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霊感体質
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1:
菫
―痛いよ…。淋しい…。
いつもの帰り道。消えかかった街頭の下に、いつもならいないものが、そこにはいた。ツインテールの髪型に、フリルがついた服を着て、その子は泣いていた。年は10才にも、満たないといった感じだ。
2007-09-26 23:59:00 -
165:
菫
―だってあたしは、幽霊よ?死んでるのよ?
「…………。」
呆然とする俺を無視して、スミレは屋敷の方へ歩いて行く。そして振り返り俺に言った。
―ホラ!早く来なさいよ!!渋々俺は、スミレの方へ歩いて行く。2007-10-06 15:10:00 -
166:
菫
はぁ。先が思いやられるな。外から見た屋敷と、内から見た屋敷では、デカさも迫力も違うかった。
洋風の煉瓦造りの塀に、赤い屋根、何十年も前に建てられたとは思えないぐらい綺麗だったが、窓ガラスは割られ、壁のあちらこちらには、意味の分からない落書きが書かれていた。
―肝試しに来る、クソガキ共が、ガラス割ったり、落書きしたり、本当ムカつくわ。
と、怒りながら呟いた。2007-10-06 15:19:00 -
167:
菫
「まぁまぁ、それより中に入りましょ?」
ぶつくさ言うスミレを促し、家の中に入る。玄関を開けると、広い大理石の床に、吹き抜けの天井。そしてエントランスの中央にある、螺旋階段。金持ちだなぁ、と俺は感心していたが、良く見ると階段は埃にまみれ、クモの巣が張られ、あまり触りたいと思えなかった。2007-10-06 15:24:00 -
168:
菫
土足であがっていぃのかと悩んでいたが、靴を脱いであがるのは、不可能だと思い、靴のままあがった。
「おじゃま、します。」
―菫、こっちに来て。階段あがって。
スミレに言われたく通り、階段をあがる。あがるたんびに、ギシ、ギシ、と音がする。2007-10-06 15:30:00 -
169:
菫
二階の、一番角の部屋。その前にスミレは立っていた。―ここが、あたしの部屋よ。
ゆっくりとドアを開けると、八畳程の部屋に、デカイ、セミダブルのベッドと、アンティークの机に、棚があった。だけど部屋の中は、荒れ果てていた。2007-10-06 15:36:00 -
170:
菫
―なんらかの手掛りはこの部屋にあるはずよ?
と、スミレが言った。
「じゃあ、お邪魔して。」そぅ言って、スミレの恋人だったと言う人の手掛りを探す。まずは、クローゼットを開ける。開けたと同時に、埃が一気に舞う。とっさに口を覆うが遅く、咳が止まらない。2007-10-06 15:39:00 -
171:
菫
―大丈夫?
「ゲホッ!大丈夫です…。」クローゼットの中は、服やら鞄やらが、結構綺麗な状態のまま残されていた。
―その鞄。
ふいに、スミレが指さして言ったのは、真っ赤な鞄。俺はそれを手に取り、椅子の上に置いた。
2007-10-07 05:55:00 -
172:
菫
鞄についているファスナーを開けると、中からは古い写真と、何枚か手紙が出てきた。俺は、写真を手にとり見てみたら、仲良く写る男女の姿。女はスミレだろう。幸せそぅな顔で、笑っている。横の男は、なんだか悲しそうな、なんとも言えない表情で笑っている。写真の裏を見ると【スミレ19歳。憲治22歳。】と書かれていた。
2007-10-07 05:59:00 -
173:
菫
―それが、あたしの恋人だった人よ。
「この人を、探すんですよね?」
―そぅ。
写真を戻し、次は手紙を開けてみた。2007-10-07 06:02:00 -
174:
菫
手紙の内容は、簡単に言えば、二人の恋は誰にも認められない、だから駆け落ちをしよう。と言った、そんな内容だった。だけど、何枚かある手紙を、順番に見ていくと、最初は駆け落ちをしよう、みたいだったのが、最後には、誰にも認められないのなら、一緒に死のう…そんな内容になっていた。
2007-10-07 06:08:00