
  • 318:

    名無しさん

    >>311>>312です?
    50ずつ見ょぅと思って見れなかったカラアンカー復活してるカナーと思ってしてみたんゃケド、できなかった??小説の邪魔になっちゃったね?御免ねェー?完結まで応援しマス?頑張ってね??

    2006-10-08 11:35:00
  • 319:

    ◆r11LF9gUco

    >>320 いえいえ?やっぱり復活してなかったですか?その上50ずつ見れなくなってるなんて・・・読者様にしたらちょっと読みずらくなりますね?
    早く一気読みできるように、なるべく早めに完結させるよう努力します?

    2006-10-08 13:51:00
  • 320:

    名無しさん

    あげ??

    2006-10-09 08:05:00
  • 321:

    ◆r11LF9gUco

    >>322 あげてくれてありがとう( ^ω^)

    2006-10-09 13:21:00
  • 322:

    ◆r11LF9gUco

    どういうわけかタクシーの中で彼は無言になり、後ろへ流れていく景色をただ見送るばかりだった。

    (・・・??)

    やがて、マンションの前に車が停車する。

    2006-10-09 13:25:00
  • 323:

    ◆r11LF9gUco

    ロックを解除し、乗り込んだエレベーターでも無言。
    部屋の鍵をあけると、あたしよりも先にあがりこんだ。

    『お〜!!なんかいいニオイ!!しかも部屋きれい!!』

    2006-10-09 13:27:00
  • 324:

    名無しさん

    おもろい?

    2006-10-09 17:39:00
  • 325:

    名無しさん

    もいちどアゲ???

    2006-10-10 11:46:00
  • 326:

    名無しさん

    がんばって続けてくらさぁい?

    2006-10-11 10:51:00
  • 327:

    ◆r11LF9gUco

    >>326おもろいとかありがとうございます( ;ω;)
    >>327あげてくれてありがとうございます( ;ω;)
    >>328完結まで頑張ります( ;ω;)

    2006-10-12 11:52:00
  • 328:

    ◆r11LF9gUco

    さっきまでのローなテンションとは一転し、楓は無邪気にはしゃいでいる。
    『あ〜っ!歯ブラシ二個ある!!や〜らしィ〜・・・あ!!おそろのマグカップ!!しかも男もんの雑誌・・・・・・とパンツ!!!!ぎゃあぁ〜!!』
    一人で部屋中つっこみながら歩く楓。
    あたしは、上着を椅子にかけ、コーヒーを二人分入れる。
    ポチとのマグカップは使わず、他のを棚から二つ、取り出した。

    2006-10-12 12:26:00
  • 329:

    ◆r11LF9gUco

    『・・・なぁ。』
    気付くと、楓が後ろに立っていた。
    『!!・・・びっくりした・・・』
    『俺ポチのやつで飲みたい。だめ?』
    そう言って、エルモがプリントされた、ポチの赤いカップを指差す。

    2006-10-12 12:30:00
  • 330:

    ◆r11LF9gUco

    『・・・だめ。これポチのじゃけだめ。』
    真っ黒なブラックコーヒーが、暖かい湯気をあげる。
    楓はブラックがスキ。店で話した。ポチはコーヒー牛乳じゃないとダメ。それに砂糖もたっぷり。
    苦みを含む液体の水面には、無表情なあたしの顔が揺らいでいた。
    が、数秒後、それは床に落下することになる。

    2006-10-12 12:45:00
  • 331:

    名無しさん

    ―――――ガシャン!!

    2006-10-12 13:23:00
  • 332:

    ◆r11LF9gUco

    楓が、強引にあたしをぐいっと引き寄せたので、手があたり、カップはながしへ落ちて割れた。

    しばらくの沈黙の末、彼が口を開く。

    『なぁ・・・ポチの昔の写真、見たことある?』

    2006-10-12 13:27:00
  • 333:

    名無しさん

    リアルタイム???めちぁ気になる??

    2006-10-12 13:35:00
  • 334:

    ◆r11LF9gUco

    ポチの昔の写真・・・?

    そう言えば、あたしは今のポチも知らなければ、過去のポチも、何も知らない。

    『ない。なんで??』

    2006-10-12 13:39:00
  • 335:

    ◆r11LF9gUco

    楓は上着のポケットから、名刺入れを差し出した。

    『いちばんうしろ。』

    それだけ言うと、割れたカップを楓は片し始める。

    2006-10-12 13:44:00
  • 336:

    名無しさん

    気になる〜?

    2006-10-12 20:51:00
  • 337:

    名無しさん

    あげま〜す

    2006-10-13 23:09:00
  • 338:

    名無しさん

    気になる?

    2006-10-14 02:19:00
  • 339:

    名無しさん

    あれ?まだ??

    2006-10-14 23:40:00
  • 340:

    ◆r11LF9gUco

    >>339どうもありがとございます?>>340あげありがとございます?>>341ほんま嬉しいす?>>342すんません!!ちょっとゴタゴタがあり・・・('A`;)

    2006-10-15 16:14:00
  • 341:

    ◆r11LF9gUco

    (いちばんうしろ・・・)
    あたしは、名刺の一番後ろに、四つ折りにされた違う材質の紙を見つけた。
    『・・・』
    それを取り出し、広げていく。

    2006-10-15 16:18:00
  • 342:

    ◆r11LF9gUco

    それは、五歳くらいのやんちゃそうな男の子が二人、肩を組んでピースしている姿か写った写真だった。

    『これ・・・』

    2006-10-15 16:25:00
  • 343:

    ◆r11LF9gUco

    『可愛いやろ?』
    楓が笑う。
    『・・・誰。』
    なぜか、問いの答えを聞くまでのほんの僅かな時間、あたしはひどく緊張していた。
    写真の二人から、目が離せないでいる。

    2006-10-15 16:30:00
  • 344:

    ◆r11LF9gUco

    心なしか、このくしゃくしゃの笑顔に、懐かしさを感じた。

    心臓が、ドクンと波打つ。

    これは・・・

    2006-10-15 16:33:00
  • 345:

    ◆r11LF9gUco



    『ポチと、俺。』

    2006-10-15 16:34:00
  • 346:

    名無しさん

    おわり??

    2006-10-21 01:15:00
  • 347:

    名無しさん

    気になるぅ

    2006-10-21 09:58:00
  • 348:

    ◆r11LF9gUco

    遅くなってすんません?終わりじゃないです?

    2006-10-22 01:24:00
  • 349:

    ◆r11LF9gUco

    ――――――――――――

    2006-10-22 01:26:00
  • 350:

    ◆r11LF9gUco

    『ほい。』
    『なに?』
    『200まんえん!!』
    『や、だからなんで。』

    2006-10-22 01:28:00
  • 351:

    ◆r11LF9gUco

    『金あって困ることないやろ♪』
    『・・・おっさんボケたん。』
    『あほ!!わしまだイケイケや!!』

    2006-10-22 01:31:00
  • 352:

    ◆r11LF9gUco

    こんな会話を、前ちゃんとすることが最近増えた。
    お金だって以前より倍使う。
    突然札束を置いていく。
    どうしてかは、聞かない。

    2006-10-22 01:36:00
  • 353:

    ◆r11LF9gUco

    『お前、これやるわ。』
    と、彼が荒っぽくテーブルに落としたものは鍵。
    『??』
    ぼーっとソレを眺めていると、
    『家おりたないんやったら、俺ん家かしたるから好きに使えや。』

    2006-10-22 01:42:00
  • 354:

    ◆r11LF9gUco

    『え・・・』
    『へたな遠慮すんなて笑 無駄にぎょーさん家あるから、そのうちの一個お前に貸したる〜ゆうてるだけの話や。いらんなら鍵ほかし。』
    そう言うと、前ちゃんはトイレに立った。

    2006-10-22 01:48:00
  • 355:

    ◆r11LF9gUco

    その後ろ姿を見送りながら、あたしはため息をつく。
    (やっぱり前ちゃんには嘘つけんねぇ・・・)
    冷たい鍵を握り、ポーチへしまった。

    2006-10-22 01:53:00
  • 356:

    ◆r11LF9gUco

    確かに、楓の件以来、あたしはあまり自宅に寄り付かなくなっていた。
    日々マリや他の友人の家に泊まり歩いたりと、一人になる時間を極力減らす様努力したのは、考える事を阻止するのに一番効果的であるから。
    あの家に暮らす事ほど、今のあたしを苦しめるものはないのだ。

    2006-10-22 02:09:00
  • 357:

    ◆r11LF9gUco

    苦しい。
    二人で暮らした場所に一人でいるのが。
    淋しい。
    思い出すから。ポチの事ばかりを。

    2006-10-22 02:17:00
  • 358:

    ◆r11LF9gUco

    楓がポチの・・・

    いや。もしそうであっても、何も変わりはしない。
    ただ、淋しさが増しただけだ。

    2006-10-22 02:20:00
  • 359:

    ◆r11LF9gUco

    ――・・・ポチはきっともう、戻らないだろう。



    あたしはようやく、家を引き払おうと心に決めた。

    2006-10-22 02:23:00
  • 360:

    ◆r11LF9gUco

    『はぁ〜飲みすぎてしょんべん止まらんかった〜!!がははは!!』
    にぎやかに前ちゃんが戻ってくる。
    あたしは、笑顔でお絞りを渡した。

    2006-10-22 02:26:00
  • 361:

    ◆r11LF9gUco

    ――――――――――――

    2006-10-22 02:28:00
  • 362:

    ゆリ

    リアルタイムだぁ??めっちゃおもしろぃです?頑張って完結してくださぃね???

    2006-10-22 02:31:00
  • 363:

    名無しさん

    あげ???

    2006-10-22 15:48:00
  • 364:

    ◆r11LF9gUco

    ゆりさん●ありがとございます( ;ω;)よかったら完結までお付き合い下さいね?
    >>366 あげありがとうございます?

    2006-10-22 23:21:00
  • 365:

    ◆r11LF9gUco

    指示された部屋を開けると、一人で住むのが恐すぎる程の間取りだった。
    (リビングだけで何十畳あるんね・・・こわっ!!ひろっ!!)
    一つ一つ、部屋を物色する。
    前ちゃんはたぶんこの豪華な家を物置程度にしか使っていなかったんだろう。
    誰も買わないような怪しげで胡散臭い通販商品ばかりが、どでかい部屋二つをも埋めていた。

    2006-10-22 23:40:00
  • 366:

    ◆r11LF9gUco

    あとは、すっからかん。
    生活感の欠けらもなく、部屋のところどころには埃が積もっている。
    部屋に到着したのはまだ午前中だったので、とりあえず掃除を開始。明日には荷物が運び込まれてくる。
    あたしは、荷物をそのへんにほっぽりだすと、近くのホームセンターへむかった。

    2006-10-22 23:45:00
  • 367:

    ◆r11LF9gUco

    ―――――――
    ――――

    『・・・おわったぁ・・・』

    2006-10-22 23:49:00
  • 368:

    ◆r11LF9gUco

    窓の外がまっくらになる頃、部屋はぴかぴかになり、あたしはひどい有様になり、やっとお腹が減っていることにも気が付いた。
    『おぉ・・・腹減りすぎてうごけん!!前ちゃんヘルプ・・・』
    ピコピコと携帯をいじり、コール。

    2006-10-22 23:56:00
  • 369:

    ◆r11LF9gUco

    『なんやぁ』
    『部屋汚い動けん腹減った酒飲みたいタバコない・・・』
    『わがまま言うだけ言うたなお前WW ちょうど近くで飲んどるから今からいったるわ!!何食いたいねん?』
    『・・・にく。』
    『了解!!んなな。』

    2006-10-23 00:02:00
  • 370:

    ◆r11LF9gUco

    冷たいフローリングに寝そべり、不思議ととても静かな四角い部屋の中、一人孤独を感じた。
    家を移ったら移ったで、思い出をすべて手放したような気がして、ポチを放棄したような気がして胸がしくしくする。
    しかし、あの空間にいつまで居たところで、新たに得られるものは何も無かったはずだ。
    やがて静寂があたしを包み、徐々に意識が押し潰されていく様に感じた。

    2006-10-23 00:10:00
  • 371:

    ◆r11LF9gUco

    『――う・・・りょ・・・う・・・りょう!!起きい!!さめんぞゴルァ!!』

    『・・・ぬ。』

    気が付くと、前ちゃんがあたしの顔をぺちぺちとシャモジで叩いていた。

    2006-10-23 00:16:00
  • 372:

    ◆r11LF9gUco

    『・・・は』
    『寝起きおじいちゃんやんけ・・・。てかひつまぶし食うで!!ひつまぶし!!』
    『・・・にく・・・??』
    『ちゃうちゃう!!ひつまぶしや!!ほれしゃもじ♪ちっこいやろ〜このしゃもじ♪がはは!!』

    2006-10-23 00:18:00
  • 373:

    ◆r11LF9gUco

    なにやら前ちゃんは楽しそうだ。
    あたしはよたよたしながら半分起き上がる。も、すぐにふにゃっと寝そべる。つかれた・・・。
    『しゃあないやっちゃな〜・・・よいしょっ』
    前ちゃんはあたしを人形みたいに抱っこした。
    丁度、前ちゃんが膝を曲げて座った足と足の間に、あたしがちょこんと座る格好になる。

    2006-10-23 00:24:00
  • 374:

    ◆r11LF9gUco

    『はいりょうたん、あ〜んしてくだちゃいよ〜と』
    ふざけた口調で飯を小さなシャモジに乗せ、あたしの口元へ運ぶ。
    暖かい湯気が、おいしそうな香りを含んで嗅覚をくすぐる。
    連動するように、腹が鳴る。

    2006-10-23 00:27:00
  • 375:

    ◆r11LF9gUco

    『・・・ムシャ。ムシャムシャ。』
    『お!!食うとる食うとる♪はいあ〜ん♪』
    なんだか赤ちゃんみたいで情けない。
    だが、何故かこれはこれで心地良い。
    前ちゃんマジック。

    2006-10-23 00:32:00
  • 376:

    ◆r11LF9gUco

    『ムシャムシャムシャ・・・みず。』
    『あ、はいはい・・・ビールしかないけど・・・はいどうぞ♪』
    『ゴキュゴキュ・・・ぶへ。』
    前ちゃんは、愛しむような、また、楽しんでいるような表情で、だらしないことこの上ないあたしを見下ろしていた。

    2006-10-23 00:37:00
  • 377:

    ◆r11LF9gUco

    『前ちゃん』
    『今度はなんでちゅか〜』
    『・・・今日ここ居て。さみしい。』
    『・・・・・・おん。』

    2006-10-23 00:40:00
  • 378:

    ◆r11LF9gUco

    素直な気持ちだった。
    今日は、一人でいたくない。
    淋しくて、どうにかなってしまう。
    前ちゃんは、理由なんていちいち聞かない。
    何も言わず、そっとあたしのおでこにキスをした。

    2006-10-23 00:43:00
  • 379:

    ◆r11LF9gUco

    布団なんて持ってきてなかったけれど、前ちゃんの不思議部屋にまだ一度も使用していないという簡易ベットがあったので、二人でくっついて寝た。
    この日、あたしは何度も悪夢に目を覚ます。
    その度彼は反応し、頭を撫でながらあやしてくれた。
    いつもは背中を向けていて、泣いても起きないくせに・・・
    なのに、今日の前ちゃんは別人の様。

    2006-10-23 00:58:00
  • 380:

    ◆r11LF9gUco

    問答無用のSEXだってしない。
    ただ、優しく抱き締める。
    暖かさに、安心する。

    前ちゃんはやっぱり、とても不思議なヒトだ。

    2006-10-23 01:02:00
  • 381:

    ◆r11LF9gUco

    ――翌日、あたしが起きた頃には前ちゃんの姿は無く、代わりに汚い字で【ちゃんと飯食えよ!!あかちゃん!!】と書かれたメモが、隣に置かれていた。
    『・・・はぁい。』
    さぁ、用意をしよう。
    引っ越し屋が来てしまう。
    あたしは伸びをして、のたのたと行動を開始した。

    2006-10-23 01:09:00
  • 382:

    ◆r11LF9gUco

    ――――――――――――

    2006-10-23 01:11:00
  • 383:

    ◆r11LF9gUco

    今日はここまでです?次あたりからポチ再登場しはります???
    レスアンも使えず、誤字脱字の連続で毎回恥ずかし死にしてしまいそうですが、読者様のレスで毎回やる気復活させて頂いているので、最後まで無理くり頑張ります( ^ω^)
    いつもほんとにありがとうございます( ;ω;)
    おやすみなさい( ´ω`)

    2006-10-23 01:38:00
  • 384:

    名無しさん

    なんか、かさなるなぁ?自分と…

    2006-10-23 01:44:00
  • 385:

    名無しさん

    あげ

    2006-10-23 11:31:00
  • 386:

    名無しさん

    前ちゃんのキャラ好きやわぁ?
    主さん頑張ってね!
    初カキコでしたぁ

    2006-10-23 22:59:00
  • 387:

    ◆r11LF9gUco

    >>388 まじすか(´Д`)!!なんだか不思議な感じです・・・??
    >>389 ありがとございます?
    >>390 実はあたしも書いてて前ちゃんが一番好きやったり・・・WW はいっ?がんばりますっ(゚∀゚*)

    今日はあまり時間が無いので少しですが・・・更新?

