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ONE WISH

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  • 1:

    名無しさん

    聞いて欲しい話があるんです。

    2007-06-19 04:25:00
  • 2:

    名無しさん

    大学へ行くまでの道のりも普通で、いろんな事があった今だって普通なのかも知れない。
    俺の名前は

    2007-06-19 04:34:00
  • 3:

    名無しさん

    『悠斗くん!』
    ・・・おっと。その通り。紹介より先に呼ばれちまったが、
    俺は¨ユウト¨だ。
    『こんばんわ。大家さん』
    俺を呼んだのは最近、太ったのを気にして毎晩ウォーキングを始めたうちのマンションの大家さんの杉本さん。手遅れって言葉を知ってるのか?

    2007-06-19 04:39:00
  • 4:

    名無しさん

    『今日もウォーキングですか?』
    『そうなの。頑張ってるでしょ?少しは痩せなきゃね、旦那に怒られて・・』
    コンビニ帰りの俺は杉本の大家さんにチョコを差し出す。
    『大変ですね。疲れたら甘い物を、これ』
    『あら、言ったでしょ。今痩せるためにウォーキングを・・』

    2007-06-19 04:43:00
  • 5:

    名無しさん

    『痩せる必要なんてあります?俺は少しポッチャリの女性がタイプなんですけど・・杉本さんの奥さんに痩せてもらっちゃ俺が困るんだけどな』
    奥さんは顔を少し赤らめている。
    『おばさんをからかわないで!』
    『おばさんだなんて!その辺歩いてる本物のおばさんに聞かれたらどうするんですか』

    2007-06-19 04:47:00
  • 6:

    ゆり

    おもしろそぅ??
    頑張って??

    2007-06-19 04:51:00
  • 7:

    名無しさん

    『じゃぁ俺はそろそろ部屋に。アイス溶けちゃうから』
    『あぁっ、そうね。また、悠斗くん。ルーちゃんにもよろしくね』

    これぐらいのお世辞は当たり前に言うよ。大家さんに気に入られてりゃ何かと得なんだよ。食料をくれるし、ペットを飼っちゃいけないアパートでも猫ぐらい飼えるようになる。あ、ルーちゃんてのがうちの猫。

    2007-06-19 04:52:00
  • 8:

    名無しさん

    俺の生活を簡単に紹介しようか?聞かれなくても言うけど。
    さっきの杉本さんが大家さんのもと、家賃3万の1LDKに住んでいる。リビングはフローリングで寝室は畳。バランス悪い?安いんだから仕方ないじゃん。俺は部屋に金をかける主義じゃないんだ。だってほとんど家には居ないんだから。
    なんでかって?それはまた話すよ。焦るんじゃないって。

    2007-06-19 04:57:00
  • 9:

    名無しさん

    えっと、どこまで話したかな。名前は知ってるよな?悠斗だ、宮崎悠斗。普通だなって?あぁ、普通だよ。どこの受付に行ったって俺の漢字が読めないなんてやつは居ないよ。
    現在24才。大学を卒業して2年、社会人2年目だ。

    2007-06-19 05:01:00
  • 10:

    名無しさん

    この猫、ルーと二人暮らし。
    俺が部屋にお金をかけない理由。それはお洒落に金をかけるから。寝室にはバカでかいクローゼットを置いてある。その中・・仕事用のスーツ、アクティブな服、フォーマルな服、女が喜びそうな服、それぞれに合うサングラス、時計、アクセサリー、帽子。どれも一級品・・と言うかお洒落なものばかりだ。

    2007-06-19 05:09:00
  • 11:

    名無しさん

    おい、いい部屋に住んでてそれをエサに女を釣ってる男。それはあんまりいい考えだとは言えないんじゃないか?いい男、モテる男とは女の家に上がり込むもんだ。
    そんなとこで女を待ってたって宝の持ち腐れ。今すぐ引っ越してお洒落に金を掛けろ。
    いい女を捕まえたければだけどな!

