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花と毒
- 
						1:
ヒカル
初めてかかせていただきます。つたない内容ですが読んでいただけると幸いです☆
なお、当小説には不倫など不愉快な内容が含まれておりますので気分を害されたらすいませんヽ(´Å`ヽ)2005-08-15 03:51:00 - 
						201:
ヒカル
広いプール。
優雅な時間の流れるスパ。『プチ・バリ(笑)蝶々さんの本に出とったとこ〜』
『まぁぢで!?ここが?』2005-08-31 01:38:00 - 
						202:
ヒカル
『ここやったらバリ気分堪能できるやろ』
『うん!!』
大胆な花も、肌の熱気をとる優しい風も、何もかもとろけさせる太陽も、抜ける青空も今のヒカルには眩しい。2005-08-31 01:42:00 - 
						203:
ヒカル
いっぱい泳いで、いっぱい食べで朝は立ち上る樹木の薫りと、鳥のさえずりで目覚めた。
二日目は昼過ぎからスコールが降ってきた。2005-08-31 01:45:00 - 
						204:
ヒカル
窓辺のソファに横たわり、オレンジベースのカクテルをかたむける。
スコールの音はうるさいようだが、雑念さえもかき消し、洗い流す。2005-08-31 01:46:00 - 
						205:
ヒカル
『明日帰るん嫌やな…』
独り言を呟いてみた。
明日からは現実世界に戻る。
自分の中のごちゃごちゃした事と向き合わなくてはいけない。2005-08-31 01:49:00 - 
						206:
ヒカル
激しいスコールで霧がたち空気が一段と濃く感じられた。
こうして、プチバカンスは終わりを告げた。2005-08-31 01:51:00 - 
						207:
ヒカル
家に帰り、荷物を洗濯しているとふっとある事に気付き、手帳をめくる。
きてへん…もう生理の予定日はとっくに過ぎてんのに…。2005-08-31 01:53:00 - 
						208:
ヒカル
バタバタしていて気付かなかったが、一週間以上生理が遅れている。
まさか…
急いで近くの薬局に走り、妊娠検査薬を買ってきた。2005-08-31 01:56:00 - 
						209:
ヒカル
間違いであって欲しいと祈りながら検査してみる。
――――――陽性だった。2005-08-31 01:57:00 - 
						211:
ヒカル
どうしよう…。
トイレから出て、ソファに体を沈める。 妊娠検査薬の線を眺める。何度みても線は赤く二本滲んでいた。
2005-09-01 20:42:00 - 
						212:
ヒカル
でも実感というものは全然なかった。
とりあえず、病院いかなあかん。
家の近くの産婦人科に保険証を持って駆け込んだ。2005-09-01 20:51:00 - 
						213:
ヒカル
尿検査をし、緊張しながら内診された。
服を脱ぎ、診察台に乗る。金属の器具が中に入るたび冷たくて、よけいに緊張してくる。2005-09-01 20:56:00 - 
						214:
ヒカル
先生がエコーの写真を机の上に静かに置く。
『まだ小さくて見にくいと思うんですが、この米粒みたいなのが大きくなっていきます』2005-09-01 21:53:00 - 
						215:
ヒカル
『問診表にはまだどうするか書いてないようですが…堕ろすなら早いほうがいいですし、相手の方ともよくそうだんした方がいいですよ?』
2005-09-01 22:00:00 - 
						216:
ヒカル
『分かりました、よく話し合ったうえで結論を出します』
『では来週来て下さい』
看護婦がエコー写真を持たせてくれた。2005-09-01 22:05:00 - 
						217:
ヒカル
帰り道をとぼとぼと歩きながら信也にメールを送る。《今日仕事終わったら行くから、話そうか》
家の前まで来たが、家に帰りたくなかった。
2005-09-01 22:49:00 - 
						218:
ヒカル
どうするかも、何をするかも決めずにぶらぶらと歩き始める。
途中で店に電話を入れ、しばらく休むとだけ伝えた。2005-09-01 22:57:00 - 
						219:
ヒカル
疲れるまで歩いて歩いて、心斎橋筋の漫画喫茶に入り時間を潰す。
とにかく今一人で家にいる事だけは避けたかった。2005-09-01 23:01:00 - 
						220:
ヒカル
一人でいたら、どうにかなってしまいそうな不安と、何を不安に思ってるのか分からない矛盾。
呆然。
本当にそんな感じだった。2005-09-01 23:02:00 - 
						221:
ヒカル
バイブにしてある携帯が震える。
《最近連絡ないけど、生きてるかぁぁ?(・∀・)》
プライベートでずって仲のよいハルだ。
すがるように返信する。2005-09-01 23:42:00 - 
						222:
名無しさん
鼻と独