    2006-10-23 23:11:00
  • 388:

    ◆r11LF9gUco

    ――『え、今日?・・・あ了〜解。はいはい。・・・え?うんわかったて。・・・うん!!・・・・・・・・・はいはいWW』



    ピッ。

    2006-10-23 23:16:00
  • 389:

    ◆r11LF9gUco

    はぁ・・・

    寒さが、身を裂く。
    白い息を吐きながら、閉じた携帯を握ったまま、コートのポケットに手を突っ込んだ。
    心なしか、歩く速度が速くなる。

    2006-10-23 23:21:00
  • 390:

    ◆r11LF9gUco

    相変わらずあたしはこの道を通るし、特別な用事がない時以外はは待ってしまって。
    いつものコンビニではいつものお姉さんがレジをしていて。
    尚、外へ出るとポチの姿を探してしまう自分がいる。

    2006-10-23 23:29:00
  • 391:

    ◆r11LF9gUco

    それでも、日々は気付かぬうちに終わっていく。
    ポチだけを、すっかりあたしから除いたまま・・・。

    2006-10-23 23:31:00
  • 392:

    ◆r11LF9gUco

    店に着くと、ボーイがにっこり。たかし君という、なかなかの色ボーイ。
    『今日もイケイケっす??』
    『楓と小川さんと乾のおっさん。』
    『あらぁ!!乾のおっさんとか激アツ?』
    『彼は楽じゃけ-すきWW んな用意してきま〜』

    2006-10-23 23:37:00
  • 393:

    ◆r11LF9gUco

    最近入店したたかし君だが、かなり仕事ができるので、あたしは信頼を寄せている。
    客の管理はもちろん、時に嬢のハートさえ操る。・・・・・・らしい。
    『はよ〜ございまぁす。』
    今日はヒメカがいないので、女の子達と平和な談笑。
    マリが最近休みがちなのが少し気にかかる。あとでもう一度電話してみよう。

    2006-10-23 23:41:00
  • 394:

    ◆r11LF9gUco

    開店と同時に、楓登場。
    『らっしゃい。』
    『八百屋かWW 』
    あたしと楓は、いつからかこんな仲。
    あれから、何故かやたらに打ち解け合い、気付けば兄妹のような二人になっていた。

    2006-10-23 23:46:00
  • 395:

    ◆r11LF9gUco

    ポチの事は、会話にしない。
    暗黙の了解。
    こうしてたまに楓が店に来たり、あたしが行ったりして、ゆる〜く飲む事が、最近好きになってきた。
    楓もたぶん、そうなのだろう。

    2006-10-23 23:50:00
  • 396:

    ◆r11LF9gUco

    この日も適当に飲みたい酒を飲み、楓は帰った。
    それからはいつもと同じ、嘘と金。
    あたしはひどく疲れていた。

    2006-10-23 23:54:00
  • 397:

    ◆r11LF9gUco

    疲れているのに、なんとなく歩きたい衝動に駆られた。
    店と家とはほど近く、徒歩10〜15分の距離だ。いつでも帰れる。
    あたしは寒空の下、マフラーをしっかり巻いて、あてもなく歩きだした。

    2006-10-23 23:57:00
  • 398:

    ◆r11LF9gUco

    ふと、空なんぞ見上げてみるも、ドラマチックな満面の星達なんて、そこにあるはずもなかった。
    ネオンはいつまでも歪に光り、騒音も止むことはない。
    あたしの頭はからっぽで、足だけがヒールの音を響かせながら動いていた。

    2006-10-24 00:00:00
  • 399:

    ◆r11LF9gUco

    見慣れた道。
    あたしが無意識にむかった先は、前のあたしの巣。
    習慣とはなかなか抜けないものである。
    気が付けば、あたしはロビーの前にうずくまる、黒いものを見つけていた。

    2006-10-24 00:03:00
  • 400:

    ◆r11LF9gUco

    (浮浪者・・?こわっ。もうかえろ・・・。)
    気配を消すように、くるりと方向転換する。
    なるべく相手を刺激しないようにしなければ・・・
    なにしろこっちは女一人なのだから。
    その時だった。

    2006-10-24 00:07:00
  • 401:

    ◆r11LF9gUco



    『どこいくん。』

    2006-10-24 00:08:00
  • 402:

    ◆r11LF9gUco

    聞き覚えのある声。

    やわらかな声。

    愛しい声。

    2006-10-24 00:10:00
  • 403:

    ◆r11LF9gUco

    急る気持ちとは裏腹に、ゆっくり、ゆっくりと振り返った。



    『・・・嘘つき。帰っておいでってゆったくせに・・・。』

    2006-10-24 00:12:00
  • 404:

    ◆r11LF9gUco



    そこには、涙をぽろぽろ零しながらこちらを睨む、ポチの姿があった。

    2006-10-24 00:15:00
  • 405:

    名無しさん

    リアルや!これめっちゃすき

    2006-10-24 00:20:00
  • 406:

    ◆r11LF9gUco

    呆然とした。
    地から足が生えたように、ぴくりとも動かない。
    なんでポチが?
    ・・・頭が真っ白で、何も考えられない。
    ただ、彼から目が逸らせない。

    2006-10-24 00:25:00
  • 407:

    ◆r11LF9gUco

    一歩、また一歩と、ポチがこちらへ近づく。
    瞬きさえしたくない。
    どんなに苦しくても、目を離したくない。
    そうすればきっと、あっというまにこの現実を見失ってしまいそうな気がして。
    ポチが、永遠に見えなくなってしまいそうな気がして。

    2006-10-24 00:29:00
  • 408:

    ◆r11LF9gUco

    もうポチが、手の届く範囲にいる。
    暖かい涙が、幾筋も頬を濡らす。
    もう、どうしてなどと考える暇もないほど、愛しかった。

    2006-10-24 00:33:00
  • 409:

    ◆r11LF9gUco

    『・・・なっ・・ヒック・・・なんでおまえが泣くねんっ・・・うぅ〜』

    ポチは、顔中ぐしゃぐしゃにして泣いている。
    あたしもおそらくは同じ顔。
    『だっ・・て・・・・うぅ〜』

    2006-10-24 00:36:00
  • 410:

    ◆r11LF9gUco

    もう、涙でポチの顔がよく見えない。
    不安で、ポチの腕をきゅっとつかんだ。
    ポチは、小さい子供がするような、可愛いキスをあたしにした。

    2006-10-24 00:41:00
  • 411:

    ◆r11LF9gUco

    目が、私近距離で合う。
    照れたように、二人は笑う。
    ポチはあたしのほっぺたにもう一度キスをし、『帰ろう』と言った。
    あたしは、何も言わずにうなずいた。

    2006-10-24 00:45:00
  • 412:

    ◆r11LF9gUco

    あんなに寒いと凍えていたのに、ポチが隣にいるだけで、こんなにも暖かい。
    いつもポケットに入れていた右手を、ポチがしっかりと握る。
    あたしは、幸せだった。
    幸せに囚われて、カバンの中で怪しく振動する携帯に、気付くはずもなかった。

    2006-10-24 00:50:00
  • 413:

    ◆r11LF9gUco



    ほんのささやかな幸せでいいのに。
    なのにどうして・・・
    幸せには、果てない終わりが付きまとうのだろうか。

    2006-10-24 00:54:00
  • 414:

    ◆r11LF9gUco

    ――――――――――――

    2006-10-24 00:55:00
  • 415:

    ◆r11LF9gUco

    >>409 ありがとございます( ;ω;)そんなんも〜・・・ほんっとうれしいっす( ;ω;)!!

    なんとかポチ登場までいけましたので、今日はここまでにさせてもらいます?
    おやすみなさい?

    2006-10-24 00:58:00
  • 416:

    名無しさん

    このお話めちゃめちゃ好きやぁ(´;ω;)主サンも好きィィ(*;ω;)

    ポチ…ポチィィィ(つДT*)

    2006-10-24 01:26:00
  • 417:

    チコ

    ポチ…逢えてよかった(ノ_・。)

    2006-10-24 02:25:00
  • 418:

    名無しさん

    感動(;д;。)

    2006-10-24 11:09:00
  • 419:

    リィ

    さッき一気に読ませてもらぃました!! この話しハマってしまぃました!!更新楽しみにしてます!!

    2006-10-24 11:53:00
  • 420:

    名無しさん

    ぽち好きやわぁ?

    2006-10-24 13:21:00
  • 421:

    ◆r11LF9gUco

    >>420 ああありがとございます( ;ω;)!!うれしびっくりで鼻水でそうです( ;ω;)
    チコさん やっとポチがでてきました??なんやかんやで次過去のあいつがでてきます??
    >>422 本間そんなんゆーてもらえてしあわせ・・・( ;ω;)アゥ
    リィさん ありがとごぜます( ;ω;)なるべく待たせないように更新きばります?
    >>424 よかったなぁポチ?おかんの心境とはこのことですね??
    本間にただの暇つぶしに書き始めた話を、こんなにたくさんのヒトがみてくれていて主はかなり幸せです???????も〜ほんとありがとございます?ワタシにもう少し文章能力があったならよかったんですが?なんにせよ、ほんま皆さんいつもありがとうございます??

    2006-10-24 20:13:00
  • 422:

    ◆r11LF9gUco

    『なぁ〜』
    『ん??』
    『うそつき!!』
    『まだいいよるWW』

    2006-10-24 22:03:00
  • 423:

    ◆r11LF9gUco

    『だって・・・家開けたらすっっからかんやったあの気持ちわかる?!なぁ!!なぁて!!おい!!』
    『・・・WW よしよし♪ごめんね??』

    2006-10-24 22:06:00
  • 424:

    ◆r11LF9gUco

    さっきからずっとポチはこの調子。
    同じ話を何度も繰り返しては、あたしに同じ回答を何度も返されている。
    それでもポチはぎゅっと手を握ったままぷりぷり怒るので、なんだか可愛らしかった。
    だけど、ポチは今までの空白の時間に何をしていたか、という事には一切触れなかった。
    ただ、何日か前から、暇があればずっとあそこに居て待っていたらしい。あたしの帰りを。

    2006-10-24 22:11:00
  • 425:

    ◆r11LF9gUco

    どうして?と聞くと
    帰っておいでって言ったやんけ!!と怒鳴りちらす始末。
    そう、確かに言った。
    言ったけれど・・・しばらくみないうちに彼は少々ぐれてしまったようだ。
    あたしは真隣に座っていたソファーから、ポチの正面に移動し、正座した。

    2006-10-24 22:15:00
  • 426:

    ◆r11LF9gUco

    『・・・なんやねん。』

    怪訝そうに警戒するポチ。あたしは、にっこりと笑った。

    2006-10-24 22:18:00
  • 427:

    ◆r11LF9gUco



    『ずーっと待ってたよ。長いお散歩じゃったねぇ?・・・・・・おかえり。』

    2006-10-24 22:19:00
  • 428:

    ◆r11LF9gUco

    そう言って両手を広げると、みるみるうちに瞳を涙でいっぱいにしたポチが、あたしの胸にとびこんだ。
    勢い余って、あたしは彼に押し倒される形になる。

    『ポチ!!くるし・・・』
    『ぶぇえぇ〜〜〜〜ん泣』

    2006-10-24 22:24:00
  • 429:

    ◆r11LF9gUco

    まるで小さい子みたいに泣くポチの背中を撫でてやると、益々声をあげるので、困った。
    困ったけど、胸がぎゅうぎゅう締め付けられるような愛しさを感じた。


    あぁ、あたしこんなにもポチが大好き。

    2006-10-24 22:29:00
  • 430:

    ◆r11LF9gUco

    そのとき、あたしの携帯が鳴った。
    『ちょっ、ポチ電話!!』
    『あ〜が〜んん〜!!!!』
    だだをこねるポチ。
    尚も鳴り続ける電話。

    2006-10-24 22:33:00
  • 431:

    ◆r11LF9gUco

    ・・・気になる。今日は乾のおっさんにありがとーのメールをしていない。嫌な予感・・・
    『・・・ぺい!!』
    『ぎゃ!!』
    あまりに気になったあたしは彼のスキだらけな脇腹に拳をくらわし、素早く脱出。あわてて携帯のディスプレイを覗き込んだ。

    2006-10-24 22:38:00
  • 432:

    ◆r11LF9gUco

    『あれ?・・・誰じゃろ』

    表示されていたのは、見知らぬ番号だった。
    登録し忘れたお客という場合もある。
    とりあえず出てみることに。

    2006-10-24 22:41:00
  • 433:

    ◆r11LF9gUco

    『もしもし?』

    『・・・れ・・・・・・だ・・・るか?』

    『え?ちょっと電波が悪いみたいで聞き取りずらいんですが・・・』

    2006-10-24 22:46:00
  • 434:

    ◆r11LF9gUco

    『・・・・・・』

    『もしもし??もしもーし』
    ひどく電波が悪い。まぁいいか。用事なら、また後でかかってくるだろう。
    そう思い、電話を切ろうとしたとき、ハッキリと、聞こえた。

    2006-10-24 22:48:00
  • 435:

    ◆r11LF9gUco



    『おれだ。』

    2006-10-24 22:50:00
  • 436:

    ◆r11LF9gUco

    その瞬間、頭を鈍器で殴られたような衝撃が走った。

    体の細胞が、あっと言う間に死んでいくような・・・
    あるいは指先から凍えていくような・・・
    がたがたと大げさに震える手が、受話器を落とす。

    2006-10-24 22:54:00
  • 437:

    ◆r11LF9gUco

    覚えている
    覚えている
    あたしの体が
    脳が
    すべてが覚えている

    2006-10-24 22:55:00
  • 438:

    ◆r11LF9gUco

    過去が、鮮明にフラッシュバックしてゆく。
    冷たい汗が、背中を流れる。
    ずっと忘れていたあたしの中の【悪】が、ゆっくり、ゆっくりと、その姿を現した。
    目を覆っても、耳を塞いでも、あいつはどこまでもあたしに付きまとって離れない悪魔。

    2006-10-24 23:00:00
  • 439:

    ◆r11LF9gUco




    ・・・そう、
    あたしを苦しめる事にのみ快感を得る、悪魔の様な男。

    2006-10-24 23:02:00
  • 440:

    ◆r11LF9gUco



    『・・・・・・薫・・・・・・』

    2006-10-24 23:07:00
  • 441:

    ◆r11LF9gUco

    『お〜久しぶりじゃの〜♪お前今どこにおるんなぁ??』

    『・・・・・・切る。もうかけてこんでね。』

    2006-10-24 23:09:00
  • 442:

    ◆r11LF9gUco

    ふざけたしゃべり方。
    全然変わっていない。
    なぜあたしの番号を?
    ・・・いや、そんな事よりも早く電話を切りたい。
    この幸せは壊したくない。

    2006-10-24 23:12:00
  • 443:

    ◆r11LF9gUco

    『ははは!!おーおーなんならぁ・・・姿ぁくらました思ぉたら強気な態度かましやがってから・・・・・・男とでも一緒におるんか??』

    『おらん!!もうあたしに関わらんでや!!もう切るけぇ!!さいなら!!』

    2006-10-24 23:17:00
  • 444:

    ◆r11LF9gUco



    『・・・・・・殺してやろうか。また。』

    2006-10-24 23:19:00
  • 445:

    ◆r11LF9gUco

    人間とは思えないほど冷たい声が鼓膜を振動させてすぐに、あたしは、意識を失った。
    薄れる景色の中、唇の端を持ち上げてニヤリと笑う、薫の顔を見た気がした。

    2006-10-24 23:22:00
  • 446:

    ◆r11LF9gUco

    悩んだ末、やっぱり薫ちゃんを登場させてしまいました??
    まだわかりにくいとこあると思いますが、徐々に明らかにしていけるよう頑張ります??これからちょっとエグい場面もあり気ですが、そーゆうのダメなヒトごめんなさいm(__)m?
    では皆さんお休みなさい(´ω`)グゥ?

    2006-10-24 23:29:00
  • 447:

    名無しさん

    薫の存在気になる?
    主さん次も頑張って下さい?
    楽しみにしてます?

