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  • 1:

    私は全てにおいてトップに立ちたい…
     
    恋も‥
    仕事も…。

    2005-08-16 21:01:00
  • 101:

    春の髪の毛を触りながら話をした。
    春は一つ年下。
    母性本能をくすぐるタイプで可愛い系。。
    『チーママに会いたかったぁ‥』
    少しときめいた‥

    2005-08-16 22:51:00
  • 102:

    ゲストから
    『瞳ちゃんの顔見に来てんで』
    『チーママに会いに来てんで』
    とか そんな風に言われたときも嬉しいけれど 又違う感じだった。

    2005-08-16 22:52:00
  • 103:

    例え これが営業用でも 私の心は明るくなった。
    『春、分かったから座れ』 
    私にべったりの春を見兼ねて一輝が春のスーツを引っ張った。

    2005-08-16 22:54:00
  • 104:

    補助椅子に座っていた一輝が私とミカの間に…
    春が私と唯の間に‥そして補助椅子に二人の新人。。
    ゲームも中盤に入り みんなだいぶイイ感じに出来上がった頃‥
    またまたミカが一輝とベタベタしだした。
    隣に座っている一輝は半分以上私に背を向け座っていた。

    2005-08-16 22:55:00
  • 105:

    『もしかしてミカさんと一輝君は付き合ってるんですか?!』
    一瞬空気が凍った━・・
    酔った勢いでか唯が笑顔でミカに話かけた。
    『そんな風に見える?』
    『はい!!』

    2005-08-16 22:56:00
  • 106:

    ミカは嬉しそうだった。
    『一輝、やってぇ〜付き合ってるように見えるんやってさぁ!!』
    一輝は少し戸惑い気味だった。それは多分 私が隣にいるせい…
    他の客なら 多分付き合ってるねん!!とか冗談でも言うだろう‥
    でも私がいるから・・・

    2005-08-16 22:57:00
  • 107:

    その時、一瞬、一輝が私の方に身体を向け カッターの中からネックを見せ、口パクで【ごめんな】と言った。
    そのネックの先には二人のペアリング‥
    そんな些細な気遣いでも嬉しかった。
    一輝と付き合ってるのかと聞かれたことが よほど嬉しかったのか ミカは唯にも度々話かけるようになった。

    2005-08-16 22:58:00
  • 108:

    どんな過程であれ 結果的には唯をつれてきて良かった。
    だいぶ酒も進み 私もかなり酔いが回ってきた頃‥
    ふと唯を見ると かなり酔っていて眠そうだった。
    『そろそろ帰ろうかぁ‥』 
    『はっ‥はい。。』

    2005-08-16 22:59:00
  • 109:

    『ミカちゃんは?残る!?』
    『ぇえ〜もっと飲みましょうよぉ!!』
    『もー飲まれんから‥また来たらいいやん。どうする??』
    『どうしよ?!』
    一輝に聞くミカ‥

    2005-08-16 23:00:00
  • 110:

    『じゃ、またチーママと一緒に来たら?』
    一輝は帰る方向で話を進めた。
    『でもぉ・・』
    まだまだ 居たいというオーラ出っぱなしのミカ。
    『じゃ、もう少しおり!!ここまでのは払うから後、残りは払ってね。』

    2005-08-16 23:01:00
  • 111:

    接続悪いので一旦休憩

    2005-08-16 23:04:00
  • 112:

    『はぁい!!チーママご馳走様です』
    『いえいえ。その代わり明日も頑張ってよ!』
    私は財布を出して『一輝君ここまでの分チェックして』
    『チーママ、唯半分出しますよ‥』
    唯が酔いながらも気を使い私に言う。

    2005-08-17 00:19:00
  • 113:

    そんな所が可愛い。
    私にとって唯は本当に可愛いスタッフだった。
    初めての水商売ということもあり 真っ白でピュアで・・・
    色恋なんかしなくても十分客がついてくる。
    『今日はいいの!!チーママが誘ったし』

