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東京心中24時50分
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1:
NN
毎晩毎晩、その一瞬一瞬に新しいホストが生まれ、そして消えていく。彼らに行く末は何処にもないのかもしれない。それとも永遠にこの世界で生きていけるという道があるのかもしれない。
どちらにせよ、消費されていくんだ、体も心も。そして新しいものが生まれていく。消耗品であることは間違いないみたいだ。いつ自分は消えていくのかな。2005-10-21 02:30:00 -
382:
NN
俺がリビングに布団をひいていると、風呂から出てきたカオルさんは「あっ俺ひくで!」と駆け寄ってきた。「これTシャツと下ジャージでいいですか」差し出した黒色のジャージを見ると「かっこいいやん!」とカオルさんは笑顔になった。「ありがとなー。」まさかカオルさんにジャージを貸す日ができるとは思わなかった。「彩人部屋で寝るん?」「そうですけど。」「そんな寂しいこといわんとさー修学旅行みたいにこう、こっち横布団ひいて寝たらいいやん。俺こんなだだっぴろいリビングで1人で寝たら寂しくて死ぬわ!」気がつけば俺はもう1セット布団をかかえてリビングにやってきていた。
2005-11-24 23:11:00 -
383:
NN
本当に完全にカオルさんペースだ。もう1時。体がだいぶだるい。それをわかってか、カオルさんは「あやちゃんごめんなーわがままゆうてー」と、つぶやいた。部屋を完全に閉め切る。カーテンの外には太陽が照っているはずなんだけど、この部屋はもう何時なんだかさっぱりわからない。カオルさんが部屋にいる時点で、もう全く違う空間に見える。「あーっ」声を上げるとカオルはリビングの床に散乱する膨大な数のホスト雑誌を手に取る。「俺の表紙のやつやーいやーこうして見るとハズイ!この写真ちょっと写り悪いしなー。」
2005-11-24 23:12:00 -
384:
NN
「カオルさんは自分が載ったのとか、店が載った雑誌とかは編集の人からもらわないんですか?見たりとかしないんですか?」俺は自分のページをよく見る。写真ひとつにしても、ああこっちの角度の方がよかったかな、とか、ちょっと写りが悪いかな、なんていってみたり。毎回「今回どう!?」と感想を求めすぎて、東吾から「うざい」なんていわれることもしばしばだ。だけどそれ以上にカオルさんのページは隅から隅まで見ている。「俺なぁコラム連載してるやん?コラムは見て今回つまらん!とかダメ出しするねんけど、他の自分のグラビアとかインタビューとかはほっとんどみぃひんなぁ。」「何でですか?」
2005-11-24 23:13:00 -
385:
NN
さっきから彩人インタビュアーみたいになってんなぁとカオルさんは笑った。気がつけばカオルさんを質問攻めにしていた自分がいた。本当に雑誌のインタビューみたいだ。「最初はあっ俺雑誌載ってるわ!なんて思ったんやけど。だんだん雑誌の中に氷咲カオルがいても、俺がおらんってわかって。自分のことかどうかってピンとこぉへんねん。」カオルさんは布団にもぐりこんだ。俺は一瞬呆然としたんだ。―じゃあ雑誌の中のカオルさんは何? 今俺と話しているカオルさんは?天性のホスト・氷咲カオルなんて人間はほんとうにカオルさんの中に存在してるのかな。
2005-11-24 23:14:00 -
386:
NN
よく考えれば入店してから一度として、カオルさんと一対一で長く話したことはなかった。カオルさんは小さくつぶやいた。「そろそろ被写体するんは飽きたのかもしれん」カオルさんの言葉に隠された本当の意味を知るまでそう時間はかからなかった。
2005-11-24 23:15:00 -
387:
NN
■■
ホストクラブなれしている客、今日が初めてだとツレと2人で現れる客。ホスト目当てに来る客。ただ仕事のストレスを 発散させに現れる客。客の種類も目的もばらばらだ。ただホストにかける金に「欲望」を混ぜ込んでいる。そしてその欲望の裏には、寂しさが重なりあってるように見える。2005-11-24 23:17:00 -
388:
?
おもろい!
2005-11-24 23:23:00 -
389:
NN
?さん 418さん 419さん 読んでくださりありがとうございます!!(^^)
2005-11-24 23:39:00 -
390:
NN
その女は、新規だった。火曜日の深夜2時に、1人で店に足を入れた。胸まである黒髪。アーモンドのような目元。薄いレッドのグロスが口元で光る。「いらっしゃいませ!」ホストが一斉に頭を下げると女は照れたように小さく頭を下げた。そして案内されるままに席についた。「でねーでっ聞いてる、彩人?」「ああ。」アンジュ席に座っていた俺は、その女を遠くから一瞬横顔を見ただけだった。
2005-11-24 23:40:00