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花火***
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7:
紫織がホストの彼氏、佑にハマり出したのはここ2〜3ヵ月。紫織はああゆうけれど、所詮彼らも水商売。あたし達となんら変わりは無い。客は客、店で疑似恋愛して、気分良くしてあげて金を落とさせる。
そう、一緒じゃないか。
あたしの目には紫織は夢を見てるようにしか見えてなかった。だけど、紫織がその彼氏を好きなら、口出すことも出来ない。
見守るしか出来ないんだ。2006-07-26 04:29:00 -
8:
ドレッサーの鏡越しに自分を映し、グロスを塗りながら思う。『紫織、ほんとに大丈夫かな』心配をよそに店は始まる。あたし個人の気持ちなんて、あっとゆう間に置いていかれる。
その前に早く、いつものように切り替えなきゃ。
夜は長いんだから。2006-07-26 04:34:00 -
9:
「蘭さん!」ボーイが慌ただしく待機室のノックを叩く。『はいはい』「4番、8番テーブルにお客さまみえてますので!」
『はいよ〜』
鏡の前で一回転して、いつものように、おまじないのように暗示を掛ける。
『今日もばっちり☆』2006-07-26 04:40:00 -
10:
ホールに出ると、紫織の姿が目に付いた。『お、紫織ももう席着いてんじゃん』ふと客席に目をやると明らか他の客とは違う男たちが3名。『あ、例の彼氏か。店にまで来てご機嫌取りとは、彼氏も大変だね』
"ホスト"が悪いとは思わない。あたしだって夜の人間だし彼らも同じだ。それに周りには割り切って楽しむ感覚でホストに行く子も多い。全否定してるわけじゃないんだよ、紫織。
…だけど、"彼氏"としてはどうなの?って話。2006-07-26 04:47:00 -
11:
『岡ちゃん♪おはよー』
「お、蘭。おはようさん」『来てくれてありがとね』「近くまで寄ったさかい、ちょい顔見とこう思てな」
この人は大阪の人で、出張で週に1度は東京にくる。そのたびあたしに逢いに来てくれる。嬉しい限りだ。お客さんに恋愛感情を持ったことは無いけど、ふとする時、愛しくてたまらないそんな気持ちになる。
あたしという人間がちゃんと存在出来てるんだと、再確認出来る。2006-07-26 04:54:00 -
13:
PM、23:00―
指名客の席を睦なく回り、一息つこうと、ヘルプ子に少し席を任し待機室に入った。『はぁ…』たばこに火をつけ溜め息をついていると、《ガチャ!》
『紫織!』「らーんー♪」抱きついてくる紫織を一目見て分かった。『あんた、酔ってるね』「だって〜、たっちゃんが飲ますんらもん☆」『もう、こんな時間にそんな酔って!』
ボーイに冷たいおしぼりと水を頼み、紫織を寝かして『いい?少しここで休んどきなよ』「うん〜」
相当出来上がってる様子。2006-07-26 05:06:00 -
14:
ありえない。
自分の彼女を営業中にも関わらず、あんなになるまで飲ませるなんて。『主任』「ん、蘭か。どうした?」『紫織潰れて待機室で寝かせたから』「やっぱりか。あの席ヘルプの子にも飲ませまくりで困ってんだよ。その割に単価は安いし…」
『あたし行きます。キャバクラじゃあるまいし、飲み方も知らない青臭い奴らには早急に帰って貰います』
「ま、お前なら大丈夫か」『その代わり、紅美ヘルプに付けて』「…了解♪」2006-07-26 05:15:00 -
15:
気合いを入れ直し、紫織の彼氏の席に着く。『はじめまして、蘭です』そこにはここにも出来上がってる、安っぽいホスト達の姿。
「おー♪ちょー可愛いー、こっちおいでよ」と、肩に手を回すこの男。「佑ぅ、紫織ちゃんに怒られんぞ」
―やっぱり、"佑"か。
2006-07-26 05:23:00 -
16:
「失礼します。紅美です」「お、紅美ちゃんかー、蘭も紅美も可愛いねー」顔を近付けながら佑が言い寄ってくる。「あたしは全然。でも蘭はこの店の?2ですからね」『よく言うよー!紅美なんて?1じゃない』あたし達のこの言葉にホスト達は凍りつく。
「あ…、二人は?1と?2なんだ?」『一応ね。そんな大したもんじゃないよ』「えっと、佑さん?紅美達も何か飲んでいい?」
紅美のこの言葉に更に凍りつく佑達。2006-07-26 05:36:00