-
夜遊び夜遊び
-
お水お水
-
ホストホスト
-
風俗風俗
-
ビューティビューティ
-
ファッションファッション
-
悩み相談悩み相談
-
モデルモデル
-
芸能芸能
-
雑談雑談
-
食べ物・グルメグルメ
-
生活生活
-
恋恋
-
インターネット・ゲームネット・ゲーム
-
ギャンブルギャンブル
-
過去ログ倉庫過去ログ倉庫
-
運営運営
ヒマワリ
-
58:
「一真さん、何読んでるんですか?」
ナツロウが横から覗き込んだ。
「うわっ!お前脅かすなよ!」
事務所のデスクで、本に没頭していて、
ナツロウが入ってきた事にも気が付かなかった。
「それ、何の本ですか?」2006-07-06 19:19:00 -
59:
俺は、本を閉じると表紙を見せた。
「・・・幻の光?ああ。」
「ああって、お前知ってんのか?」
ナツロウは受信したメールを確認しながら答えた。
「読んだ事はないですけどね。映画は観ましたよ。」
素早い指技でナツロウは返信を終えると、携帯をポケットに仕舞った。
「へえ。映画どうだった?」2006-07-06 19:26:00 -
60:
少し難しい顔をして、ナツロウは言葉を探していた。
「う〜ん・・・静かな映画でしたね。
映像が綺麗だった事しか覚えてないんですよ。」
ストーリー関係ないじゃねえかよ。
「あまり面白くなかってことか?」
ナツロウは苦笑いすると、首を縦に振った。2006-07-06 19:33:00 -
61:
「でもね、主人公の女が、辛い過去を受け入れて、
それでもその過去と共に生きていく姿は良かったですね。」
「・・・そうか。」
「原作と映画は少し違うかも知れないですけどね。」
そう言ってナツロウは事務所を出て行った。
ナツロウの感想を踏まえて読んでみるとするか。
2006-07-06 19:40:00 -
62:
「あ、いらっしゃいませ!」
北山さんは、俺の顔を見るなり笑って挨拶した。
「幻の光はもう読み終わられましたか?」
「うん。」
あれから俺は日曜日のたびに、この本屋へ通う様になった。
そして少しだけ北山さんと立ち話をした。
そうしていく内にだ、俺は彼女ともっとゆっくり話がしたくなったんだよ。2006-07-06 21:28:00 -
63:
「北山さん、バイト何時まで?」
「え?今日は6時までですけど・・・。」
彼女は俺が今日選んだ文庫本にカバーを掛ながら、不思議そうな顔をした。
「良かったら、終わったら食事にでも・・・。」
俺は声のトーンを落としてそう言うと、メモを渡した。
メモを準備してるあたりが、かわいいよな、俺。2006-07-06 21:35:00 -
64:
照れくさくなって俺は、本を掴むと、さっさと店を出た。
北山さんの表情を確認する余裕もなかったな。
メモには俺のアドレスと番号が書いてあった。
連絡もらえるか分からんが、俺はとりあえず喫茶店に入って、待機する事にした。
時間は4時30分だった。本を読んでりゃすぐに6時になるだろう。2006-07-06 21:39:00 -
65:
ところが待ってる時間って、長く感じるもんだな。
俺は本よりも、時計が気になって仕方なかった。
文章に集中出来なくて、5分おき位に時間を確認したよ。
やけにソワソワして、傍から見りゃ、挙動不審者だ。
「頼む!かかって来い!」
携帯様に拝みたくなったよ。2006-07-06 21:48:00 -
66:
6:45。携帯様が光を放つ。
見知らぬ番号。多分北山さんだ。
「はい!」
「あの・・・北山ですけど。」
来たっ!俺は心の中で拳を握り締める。
「はい。えっと今どこにいる?」2006-07-07 18:56:00 -
67:
「バイト先を出たとこなんですけど、
せっかくですけど、私家に帰らなきゃいけなくて。」
俺は落胆を押し殺して、つとめて明るく振舞った。
「そうかあ〜。残念だな〜。」
「ごめんなさい。」
北山さんは申し訳なさそうに謝った。2006-07-07 19:05:00