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檻の中
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1:
綾乃
私の体験談です?つまらない上に重いです?素通り?していただいてもかまいません
2005-09-11 01:24:00 -
11:
綾乃
『心配しんでも俺ガキは店に読んだりせーへんからワラ』私はポンッと肩に置いてきた睦月の手を払いのけ、「当たり前やん」と冷たく言い放った。
2005-09-11 01:35:00 -
12:
綾乃
ホストと聞いた瞬間、母の顔が浮かんだのだ。
睦月が悪いわけじゃないのに八つ当りで「ウチホスト嫌いやねんけど」と悪態をついてしまった。
ところが彼は何を言い返すわけでもなく、私が払いのけた手を今度は私の手のうえにそっと置いて『怒るより綾乃は泣きたいんちゃうか?』とだけ言って私の手を気遣う様に少しだけ手に力を入れた。2005-09-11 01:36:00 -
13:
綾乃
何があっても泣かないと決めていたはずなのに、睦月の手が暖かくて、睦月の言葉が優しくて、私は泣きそうになってしまった。そぅ、いつも母の顔色をうかがって、毎日のように殴られて本当は泣きたかった…ただ、泣かないことが母に対する私のせめてもの抵抗だったのだ。
2005-09-11 01:36:00 -
14:
綾乃
その日私たちは番号を交換した、睦月は別れ際にもう一度私の手に触れ、『また会える?』と聞いてきたので私は「電話するわ」と曖昧な返事をし、家路を急いだ。
家に帰ると母が待っていた。口より先にビール瓶が飛んできた、クラクラする…。もうろうとした意識の中で母が叫んでいる、どうやらまた借金を作ったらしい。2005-09-11 01:37:00 -
15:
綾乃
少しずつ意識が遠退いていく。すると、突然水をかけられた!そしてまた母が喋りだす。
『何のためにおまえ引き取ったと思ってんねん!今すぐお父さんに言って100万引っ張ってこい!出来ひんなんか言わさんからな!』
言われるがままに私は父に電話をし、嘘をついて100万を振込んでもらった。2005-09-11 01:38:00 -
16:
綾乃
おろした100を手にしたとき、ふと睦月の言葉と手の感触を思い出し、私は初めて泣いた…。いや、泣き崩れたと言ったほうが正しいだろう、人目も気にせずせきを切った様に私はひたすら泣いた。
2005-09-11 01:39:00 -
17:
綾乃
その日から私は睦月と連絡を取るようになった。いろんな事を話し、少しずつ距離も縮んでいったが、睦月は仕事の事だけは『知らんでいいねん』といって、どうしても話してくれなかった。恋人でもなく、友達よりも近い。そんな関係が二年近く続いた…。 睦月が仕事の話さないのと同じように私も母のことは彼に話さなかった。話さなくても気付いていたのだろう…。 傷が増えると、すごく心配するが、理由を聞こうとはしなかった。
2005-09-11 01:40:00 -
18:
綾乃
相変わらず母はホストに狂い、女の影がちらつくと私を殴る…しかし睦月がいれば私は殴られても蹴られても平気だった。睦月が全てだった、それが誰かを好きになるという事で私がそれに気付いたのは母の手によってだった。
2005-09-11 01:41:00 -
19:
綾乃
その日の事は今でも鮮明に覚えている。朝洗濯をしていると突然後ろから髪を引っ張られ物凄い勢いで風呂場につれていかれた。ホストクラブから帰ってきた母だ。酒の臭いを纏って私にこう言った… 『風呂に入れ!化粧もしてこの服着ろ!』私はいつもとは違う怖さを感じ、差し出された服をもって言うとおりにした。用意が出来ると車に乗せられた…。
2005-09-11 01:42:00 -
20:
綾乃
「どこに行くの?」おそるおそる私は聞いた…。『ウチが働いてた店の知り合いのとこ』一瞬心臓が止まりそうになった。母は娼婦だったからだ、そしてもう一言付け足した『娘っていうなよ、言ったらどうなるかわかってるやろなぁ?』【風俗させる気や!】そう気付いたときには遅かった、私は母に借金のあるホスト狂いの女として入店させられた。
2005-09-11 01:43:00