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━†Tears†━

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  • 1:

    ◆O0SM2LCy2c

    「ねぇユキナ…ユキナは、大きくなったら何になりたいの?」
    『ゆーちゃんねぇ、ママみたぃになりたい!!』  「……ママみたい?」  『そぅ!大きくなったらねママみたぃになりたい☆』   

    ママみたいに―――…

    2006-07-31 03:10:00
  • 2:

    ◆O0SM2LCy2c

    ━━2003年・冬━━     
    「いらっしゃいませぇーいっ!!」

    いい加減、聞き飽きた――威勢のいい男達の挨拶。  
    「…雪奈、来てくれたんや。」

    2006-07-31 03:21:00
  • 3:

    ◆O0SM2LCy2c

    見慣れた従業員に軽く挨拶を交わし、もはや指定席とも言わんばかりの店の一番奥の席に座る―――。  
    『……凌、アンタいい加減にしなよ?』       
    そして、口とは裏腹に“やっぱり来た――”と言わんばかりの余裕な表情でわざとらしく隣で笑うこの最低な男。
         
    そして何より、     あたしの最愛の男―――…

    2006-07-31 03:43:00
  • 4:

    ◆O0SM2LCy2c

    「雪奈ごめんな。今月厳しくて……締日までもー少しやからさ。」
    申し訳なさそうな顔をして一応、謝る凌。
    『……もういーって。で、今日は何卸せばいいん?』決まった会話のやりとり。物分かりのいい客。   「ほんまいつもごめんな…俺がナンバーワンになったら、ユキナに欲しいもの何でも買ったるからな!!」
      
    あたしの“欲しいもの”。

    2006-07-31 03:56:00
  • 5:

    ◆O0SM2LCy2c

      

    一生、手の届かないもの…  

    2006-07-31 04:05:00
  • 6:

    ◆O0SM2LCy2c

    凌と知り合ったのは、約一年前。駅前で声をかけられたのがきっかけだった。 《あれっ…?自分アレやんな?ほらアレやんっ…!!》初対面で指を差されていきなし“アレ”呼ばわり。 なんだこの男……
    警戒したあたしは、この失礼なヤツを無視してさっさっと歩き始めた――。
    《なぁっ…!ちょっと待ってやぁ!自分雑誌のってるやんな?確かミナミの…》《……だからなんなん?》《いや…俺の店も載ってて自分の事たまたま見かけたからさ〜!ってか…今から仕事!?》
    《仕事やで。……遅刻するから。》
    その身なりを見て明らかに【同業者】だと分かった。関わり合いを持ちたくなかったあたしは、冷たく言い放つとその場を去ろうとした。

    2006-07-31 04:45:00
  • 7:

    ◆O0SM2LCy2c

    《ちょっ!待って待って!店の名前何やったっけ?》《………は?》
    《いいから☆店の名前!》《……Tearsやけど。》 《了解分かった〜。あっ、引き止めてごめんやで!仕事頑張ってな!!》

    それだけ聞いて、さっさと歩いていってしまった男。   
    変なヤツ・・・・

    2006-07-31 15:54:00
  • 8:

    ◆O0SM2LCy2c

    この街を歩けば、いくらでもある数あるキャッチ。 だけど、アンタはなぜか 周りとは違う気がしてた。出会ったあの瞬間――― 
       
    《…キナ!…ユキナってば!!》
    《あ……え?》
    《呼ばれてるよ。さっきから…。笑》       《あっ…ごめんボーっとしてた。ありがと彩華!》

    2006-07-31 16:05:00
  • 9:

    ◆O0SM2LCy2c

    《ゆきなさーん!早く早く。笑 二番戻りまーす!》《はーい…。》
    《…雑誌効果抜群ですねっ。すごいかぶり具合☆》 テーブルに案内される間、ボソっと耳元でボーイが呟く。
    《………そぅやね。》  

    ふと店内を見渡して、愛想笑いをして答えた。今日ばかりは店内のほとんどが、あたしのお客様で埋め尽くされていた。

    2006-07-31 16:16:00
  • 10:

    ◆O0SM2LCy2c

    《お疲れさまでした〜!》《あっ、お疲れぇ〜☆》    
    am1:00――【営業終了】   
    《ユキナさんっ!!お疲れさまでしたぁ〜☆》   《あ…モモちゃんお疲れ》ニコニコと笑顔で声をかけてきた同じ店の【モモ】。人形みたいなクリンクリンの巻き髪に、フリルのたくさん付いたピンクのドレスが良く似合っている子。     
    《今日は、いつもに増してすごかったですねぇ〜!!ユキナフィーバー☆笑》 《あはは何それ…?そんな事ないよ。笑》
    《いやぁ〜ユキナさんにはかないませんよぉ☆ほら、今月も素晴らしいっ。》

