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  • 1:

    私は全てにおいてトップに立ちたい…
     
    恋も‥
    仕事も…。

    2005-08-16 21:01:00
  • 2:

    コピペ

    これはコピペなので質問等にはこたえれません
    m(_ _)m

    2005-08-16 21:03:00
  • 3:

    『いらっしゃいませ』
     
    今日も次々に客が店に来る 
    私が働いてるのは そんなに大きくはない、肩書きはラウンジ。
    でも実際はスナックと変わりはない。
    料金も安い為 店自体も暇ではない店。
    そこでの私はチーママという肩書きを貰っている。
    でも あくまで肩書きだけなんだ‥

    2005-08-16 21:04:00
  • 4:

    『チーママこれ!!お願いします』
    語尾に敬語はつくものの‥下っぱの仕事までやらされる。
    私の年は二十歳‥
    店では最年少。
    ママは35才。
    美人だけど酔うと質が悪い

    2005-08-16 21:05:00
  • 5:

    『ミーティングするから集まって』
    私が言うと みんな怠そうに席につく‥
    『あきちゃん、最近手抜いてないですか?!お客さん来てないけど…』
    『みかちゃん、いつも時間ギリギリですね‥無断欠勤も目立つし少し気を付けて下さい』
    一人一人 注意をする。
    ママは黙って話を聞いているだけ。髪の毛をいじりながら、爪をいじりながら話を聞くスタッフに私の怒りは限界だった。

    2005-08-16 21:06:00
  • 6:

    そもそも 私がチーママになったのに特に理由なんてなかった。
    たまたま売り上げが多かったから‥
    オープンして二年‥
    私はオープンからいて たった半年でチーママになった。
    でも楽なものではなかった 苦労も努力もした。

    2005-08-16 21:07:00
  • 7:

    中間管理職
     
    下から上から、愚痴や要望が次々に出てくる
    『もー嫌っ‥』
    これが私の本音だった。
    楽しいはずの仕事が苦痛でしかなくなってきた。
    『お疲れさまです』 ボーイに送って貰い家の鍵をあける。

    2005-08-16 21:08:00
  • 8:

    ガチャ━・・『ただいまぁ‥』
    『…おかえり』
    『仕事は?』
    靴を脱ぎながら言う私‥
    『もーちょいしたら出る』

    2005-08-16 21:09:00
  • 9:

    よくある話。
    彼と住みだして一年が過ぎた‥
    彼は夢を売る仕事。【ホスト】
    ホステスとホストの恋愛話なんて そこら中に沢山ある。
    私たちもその中の一組‥
    恋人よりは同類に近い。

    2005-08-16 21:11:00
  • 10:

    彼、一輝と私は同い年。
    たまたま 飲みに行った店で知り合い いつのまにか体の関係になり‥
    いつしか【恋人】という肩書きが後からついてきた。 
    これも肩書きだけ。
    一輝は干渉しない女が欲しかったから‥
    私は一人になりたくなかったから‥

    2005-08-16 21:12:00
  • 11:

    確かに最初は引かれてた。 
    男の色気に・・
    硬派な部分に・・
     
    でも一緒にいればいる程 汚い所は見えてくる。

    2005-08-16 21:15:00
  • 12:

    ♪♪〜
    『もしもしぃ〜』
    ガチャ━・・
    電話が鳴ると同時に寝室に入りドアを閉める一輝。。

    2005-08-16 21:16:00
  • 13:

    そして いつものように 話終えるとリビングのソファーに向かって携帯を投げる。
    『だりぃ〜』
    ソファーに座り また携帯をいじる。
    『瞳、金ちょうだい!欲しい物あるから!!』
    手のひらを こちらに向けて一輝が手を出す。

    2005-08-16 21:16:00
  • 14:

    一輝からは最低でも毎月、給料日に20万は貰う‥
    でも 実際 度々お金を渡す事が増えて 貰っているお金よりも一輝が使ってる額のが多い時の方が最近は多い。
    『何買うの?』
    私は雑誌を広げながら一輝に聞く。
    『必要な物…』
    いつも こんな感じの返事

    2005-08-16 21:17:00
  • 15:

    私達が一緒にいる意味なんて本当はないのかも知れない‥
    好きかどうかさえ私には分からない。
    でも何故か私から離れる事は出来なかった。
    『これで足りる?』
    私は財布から三万を 取出し 一輝に見せる。

    2005-08-16 21:19:00
  • 16:

    『ぉお。じゃ行ってきます‥』
    一輝はお金を片手に取り、もう片方の手を私の耳に当てて私の顎を少し上に向け目を閉じる。
    たった数秒のキスですら義務に感じる。
    一輝から『愛してる』などの甘い言葉を聞く事なんてかなり前からなくなっていた。

    2005-08-16 21:20:00
  • 17:

    それだけじゃない‥
     
    『ありがとう』
    『ごめん』
    の言葉すら聞かない。

    2005-08-16 21:21:00
  • 18:

    一輝への不満も私にとってストレスの一部だった。
     
    一輝を仕事に見送り私はシフトを作る。
     
    我儘なスタッフが多く 私にとって一番嫌な仕事だった。

    2005-08-16 21:22:00
  • 19:

    『辞めようかな‥』
    独り言を言いながら頭をひねる。
     
    そして一通り終えると私はお酒を飲み 眠りにつく。 
    目覚めると隣には一輝がお酒や香水の匂いを漂わせて隣に眠っていた。

    2005-08-16 21:23:00
  • 20:

    一輝の髪の毛を触りながら 
    『一輝ぃ‥着替えないとスーツしわになるよ…』
    『ん〜‥瞳・・?!』それだけ言うと一輝はまた寝息をたて眠った。
    この時ばかりは一輝の事を愛しく思う。
    いつもこれくらい可愛ければ…

    2005-08-16 21:24:00
  • 21:

    重い身体を無理矢理起こして私はリビングに行き 一休憩するとご飯の支度をして仕事に向かう。

    『おはようございます』
    店に入るとボーイが掃除をしていた。
    次々に女の子が出勤してくる。

    2005-08-16 21:25:00
  • 22:

    開店時間になり お客さまが次々に来られる。
    『すいません、チーママ…みかちゃんのお客様来られてるんですけど、みかちゃん来られてないんです』
    私の頭の中には【またかっ…】という言葉だけ。
    私はみかちゃんの携帯に電話をかけてみる。
    【おかけになった電話は、電波の届かない所におられるか、電源が入って…】

    2005-08-16 21:26:00
  • 23:

    これもいつもの事。。
    でも、みかを切らない訳は人気があるから‥
    容姿も可愛いし 何より甘えた上手。
    店にとってはプラスだった 
    仕方なく代わりの女の子をつけてミカからの連絡を待つ‥

    2005-08-16 21:27:00
  • 24:

    結局 ミカちゃんからの連絡はなかった。
    営業終了後━・・
    『雅ちゃん、ちょっと時間いい?』
    『何ですかぁ?!』
    『雅ちゃんとミカちゃん仲いいやんね?!最近ミカちゃん当欠多いけど何か聞いてない?』

    2005-08-16 21:28:00
  • 25:

    雅とミカは二人とも23歳。 
    殆ど同じくらいに入店した事もあり 一番仲がいい
    『知らなぁ〜い。またホストにでもハマってるんじゃないですかぁ…』
    『そぅ‥お疲れさま』

    2005-08-16 21:30:00
  • 26:

    ホストかぁ‥
    ミカはハマりそうだと思った。
    仕事さえしてくれたら関係ない。

    2005-08-16 21:31:00
  • 27:

    『ママ、いいですか?!』
    私が話かけるもママはかなり酔ってる様子で 聞いているのかすら分からない様子だった。
    『絶対このままじゃ潰れる』
    これが私の本音。確信があった‥
    私はママに話するのをやめて家に帰った。

    2005-08-16 21:32:00
  • 28:

    再度 ミカに電話をかけてみる。
    プルルル・・
    やっと繋がった電話。
    『はぃ…』
    『もしもし‥みかちゃん?!今日出勤じゃなかった?』

    2005-08-16 21:33:00
  • 29:

    『体調が悪くて‥』
    『それなら誰でもいいから連絡入れてね。こんな事が続くならいくら人気があっても切る事もあるから』
    『はい‥』
    『何か店に不満でもあるの?それともプライベートの事?』
    『・・・』沈黙が続く。。

    2005-08-16 21:34:00
  • 30:

    『何かあったら言ってね。じゃ‥』
    電話を切った後も 私の中では何かモヤモヤした物が残った。
    私だって本当はスタッフとも仲良くしたい…
    仲が悪い訳ではない。
    でも何処か壁がある‥

    2005-08-16 21:35:00
  • 31:

    ずっとなりたかったチーママという立場。
    いつかなりたい【ママ】という立場。
     
    でも私の望みはあまりにも早く叶いすぎた。

    2005-08-16 21:36:00
  • 32:

    階段を一段飛ばしで登ったから‥
    憧れと現実とのギャップはかなり大きかった。
    でも今更やめれない。
    これは私のプライド‥
    水商売に対してのプロ意識

    2005-08-16 21:38:00
  • 33:

    次の日 私主催の親睦会を開いた。
     
    『チーママ、いきなりどしたんですか?』
     
    親睦会と称した、ただの飲み会‥

    2005-08-16 21:40:00
  • 34:

    『ん〜何かみんなと飲みたいなぁ‥って思って』
     
    『何かチーママ違う人みたい‥。』
    みんなが笑う。
    私は心の中で少しショックを受けた。

    2005-08-16 21:41:00
  • 35:

    普段どんな風に見られてるのか‥
    確かに怒る事もある。
    ママが言いにくい事でも私が言ったりしないといけない事も多々ある‥
    でも店を出れば私もただの二十歳の女。
    ごく普通の子‥そこら辺にいる子と変わりない‥。

    2005-08-16 21:42:00
  • 36:

    『チーママって彼氏いるんですかぁ?』
    一人の女の子が私に聞く。 
    『まぁ‥一応。』
    少し照れ気味で私が答えると
    『写メとかプリクラないんですかぁ?見たい!!』

    2005-08-16 21:43:00
  • 37:

    『ないよ‥また会わすわぁ。』
    本当はプリクラもたくさんある。
    でも一樹はごく近くの店のホスト‥
    見せれるわけがない。

    2005-08-16 21:44:00
  • 38:

    その日を境に私とスタッフは少しずつ距離を縮めていった。
    ゲストの好き嫌い‥
    彼氏の相談‥
    ママ、店への不満‥女の子同士の中傷‥
    いろんな話をしてくれるようになって 私の中では仕事に楽しさを取り戻していった。

    2005-08-16 21:45:00
  • 39:

    『瞳ちゃん、あのお客さん腰とか触ってくるから嫌やぁ‥』
    『わかった。私が行くわ‥』
    いつからか私の事をチーママではなく瞳ちゃんと呼ぶ女の子の方が多くなっていった。
    私も特に気には止めず年下だし それでいいと思っていた。

    2005-08-16 21:45:00
  • 40:

    私が心を開かないと向こうも開いてはくれない。
    仲が悪くては仕事なんて出来ない。
    これが私の考え‥

    2005-08-16 21:46:00
  • 41:

    『瞳ちゃん、終わった後、飲みに行こうよ‥』
    アキちゃんが私を誘う。
    『いいよ!』
    そしてアキとミカに後二人の女の子と五人で行った店は 運が悪くも彼氏の店だった。

    2005-08-16 21:47:00
  • 42:

    【いらっしゃいませ】
    何度か来たことはある。
    一輝との出会いの場‥
    たまたま友達とフリーで入ったお店。
    でも一輝と関係が出来てからは来なくなった。

    2005-08-16 21:48:00
  • 43:

    一瞬だけ私の動きが止まった。
     
    動きを止まられた発言をしたのはミカ‥
    私とミカの距離は今だに遠い。
    嫌な予感がした‥

    2005-08-16 21:50:00
  • 44:

    『ミカちゃん、いらっしゃい‥』

    私にすら見せた事ない愛想のよさで一輝は私たちの方に向かってきた。

    2005-08-16 21:51:00
  • 45:

    そして一瞬で私と目が合う 
    そらしたのは私の方だった 
    『店の人?』
    一輝がミカに聞く。
    『うん。』

    2005-08-16 21:52:00
  • 46:

    『初めまして』
     
    名刺を両手に持ち一輝が私に渡そうとする。
     
    『あっ、初めまして‥瞳です。』

    2005-08-16 21:53:00
  • 47:

    私も名刺を返す。
     
    一瞬でわかった事。
    ミカは一輝が好きだって事…

    2005-08-16 21:53:00
  • 48:

    そして一輝にとってミカは必要な客だって事‥
     
    一輝とミカは仲良さげに話をしている。
    私はそれを見ても見ぬふりをした。
    【嫌だ】とか【私の彼氏なのに‥】という感情は無かったけれど何か心の中に嫌な空気が残った。

    2005-08-16 21:54:00
  • 49:

    一時間ほど経ち みんなそれなりに楽しんでいた。
    でも何故か私は心の底から笑ってなかった‥
     
    嫌でも視界に入る二人の姿 
    嫉妬‥‥?!

