小説掲示板■ヨドミ■のスレッド詳細｜夜遊びweb関西版

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■ヨドミ■

• 1:

  ◆SlKc0xXkyI

  『おちょくんのもええ加減にせえや。もう疲れたわ。』
  
  緊迫した空気が、瞬く間に部屋中に充満する。毎度毎度、よくもまぁ飽きもせず同じ台詞を吐けるなぁと感心しながら、あたしは下を向いて、フローリングの木目の数を数えながら、このつまらない時間が過ぎていくのを待った。

  2006-06-01 09:43:00
• 2:

  ◆SlKc0xXkyI

  ―はじめに―
  
  この話は作者のしょーもない自己満足と暇つぶしにすぎないので、更新ペースなどには波があると予想されます。故、了承できる方のみ御読み下さい。荒らしについては、煽りなどにも繋がりますので基本的にｽﾙｰでお願い致します。尚、更新はｻｹﾞ進行とさせて頂きます。

  2006-06-01 09:53:00
• 3:

  ◆SlKc0xXkyI

  ―――――――――――
  
  どうして男という生きものは、こうも面倒くさいのだろう。
  小さな事にこだわったり、些細な事で子供の様にﾍｿを曲げたり怒鳴ったり。その上、過去の話や出来事を引きずる傾向にある。
  

  2006-06-01 09:58:00
• 4:

  ◆SlKc0xXkyI

  今、あたしの目の前で声を荒げ、顔を赤らめ、必死で怒鳴り散らしているこの男なんて、その見本の様な人間である。
  『はいはい、もう分かったって。あたしが悪かったわ。もう帰ってええ？』
  いい加減うんざりして、つい投げやりな態度をとってしまう。それより、あたしはこいつの名前が今だに覚えられない。なんだったかな…ええと…
  『なんやねんその態度!!人が優しいしとったら調子のりくさって…痛い目みんと分からんのか!!』

  2006-06-01 10:09:00
• 5:

  ◆SlKc0xXkyI

  男はあたしの胸ぐらをむんずと掴み、ｼﾙﾊﾞｰで統一された指輪やﾌﾞﾚｽのじゃらじゃらついた右手を、ゆっくりと頭上に引き上げてゆく。
  
  （うわぁ…あれでいかれたらさすがに痛いやろなぁ。）
  
  などと呑気に考えながら、あたしはその手をじっと見上げていた。

  2006-06-01 10:17:00
• 6:

  ◆SlKc0xXkyI

  『ごめんなさい…また夢におかーさんが出てきてん。ツレもあんたも仕事忙しいし、誰でもいいからそばに居てほしかってん。ごめんなさい…』
  と、俯き、肩を震わせ、涙を流しながら淋しそうに言った。
  すると、彼はあたしを引き寄せ、力任せに抱き締めた。
  『ごめんな…お前の気持ち分かってやれんでごめん…もう一人にしやんからな…』

  2006-06-01 16:38:00
• 7:

  ◆SlKc0xXkyI

  これもまた、分かりきった言動であった。
  
  あたしは肺を圧迫され、少しの息苦しさを感じたが、静かに目を閉じ、彼の背中に両腕をまわした。
  

  2006-06-01 16:45:00
• 8:

  ◆SlKc0xXkyI

  くだらない詮索。面倒な衝突。勘繰り。思い込み…
  感情があるが故に、人間はこうもややこしい。
  揉め事やすれ違いといった問題が起きる度、他人の心が読めたらなぁ…と、有りもしない空想にひたることが過去に幾度もあった。誰だって一度は思うはずだろう。
  だが、それは人外による力。各宗教の信仰者達に言わせれば、【神の力】だそうだ。

  2006-06-01 16:59:00
• 9:

  ◆SlKc0xXkyI

  
  
  しかし、それに似た力が、あたしには、有る。
  
  

  2006-06-01 17:36:00
• 10:

  ◆SlKc0xXkyI

  ――――
  数時間後、あたしはまた違う男の所へと足を運び、金の入った分厚い封筒を受け取ってから、ようやく帰路に着いた。
  この男には、唯一の肉親であった最愛の姉を交通事故で亡くし、身寄りのない【可哀相な女】を演じていた。彼は家賃、生活費全般を援助してくれている。セックスは無し。

  2006-06-01 20:05:00
• 11:

  ◆SlKc0xXkyI

  先程の男は少々手がかかるが、ルックスがずば抜けて良い事と、すぐに足になる事、そして何より単純馬鹿で扱い易い為、繋いでいた。
  彼には、母親からの虐待がﾄﾗｳﾏで、彼氏にも暴力を受けていて人間不振…といった設定にしてある。
  その他にも、現在交際をしている男は五人いる。
  中にはセックスが上手いからというだけの者や、ただおもしろいだけといった者も。
  

  2006-06-01 20:12:00
• 12:

  ◆SlKc0xXkyI

  きっと、こんなことをしているあたしを周りは良く思わないだろう。
  《遊び人》《魔性》《パンコ》《男好き》
  証拠に、こんな単語を女共から最近よく浴びせられている。
  別に、かまわない。

  2006-06-01 20:16:00
• 13:

  ◆SlKc0xXkyI

  多少の尾鰭はついていようと、その中心部は大概真実なのだ。
  悪いことと知っている。
  しかし何も感じない。
  だから何も思わない。何を聞いても。何をされても。

  2006-06-01 20:25:00
• 14:

  ◆SlKc0xXkyI

  しかし、偶然会った古くからの友人だけは、そんなあたしの姿を見て泣いた。
  
  『なんで?なんでそんな風になってもうたんよ…』
  
  

  2006-06-01 20:28:00
• 15:

  ◆SlKc0xXkyI

  胸が少しキリキリと痛んだ。
  思わず弱音をこぼしそうになった。
  懐かしい友人に、甘えたくなった。
  
  …しかし、そんなことはもうとうにできない事を、あたしは知っていた。

  2006-06-01 20:32:00
• 16:

  ◆SlKc0xXkyI

  零れそうな涙を必死で堪え、あたしは彼女を見据えた。
  そして、自分でも驚くほど冷酷な声で言った。
  
  『アホくさ。もうすぐ全部終わる。それまで好きに生きて何が悪い。』
  

  2006-06-01 20:35:00
• 17:

  ◆SlKc0xXkyI

  言い放った直後、あたしの背後で悲鳴が上がる。
  友人は、何かをあたしに握らせて走り去った。
  空の色が変わり、じっとりと重く湿った風が、体全体に絡み付く。
  あたしは深く深呼吸すると、それを振り切るように走りだした。

  2006-06-01 20:42:00
• 18:

  ◆SlKc0xXkyI

  
  
  ――――ヨドミ―――――
  
  

  2006-06-01 20:43:00
• 19:

  ◆SlKc0xXkyI

  ―第一章〔しあわせ〕――

  2006-06-01 20:46:00
• 20:

  ◆SlKc0xXkyI

  これも凸凹の法則からなのだろうか。
  なんにせよ、その時から二人の間に些細な衝突が激減した。
  ﾒﾁｬｸﾁｬ自論の勝利である。

  2006-06-01 21:36:00
• 21:

  ◆SlKc0xXkyI

  『ひどい〜涼ちゃん俺とけそう〜』
  『溶けとき。…てかあっこなんであんな人だかってんやろ』
  ん??と涼の指先を目で追うと、三角公園から溢れるほど人がうじゃうじゃ集まっていた。まるで餌にたかる虫の様だ。

  2006-06-01 21:46:00
• 22:

  ◆SlKc0xXkyI

  ☆>>1-31まで☆
  たぶんまぁまぁ長い話になると思います。それと、ちょっとｸﾞﾛい場面が出てくるので、無理な方はすいません(ﾟ_ﾟ)(｡_｡)

  2006-06-01 22:13:00
• 23:

  名無しさん

  文章書くのﾒｯﾁｬ上手いですね！引き込まれてしまいました♪応援してるので頑張って?ｻｲ(o･∀･o)

  2006-06-01 22:50:00
• 24:

  名無しさん

  ?

