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ピエロ
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1:
◆NedEI85Yxg
『ピエロみたいに笑ってたくない?ずーーっと!』
――――今でも、いつかのアイツの言葉を思い出す。2008-05-29 05:42:00 -
219:
『でね。その友達がベランダに出てよく言ってたんやんかあ。"うちは飛べるねんッ!"みたいな事を。笑』キョトンとした雪クンの顔。びっくりしてる?
『あ、もちろんシラフじゃないねんでえ?笑 若かりし頃やったから、まあ…あれやけど。笑』『あぁ…笑』本当…若かった頃。『でもルイ思うねんなあ、今になって。"アヤはホンマに飛びたかってんやろなあ"って。』『アヤちゃんってゆうんや。笑』『…うん♪笑』
雪クンが、アヤを知らん雪クンが、アヤの名前を口にする。2008-07-26 12:57:00 -
220:
…不思議――。
『その頃は…薬してるから、そんなんゆうんや、こんな事するんやって。ずっとそう思っててんけど――…。』『うん?』――…多分、あの時アヤはほんまにすべてから逃げたくて、すべて、捨てたくて――。雄志以外の、すべての人やしがらみ、過去。つまり――…
『ルイが――『そのアヤちゃんが、その傷をつけた子?』
――――――――…。2008-07-26 13:05:00 -
221:
胸元を指す雪クンの白い華奢な手にハッとした。『あ…うん。』『そっかあ。今は会ってへんの?』
『…うん。どこ居てるカモわかられへんしね。』『会いたくないの?』紅茶をゴクリと飲み込む。
『……わからへん。かな。笑』『そっか…。』
――風が気持ちが良い。…このまま、もう少しだけ、このままでいさせて。2008-07-26 13:14:00 -
224:
『ただいまあ♪ルイー♪』
『…ん。おかえり。ご飯は?』
[16歳-冬-]
"あの"事件が起こって一週間。実好は持ち前の要領の良さと行動力で、二人で住む為の部屋を借りた。アタシと実好が、もう一度やり直す為の部屋。1DKの必要最低限のもの以外何もないまっさらな空間。―――実好が、アタシの為に…。2008-07-27 03:23:00 -
225:
『今日はどっか一緒に食い行こや♪』『ん。用意するからちょっとだけ待って。』
だが、アタシはまっさらな気持ちになんてなれるハズもなく、引きこもり状態。こうして実好が連れ出してくれる以外、部屋にいた。
『…片瀬と連絡取れた?』『…ううん。』
あれから何度電話しても繋がらない。…アヤ、雄志といてるん?2008-07-27 11:01:00 -
226:
アヤに会いたい。仲直りしたい。そしてもう一度――…。そう想ってるのに。『お前、傷大丈夫か?』『……うん。』
何故か、心から100%思えない自分。それがモヤモヤして苦しかった。アヤがつけた消えない傷。この胸の傷が、"全部終わり"と告げてる様で…怖かった。かと言って最後見たアヤの気が狂った様な泣き顔が、頭から離れなくて。距離を置いて、果たして意味はあるのか?日が経つほど、その距離が広がっていきそうな気がして…。2008-07-27 11:09:00 -
227:
そんなアタシを見かねてか、ある日実好が言った。『行ってみるか?片瀬んとこ。』ドキドキした。たった数週間離れてただけなのに、こんなにも怯えてる自分。アヤは…どんな顔するかな?仲直り…出来るやんな?
期待と不安、極度の緊張感を押し殺して、実好が下で待つ中、一緒に住んでたマンションに向かった。
――ガチャ…… 『…ッ…。』2008-07-27 11:18:00 -
228:
『どやった!?』
『……おらんかった。』部屋は"あの日"の状態のまま…血が乾き、壁紙にも切り刻まれた跡が無数にあった。嫌な予感は、あの日アタシがあの部屋から出た瞬間から、きっとあった。
『多分、雄志んちにおると思う…。』『場所わかんの?』『…大体。』
その足で、そのまま雄志の家へと向かった。実好は、嫌な顔ひとつせず、何回断っても"心配だから"とついてきてくれた。2008-07-27 11:27:00