    2005-08-17 00:20:00
  • 114:

    『でもっ・・・』 少し困惑した顔で私を見る唯。
    『いいの!!こういう時はご馳走様ですって言えばいいの!分かった!?』
    『はいっ。ご馳走様です』 
    『はい。。それでいいです!(笑)』
    二人で笑いながら私と唯はミカに別れを告げ店を出た

    2005-08-17 00:22:00
  • 115:

    『ありがとうございます』 
    春と一人の男の子が送りに来た。
     一輝とは一瞬目があった‥ 
    そらしたのは やっぱり私 
    一輝に惚れてる事、一輝にもばれたくない‥

    2005-08-17 00:25:00
  • 116:

    もう少しの間は・・・
     
    一輝が私に惚れてる事にしてね。

    2005-08-17 00:25:00
  • 117:

    『チーママ、連絡先とか教えて下さいよっ!!』
    『あたし?!』
    春の発言に素直に驚いた私。だって春は 私と一輝が一緒に暮らしてる事を知ってる唯一の人間・・
    『ダメですか?』
    『いや、ダメとかじゃないけど。。じゃこれ!!』

    2005-08-17 00:26:00
  • 118:

    私は店の名刺を渡した。
    『ありがとうございます!連絡しますね』
    『お店にも行かせて貰いますから!』
    またまた社交辞令の被せあい‥
    正直 あまり来たくない。

    2005-08-17 00:28:00
  • 119:

    一輝の営業の仕方は好きじゃない。。
    店では━クールで硬派‥
    でも一歩店を出ると すごく優しい笑顔を向ける。
    【色】【枕】は当たり前‥ 
    だって私もそうだったから‥。

    2005-08-17 00:29:00
  • 120:

    私は店には行かなかったけれど それで店に来る子も少なくはないだろう。。
    初めはそんな彼でも良かった。
    本カノだの色カノだの 何だっていい。。
    淋しさを紛らわしてくれる大きな人形と同じ・・
    でも 今は・・・

    2005-08-17 00:30:00
  • 121:

    愛の意味なんて今も分からない… 
    でも一輝を大切に思う気持ちは大きくなっていた。
    ずっと側にいたいと…
    最低な男から最愛の人へ━・・
    私の思考回路の切り替えはかなり早いらしい…

    2005-08-17 00:31:00
  • 122:

    『唯ちゃん、大丈夫?』
    フラフラの唯…『はっ、はい。大丈夫ですっ!!』
    『ちゃんと帰れる?』
    コクりと頷く唯をタクシーに乗せ 私もタクシーに乗り帰宅した。
    『たらいまぁ〜』

    2005-08-17 00:32:00
  • 123:

    一人大きな声で話ながら靴を脱ぐ。
    シーンと静まり返った部屋は嫌い・・・
    真っ暗な部屋も・・・
    私は部屋に入るとすぐに全部の部屋の電気をつける。 
    電気がついてるだけで少し 淋しさがマシになるから・・・ほんの少し━・・・

    2005-08-17 00:33:00
  • 124:

    ♪♪♪【∽∽∽】
    見たことのないアドレス… 
    【今日はありがとうございました。今度時間があれば一緒に飯でも行きましょ!!体には気をつけて!春】
    ん・・?!春?!
    愛想があるわけでも無い訳でもないメール。

    2005-08-17 00:34:00
  • 125:

    営業メールのようなそうでないようなメール。
    嫌な気はしないけれど返す言葉に困る。。
    【ありがとっ!!春が暇な時誘ってくれたら嬉しいです☆】
    無難な返事・・
    可愛げもない…。

    2005-08-17 00:35:00
  • 126:

    それからは 何事もなく毎日が過ぎた。。
    恋も仕事も・・・順調だった。
    でも幸せな時間は ガラスのように簡単に崩れて行った。。
    『瞳っっ!!電話ずっと鳴ってる・・』
    『━・・んー?!』

    2005-08-17 00:37:00
  • 127:

    一輝が私を必死に起こす。 
    昨日ゎ土曜という事もあって忙しかったし アフターあったし・・眠い…
    『瞳!!なぁ!瞳ちゃん起きって!?』
    『う━・・ん。どうせ客やから無視…』
    私の寝起きの悪さは天下一品!!

