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恋なんかじゃない
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1:
〜♪♪・・・携帯が歌う。メールだ。
僕の従順な相棒は、一日に何通もの手紙を受け取り保管してくれる。
僕はゆっくりと開封していく。
「今日はありがとう!」
「明日は3時頃行くね☆。」
2006-06-07 11:31:00 -
31:
もちろん完璧に感じ取るなんて出来ない。
でも、求めるものに、出来る限り近いものを、
提供する事は出来る。
優しさ、厳しさ、同情、人それぞれ
自分に足りないと感じるものは色々だろう。2006-06-08 21:27:00 -
32:
今までの律子さんは、話を聞いて、「うん。うん。」と
同調してくれる相手を欲しがっていた。
彼女は仕事で溜まった心の澱を、
酒を飲み、僕に愚痴をこぼす事で、ろ過していたのだと思う。2006-06-08 21:31:00 -
33:
女手で一軒の店を動かすのは、並大抵の事ではないだろう。
律子さんがやって来るのは、彼女の店の定休日前日。
週に一度、2〜3時間くらいで、すっきりとした顔になって帰っていく。
2006-06-08 21:37:00 -
34:
でも、ここ最近の彼女からは、何か違和感を感じる。
求めるものが、今までとは変わってきている気がするんだ。
そして、それは僕には持ち合わせのないモノのような気がしてならない。2006-06-08 21:45:00 -
36:
後5分程で着くと告げると、電話の男は、
店の前で待っているとの事だった。
夜の街は久しぶりだ。懐かしさを感じるほどだ。
私は以前この街の住人だった。2006-06-09 10:35:00 -
37:
ママが一人で経営する小さな店で、
私はホステスとして2年間働いていた。
ママは気風のいい、男っぽい性格の人でとても働きやすかった。
ママのそんなキャラクターのせいか、
お客さんは皆、艶っぽさを求めない人ばかりが集まっていた。2006-06-09 10:39:00 -
39:
昼間は大箱のカフェのキッチンで、料理やお菓子を作り、
夜はママの店で接客した。
夜の給料は全て貯金していた。
休みなんてほとんどなかったけど、毎日が充実して楽しかった。2006-06-09 10:47:00 -
40:
そんな頃に、私はこの街で彼と出会ったのだった。
・・・そんな思い出を反芻してしまったのは、
彼と一度だけ一緒に入った喫茶店が、無くなってしまっていることに、
気が付いたからなのかもしれない。
街は時間の流れとともに、少しずつ姿を変えていく。2006-06-09 10:52:00