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∞午前3時の運転手∞
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2:
『フゥー。´_`。)えー、新北野からJR線梅田駅前まで、と』
──さっさかさっさかと手慣れた手付きでペンを走らせる。
これが俺の仕事。
タクシードライバー。2006-03-04 14:47:00 -
3:
元々、広島の奥の方から都会に憧れて
今から3年前、19歳の頃に大阪ミナミの街に友達と上京。
する事なんて特になく、
夢なんてもっとなくて。
友達となんとなく夜のお仕事についた。2006-03-04 14:48:00 -
4:
ホストなんて、大層な男前な坊ちゃまや、
ラジオが内蔵された位のお喋り上手な男がやるんだと思っていた、3年前。
なんとなく仕事になれて、
まぁそこそこな売れっ子にもなった、2年前。
気がつけば、なし崩しのような状態で。何が善で何が悪なのかも見失って、本気で惚れた大切な人まで失ったのは、1年前。2006-03-04 14:49:00 -
5:
こんなままじゃね、
肝臓いわして死ぬか
いつの間にか婚期逃して一生ひとりぼっちで墓入るか。
なんて将来に不安抱いてミナミの街からさようなら。
それが半年位前。2006-03-04 14:50:00 -
6:
名前は由仁田。
友達は俺の事【うに】ってよんでます。
慣れない事と言えば、
キレた時の大阪弁とお好み焼きで白飯のランチセット。
どっちが主食ですか。今だに慣れない。2006-03-04 14:51:00 -
7:
----タクシー運転手。
意外だって友達は笑ってた。
でも元々あんまりお喋り苦手な俺には見事な位に
適職。
会社の決めた道理にも最近ようやく慣れてきた。2006-03-04 14:52:00 -
10:
『えっとォォ〜。トガノまでー。急いでなぁ』
----見た目は20歳行かない位のド派手なギャル。
座ると共に、HERMESのガーデンパーティーからこれまたド派手な携帯を取り出す。2006-03-04 14:56:00 -
11:
ド派手過ぎて、原型すら失いかけた、哀れな携帯電話を耳に当てるとオナゴは
『お兄さんタバコない?』
━━━まぁ、なんてオマセなオナゴだこと(。゚v゚。)
『メンソールですヶド、』
『いーいー。頂戴!!・・・・あ、もっしユリ〜!?うん今梅田ァァ』2006-03-04 14:57:00 -
12:
後部座席のオマセオナゴは、
【ユリ】と称する、これまたきっとオマセだろうオナゴと楽しげに談笑している。
手には持ち憎そうに摘まれた俺のセブンスターメンソールが静かに煙をくゆしている。2006-03-04 14:57:00 -
13:
『えっまじで〜!!てかァァ、ミィなぁ流くんと喧嘩したねんかぁまじ流ウザいし!!』
オマセオナゴは【ミィ】と言うらしい。
『んー、ぶっちゃけ流もホストやん!?信じ憎いしぃ・・』
ホストに恋・・・
切ないネ(。´_`。)ノ2006-03-04 14:59:00 -
14:
『んー。まぁーとりまトガノのapで待ってるわぁ☆うん、はいはぁい☆』・・・ピッッッ
ミィチャンは続いて大きな鏡をおもむろに取り出すと、テカテカした紅を唇になぞり出した。
『・・・お兄さんー』
ミィチャンは、鏡から顔をヒョロリと出して運転席を見つめる。
『はい。』2006-03-04 15:00:00 -
16:
『でも〜なにげ男前ャン☆もてるやろォォ☆』
。・v・)ノ{お世辞なんて言ったってメーターおまけなんてしないぞコノヤロゥ☆
でもにやける、うに。
だって一端の健全な男の子ですもの(。´v`。)ェヘ2006-03-04 15:02:00 -
17:
『あたしがダァにフラれたら彼女にしてやぁ☆』
。´v`。)嗚呼、若いってエクセレント。素晴らしい。
----『あ、もう着きますよ。千円でいーです』
結局おまけする馬鹿な運転手。うに。クドイが健全な男の子。2006-03-04 15:03:00 -
18:
『ありがとォォ☆』
----そう言って、茶色い柄柄な財布から千円を取り出し置いてオナゴはおりる。
つかの間の甘酸っぱく幸せな一時を過ごした