    2006-07-31 16:36:00
  • 11:

    ◆O0SM2LCy2c

    そう言ってモモちゃんが指差した先には、更衣室に貼ってあるグラフ―――。   
    ━━club Tears━━
    No.1  【ユキナ】     
    もう、かれこれ何ヵ月かは変動のない順位表。   《ユキナさん見習ってモモも頑張らなきゃっ☆》  そう言ってまたフリルやレースのついた可愛らしい私服に着替え終わった彼女が、この店のNo.2。
    “守ってあげたくなる女”というレッテルが、ものすごくふさわしい気がする…。

    2006-07-31 17:00:00
  • 12:

    ◆O0SM2LCy2c

    《ユキナ、今日もお疲れ!》
    《……お疲れ様です。》 更衣室を出ると、すぐさま声をかけてきたのはこの店の【店長】。若干27歳という若さで、2年前からこの店の経営者をしている。 《やっぱり顔出しは大成功やな〜。これからまた、しばらく忙しくなるぞ。笑》今日の売り上げ清算をしながら、嬉しそうにあたしに笑いかける――
    《ユキナもこんだけ効果あったら嬉しいやろ〜!?》

    電卓を打つ手が、早まる。有名clubナンバーワンの待望の顔出しは、よほどの売り上げに貢献したらしい…。

    2006-07-31 17:11:00
  • 13:

    ◆O0SM2LCy2c

    《そうですね……。今月も頑張ります☆》  
    店長に軽く会釈をして、店を後にしようとした。  《……ユキナ。帰ったら、電話するから。》
    去り際に耳元で、呟かれる。

    あたしは、何も答えずにそのままその場を後にした。

    2006-07-31 17:16:00
  • 14:

    ◆O0SM2LCy2c

    そう、あたしは2年前から店長と付き合っている。 彼が、この店の経営者として他店から移動してきた時から。理由は、特にない。その店のナンバーワンと経営者がデキてしまう――。この世界なら、そんなどこにでも良くある話。    
           
    ビルのエレベーターを降りた。
    《あっ、お疲れさま!!》

    2006-07-31 17:24:00
  • 15:

    ◆O0SM2LCy2c

    まったく意味が分からへん・・・・。

    たかが携帯の番号を聞く為に、こんな寒い中待ってたん…?変なヤツ…… 

    あたしは、その男と携帯の番号を交換した。別に、何の意味もなかった。ただ、なんとなく他とは違う気がしたんだ。アンタの目が。その瞬間に感じた。   アンタの目は――――  あたしに似てる……。

    2006-07-31 17:46:00
  • 16:

    ◆O0SM2LCy2c

    《なんで……あたしの名前知ってるん?》
    《え…あっ…だってほら!雑誌見たからやん☆ユキナって本名なん?》
    《うん…本名やで。》     
    男の名前は、【凌(リョウ)】 といった。年は、22歳。あたしの一つ上だった。  職業は、そう【ホスト】。   
    …同じミナミで働いてるらしい。

    2006-07-31 18:00:00
  • 17:

    ◆O0SM2LCy2c

    《あっ…やばっ!そろそろ店戻らなアカンわぁ〜!寒い中ごめんな。ユキナちゃんも、気付けて帰りや☆》携帯電話の時計を見て、慌てて言う凌。
    《…分かった。凌くんも仕事頑張ってなぁ。》
    《おぅありがと!! じゃあ、またメールするわぁ☆ちゃんと返したってな〜笑》
    笑顔でそう言うと、走って繁華街の方へ戻っていった。
    《……さぁ、帰ろっと。》

    2006-07-31 18:10:00
  • 18:

    ◆O0SM2LCy2c

    まさか、この日のこの出会いが、あたしの人生までもを狂わすなんて…誰が予想できただろう――?     
    《あっ…初雪やぁ〜〜!》   
    空には、今年初の雪の華が宙を舞う。
    あたしとアンタが地獄に落ちた日も、そう、確かこんな雪の日だった……      

    2006-07-31 18:18:00
  • 19:

    ◆O0SM2LCy2c

    それからというもの、凌は毎日のようにメールや電話をしてきた。仕事の合間にメールがあったり、出勤前と仕事の終わりには、必ず電話があった。そんなこんなで約1ヵ月が過ぎ――、警戒していたあたしもさすがに徐々に凌に心を開いていった…。
    ある日、彼が仕事の休みの日に二人で会う事になった。あれ以来キャッチをしている姿を見る事はなく、凌に会うのは久しぶりだった。