    2005-08-17 00:38:00
  • 128:

    『じゃ、俺出ようっと!!』 
    『それはダメっ!!』
    一輝から携帯を取り上げ着信が誰からかも確認せずに私は通話のボタンを押した 
    『はぃ・・?』
    『グスッ・・・チーママ?!』

    2005-08-17 00:39:00
  • 129:

    急いでディスプレイを確認する。
     
    通話中《唯》
     
    『唯??どしたん?』

    2005-08-17 00:41:00
  • 130:

    『グスッ…‥今から時間ないですか?』
     
    電話の向こうは車の走る音と唯の鼻をすする音・・。 
    『あるよ!!今どこ?』

    2005-08-17 00:42:00
  • 131:

    『今は家の近所なんですけど…』
    『取り合えず今から行くからコンビニでもおり!!分かった?』
    『ハイ・・・』
    電話を切ると私は顔だけを洗い 服を着替えた。
    『一輝っ!車貸して!!』

    2005-08-17 00:43:00
  • 132:

    『こんな朝から何処行くねん?!』
    『唯に何かあったっぽい…。取り合えず行ってくるから!!』
    『唯って前ミカと三人で来た子やんな?!』
    『うん。一輝寝てていいで?!寝てないんやろ?!ごめんね。。』
    『別に今日休みやし俺は大丈夫やけど…瞳、一人で行けるか?』

    2005-08-17 00:44:00
  • 133:

    『うん。大丈夫。。』
    『もし、あれやったら家連れてきてもええから!!』
    『ありがとう。行ってくる』
    私はエレベーターを待つ時間も もったいなく感じ 階段を急いで降りた。
    いつも明るい唯・・・泣くなんて よっぽどの事の筈‥。

    2005-08-17 00:45:00
  • 134:

    運転中もずっと唯の事ばかりを考えていた。
    誰より私になついていて、誰より私を慕ってくれている唯。。
    私の客を託すならこの子しかいないと思うほど私は唯を信用している。
    それは私が唯の事を私色に染めてしまったからかもしれない・・・

    2005-08-17 00:46:00
  • 135:

    でも仕事以外でも 唯は可愛い。
    年は一つ上なのに どうしても年下に思える。。
    『もしもし?唯ちゃん!?コンビニついたけど何処?』 
    電話を切ると唯はゆっくり車に近づいて来た。
    『どうしたの?』

    2005-08-17 00:47:00
  • 136:

    取り合えず唯を車に乗せ、話を聞こうとした。
    『・・・・』
    『黙ってても分からないから話して?!』
    『彼氏が・・殴る・んです‥。』
     『殴る??』

    2005-08-17 00:48:00
  • 137:

    初めて聞いた彼氏の存在。 
    『グス・・三年前くらいからずっと付き合って一緒に住んでるんですけど…働かなくなって・・で、水商売じゃないとやっていけなくて…そしたら次は頻繁に殴るようになって・・恐くて…』
    全然気付かなかった。
    『そっか…恐かったね。大丈夫?』

    2005-08-17 00:49:00
  • 138:

    小さく頷く唯…。
    『チーママごめんなさい。いきなり電話して‥』
    『そんなんいいから。ちょっと落ち着いた?』
    少し落ち着いた様子になり私も安心してタバコに火をつけた。
    『はい。ごめんなさい。』

    2005-08-17 00:50:00
  • 139:

    『謝らなくていいから!!どうする?帰る??』
    『ちょっと今は・・帰りたくないです。。』
     
    『そっか…ちょっと待っててね』

    2005-08-17 00:51:00
  • 140:

    私はタバコを消しコンビニに入り携帯を開いた。 
    デスクトップからすぐにかけれる相手‥
    『もしもし?!起きてた?』 
    『うん。どうやった?』
    勿論相手は一輝。。

    2005-08-17 00:52:00
  • 141:

    『う〜ん。。状況は良くないかも・・でねっ…』
    『いいで別に!!』
    レジにコーヒーを二つ置き驚いた顔を一人でしていた。。
    『えっ?!まだ何も言ってないのに何で言いたい事分かったん?』
    『瞳の考えてる事くらい何でも分かるわっ。俺は気にせんし‥家連れて来たりぃなっ!!それより俺はお前が運転しとう方が恐いから早く帰ってこい!!』

    2005-08-17 00:53:00
  • 142:

    『分かった。早く帰るからちょっとだけ片付けといてなっ!!』
    クスクス笑いながら一方的に電話を切り 急いで車に乗り込んだ。
    『はい!どうぞっ!!』
    唯の目の前にコーヒーを差し出すと 唯は大事そうに両手で包んだ。
    『ありがとうございます』

    2005-08-17 00:54:00
  • 143:

    ゆっくりとコーヒーの蓋をあけ 一つため息をついた唯・・・
    『ハァッッ・・おいしい‥』 
    私もコーヒーを一口飲みサイドブレーキを左足で思いっきり踏んだ。
    『じゃ出発!!』
    『えっ??』

    2005-08-17 00:55:00
  • 144:

    唯が私の方を見る。。
    私は見えてないフリをした。特に理由はないけれど家に向かってる事は内緒にしてた。。

    2005-08-17 00:55:00
  • 145:

    一輝と住む家に 未だ他人は来たことがない。
    それは他人を呼んだ事がないから━・・・
    唯一 出入りしてるのは私の母親くらい。。
    店の子は勿論…地元の友達も私が男と住んでる事すら知らない。
    話さない訳は、呼ばない訳は彼の職業・・・。

    2005-08-17 00:56:00
  • 146:

    【ホスト】という仕事が 格好わるいとか まともじゃないから紹介出来ない…って思ってる訳じゃない。。。
    【ホスト】だから・・・
    私が 前に友達に彼氏と一輝の事を紹介した。
    すると その子は一輝の店の子の客だった。。
    これだってよくある話…それから私は誰にも言わなくなった。。

    2005-08-17 00:57:00
  • 147:

    でも 唯なら大丈夫だろう・・・。
    『さっ!!ついたよ!』
    私はギアをパーキングに入れ 唯の方を見た。
    『チーママ、ここは?』
    『私の家!!さっ行くよ!』

    2005-08-17 00:59:00
  • 148:

    唯はちょこちょこ私の後ろをついてきた。

    『チーママ悪くないですか?!お家の人とか迷惑かかるし・・・』 
    エレベーターの中で唯が心配そうに言う。
    『大丈夫だよ。』

    2005-08-17 01:00:00
  • 149:

    ガチャ━・・・
    『ただいまぁ!!』

    『おじゃましますっ…』  
    靴を脱ぎ 唯をリビングに連れていくと いつも大きな目が更に大きくなってた 

    2005-08-17 01:01:00
  • 150:

    『えっ・・・?』振り返り 私の方を見て もう一度首を戻す…。
    そして また私を見る…
    『おかえり!!』
    ソファーで携帯をいじりながら一輝が私の方を見て言う。
    『ただいまっ!!もぅ!!部屋片付けてって言うたやん!洗濯物は洗濯カゴに入れてって!何回言うたら分かるんよぉ‥!!』

    2005-08-17 01:02:00
  • 151:

    ぶつぶつ言いながら私は部屋に無造作に脱ぎ捨てられた靴下を拾い 唯の方に目をやった。
    びっくりしたまま静止状態な唯・・・
    『えっと・・唯ちゃんやんなっ?』
    『あっ!!はいっ!』