    2005-08-16 21:55:00
  • 50:

    『ごめん‥先帰るわ』
    私は財布に手を掛けながら言う。
    『チーママ帰るんですかぁ?!』

    2005-08-16 21:56:00
  • 51:

    一番に声をあげたのは一輝の腕に手を回すミカだった 
    『家片付けないとあかんし…ごめんね。みんな楽しんで帰り』
    私は財布からあるだけの万札を出し席をたとうとした 
    『もしかして彼氏が来るとか?!』
    ミカは一輝とのイチャイチャぶりを見てほしいかのように私に話かける。

    2005-08-16 21:57:00
  • 52:

    貴方が腕を回してくっついてるのが うちの彼氏ですから‥
    貴方は色カノ?!
    私は宿カノ?!
    でも欲しいならあげる‥

    2005-08-16 21:58:00
  • 53:

    ホストに本気になんてならないから。
    いゃ…本気の恋愛なんてした事ないから‥
     
    『まぁ‥じゃ明日遅刻しないようにね。おやすみ』
    私は足早に店を後にした。

    2005-08-16 21:59:00
  • 54:

    『ありがとうございました…また店寄らして貰います。でもチーママ俺の事覚えといて下さいよっ!!』
    新人ホストの春がエレベータのボタンを押しながら私に笑顔を向けて言っていた。
    『はい。私もまた寄らして貰うねぇ。ありがとう』
    社交辞令を交わす私達‥
    『瞳っ!!』

    2005-08-16 22:00:00
  • 55:

    振り返るとそこにいたのは一輝だった。
    『はい?!』
    『何でお前あんなに払ったん?ミカに払わせたらいいやろ!!』
    『私仮にもチーママやで。従業員に払わせたり出来ないやん。しかもここやって知ってたら来なかったわっ…一輝は何も言うてくれんねっ。しかもお金の話ばっか‥バイバイ』

    2005-08-16 22:01:00
  • 56:

    ビックリした様子の春に
    『ありがとう。ご馳走様』とだけ言い私は一人エレベータに乗った。
     
    家での私たちの会話はお金の事ばかり‥

    2005-08-16 22:02:00
  • 57:

    一輝にとって私は何?
    私には一輝が必要なんだよ 
    多分‥
    自分でも気付かない内に‥ 
    貴方に惚れていた‥

    2005-08-16 22:03:00
  • 58:

    私は家に帰り すぐに眠った。
    ダブルベット‥
    いつもなら一輝が隣で眠るから左側で寝るけど おもいきり真ん中で寝た。
    帰って来ないと思ったから

    2005-08-16 22:04:00
  • 59:

    夢の中で 私は幸せそうに笑ってた‥
    何の夢かは覚えてない。
    でも嫌な夢じゃなかった‥ 
    とっても温かい夢…
    『・・み━・・ひとみ‥』

    2005-08-16 22:05:00
  • 60:

    『んっっ・・』
    体をポンポンと叩かれて半分、夢見心地で目を開けると 隣にはスーツ姿の一輝が座っていた。
    『ちょっと話いい?』
    いつもより優しく話す一輝に私は頷きリビングに向かった。

    2005-08-16 22:06:00
  • 61:

    『コーヒー飲むか?』
    普段なら絶対そんな事言わないし、しない。
    一輝はお殿様‥
    私は・・・家政婦?!

    2005-08-16 22:07:00
  • 62:

    一輝のが立場は上。
    嫌だけど離れれない‥
    一人になりたくない。。

    2005-08-16 22:08:00
  • 63:

    でも、一輝が別れを告げるなら 私は何も言わない。 
    かっこいい女でいたい。
    ちっぽけな私のプライド‥ 
    『話って?!』
    私はタバコに火をつけながら言った。

    2005-08-16 22:09:00
  • 64:

    『今日ごめんなっ‥後、ミカの事も。瞳と同じ店の子やって知ってたけど‥』
    『だから何?』
    『いゃ…おれらの事さっ・・内緒にしてくれるよなっ?!』
    私の中で何かスイッチが入った。
    『ミカとこ行けば?』

    2005-08-16 22:10:00
  • 65:

    『はぁ?!』
    『だからミカと付き合えばいいやん。私が誰にでもペラペラ一輝の事話してるとでも思ってたん?』
    『いや違うけど‥』
    『もう肩書きだけの彼氏なんかいらんから。住む家なんか他にもいっぱい、あるでしょ!!一輝がおらな生きていけんくなる前に早く出て行って‥これ以上、苦しめんといて。』

    2005-08-16 22:11:00
  • 66:

    涙が次から次に溢れてきた
    自分で自分が言った言葉の意味が理解出来なかった。 
    ホストになんて本気にならない‥
    人を本気で好きになったりしない‥
    干渉しない人なら誰でも良かった筈‥

    2005-08-16 22:12:00
  • 67:

    矛盾ばかりの私の気持ち‥ 
    かっこいい女でいたいと願った私が誰より惨めな女だと思った。

    2005-08-16 22:13:00
  • 68:

    『何で泣くん?俺、別に住む家が欲しいから瞳とおるんちゃうで‥瞳とおりたいからおるんやで。』
    真っすぐ私を見つめて言う一輝の言葉が事実か偽りかそのときの私には分からなかった。
    ひたすら流れる涙‥
    初めて言った私の本音‥
    初めて聞いた一輝の甘い言葉‥

    2005-08-16 22:14:00
  • 69:

    一輝は椅子から立ち上がり私の隣に来て私の頭を撫でながら
    『一緒に頑張っていこな。瞳いつも口に出さへんけど俺、瞳のわがままくらい聞いてやれるし‥なっ!?』
    小さく頷いた私。
    甘い蜜にやられた私‥
    でも嬉しかった。一輝が私を必要としていてくれる事が‥

    2005-08-16 22:15:00
  • 70:

    その日は久しぶりに一輝と体を重ねた‥
    今までは義務としか感じなかったキス‥
    愛の証と意味づけてしていたセックス‥
    それがこの日を境に私の中で変わっていった。
    【愛しい】という言葉の本当の意味が分かったような気がした。

    2005-08-16 22:16:00
  • 71:

    次の日
    朝から二人で買い物に出掛けた。
    久しぶりのデート‥私達は今まで話をしなさすぎた。 
    その穴を埋めるように 出会った頃の二人に戻り 沢山の話をしながら手を繋ぎ歩いた。
    家につき仕事の用意をして靴を履いていると 一輝が私に駆け寄って来た。

    2005-08-16 22:17:00
  • 72:

    『瞳、頑張ってなっ‥』
    一輝の手が耳にかかり私は目を閉じる。
    愛情いっぱいのキス‥
    そして目を開けると私の左手の薬指には キラキラ光るリングがついていた。

    2005-08-16 22:18:00
  • 73:

    『何これ…?!』
     
    『いつも一緒の証』
    一輝が左手を見せながら言う。

    2005-08-16 22:19:00
  • 74:

    シルバーのリングの真ん中に小さな石が入っているリング‥
    一輝の左手にも同じのがついていた。
    『嬉しい‥』
    私が指輪を見ながら小さな声で言うと『店では外していいけど普段はつけてなっ!!』
    『うん!ありがとう』

    2005-08-16 22:20:00
  • 75:

    私は 小さな子供が初めておもちゃを買って貰った時のように喜んだ。
    タクシーの中でも ずっと指輪を眺めてはにやけていた。
    男の人から指輪を貰った事は今までにもあるのに、特別嬉しかった。
    『おはよう‥』
    私は半分にやけながら店に入った。

    2005-08-16 22:21:00
  • 76:

    『おはようございます』
     
    私はグラスにお茶を入れタバコに火をつけて座っていた。
    『チーママ、何かいい事ありました?』
    新人の唯が私に話かける。

    2005-08-16 22:22:00
  • 77:

    『何で?!』
    灰皿に灰を落としながら答えた。
    『何か顔にやけてますよっ!!』
    本当は話したい‥
    自慢したい。。

    2005-08-16 22:23:00
  • 78:

    でも我慢、我慢‥この幸せを守るためには仕方ない。
    『何もないよ!何か今日は気分がいいだけ。それより唯ちゃんはどうなん?』
    唯と仕事の話をしていると誰より苦手なミカが出勤してきた。
    『チーママ、おはようございます‥』
    『おはようございます。ミカちゃんまたギリギリだよぉ〜もぅ少し頑張ってね』

    2005-08-16 22:24:00
  • 79:

    『はぁ〜い…唯、灰皿とってきてっ!!』
    ミカは唯の事をよく思っていない。
    唯は新人の割に人気があるから‥
    特に可愛いわけでもないけれど愛敬の良さは抜群!持って生まれたモノだからミカには真似出来ない。
    自分の立場の危うさに気付いているのか唯の事を目の敵にする‥

    2005-08-16 22:26:00
  • 80:

    『失礼します』
    コトッ━・・
    唯がミカの前に灰皿を置いた。
    『ちょっと濡れてるやん。替えてきて!』
    まるで中学生‥

    2005-08-16 22:27:00
  • 81:

    『ミカちゃん。唯ちゃんもまだ分からない事あるやろし教えてあげてねっ‥』
    私は冷静に話した。
    『だって唯の奴覚える気ないんやもん…教えてもハイハイ言うて笑うだけで又同じミスするし‥』

    2005-08-16 22:28:00
  • 82:

    同性ばかりの職場は難しい…
    仲が悪いのは困る‥
    でも仲が良すぎるのも正直困る‥
    友達であっても【ライバル】ではいて欲しいから。
    でもミカの場合は唯をよく思ってないのは誰が見ても分かる程‥それも店的には困る‥

    2005-08-16 22:29:00
  • 83:

    『なるべく私も言うところは言うから。ねっ?!』
    『でもっ・・』
    『でもとか言わない!怒ったら可愛い顔台無しだょ…ミカちゃんは笑顔が可愛いのにっ!!また飲みに連れていってあげるから!』
    『本間に?!』
    ミカを宥めるなんて簡単。 『うん!さっ!!今日も一日頑張るよぉ!!』