2005-09-01 23:44:00 - 
						223:
ヒカル
だいたいの信也との事は話していたがハルもさすがに驚いたようだ。
怒られるか、呆れられるかと思ったが、心配しゆっくり話を聞いてくれている。2005-09-01 23:46:00 - 
						224:
ヒカル
何時間にもわたってメールをやりとりし、少し落ち着きを取り戻す。
夕方になり、信也が家に来た。2005-09-01 23:49:00 - 
						225:
ヒカル
『ヒカルはどうしたい?』『堕ろそうとは思ってるねん。でもコレ見て?』
黒と白の写真。
小さな粒は確かにそこに生きていた。2005-09-01 23:51:00 - 
						226:
ヒカル
『こんなん見たら、どうしていいか分からへんねん』『……………ヒカルが納得するまで一緒に考えようか』
『お店には連絡いれといたからしばらく休むわ』2005-09-01 23:53:00 - 
						227:
ヒカル
それからは本当に、辛い日々に入る――――――。
信也が仕事が終わってから何時間か家による。
その時間のためだけに生きる。2005-09-01 23:57:00 - 
						228:
ヒカル
少し前に離婚の話でこじれてから奥さんから、何十回も着信、メールが来るようになって信也が前のように部屋に毎日泊まることはない。
2005-09-01 23:59:00 - 
						229:
ヒカル
何日かはゆっくり出来たが、それからはつわりが襲う。
毎日スープを飲み、吐く。どこにも出掛けず、信也を待つ日々にだんだん追い詰められていく。2005-09-02 00:03:00 - 
						230:
ヒカル
ある時サイトで見つけた掲示板に、今の状況とどうしたらいいのか?ということを書き込みしてみた。
数時間かすると書き込みにあふれている。2005-09-02 00:06:00 - 
						231:
ヒカル
もちろん書き込みの内容は中傷だ。
《最悪堕ろせ》
《主、氏ね》
《誰の子かも分からんやんワラ》
2005-09-02 00:11:00 - 
						232:
ヒカル
ただそんな中で応援の書き込みが一つあった。
《私は主と同じような状況で子供を生みました。今子供も私も幸せに暮らしています。何かの縁がないと子供は授かりません。授かかった子を育てたいと思うのなら応援したい》2005-09-02 00:15:00 - 
						234:
ヒカル
今まで子供を積極的に欲しいと思った事もなかったし、迷っていることも確かだ。
でもこの子を守れるのは自分しかいない。
そう思った。2005-09-02 00:17:00 - 
						235:
ヒカル
ああ、これが母性本能ってやつか(笑)なんて少し気分が軽くなる。
次の日信也に話を切り出した。2005-09-02 00:20:00 - 
						236:
ヒカル
『めっちゃ考えてんけど、この子産んでもいいかなぁ?迷惑かけるつもりないけど。この子守れるのヒカルしかおれへんねん』
2005-09-02 00:22:00 - 
						237:
ヒカル
少し驚いたようだが、信也が真顔でいう。
『ヒカルが産みたいんやったら、産み?親も俺が挨拶いくし、生活費もちゃんとめんどうみるから』2005-09-02 00:24:00 - 
						238:
ヒカル
唖然とし、反対されると思っていたヒカルは気が抜けた。
『ただな…』
『分かってる。離婚する事まで望んでないから』2005-09-02 00:28:00 - 
						239:
ヒカル
『それはそうと、子供の名前どうする?』
信也が吹き出した。
『気ぃ早っっ(笑)』
『ヒカルなぁ、古風な名前がええねんなぁ…』2005-09-02 00:31:00 - 
						240:
ヒカル
その日は久しぶりにご飯をいっぱい食べれた。
ヒカルが守ってあげるからな。2005-09-02 00:32:00 - 
						241:
ヒカル
帰り道ツタヤによりたまごクラブを買う。
紙面には初めてのママの心得なんかが書いてあって、読んでいると自分がどんどん【母親】になるんだ…という気持ちに目覚めてくる。2005-09-03 04:50:00 - 
						242:
ヒカル
相変わらずつわりはひどかったが、たまごクラブに書いてある先輩ママのアドバイスを見たり、ネットでつわりの緩和方を調べて実践する。
2005-09-03 04:52:00 - 
						243:
ヒカル
ヘビースモーカーのヒカルだったが妊娠発覚後には不思議と欲しくならなかった。
2005-09-03 04:53:00 - 
						244:
ヒカル
《ピーンポーン》
近くに住む親友ハルだ。
『どぉ?ベビちゃん元気してる?』
最近は出勤前に家によっては、わたしの食べられるものを買ってきてくれている。2005-09-03 04:55:00 - 
						245:
ヒカル
『来るなりベビちゃんかよ(笑)先にあたしの心配してやぁ〜』