    2006-07-31 21:35:00
  • 20:

    ◆O0SM2LCy2c

    《ユキナちゃん!!ごめんなぁっ…待ったよな!?》待ち合わせに、ほんの少しだけ遅れてきた凌。   《……いや、今出てきたとこやから大丈夫やで☆》 車で、店のすぐ近くまで迎えに来てくれた。
    《ほんまかぁ〜…良かったぁ!お疲れさま☆寒いやろ…?はよ車乗りやぁ〜》 話すたびに、お互いの白い息が目の前で交差する‥。《……お邪魔しまぁす。》バタン――――。

    凌の車に、初めて乗った日。
    いや、彼氏以外の車に乗ったのは何年ぶりだっただろう。あたしは基本的に、アフターはしない。同伴でも店の近くのお店以外は行かない為、お客さんの車にも乗った事がなかった。

    2006-07-31 21:52:00
  • 21:

    ◆O0SM2LCy2c

    心なしか、狭い車内は緊張する……。隣でハンドルを握る凌の顔を、チラっと見た。
    《今日は、仕事忙しかったぁ〜?》
    《……え?あっう、うん…!まぁまぁ…かな。》  《どなぃしたん?緊張してるん?笑 まさかなぁ☆》 なんやろう・・うまく話せない。さっきまでは、お客さん達とあんなにも普通に話せてたのに…。 
    《なんか…凌くん私服やとイメージ違うなぁ。》
    前に見たスーツ姿と、イメージがまったく違うからかな。長身で、冬でも小麦色に焼けた健康的な肌。メッシュがたくさん入った色あせた髪…。雑誌から飛び出してきそうなそのセンスの良さは、彼のオーラをより一層引き立てていた。

    2006-07-31 22:11:00
  • 22:

    ◆O0SM2LCy2c

    《そうかぁ〜?笑 まぁ、ならとりあぇず飯でも食いにいこかぁ〜☆》
    車を走らせて、適当なご飯屋さんに入った。食べながら色々な話をした。電話やメールでは話しきれなかった、あたしは彼の色々な事を知った――。

    凌は今、母親と二人で暮らしているのだという。物心ついた頃から父親はたまにしか家に帰ってこず、知り合いの現場で鳶職をしていた彼は…18になるとすぐに夜の仕事に足を踏み入れた。
    たった一人の家族である母親は病気がちで、入退院を繰り返しているらしい。

    2006-08-01 00:09:00
  • 23:

    ◆O0SM2LCy2c

    意外なところで、同じ環境だった事に……驚いた。 実はあたしには、母親がいない。母は、3年前に亡くなった。病気ではない。 

    母は、3年前のあたしの誕生日に―――…自殺した。   

    《…キナちゃん!?おーい聞こえてる……!?》

    2006-08-01 00:20:00
  • 24:

    ◆O0SM2LCy2c

    《あ…ごめんっ。ボーっとしてた。聞こえてるで☆ …あ、コレおぃしぃ。笑》《なんやそれ☆ユキナちゃんボーっとしすぎ。笑 疲れてるんかぁ〜??》
    ・・・・えっちょっ…
    《・・・ひぃゃぁっ!!》《え……?あ…ごめんっ。俺なんかに触られるん嫌やったやんなぁ…。笑》  《…やっ、そんなんちゃぅねんっ。ほんまに……あたしこそごめん!》

    ビックリした・・・突然、オデコに手なんか当てるから。この時、凌の顔を初めて間近で見た。やっぱり、どこかあたしと似ている。彼の目は、綺麗だけどどこか深い悲しみを帯びている――…。

    2006-08-01 00:33:00
  • 25:

    ◆O0SM2LCy2c

    それから、凌とはちょこちょこ会うようになった。 次第にあたしは、同じ目をした彼が気になり始めるんだ―――…。
    “離れてはいけない”気がした。自意識過剰かも知れない。だけど彼には、あたしが必要な気がした……。    

    そしてあたしにも、彼が必要だったから―――。

    2006-08-01 00:43:00
  • 26:

    ◆O0SM2LCy2c

    「なぁ雪奈ぁ〜…もぅ一本だけ……シャンパン卸していいっ?」

    『……はぁ。アンタ、あたしを自己破産させる気なん?』

    そして現在。凌の店に通い始めて、約半年――。  あたしは、今だに彼の傍にいる。“彼女”なんて肩書きは必要ない。彼の存在が必要だから、傍にいるだけ。

    2006-08-01 00:51:00
  • 27:

    ◆O0SM2LCy2c

    「ナンバーワンまであと一歩やねんっ〜!!なぁ…頼むっ!!雪奈様ぁ〜☆」 『・・・・調子いいなぁ。分かったから…じゃあ、好きなん卸しゃいいやん。』「……マジ!?さっすが雪奈ぁ〜!!愛してるで☆」    
    嬉しそうな顔をして無邪気に笑う凌。

    アンタがあたしに見せる笑顔の中で、その瞬間の顔が一番輝いてる。そしてあたしはその瞬間、いつも涙が出そうになるねん……。

    2006-08-01 01:06:00
  • 28:

    ◆O0SM2LCy2c

    「…雪奈ぁ、悪い!ちょぃ待っててな〜。すぐ戻って来るからっ!」
    『いーよ。気にせんでいいから…頑張ってきぃ☆』 シャンパンコールが終わると、凌はすぐに違うテーブルに行ってしまう。これにも、いい加減慣れた。某大型店でNo2の彼は、やっぱり人気がある為仕方ないこと。いちいち嫉妬なんてしてたら、体がもたない…。   

    「ユキナちゃん、おはよ☆」

    2006-08-01 01:16:00
  • 29:

    ◆O0SM2LCy2c

    『あ……ルカくんおはよ☆』 
    「わ〜今日も豪勢だねぇ〜。 いつ見てもこのテーブルは賑やかだぁ☆」
    『あはは…それ誉め言葉になってなぃから。笑』  「えっ・・!?誉め言葉のつもりやったのにぃ〜!!………一杯頂いてもいいですか?笑」
    『…笑。どーぞどーぞ☆』
      
    ルカくんは、ヘルプであたしが一番話しやすい子。一つ年下で、女の子みたいな可愛い顔してすごく人懐っこい。愛敬たっぷりの彼もまた…毎月ナンバー入りをしているらしい。

    2006-08-01 01:39:00
  • 30:

    ◆O0SM2LCy2c

    略。
    ルカくんは、ヘルプであたしが一番話しやすい子。一つ年下で、女の子みたいな可愛い顔してすごく人懐っこい。愛敬たっぷりの彼もまた…毎月ナンバー入りをしているらしい。

    2006-08-01 01:44:00
  • 31:

    ◆O0SM2LCy2c

    「そういゃユキナちゃん、来月誕生日やんね〜?!」『えっ…ルカくんなんで知ってるん??』     「凌さんから聞いたぁ☆笑ユキナちゃんは冬生まれなんやぁ〜。あっ、だからユキナ??」
    そう、来月はあたしの誕生日。
    『そうだよ…だから、ユキナ☆雪の降る日に生まれたから、雪奈……。』     
      
    母の、四回忌がやってくる――――‥。

    2006-08-01 01:56:00
  • 32:

    ◆O0SM2LCy2c

    「そっかぁ〜。…いい名前やねっ☆俺、雪大好きやし!!」
    『あはは、ルカくんが言ったらなんか犬みたい……。笑』 
    「えっ・・・!!犬!?ユキナちゃんヒドイ…↓笑」   

    …凌、あたしの誕生日覚えててくれたんやね。こんな事で一喜一憂してしまう。それほどまで、あたしはアンタを愛してるから――‥。

    2006-08-01 02:04:00
  • 33:

    ◆O0SM2LCy2c

    『…ルカくんごめん!あたしちょっとトイレ!』  「はぃは〜い!行ってらっしゃいませぇ〜☆」   

    トイレに入って一人になると、いつもこの瞬間だけ ―――ものすごく孤独感に襲われる。
    フロアに流れる爆音のトランスが聞こえなくなると、なぜかあたしは一人ぼっちになった気がするんだ…。

    2006-08-01 02:16:00
  • 34:

    ◆O0SM2LCy2c

    ガチャッ――――。
    『あ……ごめんなさい。』トイレのドアを開けると、目の前に派手な女の子が立っていた。誰か待っているなんて知らず、長い間一つしかない個室に入っていたかも知れない‥。
    「…………いえ。」
    その子は、あたしから目を逸らすとそれだけ答えてすぐさまドアを閉めて中に入ってしまった。
    バタン―――。

    2006-08-01 02:23:00
  • 35:

    ◆O0SM2LCy2c

    確かあの子…… そうだ、思い出した。
    凌のお客さんだ……。

    お店で、頻繁に見かける。派手な髪型に、派手なメイク。ショップ店員のようなファッションに、目鼻立ちの整った顔が…すごく印象強かった。

    2006-08-01 02:48:00
  • 36:

    ◆O0SM2LCy2c

    おそらく向こうも、気付いていたんだろう。態度を見たら、すぐに分かる。  同じ男を好きになってしまった女の気持ち…。        

    「雪奈〜!……お前トイレ長いって。おしぼり乾いてもたわぁ。」 
    『あ……凌。ってか、乾くわけなぃやん。笑』

    2006-08-01 02:55:00
  • 37:

    ◆O0SM2LCy2c

    「乾いたねん!!笑 まっそんなんいいから残りのシャンパン飲もうや〜☆」 『はいはい・・』    「あ…雪奈っ、今日さ〜終わったら一緒に帰ろ?」 『え……うん、どしたん?珍しいやん。笑』 
    「行った事ないし、お前ん家行ってみたいなぁって思って!! …あかん?」    
    『…………いい…けど。』   
    凌が、家に来る―――? ダメだ……… 動揺が隠せない。ほんまに・・・?

    2006-08-01 03:07:00
  • 38:

    ◆O0SM2LCy2c

    ドキドキドキドキして……。心臓が、飛び出そうだった。
    そこからラストまでの会話は、ほとんど覚えていない。唯一ルカくんに、『ユキナちゃん顔赤いで!?酔った!?』って言われた事だけは覚えてる‥‥。       

    そして閉店時間――。  「雪奈、駅前のローソンで待っとぃて。」

    2006-08-01 03:13:00
  • 39:

    ◆O0SM2LCy2c

    『……分かった。』     
    凌、ほんまに来るんや……。どうしよう。。部屋綺麗やったかな……。        
    そんな事を考えながら、会計を済ませてあたしは店を出た。凌に指示された、待ち合わせのコンビニへ迎う。
    『ぅー…寒っぅぅ…』  冬の日の早朝ほど、ツライものはない…。いくら寒さには強いあたしでも、さすがにこれには応えて自然と足早になっていた。

    2006-08-01 03:20:00
  • 40:

    ◆O0SM2LCy2c

    ピンポーン―――
    「いらっしゃいませお早ようござぃま〜す。」
    コンビニに入ると、暖房で体が一瞬で解凍された気がする‥。とりあえず雑誌売場に向かい、かじかむ手でコートのポケットの中から携帯を取り出した。   画面に表示された着信履歴を確認する――。      
     
      着信2:05【店長】   着信3:12【店長】   着信4:02【店長】

    2006-08-01 03:28:00
  • 41:

    ◆O0SM2LCy2c

    うわ…… すごい着信履歴やん。
    携帯の着信履歴、メールは店長とお客さんがほとんどだった。実は、あたしはまだ店長と別れていない。 いや、正式に言うと別れられていなかった・・・  凌に出会ってからは、凌の事しか見えなくなって基本的に二股とか出来るタイプじゃなかったから良く悩んだ結果… 2年間付き合っていた彼に別れを告げた。一応、店の上司という事もあったし多少なりとも気まずい気持ちはあったけど、店なんていくらでも変わればいいと思ってた。
    だけど、別れを切り出しても納得してくれず「嫌だ」の一点張り…。結局、店を辞める事もなくズルズルときてしまい現在に至る。     

    ……本当は、誰かに支えてもらわないとあの時のあたしには耐えられなかったのかもしれない。

    2006-08-01 08:45:00
  • 42:

    ◆O0SM2LCy2c

    ズルイ女だと分かってる。きっと、いつか罰が当たることも…

    だけどね凌、あたしの罰は想像してたより遥かに残酷なものだったよ……。
      

    2006-08-01 08:57:00
  • 43:

    ◆O0SM2LCy2c

    凌が来て、二人で朝方のミナミを歩いた。
    この時間のこの街は、一番悲しげに見える。夜はキラキラと輝く賑やかなネオン街も、一瞬で、まるで違う世界のように見えるから…。  

    「雪奈んち、こっから近いの?」
    『……え?あぁ、うん。近いよ。タクですぐ!』

    2006-08-01 09:17:00
  • 44:

    ◆O0SM2LCy2c

    「そっかぁ〜。初雪奈んちだなぁ☆楽しみぃ〜。笑」ニコニコと嬉しそうに笑う凌。なんだかあたしまで自然と笑みが零れてしまう…   
    「ユキナァ、ほらっ。」 『…………え?』

    突然、目の前に差し出された大きな手―――。

    2006-08-01 09:22:00
  • 45:

    ◆O0SM2LCy2c

    「お前、迷子になりそーやから。笑 ほらっ、はやく手貸してや☆」     『迷子って……自分の家やのに。。。』           
    ゆっくりと凌に手を差し出す…。

    凌と手を繋ぐ事は初めてではなかった。毎晩、店の中でもあんなに近くにいるのに。やっぱり外でこんな事されると今更ながらに… 緊張してしまう。

    2006-08-01 09:29:00
  • 46:

    ◆O0SM2LCy2c

    「じゃあ、飯食ってから帰ろかぁ〜。腹減ったし雪奈ビクドン行こうや☆」  『うん……!!』       


    どうしてあの時、この手を離してしまったんだろう?凌は、最後まで現実と戦ってくれていたのに―――‥  

    2006-08-01 09:35:00
  • 47:

    ◆O0SM2LCy2c

    ご飯を済ましてあたし達は手を繋いだままタクシーに乗り込み、家に迎った。 『ただぃまぁ〜。』
    「ただぃまぁ〜♪」   『っ……?』
    「あ、間違えた☆自分の家やと思ってたわ。笑」    
    無邪気なところも好き。    

    2006-08-01 09:39:00
  • 48:

    ◆O0SM2LCy2c

    しばらく普通に部屋で会話してると、凌が何かに気付いたように呟いた。
    「なぁ雪奈……アレって?」
    凌の視線の先には、タンスの上に飾ってあった家族写真。家族三人で撮った最初で最後の写真……。     
    『…あぁ、うちの両親だよ☆今は別々に住んでるけどね。』
    本当は、父が何処にいるのかも分からない。父の姿を見たのは、あの日が最後だった。母の葬儀の日―― 。

    2006-08-01 09:52:00
  • 49:

    ◆O0SM2LCy2c

    あたしに母がいない事は、なんとなく凌には言わないでおこうと思った。病気がちの母親と二人で暮らしている凌には、少し酷だと思ったから。

    「そっか……仲良さそうでいいな。」

    そう呟いた凌の目に、あの日のあたしがどう映っていたのかなんて…その時は、考えもしなかった。

    2006-08-01 09:58:00
  • 50:

    ◆O0SM2LCy2c

    「なぁ雪奈…雪奈はなんで夜の仕事しようと思ったん?」
    突然の凌からの問い掛けだった。
    『……なんで…かな。世の中を見てみたくなったからかな。昼間には見れない世界を、あたしも見てみたくなったから。』

    母が残した唯一のモノ…。あたしの母は、若い頃から水商売をしていた。もともと店のオーナーだった父と知り合い、二人はそのうち付き合うようになった。 三年後にそのまま結婚して翌年に、あたしが生まれた。

    2006-08-01 10:14:00
  • 51:

    ◆O0SM2LCy2c

    幼なかったあたしは、父の事も母の事も大好きだった。父が休みの日は家族三人で、いつも何処かへ出かける。あたしの誕生日には、毎年大きなケーキとプレゼントが用意されていて…    
    ずっとずっと、そんな当たり前のような幸せが続いていくんだと思ってた。     

    あの日、母が死ぬまでは。

    2006-08-01 10:22:00
  • 52:

    ◆O0SM2LCy2c

    中途半端ですが今日はここまでにします。読んでくれている方がいましたら…有難うございましたo(^-^)o

    2006-08-01 10:24:00
  • 53:

    ◆O0SM2LCy2c

    《ねぇ…ユキナ、ユキナは大きくなったら何になりたいの?》
    《ゆーちゃんねぇ、ママみたぃになりたぃっ☆》  《ママ……みたい?》    

    母は、とても悲しそうな顔をしていた。
    その細い方で、どんな苦労をしてきたの?どれだけ自分を傷つけてきたの?

    2006-08-05 15:32:00
  • 54:

    名無しさん

    あげ

    2006-08-05 15:55:00
  • 55:

    ◆O0SM2LCy2c

    小さいあたしには、母の気持ちを理解する事が出来なかった。

    人を愛するって、こんなにもツライものなんだね。 ママ……大人になった今、ようやく分かるよ。理想を追っては覚悟を背負い傷が増えるばかりだった日々。   
    涼に出会って、彼を愛して  
    初めて身に染みたんだ。

    2006-08-05 16:23:00
  • 56:

    ◆O0SM2LCy2c

    ♪〜♪〜♪
    静かな部屋に突然鳴り響いた携帯電話。
    「俺…?あ、ちゃうわぁ」『……え!?あたし?』 「おぅ。カバンの中〜笑」凌に言われて慌ててカバンの中から、携帯を取り出した。
    あ・・・・・。
    掛け直すのをすっかり忘れていた。鳴り響く音の発信源は、【店長】からだった……。