    2005-08-16 22:30:00
  • 84:

    ミカはおいしい餌を目の前に置けば とびついてくるペットのよう‥
    その餌が【ホスト】
    『今日頑張ったら一輝の所連れてってくださいねぇ』 
    満面の笑みで携帯片手にミカは私の前を通り過ぎた‥ 
    一輝の所・・?!不気味な三角関係にはなりたくない‥

    2005-08-16 22:32:00
  • 85:

    たくさんの男の子の店がある中で 何で一輝?!
    たくさんのお客さんがいるなかで 何でミカ?!
    でも これだってよくある話‥
    珍しくはない━・・
    でも よりによって相手がミカ・・━

    2005-08-16 22:32:00
  • 86:

    『お疲れさまで〜す』
    女の子が次々に帰宅していく中…
    『チーママ、お疲れさまです!!』
    ミカが嬉しそうに私のもとへ寄ってきた。

    2005-08-16 22:34:00
  • 87:

    『お疲れさま。』
    私は帰り支度をしながら答えた。
    正直、今日は疲れた…

    2005-08-16 22:35:00
  • 88:

    『チーママ、ミカ今日頑張ったでしょ?!一輝の所一緒に行きますよね?!』
    『あっ・・‥うん…少しだけ行こうかぁ』
    忘れていた。。ミカとの約束…
    でも断ってこれ以上 険悪になるのも困る…。
    『嬉しいぃ!!じゃ一輝に連絡しときますねっ!!』

    2005-08-16 22:36:00
  • 89:

    『あっ!!ミカちゃん!唯ちゃんも誘ってあげて!!』
    『えっ?!』
    ミカの顔が一瞬ムッとしたのは言うまでもない‥
    『誘ってあげてねっ!!』

    2005-08-16 22:37:00
  • 90:

    『どうしてですか?!』
    『いいから!!ミカちゃんが言いにくいなら私が言うけど?!』
    『私一輝に電話するんでチーママお願いします』
    さっきまでのテンションはどこにいったのか、冷たく言い放ちミカは電話をかけに行った。

    2005-08-16 22:38:00
  • 91:

    『唯ちゃん、今から予定ある??』
    『えっ?!ないですけど??』 
    驚いたように目を丸くして唯が私を見る‥
    『今からミカちゃんと飲みに行くんだけど唯ちゃんも行かない?同業者の店だから勉強にもなると思うんだけど‥』

    2005-08-16 22:38:00
  • 92:

    『唯も行っていいんですか?!』
    嬉しそうに笑顔になる唯は私からしても可愛かった。 
    『いいよ!!一緒にいこっ!ミカちゃん戻ってきたら出るから用意しといて』
    少しでもミカと唯が仲良くなってくれれば…
    そんな気持ちで私は店を出た。

    2005-08-16 22:40:00
  • 93:

    『いらっしゃいませ!!』
    結局店につくまで唯とミカは会話がなかった。
    ずっと携帯を触るミカ‥唯は私にべったり‥。
    『一輝ぃ〜!!』
    店に入り一輝を見つけた瞬間黄色い声を放ちながら一輝に抱きつくミカ‥

    2005-08-16 22:42:00
  • 94:

    『ちょ、ミカちゃん酔うてるん?!』
    一輝がさり気なくミカの身体を押し離す‥
    酔ってる訳じゃない。。
    私達に見せびらかしたいだけなのは 分かってる。
    だから 私は何も反応しない‥

    2005-08-16 22:44:00
  • 95:

    ふと 唯を見ると唯は空気にのまれてるようだった‥ 
    『お久しぶりです。』
    一輝が私におしぼりを渡しながら言う。
    『ありがとう‥』
    満面の笑みで私は一輝と目を合わせた。

    2005-08-16 22:45:00
  • 96:

    いつもより 一輝の顔がすごくやさしく見えた。。
     
    『初めまして!!一輝って言います。一応主任やらして貰ってます』
    『あっ。唯です』
    一輝の名刺を受け取りながら唯は少し緊張した様子だった‥

    2005-08-16 22:46:00
  • 97:

    『唯ちゃん緊張してる?』 
    『はぃぃ…唯こういう所初めてで・・チーママは、よく来るんですか?』
    『あんまり来ないよ。でもたまに来たら楽しいし!!緊張するような所じゃないから!ねっ?!』
    唯の顔が笑顔に変わり 私も少し安心した。
    『乾杯ぃ!!』

    2005-08-16 22:47:00
  • 98:

    みんなでグラスを片手に乾杯し 取り合えず一気‥
     
    そして また一気・・
     
    一輝の他に男の子が二人ついていたけれど 名前すら聞かないまま 飲まされ続けた。

    2005-08-16 22:48:00
  • 99:

    ガバッッ・・━
     
    『チーママぁ━・・』
     
    抱きついて来たのは春だった。

    2005-08-16 22:49:00
  • 100:

    『ビックリしたぁ‥』思わず出た一言。。
    ふと目を横にやると またまた唯が目を丸くして私を見ていた。
    『ハハハ・・』
    愛想笑いをすると唯も少し引きつった笑顔で私を見た 
    『春〜どしたん?いっぱい飲まされたん?!』

    2005-08-16 22:50:00
  • 101:

    春の髪の毛を触りながら話をした。
    春は一つ年下。
    母性本能をくすぐるタイプで可愛い系。。
    『チーママに会いたかったぁ‥』
    少しときめいた‥

    2005-08-16 22:51:00
  • 102:

    ゲストから
    『瞳ちゃんの顔見に来てんで』
    『チーママに会いに来てんで』
    とか そんな風に言われたときも嬉しいけれど 又違う感じだった。

    2005-08-16 22:52:00
  • 103:

    例え これが営業用でも 私の心は明るくなった。
    『春、分かったから座れ』 
    私にべったりの春を見兼ねて一輝が春のスーツを引っ張った。

    2005-08-16 22:54:00
  • 104:

    補助椅子に座っていた一輝が私とミカの間に…
    春が私と唯の間に‥そして補助椅子に二人の新人。。
    ゲームも中盤に入り みんなだいぶイイ感じに出来上がった頃‥
    またまたミカが一輝とベタベタしだした。
    隣に座っている一輝は半分以上私に背を向け座っていた。

    2005-08-16 22:55:00
  • 105:

    『もしかしてミカさんと一輝君は付き合ってるんですか?!』
    一瞬空気が凍った━・・
    酔った勢いでか唯が笑顔でミカに話かけた。
    『そんな風に見える?』
    『はい!!』

    2005-08-16 22:56:00
  • 106:

    ミカは嬉しそうだった。
    『一輝、やってぇ〜付き合ってるように見えるんやってさぁ!!』
    一輝は少し戸惑い気味だった。それは多分 私が隣にいるせい…
    他の客なら 多分付き合ってるねん!!とか冗談でも言うだろう‥
    でも私がいるから・・・

    2005-08-16 22:57:00
  • 107:

    その時、一瞬、一輝が私の方に身体を向け カッターの中からネックを見せ、口パクで【ごめんな】と言った。
    そのネックの先には二人のペアリング‥
    そんな些細な気遣いでも嬉しかった。
    一輝と付き合ってるのかと聞かれたことが よほど嬉しかったのか ミカは唯にも度々話かけるようになった。

    2005-08-16 22:58:00
  • 108:

    どんな過程であれ 結果的には唯をつれてきて良かった。
    だいぶ酒も進み 私もかなり酔いが回ってきた頃‥
    ふと唯を見ると かなり酔っていて眠そうだった。
    『そろそろ帰ろうかぁ‥』 
    『はっ‥はい。。』

    2005-08-16 22:59:00
  • 109:

    『ミカちゃんは?残る!?』
    『ぇえ〜もっと飲みましょうよぉ!!』
    『もー飲まれんから‥また来たらいいやん。どうする??』
    『どうしよ?!』
    一輝に聞くミカ‥

    2005-08-16 23:00:00
  • 110:

    『じゃ、またチーママと一緒に来たら?』
    一輝は帰る方向で話を進めた。
    『でもぉ・・』
    まだまだ 居たいというオーラ出っぱなしのミカ。
    『じゃ、もう少しおり!!ここまでのは払うから後、残りは払ってね。』

    2005-08-16 23:01:00
  • 111:

    接続悪いので一旦休憩

    2005-08-16 23:04:00
  • 112:

    『はぁい!!チーママご馳走様です』
    『いえいえ。その代わり明日も頑張ってよ!』
    私は財布を出して『一輝君ここまでの分チェックして』
    『チーママ、唯半分出しますよ‥』
    唯が酔いながらも気を使い私に言う。

    2005-08-17 00:19:00
  • 113:

    そんな所が可愛い。
    私にとって唯は本当に可愛いスタッフだった。
    初めての水商売ということもあり 真っ白でピュアで・・・
    色恋なんかしなくても十分客がついてくる。
    『今日はいいの!!チーママが誘ったし』

    2005-08-17 00:20:00
  • 114:

    『でもっ・・・』 少し困惑した顔で私を見る唯。
    『いいの!!こういう時はご馳走様ですって言えばいいの!分かった!?』
    『はいっ。ご馳走様です』 
    『はい。。それでいいです!(笑)』
    二人で笑いながら私と唯はミカに別れを告げ店を出た

    2005-08-17 00:22:00
  • 115:

    『ありがとうございます』 
    春と一人の男の子が送りに来た。
     一輝とは一瞬目があった‥ 
    そらしたのは やっぱり私 
    一輝に惚れてる事、一輝にもばれたくない‥

    2005-08-17 00:25:00
  • 116:

    もう少しの間は・・・
     
    一輝が私に惚れてる事にしてね。

    2005-08-17 00:25:00
  • 117:

    『チーママ、連絡先とか教えて下さいよっ!!』
    『あたし?!』
    春の発言に素直に驚いた私。だって春は 私と一輝が一緒に暮らしてる事を知ってる唯一の人間・・
    『ダメですか?』
    『いや、ダメとかじゃないけど。。じゃこれ!!』

    2005-08-17 00:26:00
  • 118:

    私は店の名刺を渡した。
    『ありがとうございます!連絡しますね』
    『お店にも行かせて貰いますから!』
    またまた社交辞令の被せあい‥
    正直 あまり来たくない。

    2005-08-17 00:28:00
  • 119:

    一輝の営業の仕方は好きじゃない。。
    店では━クールで硬派‥
    でも一歩店を出ると すごく優しい笑顔を向ける。
    【色】【枕】は当たり前‥ 
    だって私もそうだったから‥。

    2005-08-17 00:29:00
  • 120:

    私は店には行かなかったけれど それで店に来る子も少なくはないだろう。。
    初めはそんな彼でも良かった。
    本カノだの色カノだの 何だっていい。。
    淋しさを紛らわしてくれる大きな人形と同じ・・
    でも 今は・・・

    2005-08-17 00:30:00
  • 121:

    愛の意味なんて今も分からない… 
    でも一輝を大切に思う気持ちは大きくなっていた。
    ずっと側にいたいと…
    最低な男から最愛の人へ━・・
    私の思考回路の切り替えはかなり早いらしい…

    2005-08-17 00:31:00
  • 122:

    『唯ちゃん、大丈夫?』
    フラフラの唯…『はっ、はい。大丈夫ですっ!!』
    『ちゃんと帰れる?』
    コクりと頷く唯をタクシーに乗せ 私もタクシーに乗り帰宅した。
    『たらいまぁ〜』

    2005-08-17 00:32:00
  • 123:

    一人大きな声で話ながら靴を脱ぐ。
    シーンと静まり返った部屋は嫌い・・・
    真っ暗な部屋も・・・
    私は部屋に入るとすぐに全部の部屋の電気をつける。 
    電気がついてるだけで少し 淋しさがマシになるから・・・ほんの少し━・・・

    2005-08-17 00:33:00
  • 124:

    ♪♪♪【∽∽∽】
    見たことのないアドレス… 
    【今日はありがとうございました。今度時間があれば一緒に飯でも行きましょ!!体には気をつけて!春】
    ん・・?!春?!
    愛想があるわけでも無い訳でもないメール。

    2005-08-17 00:34:00
  • 125:

    営業メールのようなそうでないようなメール。
    嫌な気はしないけれど返す言葉に困る。。
    【ありがとっ!!春が暇な時誘ってくれたら嬉しいです☆】
    無難な返事・・
    可愛げもない…。

    2005-08-17 00:35:00
  • 126:

    それからは 何事もなく毎日が過ぎた。。
    恋も仕事も・・・順調だった。
    でも幸せな時間は ガラスのように簡単に崩れて行った。。
    『瞳っっ!!電話ずっと鳴ってる・・』
    『━・・んー?!』

    2005-08-17 00:37:00
  • 127:

    一輝が私を必死に起こす。 
    昨日ゎ土曜という事もあって忙しかったし アフターあったし・・眠い…
    『瞳!!なぁ!瞳ちゃん起きって!?』
    『う━・・ん。どうせ客やから無視…』
    私の寝起きの悪さは天下一品!!