    2006-10-24 23:45:00
  • 448:

    名無しさん

    ぽちあげ?

    2006-10-25 17:11:00
  • 449:

    名無しさん

    あげ

    2006-10-26 06:27:00
  • 450:

    ◆r11LF9gUco

    >>451 薫ちゃんは名前が可愛いことぐらいしかいいとこないかもしれませんWW
    >>452 ぽちあげありがとう?
    >>453 あげありがとございます?

    2006-10-26 09:48:00
  • 451:

    ◆r11LF9gUco

    なにか陶器が割れるような、鋭い騒音で目が覚めた。
    『・・・』
    辺りを見回すと、やはり自分の家。
    しかし、ポチがいない。
    急に、不安が込み上げる。

    2006-10-26 09:51:00
  • 452:

    ◆r11LF9gUco

    ふらつく足元に苛立ちながら、ポチを探す。
    もしもポチがいなくなっていたらどうしよう。
    ポチがいなくなっていたら・・・。
    家中捜し回っても、彼はいなかった。

    2006-10-26 09:56:00
  • 453:

    ◆r11LF9gUco

    こんなに広い家に、ひとりぼっち。
    なんとも思わなかったのに、もうポチがいないと淋しくて死にそう。
    昨日会えたのは、手を繋いだのは、キスをしたのは、すべて幻だったのだろうか。
    『ポチぃ・・・』

    2006-10-26 09:59:00
  • 454:

    ◆r11LF9gUco

    ポチには、あたしが居てあげないとダメだって思っていた。
    だけど、
    ポチがいなくてダメになっていくのは、あたしの方だと気が付いた。
    ポチは、あたしを強くも弱くもする。
    彼の心地よい支配にきっと、あたしはとうの昔に捕まってしまっていたのだ。

    2006-10-26 10:02:00
  • 455:

    ◆r11LF9gUco

    冷たいフローリングの床にぺたんと座り込み、あたしの目からは可笑しいくらいの涙が溢れていた。



    〜♪♪♪♪♪♪♪

    2006-10-26 10:05:00
  • 456:

    ◆r11LF9gUco

    携帯が、けたたましく鳴り響く。
    ひどく目障り。
    なのに、ポチからではないことなど分かりきっているのに、あたしは淡い期待から、その非通知電話をとってしまった。
    それが、間違いだった。

    2006-10-26 10:09:00
  • 457:

    名無しさん

    あげあげ???

    2006-10-27 03:23:00
  • 458:

    ◆r11LF9gUco

    >>461 ありがとございます?

    2006-10-27 20:14:00
  • 459:

    ◆r11LF9gUco

    『・・・はい』
    『もしぃ?先月団体で行ったヒロやけ〜どわかる!?茶髪のとなりにおったやつ!!』
    ヒロ・・・ヒロなんてたくさんいる。
    それに、頭の中からすぐに引き出せるほど、今のあたしは冷静ではなかった。

    2006-10-27 20:19:00
  • 460:

    ◆r11LF9gUco

    『あぁ〜どないしはったんですか?』
    知らないとは言えないので、無難に流す。
    『明日きみ指名で行きたいんやけど、同伴いける?!』
    『ん・・・夕方以降からでいいなら大丈夫です。』
    『まぁじ!!バ〜リうれしいってぇえ!!ほなツタヤ前六時集合なっ♪』

    2006-10-28 10:04:00
  • 461:

    ◆r11LF9gUco

    電話を切ったあと、あたしはのそのそと風呂に湯を張りに行った。
    バスタブの脇に座り込み、お湯がゴボゴボと噴出され、その小さな泡が集まり、散って、流れ、消えていく様をただ見ていた。

    やがて、湯張り完了のメロディーが鳴り、あたしは脱衣してゆっくりと暖かい水に全身を沈ませた。

    2006-10-28 10:12:00
  • 462:

    ◆r11LF9gUco

    『はぁ・・・』
    冷えた体が、じんわりと熱を帯びていくのが心地いい。
    泣きすぎたこともあり、あたしはすぐにうつらうつらとし始めた。

    しかし・・・

    2006-10-28 10:14:00
  • 463:

    ◆r11LF9gUco


    ――ガチャガチャガチャ!!

    2006-10-28 10:15:00
  • 464:

    ◆r11LF9gUco

    ビクっと体が強ばった。
    誰かが、ドアを開けようとしているらしい。
    静かにして、とりあえず様子をうかがう。

    ・・・―――ドンドンドンドン!!!!

    2006-10-28 10:24:00
  • 465:

    ◆r11LF9gUco

    激しく扉を叩く音。
    あたしはぎゅっと目をつむった。
    脳裏には薫の冷めた表情。
    思いだしたくもないのに、鮮明なる記憶が、あたしを揺さ振っている。
    ・・・こわい・・・

    2006-10-28 10:26:00
  • 466:

    ◆r11LF9gUco



    『なぁ〜!!あ〜け〜てぇ〜!!寒いぃ〜!!しぬっ・・・・・・・・えっくし!!』

    2006-10-28 10:29:00
  • 467:

    ◆r11LF9gUco


    ・・・・・・・・・ポチ?

    2006-10-28 10:32:00
  • 468:

    ◆r11LF9gUco

    それは確かにポチの声だった。
    あたしは急いでバスローブを着、のぞき穴に目をつけた。
    そこには、寒そうに両手をこすり合わせているポチがいた。
    すぐに鍵をあけた。

    2006-10-28 10:34:00
  • 469:

    ◆r11LF9gUco

    『もぉ〜!!なんで閉めるん↓てか・・・・・・そんなクソやらしぃ格好で出てきたあかぁーん!!あほ!!』
    ポチは、頬を膨らませ、ぷりぷり怒っている。
    あたしはポチに抱きついた。
    『もぉどっか行ったんじゃと思ぉとった・・・あほ。』

    2006-10-28 10:37:00
  • 470:

    ◆r11LF9gUco

    わんわん泣いた。
    ポチはあたしをギュッとして、
    『・・・もぉ頼まれたってどこもいったらん。』
    と、言った。

    2006-10-28 10:40:00
  • 471:

    ◆r11LF9gUco

    あたしはにっこり笑い、ポチもにっこり笑う。

    『あ!!そやそや♪これみて〜♪♪』
    彼は足元に置かれた紙袋の中身を、上機嫌で床に並べていく。

    2006-10-28 10:45:00
  • 472:

    ◆r11LF9gUco

    小さいサボテン、大きいぷーさんのぬいぐるみ、見た事もないラベルが貼られた焼酎の一升ビン。
    それに、変な熊のマグカップが二つ・・・。
    『あんた・・・一体どこいっとったんね;』
    『えへ♪てか謝らなあかんことが・・・』
    『??』

    2006-10-28 19:48:00
  • 473:

    ◆r11LF9gUco

    ポチはキッチンへとあたしの手をひいていく。
    『・・・ごめんなさぃ。』
    彼の指す人差し指の先には、割れたお揃いのカップの残骸があった。
    『あぁ・・・』
    朝の音はこれか。

    2006-10-28 19:56:00
  • 474:

    ◆r11LF9gUco

    『だから同じのん探しにいっててん・・・まぁいらんもやたら買ってもたけど。』
    しょんぼりしたポチを見るのも久しぶりだ。
    あたしは、ポチの優しさにほっとした。
    『もういいよWW てか体ぶち冷えとるじゃんか。お風呂わいとるけぇ入っておいで?あたしここ片付けとくけぇ♪』
    『あかんて!!指切るでって!!俺やるて!!・・・いだっ!!!!』

    2006-10-28 20:04:00
  • 475:

    ◆r11LF9gUco

    『ゆうた傍から怪我しよるしWW』
    『うっさい!!』


    こんなくだらないやり取りをしながら、その夜は更けていった。

    2006-10-28 20:08:00
  • 476:

    ◆r11LF9gUco

    ―――――明日も明後日も、ずっとずっとポチがここにいますように――――
    眠るポチの頭を撫でながら、あたしはそんな事を思った。

    2006-10-28 20:24:00
  • 477:

    名無しさん

    ポチかわい-????

    2006-10-29 00:30:00
  • 478:

    ◆r11LF9gUco

    >>481 ポチ可愛いゆうてくらはってありがとございます??奴もむくわれます?

    2006-10-29 00:51:00
  • 479:

    ◆r11LF9gUco


    ――――――――――――

    2006-10-29 00:53:00
  • 480:

    ◆r11LF9gUco

    『えっ今日仕事なん!?』
    支度を始めるあたしを見て、ソファ-でごろついていたポチが飛び起きた。
    『ん。同伴やからちょい早めにでなダメなんよ。』
    『ぶひ。今日ごはん一緒につくりたかったのに・・・・・・』
    不貞腐れながら、ポチは再度寝転んだ。

    2006-10-29 00:58:00
  • 481:

    ◆r11LF9gUco

    『ん〜・・・じゃあ今日はお腹痛くなる事にするWW じゃけ早く帰ってくるけぇごはん作っといてくれる?』
    そう言うと、ポチの顔はみるみる明るくなり、
    『わかったぁ!!オムライスなっ♪』
    と、にこにこ笑った。
    あたしの大好きな表情。

    2006-10-29 01:02:00
  • 482:

    ◆r11LF9gUco

    ――――・・・
    『じゃあ行ってきます♪10時には帰る☆』
    『はぁい☆てか同伴前ちゃん?』
    『や、忘れたみたいで顔も覚えとらんけど、若いかんじの。』
    『は?なんか危なくない?』

    2006-10-29 01:07:00
  • 483:

    ◆r11LF9gUco

    『・・・心配しすぎWW』
    『うん・・・。でもなんかあったらすぐ電話しろよ?ってかそ〜いや番号しらんかった!!奇跡的にWW』
    『・・・WW じゃあ赤外線〜・・・・・・・・・はい、完了。ならいってきまぁ〜』
    『おん!!ほんまに気ぃつけろよー!!いってらぁ!!!!』

    2006-10-29 01:10:00
  • 484:

    ◆r11LF9gUco

    ポチの元気なお見送りもあって、あたしの足取りは軽かった。
    やがて待ち合わせ場所に到着し、時計を確認すると10分前。
    なにしろ顔を覚えていないので、キョロキョロしても仕方がない。
    向こうが見つけてくれるのを待つしかない。

    2006-10-29 01:12:00
  • 485:

    ◆r11LF9gUco

    あたしは携帯を開き、お客への返信メールを暇つぶしに作成していた。
    それから少しして、
    『りょうちゃんお待たせ!!』
    と声がした。
    あたしは画面に気をとられていたので、びっくりして声の主を探す。

    2006-10-29 01:15:00
  • 486:

    ◆r11LF9gUco


    視界に映ったものを見たとき、あたしは崩れ落ちそうになった。

    2006-10-29 01:17:00
  • 487:

    ◆r11LF9gUco


    『久しぶりぃ〜♪今日も可愛いねぇ〜!!』

    2006-10-29 01:18:00
  • 488:

    ◆r11LF9gUco

    声がでない。
    息ができない。
    足が動かない。

    『な・・・んで・・・』

    2006-10-29 01:19:00
  • 489:

    ◆r11LF9gUco

    瞬間、大きな手があたしの胸ぐらを掴み、自身の方へ強引に引き寄せた。
    がたがたと震える体。
    耳元で、彼は冷たく言い放った。

    『俺から逃げれるとおもぉたんか?・・・ん?』

    2006-10-29 01:23:00
  • 490:

    ◆r11LF9gUco

    分からない。
    どうしてここに薫がいるのか。
    どうしてあたしは身動き一つとれないのか。
    ただせめて彼の目を直視しないよう、ひたすらに地面を睨むことしかできなかった。

    2006-10-29 01:25:00
  • 491:

    ◆r11LF9gUco

    ――――――――――――

    2006-10-29 23:10:00
  • 492:

    ◆r11LF9gUco

    手の震えは、しばらく止むことはなかった。
    沸き上がる恐怖から人形のようになってしまったあたしは、ひかれる手を振り払うことができない。
    連れ込まれたのは、某ラブホテル。
    薫は鼻歌まじりに部屋を選んでいる。

    2006-10-29 23:14:00
  • 493:

    ◆r11LF9gUco

    『プールある部屋かぁ〜拘束具ある部屋どっちがいい〜??』
    あたしは何も答えないで、下を向いていた。
    『・・・った!!』
    つながれた右手を握り潰そうとするように、薫はぐっと力を加え、反対の手であたし顎を上に向かせて顔を覗き込んだ。
    嫌でも、目が合ってしまう。

    2006-10-29 23:19:00
  • 494:

    ◆r11LF9gUco

    『お前・・・躾直さないけんのか?ん?』
    冷たい目が、あたしの体を強ばらせた。
    『・・・っ・・・・いや・・・・』
    『は?』
    『・・・いや・・・です。』

    2006-10-29 23:23:00
  • 495:

    ◆r11LF9gUco

    凍るあたしの表情を見て、薫は満足そうに笑った。
    『そうそう、素直にしとけや。犬は犬らしく。ハハハ!!』
    『・・・・・・』

    2006-10-29 23:37:00
  • 496:

    ◆r11LF9gUco

    ―――――――――――――――『あぁっ!!あっ!!いった・・・ぁ、ああぁあ!!』
    激しくきしむベット。
    無音の室内には、あたしの悲鳴にも似た泣き声。
    それを見下ろす、無表情の薫。

    2006-10-30 00:50:00
  • 497:

    ◆r11LF9gUco

    ガクガク揺れる頭。体。
    もう、何が何だか分からないのに、とんでもない快感だけがあたしの体を絶えず支配していた。

    大きな黒い固まりが、あたしを犯している。

    ただそれだけなのに、逆らえないのは、殺されたくないから。

    2006-10-30 01:01:00
  • 498:

    ◆r11LF9gUco

    抵抗などという思考は全くなく、薫が満足するまでの時間をひたすらに耐えるしか道はない。
    あたしが自我を見せれば、違う誰かが傷つく。
    大好きな誰かが傷つく。
    誰も救えない。
    助けを求めてはいけない。

    2006-10-30 01:07:00
  • 499:

    名無しさん

    ?

    2006-10-30 10:15:00
  • 500:

    名無しさん

    薫最悪(>д

    2006-10-31 01:38:00
  • 501:

    チコ

    薫最悪(>д

    2006-10-31 01:38:00
  • 502:

    名無しさん

    あげ?

    2006-11-01 16:46:00
  • 503:

    名無しさん

    あげ?

    2006-11-02 03:44:00
  • 504:

    名無しさん

    てか主さんの彼氏さんミナミのD店やったり…?
    探ったりして気を悪くされたならすいません??

    2006-11-03 05:39:00
  • 505:

    ◆r11LF9gUco

    チコさん●薫ちゃんはどこまでも最低な奴です??
    >>507 あげありがとございます?
    >>508 ほんとありがとございます?
    >>509 あたしの彼氏は今そっち系のスーツを着る職業じゃなく、あっち系?の職業なのでたぶん違うと思いますよ??知り合いに似た方がいたのかな(゚∀゚*)?

    2006-11-03 15:17:00
  • 506:

    509

    そのD店の人と絡んでる人 らの名前と登場人物たちの名前が同じだったので??

    2006-11-03 16:16:00
  • 507:

    ◆r11LF9gUco

    本間すか?そういう類は一切テキトーに決めてるので、D店?とは無関係ですよ???
    なんか不安にさせてしまってすいません??


    では続きます( ^ω^)

    2006-11-03 17:31:00
  • 508:

    ―――――――――――" " "06/11/03 17:32

    2006-11-03 17:32:00
  • 509:

    ―――――――――――" " "06/11/03 17:38

    2006-11-03 17:38:00
  • 510:

    ◆r11LF9gUco


    『俺と付き合ってほしい。』

    2006-11-03 17:43:00
  • 511:

    ◆r11LF9gUco

    キラキラ光る夜景。
    お香の漂う車内。
    ずっと好きだった人。
    突然の告白。
    ...あたしはあの日、自分は世界で一番幸せものだと感じた。

    2006-11-03 17:47:00
  • 512:

    ◆r11LF9gUco

    ...今でも忘れない。
    よろしくね、とぎこちなく照れ笑いするあたしをあなたは強く抱き締めて、
    『一生大事にする。俺が幸せにする。』
    そう言ってくれた。

    2006-11-03 17:58:00
  • 513:

    優希

    しおリ?

    2006-11-04 03:07:00
  • 514:

    ◆r11LF9gUco

    優希さん●読んでくれてありがとございます(^^)?