    2006-08-05 16:28:00
  • 57:

    ◆O0SM2LCy2c

    55サン、あげてくれてありがとうございます☆
    57番、名前の漢字【涼】じゃなくて【凌】でした! すみませんm(__)m

    2006-08-05 16:30:00
  • 58:

    ◆O0SM2LCy2c

    うわ…… どうしよう。   
    携帯片手に固まっていると、凌が横から画面を覗き込んできた。
    「なんやなんや〜☆男かぁ?あれ…?【店長】って出てるやん。はよ出なマズイんちゃん?笑」

    今、この状況で電話に出る事の方がもっとマズイ……。凌は、あたしと店長が付き合っている事なんて知らないから――。

    2006-08-05 16:35:00
  • 59:

    ◆O0SM2LCy2c

    『…あっ、いいねんいいねん!!この時間にかけてくるってどうせろくな事じゃないから〜。多分、出勤時間早めて欲しいとかそっち系☆…だから平気っ。』   
    不様な言い訳。あたし、今すごく格好悪いよね・・   
    「そっかぁ?なら、いーねんけど☆…じゃあ、放置プレイで。笑」

    凌と付き合ってるわけじゃないんだから、別に必死になって隠す理由はない。 だけどやっぱり… あたしはズルイ女やと思う。

    2006-08-05 16:42:00
  • 60:

    ◆O0SM2LCy2c

    「あっ、そぅやユキナ…。お前今なんか欲しいもんある!?」
    『え……欲しいもの?』 「そうそう☆来月、誕生日やろ?遠慮せんと何でも言えよぉ〜。あ、家とか車!とかはナシやで。苦笑」    
    誕生日…。あたしの欲しいモノ。凌からあたしへのバースデープレゼント。     
    「あたし………」

    2006-08-05 16:48:00
  • 61:

    ◆O0SM2LCy2c

    ・・・・やっぱり、言えない。彼を困らすような事は言えない。あたしは、見返りなんて求めていない。求めたくない。
    ホストである【凌】には求めても仕方のないモノだと分かっているから…。    

    「なんやなんやぁ〜?あ、まさか俺〜とか言うんちゃうやんなぁ!?」
    『………はは☆そんな痛客みたいな事言わへん…よ。』           矛盾した心。胸が痛い。

    2006-08-05 16:54:00
  • 62:

    ◆O0SM2LCy2c

    「なんやぁ〜。 ほな、今何が欲しいんやぁ??」 『……えっとねぇ、あっ今炊飯器壊れてるねん。。だから炊飯器が欲しい!!』「・・・炊飯器て。笑  お前、ムードのかけらもなしやな。。笑」

    そう言って、凌は呆れたように笑っていた。

    その後、少しの間他愛もない話をしていたけれど、気付いたら二人とも疲れてカーペットの上で眠ってしまっていた。

    2006-08-05 17:01:00
  • 63:

    ◆O0SM2LCy2c

      
    凌が欲しかった。    どうしようもないくらい、アンタが欲しかったんだ。振り向いて欲しくて、あたしだけを見て欲しくて。   

    無力さに、吐き気がしたよ……              

    2006-08-05 17:06:00
  • 64:

    名無しさん

    (>_

    2006-08-05 23:22:00
  • 65:

    ◆O0SM2LCy2c

    夕方、ようやく目が覚めて用意をしてからミナミへ向かい駅で凌とは別れた。 店に着くと、更衣室に向かう途中にすぐさま店長に呼ばれた……。

    「ユキナ、昨日の夜何してたん?」
    『……すいません。寝てました。』           
    店の従業員には絶対バレてはいけない。だから、どんな時でも店の中ではいつも敬語で話すようにしていた。

    2006-08-06 01:04:00
  • 66:

    ◆O0SM2LCy2c

    「…今日、帰ったら電話するから起きといて。」    
    彼がそう言った日は、仕事が終わってから家に来るという事。 …あたしは、何も返事が出来ずにそのまま更衣室に向かった。      

    『いらっしゃいませ。お隣失礼致します☆』
    今夜も、あたしは妖艶の笑みで笑い続けるしかない。No.1ユキナという作り物の仮面を被って―――‥

    2006-08-06 01:14:00
  • 67:

    ???

