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ヒマワリ
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51:
俺は注文書に名前と電話番号を書いて、店員に渡した。
「ありがとうございます。恐らく3日ほどで入荷いたしますので、
入り次第すぐにご連絡差し上げますね。」
店員は控え書を綺麗に折りたたんで俺に渡した。
その時名札に目が行った。「北山」が彼女の名前だった。
「じゃあ、頼んだよ。北山さん。」
「え?あ、はい!ありがとうございました!」
俺は北山さんに見送られて本屋を後にした。2006-07-05 20:24:00 -
52:
ちょうど3日後に、俺の携帯にメッセージが入っていた。
「OO書店です。先日はご来店ありがとうございました。
ご注文の本が入荷致しましたので、ご連絡差し上げました。
お待ちしております。」
北山さんの声だった。
俺はなぜかメッセージを何度も繰り返して聞いた。
・・・何やってんだ?俺。2006-07-05 21:25:00 -
53:
仕事が終わると、俺はその足で北山さんの本屋へ向かった。
店内に入ると、北山さんの姿はなく、
カウンターにはおっさんが一人いた。
「すいません、これ・・・。」
と、俺は控え書を差し出した。
「ぇえ〜っと・・・。あ、はい、ありがとうございます。」2006-07-05 21:54:00 -
54:
おっさんはカウンターの背後にある棚から、注文した本を出した。
「はい、こちらですね。」
「はい。・・・あの・・・。」
おっさんはレジから顔を上げて、俺を見た。
「はい。何でしょう?」
「今日は北山さんはお休みですか?」2006-07-05 21:58:00 -
55:
おっさんは何故か、心強い微笑で
「今日は北山は休みですよ。」
と答えた。
「ああ・・・。」
「彼女は土日祝日しか出勤してきませんよ。」
「そうですか。」2006-07-05 22:03:00 -
56:
「あ、それと夕方から来る時もありますね。たまにですけどね。」
「あ・・・分かりました。どうも。」
俺は会計をして外に出た。
家に帰ってすぐに、本を読みふけった。
確かに北山さんの言うように、おもしろい小説だった。
俺は小説の世界に吸い込まれていた。2006-07-05 22:29:00 -
57:
道頓堀川を読み終えて、俺は北山さんの言う、
「美しい孤独と葛藤」
の意味が分かったような気がした。
登場人物達は、それぞれに影を引きずりながらも、
光を求めて、あがき、純粋に生きている様に俺は思った。
そして、俺はその事を、北山さんに伝えたくなった。2006-07-06 16:10:00 -
58:
「一真さん、何読んでるんですか?」
ナツロウが横から覗き込んだ。
「うわっ!お前脅かすなよ!」
事務所のデスクで、本に没頭していて、
ナツロウが入ってきた事にも気が付かなかった。
「それ、何の本ですか?」2006-07-06 19:19:00 -
59:
俺は、本を閉じると表紙を見せた。
「・・・幻の光?ああ。」
「ああって、お前知ってんのか?」
ナツロウは受信したメールを確認しながら答えた。
「読んだ事はないですけどね。映画は観ましたよ。」
素早い指技でナツロウは返信を終えると、携帯をポケットに仕舞った。
「へえ。映画どうだった?」2006-07-06 19:26:00 -
60:
少し難しい顔をして、ナツロウは言葉を探していた。
「う〜ん・・・静かな映画でしたね。
映像が綺麗だった事しか覚えてないんですよ。」
ストーリー関係ないじゃねえかよ。
「あまり面白くなかってことか?」
ナツロウは苦笑いすると、首を縦に振った。2006-07-06 19:33:00