    2006-11-04 09:17:00
  • 515:

    ◆r11LF9gUco

    確かな愛。
    あなたとの将来を夢みた日々。
    好きでたまらなかった気持ち...。

    付き合い始めた当初、恋愛に対して妙に冷めていたあたしを揺るがせたこの新しい感情等により、この果ての無い地獄が 始まることになるなんて、馬鹿なあたしは知る由もなかった。

    2006-11-04 09:24:00
  • 516:

    ◆r11LF9gUco

    ――――それから一年後


    些細なことで、彼の中の黒い何かが覚醒する。

    2006-11-04 09:26:00
  • 517:

    ◆r11LF9gUco

    その日、あたしは同窓会だった。
    久しぶりに再会する旧友との話に花が咲き、すでに同棲していた薫には早めに帰宅すると行って出てきたものの、酒も回り、結局朝帰りになってしまった。
    タクシーの中、よれよれになりながらも罪悪感から電話をかける。
    ...でない。
    寝ているものだと解釈し、状況を簡易に説明し、謝罪を含んだメールを送信しておく。

    2006-11-04 09:35:00
  • 518:

    ◆r11LF9gUco

    薫は、いつも変わらず優しかった。
    今日も同窓会に行く際に反対などせず、[楽しんでおいで]と笑顔で見送ってくれた。
    そんな薫が大好きだった。

    タクシーから下り、エレベーターの前まで行くと、丁度誰かが降りてきているところだった。

    2006-11-04 09:41:00
  • 519:

    ◆r11LF9gUco

    [あっ同じ階の人じゃ...挨拶せんと?]
    あたしは少し緊張しながらエレベーターが来るのを待った。
    やがて、到着音がし、
    そちらへ目をやると、薫が無表情で立っていた。

    2006-11-04 09:47:00
  • 520:

    ◆r11LF9gUco

    あたしは、とても嬉しくなった。
    彼はきっとさっきの電話で起きて、あたしを迎えに来てくれたんだと。
    あたしは笑顔で駆け寄った。
    その瞬間、右頬に強い衝撃を感じた。

    2006-11-04 09:49:00
  • 521:

    ◆r11LF9gUco

    状況が理解できないでいると、さっきの一撃でよろけて座り込んでいるあたしに、薫は蹴りを食らわせた。
    何度も何度も、男の人の力で、あたしを蹴り続ける。
    まるで汚いゴミでも見るような目で、あたしを見下ろしながら。

    2006-11-04 09:55:00
  • 522:

    ◆r11LF9gUco

    不思議と痛みは感じない。

    ただ、何故?どうして?という疑問だけが、まっしろな頭の中に、浮かんでは消えていった。

    2006-11-04 15:48:00
  • 523:

    ◆r11LF9gUco

    どのくらい暴行を加えられただろう。
    あたしはもう自分では立てないほどに痛めつけられていた。
    放心状態の中、涙が一筋流れ落ちるのを感じた。

    ――いつもの薫はどこ?

    2006-11-04 15:51:00
  • 524:

    名無しさん

    実話?

    2006-11-04 20:16:00
  • 525:

    名無しさん

    めっちゃドキドキしながら読んでます。お願いやからハッピーエンドにしてほしい…?

    2006-11-05 02:57:00
  • 526:

    ◆r11LF9gUco

    >>530●完全フィクションです(^^)
    >>531●有り難いお言葉ありがとうございます?結末については自分の中で既にやんわりできあがったものがありますので、ハッピーエンドかどうかはもう少しお付き合い下さい笑

    2006-11-05 05:12:00
  • 527:

    ◆r11LF9gUco

    薫は、ボロボロになったあたしをその場に残し、今朝まで『二人の家』だった所へ、一人引き上げていった。
    冷たいエントランスの床が、足元から体温を徐々に奪っていくのを感じながら、こんな有り様になって尚、あたしは開け放たれた暗くて酷い現実を受け止めることができずにいた。
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――...[本当の薫はあんなことはしない][あたしに原因があるのだ][あたしが悪い]
    そうやって理由づけるしかなかった。
    優しい薫が大好きだったから。

    2006-11-05 05:25:00
  • 528:

    ◆r11LF9gUco

    あたしは、よろよろと虫のように這いながら、壁にもたれかかった。
    あちこちが痛い。
    呼吸をする度痛い。
    涙腺がバカになった様に次々溢れる涙は、ホールに人が来てあたしを救急車に乗せてくれるまで、ずっと止まることはなかった。

    2006-11-05 05:32:00
  • 529:

    ◆r11LF9gUco

    入院中に薫は泣きながらやって来て、土下座をした。
    どうしてああなってしまったのか聞いた。
    あたしが朝帰りしたことに対して腹が立ったのだと言った。

    彼の回答に愕然とした。

    2006-11-05 05:37:00
  • 530:

    名無しさん

    あ"〜?あげぇ???

    2006-11-05 06:29:00
  • 531:

    名無しさん

    ひどい男やな?

    2006-11-05 15:26:00
  • 532:

    名無しさん

    続きがきになるから、あげ?

    2006-11-08 04:37:00
  • 533:

    ◆r11LF9gUco

    皆さんありがとうございます??
    あまり時間がないので、先に続き書いていきます?

    2006-11-08 12:01:00
  • 534:

    ◆r11LF9gUco

    [たったそれだけの事で??]

    というのが、率直な感想。
    唖然とするあたしを後目に、薫はどうか別れないでとすがった。

    2006-11-08 12:05:00
  • 535:

    ◆r11LF9gUco

    なぜ優しかったあの人が、こうも急変してしまったのだろうか。
    自分の知らない間に、あるいは薫を傷つけ、ストレスを与えてしまっていたのだろうか。
    退院するまで毎日何時間も薫はやって来、泣きながら同じことを言い続けていた。
    そんな彼の姿に胸が痛み、やはり愛してしまっていることを実感する。
    しかし、少しでも心を緩めようとするとあの時のことがフラッシュバックし、震えは止まらず、度々呼吸が乱れる様になった。

    2006-11-08 12:15:00
  • 536:

    ◆r11LF9gUco

    優しい薫とあの日の薫の間で悩み、泣く夜が続く。
    考えても答えなんか出るはずもないのに。


    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――...退院の日は思いのほかすぐにやって来、しかし事前に薫には教えないようにと病院側に言付けていた為、あたしはその足で逃げるように実家へ戻った。

    2006-11-08 12:27:00
  • 537:

    名無しさん

    あげ?

    2006-11-10 05:06:00
  • 538:

    名無しさん

    主さんどーしましたかぁ?

    2006-11-12 05:42:00
  • 539:

    ◆r11LF9gUco

    >>543あげありがとございます?
    >>544ちょっと体調を崩してまして...仕事もありますのであんまり更新できなくて申し訳ないです??

    2006-11-12 12:47:00
  • 540:

    ◆r11LF9gUco

    家族には、階段から落ちただとか、適当に嘘をついたのだと思う。
    とにかく薫に会いたくなかった。
    考えたくなかった。

    幸い母や父、そして一つ下の弟は久しぶりの帰省をとても喜んでくれ、あたしは家族団らんの中、二つの傷を癒していった。

    2006-11-12 12:59:00
  • 541:

    ◆r11LF9gUco

    しかし、そんな安堵の時も長くは続かない。

    当時、あたしはまだ広島に住んでおり、彼とは市内で同棲していた。
    実家に呼んだことが無いとはいえ、お互いの地元の話などはよくしていたし、その気になれば調べることなど簡単だったのだろう。
    一週間ほどで薫はあたしの家を探し出した。

    2006-11-12 13:18:00
  • 542:

    ◆r11LF9gUco

    彼は、家に無理やりあがりこみ、両親に挨拶した。



    [結婚も考えていて、僕の収入で養えるように、今市内で同棲させて頂いています][些細な喧嘩をしてしまってから家に帰らなくなり、とても心配して今まで必死に探していました][りょうさんの友人が帰省していると教えてくれたので、ご挨拶もかねて迎えに参りました]

    2006-11-12 13:34:00
  • 543:

    ◆r11LF9gUco

    冷静に、ぺらぺらと言葉を並べる薫。
    しまいには涙を流しながら、あたしをどんなに愛しているかを家族に伝える。
    事実。嘘。嘘。嘘。
    内容はこんな感じ。
    よくもこんなに頭が廻るものだと感心さえさせられる。素晴らしい[彼氏]を、彼は演じ続けた。

    2006-11-12 13:42:00
  • 544:

    ◆r11LF9gUco

    結果、両親は彼を男として認め、過剰に気に入り、あたしは翌日彼の元へと引き渡された。


    薫のぞっとする様な笑い方は、この頃から見られるようになったように思う。

    2006-11-12 13:48:00
  • 545:

    ◆r11LF9gUco

    助手席に座らされ、最後まで彼は愛想良く、両親に深々と頭を下げてから車を走らせた。
    あたしは冷静を装っていたけれど、内心は心臓が口から出そうなぐらい焦っていた。
    彼が何を考えているのか、一切わからない不安。
    平気な顔で嘘をこぼし、涙を自在に操る性根。

    2006-11-12 13:58:00
  • 546:

    ◆r11LF9gUco

    あたしはもうきっと、悟っていたんだ。
    彼はあたしにも演技していたのだと。
    優しい薫なんてものは、幻だったんだと。
    その証拠に、薫は今こんなにも満足そうに笑っている。
    怯えるあたしを、ひどく冷たい目で見つめながら。

    2006-11-12 14:03:00
  • 547:

    ◆r11LF9gUco



    ――――――――――――――その晩、あたしは初めて意識が無くなるほど滅茶苦茶に殴られた。
    逃げるとこうなるんだ、と言いながら。

    2006-11-12 14:11:00
  • 548:

    ◆r11LF9gUco

    彼は、泣きながら笑い、分かったんかと怒鳴る。
    もう、あたしの思考は完全に麻痺していた。
    目の前の鬼に、ごめんなさいごめんなさいと、とにかく謝った。
    何が、そして誰がどう悪いのかという判断も、すでにできなくなっていた。

    2006-11-12 14:15:00
  • 549:

    ◆r11LF9gUco



    それからの私たちは、恋人では無くなった。

    ただの犬と、ご主人様。

    2006-11-12 14:17:00
  • 550:

    ◆r11LF9gUco

    薫は、頭がいい。
    殴るのも蹴るのも、いつも服で隠れるとこばかりを狙い、表面上は優しい彼氏でい続ける。
    現に、常に周りには羨ましく思われていた。
    格好良くて優しい彼氏だと。
    それが快感なのだろうか?表と裏のギャップと、あたしを躾、バレぬ様計算していくスリルが、彼をいつまでもこのゲームにのめり込ませていた。

    2006-11-12 14:26:00
  • 551:

    ◆r11LF9gUco

    おもちゃの様に扱われる日々の中、あたしは度々ポチの事を思い出していた。
    実家にもどった時は、岡山のおばあちゃん家に預けられていたから会えなかった。
    以前はずっとずっと一緒だったのに、家になかなか戻らなかった為、もうずいぶん顔を見ていない。

    2006-11-12 14:39:00
  • 552:

    ◆r11LF9gUco

    薄情だと怒っているだろうか。
    なんでもいい。
    ポチに会いたい。
    ポチだけはきっと、馬鹿なあたしの見方でいてくれる気がした。

    2006-11-12 14:41:00
  • 553:

    ◆r11LF9gUco

    見せかけの愛に踊らされ、大事な家族や友達を蔑ろにしてきた罰だろうか。
    何度か泣きながら訴えてはみたが、だれも、なにも信じてはくれなかった。
    それどころか、益々あたしの立場は悪くなる一方。
    今更何を行ったところで、築き上げられた薫の分厚い信頼、そしてあの口の巧さには太刀打ちできない。
    あたしは一人ぼっちになった。

    2006-11-12 14:47:00
  • 554:

    ◆r11LF9gUco

    ポチは喋れない。
    でも、いつだって一番の理解者だった。
    上辺の取り繕う言葉だって分からない。巧妙な嘘にだって惑わされない。

    ...ポチなら、どんなあたしでもずっと好きでいてくれるよね...??

    2006-11-12 14:52:00
  • 555:

    ◆r11LF9gUco



    あたしを犯し終え、すやすやと幸せそうに眠る薫の隣で、あたしは手首を切った。

    2006-11-12 14:56:00
  • 556:

    ◆r11LF9gUco

    今日はここまでになります?いっぱい書けなくてすんません??
    思ったより長くなってますが、よければ最後までお付き合い下さいませ??

    2006-11-12 14:59:00
  • 557:

    名無しさん

    いっぱい更新ありがとう?次も楽しみにまってます?

    2006-11-12 21:24:00
  • 558:

    チコ

    やっぱ薫最悪や(-_-メ)

    2006-11-13 01:52:00
  • 559:

    名無しさん

    ひさびさで、すぐ読み終えてしまって淋しいなぁ?

    2006-11-13 08:46:00
  • 560:

    名無しさん

    悲しすぎる(:_;)最後まで読むから頑張ってね(>_

    2006-11-13 18:54:00
  • 561:

    ◆r11LF9gUco

    >>563ああああありがとございます( ;ω;)もうちょっと更新増やせるように努力はしてるんですけどなかなかで?申し訳ないです?
    チコさんいつも見てくれてありがとございます??薫ちゃんは更に最悪になってしまいます?
    >>565すんません?力量不足まるだしですんません?
    >>566ちょっと悲しくなってますが?だるくなければ最後までお付き合い下さい?

    2006-11-14 22:16:00
  • 562:

    ◆r11LF9gUco

    どくんどくんと血が送り出される感覚が、痛みとともに伝わってくる。
    浅い傷だと、すぐに分かった。
    ―――――死にたい死にたい死にたい。
    あたしは汗ばむ手に力を込め、カミソリの刃をぐっと手首の肉にめり込ませた。

    2006-11-14 22:22:00
  • 563:

    ◆r11LF9gUco

    このまま横に引けば、すぐに何もかも終わる。
    逃げ出したい。
    ここから。
    薫の手の中から...
    ―――あたしは、目を閉じ、深呼吸した。真っ暗な瞼の裏に、ポチが悲しそうに鳴いている幻を見た気がした。

    2006-11-14 22:26:00
  • 564:

    ◆r11LF9gUco

    [ごめんね...]
    涙が流れた。
    瞬間、ぐっと気管がとんでもない力で締め上げられた。
    びっくりして、あたしは目を開けた。

    2006-11-14 22:31:00
  • 565:

    ◆r11LF9gUco

    『なにしとんならぁ...』


    暗闇の中怪しく笑う、薫。
    その大きな二つの手は、あたしの首をがっしりと掴んでいた。

    2006-11-14 22:38:00
  • 566:

    ◆r11LF9gUco

    ――苦しい
    ヒューヒューと、酸素を求めて悲痛に喉が鳴く。


    ...たすけて

    2006-11-14 22:44:00
  • 567:

    ◆r11LF9gUco

    やだ。
    やっぱりいやだ。
    しにたくない。
    いきたい。
    たすけて...

    2006-11-14 22:46:00
  • 568:

    ◆r11LF9gUco

    矛盾。

    あたしは、恐怖を超えて自らを殺すこともできない。
    薫に殺められることも、必死で拒んでいる。
    結局、死ぬのが怖いのだ。現実の恐怖よりも。死が怖いのだ。逃げ込む場所など無い。ただ薫の手の中。馬鹿みたいに逃げ回るだけ。そして捕まえられ。飽きるまで。遊れる。その繰り返しの中でしか。もう今は生きてはいけなくなってしまった。

    2006-11-14 22:55:00
  • 569:

    ◆r11LF9gUco

    『ご...め...』

    『あ?なんじゃ?』
    薫は更に両手へと力を送る。
    『ごめ...なさ...い』

    2006-11-14 22:57:00
  • 570:

    ◆r11LF9gUco

    痛くて苦しくて、言葉が途切れ途切れにしか出てこない。
    それでも、必死に謝った。
    何度も何度も。
    薫は何も言わず、譫言のように繰り返すあたしを楽しそうに見ていた。
    やがて、酸欠状態になったのだろうか。あたまがぐわんぐわんと揺れている感じ。力が出なくなって、言葉ももう出せなくなった。それを確認した彼は、あたしを布団に転がした。

    2006-11-14 23:02:00
  • 571:

    ◆r11LF9gUco

    必死に呼吸した。
    涙は止まらなかった。
    薫はあたしの頭をやさしく撫で、頬にキスをし、耳元で囁いた。

    『そんなに死にたい思ぉとるんなら俺がいつでも殺してやるけぇ。勝手に死ぬことは許さん。お前に自由は一つもないんじゃ。ギャハハハハ!!』

    2006-11-14 23:14:00
  • 572:

    ◆r11LF9gUco




    ああ、あたしの生も死も、薫が握っている。
    薫の手からは、もう、逃げられない。

    2006-11-14 23:19:00
  • 573:

    ◆r11LF9gUco

    すべて薫のもの。
    逆らえない。
    受け入れ、差し出すしかない。
    気が狂うのに、さして時間はかからなかった。

    2006-11-14 23:21:00
  • 574:

    ―――――――――――" " "06/11/14 23:21

    2006-11-14 23:21:00
  • 575:

    ◆r11LF9gUco

    その日は、いつもと変わらない1日になるはずだった。
    朝早く、薫の好きなものばかりを詰めた弁当を作り、薫を優しく起こし、機嫌の良いときは犯され、悪いときは殴られる。
    昼間は薫と行く買い出しの時以外はずっと家にいなければならない為、仕事もとっくに辞めた。テレビを見たり、掃除をしたり。外から鍵をつけられたので、逃げることもできない。
    帰宅すればいろんな道具を使っておもちゃにされ、彼が眠った後、ようやく休むことができる。
    そんなごく当たり前の一日になるはずだったのに。

    2006-11-14 23:31:00
  • 576:

    ◆r11LF9gUco

    ぐあ!!(;;´О`;)もう睡魔がカナリ鬱陶しいのでそろそろ睡眠させていただきます?あっ過去編もうすぐ終わりです?おやすみなさい?