『ベビちゃんのほうが大事に決まってるやろ〜!ってかハイ、りんご。りんごやったら食べれるやろ?』
2005-09-03 04:57:00 - 
						246:
ヒカル
ほんと友情に感謝。
『名前なぁ考えててんけど、男でも女でもいける名前にしたいねんなぁ〜』
『あんた最近そればっかやなぁ(笑)どうせそのうち着せるものはベイビーDiorしか嫌とか言いだすんやろぉな…』2005-09-03 05:01:00 - 
						247:
ヒカル
『だって今のあたしの楽しみはそれくらいやもん』
『ハルもそうやけどさ、みんなビックリしてるで!ヒカルって母親とか妻ってイメージとちゃうやん?』2005-09-03 05:03:00 - 
						248:
ヒカル
元来あたしは愛人体質だ。自分で言うのもおかしいけれど。
真剣にスキになることは数少ない。
色んな人に会っている間だけ愛してもらう。2005-09-03 05:05:00 - 
						249:
ヒカル
それで充分だったし、それ以上を求める価値が自分にはないと思っている。
―――今でも。
淋しくないといえば嘘になるが、誰かの愛人、誰かのセカンド。2005-09-03 05:08:00 - 
						250:
ヒカル
その地位はすごく楽で、会っている間がすごく幸せで。
普通の女の子ならその人の一番に、たった一人の人になりたいと願うのだろうがそう願う事は罪だと思うのだ。2005-09-03 05:10:00 - 
						251:
ヒカル
以前友人に誘われて言った占いでも、
『あなたは、男性とお金には一生不自由しません。けれどその人生は決して幸せと言えるものではありません』と。2005-09-03 05:12:00 - 
						252:
ヒカル
怒るどころか妙に納得したのを覚えている。
そしてやはり真剣になった恋で手痛い思いをした。
ああ、やっぱりな。2005-09-03 05:14:00 - 
						253:
ヒカル
人並みの恋を幸せを望んだらあかん。
いいやんか、セックスしている間だけでも愛してくれたら。
というより愛されてると感じられたら。2005-09-03 05:15:00 - 
						254:
ヒカル
少しの愛でも、たくさんの人から少しずつ愛をもらったら、それで淋しさは埋まっていくんか。
形だけであっても……。2005-09-03 05:17:00 - 
						255:
ヒカル
『まぁ結局愛人にはかわりないねんけどな(笑)』
『…ヒカルのことやから、ヒカルが決めたらええねんけど。……それでええのん?』2005-09-03 05:19:00 - 
						256:
名無しさん
あげ
2005-09-03 12:31:00 - 
						257:
ヒカル
ぁげてぃただきぁりがとうございます☆彡
今からちょっと書ぃてきまぁす(´v`)2005-09-03 20:54:00 - 
						258:
ヒカル
『ヒカルに子供出来てビビったのはほんまゃし、産みたいって決意したヒカルを応援したいと思うねん…でもな、その子供が神田さんの子供やったらどんだけよかったやろうって思う』
2005-09-03 20:57:00 - 
						259:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
『神田さんか…』
『連絡とってないん?』
『店の子が心配して連絡してくれとったみたいやけど…なんか色々ありすぎてどう言ったらいいんか分からへんやろ』2005-09-03 21:03:00 - 
						260:
ヒカル
神田からは店を休んでからもずっと連絡はくれていたが、今までの事をどうやって説明したらいいのかも整理できないし、こんなことに巻き込んでしまうのも嫌だった。
2005-09-03 21:10:00 - 
						261:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
『あんたは何でそうやっていつも不幸な道ばっかり選んで歩くんやろうな』ハルが悪戯っぽく白い歯を見せて微笑む。
2005-09-05 19:07:00 - 
						262:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
『何が幸せで何が不幸なんやろうな。あたしには分からへんねん。それを見極められるのが幸せなんちゃうかな…』
それはいつもそう思う。2005-09-05 19:19:00 - 
						263:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
『堕ろす気はないん?ハルもヒカルの子供はうれしいねん。でももし…例えばな、地震起きるとするやん?信也さんはどっち助けると思う??』
2005-09-05 19:24:00 - 
						264:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