うにであった。2006-03-04 15:04:00 -
19:
『ハッ(゚Θ゚・書かなきゃ』
うには助手席に放置していた紙を持ち上げる。
『天六からトガノまでと。』
サラサラとペンを紙に滑らせると、カチッとペンを鳴らす。
乗車のたびに、表記するのも立派なお仕事。2006-03-04 15:05:00 -
20:
一段落して、料金の受け皿に置かれたセブンスターメンソールを掴む。
『フゥ。´Θ`。)疲れた』
一服しながら、キラキラチカチカと電飾の輝く街を眺める。
ちょっと前までの自分が沢山歩いているような真夜中の梅田。2006-03-04 15:06:00 -
21:
『あの人、ネクタイ曲がりようで。』
独り言が増えた。
何てったって、会話なんてないに等しいお仕事。
性に合ってる分、淋しい時も結構ある。
孤独なお仕事、タクシードライバー。2006-03-04 15:09:00 -
24:
『御堂筋の道頓堀まで行って欲しいんすヶド、えっ…と。んーと何て言うんやろ』
『橋を越えた靴屋さんの辺りですか?』
『あ!!それそれ!!そこです☆お願いします』
『畏まりました、ありがとうございます』
━━━お客様をのっけた車は走り出す。今度の目的地は、繁華街ミナミ(。・v・。)2006-03-04 15:11:00 -
25:
シィ────ン・・・
━━━静まり返った車内は、お客様の香水だろうバニラのような甘い香りが充満している。
。´v`。){あ、アイスクリーム食いたいけぇ、この人おりたら買いに行こっと。
----お客様のイイ香りは、運転手うにの気持ちまで甘く侵食しだしていた。うに、イイ香りに、かなりご満悦なご様子。2006-03-04 15:12:00 -
26:
♪♪ピロ♪♪ピロ♪♪ピロ♪
後部座席からなにやら音楽が聞こえ出す。
──ピッ・・・!!
『はい。あぁ。わかってる。うん。今日仕事終わったら行くからって。』2006-03-04 15:13:00 -
27:
ピッ・・・・
『ハァァァ。』
緩んだ口元から、薄っぺらいため息がこぼれ落ちた。
もちろん聞かないふりをするのだ。仕事だから。
----タクシードライバーは、ただ運転していれば良い。逆に言えば何があろうと、平常心を絶やす事なく運転と言う職務を松任しなくてはならない。2006-03-04 15:15:00 -
28:
黙ってハンドルを握る。それがお仕事。
・・・・・でもね、
『運転手さん。ちょっと聞いてくれますー(。´ゞ`。)』
こんな事も有るんです。
こんな場合はもちろんです。2006-03-04 15:15:00 -
30:
『最近結構売れてきてね。こーやってタクシーなんか乗れる位に。』
『ハハッ。はい。』
『でもねー。彼女が居るんすよね。』
『はい。』
『…辞めて欲しいって。』2006-03-04 15:17:00 -
31:
『んー。はい。』
『でもね、やっと慣れて来て、楽しくなってきたんすよ』
『はい。』
『ぶっちゃけ色も使うようになって。あ、色って、お客さんと付き合うみたいなやり方なんですヶド』
『はい、わかります。…なんとなくですヶド。』2006-03-04 15:18:00 -
32:
----甘い匂いが漂う車は夜の街を走っている。
『彼女が厄介で。色カノは切れってね。でもエースなんすよ。色カノってのが。』
『はい。』
『最低すよね。わかってんすヶドね。何て言うか…』
『辞めたくないんですよね』2006-03-04 15:19:00 -
33:
『ハハッ。そう。今しかないんすよ。今辞めたらきっと二度と戻れない。ハハハ俺何言ってんやろ。すいませんね。忘れて下さい』
『…はい。』
*+*お客様は神様です。
お客様が終わりと言えば、それ以上は口を開かない。これも鉄則である。2006-03-04 15:20:00 -
34:
『あの靴屋さんの辺りで良いでしょうか。』
----後部座席から漂う異様に暗い空気を尻目に運転手、業務にまっとうする。
車が止まる。
『あ、はいはい。えーっと、千六百…円ですね』
『はい。では二千円お預かりで四百円お返しです。ありがとうございました。』2006-03-04 15:21:00 -
35:
お客様がドアから足を出し、聞こえないようにため息をはく、うに。
『あ、運転手さん。』
ビクッッ?(゚Д゚・)バレタ??