    2006-11-14 23:38:00
  • 577:

    名無しさん

    ぐぁ〜!!
    気になる〜!!(ノ-Д-)ノ〜┻┻

    2006-11-15 04:53:00
  • 578:

    名無しさん

    痛いなぁ?ポチが恋しいわぁ?

    2006-11-15 07:54:00
  • 579:

    コアラ

    気になる???

    2006-11-15 17:06:00
  • 580:

    ◆r11LF9gUco

    皆さんどもありがとーございます( ;ω;)
    あんまり時間ないので、急いでかきます?

    2006-11-15 17:42:00
  • 581:

    ◆r11LF9gUco

    多生の不安を感じたが、幸い彼は大の犬好き。
    あたしには手を出しても、ポチに危害を加えるなんてことはまずあり得ないだろう。
    それより、あたしは嬉しくて嬉しくてたまらなかった。

    [ポチに会える...!!]

    2006-11-15 17:54:00
  • 582:

    ◆r11LF9gUco

    薫のいない間は、ポチとふたりきり。
    また、前みたいに一緒にいれる。
    真っ白でふわふわな毛を優しく撫でてやって、思いきり抱きしめて...
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――あたしはその晩、なかなか眠りにつくことができなかった。まるで遠足の前の晩のように、ドキドキしていた。はやくポチに会いたい...

    2006-11-15 17:59:00
  • 583:

    ◆r11LF9gUco


    ポチがいるなら、何をされても我慢できるよ。

    ポチ、早く会いに来て...

    2006-11-15 18:00:00
  • 584:

    ◆r11LF9gUco

    ――――翌日の午前中、母が車でやってくるまでの間に、薫は外からの鍵を外し、部屋を片付け、あたしの顔や見える場所に傷や痣がないか、念入りに確認した。

    あたしは、朝から大人しくしている。
    ウキウキしている気持ちがバレたら、また薫を怒らせてしまう。

    2006-11-15 18:04:00
  • 585:

    ◆r11LF9gUco

    やがて、車が停車する音がし、あたしは今にも駆け出したい気持ちを必死に隠して、面倒くさそうに階下へ降りていく薫の後を、面倒くさそうな演技をしながらついていった。
    エントランスを抜けると、黒いワゴンが止まっており、その前には母と父がこちらに笑顔で手を振っていた。
    ご丁寧なあいさつを交わす双方をよそに、あたしはポチの姿を探す。

    [ポチ...ポチどこ??]

    2006-11-15 18:10:00
  • 586:

    ◆r11LF9gUco

    ふと顔を上げると、車の中に見覚えのある白い尻尾が、ゆらゆらと揺れていた。

    「ポチ!!」

    おもわず叫んだ。

    2006-11-15 18:34:00
  • 587:

    ◆r11LF9gUco

    可愛い茶色のまぁるい瞳が、あたしを映し出した。
    ポチはあっというまにこちらへ掛けてきて、あたしはそれを抱き上げた。
    あったかい。
    うれしい。
    だいすき。

    2006-11-15 18:42:00
  • 588:

    ◆r11LF9gUco

    ポチはピスピスと鼻を鳴らし、あたしの頬を舐めた。
    舌を出して、来なんだか笑っているみたいにみえた。


    『もお〜ポチ〜!!可愛い顔してからぁあぁ!!うわあぁあ〜ん!!』

    2006-11-15 18:45:00
  • 589:

    ◆r11LF9gUco

    ...ポチが、あまりにも変わっていないから、あの頃と同じようにあたしに接してくれるから、胸がしくしくと痛んで涙が止まらない。
    新しい世界に目を奪われて、ずっと会いにも行っていなかったあたし。
    なのに、どうしてそんなに嬉しそうに鳴くの...?
    どうして好きでいてくれるの...??

    2006-11-15 19:11:00
  • 590:

    名無しさん

    ポチぃ〜???

    2006-11-16 16:27:00
  • 591:

    名無しさん

    この話泣きそうになる

    2006-11-16 20:01:00
  • 592:

    ◆r11LF9gUco

    >>597犬ポチはちょっとしかでてきません?すんません??
    >>598ありがとございます( ;ω;)がんばります?

    2006-11-17 07:25:00
  • 593:

    ◆r11LF9gUco

    薫は相変わらず、大泣きするあたしの頭を撫でてやさしい言葉を並べ、そんな彼に両親は株を上げ、もうそんなことはどうでもよかった。



    あたしにはポチという見方がいる。

    2006-11-17 07:30:00
  • 594:

    ◆r11LF9gUco

    薫はその晩、あたしにすごく優しかった。
    ひっついてきたり甘えたり、泣きながら、
    [俺心の病気じゃけぇいつもお前にひどいことしてしもぉとるけど、愛してるんじゃ。許してくれ。捨てんでや]
    と行ったりした。
    あたしは感動したふりをしながら、その場をやりすごした。

    2006-11-17 07:34:00
  • 595:

    ◆r11LF9gUco

    虚言症の彼氏といたら、演技というものが自然と身についていた。
    [ポチ、おいで。]
    ひとりでぬいぐるみと戯れていたポチを呼ぶと、嬉しそうにぬいぐるみをくわえてこちらへやって来た。

    『ポチは優しいねぇ、お友達も一緒に連れてきてあげたん??』

    2006-11-17 07:38:00
  • 596:

    ◆r11LF9gUco

    返事をするかわりに、尻尾をぶんぶんふりながら、ポチはあたしの膝の上に寝転ぶ。
    頭を撫でていると、
    『お前らぶち仲ええんじゃなぁ...』
    と、薫が寂しそうにつぶやいた。
    [薫も同じくらい大切だよ]とは、もう言えなかった。

    2006-11-17 07:42:00
  • 597:

    ◆r11LF9gUco



    それから数日間は暴力もなく、薫は毎日優しくて、まるで昔に戻ったような、平和な日々が続いた。

    2006-11-17 07:44:00
  • 598:

    ◆r11LF9gUco

    朝、薫を送り出せば、あたしは夕方までずっとポチと一緒。
    ごはんを一緒に食べたり、遠くまで散歩しに行ったり、お昼寝したり...
    ずっとひとりで寂しかった気持ちを解っているかのように、ポチはずっとあたしの側にいた。
    だから、あたしはずっと笑っていられた。

    2006-11-17 09:57:00
  • 599:

    ◆r11LF9gUco

    嬉しくて楽しくて、薫の微妙な変化に、あたしは気付かなかった。



    あたしは懲りもせず、目の前に広がった自分に都合のいい世界にだけ浸り、危機を感じ取ることに疎くなって、また、大事なものを失おうとしていた。

    2006-11-17 10:02:00
  • 600:

    ◆r11LF9gUco

    ――――その日は、静かにやってきた。

    2006-11-17 10:03:00
  • 601:

    ◆r11LF9gUco

    ポチの滞在時間が残り2日に迫っていたが、あたしは一週間で実家に返すなんて考えておらず、ポチをこっちに引き取るつもりだった。
    もともとペット可のマンションであったし、薫もポチに優しかった。
    あたしは別に殴られても良い。
    それに、今は小さな勇気が生まれつつある。
    [ここから逃げ出す]という勇気が。

    2006-11-17 10:07:00
  • 602:

    ◆r11LF9gUco

    ポチがくれた勇気。
    気付かせてくれた。
    その可愛い目にみつめられると、
    [もう我慢しなくてもいいよ]
    そう言われているような気がした。

    2006-11-17 10:09:00
  • 603:

    ◆r11LF9gUco

    いざとなったら、ポチと家を出よう。
    遠くの、誰も知らない街で暮らす。
    ポチと二人でなら、大丈夫。

    そう思っていた。

    2006-11-17 10:15:00
  • 604:

    ◆r11LF9gUco

    その日、薫はあたしに外でご飯でも食べないかと言った。
    別に断る理由もないのだが、気乗りしないのは、ポチを一人で留守番させなければならいから。
    [犬も大事じゃあ思うけど、たまには二人の時間が欲しい]
    そう念を押す薫に負け、夕方には戻ることを条件に、あたしは了解した。
    それが間違いだった。

    2006-11-17 10:21:00
  • 605:

    ◆r11LF9gUco

    欲しい物なんかない。
    ただ、自由にしてほしいだけだ。
    あたしは、なにかあるごとに時計をみた。
    ポチが待ってる。早く帰りたい。

    2006-11-17 11:21:00
  • 606:

    ◆r11LF9gUco

    『...ポチが気になるんか?』
    薫が、じっとこちらを見ている。
    『...』
    何も言わない。
    ポチのことは、何も言いたくない。

    2006-11-17 12:04:00
  • 607:

    ◆r11LF9gUco

    薫はまた、少し悲しそうな表情を見せ、
    『ほぉか。じゃあそろそろ帰ろう』と、車を走らせた。
    なにか引っかかるものを感じはしたが、あたしの気持ちは早るばかりで、気に留めることはなかった。

    2006-11-17 12:17:00
  • 608:

    ◆r11LF9gUco

    あたしはとてもウキウキしながら部屋へと急ぐ。
    今日は、新しいポチの首輪に、あたらしい餌入れ、ほねっこ。それに新しいおもちゃも買った。
    あぁ、ポチの喜ぶ姿が目に浮かぶ。
    にやける顔をひっしに誤魔化しながら、あたしは玄関のドアを開けた。

    2006-11-17 12:26:00
  • 609:

    名無しさん

    気になる??

    2006-11-17 12:37:00
  • 610:

    ◆r11LF9gUco

    『ポチ!!ただいま!!』



    ...

    2006-11-17 13:50:00
  • 611:

    ◆r11LF9gUco



    反応がない。
    いつもなら、ちゃんと玄関に座って待っているのに。
    物音一つしない。

    2006-11-17 13:52:00
  • 612:

    ◆r11LF9gUco

    変な胸騒ぎに駆り立てられ、あたしは無音の我が家に上がり込んだ。
    ポチは、すぐに見つかった。

    2006-11-17 13:57:00
  • 613:

    ◆r11LF9gUco

    リビングに、点々と血が飛び散っている。
    あたしの呼吸があらくなる。
    荒らされた部屋。
    逃げ回った跡。

    2006-11-17 14:00:00
  • 614:

    ◆r11LF9gUco

    どす黒い血だまり。
    その中心に、変わり果てたポチが、だらりと舌を出して横たわっていた。


    『ポチ...??』

    2006-11-17 14:02:00
  • 615:

    ◆r11LF9gUco

    全身の血が凍る。
    自慢の真っ白な毛皮は、無惨にも血や粘液で赤黒く汚されていた。
    いろんな所から、ひどく出血している。
    刃物か何かで切られたのだろうか。ピンク色の肉が所々露出して、見るに耐えない。
    ポチは白目を向いて、彼の虫のように小さな呼吸は、今にも止まってしまいそうだった。

    2006-11-17 14:10:00
  • 616:

    ◆r11LF9gUco

    ―――――誰がこんなことを?



    涙で、ポチの姿が滲んでいく。

    2006-11-17 14:13:00
  • 617:

    ◆r11LF9gUco

    『うわ、まだ生きとるん。きもちわりぃのぉ。』



    薫が、へたり込むあたしの横からヒョイとポチをのぞきこみ、言った。

    2006-11-17 14:17:00
  • 618:

    ◆r11LF9gUco

    『―――?!』

    あたしは、耳を疑った。
    彼は、ギャハハと笑いながら、続けた。
    『お前がこんなクソ犬連れてくるからじゃ!!さっさとくたばれや!!ハハハハハ』

    2006-11-17 14:28:00
  • 619:

    ◆r11LF9gUco

    >>617さんありがとございます? でもちょっと中断?書けそうであれば、また暇をみつけて書いておきます?

    2006-11-17 14:35:00
  • 620:

    名無しさん

    薫最低????????
    こんな奴しんでしまえ??????????

    2006-11-17 15:42:00
  • 621:

    名無しさん

    ポチぃ(ノд`)゜。

    2006-11-17 16:04:00
  • 622:

    ◆r11LF9gUco

    何が何か解らず、だけどこれだけは確か。


    薫はポチがこうなることを知っていた。

    2006-11-17 18:14:00
  • 623:

    ◆r11LF9gUco

    あたしを、怒りが支配していく。



    気がつけば、あたしは薫に殴りかかっていた。

    2006-11-17 18:16:00
  • 624:

    ◆r11LF9gUco

    『お前!!ポチになにしとんならぁ!!』

    泣きながら、必死に殴る。
    しかし、男の力には叶わず、あたしはすぐに押さえられ、くみしかれた。
    そして、薫は反吐が出そうなくらいの笑顔で言った。

    2006-11-17 18:20:00
  • 625:

    ◆r11LF9gUco

    『犬相手にお前がベタベタしとるところが気に食わんでなぁ。連れに出掛けとるまに殺しといてくれって頼んだんじゃーや。まぁこんなボコボコにされて...ぶっさいくな豚みとぉなのぉ!!ギャハハハハ!!』

    2006-11-17 18:25:00
  • 626:

    ◆r11LF9gUco

    ...
    ...悔しい。
    悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい。
    そんなに腹が立つならあたしにあたればいい。今までみたいに、動けなくなるまでなぐればいい 。おもちゃみたいに扱えばいい。
    どうして...どうしてポチなの?

    2006-11-17 18:35:00
  • 627:

    コアラ

    悲しい?

    2006-11-17 23:11:00
  • 628:

    名無しさん

    胸痛くなるわぁ?

    2006-11-17 23:20:00
  • 629:

    ゆん

    しおり‥?

    2006-11-18 04:40:00
  • 630:

    名無しさん

    涙とまらん。。
    ほんま薫むり!!!

    2006-11-18 08:22:00
  • 631:

    名無しさん

    ホンマに薫ムカツク????

    2006-11-18 12:40:00
  • 632:

    ◆r11LF9gUco

    あら(;;´О`;)!!
    なんか皆さん気分悪さしてすんません...( ;ω;)?
    今日で過去終わりなので、ちゃっちゃと書いていきますね☆

    2006-11-18 13:01:00
  • 633:

    ◆r11LF9gUco

    しかし、こうしている間にも、ポチの体力は弱まり続けている。
    早く医者に診せなければ助からない。
    早く...

