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恋なんかじゃない
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1:
〜♪♪・・・携帯が歌う。メールだ。
僕の従順な相棒は、一日に何通もの手紙を受け取り保管してくれる。
僕はゆっくりと開封していく。
「今日はありがとう!」
「明日は3時頃行くね☆。」
2006-06-07 11:31:00 -
212:
「それとお願いがある、店にはもう来ないで欲しい。」
達也君ははっきりと、そう言った。
私は溜息をついて、携帯をカバンに仕舞った。
時計は契約の時間の30分前を指していた。
急がなきゃ、時間に遅れる。契約は守らなきゃ。
・・・私は倉田さんに会いたいんじゃないの?自分に問いかける。
いつの間にか、契約、だけに私は囚われている。2006-06-27 00:49:00 -
213:
お金が欲しいんじゃなかった。
倉田さんに傍に居て欲しいだけだった。
私が作った料理を、「おいしい。」って食べてくれる人が欲しかった。
誰かに必要とされたかった。
自分のもとには決して戻っては来ない人と分かっているのなら、
お金という形のある物を介入させて、繋がっているのも一つの方法だと割り切れた。
私は何て馬鹿なんだろう。2006-06-27 01:03:00 -
214:
地下鉄のホームへと、階段を下りる。
車両がホームへ入ってきたのか、突風が私の髪を巻き上げた。
私の脳裏に、未来の黒い目尻が、やけにくっきりと描き出された。2006-06-27 08:32:00 -
215:
ホームに下りて地下鉄の到着を待つ。
時計を見ると、17:40。何とか間に合いそうだ。
何気なく反対側のホームに視線を移して、私は自分の目を疑った。
あの人が立っていた。
5年前、突然姿をくらました、かつて友人であった女性。
名前を叫ぼうとして、息を吸い込んだ。
その瞬間、ホームに地下鉄が滑り込み、彼女を連れて行ってしまった。2006-06-27 19:20:00 -
216:
その晩、倉田さんが帰ると、私はママに電話した。
「ママ?菜月です。」
「あら、どうしたの?久しぶりじゃない。」
私は呼吸を整えて、次の言葉を吐き出した。
「今日、エリカを見かけたの。」
「うそ・・・。」2006-06-27 19:46:00 -
217:
エリカはママの店の近くにあるクラブのホステスだった。
お客さんを連れて、よく店に遊びに来た。
華やかな容姿、機転の利いた話術。
彼女は一流のホステスだった。
歳が近い事もあって、私には親しみを込めた態度で接してくれた。
時には、まだこの仕事に慣れない私に、的確なアドバイスもくれた。
そんな彼女を私は尊敬し、姉の様に思い、慕っていた。
2006-06-27 19:57:00 -
218:
「ねえ、ナツキちゃんは、どうしてこの仕事始めたの?」
仕事上がりに待ち合わせて食事をしていた時の事だった。
「うん、目標があってね、その為にお金を貯めようって思って始めたの。」
「へぇ〜、どんな目標?」
「自分のね、お店を開きたいの。」
エリカは目を見開いて、興味深そうに身を乗り出した。
「何のお店?」
「うん、カフェがね、したいの。だから、昼間は料理作る仕事して勉強してる。」2006-06-27 20:04:00 -
219:
「そうなんだあ!ステキな夢だね!」
「エリカは?」
エリカは寂しそうに笑った。
「私はね、こんな事あんまり話した事ないんだけど、
ナツキちゃんには、聞いてもらいたいな・・・。」
そう前置きして、エリカは自分の身の上を話し始めた。2006-06-27 20:09:00 -
220:
それは複雑で悲しい話だった。
子供の頃にいなくなったお父さん。頑張って育ててくれたお母さん。
そのたった一人の大切なお母さんが、病気で入院して、
その治療費の為にクラブで働きだしたエリカ。
私は胸が詰まる思いで、エリカの言葉を聞いていた。
「だからさ、ナツキちゃんが羨ましい。夢があってさ。」2006-06-27 20:18:00 -
221:
私は自分は何て無神経なんだろうと、何ておめでたいのだろうと情けなくなった。
「何か力になれることがあったら、相談してね。」
そう言ってエリカの手を握った。
エリカは目に涙を浮かべながら「ありがとう。」と言った。
今考えれば、私は何て思い上がっていたのだろうと思う。
手を差し伸べる自分に酔っていたのかもしれない。2006-06-27 20:38:00