    ぁげ

    2006-08-08 15:41:00
  • 68:

    名無しさん

    らい

    2006-08-19 14:53:00
  • 69:

    名無しさん

    ぁげ

    2006-09-29 06:37:00
  • 70:

    名無しさん

    待ってます☆

    2006-09-29 13:55:00
  • 71:

    名無しさん

    もう書かんの?

    2006-10-05 22:30:00
  • 72:

    名無しさん

    あげ?

    2006-10-27 04:08:00
  • 73:

    チコ

    ゅっくり自分のペースでね

    2006-10-27 06:39:00
  • 74:

    ◆O0SM2LCy2c

    ピンポーン―――       
    『……はい。』
    ガチャ――
    「おう…お疲れさん。」 am3:00。
    先に送りで家路についてたあたしの元には、やっぱり予想通り【彼】がきた。

    2006-10-27 09:59:00
  • 75:

    ◆O0SM2LCy2c

    「お前、昨日の夜…何してたん?」
    慣れたように部屋へとあがると、開口一番 早速昨日の事を聞かれる。
    『……体調悪くて。早い時間から…寝てた。』
    《【ホストクラブ】へ行っていました。》なんて、口が裂けても言えないし。   
    「ふ〜ん…。お前さ、俺の事もう好きじゃないん?」

    2006-10-27 10:05:00
  • 76:

    ◆O0SM2LCy2c

    《もう好きじゃないん?》   
    『…どしたん?急に。ってかさ…あたし何度も別れ話したやんね?』
    拍子抜けする彼の言葉。繋ぎ止めているのは、自分の方なのに。
    「…だからそれは、俺の事が好きやないから?」

    2006-10-27 10:11:00
  • 77:

    ◆O0SM2LCy2c

    そうかも知れない。
    ううん。《好き―?》初めからそんな感情さえ良く分からなかった。

    あたしの心は凌に出会ったあの日から、彼だけで溢れ過ぎていて…            
    『ごめんね…ほんとに別れよう?』

    2006-10-27 10:16:00
  • 78:

    ◆O0SM2LCy2c

    彼だけが全てだった。     
    彼だけしか見えていなかった。

    「……お前さ、ホストと付き合ってるんやって?」 突然投げ掛けられた言葉。不意を突かれる――
    『…え?なん…で。』

    2006-10-27 10:20:00
  • 79:

    ◆O0SM2LCy2c

    「…やっぱりそーやろ?俺一応経営者やで?同業の噂なんてすぐに耳に入るねん。」
    『付き合っては…ない。』何の為の否定―?誰の為に認めたくないんだろう―?

     「…じゃあなに?」

    2006-10-27 12:48:00
  • 80:

    ◆O0SM2LCy2c

    【片思い】――?
    ううん、そんな安っぽい言葉で表したくない。
    あたしと凌はお互いに傍にいなきゃいけない【運命】だったんだ…

    それは今も変わらないはずだったのに――

    2006-10-27 12:52:00
  • 81:

    ◆O0SM2LCy2c

    ねぇ、凌?
    アンタもあの頃同じように思ってくれていた?      
    あたし達の信じた【運命】は残酷なモノだったけど あたしは後悔してないよ…  
    あなたと出会えた奇跡――

    2006-10-27 12:56:00
  • 82:

    ◆O0SM2LCy2c

    「で、結局はそのホストが好きなわけやろ?」
    『……うん。』
    ようやく言えた――…
    「…お前、店には行ってんのか?」
    『行ってるよ。たまに…』さすがにほぼ【毎日】とは言いにくかった。

    2006-10-27 13:03:00
  • 83:

    ◆O0SM2LCy2c

    【ホスト】なんかに通う女は、興味ない女の人や他の男の人から見たらただの馬鹿な女―――。

    「…お前も安い女になったな。プライドの欠片もなくなってもたんか?せいぜい金づるにされて捨てられんよーにな。」

    こんな言葉だって、予想はしていたから。腹なんて立たなければ悔しくもない。

    2006-10-27 13:13:00
  • 84:

    名無しさん

    あげ?

    2006-10-28 15:40:00
  • 85:

    ◆O0SM2LCy2c

    むしろ、否定して欲しかったんだ。それで、この一年間が【確か】になるのなら。  
      
    “薄情なプライド”なんて欠片もない馬鹿な女になりたかった――‥

    2006-10-29 00:15:00
  • 86:

    ◆O0SM2LCy2c

    一年間の終止符をようやく打つ事になり、彼は部屋を出て行った。 
      
    《急に辞められても困るから店には残ってくれ》    
    という条件とともに。
    また一から店を探すのが 面倒だったあたしには、好都合だった。

    2006-10-29 00:20:00
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