    2005-08-17 00:38:00
  • 128:

    『じゃ、俺出ようっと!!』 
    『それはダメっ!!』
    一輝から携帯を取り上げ着信が誰からかも確認せずに私は通話のボタンを押した 
    『はぃ・・?』
    『グスッ・・・チーママ?!』

    2005-08-17 00:39:00
  • 129:

    急いでディスプレイを確認する。
     
    通話中《唯》
     
    『唯??どしたん?』

    2005-08-17 00:41:00
  • 130:

    『グスッ…‥今から時間ないですか?』
     
    電話の向こうは車の走る音と唯の鼻をすする音・・。 
    『あるよ!!今どこ?』

    2005-08-17 00:42:00
  • 131:

    『今は家の近所なんですけど…』
    『取り合えず今から行くからコンビニでもおり!!分かった?』
    『ハイ・・・』
    電話を切ると私は顔だけを洗い 服を着替えた。
    『一輝っ!車貸して!!』

    2005-08-17 00:43:00
  • 132:

    『こんな朝から何処行くねん?!』
    『唯に何かあったっぽい…。取り合えず行ってくるから!!』
    『唯って前ミカと三人で来た子やんな?!』
    『うん。一輝寝てていいで?!寝てないんやろ?!ごめんね。。』
    『別に今日休みやし俺は大丈夫やけど…瞳、一人で行けるか?』

    2005-08-17 00:44:00
  • 133:

    『うん。大丈夫。。』
    『もし、あれやったら家連れてきてもええから!!』
    『ありがとう。行ってくる』
    私はエレベーターを待つ時間も もったいなく感じ 階段を急いで降りた。
    いつも明るい唯・・・泣くなんて よっぽどの事の筈‥。

    2005-08-17 00:45:00
  • 134:

    運転中もずっと唯の事ばかりを考えていた。
    誰より私になついていて、誰より私を慕ってくれている唯。。
    私の客を託すならこの子しかいないと思うほど私は唯を信用している。
    それは私が唯の事を私色に染めてしまったからかもしれない・・・

    2005-08-17 00:46:00
  • 135:

    でも仕事以外でも 唯は可愛い。
    年は一つ上なのに どうしても年下に思える。。
    『もしもし?唯ちゃん!?コンビニついたけど何処?』 
    電話を切ると唯はゆっくり車に近づいて来た。
    『どうしたの?』

    2005-08-17 00:47:00
  • 136:

    取り合えず唯を車に乗せ、話を聞こうとした。
    『・・・・』
    『黙ってても分からないから話して?!』
    『彼氏が・・殴る・んです‥。』
     『殴る??』

    2005-08-17 00:48:00
  • 137:

    初めて聞いた彼氏の存在。 
    『グス・・三年前くらいからずっと付き合って一緒に住んでるんですけど…働かなくなって・・で、水商売じゃないとやっていけなくて…そしたら次は頻繁に殴るようになって・・恐くて…』
    全然気付かなかった。
    『そっか…恐かったね。大丈夫?』

    2005-08-17 00:49:00
  • 138:

    小さく頷く唯…。
    『チーママごめんなさい。いきなり電話して‥』
    『そんなんいいから。ちょっと落ち着いた?』
    少し落ち着いた様子になり私も安心してタバコに火をつけた。
    『はい。ごめんなさい。』

    2005-08-17 00:50:00
  • 139:

    『謝らなくていいから!!どうする?帰る??』
    『ちょっと今は・・帰りたくないです。。』
     
    『そっか…ちょっと待っててね』

    2005-08-17 00:51:00
  • 140:

    私はタバコを消しコンビニに入り携帯を開いた。 
    デスクトップからすぐにかけれる相手‥
    『もしもし?!起きてた?』 
    『うん。どうやった?』
    勿論相手は一輝。。

    2005-08-17 00:52:00
  • 141:

    『う〜ん。。状況は良くないかも・・でねっ…』
    『いいで別に!!』
    レジにコーヒーを二つ置き驚いた顔を一人でしていた。。
    『えっ?!まだ何も言ってないのに何で言いたい事分かったん?』
    『瞳の考えてる事くらい何でも分かるわっ。俺は気にせんし‥家連れて来たりぃなっ!!それより俺はお前が運転しとう方が恐いから早く帰ってこい!!』

    2005-08-17 00:53:00
  • 142:

    『分かった。早く帰るからちょっとだけ片付けといてなっ!!』
    クスクス笑いながら一方的に電話を切り 急いで車に乗り込んだ。
    『はい!どうぞっ!!』
    唯の目の前にコーヒーを差し出すと 唯は大事そうに両手で包んだ。
    『ありがとうございます』

    2005-08-17 00:54:00
  • 143:

    ゆっくりとコーヒーの蓋をあけ 一つため息をついた唯・・・
    『ハァッッ・・おいしい‥』 
    私もコーヒーを一口飲みサイドブレーキを左足で思いっきり踏んだ。
    『じゃ出発!!』
    『えっ??』

    2005-08-17 00:55:00
  • 144:

    唯が私の方を見る。。
    私は見えてないフリをした。特に理由はないけれど家に向かってる事は内緒にしてた。。

    2005-08-17 00:55:00
  • 145:

    一輝と住む家に 未だ他人は来たことがない。
    それは他人を呼んだ事がないから━・・・
    唯一 出入りしてるのは私の母親くらい。。
    店の子は勿論…地元の友達も私が男と住んでる事すら知らない。
    話さない訳は、呼ばない訳は彼の職業・・・。

    2005-08-17 00:56:00
  • 146:

    【ホスト】という仕事が 格好わるいとか まともじゃないから紹介出来ない…って思ってる訳じゃない。。。
    【ホスト】だから・・・
    私が 前に友達に彼氏と一輝の事を紹介した。
    すると その子は一輝の店の子の客だった。。
    これだってよくある話…それから私は誰にも言わなくなった。。

    2005-08-17 00:57:00
  • 147:

    でも 唯なら大丈夫だろう・・・。
    『さっ!!ついたよ!』
    私はギアをパーキングに入れ 唯の方を見た。
    『チーママ、ここは?』
    『私の家!!さっ行くよ!』

    2005-08-17 00:59:00
  • 148:

    唯はちょこちょこ私の後ろをついてきた。

    『チーママ悪くないですか?!お家の人とか迷惑かかるし・・・』 
    エレベーターの中で唯が心配そうに言う。
    『大丈夫だよ。』

    2005-08-17 01:00:00
  • 149:

    ガチャ━・・・
    『ただいまぁ!!』

    『おじゃましますっ…』  
    靴を脱ぎ 唯をリビングに連れていくと いつも大きな目が更に大きくなってた 

    2005-08-17 01:01:00
  • 150:

    『えっ・・・?』振り返り 私の方を見て もう一度首を戻す…。
    そして また私を見る…
    『おかえり!!』
    ソファーで携帯をいじりながら一輝が私の方を見て言う。
    『ただいまっ!!もぅ!!部屋片付けてって言うたやん!洗濯物は洗濯カゴに入れてって!何回言うたら分かるんよぉ‥!!』

    2005-08-17 01:02:00
  • 151:

    ぶつぶつ言いながら私は部屋に無造作に脱ぎ捨てられた靴下を拾い 唯の方に目をやった。
    びっくりしたまま静止状態な唯・・・
    『えっと・・唯ちゃんやんなっ?』
    『あっ!!はいっ!』

    2005-08-17 01:03:00
  • 152:

    『座ったら?』
    一輝は少し端により 唯が座れるスペースを作り 手招きした。
    『はい…お邪魔しますっ・・・』
    チョコンとソファーに座る唯を見て 私は何故か笑みがこぼれた。
    『唯ちゃん?』

    2005-08-17 01:04:00
  • 153:

    『はっ!!はいっ!?』

    捨てないで!!とすがるような目で見つめる子犬のような目で私を見つめる…
     
    『緊張なんかしなくていいから・・ここは私と一輝しかおらんし。好きなだけおっていいから…。』

    2005-08-17 01:05:00
  • 154:

    私は少しの優越感にひたっていた‥
    誰にも見せる事がなかった部分・・・
    【チーママ】という肩書きを外して 瞳という一人の【女】の私‥。
    そして 一輝という男の彼女の私‥。

    2005-08-17 01:06:00
  • 155:

    『唯ちゃん、お腹すいてへん?ちょー!!瞳っ!!腹減ったわ』
     
    ちょうどテレビでは料理番組が流れていた。
     
    『どうする?材料ないし食べに行く?』
     
    『それは唯ちゃんもしんどいやろ…俺買い物行ってくるから瞳作ってやっ』

    2005-08-17 01:07:00
  • 156:

    『それはいいけど…。一輝、買い物行けるん?!』
    『あほかっ!!買い物ぐらい出来るわっ!唯ちゃん、何食べたい?瞳が作るから、うまいかはわからんけど』 
    バシッ━・・
    私の手が一輝の肩に触れるのは早かった。
    『じゃ一輝は食べなかったらいいやん!!』

    2005-08-17 01:08:00
  • 157:

    一輝に冷たく言うと 私は冷蔵庫をあけて 中に入ってる物を確認した。
    『そんな怒らなくていいやん…。ごめんなっ。』
    聞こえないフリをした。
    『瞳?!ちょー無視すんなって!!瞳ちゃん?ごめん。ごめんって!!姫?!許して』 
    『しゃーないなぁ…』

    2005-08-17 01:09:00
  • 158:

    唯を見てニコっと笑うと唯は私たちを見て 笑っていた。
    『唯ちゃん、どしたん?』 
    あまりにも私達を見て唯が笑うから思わず聞いてしまった。
    『だって…チーママも主任も・・いつもと違うんだもん。バカップルみたい!!』
    うれしかった━・・。

    2005-08-17 01:10:00
  • 159:

    【しっかりしてる】
    【かっこいい女】
    私が欲しい言葉は そんな言葉じゃない。
    『何言うてるん!!』
    唯の言葉を照れ臭そうに返した私の顔はりんごよりも赤かったと思う‥。