    2005-08-17 01:03:00
  • 152:

    『座ったら?』
    一輝は少し端により 唯が座れるスペースを作り 手招きした。
    『はい…お邪魔しますっ・・・』
    チョコンとソファーに座る唯を見て 私は何故か笑みがこぼれた。
    『唯ちゃん?』

    2005-08-17 01:04:00
  • 153:

    『はっ!!はいっ!?』

    捨てないで!!とすがるような目で見つめる子犬のような目で私を見つめる…
     
    『緊張なんかしなくていいから・・ここは私と一輝しかおらんし。好きなだけおっていいから…。』

    2005-08-17 01:05:00
  • 154:

    私は少しの優越感にひたっていた‥
    誰にも見せる事がなかった部分・・・
    【チーママ】という肩書きを外して 瞳という一人の【女】の私‥。
    そして 一輝という男の彼女の私‥。

    2005-08-17 01:06:00
  • 155:

    『唯ちゃん、お腹すいてへん?ちょー!!瞳っ!!腹減ったわ』
     
    ちょうどテレビでは料理番組が流れていた。
     
    『どうする?材料ないし食べに行く?』
     
    『それは唯ちゃんもしんどいやろ…俺買い物行ってくるから瞳作ってやっ』

    2005-08-17 01:07:00
  • 156:

    『それはいいけど…。一輝、買い物行けるん?!』
    『あほかっ!!買い物ぐらい出来るわっ!唯ちゃん、何食べたい?瞳が作るから、うまいかはわからんけど』 
    バシッ━・・
    私の手が一輝の肩に触れるのは早かった。
    『じゃ一輝は食べなかったらいいやん!!』

    2005-08-17 01:08:00
  • 157:

    一輝に冷たく言うと 私は冷蔵庫をあけて 中に入ってる物を確認した。
    『そんな怒らなくていいやん…。ごめんなっ。』
    聞こえないフリをした。
    『瞳?!ちょー無視すんなって!!瞳ちゃん?ごめん。ごめんって!!姫?!許して』 
    『しゃーないなぁ…』

    2005-08-17 01:09:00
  • 158:

    唯を見てニコっと笑うと唯は私たちを見て 笑っていた。
    『唯ちゃん、どしたん?』 
    あまりにも私達を見て唯が笑うから思わず聞いてしまった。
    『だって…チーママも主任も・・いつもと違うんだもん。バカップルみたい!!』
    うれしかった━・・。

    2005-08-17 01:10:00
  • 159:

    【しっかりしてる】
    【かっこいい女】
    私が欲しい言葉は そんな言葉じゃない。
    『何言うてるん!!』
    唯の言葉を照れ臭そうに返した私の顔はりんごよりも赤かったと思う‥。

    2005-08-17 01:12:00
  • 160:

    それから私達三人の生活は順調だった。
    公私混同はしない。
    唯を叱ることもある。
    でも 彼女は私についてきてくれていた。
    それが何より 嬉しかった。。

    2005-08-17 01:12:00
  • 161:

    でも この頃から すでに悪夢は始まっていたのかも知れない━・・━・・・
    『チーママ!!指輪っ!』
    普段 外す事のない一輝から貰った指輪…。
    この日は何故か洗い物をする為に外していた。
    『あっ!唯ちゃん、ありがとう!じゃ行こうかぁ!!』

    2005-08-17 01:13:00
  • 162:

    ガチャ━・・
    その指輪が一つの事件を起こすなんて私には気付く筈もなかった。
    『おはよう!!』
    店に入るといつものようにグラスにお茶を入れタバコに火をつける。
    『おはようございます』

    2005-08-17 01:14:00
  • 163:

    最近何かと私に近づいてくるミカ。
    好きか嫌いかと言われたら嫌い…。
    でも仕事に感情は持ち込まない。
    『チーママ最近その指輪ずっと付いてますね?』
    いきなりのミカの言葉に私は少し動揺した。