    2007-06-19 05:14:00
  • 12:

    名無しさん

    ◆◆◆◆

    2007-06-19 05:15:00
  • 13:

    名無しさん

    おはよう!ハニー。

    昨日はめずらしくゆっくり寝られたよ、一人で。
    じゃぁそろそろ仕事の用意をするか。お馴染?クローゼットを開けて・・残念だが今日は俺のお洒落な私服は披露できない。仕事だからスーツなんだ。スーツと言ってもそこらへんのサラリーマンとは一緒にするな。

    2007-06-19 05:21:00
  • 14:

    名無しさん

    仕事にはいつもバイクで行くんだ。かわいいだろ、愛車のベスパ。
    通勤は20分ぐらい。
    『おはよう・・・』
    紹介しよう。今挨拶をしてきたこの男。同僚のヤス。いいヤツだと思う。俺はこいつといつか独立しようと話をしてる相手だ。
    『どうした?元気ないなぁ』

    2007-06-19 05:27:00
  • 15:

    名無しさん

    『昨日彼女にフラれてさ』
    聞く話によると、ヤスの浮気がバレたそうだ。
    『今日飲みに付き合ってくれよ〜』
    体はデカいくせに可愛いやつだな。

    2007-06-19 05:30:00
  • 16:

    名無しさん

    『ドリンクは?何にする?』
    俺たちは仕事終わり、ダイニングバーに来ていた。
    『生ビールと、コロナビール。ライムで』
    店員は返事をしない。運んで来たビールは机にぶつけるように置く。

    2007-06-19 05:33:00
  • 17:

    名無しさん

    なんて店員だ。普通なら怒るところ・・だが、愛想がないが顔はかわいく、スタイルもいいこの店員。
    ヤスの元彼女。
    彼女にフラれて話を聞くはずなのに元彼女のお店。
    『まだ好きなんだよ』

    2007-06-19 05:38:00
  • 18:

    名無しさん

    彼女、あぁ、元彼女がバックヤードに引っ込むと話出すヤス。
    『謝ったの?』
    『もちろん。土下座までして』
    『そこまでしたの?なんで許してくれないの?浮気って酔っぱらってのキスだけなんだろ?』
    『そうなんだけどさ。俺、その日、あんまり腹の調子良くなくて。キスしたってバレた時、謝らなきゃっていきなり土下座した瞬間・・・モラしちゃった。すげぇ下痢』

    2007-06-19 05:44:00
  • 19:

    名無しさん

    その後は分かるよな?彼女にドン引きされてマンションを追い出されたってわけだ。

    『悠斗はコロナ?おかわりでいぃ?』
    元彼女はニコニコ俺に注文を聞く。
    『俺は生ビールおかわり・・・』
    ヤスの言葉は無視で出てきたのはコロナビールとコーラック。

    2007-06-19 05:48:00
  • 20:

    名無しさん

    便通剤!ピンクの小粒!
    『・・・』ヤス。もう彼女とはダメなんじゃないかな・・
    ヤスは居心地悪くなったみたいですぐ一緒に店を出てた。ヤスと別れ、ベスパを走らす。

    2007-06-19 05:55:00
  • 21:

    名無しさん

    『悠斗!会いたかったぁ〜!』
    今日はこの子を紹介しよう。なんで車の中かって?この子は主婦だ。主婦と言っても家事は全てお手伝いさんがやってくれてるようなセレブ。旦那は宝石商らしい。まぁ車も口のお硬い運転手付き。

    2007-06-19 06:00:00
  • 22:

    名無しさん

    『アッ・・あんッ!悠斗ッ!すごい!もっと!もっと突いてッ!』
    今、彼女が俺に馬乗りになって暴れてるとこ。しかし・・・いぃ眺め。俺は騎乗位が好きだ。
    彼女の栗色のロングヘアが揺れる。彼女は香織さん。こんなにいい体でこんなに美人。例えるなら栗山千明か?なのに旦那と夜の生活が半年も無いらしい。

    2007-06-19 06:07:00
  • 23:

    名無しさん

    走り出した車が見えなくなるまで見届ける。
    『さっ・・・』
    帰るわけないだろ?まだ午前になってないんだし。
    『いらっしゃい、悠斗』
    『疲れたぁ〜!お腹すいた!!』

    2007-06-19 06:18:00
  • 24:

    名無しさん

    『シチューあるから温めるね』
    この子は梨佳。家庭的でワガママを言える存在かな?
    『隆は?』
    『寝てる〜何時だと思ってるの!こんな時間まで仕事だったの?』

    2007-06-19 06:21:00
  • 25:

    名無しさん

    隆と言うのは梨佳の子供で5才になる坊主。梨佳はバツイチの子持ち。
    『ねぇ、ねぇ。悠斗・・・』
    『今日は。ほんとごめん!疲れてるから。シチュー食べていい?梨佳の作った料理じゃないと食べた気になんないんだ』
    梨佳が迫って来たんだ。俺はさっきおもいっきりエッチしてきたわけだし、シャワーも浴びてない。

    2007-06-19 06:27:00
  • 26:

    名無しさん

    『もぅ・・・悠斗はいつもそれ。梨佳を好きじゃないんだ』
    まったく・・女ってもんは。梨佳はそろそろマジになってきたし、切るべきか。俺はシチューを食べる手を止め、梨佳にキスをする。
    『隆が起きちゃうよ?いいの?俺、梨佳のことめちゃくちゃにしちゃうけど』
    『おかーさん・・』

    2007-06-19 06:33:00
  • 27:

    名無しさん

    ナイス!隆!あれで¨いいの¨なんて言われたらなんて避けていいか分かんないとこだった。隆には今度おもちゃを買ってやろう。
    『あ、悠斗くん!』
    『よっ、隆』
    『隆!寝てなさい!』
    『いいじゃん梨佳。隆、寝られないの?本読んでやろうか?』

    2007-06-19 06:37:00
  • 28:

    名無しさん

    俺はしばらく隆に本を読んでやった。隆は本の2ページ目ぐらいで寝てしまった。
    『梨佳。俺、今日は帰るよ』
    『なんで・・』
    『明日早いんだ。今日はちょっと顔見に来ただけだから。梨佳の顔見て寝るといつもいい夢見れるから。シチューおいしかった!また来るよ・・・・・・・・・。』
    『もぅ!悠斗!』
    俺は小声で言ったんだ。今度は隆がおばぁちゃん家に泊まってる時にって。

    2007-06-19 06:46:00
  • 29:

    名無しさん

    ずっと冷静を装ってた俺だけど、梨佳がシチューを温めてる時に大、大、大失敗をしてたんだ。
    香織さん・・
    女ってほんと独占欲の強い生き物だよな。

    今日はもう寝るよ。おやすみ、ハニー!また近いうちに会いに来るからそれまで・・

    2007-06-19 06:51:00
  • 30:

    名無しさん

    ◆◆◆◆

    2007-06-19 06:52:00
  • 31:

    名無しさん

    .

    2007-06-19 09:51:00
  • 32:

    名無しさん

    おはよう!ハニー。良く眠れた?
    あ、ゆりちゃんありがとう!さて、と・・今日もスーツで仕事だ。
    『悠斗〜』
    あぁ、ヤスか。朝っぱらから目を腫らしたヤスがもう夜の予定を入れてきた。また元彼女のダイニングバーに行きたいと。またか・・良くそんな格好の悪いことできるな、なんて思ったりして。

    2007-06-19 14:15:00
  • 33:

    名無しさん

    『いらっしゃいませ。ドリンクは何にしましょう』
    今日はやけに愛想がいい。許してくれたのかと思いきや、この店員は元彼女ではない。
    『今日休みなのかな?』俺が聞く。
    『いや・・いるよ。あそこ』
    店内のビリヤード台で親密そうにしている男女。俺から見ても普通のカップルに見えた。

    2007-06-19 14:23:00
  • 34:

    名無しさん

    『ヤス・・』
    見たくねぇ、とボソッとつぶやき出て行ってしまった。また俺はひとり残された。恋は盲目、か?使い方間違えてるのかな。しかし俺のことも見えてないヤスは盲目だ。いや、ヤスにモウモクと言うかっこいい言葉は似合わないような。アイマスク、かな。
    『悠斗くん』
    『あぁ、静香ちゃん』

    2007-06-19 14:27:00
  • 35:

    名無しさん

    『・・ヤス、は?』
    『勝手に帰った。俺ひとりぼっちだし。てか静香ちゃんが男とイチャイチャしてるからだぞ、あれは彼氏?』
    『そぉ・・・』
    返事になってないぞ、静香ちゃん。

    2007-06-19 14:30:00
  • 36:

    名無しさん

    『俺、帰るからチェックしといて』
    『ねぇ、悠斗くん。勝負しない?』
    静香ちゃん。酔っぱらっててまったく俺の話を聞かないんだ。ま、いっか。
    俺と静香ちゃんはビリヤードで勝負することになった。

    2007-06-19 14:32:00
  • 37:

    名無しさん

    いや、聞いてないよ!静香ちゃんの手にはテキーラ。ボトルで一本。
    『これ、負けるごとに飲むの』
    静香ちゃん。俺、ビリヤードは強いが酒はあんまり強くない。ここは負けられないよな。

    2007-06-19 14:36:00
  • 38:

    名無しさん

    ビリヤード勝負をしだして分かったこと。静香ちゃんがビリヤードがうまいこと。そして俺が酔っぱらってること。そして楽しい。
    午前3時、とっくに店は閉店で俺はまだ静香ちゃんとビリヤードをしていた。テキーラのボトルはもぅ4分の1。

    2007-06-19 14:41:00
  • 39:

    名無しさん

    『あぁ〜!楽しい。悠斗くん超おもしろいんだもん。ヤスなんてビリヤードもできないから』
    『静香ちゃんぐらいうまいと男は誰もやりたがらないよ!』
    お店の有線からはダイアナキングの歌が流れる。静香ちゃんはいきなりビリヤード台に立ち、キューをマイクに¨I'm still in love¨を歌う。
    俺はイスに座り、それを見ていた。少し黒い肌、むっちりした太股、締まった足首にはラスタカラーのアンクレット。ショートパンツが良く似合う。

    2007-06-19 14:51:00
  • 40:

    名無しさん

    パーマのかかった黒髪、厚めの唇からは・・声が出なくなるほどの綺麗な歌声。
    『どぅ?』
    『・・・すごい。その歌はどこで?』
    静香ちゃんは歌が好きでたまにクラブで唄っているのだと言う。いつかはNYに行きたいと夢を語る彼女はとても綺麗だった。
    『俺、静香ちゃんみたいな美貌があって、さらにそんなに歌の才能があるなら今すぐNYに行くな』

    2007-06-19 14:56:00
  • 41:

    名無しさん

    『簡単に言わないで!いろいろあるのよ』
    ダメだ、ダメだと思っていたのだが・・静香ちゃんを抱き締めたくなった。親友の元彼女を。
    『悠斗くん?』
    『ごめん、でもこのままで。静香ちゃんが素敵すぎたから』

    2007-06-19 14:59:00
  • 42:

    名無しさん

    おやすみ、ハニー。今日はなんだか酔っ払ってたみたいだ。ちゃんと家で寝ることにするよ。
    ◆◆◆◆

    2007-06-19 15:04:00
  • 43:

    名無しさん

    頭痛ぇ・・・
    最悪の目覚めに最悪の声。
    『悠斗!!!』
    無視してみた。が、何度も呼ぶ。
    ヤスだ。

    2007-06-19 15:06:00
  • 44:

    名無しさん

    『悠斗!悠斗!おい、悠斗!』
    ・・・・
    『ど、どうした?』
    『さっきから呼んでんのに。お前、彼女に何した?静香に何したんだ?』

    2007-06-19 15:08:00
  • 45:

    名無しさん

    仕事場に着いて早速来るとは。なぜバレたんだ?
    『何って、昨日はビリヤードを・・』
    『嘘だ。その他は?』
    正直に話すべきか?めんどくさい事は避けたかったが、静香ちゃんのことは俺の不注意で・・
    『ヤス、落ち着いて聞いてくれ』

    2007-06-19 15:12:00
  • 46:

    名無しさん

    『マジで、何したんだよ?』
    『・・・・・ん、と』
    『昨日夜中に彼女が来て、やり直さないかってさ!』
    へ?