『名刺ないっすか?良かったら毎日乗るし、運転手さんおかかいにしたいんすヶド』
━━━ご指名いただきました☆☆タララッタラ〜ン☆★2006-03-04 15:22:00 -
36:
たまに有るんです。
特にホステスさんなんかが多いんですがね。
毎日ご利用なさるお客様は、気心しれた運転手をご指名なさいます。
この方もその様です。
----『畏まりました。こちらの番号が直通致しますので。またよろしくお願いいたします』2006-03-04 15:23:00 -
37:
『あ、ありがとう。じゃあコレ、俺の名刺なんで一応渡しときます☆』
【叶 雄也】と書かれた黒い名刺を受け取る、うに。
。・v・){ん何々??【ホールアドバイザー】??何ですかそれは(。´v`。)
よく解らないポジションの雄也様。ですがきっちり受け取りました。2006-03-04 15:24:00 -
38:
・・・パタ…ン!!
『フゥ。´v`。)あ、アイスクリーム買いに行くんじゃった』
----またもや独り言を呟いてみる、うに。
『ホールアドバイザーっちゅうんは偉いんやろうか。変わった役もあるんやのぉ』2006-03-04 15:25:00 -
39:
♪♪リンコロ♪♪♪リンコロ♪♪♪
『?(゚Θ゚・あ、俺の電話か』
----夜のお仕事を辞めてからと言うものの、めっきり鳴る機会の減ったうにの電話。久しぶりに鳴っております。2006-03-04 15:26:00 -
40:
『はい』
『はっろーゥゥ!!うにたん☆俺俺俺俺俺俺☆』
『ジンちゃん。どーしたん』
『飯食い行こ(。゚∀゚。)』
『んー。今仕事中やけぇなぁ』2006-03-04 15:27:00 -
41:
『いやーん!!リアチャンとユウもおるんやで〜(。゚∀゚。)早く来いちょ☆』
『んー、っと2時か。わかった行くわ。どこ?』
『素敵。´v`。)心斎橋におるから〜』
『わかったわかった。すぐ着くけ待ってて』
『ホイホ〜イホイ☆』2006-03-04 15:28:00 -
42:
うにの勤めるタクシー会社は、小さい会社なので一日のノルマも少ないのです。
既にノルマを達したので、うにはちょっとサボる様です。
『あ(゚Θ゚・)行くメシ屋ってアイスあるかな』
━━うに、どうしてもアイスクリームが食べたい様です。2006-03-04 15:29:00 -
43:
『リアとユウとか。久しぶりやね。でも相変わらずうるさいんやろうなぁ。´_`。)』
*+*+プチプチと独り言。
でもハンドル切るのはさすがにお上手。
だってタクシードライバーですもの。
----ブイーンと煙たい音を立て、行燈の灯火の消えたタクシーが走って行きます。2006-03-04 15:30:00 -
44:
*+*+車がキキキッっと到着。
ガチャ───!!
