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恋なんかじゃない
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1:
〜♪♪・・・携帯が歌う。メールだ。
僕の従順な相棒は、一日に何通もの手紙を受け取り保管してくれる。
僕はゆっくりと開封していく。
「今日はありがとう!」
「明日は3時頃行くね☆。」
2006-06-07 11:31:00 -
242:
そして彼女は預金通帳と印鑑を差し出した。
今まで俺が振り込んだ金だった。
意味が分からず狼狽する俺に、あいつは言った。
「私はあなたに買われていたんじゃない。」
あいつにとって金は、俺の気持ちを量る一つの目安でしかなかった。
そして金を受け取る事で、罪悪感を薄めていた。
それは俺も同じだった。2006-06-28 21:22:00 -
243:
このお金を私が返す事で、あなたが受け取る事で、
私達は自分のしてきた事の重さを受け入れなければいけない。
私はそうする事で、自分の弱さを認めようと思う。
あいつは毅然とした態度でそう言った。
俺は返す言葉が見つからなかった。2006-06-28 21:29:00 -
244:
仕事にのめり込み、お互いに家庭を顧みなくなった。
灯のない家に帰るのが苦痛だった。
そんな時に俺はあいつを見つけた。
一人で必死に生きているあいつが放っておけなかった。
守ってやりたいと思った。
でも、本当は反対だったのかも知れないな。2006-06-28 21:43:00 -
245:
「夕べあなたが帰ってから、ずっと考えていました。
今までも、ずっと考えていました。
でも、答が見つからないふりをしてきていた。認めるのが怖かった。」
「・・・分かったよ。」
あいつは、席を立った。
「今まで、本当にありがとうございました。さようなら。」2006-06-28 21:51:00 -
246:
あいつは何時の間に、あんなに強くなったのだろう。
俺にとって、あいつはいつまでも、出会った頃の二十歳のままだった。
いや、むしろそのままでいて欲しかった。子離れできない父親の様に。
でも、あいつは変化を求めていた。そして、それを手にした。
俺達はもう二度と会うことはないだろう。2006-06-28 22:04:00 -
247:
ナツロウさんが旅先からハガキを送ってきてくれた。
今回はアメリカからだった。
俺は酒棚にそれをピンで留めた。
出張のたびに、ナツロウさんはハガキをくれる。
その土地の風景が写された絵ハガキだ。
俺もそれを毎回楽しみにしていた。2006-06-28 22:30:00 -
248:
「那智、俺ホスト上がるよ。」
あの日ナツロウさんは澱みのない口調で俺に言った。
「マジっスか!?何でそんな急に・・・。」
「うん、前働いてた会社から連絡があって、
店をもう一軒出すから、戻って来ないか?って話をもらえたんだ。」
「服屋っスか?」
「そう。」
ナツロウさんはとても幸せそうだった。2006-06-29 00:38:00 -
249:
「店にはほとんど立つ事はなくなるみたいだ。
商品の買い付けがメインの仕事。出張が多くなりそうだけどな。」
「すげぇじゃないっスか!・・・でも、俺寂しいっスよ。正直言って。
それに、不安です。俺ナツロウさんに助けてもらってばっかで、
ナツロウさんが居てくれたから、俺やっとお客さんも着いてくれて・・・。」
ナツロウさんは、俺の肩に手を置いて笑った。2006-06-29 00:48:00 -
250:
「お前は大丈夫だよ。お前は俺より、もっといい仕事が出来るよ。
お前の信念とか、優しさを大切にしていけば、
お前はその内、ここのナンバーワンになるよ。大丈夫だ。」
俺は涙が止まらなかった。
「そんで、頑張って、夢を実現しろよ。お前が店を開くの楽しみにしてるから。」
「はい!」
涙でくしゃくしゃになった俺の顔を見て、ナツロウさんはまた笑った。
「お前、ほんと泣き虫だな。」2006-06-29 00:57:00 -
251:
その一ヵ月後、ナツロウさんは仲間と、たくさんのお客さんに惜しまれながら、
CLUB HILL を去っていった。
最後のイベントは、とても盛大なものになった。
置き場に困るくらいの花が届いた。
その中には、あのレストランオーナーの名前もあった。
咽び泣くお客、やけ酒するお客、泣き笑いのお客。
たくさんのお客さんの中に、ナツキさんの姿がなかった。2006-06-29 01:11:00