    2005-08-17 01:12:00
  • 160:

    それから私達三人の生活は順調だった。
    公私混同はしない。
    唯を叱ることもある。
    でも 彼女は私についてきてくれていた。
    それが何より 嬉しかった。。

    2005-08-17 01:12:00
  • 161:

    でも この頃から すでに悪夢は始まっていたのかも知れない━・・━・・・
    『チーママ!!指輪っ!』
    普段 外す事のない一輝から貰った指輪…。
    この日は何故か洗い物をする為に外していた。
    『あっ!唯ちゃん、ありがとう!じゃ行こうかぁ!!』

    2005-08-17 01:13:00
  • 162:

    ガチャ━・・
    その指輪が一つの事件を起こすなんて私には気付く筈もなかった。
    『おはよう!!』
    店に入るといつものようにグラスにお茶を入れタバコに火をつける。
    『おはようございます』

    2005-08-17 01:14:00
  • 163:

    最近何かと私に近づいてくるミカ。
    好きか嫌いかと言われたら嫌い…。
    でも仕事に感情は持ち込まない。
    『チーママ最近その指輪ずっと付いてますね?』
    いきなりのミカの言葉に私は少し動揺した。

    2005-08-17 01:16:00
  • 164:

    ミカは一輝の指輪を多分見てる。
    ばれたくない━・・・
    『あっ、うん。お気に入りだから‥』
    『自分で買ったんですか?ちょっと見せて下さいよっ!!』
    ミカは気付いているのだろうか・・・。

    2005-08-17 01:16:00
  • 165:

    こちらに向かって大きく開かれた手のひらに私の宝物はゆっくり置かれた。
    今まで気付かなかった。
    【絆・HITOMI:KAZUKI】
    綺麗に指輪の内側に掘られた文字。 
    『やっぱり!!泥棒!』

    2005-08-17 01:18:00
  • 166:

    カラン━・・・
    私の宝物は一瞬で灰まみれになった。
     
    泥棒━・・・?!
    私が…?!

    2005-08-17 01:19:00
  • 167:

    私はミカから一輝をとった覚えなんてない!!
    ミカと一輝が出会う前から一輝とは一緒にいた。
    奪えるなら奪ってくれたらいい・・・
    『ごめん!!おしぼり、ちょうだい!』
    ボーイから湯気のたつ おしぼりを受け取り 灰皿から指輪を取り 丁寧に拭いた。

    2005-08-17 01:20:00
  • 168:

    私の一番の宝物…
    私は負けない・・・  
    吐き捨てられた言葉の
    《挑戦状》
    ━・・・泥棒・・・━

    2005-08-17 01:21:00
  • 169:

    幼い頃 母親が私に何度も言った。
    『瞳…人の物はとっちゃダメ!嫌な事は嫌って言わないとダメ!世間から白い目で見られる事はしたらダメ!!』
    この三つは母親の口癖‥。 
    父は 私がまだ小さい頃、愛人との生活を選んだ。
    愛人が奪っていったのは 私の父親という肩書きだけではなかった。

    2005-08-17 01:22:00
  • 170:

    母親の笑顔・・・。母親のプライド・・・。世間体・・・。
    たくさんの物を奪っていった。
    そんな母に 教わった事… 
    人の男には惚れるな。
    男に依存するな。

    2005-08-17 01:23:00
  • 171:

    それだけは守ってきたつもり・・・
    だから ミカの言葉だけは許せなかった。
    『ありがとうございます』 
    ゲストに頭を下げ 最後の客を送る。
    『ミーティングするから集まって〜!!』

    2005-08-17 01:24:00
  • 172:

    『ミカちゃんは?』
    分かっていた事…。
    『帰りましたよ!!何か、かなり機嫌悪かった。』
    『そう‥みんなじゃないと意味ないから明日にするわ。お疲れさま』
    機嫌が悪いのは私の方…逃げたいのは私の方‥。

    2005-08-17 01:25:00
  • 173:

    こんな店 辞める!!
    何度思っただろう‥。
    でも いつからか ここにある私の居場所。
    簡単に捨てれない。
    何かに縛られてる訳でも、何かが気に入ってる訳でもなく、ただ スタートに戻りたくないだけ。

    2005-08-17 01:26:00
  • 174:

    ガチャ━・・・
    『ただいま‥』
    『瞳一人かぁ?!お疲れ様』 
    カバンを放り投げ ソファーに体を預けた。
    『仕事は?』

    2005-08-17 01:26:00
  • 175:

    『行くで!!もーちょいしたら!』
    『なぁ〜一輝っ。』
    『ぉお??』
    『ミカと、どれくらい寝た?付き合ってるん?』
    携帯をいじっていた一輝の手は一瞬で止まった。

    2005-08-17 01:27:00
  • 176:

    『瞳?!どしたん?酔うてるんか…?!』
    すぐに分かる。
    一輝の癖・・・
    焦ると 目が泳ぐ。。
    『真剣に聞いてるの!どれくらい寝た?どれくらい使わせた?』

    2005-08-17 01:28:00
  • 177:

    一輝が客と寝てる事くらい知っていた。
    だってこれはビジネスだから…。
    何度も自分に言い聞かせた 
    醜い嫉妬心で余裕がないなんて思われたくない。
    『そんなんせんといて!!』って心の中では何度も思った。でも実際は見てみぬフリ…

    2005-08-17 01:29:00
  • 178:

    基本的に一輝の嘘は すぐ分かる。
    財布にお金を足そうとした時‥
    たくさんのレシートが財布から落ちた。
    一番上のレシート
    【宿泊】

    2005-08-17 01:30:00
  • 179:

    ラブホテルのレシートは綺麗に財布にしまわれていた。
    勿論 私達は行った事なんてない。

    『コーヒー入れよか…』
    インスタントのコーヒーを二つ お揃いのコップに入れ 一輝はゆっくり私の前に置いた。

    2005-08-17 01:32:00
  • 180:

    『ミカとはなぁ…付き合ってはない。でも寝た‥』
    『そぉ・・・』
    落ちつかなきゃ‥
    冷静にならなきゃ‥
    自分で自分に暗示をかける私。

    2005-08-17 01:33:00
  • 181:

    『でもなっ‥そこに愛情はないねん!好きなんは瞳だけやで!!』
    浮気した男はみんな そんな風に言う。
    お前が一番・・・もうしないから・・・お前がおらな・・・
    みんな同じ。。

    2005-08-17 01:36:00
  • 182:

    『ミカに私らの事ばれてるで・・・多分。どうするかは一輝が決めたらいいけど‥』
    『どうするって?別れるって事?』
    『それもありちゃう‥』
    出会いがあれば別れだってある。
    永遠の愛?!そんなの ないって私は両親に教えられた。

    2005-08-17 01:38:00
  • 183:

    『瞳‥俺なっ・・・』
    ♪♪♪〜携帯を見る。
    私のじゃなかった‥
    『ちょ〜ごめん。もしもし??』
    バタン━・・・

    2005-08-17 01:40:00
  • 184:

    閉ざされた扉の向こうで一輝が楽しそうに話す声は聞きたくなくても聞こえてくる。
    私は何の為に一輝といるんだろう・・・
    一輝は何の為に私といるんだろう・・・
    一輝に『何で私と一緒におるん?』って聞いたら間違いなく彼はこう答える。
    【好きだから】

    2005-08-17 01:41:00
  • 185:

    好きなら‥
    どうして他の女を抱くの? 本当は 聞きたい。
    でも聞かない。
    聞けないんじゃなくて、聞かない。
    ♪♪♪〜

    2005-08-17 01:43:00
  • 186:

    【着信:唯】
    『はい?』
    『お疲れさまです。今から帰ります。何かいります??』
    『ん〜プリン買ってきて。鍵あけとくねぇ〜』
    唯はいつも私より遅れて帰ってくる。私と一輝、二人の時間を邪魔しないようにしてるかのように・・・

    2005-08-17 01:44:00
  • 187:

    バタン━・・・
    『ごめん。』
    申し訳なさそうに私の顔色を伺う一輝に 私は優しい言葉の一つもかけれなかった。
    『唯帰ってくるから‥』
    それだけを伝え 私は寝室入りドアを閉めた。

    2005-08-17 01:45:00
  • 188:

    私達の掟━・・
    寝ている時以外に寝室のドアが閉まっている時は 絶対に入らない。
    ずっと一緒だと疲れるから一人の時間が欲しい時は寝室に入りドアを閉める。。  
    ベットに横になると何故か涙が溢れてきた。一輝がいなくなった生活は今の私にとって真っ暗なトンネルと同じ。
    言葉では 平気だと背伸びしていても本当は恐くてたまらない。

    2005-08-17 01:47:00
  • 189:

    コンコン・・
    急いで涙を拭い ドアを開けると唯がにっこりと笑いプリンを差し出してくれた。
    『ありがとう』
    『はい!主任も!!』
    唯が一輝にも笑いながらプリンを渡す。三人で食べたプリンは いつもより おいしかった。

    2005-08-17 01:47:00
  • 190:

    『瞳…ちょっと話いい??』 半分 寝呆けながら身体を起こし 時計に目をやる。 
    朝八時。
    あれから唯と寝酒を飲んでたくさん彼氏の話を聞いて…いつのまにか眠ってた。 
    『んー?何??』
    『今日ミカ店来た‥で、瞳との事言われたけど流してん。でもばれてると思う‥俺のせいやっ‥ごめん』

    2005-08-17 01:49:00
  • 191:

    『何で一輝のせいなん?』 
    『俺、ミカの事たまに瞳って間違えて言うた事あるねん。あと指輪見られたし』 
    それが逆なら私は多分怒り狂ってる。
    私の事を間違ってミカと呼んでいたら‥
    でも反対なら気分は良かった。

    2005-08-17 01:50:00
  • 192:

    『もうミカの事はいいやん。考えるのもしんどい‥もー寝よ。』 
     
    それは本音。
    考えても何もかわらない。 
    ただ仕事が少しやりずらくなるだけ。

    2005-08-17 01:51:00
  • 193:

    仕事なんて辞めたらいい‥店なんて いくらでもある。
    楽天的な私はその程度にしか考えていなかった。
     
    愛情と憎しみ紙一重・・

    2005-08-17 01:52:00
  • 194:

    その言葉の意味を身を持って体験するなんて その時の私には考えもしなかった 
    ♪♪♪〜
    しつこい程 なり響く電話の音・・・
    寝起きの悪い私は 画面も確認せず 通話ボタンを押した。
    喉が渇き 擦れたお婆ちゃんのような声で電話に出る 

    2005-08-17 01:53:00
  • 195:

    『はぃ…』
    『もしもし??チーママ?』 
    焦った声の主は 画面を確認しなくても分かる。
    ふと部屋の時計に目をやる‥
    11時・・・

    2005-08-17 01:54:00
  • 196:

    『唯ちゃん、そんな慌ててどしたん??』
     
    『今、コンビニなんですけど‥マンションの下に多分ミカさん居ました。』
     
    『えっ??』

    2005-08-17 01:55:00
  • 197:

    『だからぁ‥ミカさんがマンションの下に・・』
    『ミカちゃんは唯ちゃんに気付いてるん?』
    『いや、多分気付いてないです。』
    唯の焦りようは普通じゃなかった。私も何か嫌な予感がしてたまらなかった。
    『取り合えず帰っておいで…待ってるから。』

    2005-08-17 01:56:00
  • 198:

    電話を切り 自体を把握しようとするけど 寝起きの頭では何も考えれない。
    唯はミカを見て何故私に電話して来たのだろう‥
    私とミカと一輝。不気味な三角関係の事は知らない筈・・・。
    唯は走ったのか 思ったより、かなり早く帰ってきた。
    『おかえり‥』

    2005-08-17 01:57:00
  • 199:

    『唯ちゃん、コーヒー飲む?』
    『あっ、あたしが入れますよっ!!』
    『いいから‥座り。』
    コップにインスタントコーヒーと砂糖を入れ お湯を注ぎながら 頭では何から話しようか考えていた。
    『何でそんなに焦ってたの?ミカちゃんが私の家に来てもおかしい話じゃないでしょ?!』

    2005-08-17 01:58:00
  • 200:

    唯の前にコップを置き 正面に私も座った。
    『チーママ‥ミカさんから主任の事とったんじゃないですよね?!』
    『何それ・・・』
    少しムカツイた様に返事をしてしまった私…。唯にそんな風に言われた事は私にとってかなりショックだった。
    『唯はそんなん思ってないですよっ!!でも‥メールが・・・』

    2005-08-17 02:00:00
  • 201:

    『メールっ・・??』
    携帯を開き カチカチと何度かボタンを押し 唯が画面を開き私の前に置いた。 
    昨日の日付。
    送信元━━━━ミカ・・
    【チーママに彼氏盗られたから当分店には出ないです。チーママは客とも寝てるし最低やのに彼氏まで盗られて‥本間にムカツク】

    2005-08-17 02:01:00
  • 202:

    一括送信のメールは見て分かった。
    送信元の下に他のスタッフのアドレスも載っていた。
    彼氏盗られた?!
    客とも寝てる?!
    どちらも全く覚えなんてない‥

    2005-08-17 02:02:00
  • 203:

    『唯は‥唯はそんなん信じてないですよっ・・』
    何故か唯は目に涙をためていた。
    『何で唯ちゃんが泣きそうなん?私、別にこんなん気にせんよっ!!事実じゃないし‥一輝とはねっ・・』
    私は淡々とでも感情もふまえながら一輝との経緯を話した。

    2005-08-17 02:04:00
  • 204:

    そしてホストという仕事の事も・・・
    【色】や【枕】営業もあるという事。
    ピュアな 唯は少しショックそうだった。
    彼女の営業に色なんて全くない‥
    だから なおさら酷だったかも知れない。

    2005-08-17 02:05:00
  • 205:

    『でも、チーママ嫌じゃないんですか?浮気と一緒でしょ!?』
    『う〜ん…。嫌じゃないって言ったら嘘になるかな…でも諦めじゃないけど、一輝が他の女と寝ようが何しようが今私は一輝といたいから・・・』
     
    『何か強いですね。。』

    2005-08-17 02:06:00
  • 206:

    唯の頬を伝う涙‥
    本当は強くなんかない‥
    強いフリをしてるだけ。
    誰よりも孤独が恐い私の精一杯の強がり‥。

    2005-08-17 02:07:00
  • 207:

    『何で唯ちゃん泣いてるん??泣きな―!!』
    『だって‥自分が辛い時でも唯の話聞いてくれて‥年下やのに、しっかりしてて‥唯はいつも頼ってばかりで・・・』
    唯の言葉に考える間まなく私の目からは大量の涙が流れた。
    しっかりなんかしてない‥ただの強がりなのに…。
    それでもそんな私を頼ってくれている唯の存在は大きかった。

    2005-08-17 02:08:00
  • 208:

    『もぅ泣いたらあかん!目腫れるから‥』
    二人してティッシュで涙を拭っていると 賑やかな声でか一輝が目をこすりながら起きてきた。
    タバコに火をつけ 三人でテレビを見て討論をしていると 部屋のインターホンが鳴った。
    『誰やろ・・・』
    一瞬浮かんだミカの顔。

    2005-08-17 02:09:00
  • 209:

    受話器を取る前にモニターのスイッチを押した。
    そこに映っていたのはまさしく予想的中‥ミカだった 
    『ミカやっ・・』
    ぼそっと呟いた私‥
    すぐに反応したのは唯の方だった。

    2005-08-17 02:10:00
  • 210:

    『チーママ‥??』
    どうしよ‥どうしよう・・・
    心配そうに私にかけよる唯 
    『一輝?!家ばれてない?』 
    一輝には意味が分からない様子で 不思議そうな顔で私を見る。

    2005-08-17 02:11:00
  • 211:

    『ミカが来た・・・家つけられたりしてない?!』
    『はぁ?!』
    吸いかけの長いタバコを灰皿に押しつけ 私に近ずきオートロックのモニターに目をやる一輝。
    ミカは私の家を知らない筈・・・
    だいたいの場所は知っていても部屋までは知らない。

    2005-08-17 02:13:00
  • 212:

    一輝の家と知って来たのか‥
    私の家と知って来たのか‥それすら分からない私達はどうする事も出来ない。
    焦り‥不安‥心配‥
    どれに当たるかは分からないけど 私にはどうする事も出来ず一輝の顔を伺うしか出来なかった。
    『出んでいいやん。ほっとけ!!』

    2005-08-17 02:14:00
  • 213:

    少し怒ったように言う一輝 
    『どっちかに用事あったら電話くるやろ』
    確かにそうだ・・・
    『瞳は何も心配せんでええ‥何かあった時は俺が守るから!!』
    グイグイ手を引っ張り無理矢理ソファに座らされ 耳元で囁くように言われた言葉‥。

    2005-08-17 02:15:00
  • 214:

    一輝に出会って、一輝を愛して、一輝を必要として、私は変わった。
    【可愛い女】になりたい私が【可愛い女】になれない私を守る為、一生懸命作ってた【大人の女】という偽物の私‥
    その偽りの壁を一輝は初めて壊してくれた人。
    【愛してる】
    というたった一言が 心地よかったり、人を愛するという事を教えてくれた人。

    2005-08-17 02:17:00
  • 215:

    『唯ちゃんも座りっ!!』
    一輝が優しく話す。
    『じゃ、今日は俺が何か作ったろ!!二人とも何食べたい?』
    腕をまくりながら気合いを入れた一輝が言う。
     『パスタっ!!』

    2005-08-17 02:18:00
  • 216:

    そうとうお腹が空いていたのか唯は速答だった。
    『よっしゃ!!今日は瞳の大好きなカルボナーラにしよかっ!なっ?!』
    ニコっとこちらを向き笑顔で言う一輝に私は小さく頷いた。
    ♪♪♪〜
    みんな一瞬目が合う‥

    2005-08-17 02:19:00
  • 217:

    すぐに自分の携帯を探した。
    光ってない・・・
    私じゃなかった。。
    少し安心して 一輝を見ると首を横に振る。
    『友達からですっ!!』

    2005-08-17 02:20:00
  • 218:

    苦笑いしながら唯が電話に出る。
     
    一瞬 はりつめた空気‥
    ミカが恐い訳じゃない。
    この幸せを壊されるのが恐いんだ・・・

    2005-08-17 02:21:00
  • 219:

    『なぁ瞳…俺等、大丈夫やんなっ?!』
    『ん?!何が?』
    『いや‥だからさっ、俺とずっと・・・』
    ♪♪♪〜
    一輝の前で光る携帯‥

    2005-08-17 02:22:00
  • 220:

    『誰やねん。こんな時に‥ちょいごめんなっ。』  
    私が頷いたと同時に一輝は携帯を開いた。
    『俺やったんかっ‥』
    『えっ?!』
    『ミカから・・・』

    2005-08-17 02:23:00
  • 221:

    私の前に差し出された携帯には はっきりと【美香】という名前が出ていた。
    携帯を持ったまま何か考えている一輝。
    『出んの?』
    あまりにもひつこく流れる着信音は 一輝も私も大好きな曲だった。
    『ひつこいなぁ‥』

    2005-08-17 02:24:00
  • 222:

    切れてはすぐに音楽が流れ、切れては流れ…まるで生きてるかのようにしつこく 鳴り止まない、一輝の携帯。
    『だるいなぁ‥』
    通話ボタンを押す前に寝室に向かった一輝の服を私はグイっと引っ張った。
    『瞳どした?』
    『ここじゃ、あかん?』

    2005-08-17 02:25:00
  • 223:

    『えっ?!』
    二人の約束‥。
    お互い営業電話は聞こえない所でする。
    聞きたくない事は聞かない 
    でも今回は違う‥どうしても聞きたい。

    2005-08-17 02:27:00
  • 224:

    『ここで話して!?私、静かにしとくから‥』
    『ええけど‥気、悪くせんかっ?!』
    『うん。』
    話てる間も携帯は鳴り続けた。
    『もしもし‥?』

    2005-08-17 02:27:00
  • 225:

    静まり返った部屋にはミカの声が携帯から漏れて聞こえた。
    『一輝‥今から会えないかな?!』
    電話の向こうで泣きながら話すミカの声‥
    少し 胸が痛んだ。
    何も悪いことなんてしてない‥

    2005-08-17 02:28:00
  • 226:

    いつも私の前や他の女の子の前では気の強いミカが見せる女な部分。
    同じ女として 涙ながらに訴える彼女の気持ちは痛いほど分かる。
    『今から‥??ちょっと無理やなぁ‥。ごめん。』
     
    一輝はミカが泣いている事に気付いていながら あえて触れなかった。

    2005-08-17 02:29:00
  • 227:

    『どうしても、少しでいい…会いたいの。』
     
    『本間ごめん。体調悪いから‥まじで勘弁して?!』
     
    ミカは 嫌がるかも知れないけれど 私は少しミカに同情した。

    2005-08-17 02:31:00
  • 228:

    ミカも私もたまたま 同じ人を好きになっただけ‥
    たまたま私のが早く一輝と知り合って‥
    ミカより少し早く 体を重ねて‥
    ミカより少し早く【彼女】という肩書きを貰っただけ・・・
    逆の可能性だってあった。

    2005-08-17 02:32:00
  • 229:

    私が一輝の隣で眠ってる時もミカは一輝を思いながら一人で寝ているのかも知れない。
    ミカだって ただ一輝が好きなだけ。
    ただ それだけ‥
    『わかった‥』
    『ごめんなっ。又連絡するから‥じゃ。。』

    2005-08-17 02:33:00
  • 230:

    一輝が電話を切ったと思ったらすぐに私の携帯が鳴った。
    ♪♪♪〜【着信:ミカ】
    迷わず押した通話ボタン。 
    『はい‥』
    『チーママ今何処ですか?!』

    2005-08-17 02:34:00
  • 231:

    さっきまでの涙声ではなく、いつも通りのミカの声。 
    冷たく‥低く…何でも見透かしたようなミカの声。

    『家だけど何?』
    『単刀直入に言います。チーママの一番は何ですか?仕事でしょ?!私の一番は、一輝なんです!!仕事でも自分でもなく一輝なんです。だから‥お願いします。一輝を返して下さい!!』

    2005-08-17 02:35:00
  • 232:

    真っすぐなミカ‥
    私の一番?!
    そんなの決めれない。
    欲張りな私は仕事も、恋愛も、全て手に入れる!
    どれか一つなんて‥どれが一番なんて‥

    2005-08-17 02:36:00
  • 233:

    私は全部が一番!!