    『ポチ!!すぐお医者さん呼ぶから!!頑張って息しよるんよ!!』

    2006-11-18 13:06:00
  • 634:

    ◆r11LF9gUco

    電話をかけようとするあたしを、薫は思い切り殴った。
    『ちぃと黙れや。なぁ。』
    そのまま、何発も何発も、人形のように殴られた。
    それでもあたしは這いつくばって、とうとう携帯を握った。
    そのとき、薫があたしの顎を蹴り上げた。

    2006-11-18 13:14:00
  • 635:

    ◆r11LF9gUco

    軽い脳しんとうを起こしたのか、あたしの体はびくついて倒れ、うまく動かせない。
    薫は、あたしの頭をぐりぐり踏みながら、何か必死に怒鳴っていたが、よく聞こえなかった。

    ポチ...ポチが死んじゃうよ

    2006-11-18 13:24:00
  • 636:

    ◆r11LF9gUco

    なんて非力なんだろう。
    どうして何もできないんだろう。
    誰も守れない。
    こんな奴に何もかも奪われても、ただ泣くしかできないだなんて。

    2006-11-18 13:26:00
  • 637:

    ◆r11LF9gUco

    何の罪もないポチがこんな目にあうなら、
    いっそあたしが死ねばいい。

    さっさと殺せよ。
    あたしも一緒に。

    2006-11-18 13:33:00
  • 638:

    ◆r11LF9gUco

    もう目はうつろ。
    ぼーっと虚空を泳いでいると、薫の悲鳴が耳をついた。

    『いってぇえ〜!!このクソ犬!!』

    目の前に、ポチがどさりと落ちてきた。

    2006-11-18 13:35:00
  • 639:

    ◆r11LF9gUco

    状況がのみ込めない。
    倒れたポチがよろよろと立ち上がり、薫の足に噛み付いた。
    見たこともない怖い顔をして、ポチは低いうなり声をあげながら、薫の肉を食いちぎろうとしている。
    が、すぐに薫に蹴り落とされる。
    そんなことを数回繰り返すのを、真っ白な頭のままあたしはまばたきもせずに見ていた。

    2006-11-18 13:51:00
  • 640:

    ◆r11LF9gUco

    知らない間に、あたしは倒れたポチの上に覆い被さっていた。
    まだ、思考は停止したまま...。
    『どけ!!』
    薫は、あたしの腕の隙間から、ポチの顔を蹴った。
    ポチは鳴き声一つもらさない。

    2006-11-18 14:11:00
  • 641:

    ◆r11LF9gUco

    あたしは、がたがた震えていた。
    ポチの命が、もう尽きてしまうことを知っていた。
    薫なんて、ちっとも怖くない。
    ただ、今にもポチを連れていこうとする[死]が、怖かった。

    2006-11-18 14:15:00
  • 642:

    ◆r11LF9gUco

    『クゥン...』

    ポチが甘えるときの声。
    顔を上げると、ポチはあたしの頬に鼻をすり寄せ、ぐったりと伏せこんだ。
    それきり、ポチは息をしなくなった

    2006-11-18 14:20:00
  • 643:

    ◆r11LF9gUco

    『...ポチ、ポチ。』
    何度呼んでも、動かない。
    『ポチ...なに寝よるん、起きて。病院いこう?』
    可愛い瞳は、あたしを映さない。

    2006-11-18 14:24:00
  • 644:

    ◆r11LF9gUco



    『ポチ...しんでしもうたん...??』

    2006-11-18 14:27:00
  • 645:

    ―――――――――――" " "06/11/18 14:31

    2006-11-18 14:31:00
  • 646:

    名無しさん

    やばい…

    2006-11-18 17:59:00
  • 647:

    ◆r11LF9gUco

    ―――――死んだら、皆が言うように、天国にいくんだろうか。
    楽しくて優しくて、幸せな世界が待っているのなら、どうしてわざわざこの世を過酷に生きるのか。
    神様はなんの為に存在して
    誰を助け
    誰を見殺しにするんだろう。

    2006-11-18 19:45:00
  • 648:

    ◆r11LF9gUco

    選ばれたものはその奇跡に感謝し、そうでないものは神を恨む。
    しかし、もともと神なんて存在しないのかもしれないし、死後の世界だって無いのかもしれない。
    体が消滅し、たどり着くのは[無]なのかも...
    皆が死を拒絶するのは、現世への執着、そして太古から繰り返してきた無への恐怖からかもしれない。

    2006-11-18 19:53:00
  • 649:

    ◆r11LF9gUco

    どちらにせよ、あたしは不安で仕様がない。
    気まぐれな[神]の世界にポチを見送るのも、
    [無]においてけぼりにしてしまうことも。

    2006-11-18 19:59:00
  • 650:

    ◆r11LF9gUco

    息も絶え絶えのポチが、手をあげられているあたしを必死に守ってくれた。
    何度蹴られても、ボロボロの体を引きずり、立ち上がって噛み付いた。

    それが一体どういう事かなんて、
    薫には一生分からないだろう。

    2006-11-18 20:07:00
  • 651:

    ◆r11LF9gUco

    ポチの一生はこうして強制的に終わらされた。
    あたしが
    あたしが勇気をだして逃げていれば
    ポチは生きていた。

    2006-11-18 20:13:00
  • 652:

    名無しさん

    号泣???????

    2006-11-18 20:21:00
  • 653:

    ◆r11LF9gUco

    あたしが薫なんかと出会わなければポチは生きていた。
    あたしが寂しがってポチを求めたりしなければポチは生きていた。
    あたしが
    あたしが
    あたしが...

    2006-11-18 20:23:00
  • 654:

    ◆r11LF9gUco


    あたしが、ポチを殺した。

    ポチは、あたしのせいで死んだ。

    あたしが、ポチを殺した。

    2006-11-18 20:26:00
  • 655:

    ◆r11LF9gUco

    ――――あたしの中の何かが壊れた。

    それはポチの幻と一緒に、消えてなくなった。

    2006-11-18 20:29:00
  • 656:

    ◆r11LF9gUco

    それからの記憶はひどく曖昧だった。

    あたしは薫のどこかを包丁で刺し、もがいている間に財布と携帯だけ持ってポチを毛布にくるみ、その亡骸をどこかへ埋めに行った。
    そして、大阪まで飛んだ。
    ただ、遠くに行きたくて。

    2006-11-18 21:05:00
  • 657:

    ―――――――――――" " "06/11/18 21:09

    2006-11-18 21:09:00
  • 658:

    ―――――――――――" " "06/11/18 21:12

    2006-11-18 21:12:00
  • 659:

    ◆r11LF9gUco

    >>654(´Д`)!!!!
    >>660ありがとうございますほんと( ;ω;)
    とりあえずここまでで過去編おわりなので、今日はこのへんで終わります?
    細かくなってしまったのでレス数いっちゃいそうですし、楓とポチの秘密はまた完結後に別枠で書かせてもらおうと思っていますm(_ _)m
    それわよくねぇ!!みたいな意見があれば考え直します?

    2006-11-18 21:21:00
  • 660:

    名無しさん

    頑張ってね?最後まで読むからね。本間悲しくて涙でた?

    2006-11-18 22:42:00
  • 661:

    名無しさん

    書いてぇ?

    2006-11-20 05:10:00
  • 662:

    ゆん

    しおり?

    2006-11-20 05:36:00
  • 663:

    ◆r11LF9gUco

    >>668ありがとございます?そう言ってもらえるとほんまうれしいです( ;ω;)
    >>669マイペースですんません??
    ゆんさんしおりありがとう?

    2006-11-20 09:47:00
  • 664:

    ◆r11LF9gUco

    こっちに来て
    夜の仕事を初めて
    必死で頑張るうちに
    金、欲、嘘がまとわりついてくるようになった。
    払っても払っても、べったりとあたしの体を覆う。

    2006-11-20 09:50:00
  • 665:

    ◆r11LF9gUco

    嘘や演技で喜ばせて、金を得る仕事。
    その罪悪感は、忙しさの中で日毎に薄れゆく一方であったし、これも立派な[仕事]だと割り切るようになった。
    単調な毎日。
    決して何も無いわけではない。
    しかし、とっておきの何かがあるわけでもない。

    2006-11-20 09:54:00
  • 666:

    ◆r11LF9gUco

    忙しい毎日の中で、
    鈍くなる感情の渦の中で、
    あたしは薫を、あの日のポチもろとも心の奥に封印した。
    頑丈に鍵をかけ、記憶の海に沈めた。
    自ら触れさえしなければ、過去に傷つけられることはない。

    2006-11-20 09:59:00
  • 667:

    ◆r11LF9gUco

    でも...


    ポチに出会ってから、あたしは、あたし自身気づかぬうちに、少しずつ変化していたのかもしれない。

    2006-11-20 10:01:00
  • 668:

    ◆r11LF9gUco

    きっと、もうポチに会うことはないだろう。
    あたしはまた、囚われてしまった。
    今度はきっと殺される。

    2006-11-20 10:03:00
  • 669:

    ◆r11LF9gUco

    以前ならきっと、本望だったに違いない。
    やっとポチに会えるからと。

    だけど、今はとても怖い。
    またポチと会えなくなってしまう事が。

    2006-11-20 10:06:00
  • 670:

    ◆r11LF9gUco

    もう離れるのは嫌だ。
    ただ、ポチと何気ない日々を過ごしたい。
    ポチの笑顔をいつも見ていたい。
    それだけでいい。
    それだけでいい。

    2006-11-20 10:08:00
  • 671:

    ◆r11LF9gUco


    ――――――――――――――――いつのまにか、ポチはあたしにとって、特別な一人になっていた。
    そして、あたしはようやく気がつく。

    確かにポチを愛していたと。

    2006-11-20 10:11:00
  • 672:

    名無しさん

    あたしもポチ愛してるよぉ???

    2006-11-20 10:15:00
  • 673:

    ◆r11LF9gUco

    ――ポチ。

    もう外で待たなくていいよ。
    いつも今来たとこって笑っていたけど、すごく冷たくなっていた手。
    ポチはいつも優しかったね。

    2006-11-20 10:21:00
  • 674:

    ◆r11LF9gUco

    あなたの事はなんにも知らなかったけど、だけど、何故か昔からの友のように、なんでも分かる気がしていた。
    ポチは本当にポチの生まれ変わりのようにだったから。
    一人にしてごめんね。
    ずっと一緒にいたかった。

    2006-11-20 10:25:00
  • 675:

    ◆r11LF9gUco





    ...大好き、ポチ。

    2006-11-20 10:26:00
  • 676:

    ―――――――――――" " "06/11/20 10:27

    2006-11-20 10:27:00
  • 677:

    ◆r11LF9gUco

    気がつけば、ホテルの部屋にいた。
    シャワーの音が聞こえるので、薫はきっと風呂に入っているのだろう。
    容易くにげれる状況を、わざと作られている。

    2006-11-20 10:32:00
  • 678:

    ◆r11LF9gUco

    薫の余裕に腹がたつことも、もうなかった。
    どうでもいい。
    疲れた。

    2006-11-20 10:44:00
  • 679:

    ◆r11LF9gUco

    >>680ありがとう(゚∀゚*)
    また時間あれば夜に更新しときますね?

    2006-11-20 12:12:00
  • 680:

    名無しさん

    今一気に読んだけどもぉ化粧ボロボロゃぁ??主サン?天才過ぎ?ヽ(*`Д´)ノ更新楽しみぢゃぁ(*´д`*)ハァハァ?

    2006-11-20 14:43:00
  • 681:

    ゆん

    しおり?
    いつも読んでマス?
    頑張ってください??

    2006-11-20 18:24:00
  • 682:

    ◆r11LF9gUco

    ごめんなさい??やっぱりゆっくり書ける時間がなさそうなので、また暇を見てかきます?
    >>688ありがとございます??化粧はもうあたしが治しときます???
    ゆんさんいつもありがとう?とっても励まされてます?

    あまりゆっくり書けないので、誤字脱字だらけで申し訳ないです??読み直す余裕をもてるようにしたいんですがなかなか?皆さんこんな駄文に付き合ってくれてほんとにありがとございます( ;ω;)

    2006-11-20 23:36:00
  • 683:

    コアラ

    泣いてしまった‥‥?

    2006-11-21 00:29:00
  • 684:

    名無しさん

    ぽちぃ...

    2006-11-23 13:34:00
  • 685:

    名無しさん

    ポチ大好き??

    2006-11-23 14:26:00
  • 686:

    ◆r11LF9gUco

    コアラさんありがたや??
    >>692...?
    >>693あぁあ〜りがとうございます????

    更新します???

    2006-11-24 21:02:00
  • 687:

    ◆r11LF9gUco

    やがて、湯気をまとわせた薫が笑顔で現れた。
    お風呂ありがとうと笑うポチを思い出した。

    『りょ〜うちゃあ〜ん♪こっちおいでぇ』
    ベッドに腰掛け、あたしを手招く。

    2006-11-24 21:07:00
  • 688:

    ◆r11LF9gUco

    薫の前まで歩いていくと、強引に抱き寄せられた。
    『会いたかったでぇ...』
    薫は愛おしそうにあたしの頬にキスする。
    たった一回のポチとのキスを思い出した。

    2006-11-24 22:39:00
  • 689:

    ◆r11LF9gUco

    『愛してる...』
    瞳に涙を溜め、薫が言う。
    愛してるとポチに言えなかったことを後悔した。

    2006-11-24 22:48:00
  • 690:

    ◆r11LF9gUco

    薫があたしを見つめる。
    ポチの顔を思い出した。

    ...。

    2006-11-24 22:53:00
  • 691:

    ◆r11LF9gUco

    薫はなぜか、なかなか暴力をふるわない。
    どうしてだろう。
    さっきから、キスばかりしては、抱きしめてくる。
    油断させようとしているのだろうか。

    2006-11-24 22:56:00
  • 692:

    ◆r11LF9gUco

    暖かさなんて微塵も感じなかった。
    信用や疑い、恐怖なんてものも、すでに欠落していた。
    この人にはもう、何も感じないのだと思った。
    ただ人形のように、成すがまま。

    2006-11-24 23:25:00
  • 693:

    ◆r11LF9gUco

    薫はあたしの頭を撫でながら、ごめんと謝った。
    謝罪される要因が多すぎて、どの件に対してなのか解らなかった。
    なので、ただぼーっと無心に身を置いていた。
    薫はそんなあたしを見てボロボロ泣いている。

    2006-11-24 23:32:00
  • 694:

    ◆r11LF9gUco

    もう聞き飽きた事ばかり。
    もう見飽きた涙ばかり。
    興味がわかない。それに、少しも気持ちが動かない。
    分からないことしかないから、分かろうとする努力ももうしない。

    2006-11-24 23:38:00
  • 695:

    ◆r11LF9gUco

    あたしは、口を開いた。


    『薫は、どうしたいの?』

    2006-11-24 23:45:00
  • 696:

    ◆r11LF9gUco

    『え...??』
    薫は、驚いた顔。


    あたしは、今日初めて薫の目を見て言った。

    2006-11-24 23:48:00
  • 697:

    ◆r11LF9gUco

    『もう逃げんよ。薫の好きにしていいよ。あたしにはもう、なーんにもないけぇ。ずっと薫と一緒にいるよ。』

    2006-11-24 23:52:00
  • 698:

    ◆r11LF9gUco

    あたしが逃げなければ、もう誰も傷つかない。
    もう、あんな思いはしたくない。
    もう、ポチに手は出させない。
    一生会えなくたって、そっちのほうがずっといい。

    2006-11-24 23:56:00
  • 699:

    ◆r11LF9gUco

    言い終わると、あたしは薫をぎゅっと抱きしめて、笑った。

    2006-11-24 23:58:00
  • 700:

    ◆r11LF9gUco

    『ほんまか?』
    薫が、見たこともないようなあどけない表情で聞く。

    『うん。』
    頬を撫でながら、返事をする。

    2006-11-25 00:03:00
  • 701:

    ◆r11LF9gUco

    『じゃあ、俺のずっともんにしてもええか?』

    『うん』

    『ほぉか...』

    2006-11-25 00:05:00
  • 702:

    ◆r11LF9gUco

    ↑『ずっとおれのもんに』の間違いでした??

    2006-11-25 00:06:00
  • 703:

    ◆r11LF9gUco



    ――――もう、とっくに気付いていた。

    彼の後ろ手に隠された、見慣れた注射器の存在に。

    2006-11-25 00:08:00
  • 704:

    ―――――――――――" " "06/11/25 00:14

    2006-11-25 00:14:00
  • 705:

    ドラちあむ

    ご、5時間かけて全部読みました( ;゚Д゚)!!!過去の話のトコで一生分の涙流しました(-∀・*?)?責任取って完結させて下さいなあ-(?。>?

    2006-11-25 05:01:00
  • 706:

    名無しさん

    早く更新して?

    2006-11-26 00:13:00
  • 707:

    名無しさん

    我儘ばっか言うなよ

    2006-11-26 08:14:00
  • 708:

    ◆r11LF9gUco

    ドラちあむさんそんな時間かけてくらはったんすか!!ありがたい(∵)!!もうすぐ一旦完結なので、お付き合いください??
    >>714主はアホなので話まとめるのに時間がいるのでもう少しお待ちください??
    >>715もうちょっと頭頑張り度をあげ気味でがんばります?

    ラストを構想中なので、もうちょっと時間いただきます??

    2006-11-26 18:03:00
  • 709:

    名無しさん

    ファイト?

    2006-11-27 01:16:00
  • 710:

    名無しさん

    ゆっくりでいいよ!!

    じっくり考えて作品を仕上げてほしいし(o^―^o)

    2006-11-28 03:22:00
  • 711:

    ◆r11LF9gUco

    皆さん...ほんまありがとございます??
    そろそろ書き始めていきます??

    2006-11-29 21:59:00
  • 712:

    名無しさん

    頑張ってね?

    2006-11-30 17:55:00
  • 713:

    名無しさん

    頑張って下さい??

    2006-12-02 14:38:00
  • 714:

    チコ

    お久しぶりですv(*'ー^*)ー☆
    薫・・・


    ほんま死んだらいいのに

    2006-12-02 20:01:00
  • 715:

    名無しさん

    ?