----助手席のドアが勢いよく開いた瞬間。
『ヒャ(*゚Д゚)』
うに、びっくりです。2006-03-04 15:31:00 -
45:
『あッッ!ウニタン〜!!久っしぶりィィ!!きゃぁ☆相変わらず男前やん〜!!!』
座り込んだのはユウだった。
※この方は、でらべっぴんのオカマです。
『ちょっと待ってユウ、お前後ろ座ってよ』
迷惑そうに顔をしかめて笑う、うに。2006-03-04 15:32:00 -
46:
『やぁよ〜!!!あら相変わらず肌もスベスベだわぁ(。゚∀゚。)食っちゃいたい☆』
──カチャ・・・!!!!!
『うに久しぶり〜』
『あ、リア。久しぶり。ちょっとこのオカマ後ろ座らしてよ』
*+*後部座席にはリアとジンチャンが乗り込んだ様です。2006-03-04 15:33:00 -
47:
『ウニタン久しぶり☆』
『ジンチャン(。゚∀゚。)丁度、真後ろに座っとるけぇ見えんヶド久しぶりじゃなぁ』
──久しぶりの友との再会にうっとりするもつかの間。
『あたし腹減った。うに、鍋屋いって〜』
『相変わらずワガママな女じゃな。´v`。)鍋義でいいな』2006-03-04 15:33:00 -
48:
『鍋義とか(。゚∀゚。)やたら久々やん!!てか他開いてないかぁ。腹減った〜』
『ジンチャン鍋義好きやったもんね。特にあんこう鍋』
『さすがウニタン☆俺ほんと好きなん☆あんこう☆キャ』
『あたしも好き。唐揚げ』
『リアは唐揚げばっかり食べるのよねぇ。あたしはフグが好きよ』2006-03-04 15:34:00 -
49:
ボッポコボッポコ・・・・
4人を乗せたタクシーが心斎橋を走ります。
みんなそれぞれ違う道を生きてる毎日、
今日さよならしたら、またみんなそれぞれの場所へ戻り、
全く違った道を行く。2006-03-04 15:35:00 -
50:
『大人になったね。』
誰かが鍋をつつきながら言いました。
みんなは、少し寂しげに笑いました。
気がつくと、みんな大人になりました。
気がつくと、少し寂しくなった、うにでした。2006-03-04 15:36:00 -
51:
『で、確かリア結婚するんってね?』
『うん。あー、うにには結構前に言ったっけ』
----ハフハフしながら、鍋をツンツンする。
楕円型に配置された4人の中でうにとリアがお喋り。
『え!!まじで(*゚Д゚)聞いてへんやん。リアチャンひっど!!』2006-03-04 15:37:00 -
52:
『あれ?ジンには言ってなかったっけ(。゚∀゚。)??カミとね、結婚しまんねん』
『まじでかー。まだ若いのにー?もしやデキたトカ☆』
──ジンがお腹をポコリと膨らむジェスチャーをすると
『あほか。´v`。)何となくってか、流れって奴。一緒に住んでるしね。お父さんとも話してたみたいやし。』
---なーんて言って、箸を持つ華奢な手からちらっとリングが光ります。2006-03-04 15:38:00 -
53:
『おかげでーそろそろオカマ引退よあたしも』
----はくはくとほっぺを動かしながらユウの声。
『なんで。ユウがオカマなんとリアの結婚関係ないでしょ』
----続くうにの疑問。
『ウニタンの馬鹿ッッ。ワカランチンな人ねぇ。つまりは、あたしもキャバ辞めて田舎帰るって言ってんのッッ』2006-03-04 15:39:00 -
55:
『じゃあまたね』
みんなそれぞれ違う道を歩いて行きます。
もしかしたらもう会わないかもしれない、
そんな淋しさや虚しさも、
素直に表現できずに笑う事ばかりを身につけるようになりました。2006-03-04 15:42:00 -
56:
うにはタクシードライバー。
今日は少し【おせんち】になりました。
それでも車は走ります。
お客様は神様です。
うには毎日従順にタクシードライバーとして走ります。2006-03-04 15:43:00 -
57:
『ファ(。´∀`。)眠いのー。今日も頑張ってメーター弾くぞ〜』
----カコカコと車内をいじると、今日もうにの仕事は幕を上げます。
コンコンッッ!!!2006-03-04 15:44:00 -
60:
『あ…あの…、えっと…あの…梅田まで!!梅田まで行って下さい!!』
・・・・・・(。゚∀゚。)!?
