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━†Tears†━

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  • 1:

    ◆O0SM2LCy2c

    「ねぇユキナ…ユキナは、大きくなったら何になりたいの?」
    『ゆーちゃんねぇ、ママみたぃになりたい!!』  「……ママみたい?」  『そぅ!大きくなったらねママみたぃになりたい☆』   

    ママみたいに―――…

    2006-07-31 03:10:00
  • 7:

    ◆O0SM2LCy2c

    《ちょっ!待って待って!店の名前何やったっけ?》《………は?》
    《いいから☆店の名前!》《……Tearsやけど。》 《了解分かった〜。あっ、引き止めてごめんやで!仕事頑張ってな!!》

    それだけ聞いて、さっさと歩いていってしまった男。   
    変なヤツ・・・・

    2006-07-31 15:54:00
  • 8:

    ◆O0SM2LCy2c

    この街を歩けば、いくらでもある数あるキャッチ。 だけど、アンタはなぜか 周りとは違う気がしてた。出会ったあの瞬間――― 
       
    《…キナ!…ユキナってば!!》
    《あ……え?》
    《呼ばれてるよ。さっきから…。笑》       《あっ…ごめんボーっとしてた。ありがと彩華!》

    2006-07-31 16:05:00
  • 9:

    ◆O0SM2LCy2c

    《ゆきなさーん!早く早く。笑 二番戻りまーす!》《はーい…。》
    《…雑誌効果抜群ですねっ。すごいかぶり具合☆》 テーブルに案内される間、ボソっと耳元でボーイが呟く。
    《………そぅやね。》  

    ふと店内を見渡して、愛想笑いをして答えた。今日ばかりは店内のほとんどが、あたしのお客様で埋め尽くされていた。

    2006-07-31 16:16:00
  • 10:

    ◆O0SM2LCy2c

    《お疲れさまでした〜!》《あっ、お疲れぇ〜☆》    
    am1:00――【営業終了】   
    《ユキナさんっ!!お疲れさまでしたぁ〜☆》   《あ…モモちゃんお疲れ》ニコニコと笑顔で声をかけてきた同じ店の【モモ】。人形みたいなクリンクリンの巻き髪に、フリルのたくさん付いたピンクのドレスが良く似合っている子。     
    《今日は、いつもに増してすごかったですねぇ〜!!ユキナフィーバー☆笑》 《あはは何それ…?そんな事ないよ。笑》
    《いやぁ〜ユキナさんにはかないませんよぉ☆ほら、今月も素晴らしいっ。》

    2006-07-31 16:36:00
  • 11:

    ◆O0SM2LCy2c

    そう言ってモモちゃんが指差した先には、更衣室に貼ってあるグラフ―――。   
    ━━club Tears━━
    No.1  【ユキナ】     
    もう、かれこれ何ヵ月かは変動のない順位表。   《ユキナさん見習ってモモも頑張らなきゃっ☆》  そう言ってまたフリルやレースのついた可愛らしい私服に着替え終わった彼女が、この店のNo.2。
    “守ってあげたくなる女”というレッテルが、ものすごくふさわしい気がする…。

    2006-07-31 17:00:00
  • 12:

    ◆O0SM2LCy2c

    《ユキナ、今日もお疲れ!》
    《……お疲れ様です。》 更衣室を出ると、すぐさま声をかけてきたのはこの店の【店長】。若干27歳という若さで、2年前からこの店の経営者をしている。 《やっぱり顔出しは大成功やな〜。これからまた、しばらく忙しくなるぞ。笑》今日の売り上げ清算をしながら、嬉しそうにあたしに笑いかける――
    《ユキナもこんだけ効果あったら嬉しいやろ〜!?》

    電卓を打つ手が、早まる。有名clubナンバーワンの待望の顔出しは、よほどの売り上げに貢献したらしい…。

    2006-07-31 17:11:00
  • 13:

    ◆O0SM2LCy2c

    《そうですね……。今月も頑張ります☆》  
    店長に軽く会釈をして、店を後にしようとした。  《……ユキナ。帰ったら、電話するから。》
    去り際に耳元で、呟かれる。

    あたしは、何も答えずにそのままその場を後にした。

    2006-07-31 17:16:00
  • 14:

    ◆O0SM2LCy2c

    そう、あたしは2年前から店長と付き合っている。 彼が、この店の経営者として他店から移動してきた時から。理由は、特にない。その店のナンバーワンと経営者がデキてしまう――。この世界なら、そんなどこにでも良くある話。    
           
    ビルのエレベーターを降りた。
    《あっ、お疲れさま!!》

    2006-07-31 17:24:00
  • 15:

    ◆O0SM2LCy2c

    まったく意味が分からへん・・・・。

    たかが携帯の番号を聞く為に、こんな寒い中待ってたん…?変なヤツ…… 

    あたしは、その男と携帯の番号を交換した。別に、何の意味もなかった。ただ、なんとなく他とは違う気がしたんだ。アンタの目が。その瞬間に感じた。   アンタの目は――――  あたしに似てる……。

    2006-07-31 17:46:00
  • 16:

    ◆O0SM2LCy2c

    《なんで……あたしの名前知ってるん?》
    《え…あっ…だってほら!雑誌見たからやん☆ユキナって本名なん?》
    《うん…本名やで。》     
    男の名前は、【凌(リョウ)】 といった。年は、22歳。あたしの一つ上だった。  職業は、そう【ホスト】。   
    …同じミナミで働いてるらしい。

    2006-07-31 18:00:00
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