    2005-08-17 01:16:00
  • 164:

    ミカは一輝の指輪を多分見てる。
    ばれたくない━・・・
    『あっ、うん。お気に入りだから‥』
    『自分で買ったんですか?ちょっと見せて下さいよっ!!』
    ミカは気付いているのだろうか・・・。

    2005-08-17 01:16:00
  • 165:

    こちらに向かって大きく開かれた手のひらに私の宝物はゆっくり置かれた。
    今まで気付かなかった。
    【絆・HITOMI:KAZUKI】
    綺麗に指輪の内側に掘られた文字。 
    『やっぱり!!泥棒!』

    2005-08-17 01:18:00
  • 166:

    カラン━・・・
    私の宝物は一瞬で灰まみれになった。
     
    泥棒━・・・?!
    私が…?!

    2005-08-17 01:19:00
  • 167:

    私はミカから一輝をとった覚えなんてない!!
    ミカと一輝が出会う前から一輝とは一緒にいた。
    奪えるなら奪ってくれたらいい・・・
    『ごめん!!おしぼり、ちょうだい!』
    ボーイから湯気のたつ おしぼりを受け取り 灰皿から指輪を取り 丁寧に拭いた。

    2005-08-17 01:20:00
  • 168:

    私の一番の宝物…
    私は負けない・・・  
    吐き捨てられた言葉の
    《挑戦状》
    ━・・・泥棒・・・━

    2005-08-17 01:21:00
  • 169:

    幼い頃 母親が私に何度も言った。
    『瞳…人の物はとっちゃダメ!嫌な事は嫌って言わないとダメ!世間から白い目で見られる事はしたらダメ!!』
    この三つは母親の口癖‥。 
    父は 私がまだ小さい頃、愛人との生活を選んだ。
    愛人が奪っていったのは 私の父親という肩書きだけではなかった。

    2005-08-17 01:22:00
  • 170:

    母親の笑顔・・・。母親のプライド・・・。世間体・・・。
    たくさんの物を奪っていった。
    そんな母に 教わった事… 
    人の男には惚れるな。
    男に依存するな。

    2005-08-17 01:23:00
  • 171:

    それだけは守ってきたつもり・・・
    だから ミカの言葉だけは許せなかった。
    『ありがとうございます』 
    ゲストに頭を下げ 最後の客を送る。
    『ミーティングするから集まって〜!!』

    2005-08-17 01:24:00
  • 172:

    『ミカちゃんは?』
    分かっていた事…。
    『帰りましたよ!!何か、かなり機嫌悪かった。』
    『そう‥みんなじゃないと意味ないから明日にするわ。お疲れさま』
    機嫌が悪いのは私の方…逃げたいのは私の方‥。

    2005-08-17 01:25:00
  • 173:

    こんな店 辞める!!
    何度思っただろう‥。
    でも いつからか ここにある私の居場所。
    簡単に捨てれない。
    何かに縛られてる訳でも、何かが気に入ってる訳でもなく、ただ スタートに戻りたくないだけ。

    2005-08-17 01:26:00
  • 174:

    ガチャ━・・・
    『ただいま‥』
    『瞳一人かぁ?!お疲れ様』 
    カバンを放り投げ ソファーに体を預けた。
    『仕事は?』

    2005-08-17 01:26:00
  • 175:

    『行くで!!もーちょいしたら!』
    『なぁ〜一輝っ。』
    『ぉお??』
    『ミカと、どれくらい寝た?付き合ってるん?』
    携帯をいじっていた一輝の手は一瞬で止まった。

    2005-08-17 01:27:00
  • 176:

    『瞳?!どしたん?酔うてるんか…?!』
    すぐに分かる。
    一輝の癖・・・
    焦ると 目が泳ぐ。。
    『真剣に聞いてるの!どれくらい寝た?どれくらい使わせた?』