『お客様、ここが梅田でございますよ(。´v`。)』2006-03-04 15:47:00 -
61:
ん?このお客様、なにやら大きなお荷物…。
しかもなにやら挙動不審でございます。
『あッッ!!あ…えっ!!ごっ!!ごめんなさッッ!!……えっと…あの…ちょっ…と…大阪よく…わからなくて…』2006-03-04 15:48:00 -
62:
なるほど。
お客様は上京仕立てなのでございますね。
それにしても…
『えっと…お客様、行き先は…どういたしましょうか?』
うにもおめめがハテナでございます。?∀?。)ワォ2006-03-04 15:49:00 -
63:
『あ…どうしよう…あのッッあのあのあの…』
お客様、もしかしてもしかすると、タクシー自体にも緊張なさっているご様子。
『目的地…。お客様、目的地はどのような場所でしょう。もしかすると、何か手掛かりになるかもしれません』
優しい言葉で緊張するお客様の眉間のシワを柔げる。これも立派なお仕事です。2006-03-04 15:49:00 -
64:
『あ!!あの、お店なんですヶド【クレア】ってお店なんです。わかりますか!?』んー・・・・ん!?}('θ'*。『お客様、北新地の【crea】でしょうか?』『はいッッ!!!そこです!!おおおお酒作るお店の!!』うには、余りに純粋そうなお客様に笑いそうになりながらも、頬をピンク色に染めて恥ずかしがりながら吃るお客様をルームミラーごしに見て微笑み、ハンドルを握りました。
2006-03-04 15:50:00 -
65:
『よかったァァ・・。本当にありがとうございます!!面接なのに、遅れるところでした!!』
緊張から解放されたのか、フワッと笑顔を見せるお客様。
『いえ滅相もございません』
丁寧にお返事。
『……あたし、実家飛び出して来たんです!!』2006-03-04 15:51:00 -
66:
?(゚ロ゚)!?
うにはびっくり。
『あたしの実家、本当にド田舎で。山と川しかないんです。それで…ヘヘッ。携帯サイトで知り合った人を…好きになって。大阪の人だったんです。なんか、夜の仕事で、スーツ着てお酒作る仕事だって…』
・・・・・・・・・( ̄A ̄。)ん?2006-03-04 15:52:00 -
67:
『すっごい優しいんです!!毎日メールしてて…彼が、大阪に来ないかッッて…☆一緒には住めないヶド、俺を支えて欲しいからって…ェヘヘ☆彼、お店に借金があるんです。だから支えてあげたくて…』
・・・・・・・・・・・(θAθ。)んん!?
何やら怪しい雲行きデス…2006-03-04 15:53:00 -
68:
『さささ…ゴホッ…!!さようにございますか。』
思わず上擦り吃ってしまう、
うに。
『エヘヘヘ☆でも、ホステスさんってどんなお仕事なんだろー。あたし何にも知らないから不安です。でも彼の為に頑張って支えてあげなきゃ!!』
ミラーからちらっと見えるお客様は、リンゴチャンホッペが今にも破裂しかねない程に赤々として嬉しそうです。2006-03-04 15:54:00 -
69:
うにはお客様を勝手ながら
《エヘヘチャン》
と名付けました。
エヘヘが口癖なエヘヘチャン。
丸々リンゴなエヘヘチャン。2006-03-04 15:55:00 -
70:
『…ハァーァ。緊張して来た。どうしよう。運転手さん?』
いきなり話し掛けられ、うにはまたびっくり。
『はい。』
それでも平然を装います。
『あたし、変じゃないですか?面接とか初めてで…』2006-03-04 15:56:00 -
71:
《なんてまさかね(。´v`。)ノそりゃセット行くよね。店前にセット屋サンあるし。確かあそこのセット屋サン、お洋服貸出しも有ったしね☆エヘヘチャンは、緊張してる自分か変かって事気にしてるだけで…》
『一応面接っぽい恰好して来たヶド…髪も。こんなもので大丈夫なのかなァァ?』
?("ロ"・)!!!???2006-03-04 15:58:00 -
73:
『?はい?』
『あの…えと…そっそその装いでは…』
『え?ごめんなさい、聞こえない…』
『お客様のッッその装いではッッ!(。`ロ`。)』
──♪♪ロンロン♪♪ロンロン♪♪♪♪2006-03-04 16:00:00 -
74:
『あ、ごめんなさい。ちょっと電話が!!…もしもし・・・』
うにはがっくりです。
『…じゃね☆エヘヘ、うん。はぁい☆バイバイッッ』2006-03-04 16:01:00 -
75:
--パタッッ!!