    『何言ってるの!?一輝は物じゃない‥返してとか、そんな風に言われても困る。。』
    『じゃ、一輝に決めてもらいましょ!!今日の夜、一輝の店に来てください。待ってます』
    一方的に切られた電話‥

    2005-08-17 02:37:00
  • 234:

    『ごめん‥。』
    一輝にわざわざ話しなくても全て聞こえていた。
    『何で瞳が謝るねん。ミカぐらい切れたって、たいした事ない。』
    今まで隠してきた秘密の恋愛‥。
    ミカに『一輝を返して』と言われた時‥私は何も否定しなかった。

    2005-08-17 02:38:00
  • 235:

    今まで一生懸命 隠してきた二人の秘密。
    ミカが一輝の客だと知った時、一輝に言われた言葉…『俺等の事、ミカには内緒なっ‥?!』
    私のせいか‥
    一輝のせいかは分からないけれど 結果的にばれた事には変わりない。
    私達の仕事は ある意味、芸能人と同じ。。

    2005-08-17 02:39:00
  • 236:

    『で、今日来るん?』
    一輝は全く私を責めたりはしなかった。
    ミカが切れても大丈夫と言うのは一輝の優しい嘘。
    一輝にとってミカは、かなりの太客。
    平気な筈はない。

    2005-08-17 02:41:00
  • 237:

    『多分、行く・・・』
    『ほんまか。もーここまでバレたら開き直るしかないなっ!。』
    笑ってる一輝…
    でも目は笑ってなかった。 
    夜までの時間はあまりにも早かった。

    2005-08-17 02:42:00
  • 238:

    普段の倍以上のタバコを吸い、せっかく一輝が作ってくれたカルボナーラも半分くらい残してしまった。
     
    『一緒に行くか?』
     
    あまりにも様子がおかしい私に一輝が気を使って言ってくれる。

    2005-08-17 02:43:00
  • 239:

    『それはまずくない‥?』 
    もし一輝と一緒に入った時に ミカが居たら‥
    冷静に話すら出来なくなるかも知れない。
    私がミカの立場で 好きな人と相手の女が一緒にいるのを目撃したら 間違いなく正気ではなくなる。
    『私・・一緒について行ったらダメですか?』

    2005-08-17 02:44:00
  • 240:

    心配そうな目で私を見る唯 
    『大丈夫‥ありがと!!』
    本当は一緒にいて欲しい。でもミカと唯の関係は壊したくない‥
    『さっ!!用意しよーっと・・・!!』
    重い腰を上げ 化粧をして服を着替える。

    2005-08-17 02:44:00
  • 241:

    みるみる内に自分でも驚く程変わる鏡に映る自分‥
    髪に沢山のカーラーを巻き、マスカラは三本も使う‥ 
    私は美人でも可愛くもない。。
    でも化粧映えはする。
    普段より薄めの化粧‥。

    2005-08-17 02:45:00
  • 242:

    仕事じゃない。

    チーママとしてではなく、一人の女としてミカに会う・・・。

    2005-08-17 02:46:00
  • 243:

    コンコン・・・━
    『瞳?入るぞぉー!!』
    『うん。』
    スーツ姿の一輝が部屋に入ると共にきつい香水の匂いが部屋中をうめつくす。
    『俺‥店辞めてもいいから。お前もぅ無理すんなっ!!仕事なんか、いくらでもあるしホストだって山程あるんやから!』

    2005-08-17 02:47:00
  • 244:

    『ありがと‥』
     『じゃ、俺先行くわ!』
    そっと優しく 私の頭を自分の胸に抱き寄せ髪の毛を撫でる一輝が耳元で一言‥ 
    『俺の一番は瞳‥』と‥。
    嬉しかった。。

    2005-08-17 02:48:00
  • 245:

    私は知ってる‥
    一輝が今まで どれだけ努力したか・・・。
    知り合った頃の一輝は 下から数えた方が早いくらい売れてなかった。
    イロを売って、客と寝て たった数ヵ月でトップに上り詰めた。
    色営業が汚いなんて思わない。。

    2005-08-17 02:49:00
  • 246:

    そこに【愛】が無ければ‥ 
    私は平気‥。
     
    男は愛のないセックスが出来る。
    他の女と寝ても一瞬でも私の事が頭に浮かべば それで私はその女に勝ったという事・・・。

    2005-08-17 02:50:00
  • 247:

    そんな話を友達にすると『冷めてる』とか『そんなんで幸せ?』
    とか言われるけど 客と体を重ねずに トップにいけるホストは、ほんの僅か‥
    体を重ねる事は誰でも出来る‥。
    そこから いかに店に呼ぶかが問題。

    2005-08-17 02:52:00
  • 248:

    一輝はいつも携帯ばかり触ってた。
    数えきれないメールが来ても寝る時間がなくても 絶対に自分からメールを終わらすような事は しなかった。
    電話も同じ‥
    【じゃ、またかけるね】
    相手がこの言葉を言うまで彼は話続ける。

    2005-08-17 02:53:00
  • 249:

    『俺、いつかナンバー1なって金貯めて、いい車乗って店持ちたいねん!!』
    いつだったか一輝が私に話してくれた。
    今、少しずつ夢に近ずいてる途中。。

    せっかく今の店で役職につき、客もつき 順調なのに店辞めてもいいと言う程、私は一輝に全てを押しつけてしまっていたのだろうか‥

    2005-08-17 02:54:00
  • 250:

    一輝にとって今の私は重荷になっているのかも知れない。。
    今日 私が一輝と別れたら全てが丸く納まるかも知れない。
    一輝と別れるのは嫌‥
    でも それが彼の為なら 私は別れを選べる。。
    それが一輝への私の愛情‥

    2005-08-17 02:54:00
  • 251:

    『唯ちゃん、行ってくるね‥寝てていいから。』
    唯は何も答えなかった。
    ただ笑みを少し浮かべただけ‥
    家の下にタクシーを呼び 一輝の店に向かう。
    そんなに近くない一輝の店がいつより早くついた気がした。

    2005-08-17 02:55:00
  • 252:

    エレベーターに乗り 手慣れたようにボタンを押す。

    自分の鼓動が早くなるのが自分でも分かる。
     
    カバンを持つ手は汗をかき一輝から貰った指輪に目をやると指が小刻みに震えている‥

    2005-08-17 02:57:00
  • 253:

    『緊張とか、かっこ悪っ!!』
    一人呟き、何だか色々悩んで考えてるのがバカらしくなった。
    私だって一輝を想う気持ちは負けてない。
    ただ 表に出さないだけ‥

    2005-08-17 02:58:00
  • 254:

    店のドアに手をかける‥。 
    ただドアを引くだけ・・
    それが出来ない。。
    足がすくんで動かない。  
    心臓は飛び出そうなくらいドキドキしてる‥

    2005-08-17 02:58:00
  • 255:

    『瞳・・・さん!?』
    一瞬 一輝かと思い振り返ると、そこにはコンビニの袋を下げた春が立っていた 
    『何してるんですか?入らないんですか??』
    『あっ・・うん。今入ろうと思ってて‥』
    変に思われたよね‥

    2005-08-17 02:59:00
  • 256:

    ドアの前で立って動かないんだもん。。
    『春は??今から!?』
    『俺はお使い‥チャーム足りなくって‥』
    笑いながらコンビニの袋を少し持ち上げ私に見せる春 
    春のおかげで少し気持ちが楽になった‥

    2005-08-17 03:00:00
  • 257:

    『一輝さんばっかりじゃなくて、たまには俺の相手もして下さいねっ!!』
    私が答える間もなく 春は片手で私の手を握り もう片方の手でドアを開いた。 
    【いらっしゃいませ!!】
     
    すぐに目に入った二人の姿

    2005-08-17 03:01:00
  • 258:

    ミカの隣に座る一輝・・・ 
    『ここでいいですか?!』
    春が案内してくれた席は ちょうどミカ達の姿が見えない席。
    『あっ‥うん。』
    春の気遣いを無駄にしたくなくて 取り合えず座ろうとした時、スーツを着た男が私に近づいて来た。

    2005-08-17 03:04:00
  • 259:

    『瞳?!あっち‥』
    言いにくそうに一輝が言う 
    『うん…。』

    春は不思議そうに私達を見ていた。

    2005-08-17 03:05:00
  • 260:

    そりゃ不思議だよね‥
    一輝と私が一緒に住んでる事を知ってる春‥
    一輝のエースがミカだと知ってる春‥
    私とミカが同じ店だと知ってる春‥。
    春は買ってきたチャームを持ったまま私の後をついてきた。

    2005-08-17 03:06:00
  • 261:

    『ごめん。待った?』
    沢山のボトルに空いたシャンパンの瓶‥
    たくさん使ってるんだ‥。 
    『そんなに待ってないです‥』
    私は少しミカと距離を置き座った。

    2005-08-17 03:08:00
  • 262:

    正面の二人のちょうど間に一輝は座った。
    まさしく三角・・・
    一番避けたかった三角関係 
    私からもミカからも 矢印は一輝へ‥。
    問題は 一輝が誰を好きなのか‥

    2005-08-17 03:09:00
  • 263:

    『春、ビールちょうだい。ほんで良かったら春も座り‥』
    『あっ、はい!』
    誰かいた方が冷静になれる
    コンビニの袋を下げて 立っていた春がグラスとビールを取りに行く。

    2005-08-17 03:10:00
  • 264:

    『瞳‥さん‥春ついてもいいんですか?』
    白々しく一輝が聞く。
    『聞かれて困る話なんてないですから‥』
     
    少しムッとした私がいた。

    2005-08-17 03:11:00
  • 265:

    『すいません。失礼します‥』
    手にビールの瓶を持った春が私の前で片膝をつけてビールをつぐ。
    『春もビールでいい?』
    『あっ!!はい!いただきます。』
    グラスが揃い、取り合えずグラスを手に持ち一番にグラスを傍に持っていった相手はミカだった。

    2005-08-17 03:12:00
  • 266:

    ミカのグラスより少し下げた位置でミカがグラスを手に取るのを待った。
    気付いたミカが急いで グラスを持つ。
    『乾杯…』
    チン━・・・グラスが当たると私はすぐに一輝にグラスを向けた。 
    『いただきます‥』

    2005-08-17 03:13:00
  • 267:

    あえて私の位置より下にあるグラスを下から手を添えて 持ち上げ 私のグラスの位置が下にあるように乾杯した。
    『今日は客じゃない‥』
    そんな意味を込めた。
    春とも乾杯して私は一口ビールを口に含む‥
    喉が乾いた‥緊張のせいか私の喉は渇ききっていた。

    2005-08-17 03:14:00
  • 268:

    もう一口 ビールを飲み タバコに手をかける。
    すばやく出てきた二つの炎 
    『ありがとう』
    私は迷わず春の手に少し手を添えてタバコを吸った。 
    スーっと煙を吐き 一呼吸おき 私は覚悟を決めた。

    2005-08-17 03:15:00
  • 269:

    『で、話って何?』
    こちらを向くミカ・・・
    『話あるんだよね?!』
    冷たく 言う私‥。
    真っすぐミカを見る。

    2005-08-17 03:17:00
  • 270:

    あなたを責めたりはしないけれど 貴女には負けない 
    『一輝と付き合ってるんですか?』
    ミカも負けじと私を見る。

    『一輝君に聞けば?』

    2005-08-17 03:18:00
  • 271:

    『私はチーママに聞いてるんです!!』
    『私が付き合ってると思ってても一輝君は思ってないかも知れないし‥でも私は一輝君の事好き。それは言える‥』
    ドン━・・・
    ミカが飲んでいたグラスをテーブルに思いっきり置く

    2005-08-17 03:20:00
  • 272:

    『・・棒‥』
    『えっ?』
    呟くように言ったミカの言葉を聞きなおす。
    『泥棒って言ったのよ!人のモノ盗って楽しい?仕事でもチーママってちやほやされてプライベートでも私の邪魔するん?!』
    『邪魔って何?』

