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ピエロ

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  • 1:

    ◆NedEI85Yxg


    『ピエロみたいに笑ってたくない?ずーーっと!』


    ――――今でも、いつかのアイツの言葉を思い出す。

    2008-05-29 05:42:00
  • 199:

    そしてそのままトドメを刺す。ごめんね愛理。仲良しごっこはもうおしまい。
    『"あの子"も"あの時"の事がまだムカツクんかもしらんけど…男がルイを選ぶねんもん。笑 ルイは悪くなくない?』
    …さあ、言うか――?

    『…最ッッ低やな!!!…そりゃ友達ひとりもおらん訳やわ…!』興奮がピークの愛理はそうしてまんまとピエロの餌食。確信の名を出す――。

    2008-07-23 08:21:00
  • 200:

    『麗香の言ってた事は正解やったわ…!!!…この事忘れんなよ!!!絶対後悔さしたるわ!』

    ………――やっぱり。。

    【麗香】――愛理が口にしたその名と、さっき一気に飲んだ焼酎のせいか頭がグラグラする…。麗香…まだアタシを貶める気?―――バン!!愛理は千円札をびしょびしょのテーブルに叩きつけ店から出て行った。

    2008-07-23 08:29:00
  • 201:

    『あの…大丈夫ですか?』店員サンの気遣いに、『ホントにすいません…』と謝り店を出ようとした、その時。――バサッ――…

    『…えッ。何で……雪く――…』
    『出よう。…風邪引く。』
    "何で?"……グラグラする頭のまま、目の前の雪クンにスーツをかけられ、腕を引かれるままに外へ出た。何でいてるの?何でよりよってこんなところ――…。

    2008-07-23 08:37:00
  • 202:

    『…ごめん。』
    外に出て、アタシの腕を掴んだままの雪クンの後ろ姿に、"悪いな"と感じた。きっと仕事の合間で、連れもいてたろうに。。
    『謝らんといてよッ!笑…なんか、嫌なとこ見られたね。笑』全部、聞いてたよね?あそこに居たって事は。

    この人にだけは、汚いアタシを、知られたくない。そんな考えが、雪クンの手を退けてスルリと離れる。

    2008-07-24 03:05:00
  • 203:

    『風邪ひくよ?』『…馬鹿やから大丈夫♪笑』『…ばか。笑』自然と笑みがこぼれる、二人。雪クンが肩にかけてくれたスーツがやけにあったかい。
    『俺ンちくる?』『えっ?』『近いし、シャワー貸すよ。』ポタポタと髪や服から垂れる滴、道行く人達。一瞬戸惑ったアタシの腕を再び掴み、雪クンは道路に出てタクシーを拾った。
    時間にしたら一瞬の出来事。アタシの中で少し驚いた雪クンの有無を言わさない言動に、また戸惑った。意外な一面だった。

    2008-07-24 03:15:00
  • 204:

    ―バン!『どうぞ。』ワンメーターの距離でタクシーは止まる。ほんまに近いんや。『…ありがとう。』差し出された雪クンの手を取り車を降りる。
    『ちょっと散らかってるけど、ごめんね。笑』
    11階立てのマンションの最上階の雪クンの部屋は、綺麗に整理されていて、"散らかってる"というものの、何枚かの服と、テーブルに飲みさしのカップや缶が少し散らばってる程度。

    2008-07-24 03:24:00
  • 205:

    『こっちお風呂やから、行っておいで。こんなんしかないけど…はい。』部屋に上がるなり、綺麗にたたまれたバスタオルとジャージとTシャツを渡され、風呂場に案内された。その雪クンのペースにまたびっくりしながらも言われるままにシャワーを借りた。男と女だ。今から何があるかはわかってるけど…―シャアー…―『麗香…』今はその名前を、忘れたいのかもしれない。その名前から連想する過去が蘇えるのが、今は嫌。絶対に嫌。。そしてまた始まる…未来。嫌。考えたくない…………流れて消えろ。さっきのお酒も、悪夢の予感も。

    2008-07-24 03:37:00
  • 206:


    ―――自分が嫌い。周りも嫌い。この世界が嫌い。ただ嫌がって嘆いた。でも、わかった事がある。
    必死で取り繕ってもNOな人間がいれば、ありのままの剥き出しでYESだと言ってくれる人もいる。また、YESだと言える自分もいた。そうゆう自分になれたのに。

    2008-07-24 03:48:00
  • 207:

    実好を麗香に奪われた瞬間が、いつまでも忘れられなくて。アヤが雄志を選んだ瞬間が、いまだに忘れられなくて。

    アヤとの家を出て実好とやり直したあの時も。実好の携帯が鳴る度、麗香の顔が頭にチラついた。

    頭の隅の方、ぐるぐる…ぐるぐる。

    2008-07-24 04:04:00
  • 208:

    『…っつ…!ヤバ…』
    ―キッ―
    お酒のせいかのぼせそうになり、シャワーを止め風呂場を出た。くらくらする頭で何とか雪クンの服を着て、歩く。雪クンの匂い…『ちょ。顔赤いよっ?大丈夫?』『…ん、ごめ。』『シャワー熱かった?』
    ソファに腰掛け携帯を見ていた雪クンはすぐに立ち上がり台所から冷たい水を注いで持ってきてくれた。『…ありがと…』
    この優しさが例え作られたものでも、いい。今は何でもいいよ、雪クン。

    2008-07-24 04:14:00
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