『エヘヘッ聞いて下さいよ運転手さん!!』
『…はいィ。』
『彼がッッ!!キャァ☆今日会おうって(。゚∀゚。)どーしよぉッッ!緊張ですッッ☆』2006-03-04 16:02:00 -
76:
『あ、左様にございますか(。´v`。)それはそれは…☆』
・・・ッッて違う!!なにホンワリしてんだ俺!!
『それよりお客さ…』
『もー!!すっごいドキドキします!!ハァァ☆楽しみデス!!』2006-03-04 16:03:00 -
77:
『それより!!お客さ…』
『あ、あれ?その看板!そこじゃないですか(。゚∀゚。)』
ツイタ───(。゚ロ゚。)───!!!
、2006-03-04 16:04:00 -
78:
『ありがとうございましたァァ!!頑張ってきますね☆』
『(。´A`。)マッテ…』
───ガチャッッ!!!
『本当にありがとうございました!!大阪って怖い街だと思ってました…でも、運転手さんに出会えてよかった!!じゃあ!!』2006-03-04 16:05:00 -
79:
『ぁわわわ(。`Д´。)…店入って行きよる…。』
───カチャッッギッ…!!
うには目をクシャッとつむり、ハンドルを握った。
『…ハァ。うまく行きますように……』2006-03-04 16:06:00 -
80:
キュキュッと車を走らすと、
夕刻時の新地はタクシーが混み始める。
うにはそれが嫌いです。
さっさと脱出してスイスイ走る、それが好き。
『エヘヘチャン…頑張ってね(。´`。)…ごごごごめんょ…』2006-03-04 16:07:00 -
81:
ブイーン…カチッッ、
♪♪ルン♪♪ルルル♪♪♪
うにはお気に入りのMDをスイッチオ─(。゚∀゚。)─ン!!
『ふんふふふふ〜♪』
タクシーは次第にのりのり走り出していました。2006-03-04 16:08:00 -
82:
ゆったりと流れるREGGAEの音色は、どんな時も気持ちを穏やかにさせてくれる。
現地の自然が溢れるラスタは、素っ気ない音色。うには大好きです。
『ふ〜んふふふ〜♪』
──どうやらノリノリです。2006-03-04 16:09:00 -
83:
うにがREGGAEのリズムに波打っていると…
『♪♪ふふふ〜ん♪ふ〜んふふふ♪…あ(。゚θ゚。!?)』
──キキッ…!!
,2006-03-04 16:09:00 -
84:
少し焦ってブレーキをふむと、お客様はドアの前に近寄っていらっしゃいます。
---キィ────パタンッッ!!
