-
夜遊び夜遊び
-
お水お水
-
ホストホスト
-
風俗風俗
-
ビューティビューティ
-
ファッションファッション
-
悩み相談悩み相談
-
モデルモデル
-
芸能芸能
-
雑談雑談
-
食べ物・グルメグルメ
-
生活生活
-
恋恋
-
インターネット・ゲームネット・ゲーム
-
ギャンブルギャンブル
-
過去ログ倉庫過去ログ倉庫
-
運営運営
恋なんかじゃない
-
1:
〜♪♪・・・携帯が歌う。メールだ。
僕の従順な相棒は、一日に何通もの手紙を受け取り保管してくれる。
僕はゆっくりと開封していく。
「今日はありがとう!」
「明日は3時頃行くね☆。」
2006-06-07 11:31:00 -
172:
解決しなきゃいけない問題、自分の心の暗闇。
そんな物から、目を背けるわけにはいかないけど、
今この時間だけは、穏やかな空気に浸っていたかったんだ。
別れ際に僕は、菜月さんに「ありがとう。」と伝えた。
菜月さんは黙って首を横に振って笑った。
改札口に吸い込まれた彼女が、人ごみに見えなくなるまで、
僕はじっとそこに立っていた。2006-06-22 15:20:00 -
173:
「なあ、最近なんかあったのか?」
倉田さんはテレビに視線を固めたまま、ぼそっと言った。
「何の事ですか?急に。」
「何かさあ、雰囲気が変わったような気がしたからさ。」
私は彼の横顔を見て、しばらく黙っていた。
それでも彼はこちらを向いてくれようとはしない。
相変わらず視線は画面を追っていた。2006-06-22 15:33:00 -
174:
「雰囲気ですか・・・。どんな風に変わったと思われたんですか?」
グラスに残ったお酒を一気に飲み干すと、ようやく彼は顔をこちらに向けた。
「明るくなったような気がする。何かいい事でもあった?」
「この間、友達に会って、食事をして来ました。
それがすごく楽しかったんです。」
私は見透かされているような気がして、気が気でなかった。2006-06-22 20:10:00 -
175:
別に悪い事をしている訳ではないと思うのだけど、
なぜか罪悪感は拭えない。
友達に会ったのは嘘じゃない。
未来にも、達也君にも会って、とても楽しかった。
私が明るくなったと言うなら、理由はそこにしかない。2006-06-22 20:20:00 -
176:
「そうか、楽しかったか?」
彼は納得したように、笑って言った。
「はい。楽しかったです。」
父親のような微笑で、彼はうんうんと何度も頷いて、わたしの頭を撫でた。
彼はいつも通り12時まえに帰っていった。
「おやすみ。」2006-06-22 20:26:00 -
177:
「大丈夫か?」
彼は病室の扉の前でしばらく立っていたようだ。
入院した病室は個室で、私はベッドの上で身体を起こし、
ただただ、真っ直ぐに白い壁を見つめていた。
彼が声を掛けるまで、人が入ってきた事も気が付かなかった。
話しかける事すら躊躇われるくらいに、放心していたそうだ。2006-06-22 22:23:00 -
178:
「・・・倉田さん?」
彼はベッド脇の椅子に腰掛けると、買ってきてくれた雑誌をテーブルに置いた。
「ママから入院したって聞いて・・・。大丈夫なのか?」
ママ?大丈夫?何の事?
私には彼の言葉が、学者の難しい論文のように聞こえた。
必死に言葉の意味を探して、考え込む。そして混乱する。2006-06-22 22:38:00 -
179:
爪が食い込むのではないかと思うぐらいに、私は拳を握り締めていた。
そんな状態のまま何も話さない私を見かねたのか、
彼は私の手をそっと解きゆっくりと語りかけた。
「大丈夫だ、何も言わなくていい。ママから聞いてる。
これから先の事は、俺が出来る限り手助けする。
だから、何も心配しなくていいんだよ。」2006-06-22 22:50:00 -
180:
そう言うと、彼は私の手をしっかり握ってくれた。
私は泣いた。声も出さずに、ただ涙だけ流していた。
彼は連絡先を書いたメモを私の手に握らせ、
退院の日は迎えに来るから必ず連絡するようにと言い残して、
病室をそっと出て行った。
2006-06-22 23:01:00 -
181:
私は10日後に退院になった。
入院中は未来が毎日顔を出してくれた。
口をつぐんだままの私に、未来はずっと根気よく、話しかけてくれた。
そんな未来の優しさのおかげで、私は少しずつ平静を取り戻した。
空腹を思い出し、それまで一切物を食べていない事に気が付いた。2006-06-23 01:49:00