    2006-12-04 02:55:00
  • 716:

    名無しさん

    書かないの?

    2006-12-05 20:29:00
  • 717:

    名無しさん

    ポチ(犬)のとこまぢ泣けた…
    薫ひどすぎ…?
    ポチの愛に感動しまちた????

    2006-12-06 12:29:00
  • 718:

    ◆r11LF9gUco

    >>720ありがとございます?? >>721感無量っす?? >>チコさん引き続き読んでいてくれたはるなんてっ?嬉しすぎる( ;ω;)>>723あげありがとございます? >>724遅くなってすんません??? >>725そう言ってくれるアナタが好きです(゚∀゚*)?Ww


    遅くなってすいません?最近忙しくてゆっくりかける時間がなかなかありませんで...(;;´О`;)
    それと感想スレ作ってくれた方本間どうもありがとうございます??度肝ぬかれました??

    2006-12-06 13:19:00
  • 719:

    ◆r11LF9gUco

    気がつくと、ただまっ白い天井を見ていた。


    すごく体がだるい。
    目だけ動かして周りを見回すと、この場所がすでに薫と入ったラブホテルではないことが確認できた。

    2006-12-06 19:02:00
  • 720:

    ◆r11LF9gUco

    洋風で、かなり豪華な造りをしているが、部屋が広すぎて孤独感が胸をくすぶる。
    それに、時計が無いため、時間の感覚さえ掴めない不安。
    あたしは、かなりの時間をかけて奮闘し、ようやく体を起こすことに成功した。
    はぁはぁと軽く荒んだ息を整えながら、ふと隣に目をやる。

    2006-12-06 19:14:00
  • 721:

    ◆r11LF9gUco

    ここはどこだろう。
    記憶も断片的にしかなく、思いだそうとすれば頭が痛む。
    薫も、どうやら居ないようだ。
    白い天井を見上げていると、ふいに体がガタガタと震え始めた。

    2006-12-06 19:30:00
  • 722:

    ◆r11LF9gUco

    意識が途切れる少し前、薫は笑顔で言っていた。

    『ずーっと一緒じゃ。』

    きっと、こうして生かされているのには、訳があるはずだ。あたしはずきずきと響く鈍い痛みに耐えながら、更に記憶を探る。

    2006-12-06 19:37:00
  • 723:

    ◆r11LF9gUco

    その時、ガチャリという音と共にドアが開いた。

    足音で、薫だと分かった。
    あたしは瞳を閉じ、寝たふりをした。

    2006-12-06 19:43:00
  • 724:

    ◆r11LF9gUco

    耳障りな鼻歌。
    機嫌はいいみたい。
    彼は何か袋をガサガサいわせていたが、しばらくすると、ベットの端が、薫の体重分沈んだ。
    『りょーちゃん?起きた?』
    顔をのぞき込まれている。

    2006-12-06 21:15:00
  • 725:

    ◆r11LF9gUco

    頑として瞼を閉じたまま、あたしは寝息をたてた。
    眠っていると思ったのか、彼の唇が、体中を這い回る。
    気持ち悪い。
    気持ち悪い。
    気持ち悪い。

    2006-12-06 21:19:00
  • 726:

    ◆r11LF9gUco

    気持ち悪いのに...


    薫によって開発され尽くした体は、気持ちと相反してビクビクと快感に悶えた。

    2006-12-06 21:27:00
  • 727:

    名無しさん

    ぁげ?????

    2006-12-07 06:07:00
  • 728:

    ◆r11LF9gUco

    『んっ...』
    不覚にも、声が漏れる。

    『おぉっと〜!!たぬきねいりですかぁあ〜?!!ギャハハ!!』
    薫の笑い声が耳にさわる。

    2006-12-07 11:48:00
  • 729:

    ◆r11LF9gUco

    彼は背中に手を回し、あたしの上半身を起こした。
    『...おはよーさん』
    にこりと笑う。
    『...ここどこ。』
    無愛想に尋ねると、髪の毛をぐっと掴まれた。

    2006-12-07 11:53:00
  • 730:

    ◆r11LF9gUco


    『さぁどこでしょう。』


    冷めきった薫の目は、無表情なあたしの顔を映す。

    2006-12-07 12:22:00
  • 731:

    ◆r11LF9gUco

    しかし、数秒後には
    『あぁっ!!お前まだ飯くぅとらん思ぉてこれ買ってきた俺♪』
    と言うなりぱっと手を離し、さっきあさっていた袋の中身を取り出した。
    それは、あたしの好きなガトーショコラのケーキ。
    『よし、俺が食わせたるけぇなっ!!』

    2006-12-07 12:27:00
  • 732:

    ◆r11LF9gUco

    薫は心の病なのか、それとも二重人格なのか。
    どちらにせよ、もうまともな思考は持ち合わせてはいないんだと、嬉しそうにケーキを切り分ける彼を見て、冷静に思った。


    『はい、りょう口開けて?あ〜ん...』

    2006-12-07 12:31:00
  • 733:

    名無しさん

    あげ??

    2006-12-07 18:19:00
  • 734:

    ◆r11LF9gUco

    一口食べると、ねっとりした甘味が口の中に広がり、吐き気がした。
    あたしの好きなガトーショコラ。あたしの好きなぷーさん。あたしの好きな香水。あたしの好きな...


    その全ては、『薫が好きなあたし』の好きなもの。

    2006-12-08 08:49:00
  • 735:

    ◆r11LF9gUco

    あたしの人格は長い間否定され続けてきたので、いつのまにか彼の理想が肉付き、あたしがそうであると思いこんでいる。
    薫はあたしを認めないし、あたしのことを何も知らない。
    ただ、付き従ってくれる相手が欲しいだけ。
    支配欲さえ満たせれば、それでいいのだろう。

    2006-12-08 08:54:00
  • 736:

    ◆r11LF9gUco

    『うまい?』
    『うん。』
    『ほぉか♪じゃあそろそろお薬のまんとな!!』
    『...』

    2006-12-08 08:57:00
  • 737:

    ◆r11LF9gUco

    ああ分かった。
    薫は殺したいんじゃない。
    弱ったあたしを世話するという状況に酔っているだけだ。
    これなら逃げない。何をしても抵抗しない。生きるために薫は必要不可欠。
    それこそ、彼にとって一番の幸せ。

    2006-12-08 09:03:00
  • 738:

    ◆r11LF9gUco

    笑える。
    さっさと殺してくれだなんて。
    ポチをあんな姿にさせておいて、あんな思いをさせておいて、自分だけ楽な死を望むなんて。
    あたしには、こうやってゆっくりゆっくり何もかも終わらせられていく位が丁度良いのだ。
    果てのない絶望が少しでも長く続けば、ポチと同じだけ苦しむ事ができるかもしれないから。

    2006-12-08 09:14:00
  • 739:

    ◆r11LF9gUco

    血管に、無理やり液体が流し込まれていく。

    薫は愛おしそうに、あたしの体を隅々まで犯した。
    『愛してる』
    そう何度も耳元でささやきながら。

    2006-12-08 09:17:00
  • 740:

    ◆r11LF9gUco

    この歪んだ愛情からは逃げることも、追い払うこともかなわない。
    ただ、終わりを待つしかないんだという諦めの記憶が、ぐちゅぐちゅという接合音と共に、鮮明に蘇った。

    2006-12-08 09:21:00
  • 741:

    ◆r11LF9gUco




    瞳を閉じても、もうポチが現れることはなかった。

    2006-12-08 09:24:00
  • 742:

    ―――――――――――" " "06/12/08 09:30

    2006-12-08 09:30:00
  • 743:

    ◆r11LF9gUco

    あれから何日経ったのか。
    ゆっくりと、しかし確実に体が衰弱していっているのが分かる。
    注射も、日に何度打たれているのかすら解らない。
    薫は暴力を振るうわけでもなく、罵声を浴びせるでもなく、あたしをガラス細工でも扱うかのように、飽きもせず優しく介抱するのだった。
    相変わらず、薄気味悪い愛の言葉を囁きながら。

    2006-12-08 20:38:00
  • 744:

    ◆r11LF9gUco

    『りょう、俺、幸せじゃあ...』
    と、薫はあたしの頭を撫でながら眠った。
    久しぶりに、薫の寝顔を見た気がした。
    彼はとても小心者なので、あたしが眠るのを見届けないと気が気ではないのだろう。

    2006-12-08 22:05:00
  • 745:

    ◆r11LF9gUco

    幸せってなんだろう。

    例えば薫の幸せは、異常な支配欲からあたしの自由をすべて奪い、自分だけしか頼れない状況に相手を縛り付けて快感を得、あたしの世界を薫だけにしてしまうことだった。
    疑う余地がなくなるくらい不安要素から相手を切り離し、愛されている、必要とされているんだと目に見える形で無理やり証明させて初めて幸せに浸れる。
    しかし、もちろんそれはただの独りよがりにすぎない。

    2006-12-08 23:31:00
  • 746:

    名無しさん

    薫め?ちきしょ??

    2006-12-09 08:43:00
  • 747:

    ◆r11LF9gUco

    >>755 薫はほんとチクショー野郎になってしまいました...??
    あと少しで完結なので、もう少しチクショーしてください?

    2006-12-10 16:41:00
  • 748:

    名無しさん

    まだかな??

    2006-12-10 23:31:00
  • 749:

    ヨミケ

    2006-12-11 00:31:00
  • 750:

    ◆r11LF9gUco

    まりの幸せは?

    最近、彼女はよく泣いている。そしてすぐに無理して笑う。
    弱いところは、絶対誰にも話さない。
    まりにとって一番の幸せは何?

    2006-12-11 14:38:00
  • 751:

    ◆r11LF9gUco

    秀ちゃんの幸せは何?

    満たされた生活に、有り余るお金。
    彼はいつも沢山の謎に包まれ、どんな状況だって楽しそうに笑い飛ばすのに、何故かひどく疲れた目をしている。
    秀ちゃんは、どういう時が幸せ?

    2006-12-11 14:44:00
  • 752:

    ◆r11LF9gUco



    ...ポチ。

    ポチの幸せは何だった?

    2006-12-11 14:46:00
  • 753:

    ◆r11LF9gUco

    楓はああ言っていたけれど、あたしは信じたい。

    ポチの笑った顔。怒った顔。すねた顔。

    ポチの「ありがとう」や、「ごめんね」の言葉。

    2006-12-11 14:50:00
  • 754:

    ◆r11LF9gUco

    全部、ポチの[本当]だったと
    そう信じてる。


    だって

    2006-12-11 14:53:00
  • 755:

    ◆r11LF9gUco




    今も昔も、
    変わらずあたしに【一番の幸せ】を与えてくれるのは、ポチなのだから。

    2006-12-11 14:56:00
  • 756:

    ◆r11LF9gUco

    やがて、
    ここで冷たい死を迎えても
    あたしはきっと平気。
    ポチがそばに居なくても、平気。

    2006-12-11 15:00:00
  • 757:

    ◆r11LF9gUco

    神様なんて信じていないけど、もしも、もしも存在するのなら...



    どうかポチに安らかな愛と、暖かな幸せを与えて下さいますように。

    2006-12-11 15:06:00
  • 758:

    ◆r11LF9gUco

    ――――目が覚めると、また得体の知れない薬の投与が行われた。
    日々体の感覚が薄まりゆく中、あたしはもう泣かないと心に決めた。

    2006-12-11 15:18:00
  • 759:

    ―――――――――――" " "06/12/11 15:19

    2006-12-11 15:19:00
  • 760:

    ◆r11LF9gUco

    その日は、薫の様子が少し変だった。

    頻繁に携帯を触っていたり、電話口で何やら口論になっていたりと、何かにかなり動揺している様が見て取れる。
    何があっても冷静沈着な薫。一体どうしたものかと思うも、すぐに興味は尽き、あたしはまた、カーテンのひかれた窓の外を想像するため、視線を戻す。

    2006-12-11 17:44:00
  • 761:

    ◆r11LF9gUco

    しばらくして、彼は誰かが訪ねて来ても決して入れるなとあたしに言いつけ、携帯だけポケットにねじ込むと、どこかへ出掛けてしまった。
    「...元から動けんのにねぇ...」
    そんな事すら忘れてしまうほど、動転しているのだろうか。

    2006-12-11 20:58:00
  • 762:

    ◆r11LF9gUco

    ―――・・気がつくと、窓の外は薄暗く、日が落ちかかっていた。



    「寒っ...ん?」

    2006-12-11 21:21:00
  • 763:

    ◆r11LF9gUco

    窓の外...?



    閉じていたはずのカーテンが、いつの間にか開いている。

    2006-12-11 21:32:00
  • 764:

    ◆r11LF9gUco

    不審に思っていると、備え付けの簡易キッチンから、なにやら美味しそうな匂い。そして、人の気配。



    「...薫?」

    2006-12-11 21:51:00
  • 765:

    ◆r11LF9gUco

    そう小さく呟いた瞬間、ガシャン!と何かが割れる音がして、あたしは思わず顔をしかめる。
    しかし、すぐに笑顔がこぼれた。
    ポチがマグカップを割ってしまった事件を思い出したのだ。
    反省して、翌日すぐに変わりを買いに行ってくれたこと。
    しょんぼりしながら一生懸命謝ってくれたことを鮮明に思い出すと、温かいものがあたしを満たしていくのが分かった。

    2006-12-11 22:10:00
  • 766:

    ◆r11LF9gUco





    「うぅ〜わ!!やってもうたぁ〜!!」

    2006-12-11 22:15:00
  • 767:

    ◆r11LF9gUco

    もう一度瞳を閉じようとしたそのとき、ポチの声が聞こえた。


    まさか。
    いや、そんな筈はない。

    2006-12-11 22:17:00
  • 768:

    ◆r11LF9gUco

    きっと今ポチの事を考えていたので、衰弱したあたしの体が聞かせた幻聴なのであろう。


    ...しかし
    相変わらずキッチンではガシャガシャと割れ物を片す音がするし、「やってもたぁ〜...」と、ポチのとぼけた声がしている。

    2006-12-11 22:22:00
  • 769:

    ◆r11LF9gUco



    そろそろ真剣にヤバいのかも。

    2006-12-11 22:41:00
  • 770:

    ◆r11LF9gUco



    「あ〜また手ぇ切ってもーたぁ...イタタ」

    2006-12-11 22:46:00
  • 771:

    ◆r11LF9gUco



    幻覚まで見える。

    2006-12-11 22:48:00
  • 772:

    ◆r11LF9gUco




    「あ!!おきた!!」

    2006-12-11 22:50:00
  • 773:

    ◆r11LF9gUco

    柄にもなくエプロンなどをし、ホカホカ湯気をたたせたお皿を、大切そうに両手で持ったポチが、こちらへ歩いてきている。



    ――夢?

