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夜のポチ。

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  • 1:

    名無しさん

    ポチは、お日様をあまり浴びないので、真っ白だ。
    そして、ポチの体はいつだって冷たい。
    雪の様なポチ。

    2006-09-22 21:27:00
  • 242:

    ◆r11LF9gUco

    『前ちゃ・・・して?』
    手を伸ばすと、前ちゃんは手首をぐいっと引っ張り、あたしを起こした。
    対面座位。
    ぐちゅぐちゅと卑猥な粘着音が響くなか、あたしは涙を流していた。

    2006-10-06 16:48:00
  • 243:

    ◆r11LF9gUco

    行為の最中はいつも、辛さも 苦しみも・・・何も感じなかった。
    だから、精神が滅入ってしまう時は、恋愛感情だとか生温い情には一切流されず、しかし、なにか確実な信用を持ち合わせている前ちゃんにだけ体を許し、求めた。

    2006-10-06 16:55:00
  • 244:

    ◆r11LF9gUco

    なのに、どうして今日は、こうも集中できないんだろう。

    涙がとまらない。

    胸がしくしくと痛い。

    2006-10-06 16:58:00
  • 245:

    ◆r11LF9gUco




    ・・・ポチの顔が、頭から離れない・・・

    2006-10-06 17:01:00
  • 246:

    ◆r11LF9gUco

    前ちゃんは、何も言わずにあたしの涙を拭う。
    果てるまで、激しく行為を続ける。
    この男のこういう所が、大好きだ。

    2006-10-06 17:03:00
  • 247:

    ◆r11LF9gUco

    (ポチ、あんたどこにおるん?そろそろ帰っておいでや・・・)

    いつものポチの寝床。あたしの隣。
    淋しがりで、ひっつき虫のポチは、毎回あたしの手を握っていた。

    2006-10-06 17:08:00
  • 248:

    ◆r11LF9gUco

    長いまつげ。
    可愛い寝顔。
    今、隣には前ちゃんの大きな背中。
    そっぽを向いた後ろ姿。

    2006-10-06 17:10:00
  • 249:

    ◆r11LF9gUco

    前は別にどうとも思わなかった。
    むしろ、ドライな方が心地いい。
    それは、今も変わっていない。

    ただ・・・

    2006-10-06 17:12:00
  • 250:

    名無しさん

    ぽちぃ?

    2006-10-06 17:13:00
  • 251:

    ◆r11LF9gUco

    クスリより、
    快楽より、
    何よりポチが傍に居ることで、あたしは満たされていたのだと気が付いた。

    2006-10-06 17:17:00
  • 252:

    ◆r11LF9gUco

    無償に淋しくなり、ぐっすり眠った前ちゃんの背中に抱きついて、あたしはまた、静かに泣いた。

    2006-10-06 17:21:00
  • 253:

    ◆r11LF9gUco

    ――――――――――――

    2006-10-06 17:21:00
  • 254:

    ◆r11LF9gUco

    それから、長い長い時間をかけて、数日が経った。
    『りょうちゃーん・・・元気ないなりかぁ・・・??』
    マリが、フラペチーノのストローを噛みがら、あたしの顔を覗き込む。
    『ん?!何言いよん!! 元気すぎて怖いわWW』
    『うそ。ワンコ疾走事件からずっと元気ないやん。マリにまで強がんなし。』

    2006-10-06 17:26:00
  • 255:

    ◆r11LF9gUco

    マリは少しご機嫌ななめ。
    『ん-・・・ほんっまどこほっつき歩きよんかねぇ-?!あのバカ犬は・・・はぁ。』
    ぐりぐりとクリームを掻き混ぜる。
    『・・・よっしゃ♪よーやく素直になった広島女にマリちゃんが遊びつれてったろー!!さっ!!いきまっせ!!姉さんいきまっせ!!』
    急にテンションがあがった相方。あれよあれよと断るまもなく手を引かれ、二人はスタバをあとにした。

    2006-10-06 17:31:00
  • 256:

    ◆r11LF9gUco

    時間は夜の10時。
    居酒屋にでも行くのかと思いきや、ついたのはまぁまぁ大箱のホストクラブだった。
    『おい相方。』
    『なんじゃい姉さん♪』
    『何故にこーゆー場所をえらぶ・・・』

    2006-10-06 17:34:00
  • 257:

    ◆r11LF9gUco

    マリがにこぉ〜っと笑う。
    『毒をもって毒を制す!!や!!』
    『・・・意味わかってつこぉとるんWW』
    『いえす!!さぁ〜れっつごー!!』

    2006-10-06 17:37:00
  • 258:

    ◆r11LF9gUco

    無邪気なマリに不覚にも癒されるワタシ。
    エレベーターにのり、扉を開けた。

    『らぁっしゃいませぇーい!!!!』

    2006-10-06 17:39:00
  • 259:

    ◆r11LF9gUco

    うるさい音楽。うるさい人間。
    酒と香水と笑い声。
    そこに渦巻く嘘と欲。
    (やっぱこーゆうトコ苦手・・・)
    席に案内されると、マリと代表らしき人物が仲良さげに話し始めた。

    2006-10-06 17:45:00
  • 260:

    ◆r11LF9gUco

    『じゃあそーゆう感じでよろ☆』
    『りょーかい♪あ、ちょ、おまえ話長い!!申し遅れました!!』
    代表はあたしの隣へやってきて、すっと名刺を差し出す。
    『はじめまして。一応代表やらしてもらってます、晃です。いや〜べっぴんさんですねぇ!!』

    2006-10-06 17:55:00
  • 261:

    ◆r11LF9gUco

    と、優しく笑う晃さんは、びっくりするほどキレーな顔をしていた。
    『あ、どぉも。りょうです。普通のやつです。』
    『普通のやつて!!!!WW』
    びっくりしすぎて口を滑らせてしまった・・・。
    『ぶへWW んまりょう愛しいわ〜WW あ!!ちょ、晃!!楓くん来たからもうどっかいって!!シッシ!!』

    2006-10-06 18:00:00
  • 262:

    ◆r11LF9gUco

    『なんやねん!!ほなお前の隣いったるわホレ!!』
    ぎゃあぎゃあと騒ぐマリと晃さんは、すごく幸せそうに見えた。
    (たぶん付き合いよんじゃろぉな♪水臭いやつめ・・・)
    その時、またもやあたしの隣のソファーが沈んだ。
    『はじめまして。』

    2006-10-06 18:03:00
  • 263:

    ◆r11LF9gUco

    あぁまた挨拶か。
    (なんかホストクラブとやらは忙し-のぉ・・・てキャバの客もこんな感じに思うとるんじゃろ-な・・・前ちゃんも・・・プッWW)
    あたしは前ちゃんのいかつい顔を想像してしまい、含み笑いのまま振り返った。

    2006-10-06 18:08:00
  • 264:

    ◆r11LF9gUco

    『楓です。よろしく☆』
    そして、この人もまた、ど肝をぬかれるほどの男前だった。
    『あ、ども。』
    『りょ〜ちゃんクールWW』
    『そゆ所もすてきょ♪』

    2006-10-06 18:13:00
  • 265:

    ◆r11LF9gUco

    二人におちょくられながら、なんとなく照れた。
    楽しく会話しながらも、
    (ポチも今頃働いてるんかねぇ・・・まさか!!飢え死になんかしとらんやろうね・・・?!!)と、相変わらずポチの心配ばかりしていた。
    そんな時、指名が何組か被っていた楓くんは、ボーイに呼ばれた。

    2006-10-06 18:17:00
  • 266:

    ◆r11LF9gUco

    『おう!!きばってこいや〜売れっ子ぉ〜お!!』
    代表はそれでいいのかというぐらいマリの隣から動かない。
    (客の対処はどーしてるんじゃろWW)
    『ご馳走様でした☆』
    楓くんが言った。

    2006-10-06 18:21:00
  • 267:

    ◆r11LF9gUco

    『いえいえ☆頑張ってなぁ〜』
    『あの、番号聞いてもいいですか?』
    きらきら。天使のスマイル。
    たぶん、この笑顔でいままで何人もの女を落としてきたんだろう。
    あ〜こわい。

    2006-10-06 18:27:00
  • 268:

    ◆r11LF9gUco

    『や、来たくなったら勝手に来て勝手に指名するけ-えぇよ☆営業ってする側もされる側もめんどいしWW』
    『や、そーゆうんじゃなくて。ふつうに。』

    ・・・なんか、ポチとも似たようなやり取りしたなぁ・・・

    2006-10-06 18:34:00
  • 269:

    ◆r11LF9gUco

    あぁダメだ。また泣きそうになってきた。
    『あ、イキナリじゃとあれやから連絡ほしーもんな!!ごめんごめん・・・んじゃ楓くんの番号教えといて?』
    無理に明るくする。
    あたしは何をやっているんだろう。
    ・・・ポチに会いたい。

    2006-10-06 18:38:00
  • 270:

    ◆r11LF9gUco

    『・・・わりました。絶対連絡くださいね?』
    『はいはい☆んじゃね〜』

    それから一時間後、あたし達はチェックした。

    2006-10-06 18:40:00
  • 271:

    ◆r11LF9gUco

    タクシーに乗り、ホロ酔いなマリが抱きついてきた。
    『なぁ〜楽しかったやろ〜??楓くんかっこよかったやろ〜??なぁ〜』
    『はいはい楽しかったよWW ありがとうね、マリちゃんWW』
    頭を撫でると、マリは嬉しそうに笑い、『マリなぁ〜サプライズしてん!!おたのしみにぃ〜!!』
    それだけ言うと、すぐにぐうぐう寝てしまった。

    2006-10-06 18:45:00
  • 272:

    ◆r11LF9gUco

    (また訳わからん事ゆうて・・・WW)さして気にせず、心地よい揺れに瞳を閉じた。


    マリの謎なサプライズの正体は、翌日に発覚した。

    2006-10-06 18:52:00
  • 273:

    ◆r11LF9gUco

    翌日、あたしは客が三組かぶる上に前ちゃんとご飯を食べに行く約束をしていた為、昼には起きて、バタバタと支度をしていた。

    〜〜〜♪♪♪〜〜〜

    突然携帯が鳴った。

    2006-10-06 18:55:00
  • 274:

    ◆r11LF9gUco

    >>251 ポチくんはもーちょいしたら出てくるので、ちょっと休憩したらポチ復活までだだっと書きます( 。-∀-)b

    2006-10-06 19:07:00
  • 275:

    ◆r11LF9gUco

    おおかた前ちゃんの催促電話かと思っていたが・・・
    見たこともない番号は、なかなか鳴り止む様子もない。
    登録し忘れた客だとまずいので、とりあえず出てみることに。
    『もしもし』
    『あっ、もしもし??誰だかわかります??』

    2006-10-06 23:12:00
  • 276:

    ◆r11LF9gUco

    (うわぁ〜質問形式うぜ〜・・・)
    『いえちょっと存じ上げないんですが・・・どちら様でしょう?』
    とりあえず当たり障りなく。
    『もう!!やっぱり登録してないじゃないっすかWW』
    機械の向こう側の声が、急にやわらいだ。

    2006-10-06 23:16:00
  • 277:

    ◆r11LF9gUco

    『あ〜あのホスクラの?え〜・・・代表かもう一人の子かどっち・・・かなぁ??』
    『えぐいっすよお・・・かけてくるってゆうから待ってたのに全然やから、代表→マリちゃん→代表→俺経由で聞いたんすよ!!もう!!』

    ぁぁ・・・ゆうたような・・・

    2006-10-06 23:23:00
  • 278:

    ◆r11LF9gUco

    これがポチだったらどんなにいいか。

    『ごめん忙しいうえに忘れっぽいんよWW また行くね〜ばいばい☆』

    早く切りたい。

    2006-10-07 09:01:00
  • 279:

    ◆r11LF9gUco

    『ちょWW どんだけ俺としゃべりたないねんWW』
    楓が笑う。
    『そんなんおもぉとらんWW ただ眠いし切りたいなぁみたいな・・・WW』
    『あ!!夕方起床タイプ??!!ごめんごめん!!んなまたかけますわ〜☆あ、登録しといてや!!んなっ』

    2006-10-07 09:06:00
  • 280:

    ◆r11LF9gUco

    ・・・こんなうるさい感じやったかな・・・??
    まぁいい。
    あたしは携帯をテーブルに置き、また支度を始めた。

    2006-10-07 09:08:00
  • 281:

    ◆r11LF9gUco

    ようやく店につくと、時間帯をずらしといた客がもう来ていたり、ヒメカが遅刻していたり、マリが泣いていてホールになかなか出てこなかったり、ボーイの顔面にガーゼが貼ってあったりとやたら大変だった。
    しかし前ちゃんは一人焦るあたしを見て、放置中にもかかわらず、ガハハとおっさんの様に笑っていた。
    (もぉ帰りたい・・・;;)

    2006-10-07 09:21:00
  • 282:

    ◆r11LF9gUco

    『ご新規二名様○∴¢£・・・らっしゃいませ〜ぃい!!!!WW』
    思いっきり噛んどるがな!!
    ボーイよしっかりしてくれ・・・
    指名客の席につき、色々世間話していると、呼ばれた。

    2006-10-07 09:28:00
  • 283:

    ◆r11LF9gUco

    『さっき来たばっかりじゃんか!!なんね今日の殺人的忙しさは・・・女の子も今日に限ってぶち休み多いし・・・ぶつぶつ』
    『りょ〜ちゃん相変わらず方言大魔王やなWW がんばっといで☆生きてもどっておいでやWW』
    仮に客Aとするこの勝慎太郎のごときダンディーなオジサマは、あたしの理解ある太客の一人。
    『らじゃー!!一時ごちそーさん♪』
    あたしは席を立ち、すぐに違うボックス席に案内された。

    2006-10-07 09:37:00
  • 284:

    リあるたいむ?

