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ヒマワリ
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48:
おいおい、何だ?急に黙り込んだぞ・・・。
「すいません!お客様!」
「え?」
眉毛を八の字にして、店員は俺に向き直った。
「探したんですけど、どうも品切れみたいなんです・・・。」
ああ、何だ、それだけかよ。大げさだな・・・。2006-07-05 20:01:00 -
49:
「お時間おありでしたら、カウンターまで来て頂けますか?
お取り寄せしますので・・・。」
いやいや、本屋は他にもあるしな。
「いやあ・・・そうですねえ・・・。」
「ほんとおもしろいんですよ!
登場人物達の孤独や葛藤が美しく描かれてるんです!」2006-07-05 20:11:00 -
50:
何だこの子・・・。そう思った瞬間俺は笑い出していた。
「あの・・・。」
俺はうんうんと頷いて、カウンターを指差した。
「是非読みたくなったよ。取り寄せてもらおうかな。」
店員はパッと表情を明るくさせて、
「ありがとうございます!」
と、俺をレジカウンターに誘導した。2006-07-05 20:17:00 -
51:
俺は注文書に名前と電話番号を書いて、店員に渡した。
「ありがとうございます。恐らく3日ほどで入荷いたしますので、
入り次第すぐにご連絡差し上げますね。」
店員は控え書を綺麗に折りたたんで俺に渡した。
その時名札に目が行った。「北山」が彼女の名前だった。
「じゃあ、頼んだよ。北山さん。」
「え?あ、はい!ありがとうございました!」
俺は北山さんに見送られて本屋を後にした。2006-07-05 20:24:00 -
52:
ちょうど3日後に、俺の携帯にメッセージが入っていた。
「OO書店です。先日はご来店ありがとうございました。
ご注文の本が入荷致しましたので、ご連絡差し上げました。
お待ちしております。」
北山さんの声だった。
俺はなぜかメッセージを何度も繰り返して聞いた。
・・・何やってんだ?俺。2006-07-05 21:25:00 -
53:
仕事が終わると、俺はその足で北山さんの本屋へ向かった。
店内に入ると、北山さんの姿はなく、
カウンターにはおっさんが一人いた。
「すいません、これ・・・。」
と、俺は控え書を差し出した。
「ぇえ〜っと・・・。あ、はい、ありがとうございます。」2006-07-05 21:54:00 -
54:
おっさんはカウンターの背後にある棚から、注文した本を出した。
「はい、こちらですね。」
「はい。・・・あの・・・。」
おっさんはレジから顔を上げて、俺を見た。
「はい。何でしょう?」
「今日は北山さんはお休みですか?」2006-07-05 21:58:00 -
55:
おっさんは何故か、心強い微笑で
「今日は北山は休みですよ。」
と答えた。
「ああ・・・。」
「彼女は土日祝日しか出勤してきませんよ。」
「そうですか。」2006-07-05 22:03:00 -
56:
「あ、それと夕方から来る時もありますね。たまにですけどね。」
「あ・・・分かりました。どうも。」
俺は会計をして外に出た。
家に帰ってすぐに、本を読みふけった。
確かに北山さんの言うように、おもしろい小説だった。
俺は小説の世界に吸い込まれていた。2006-07-05 22:29:00 -
57:
道頓堀川を読み終えて、俺は北山さんの言う、
「美しい孤独と葛藤」
の意味が分かったような気がした。
登場人物達は、それぞれに影を引きずりながらも、
光を求めて、あがき、純粋に生きている様に俺は思った。
そして、俺はその事を、北山さんに伝えたくなった。2006-07-06 16:10:00