    2006-12-11 22:55:00
  • 774:

    ◆r11LF9gUco

    それとも、あたしはとうの昔に死んでいるのか。


    でも、瞬きしても、目を擦っても、目の前のポチは消えない。
    にこにこと、あたしの大好きだった笑顔で笑っている。

    2006-12-11 23:21:00
  • 775:

    ◆r11LF9gUco

    体の自由がきかないあたしは、ただ見ていることしかできない。

    ポチはお皿をベッド横のテーブルへ置き、あたしのおでこにキスした。

    2006-12-11 23:30:00
  • 776:

    ◆r11LF9gUco



    「オムライスできたで。」

    そう言って、笑った。

    2006-12-11 23:32:00
  • 777:

    ◆r11LF9gUco

    ああ、そういえばあの日、ポチがオムライスを作って待ってるって約束だった。
    なのにあたしは帰れなくて...
    ――きっと夢。
    いつまでたっても戻らないあたしに、夢でポチがオムライスを作って持ってきてくれたんだ。
    優しいね、ポチは。

    2006-12-11 23:36:00
  • 778:

    ◆r11LF9gUco

    「ありがとう。」
    小さな声しか出なかったけれど、あたしは微笑み、感謝の言葉を伝えた。
    それを聞いたポチは一層嬉しそうに笑って、「ほら!食べて元気だし!!」と、オムライスの端をスプーンで切り分ける。
    「ん...それ、何てかいとるん?」
    彼の手元を見ていると、ケチャップで書かれた文字に気付いたのだが、逆からなのでよく解らない。

    2006-12-11 23:44:00
  • 779:

    ◆r11LF9gUco

    ポチの顔が、みるみる赤くなってゆく。
    「ちゃうちゃう、これアレやねん...ちょっと失敗したねん...やし見せません!!はい!!あーんは?!!」
    耳までまっ赤にしたポチは、目を逸らしたまま、ずいっとスプーンを突き出した。
    「見せてくれな食べん〜。」
    ちょっと意地悪してみる。

    2006-12-11 23:59:00
  • 780:

    ◆r11LF9gUco

    「...も〜!!こんなサブいこと書くんじゃなかったっっ!!」


    ポチはお皿をくるりと反転させると、あたしの方へ向けて見せた。

    2006-12-12 01:20:00
  • 781:

    ◆r11LF9gUco




    だ い す き

    2006-12-12 17:37:00
  • 782:

    ◆r11LF9gUco





    ――――・・・

    2006-12-12 17:38:00
  • 783:

    ◆r11LF9gUco

    ふにゃふにゃの赤い文字は、ひらがなでその言葉を記していた。
    両端には、不細工なハートマークまで描かれている。
    オムライスだって、チキンライスを包む卵が所々破けていたり、お世辞にも上手とは言えないものだった。

    2006-12-12 17:47:00
  • 784:

    ◆r11LF9gUco

    ―――もう、涙は流さないと決めた。
    決めたのに...
    お皿を包むポチの細くて長い、まるで女の子のように綺麗な手が切り傷だらけなのを見ると、
    赤面しながらも、あたしの反応を伏し目がちにチラリチラリ伺う姿見ると、
    愛しくて愛しくて、涙が止まらなかった。

    2006-12-12 17:52:00
  • 785:

    ◆r11LF9gUco

    「えっ...どないしたん...?」
    心配するポチをよそに、あたしはお皿に乗せられたスプーンをひっつかみ、ギシギシ音を立てる腕を無理やり使って、ホカホカと湯気をあげるオムライスを、口へ運んだ。
    涙で味はよくわからない。
    でも、今まで食べた何よりも美味しく感じた。

    2006-12-12 18:03:00
  • 786:

    ◆r11LF9gUco

    胃がものを受け付けなくなっているのか、飲み込もうとする度ひどい嘔吐感に襲われる。
    それでも、何度も何度もオムライスを切り分けてはスプーンを口へ運ぶという動作を繰り返した。
    ポチは、何も言わずに黙ってそれを見ていた。

    2006-12-12 18:13:00
  • 787:

    ◆r11LF9gUco

    半分ほど食べると、ポチがあたしの手を止めた。
    「そんなガツガツ食うなやぁ☆俺も食うから残しといったって!!」
    にこっと笑ってさりげなく皿を取り上げる。
    きっと、彼には無理していることが解っていたのだろう。
    あたしに水を飲ませ、頭を撫でながらポチは言った。

    2006-12-12 18:19:00
  • 788:

    ◆r11LF9gUco

    「もうちょっと元気なったら一緒に家帰ろうな。俺な、めっちゃおもろい映画買ったんやんかぁ」
    あたしは、小さく頷く。
    「ほんでな、二人でオムライス食いながらみんねん。あ、今日のはちょっとアレやったけど、次回のはもっとかっこええオム様作ったるから期待しといてやぁ?」
    あたしは、そんな彼を見ながら微笑む。
    「んでからな、あんな....えっと...」

    2006-12-12 18:30:00
  • 789:

    ◆r11LF9gUco

    ポチは、泣いていた。



    「ポチ...?」

    2006-12-12 18:31:00
  • 790:

    ◆r11LF9gUco

    ポチは、理由を求めるあたしを制止するかのように、ぎゅっと強く抱きしめた。
    痩せてしまったあたしの体はすっぽりと彼の両腕に収まり、暖かな体温を感じていた。
    ポチのいい匂い。
    何にも代えられない安心感。
    ずっと、こうしていれたらいいのに。

    2006-12-12 18:39:00
  • 791:

    名無しさん

    今全部よみましたぁ?めた泣いた?薫と楓とポチの関係がきになる?
    主さん文章めちやうまいね?

    2006-12-12 18:41:00
  • 792:

    ◆r11LF9gUco

    ポチは相変わらず、肩を震わせて泣いている。
    「...っ...き」
    「ん?...なに?」
    ポチが、涙混じりに何か言っている。
    「...き...ヒック..」

    2006-12-12 18:42:00
  • 793:

    名無しさん

    薫はどこ行ったの?

    2006-12-12 18:44:00
  • 794:

    ◆r11LF9gUco

    「ポチ...?」
    ポチは一度大きく咳き込むと、今度ははっきりした口調で行った。


    「すき。...めっちゃすき。」

    2006-12-12 18:45:00
  • 795:

    ◆r11LF9gUco


    ――――これが夢じゃなければどんなにいいか。

    あたしは夢から覚めないよう、深く瞳を閉じた。
    【あたしも大好きだよ】

    2006-12-12 18:47:00
  • 796:

    ◆r11LF9gUco

    そう言いたいのに、あたしの喉からは、もう言葉がうまく発せられないみたいだ。
    それでも構わない。


    あたしは今、一番の幸せを感じている。

    2006-12-12 18:49:00
  • 797:

    ◆r11LF9gUco

    その時、ドアが勢いよく開かれた。
    なだれ込んできたのは、息があがり、汗だくになった秀ちゃんだった。


    「翔!!下に車つけとるからはよ行け!!」

    2006-12-12 18:54:00
  • 798:

    ◆r11LF9gUco

    「え、なんで...」
    「ええから!!のんびり話しとる暇ないねん!!はよ行けや!!」
    「わかりました!!」

    ポチはあたしを毛布にくるみ、お姫様だっこの形で抱き上げた。

    2006-12-12 19:03:00
  • 799:

    ◆r11LF9gUco

    状況が全く理解できない。

    なに?
    どういう事?
    今からどこへ行くの?

    2006-12-12 19:06:00
  • 800:

    ◆r11LF9gUco

    「車の場所はこないだゆうたとこや。後始末は俺がつけるからさっさ行け。」
    「わかりました。ありがとうございます。」
    「おう。ほな...」

    と、秀ちゃんがドアを開けると同時に、その隙間からにゅっと腕が伸び、光るものを彼の腕に突き刺した。

    2006-12-12 19:12:00
  • 801:

    ◆r11LF9gUco

    一瞬の出来事だった。

    一気に引き抜くと、赤黒い血がドクドクと泉のように吹き出し、それによってぬらぬらと怪しい輝きを放つ物が刃物であると、今更ながらに確認する。
    ゆっくりと開かれたドアの向こうには、血まみれの薫が、ぞっとするような表情で、精気もなく立っていた。
    恐怖で、時間の流れが停止する。

    2006-12-12 19:19:00
  • 802:

    ◆r11LF9gUco

    薫はギョロっと器用に目玉だけを動かし、直ぐに肩、脇腹、太ももを、なんとも機械的な動きで、次々に彼の締まった肉へと力任せに鋭い刃をめり込ませていく。
    「翔!!はよいけぇえ!!」
    低いうめき声が、言葉に変わった時、あたし達は我に返った。

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――【コロサレル...】

    2006-12-12 19:26:00
  • 803:

    ◆r11LF9gUco

    冷ややかな汗が、額に滲む。
    どうすればと考えている間にも、薫は怪我をしたのか右足を引きずりながら、一歩、また一歩と、確実に距離を縮めてくる。
    あたしは、ガタガタと震えた。

    2006-12-12 19:35:00
  • 804:

    ◆r11LF9gUco




    あれは、ポチを殺したときの目だ。

    2006-12-12 19:37:00
  • 805:

    ◆r11LF9gUco

    ポチの首に回した手に、ぎゅっと力がこもる。
    ポチは、薫をじっと睨みつけたまま後退りをする。
    あたしを抱えているので、素早く逃げることも戦うこともできず、どうしようもない。
    とうとう壁際に追い詰められる形となった。
    薫は、ニヤリと口の端をもちあげて笑うと、ゆっくりと血まみれの右手を掲げていく。

    2006-12-12 19:44:00
  • 806:

    ◆r11LF9gUco

    なんで?

    どうして?

    そんな事ばかりが、延々頭の中をいっぱいにした。

    2006-12-12 21:09:00
  • 807:

    ◆r11LF9gUco

    薫はまた、ポチを殺すの?



    ポチはまた、あたしのせいで死ぬの?

    2006-12-12 21:12:00
  • 808:

    ◆r11LF9gUco

    ――――クゥン...



    ...ポチの、最後の鳴き声が聞こえた気がした。

    2006-12-12 21:14:00
  • 809:

    ◆r11LF9gUco

    あたしは、精一杯の力を振り絞って体をくねらせ、向き合う両者の間の床へ転がり落ちた。
    骨と皮だけの体は、たったそれだけの衝撃で悲鳴をあげる。
    激痛をこらえ、直ぐ目の前にある負傷した薫の足を両腕でしっかり掴むと、あたしは思い切り噛みついた。

    あの日、ポチがしたように。

    2006-12-12 21:22:00
  • 810:

    ◆r11LF9gUco

    「〜っ!!!!」



    ポチが叫び、駆け寄るより前に、よろけた薫はそのまま右手を振り下ろしていた。

    2006-12-12 21:56:00
  • 811:

    ―――――――――――" " "06/12/12 22:16

    2006-12-12 22:16:00
  • 812:

    ◆r11LF9gUco

    無音の世界。
    痛み等も無い。
    ただ、息をするのが、難しい。
    薫のナイフは、どうやらあたしの胸を突いたようだ。
    ドクン、ドクンと血液が次々と大袈裟に送り出されていく。

    2006-12-12 22:31:00
  • 813:

    ◆r11LF9gUco

    何故か空気が少しずつしか吸えなくて、ヒュウヒュウと喉が鳴っている感覚があった。
    別に辛くもない。
    ただ、倒れたあたしの下に広がる血だまりが、徐々に広がっていくのが不思議に綺麗だった。

    2006-12-12 22:41:00
  • 814:

    ◆r11LF9gUco

    それをぼーっと見ていると、ドスンと何かが落ちてきたように床が振動し、あたしは目を動かしてその正体を探っていた。
    すると、石のように動かない体を、誰かが起こした。


    ポチだ。

    2006-12-12 22:49:00
  • 815:

    ◆r11LF9gUco

    何か言っている。
    でも、聞こえない。
    泣いている。
    もう、涙を拭いてあげられない。
    でも...

    2006-12-12 22:52:00
  • 816:

    ◆r11LF9gUco

    ポチは、生きている。
    怪我も、していないみたい。
    よかった。
    よかったぁ...

    2006-12-12 22:54:00
  • 817:

    ◆r11LF9gUco

    あれ。
    へんなかんじ。
    視界がぼやける。
    なんだか、とても眠い。
    意識がプツン、プツンと途切れていくのが分かる。

    2006-12-12 22:58:00
  • 818:

    ◆r11LF9gUco

    いやだ。
    目を閉じたら、きっとポチを二度と見れなくなる。
    だめだめ。
    そんなのいやだ。
    ―――でも...

    2006-12-12 23:02:00
  • 819:

    ◆r11LF9gUco

    あれ。
    あたしって今、目を開けているの?閉じているの?
    いつのまにか、真っ暗になっちゃった。
    こわいよ。ポチ。
    こわいよ。

    2006-12-12 23:03:00
  • 820:

    ◆r11LF9gUco

    どこにもポチがいない。
    何も聴こえない。見えない。
    こわいよ、いやだ。
    一緒にいたい。
    やだぁ...

    2006-12-12 23:07:00
  • 821:

    ◆r11LF9gUco





    ふと、あたしの頬を、懐かしい匂いのするふわふわの毛がかすめた。

    2006-12-12 23:11:00
  • 822:

    ―――――――――――" " "06/12/12 23:14

    2006-12-12 23:14:00
  • 823:

    ◆r11LF9gUco

    ――――――――――――――――――――――――
    [死]なんてもっとドラマチックで、幻想的なものだと思っていた。
    愛の言葉なんぞをつらつらと並べてみたり、涙を流してみたりして。
    でも、どんなに決意していたって、愛する人がいると悲しい。
    ただ悲しい。

    2006-12-12 23:23:00
  • 824:

    ◆r11LF9gUco

    ポチは、最後あたしに何て言っただろう。



    ねぇ、ポチ。

    2006-12-12 23:29:00
  • 825:

    ◆r11LF9gUco

    ポチの雪のような真っ白い肌
    ポチのまんまる茶色の瞳
    無邪気な笑顔

    優しさ

    2006-12-12 23:30:00
  • 826:

    ◆r11LF9gUco

    あたし気づいたよ。



    二人のポチは、一つも違わないって。

    2006-12-12 23:32:00
  • 827:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 828:

    ◆r11LF9gUco

    犬のポチ。

    夜のポチ。

    どっちも、あたしの愛したポチ。

    2006-12-12 23:36:00
  • 829:

    ◆r11LF9gUco

    あたしを守ったポチ。

    あたしが守ったポチ。

    今なら、二人のポチが何を願ったか解るよ。あたしも今きっと、同じことを考えてる。

    2006-12-12 23:47:00
  • 830:

    ◆r11LF9gUco





    「神様どうか、愛しいあの人をお守りください。」

    2006-12-12 23:51:00
  • 831:

    ◆r11LF9gUco

    ―――――――――――――――――――――――――――



    夜のポチ。第一部【完】

    2006-12-12 23:52:00
  • 832:

    ◆r11LF9gUco

    とりあえず、第一部はこれで完結となります。誤字脱字、ああ!!こんなん書くつもりじゃなかったのに!!みたいな箇所がかなりあって、ほんとに恥ずかしくて死にそうですorz
    は?的な謎部分が多々ありますが、続編にて明らかになると思いますのでつっこむべからずでお願いします。【おわび】途中から前ちゃんが秀ちゃんになってますが、これはただのあたしの凡ミスでございます(T-T)前ちゃんのモデルとなった秀ちゃんなる男と電話した直後に書いたら普通にミスりました...が、今更直すと萎えると思い、ラストまでごり押しさせて頂きましたすんませんm(_ _)m?
    ほんとにたくさんのレスありがとうございました。ほんまにいっこいっこ露骨にテンションあがってます。感想スレなるものをどなたかが作ってくださったので、よければコメントおねがいします(´・ω・`)
    長いことお付き合い下さった皆さん、ありがとございました☆

    2006-12-13 00:02:00
  • 833:

    名無しさん

    終わり?
    めちあ気になるやん?

    2006-12-13 02:14:00
  • 834:

    名無しさん

    秀ちゃん誰かと思っててん?ワラ
    めちぁ続きみたい?

    2006-12-13 02:49:00
  • 835:

    名無しさん

    続きめっちゃ気になる?

    2006-12-13 04:02:00
  • 836:

    名無しさん

    お疲れ様でした。また完結編頑張ってください。

    2006-12-13 07:37:00
  • 837:

    名無しさん

    2006-12-13 14:52:00
  • 838:

    名無しさん

    2006-12-13 14:54:00
  • 839:

    名無しさん

    一部完結お疲れさまぁ??続き気になるぅ??楽しみに待ってます??

    2006-12-13 15:47:00
  • 840:

    プッシャーて売人のことも言うんやけど…

    2006-12-18 07:55:00
  • 841:

    名無しさん

    あげ?

    2007-05-23 22:53:00
  • 842:

    名無しさん

    ぉもろいから読みや?

    2007-06-13 21:21:00
  • 843:

    名無しさん

    あげ

    2007-06-24 13:50:00
  • 844:

    名無しさん

    ?

    2007-08-03 09:40:00
  • 845:

    名無しさん

    続編ってあるんですか?

    2007-10-15 21:21:00
  • 846:

    名無しさん

    http://bbs.yoasobiweb.com/read_i.php?tb=chat_shosetu&id=4051
    途中で終わってるけど-

    2007-10-16 12:23:00
  • 847:

    名無しさん

    http://bbs.yoasobiweb.com/read_i.php?tb=chat_shosetu&id=4744
    ごめんこっちでした?

    2007-10-16 12:38:00
  • 848:

    857

    教えてくれてありがとうございます?

    2007-10-16 14:55:00
  • 849:

    名無しさん

    あげ?

    2008-04-13 20:17:00
  • 850:

    名無しさん

    ????

    2008-04-14 22:51:00
  • 851:

    名無しさん

    あげ

    2008-05-18 14:42:00
  • 852:

    名無しさん

    あげてみる

    2009-03-11 23:45:00
  • 853:

    この作品、大好きでした。
    続編も楽しみにしていたのだけれど、
    このポチの過去も気になる終わり方の方が、
    あれこれ後で自分の想像を掻きたてられていいかもしれませんね。

    2009-03-31 03:29:00
  • 854:

    名無しさん

    あげとく

    2011-10-12 19:25:00
  • 855:

    名無しさん

    楽しかったです ありがとうございました?

    個人的には前ちゃんに薫ぼっこぼこにしてほしかったですw

    2013-03-17 06:37:00
  • 856:

    名無しさん

    あげ

    2019-01-06 08:03:39
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