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東京心中24時50分

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  • 1:

    NN

    毎晩毎晩、その一瞬一瞬に新しいホストが生まれ、そして消えていく。彼らに行く末は何処にもないのかもしれない。それとも永遠にこの世界で生きていけるという道があるのかもしれない。
    どちらにせよ、消費されていくんだ、体も心も。そして新しいものが生まれていく。消耗品であることは間違いないみたいだ。いつ自分は消えていくのかな。

    2005-10-21 02:30:00
  • 391:

    NN

    新規の客だ。ホストはみんな一度は顔を見せに行く。そこで自分をアピールして指名をもらう..。俺はシュナというエースを失ってから新規に敏感になっていた。「もー彩人っ寝てるのぉ?ぼーっとして」アンジュが心配そうな顔で彩人の顔を覗き込む。「シャンパン飲んだら目覚めるかも」笑いながら彩人がいうと「おしきた、クリューグ!」アンジュはクリューグをはじめ、シャンパンを一瞬にして数本おろした。

    2005-11-24 23:41:00
  • 392:

    NN

    コールがおこる店内で、奥に座っている新規の女は、驚いたように彩人の席を見ていた。派手なシャンパンコールが終わる。その後、なじみの客が3、4組現れ俺は、慌しく席を行き来きしていた。その横で同じようにカオルさんも忙しそうに席をまわっている。カオルさん指名の客は大体、1時間で15分〜10分しかカオルさんと話せない。人気ホストは指名がとにかくかぶり、それでもとカオルさんを指名する客は、どんどんシャンパンをおろし相当太い客が多い。「彩人、新規つけ。」と、雷さんに声をかけられた。ああ、あの席か。「ちょーっと乾杯」「ええっ彩人もぉどっかいくの?」女が彩人のスーツを引っ張る。「いやすぐ戻るよ」そういって俺は女の頭をなで、急いで新規の客のもとへ歩いた。

    2005-11-24 23:43:00
  • 393:

    NN

    「初めましてー彩人です。」「あっはじめまして、愛です」「愛ちゃんね」俺が笑うと、女は頭を下げた。こりゃあホストクラブ初体験だな。女の顔を見ると、そこそこ綺麗な顔をしている。髪の毛は巻かずストレート。黒いジャケットに白のキャミソール、細身のGパンに黒色のサンダル。水商売や風俗のような派手さはない。昼職か..何となくそんな感じがした。時計ナシ。アクセサリーなし。バックは小さな黒。これは細いな。一瞬にしてそう思った。

    2005-11-24 23:44:00
  • 394:

    NN

    「今日はどうしてお店に来たんですか?」「えっと..一回こういうところにきてみたかったの」そうなんだ、と俺は返す。10分もたたないうちに、他のホストが現れたので俺は名刺だけ置き席を立った。通路を歩いていると、すれ違ったカオルさんが俺につぶやく。「あの新規。愛ちゃん。」「え?」俺が振り返る。「あっれは太い思うで。」「は?」意味がわからなかった。俺は意味のわからないまま、席に戻った。太い?そんなわけはないだろ。

    2005-11-24 23:45:00
  • 395:

    NN

    次にアリスが愛の席についた。「はじめましてー」アリスが微笑むと、愛は「はじめまして」といった。「愛さんはいくつですか?」「22だよ。アリスくんは?」「18!」「若っ!」合コンみたいな会話が場を和ませる。愛にも自然と微笑みが出る。「ねぇアリスは何でホストになろうとしたの?」愛は酒を作り出すアリスの顔を見てつぶやいた。「えーっなになにいきなり」突然の質問にアリスは目を白黒させる。「何かキッカケ、あるでしょ?人が何かする時は」「そぉだけど。うーん、きっかけかぁうーん」ホストになとうとしたきっかけ..はテレビを見てかっこいいなぁって思っただけの、すごくミーハーな理由なんだけどなぁ、そんなこといったらカッコ悪いしもっと何か絵になることいわなきゃいけないのかなぁ、アリスは答えに詰まる。

    2005-11-24 23:49:00
  • 396:

    NN

    「ごめん困らせちゃった?」「ううん、ミーハーな理由ではずかしいから言えないよ」アリスはいただきます、っと、いってグラスを持ち上げる。カチン、という音が小さく響く。「後悔したくないんだよね。やりたいことやりたいなぁって思った。」「もしホストして売れないままだったらどうするの?」愛がアリスの答えくいつく。「今、現にこうして僕、売れてないんだけど、何か明日があるっていう希望があるんだよね」「希望?」グラスの汗をアリスはハンカチで拭く。

    2005-11-24 23:51:00
  • 397:

    NN

    「うん、希望。だって明日があるじゃん。明日があるってことは、明日にはもしかしたら可能性があるってことかもしれないよね。今日苦しくても泣いてても、明日にはどうなるかわかんないじゃん。」「希望・・明日がある」愛がグラスを両手で抱える。「あっごめんね偉そうなこといって、ごめんっ。ちょうしのった!」アリスは頭を下げた。いいのいいの、と、愛は大きく手を振った。愛は、指名をアリスに入れたようだ。初の指名にアリスは大喜びし、雷さんは「アリス調子にのるな」といっていたけど、内心は嬉しそうだった。

    2005-11-24 23:53:00
  • 398:

    NN

    アリスは早速席についた。その様子を心配してか、雷さんも保護者のように愛の席についた。何だかんだいってアリスを一番心配してるのは雷さんだ。せっかくついた初めてのお客さんに無礼がないように監視するのだろう。「指名ありがとー!初指名なんだよね。嬉しいなぁ」アリスがニコニコすると、雷さんは横で「ヘルプの雷です」と微笑んだ。「どうも」と愛は笑った。「こいつのどこがよかったですか?」雷さんが単刀直入にそう訪ねると「一生懸命なところ」と答えた。そして「あのお酒なに?」と店の中央に置かれたショーケースを指差した。「あれはねーリシャールっていうお酒だよ。お値段100万」「あれおろして?」「は?」アリスが聞き返すと、「あれ、飲みたいから。」一瞬席が凍る。

    2005-11-24 23:54:00
  • 399:

    NN

    雷は「あっあれは100万で」お金の心配が..と付け加えようとした瞬間、愛は黒いバックから100万円の束を置いた。「ちゃんと、お金、あるんで。」そう言った瞬間、また席が凍った。雷は「あつし!リシャール出して」と大きな声で新人ホストに声をかける。あつし リシャール出して その声に俺は振り返る。今…リシャールって聞こえたのは気のせいか?俺があつしを見るとあつしはリシャールを持ちアリスの席に置いた。「リシャールはいりました!ありがとうございます!」ホストの声が響く。

    2005-11-24 23:55:00
  • 400:

    NN

    愛ちゃん あっれは太いと思うで カオルさんの声が響く。その言葉に後押しされるように、アリスの席でドンペリが10本空いた。マイクごしのポン、ポン、とどんどん抜かれていく酒の筒が愛の太さを物語った。愛はその日300万近くアリスに落とした。アリスはそのまま愛とアフターで焼肉を食べに行くらしい。朝から焼肉..さすが最年少ホスト。若さとパワーが違う。

    2005-11-24 23:56:00
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