『本日はご利用ありがとうございます。』2006-03-04 16:10:00 -
85:
『えと〜日本橋やっけ?』
『そーそー。』
黒い御ギャルな二人組のお客様が御乗車なさいました。
『日本橋でございますね。ありがとうございます』
----車は日本橋を向いて走り出しました。2006-03-04 16:11:00 -
86:
うにはREGGAEの余韻にひたひた浸りながらハンドルを握り、黙って運転に集中します。
『てかァ、今日もユウちゃんに会い行くん?』
右のオナゴが煙草をふわふわ蒸しながら窓を開けると
『わっからん。…まぁ、稼げたら?』
左のオナゴはテカテカ光るグロスを唇に滑らせ、流し目で鏡に答える。2006-03-04 16:12:00 -
87:
『エースは大変ですねー★』
窓の外を見渡しながら右オナゴははにかんだ様に笑う。
『ですねー。あーてか昨日さぁ、ユウヤの本カノからなぁ、メール来てーぇ…』
『ハァ!?まじで。』
『まじまじ。かなり嫌味言われましたー(。゚∀゚。)』2006-03-04 16:13:00 -
88:
聞こえません。
うには聞こえません。
聞こえていますが、聞こえません。
黒子に訂するお仕事。
例え、それが胸の締め付けられる程のお話でも、うには黙ってハンドルを切ります。2006-03-04 16:14:00 -
89:
『やっぱ、若い女の子が夜乗ってきたら変に心配して見ちまうよな』
『本ッッ当にいたたまれねぇ時あるなぁ。』
『タクシードライバーってのは辛い仕事や。』
──よくあるドライバーのおじさん同士の会話。
こんな乗車中、思い出します。2006-03-04 16:15:00 -
90:
『まぁウチ等エースは体で稼ぐからねー。汚いとか?嫌味位ーなんてこったないわいやッッ。その分、人一倍金もらってんだしー(。´v`。)』
『…‥シィナ…』
『は?何あんた暗いって!!心配してくれてんのー!!?アハハ。ありがと★』
──うには、こんな時思い出します。2006-03-04 16:16:00 -
92:
『で、ユウにはゆったん?』
タバコをくしゃっと灰皿に突っ込む。
『ユウヤに?ゆー訳ないやんッ。…彼女の気持ちも…まぁわからんくないし?』
----カシュッッカシュッッとマスカラを擦り出しながらシイナチャンが笑う2006-03-04 16:18:00 -
93:
『あんた平和すぎ。』
呆れた様にマスカラをみながら笑う友達。
『カホこそ。彼氏は〜?色枕で有名な☆』
『知ら〜ん(。゚∀゚。)あたち本営でつからァァ☆』
友達【カホチャン】は呆れ笑いがお得意らしいです。2006-03-04 16:19:00 -
94:
『あ、運転手さん、日本一の交差点で止めてくれる?』
----マスカラのゲジゲジを刺し戻しながらシィナチャンが顔を上げます。
『畏まりました。』
静かに返答し、ウニはチカチカとハザードを光らせます。2006-03-04 16:30:00 -
95:
『千…300円です。』
行燈を点滅させながらタクシーは停車。
『はい。お釣りィィよ。コーヒーでも飲んで☆』
先に降りたカホチャンは携帯をかこかこ…
『‥ありがとうございます。』2006-03-04 16:33:00 -
96:
『じゃ、ありがと』
そうしてオナゴ2人は日本橋の交差点を歩いて行きました。
『……‥』
ひとりぼっちの車内に充満して行くのは、腑に落ちないうにの表情。
それは《シィナチャン》にありました。2006-03-04 16:37:00 -
97:
──ウニは見てしまっていました。
『…痛いやろに。』
呟いた独り言はシィナチャンの細い腕の事。
幾数もの細い傷。
それは黒い肌のシィナチャンの腕を蝕む、鋭利な切り傷でした。2006-03-04 16:45:00 -
99:
ウニは気を取り直して携帯のボタンを押します。
『はい、いつもお世話になっております。』
薄っぺらい携帯電話の向こうからは低い声が聞こえます。
「あ、すいませんお仕事中に…今電話大丈夫ですか‥?」2006-03-04 16:52:00 -
100:
『はい。…どうかなされましたか?』
配車のお電話とは少し違った雰囲気の雄也様の声。
ウニは、素っ頓狂に明るく喋りっぱなしのラジオのスイッチを消すと耳をこらします。
「あの…」2006-03-04 16:55:00