    2005-08-17 01:28:00
  • 177:

    一輝が客と寝てる事くらい知っていた。
    だってこれはビジネスだから…。
    何度も自分に言い聞かせた 
    醜い嫉妬心で余裕がないなんて思われたくない。
    『そんなんせんといて!!』って心の中では何度も思った。でも実際は見てみぬフリ…

    2005-08-17 01:29:00
  • 178:

    基本的に一輝の嘘は すぐ分かる。
    財布にお金を足そうとした時‥
    たくさんのレシートが財布から落ちた。
    一番上のレシート
    【宿泊】

    2005-08-17 01:30:00
  • 179:

    ラブホテルのレシートは綺麗に財布にしまわれていた。
    勿論 私達は行った事なんてない。

    『コーヒー入れよか…』
    インスタントのコーヒーを二つ お揃いのコップに入れ 一輝はゆっくり私の前に置いた。

    2005-08-17 01:32:00
  • 180:

    『ミカとはなぁ…付き合ってはない。でも寝た‥』
    『そぉ・・・』
    落ちつかなきゃ‥
    冷静にならなきゃ‥
    自分で自分に暗示をかける私。

    2005-08-17 01:33:00
  • 181:

    『でもなっ‥そこに愛情はないねん!好きなんは瞳だけやで!!』
    浮気した男はみんな そんな風に言う。
    お前が一番・・・もうしないから・・・お前がおらな・・・
    みんな同じ。。

    2005-08-17 01:36:00
  • 182:

    『ミカに私らの事ばれてるで・・・多分。どうするかは一輝が決めたらいいけど‥』
    『どうするって?別れるって事?』
    『それもありちゃう‥』
    出会いがあれば別れだってある。
    永遠の愛?!そんなの ないって私は両親に教えられた。

    2005-08-17 01:38:00
  • 183:

    『瞳‥俺なっ・・・』
    ♪♪♪〜携帯を見る。
    私のじゃなかった‥
    『ちょ〜ごめん。もしもし??』
    バタン━・・・

    2005-08-17 01:40:00
  • 184:

    閉ざされた扉の向こうで一輝が楽しそうに話す声は聞きたくなくても聞こえてくる。
    私は何の為に一輝といるんだろう・・・
    一輝は何の為に私といるんだろう・・・
    一輝に『何で私と一緒におるん?』って聞いたら間違いなく彼はこう答える。
    【好きだから】

    2005-08-17 01:41:00
  • 185:

    好きなら‥
    どうして他の女を抱くの? 本当は 聞きたい。
    でも聞かない。
    聞けないんじゃなくて、聞かない。
    ♪♪♪〜

    2005-08-17 01:43:00
  • 186:

    【着信:唯】
    『はい?』
    『お疲れさまです。今から帰ります。何かいります??』
    『ん〜プリン買ってきて。鍵あけとくねぇ〜』
    唯はいつも私より遅れて帰ってくる。私と一輝、二人の時間を邪魔しないようにしてるかのように・・・

    2005-08-17 01:44:00
  • 187:

    バタン━・・・
    『ごめん。』
    申し訳なさそうに私の顔色を伺う一輝に 私は優しい言葉の一つもかけれなかった。
    『唯帰ってくるから‥』
    それだけを伝え 私は寝室入りドアを閉めた。

    2005-08-17 01:45:00
  • 188:

    私達の掟━・・
    寝ている時以外に寝室のドアが閉まっている時は 絶対に入らない。
    ずっと一緒だと疲れるから一人の時間が欲しい時は寝室に入りドアを閉める。。  
    ベットに横になると何故か涙が溢れてきた。一輝がいなくなった生活は今の私にとって真っ暗なトンネルと同じ。
    言葉では 平気だと背伸びしていても本当は恐くてたまらない。

    2005-08-17 01:47:00
  • 189:

    コンコン・・
    急いで涙を拭い ドアを開けると唯がにっこりと笑いプリンを差し出してくれた。
    『ありがとう』
    『はい!主任も!!』
    唯が一輝にも笑いながらプリンを渡す。三人で食べたプリンは いつもより おいしかった。

    2005-08-17 01:47:00
  • 190:

    『瞳…ちょっと話いい??』 半分 寝呆けながら身体を起こし 時計に目をやる。 
    朝八時。
    あれから唯と寝酒を飲んでたくさん彼氏の話を聞いて…いつのまにか眠ってた。 
    『んー?何??』
    『今日ミカ店来た‥で、瞳との事言われたけど流してん。でもばれてると思う‥俺のせいやっ‥ごめん』

    2005-08-17 01:49:00
  • 191:

    『何で一輝のせいなん?』 
    『俺、ミカの事たまに瞳って間違えて言うた事あるねん。あと指輪見られたし』 
    それが逆なら私は多分怒り狂ってる。
    私の事を間違ってミカと呼んでいたら‥
    でも反対なら気分は良かった。

    2005-08-17 01:50:00
  • 192:

    『もうミカの事はいいやん。考えるのもしんどい‥もー寝よ。』 
     
    それは本音。
    考えても何もかわらない。 
    ただ仕事が少しやりずらくなるだけ。

    2005-08-17 01:51:00
  • 193:

    仕事なんて辞めたらいい‥店なんて いくらでもある。
    楽天的な私はその程度にしか考えていなかった。
     
    愛情と憎しみ紙一重・・

    2005-08-17 01:52:00
  • 194:

    その言葉の意味を身を持って体験するなんて その時の私には考えもしなかった 
    ♪♪♪〜
    しつこい程 なり響く電話の音・・・
    寝起きの悪い私は 画面も確認せず 通話ボタンを押した。
    喉が渇き 擦れたお婆ちゃんのような声で電話に出る 

    2005-08-17 01:53:00
  • 195:

    『はぃ…』
    『もしもし??チーママ?』 
    焦った声の主は 画面を確認しなくても分かる。
    ふと部屋の時計に目をやる‥
    11時・・・

    2005-08-17 01:54:00
  • 196:

    『唯ちゃん、そんな慌ててどしたん??』
     
    『今、コンビニなんですけど‥マンションの下に多分ミカさん居ました。』
     
    『えっ??』

    2005-08-17 01:55:00
  • 197:

    『だからぁ‥ミカさんがマンションの下に・・』
    『ミカちゃんは唯ちゃんに気付いてるん?』
    『いや、多分気付いてないです。』
    唯の焦りようは普通じゃなかった。私も何か嫌な予感がしてたまらなかった。
    『取り合えず帰っておいで…待ってるから。』

    2005-08-17 01:56:00
  • 198:

    電話を切り 自体を把握しようとするけど 寝起きの頭では何も考えれない。
    唯はミカを見て何故私に電話して来たのだろう‥
    私とミカと一輝。不気味な三角関係の事は知らない筈・・・。
    唯は走ったのか 思ったより、かなり早く帰ってきた。
    『おかえり‥』

    2005-08-17 01:57:00
  • 199:

    『唯ちゃん、コーヒー飲む?』
    『あっ、あたしが入れますよっ!!』
    『いいから‥座り。』
    コップにインスタントコーヒーと砂糖を入れ お湯を注ぎながら 頭では何から話しようか考えていた。
    『何でそんなに焦ってたの?ミカちゃんが私の家に来てもおかしい話じゃないでしょ?!』

    2005-08-17 01:58:00
  • 200:

    唯の前にコップを置き 正面に私も座った。
    『チーママ‥ミカさんから主任の事とったんじゃないですよね?!』
    『何それ・・・』
    少しムカツイた様に返事をしてしまった私…。唯にそんな風に言われた事は私にとってかなりショックだった。
    『唯はそんなん思ってないですよっ!!でも‥メールが・・・』

    2005-08-17 02:00:00
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