    2007-06-19 15:14:00
  • 47:

    名無しさん

    とりあえずはバレそうになくて安心したが、また俺は失敗。いや、大、大、大・・・大大大大失敗をしていた。

    2007-06-19 15:20:00
  • 48:

    名無しさん

    今日は土曜日。梨佳の家に泊まるつもりだった。夕方に仕事を終えてめずらしく真っ直ぐ梨佳の家に行く。きっとおいしい食事を作って待っててくれてるはずだから、お昼を少し控え目にした。
    そうだ、たまには隆にお土産を買って行こう。

    2007-06-19 18:13:00
  • 49:

    名無しさん

    『梨佳?』
    部屋からするはずのいい匂いが無かった。
    『いらっしゃい。悠斗、ちょっといい?』
    『とりあえず腹ペコだよ、あれ?隆は?』
    『今日は実家』

    2007-06-19 18:15:00
  • 50:

    名無しさん

    『そっか。お土産買ってきたんだけどな〜また渡しといてよ。梨佳、今日は泊まるから。明日までゆっくり・・』
    キスをしようとした俺を梨佳は止めた。こんなの初めてで正直びっくりしたんだ。
    『これ、なに?』
    そしてもっとビックリしたんだ。梨佳の手には・・・赤いTバックのパンティー。俺はそれに見覚えがあった。

    2007-06-19 18:19:00
  • 51:

    名無しさん

    『ねぇ、これなに?』
    つい最近香織さんと会った後、梨佳の家に来たのを覚えてるかな?梨佳がシチューを温めてる時、冷や汗が出たんだ。スーツのポケットに手をやると、中には赤い下着。香織さんのちょっとした悪戯だった。他の女がいることを知っててのことだと思う。

    2007-06-19 18:24:00
  • 52:

    名無しさん

    俺は俺らしくなく、焦った。赤いパンティーを持って冷や汗をかいてる俺のところにキッチンから梨佳が覗いて『杏仁豆腐もあるけど食べる?』なんて聞くから。俺は最大のミスをしたんだ。テーブルの近くのゴミ箱にその赤いのを捨ててしまった。
    それを隆が遊んでた時にゴミ箱を倒して・・まぁそれは俺の想像。今となっては見つけた状況なんてどうでもいい。この今の状況の悪さを何とかしないと。

    2007-06-19 18:28:00
  • 53:

    名無しさん

    『梨佳!それは・・・』
    『言い訳なんていいわ!』
    いつも穏やかな梨佳。今日は暴れるつもりで隆を実家に預けたのか。でも俺は梨佳を丸め込む自信はあったのだが。
    『聞いてくれよ、梨佳。俺は・・・』

    2007-06-19 18:31:00
  • 54:

    名無しさん

    『帰って!顔も見たくない!』
    まただ。また梨佳の叫びが俺の言葉を遮った。こういう時、素直に帰るもんなんだ。以外とあっさり帰ると、女は寂しくなってまた連絡をしてくる。
    『分かった。もうここには来ない』
    俺は別れをリアルにするため、合鍵をテーブルに置いた。梨佳は怒りの中から少し寂しそうな顔をしたのを俺は見逃さない。

    2007-06-19 18:34:00
  • 55:

    名無しさん

    玄関からリビングで泣いてる梨佳にとどめの一言を言おうと少し扉を開けたままで梨佳を見た。
    『梨佳、俺は梨佳のこと・・・』
    また遮られた。今度は言葉じゃなく、お皿に。お皿は玄関扉に当たり、パリーンと音を立てて割れた。割れたってか粉ごな。
    おぉ!怖。