    2005-08-17 03:20:00
  • 273:

    感情剥き出しで話すミカに対して私は冷静に話した。 
    『あんたがいなかったら私がチーママやった!!』
    『それに‥一輝だって・・・一輝の事いくらで買ったんですか!?いくら払って寝たんですか!?私があんたに負けるはずない!!』
    バシっ━・・・
    考えるより、言葉より先に手が出てしまった。

    2005-08-17 03:21:00
  • 274:

    『瞳っ!!』
    『瞳さん!!』
    二人が慌てて私を止めようとする。
    しっかり私の手を握る春‥ 私を侮辱したっていい、責めたっていい‥
    でも 一輝の事を侮辱されるのは どうしても許せなかった‥

    2005-08-17 03:23:00
  • 275:

    『買ったって何!?一輝は物じゃない!!自分の好きな人やろ?そんな言い方なくない?私は一輝を買った覚えもお金を払った覚えもないから!そんな風に言うって事は自分がそうなんじゃないの?!』
    バシっ━・・・
    頬が熱くなる。。
    『ちょっとミカちゃん、落ち着いて‥』
    一輝がミカを宥めようとする。

    2005-08-17 03:25:00
  • 276:

    私の頬は真っ黒な液体が流れていた。
    悲しいんじゃない‥悔し涙・・・。
    私の手を握る春の手に力が入る。
    泣いてたまるか‥涙なんて見せたくない。。 
    『チーママしたいなら、すればいい。肩書きぐらい、ミカちゃんにあげる。』

    2005-08-17 03:26:00
  • 277:

    だから‥一輝は私にちょうだい。。
    言おうとした言葉は飲み込んだ‥。
    『そんな事言ってるんじゃない!!チーママの一番は仕事だって前言ってたでしょ?何で‥一輝なん?!私が一輝の彼女なのに!!』
    『そう‥』
    もう彼女とか どうでも いい‥。

    2005-08-17 03:27:00
  • 278:

    周りの客と たまに目が合う‥
    ホストにはまった馬鹿な女って思われてるのかな。
    やっぱり人目は気になる‥ 少し冷静さを戻した私がいるのが自分でもわかった。 
    ヒリヒリする頬‥
    叩いて、叩かれて‥ガキみたいな私たち。。

    2005-08-17 03:28:00
  • 279:

    『もう一輝と連絡取らないで!!次は許さない!』
    私を睨みながら言うミカ‥ 『許さないって何?決めるのは貴女じゃない。一輝でしょ?!一輝が取らないって言うなら私は取らない‥』 
    嘘じゃない‥
    一輝が言うなら私は あっさりと身を引く。
    『一輝?私達、付き合ってるよね?もうチーママと連絡とらんといて!!ねっ?!』

    2005-08-17 03:29:00
  • 280:

    一輝の顔を覗きながら言うミカ‥
    『ミカちゃん。ごめん‥それは無理やわ・・・』
    『何でなん!?』
    目に涙が浮かぶミカ‥
    『ミカちゃん、勘違いしてるみたいやから言うけど俺等、付き合ってたん?後、瞳と知り合ったのはミカちゃんより大分前やで‥。』

    2005-08-17 03:30:00
  • 281:

    『私の事好きって言うたやん!!』
    『ミカちゃんの事、好きだよ。でもこんなミカちゃんは好きじゃない‥』
    『こんなって‥?!』
    『俺、縛られるの嫌なんだよね。言ったよね‥俺が誰と連絡取ろうが、それは俺が決める事だから‥』
    冷たい一輝の目‥。優しい口調でも 突き刺さる言葉。。

    2005-08-17 03:31:00
  • 282:

    『この人のせい?!』
    何故か矛先は私に向けられた‥。
    『だから、瞳は関係ないやん。』
    呆れたように言いタバコに火をつけた一輝。
    『私には一輝が必要なの‥何でこの人なの‥?私のが可愛いのに!!』

    2005-08-17 03:32:00
  • 283:

    確かに、自他認める。
    ミカの顔は可愛い。。
    私もタバコを手に取った。 
    火をつける為にやっと手を離した春。
    私の手は汗ばんでいた‥

    2005-08-17 03:33:00
  • 284:

    『だから、そんな風に言うミカちゃんは嫌だって‥』 
    『何でこの人なん?』
    言葉と共に私を指差したミカの手が私の手元に当たりタバコは私の太ももに落下した。
    『あっっ・・・!!』
    すぐに春が冷たいお絞りを取りに走る‥。

    2005-08-17 03:35:00
  • 285:

    『瞳大丈夫かぁ?!火傷した?ミカちゃん謝って‥』 
    あまりにも一輝が過保護に私の太ももに手をやるのがムカツイたのか ミカからお詫びの言葉はなかった。

    2005-08-17 03:38:00
  • 286:

    『一輝‥大丈夫やから‥』 
    心配そうに私の足を見る一輝を見ているミカが あまりにも恐くて私は一輝を 突き放した。
    『色目ばっかり使って気持ち悪い‥そんなに熱いなら冷やしてあげる!』
    『えっ?!』
    私がミカを見た時には 既に遅かった。

    2005-08-17 03:39:00
  • 287:

    バシャっっ━・・・
    額から 頬へ‥
    そして髪の毛からしたたり落ちる雫。。
    可愛くグラスをかけられたならまだ笑える。。
    相当私の事が気に食わないらしい・・・水差し事流された水の量は思ったより多かった。

    2005-08-17 03:40:00
  • 288:

    『ミカっ!!』
    驚いた一輝が私の髪の毛を自分のスーツで拭きながらミカの方を見る。
    『この女が悪い!人のを盗るから!!』
    カバンを持ち 出口に向かうミカ‥。
    『ちょっと待てって‥』

    2005-08-17 03:41:00
  • 289:

    『春っ!!春斗っ!!』
    一輝が必死に春を呼ぶ‥  
    『はいっ!!』
    冷シボを持った春が私達の元に向かって走ってくる。 
    『えっ!?瞳さんどしたんですか?』

    2005-08-17 03:43:00
  • 290:

    春がビックリしながら言う 
    『瞳はいいから‥ミカ追い掛けて!!』
    一輝が出口を指差す。
    『早く行けっ!!』
    一輝が少し大きな声を出し 春をあおる。

    2005-08-17 03:46:00
  • 291:

    『春、待って‥』私の手は春のスーツの裾に
    『春がいっても無駄やから一輝が行き!!私なら大丈夫やから‥。』
    春のスーツを無理矢理引っ張り私の隣に座らせる‥。 
    本当は一輝にいて欲しい。 側にいて欲しい・・・
    私だって そんなに強くない。。

    2005-08-17 03:48:00
  • 292:

    でも少なくとも今‥
    惨めな想いをしたのは私じゃない。
    ミカの方だから・・・
    ミカは一輝に来てほしい筈‥きっと何度も後ろを振り返ってる筈‥何度も後ろを向き、一輝が追い掛けてきていないか確認してる筈‥
    『一輝!早く行き・・』

    2005-08-17 03:50:00
  • 293:

    『でも・・俺は瞳のが大切やから‥あいつは…もぅ、ええねん。』
    『私はその言葉だけでいいから。早く行って!』
    『春!!頼んだで!!』
    悩む様子もなく、スーツを脱ぎ、私の肩にかけて急いでミカを追い掛けた一輝を私はかっこいいと思った。

    2005-08-17 03:51:00
  • 294:

    後ろから 追い掛けてきた一輝を見てミカは何と言うのだろう・・・
    抱きついて泣くのだろうか…。
    一輝をミカの元に行かせたのは 私の優しさなんかじゃない・・・
    汚い…キタナイ‥
    ━━━━━同情心・・・。

    2005-08-17 03:52:00
  • 295:

    『チーママ、大丈夫ですか?!温いおしぼり持ってきますねっ!!』
    春が席を立った瞬間‥。  
    私の中で張り詰めていた糸が一瞬にして切れた。
    行かないで・・・一人にしないで・・・
    ポタポタとスカートに流れ落ちる自分の涙をボーっとただ眺めていた。

    2005-08-17 03:53:00
  • 296:

    コピペ本日ここまで、また明日の夜。

    2005-08-17 03:57:00
  • 297:

    『えっ!?瞳さん、どしたんですか‥!?』
    春が慌てて私の元に駆け寄って来る。
    『何も・・ない‥ご・べん・・・』
    私の顔はたぶん 見れたものじゃなかった‥びしょびしょに濡れた髪の毛に服・・。
    これ以上落ちようがない化粧‥

    2005-08-17 07:22:00
  • 298:

    『俺!!何も見てないですからっ!はいっ!!』
    差し出された湯気のたつ おしぼり‥
    私は迷わず顔を拭いた。
    目の周りはマスカラが覆いパンダという可愛い表現なんて出来ない‥
    『ひどい顔・・』

    2005-08-17 07:23:00
  • 299:

    鏡を見ながら自分の顔を見ると勝手に言葉が出てきた 
    『そんな事ないですよ‥瞳さんは綺麗ですよ!』
    間違っても綺麗筈なんてない・・・。
    春の目が相当悪いか‥。かなり酔っているのか‥。 
    『さっ!頭拭きましょかぁ・・・』春が大きなタオルを私の頭にかけ 美容師のように丁寧に拭いてくれた。

    2005-08-17 07:26:00
  • 300:

    『そうなんですか‥。なら良かったです!でも泣きたくなったら俺の所に来てくださいね!』
    ニコっと微笑む春‥
    何だか照れ臭くて 話を変えてしまった。 
    でも その言葉は本当に嬉しかった。
    泣きたくなった時、居場所が あるというだけで‥泣かせてくれる相手がいるだけで私はきっと泣かないで済む・・・。

    2005-08-17 07:33:00
  • 301:

    『春は!?春は好きな人とかいないの?』
    『俺‥駄目なんですよ‥。。気になる子が出来ても行動に移せないし‥傷つくのが恐いのかも知れないですね。』
    春の返答は【ホスト】としての営業用の答えでは無く一人の男としての返事だと思った。
    誰だって傷つくのは恐い‥ それは自分が一番分かってる。
    傷つくのが嫌だから‥私は一輝を必要としなかった。。

    2005-08-17 07:34:00
  • 302:

    愛して‥必要として・・・失うくらいなら 初めからいらない。。
    そうやって自分に言い聞かせてきたきた‥。
    でも今の私には無理。。
    傷ついてもいい‥
    私には今しかないから。。

    2005-08-17 07:35:00
  • 303:

    『そうなんだ‥。でも恋に盲目にならない人って偉いと思うよ‥。周り見えないと平気で人傷つけたり、迷惑かけたりするしね‥そんな恋は一生に一回で十分だよね。。』
    また涙が出そうになった。そんな恋は一生に一回で十分・・・。
    私には一輝しか見えていない。
    この恋が最後になるなら 私は何を失っても構わない 
    『その相手が一輝さんですか?!』

    2005-08-17 07:36:00
  • 304:

    『うん‥。一輝をただ好きなだけなのに・・・人傷つけて、泣いて苦しんで‥こんな恋愛は一輝だけで十分。一輝で最後!!』
    『そんなに一輝さんがいいですか?!元を言えば瞳さんと美香ちゃん‥同じ店で働いてるの知ってて美香ちゃんとも付き合って二股かけて‥こんな水までかけられて辛くないんですか?!』 
    春の言葉は私の心に大きな穴をあけた。
    辛くない・・・
    なんて言えるほど私は心 広くない。

    2005-08-17 07:37:00
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