ハルの眉間にはシワがより、わずかに唇を噛んでいるようだ。
口元が小刻みに震えているのがよくわかった。
『考えたこと、ある?』2005-09-05 19:27:00 - 
						265:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
『同じ子供やのに、後回しにされるのなんて耐えれるん?信也さんがヒカルの事どれだけ大事に思ってるか知らんけど、世間的にはやっぱ二番目やねんでッ…』
2005-09-05 19:29:00 - 
						266:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
もぉ言わんでいいよ…。
ハルの言ってくれてることは、よう分かるから…。
…そんな言いにくい事言ってくれやんでいいで?
辛いやん。2005-09-05 19:32:00 - 
						267:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
『ヒカル可哀想やんか…子供産むなとか言いたないねん。ハルだってさ。でも…でも…ほんまにそれでいいん?わざわざ辛い事せんでええんちゃうん!?』
2005-09-05 19:34:00 - 
						268:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
言いおわると同時にハルの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
ヒカルも嗚咽をこらえる。『ほんま…あほやでなぁ。ヒカルほんま…ツッ…この子の幸せって何なんやろう?』2005-09-05 19:38:00 - 
						269:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
このお腹の中にいる、ほんまにちいちゃい命。
こんなんが母親でゴメンやで。
こんな母親なんかに宿りたくなかったなぁ…?2005-09-05 19:40:00 - 
						270:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
もっと普通の女の子で、やったぁ結婚やぁ言うて、みんなに祝福されて生まれたいよな…。
でもな、ヒカルかて、あんたの事…愛してるねんで。2005-09-05 19:42:00 - 
						271:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
産んであげるんが幸せなんか、殺してあげるんが幸せなんか―――――。
あんた喋れたら聞けるんやけどな。
2005-09-05 19:45:00 - 
						272:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
ハルは泣きだすヒカルの頭を優しく撫で、仕事へと出掛けていった。
部屋に取り残されたヒカルはベッドにうずくまり、ただ泣いていた。2005-09-05 19:48:00 - 
						273:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
汚れきったあたしにも、こんな風に悩んで、涙できるほど大事に思えるものが出来るんやなぁ…。
そう思うと、この涙はこの子のおかげやな。2005-09-05 19:56:00 - 
						274:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
きっと、母親が汚い分だけ綺麗で純粋なんやろう。
その時ふっ、とヒカルの頭の中にもじが浮かぶ。
―聖―
名前…聖にしよう。2005-09-05 19:59:00 - 
						275:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
泣き疲れたヒカルはいつの間にか寝ていたようだ。
そして不思議な夢を見る。2005-09-05 20:05:00 - 
						276:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
…聖?
…笑ってるん?
…ちゃうやん、泣いてるやん!
…どおしたん、なあ?
…かなん事あるんか??2005-09-05 20:06:00 - 
						277:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
…どうしたら笑ってくれるん?
…幸せちゃうの?
…あたしどうしていいか分からんねんもん。
…生まれた事は不幸なん?2005-09-05 20:11:00 - 
						278:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
…聖教えて?
…どっちが不幸なん?
…聖にとってどっちが幸せなん?