  2006-06-02 00:17:00
• 25:

  名無しさん

  きになる?

  2006-06-02 01:21:00
• 26:

  ◆SlKc0xXkyI

  >>34さん駄文ですが、よければ最後までお付き合いくださいね(･∀･)>35>>アゲありがとーございます(･∀･)　>>36さんうれしーです(･∀･)
  

  2006-06-02 09:54:00
• 27:

  ◆SlKc0xXkyI

  そうなんや…と、小さく呟いて、涼は布団を被って眠ろうとした。
  自分は何も夢が無い。
  なんとなく、焦りを感じた。

  2006-06-02 10:18:00
• 28:

  ◆SlKc0xXkyI

  目をつぶり、真っ暗な世界に徐々に浸透していく。
  不安や期待は薄れ、眠りにつこうとする直前、涼は昼間の人だかりを思い出した。
  何故か、ひどく嫌な予感がする。
  その中心には一体何があったんだろうか。もちろん彼女が知る由もない。
  涼は深く呼吸し、睡眠に没頭した。

  2006-06-02 10:23:00
• 29:

  ◆SlKc0xXkyI

  
  しかし、この微かな予感はやがて肉づき、現実のものとなる。
  
  

  2006-06-02 10:29:00
• 30:

  ◆SlKc0xXkyI

  
  ―第２章〔微動〕――――
  

  2006-06-02 10:35:00
• 31:

  名無しさん

  ?

  2006-06-02 10:55:00
• 32:

  ◆SlKc0xXkyI

  『署長、また新たな犠牲者がでました。』
  『そうか。状況は?』
  『はい。目立った外傷は特にありませんでしたが、やはり内蔵が一部を除き、すべて溶かされています。』
  『そうか。分かった、引き続き調査を続けてくれ。』
  『はい。失礼します。』

  2006-06-02 13:57:00
• 33:

  ◆SlKc0xXkyI

  会話は淡々としていた。
  署長室のドアが閉まると同時に、堺義雄は深いため息をついた。
  今、警察は静かにある事件をおっている。いや、難攻不落の怪事件と言うべきか。
  この情報が世間に明るみになれば、混乱は免れないだろう。
  現に、この事件に関わっている人物達は皆、ひとときも生きた心地がしないと言う。堺もまた、その一人であった。

  2006-06-02 14:05:00
• 34:

  ◆SlKc0xXkyI

  【犯人は一体どんな方法で殺人を繰り返しているのか】【目的は何だ】【ひとかけらの証拠も残さず、大勢の大衆の中で…なぜそれが可能なのか】【単独犯ではないのか】【組織の犯行か】

  2006-06-02 14:11:00
• 35:

  ◆SlKc0xXkyI

  上層部の人間が熱く議論を交わす中、誰かが言った。

  2006-06-02 14:12:00
• 36:

  ◆SlKc0xXkyI

  
  
  『それを行なうことは、はたして人間に可能なのか』
  
  

  2006-06-02 14:14:00
• 37:

  ◆SlKc0xXkyI

  ☆>>38-50☆
  休憩(ｰ∀ｰ)

  2006-06-02 14:23:00
• 38:

  名無しさん

  普通の小説読んでるみたぃ!!こんな話好きだゎぁー(´∀｀)v
  頑張って下さい♪♪

  2006-06-02 16:16:00
• 39:

  ◆SlKc0xXkyI

  >>52さん　好きゆｰてもらえると嬉しいです(･∀･)ﾄﾝｸｽ　
  ―――↓つづき↓――――

  2006-06-02 19:12:00
• 40:

  ◆SlKc0xXkyI

  誰も、否定できなかった。
  
  各方面のエキスパートや、熟練した刑事達も、どこか薄々気が付いていた。
  傷もなく、薬品を使った跡もなく、わずかな証拠さえも残さずに、姿を消して大勢の目の前で殺す方法など、とても人間業ではない…
  それに、もう一つ、奇妙な点がある。