    2006-10-07 09:40:00
  • 285:

    ◆r11LF9gUco

    『はじめまして。お隣失礼してもいいですか?』
    仕事なので新規にはやたら丁寧。話のなかで、相手に合った接客を見つけていくのがあたしのやり方。
    『うわ!!よそよそしい!!』
    (なんならぁ・・・いちいちうるさいガキじゃのぉ・・・)

    2006-10-07 09:42:00
  • 286:

    ◆r11LF9gUco

    隣に座った相手は、楓だった。
    『え!!!!何きとるん!!!!』
    ・・・思わず。
    『何きとるんて・・・来たらあかんのかい!!』
    楓がケラケラ笑う。

    2006-10-07 09:45:00
  • 287:

    ◆r11LF9gUco

    嫌。
    嫌だこの人。
    やっぱりちょっとポチに似てる。
    接客中の笑顔と、そうでない時の笑顔が全然違う。
    笑顔が、ポチに似ている。

    2006-10-07 09:47:00
  • 288:

    ◆r11LF9gUco

    胸がまた、痛む。

    『りょうちゃん?』

    覗き込む黒いまんまるな目に、ひどい顔のあたしが映っていて、我に返った。

    2006-10-07 09:49:00
  • 289:

    ◆r11LF9gUco

    『や、なんもない!!あ、何の飲む?!!』
    『・・・ん。じゃあドンペリ。』
    『しねWW』
    『なぁ〜。りょうちゃん好きな人おるん?』

    2006-10-07 09:52:00
  • 290:

    ◆r11LF9gUco

    『何よいきなり・・・。』
    『だってこないだ店きた時もなぁ〜たまにめっちゃ切なそ〜な顔しとってやぁ、好きでたまらん奴でもおるんかなぁ思って気になったから来ちゃった!!WW』
    『何ソレW』
    『あ、お兄さんピンドン!!をコールなしで物凄く自然に気配消しながらもってきて!!ウルサイのしんどいやろお互い!!』
    『何ソレWWW』

    2006-10-07 09:57:00
  • 291:

    ◆r11LF9gUco

    >>286 ばっちりリアルタイム?でしたねWW 用事してからまた書きます☆

    2006-10-07 10:00:00
  • 292:

    あリがとう?!!

    おもしろいから
    毎日楽しみにしてる?

    2006-10-07 10:35:00
  • 293:

    ひまり

    ドキドキ…?

    2006-10-07 10:35:00
  • 294:

    ??

    あげ(*´艸`)??

    2006-10-07 16:56:00
  • 295:

    ◆r11LF9gUco

    あさん>おもしろいとか・・・ヨダレ出そうになるぐらいうれしい( ;ω;)
    ひまりさん>ハァハァ・・・?WW
    ??さん>あげてくれてありがとう??

    2006-10-07 19:48:00
  • 296:

    ◆r11LF9gUco

    楓が、ポチと重なって仕様がない。
    ポチもこうして、仕事と私生活とはまったく違う顔を持っているのだろうか。
    『りょうちん?』
    明るい髪に黒い瞳。
    ポチの色違いみたい。

    2006-10-07 19:52:00
  • 297:

    ◆r11LF9gUco

    『また考えてたやろぉ!!ぶぅ!!』
    (ぶぅ!!て・・・店のクールキャラとのギャップすごいわいねぇ・・・。)
    『や、別に。よくそんなキャラ変えよるん??』
    適当に話を変えつつ、そういえばヒメカもクールキャラがどうとか言っていたなぁと考えていた。

    2006-10-07 20:03:00
  • 298:

    ◆r11LF9gUco

    『・・・早くゆってや。そいつんこと。』
    黒い真ん丸な目にみつめられると、錯覚してしまう。
    あたしはポチのことをあまり深く言わない。マリにさえ。
    なのに・・・
    気が付けば、涙混じりに、ため込んでいた言葉を次々と吐き出していた。

    2006-10-07 20:05:00
  • 299:

    ◆r11LF9gUco

    その間楓くんは相づちもうたず、ただじっとこちらを見ながら、静かに聞いていた。

    2006-10-07 20:07:00
  • 300:

    ◆r11LF9gUco

    ひとしきり胸のつかえが取れると、騒々しいコールによって、あたしは現実へと引き戻され、同時に、顔に火が点いた。
    『うわ!!なんかべらべら喋ってしもぉとった!!ごめんお客さんやのに・・・』
    相反して冷たい両手で、顔を覆った。
    穴があったら是非とも入りたい状況である。

    2006-10-07 20:15:00
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