…お母さん、あんたのためやったら頑張るから、教えて??2005-09-05 20:13:00 - 
						279:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
…「無理しなくていいよ、お母さん。また、お母さんの中に宿るから。また、お母さんの子供に生まれてくるから…」
…あんた何言ってるん!?2005-09-05 20:15:00 - 
						280:
ヒカル
…お母さんあんたの事ほんま愛してて、めっちゃ考えてるねん!!
…「まだ、会うのは早いよ。またね。大丈夫。お母さん自身が幸せって思えるようになったら、聖も幸せだよ。そうなったら会おうね」2005-09-05 20:18:00 - 
						281:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
…ちょっと待って!!聖待ってっっ!!
眩しい。
遮光カーテンの間から、秋の朝日が射し込む。2005-09-05 20:20:00 - 
						282:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
(略部分)
遮光カーテンの間から、秋の朝日が射し込む。2005-09-05 20:22:00 - 
						283:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
涙で霞んで前がよく見えない。
ピンポーン。
ガチャ。
『ヒカル、起きてる??』信也が疲れた顔をして部屋に入ってくる。2005-09-05 20:24:00 - 
						284:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
『何回もチャイム鳴らしても返事なかったから、勝手に入ってきたわ。どおした?つわりひどいんか?』
信也、あのな…。
2005-09-05 20:27:00 - 
						285:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
話したいことも話さなあかんことも、いっぱいあるねんけど…。
まだ聖が近くにいるみたいでうまく話されへんねん。2005-09-05 20:29:00 - 
						286:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
ヒカルは微笑みながら、信也に抱きつき、しばらく無言で目をつぶっていた。
『あのな、信也…』2005-09-05 20:34:00 - 
						287:
名無しさん
しおり。めっちゃ気になる!!
2005-09-06 09:23:00 - 
						288:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
↑の方ぁりゃすっ☆彡今から書かせてもらいます!
2005-09-06 20:36:00 - 
						289:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
白いベッド。
小さな窓には少し枯れかかった花が生けられている。糊のきいたシーツの手触りが心地いい。
2005-09-06 20:39:00 - 
						290:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
麻酔が少しずつ覚め、世界は色と形を取り戻しはじめた。
お腹をゆっくり、壊れ物に触れるように撫でる。
ぺったんこだ。
2005-09-06 20:41:00 - 
						291:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
はじめから何もなかったように思えるが下腹部に残る鈍い痛みが、確かにそこいたのだと告げていた。
静かに、ただ静かに涙が頬を伝う。2005-09-06 23:09:00 - 
						292:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
『あのな、信也…。子供、堕ろそうと…思うねん。めっちゃ勝手やねんけどな、聖が…許してくれてん…』信也が黙って背に手を回しす。
2005-09-06 23:12:00 - 
						293:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
『聖がな…あたしがまだこんなダメな…母親やからッ…あたしが…あたしがッ……』
最後は何を言っているかも分からないくらい、涙と鼻水でぐしゃぐしゃで。2005-09-06 23:16:00 - 
						294:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
自分の下した決断が、悔しくて悔しくてたまらなかった。
許してくれたなんて勝手な想像で、ただあたしが恐かったのかもしれない。2005-09-06 23:18:00 - 
						295:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
信也も泣いていたのかもしれない。
今となってはもう分からないけれど、あたしが思っていた以上に愛してくれていたのかな?2005-09-06 23:21:00 - 
						296:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
なぁ、聖。
この世界のすべての美しいものを、例えば綺麗な水とか、寒い日の凍る息とか、暖かい風だとか、磨いた宝石とか。2005-09-06 23:25:00 - 
						297:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
死にたくなっても、いつの間にか日は昇ってて、一日が始まることとか、未来ある友だとか。
そんなもののあふれたこの世界を見せれずに…。
2005-09-06 23:27:00 - 
						298:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
生かせてあげられなくて、本当にゴメンなさい。
2005-09-06 23:28:00 - 
						299:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
謝っても、謝りきれないけど、悔やみきれないけど。こんなあたしやけど。
―――聖がいた事だけは、覚えておかせてな。2005-09-06 23:30:00 - 
						300:
ヒカル ◆fnkquv7jY2
退院してまもなく、ヒカルは夜の世界からあがる。
今は慣れない昼の仕事をしている。2005-09-06 23:36:00 