  2006-06-02 19:20:00
• 41:

  ◆SlKc0xXkyI

  現在警察側の極秘情報によると、被害者達は皆、死ぬ三日前にある夢を見るという。
  二日前には声を、そして前日には何かの幻覚を見る。
  そしてちょうど３日目、あの死に方をするのだ。
  これは一体何を示しているのだろうか…。
  

  2006-06-02 19:27:00
• 42:

  ◆SlKc0xXkyI

  堺はポケットから小さなチョコレートを取出し、それを二つ口のなかに放り込んだ。
  やがて、体温でどろりと溶けた心地よい甘味が口のなかいっぱいに広がる。
  もやもやとした焦りや不安に糖分が絡み、徐々に落ち着けていく。
  依然誰かが言っていた。『砂糖は強い依存性がある。変わり種の麻薬だ』と。
  あながち嘘ではないなぁと苦笑いしながら、堺は検察側から渡された分厚いファイルに目を通し始めた。

  2006-06-02 19:36:00
• 43:

  ◆SlKc0xXkyI

  
  ―第３章〔疑惑〕――――
  

  2006-06-02 19:43:00
• 44:

  ◆SlKc0xXkyI

  『まぁ六時に家出たしえらいやろ俺〜』
  『ほんまにもう…調子え〜やっちゃなぁ!!』
  にぃっと八重歯を覗かせ、はにかんだ笑顔を見せる彼を、なんだかんだで涼はいつも許してしまうのだった。
  

  2006-06-02 20:06:00
• 45:

  ◆SlKc0xXkyI

  『うわ!!今の聞き捨てならんし!!ちびは禁句じゃ変な頭!!』
  『だまれちび!!ほなお前に涼の白くてすらっと長い足真似できんのか?ちいちゃい顔にぱっちりｵﾒﾒで姫系な顔真似できんのか?尚且つﾄﾞSな性格真似できんのか?お?』
  『はぁ〜??!!朝からのろけんなし!!』
  と、小学生の様な言い合いをする二人を涼は母親の様な目で見る、というのがいつもの日課とも呼べるものになっていた。
  

  2006-06-02 20:55:00
• 46:

  ◆SlKc0xXkyI

  そうしている間に教室につき、やがて授業が始まった。
  涼はそそくさとミッキーのクッションを取出し、寝る準備を整える。
  大概一、二時間目は、日々のなんかで疲れた体を癒す仮眠時間と決めているのだ。
  準備も整い、枕に頭を沈めようとしたとき、後ろの席の愛里沙から、小さく折り畳まれた紙を渡された。

  2006-06-02 21:01:00
• 47:

  ◆SlKc0xXkyI

  ☆いとしの涼たんえ☆
  
  あんな、愛里沙ついに敬くんと遊ぶ約束しちゃいましたぁ〜!!(ﾟ∀ﾟ*)ｲｪｲ
  今日の放課後、映画見に行くんやけど、帰りに告ってみよっかにゃあ〜♪昼休み話し聞いてくれる??
  
  ☆恋する乙女ありさより☆

  2006-06-02 21:08:00
• 48:

  ◆SlKc0xXkyI

  敬というのは、遊び人の愛里沙が初めて惚れた男の事である。
  彼は野球部の主将で、焼けた肌に恵まれた体格がよく栄え、おまけにかなりの男前。
  しかし、かなりの照れ屋で口数も少なく、あまり女と関わるのが苦手なようだ。愛里沙はそのギャップにやられたらしく、柄にも無くもう二年近く片思いをしているのだった。
  

  2006-06-02 21:14:00
• 49:

  ◆SlKc0xXkyI

  涼は素直に喜び、後ろを向いて愛里沙の頭をわしゃっと撫で、そして小声で、しかしはっきりと言った。
  
  『よ〜やったっ!!』
  
  

  2006-06-02 21:24:00
• 50:

  ◆SlKc0xXkyI

  愛里沙はえへへと照れ笑いした。
  涼はそれを見て笑い、もう一度寝直す。
  

  2006-06-02 21:33:00