    2007-06-19 18:39:00
  • 56:

    名無しさん

    まぁまた連絡をしてくるだろうから素直に帰った。あのまま居たら手足切断されて永遠面倒見るよ、なんて言われそう。
    俺はベスパを走らせる。まったく、予定が狂っちまったな〜なんて思いながら今日会えそうな女は誰かと考える。

    2007-06-19 18:42:00
  • 57:

    名無しさん

    やべぇ。神様。運命って本当にあるんだな。俺は柄にもなく思った。女神が俺の目の前で手をあげているんだ。
    『ねぇ、そこのバイク!ちょっと!待って!』
    少し大きなカバンを持って手を挙げてる女。俺はって言うと、もちろん止まるさ!急ブレーキだ!
    『どうしたの?』

    2007-06-19 18:46:00
  • 58:

    名無しさん

    『どうしたの?』
    『ナンパだよ』
    あぁ、神様。女神様。ありがとう。
    そうして出会った俺の女神。スタイルは抜群、顔はハーフばりで綺麗、言うこと無し!服もセクシー。街を歩けば誰もが振り返るような。いや、ほんとに。さらにセックスがすごいもんで五重丸。

    2007-06-19 18:49:00
  • 59:

    名無しさん

    俺はその女神、渚にハマッた。渚といてとても楽しい。すごく良く笑う女の子で何にでも興味津々、ベスパの二人乗りもすごく楽しい。俺は他の女に言ったことのない言葉を口にしてしまった。『俺んちで一緒に住まないか?』渚は行くところも無かったようでひどく喜んで全身にキスをしてきた。

    2007-06-19 18:54:00
  • 60:

    名無しさん

    その同棲生活も長くは続かないだろうと思ったのは一緒に住んで2週間ぐらいした頃。
    目が覚めた俺の横には渚が居なかった。
    『渚?』
    居た。リビングに。泣いていたんだ。それから渚は3日間ソファの上から動かず泣いてる。

    2007-06-19 18:57:00
  • 61:

    名無しさん

    初めの1日目は渚を気遣って仕事を休んだりしたが、俺の言葉に何も反応しないもんで2日目からは放っておいた。
    4日目、仕事から帰ると部屋が綺麗に掃除されており、カレーのいい臭いがした。そして笑顔の渚。
    『おかえり、悠斗!早かったね。ごはんできてるから食べよぅ』
    まるで別人。ううん、別人だよな。

    2007-06-19 19:02:00
  • 62:

    名無しさん

    渚はそううつ病と言う病気らしい。楽しい時の渚はとてもかわいい。かわいいが・・たまにネジが外れてるんじゃないかって本気で心配になる。
    俺のベスパはそれの犠牲になったんだ。
    夜中、急にバイクに乗りたいと出て行く。スピードの出しすぎで転倒。渚はすり傷だけだが、転がったベスパはダンプにひかれて死亡。

    2007-06-19 19:08:00
  • 63:

    名無しさん

    俺が渚をひっぱたいたせいで、また記録更新の7日ソファ。
    女神像をさ、よく見たことある?遠くで見ると綺麗で、近くで見ると、雨の痕で黄色かったり、細かいヒビ割れだらけなんだ。

    2007-06-19 19:18:00
  • 64:

    ◆◆◆◆

    2007-06-23 02:49:00
  • 65:

    『久しぶり。ちょっと出て来られる?』

    静香ちゃんからだった。ここから俺の大失敗の話。
    『あぁ、大丈夫。そこなら10分で着く。うん』
    静香ちゃんとはヤスとやり直してから会っていなかった。まぁ、うちの女神がどこへも遊びに行かせてくれないってのもある。

    2007-06-23 02:52:00
  • 66:

    『元気してた?静香ちゃん。少し痩せたね』
    『そうなの。ここ最近いろいろあって。あのね・・・』
    俺としたことが。何も言えなかった。
    『悠斗くん、私・・妊娠したの』

    2007-06-23 02:56:00
  • 67:

    『・・・・』マジかよ。
    セーフティーセックス!ストップAIDS!!
    俺は面倒な事が嫌いだ。だから必ずコンドームはする。だけどあの時、酒が入っていたのと場所がビリヤード台の上だったことで、まぁいっか!なんてやっちまった事だ。
    さらに静香ちゃんは続ける。

    2007-06-23 03:00:00
  • 68:

    『だから私とヤスは体の関係は無いの。ヤスは今、通院しながら治してる段階なの。だからこのお腹の子供は悠斗くんの子なの』
    ヤスがED?そんな話聞いたこと・・あ、言うわけないか。恥ずかしいよな、そりゃ。俺が悶々としてる間、静香ちゃんは続ける。
    『ヤスに言えるわけないし、ヤスを大事にしたい。音楽も続けたいの。だから・・』

    2007-06-23 03:08:00
  • 69:

    静香ちゃんはその足で産婦人科まで行った。お金を払うと言ったのにそれも拒否、病院まで付き添うのもいらないと言った。
    『私にも責任があるわ。悪いけど、一人にして』
    静香ちゃんは立ち去った。

    2007-06-23 03:12:00
  • 70:

    俺がその後なにを考えてたと思う?自分でも良く分からなくて、でも酷く後悔をしてた。いつもならかっこいい一言が言えるのに・・
    静香ちゃんにもヤスにも申し訳ない。
    静香ちゃんと話をしていた喫茶店を出ると、懐かしい女に会った。
    『梨佳?』

    2007-06-23 03:17:00
  • 71:

    『悠斗!久しぶり!』
    梨佳とはTバック事件以来会っていなかった。俺は久しぶりに梨佳の声を聞いてものすごく安心した。俺には、梨佳なのかな。いつも変わらない愛をくれる穏やかな梨佳。今、抱き締めたい。もう離さないでいたいような気持ち。
    『あ・・俺・・梨佳と・・』

    2007-06-23 03:21:00
  • 72:

    『梨佳?この人は?友達?』
    横から俺より少し大きい男が聞いてきた。
    『悠斗。紹介するね・・彼氏の前園さん』
    『よろしく!』

    2007-06-23 03:25:00
  • 73:

    あっ。そうか、梨佳の新しい男か。
    『・・よろしく・・じゃぁ・・俺、そろそろ行くよ・・デート・・楽しんで・・じゃぁね、じゃぁ・・』動揺してた。
    梨佳が何かを言いかけて、止めた。
    『た、隆に・・よろしく。あっ、でもやっぱり・・いいや!じゃぁね』

    2007-06-23 03:29:00
  • 74:

    そういや離れてから1度も連絡来てなかったんだよな・・
    俺はいろんな事が一気にありすぎて疲れきっていた。なのに渚は休ませてくれないんだ。

    2007-06-23 03:31:00
  • 75:

    何言ってんだ、この女。
    部屋の中に入ると半分ぐらい仕上がってたブルーの壁。てか賃貸だってば・・
    このブルーの効果で気持ちが落ち着くわけない。
    『ちょっと出て来る・・』
    『えっ?悠斗・・』

    2007-08-06 05:17:00
  • 76:

    『もしもし。美智子さん?今日です。そう・・はい、じゃぁ後で』
    俺は家を出たあと、仕事場で知り合った美智子さんと会うことにした。美智子さんは37歳のアパレル会社社長。今だ未婚でキャリアウーマンでバリバリ働いている。これが本物のいい女なのかもね。
    『悠斗くん!乗って』
    待ち合わせの場所に行く途中、美智子さんの真っ赤なベンツに乗せられた。
    『どこに行くんですか?』

    2007-08-06 05:23:00
  • 77:

    『今度、パーティーがあるからそれ用で悠斗くんにドレス選んでもらいたいの』
    おっと。これは腕の見せどころだ!アパレル会社社長に試されてるみたいだ。これは今夜、食事で終わるか、家に呼ばれるか決まるな。
    店に入ると桁違いの値札にめちゃめちゃ驚いた。すげぇ、セレブって。
    『さぁ悠斗くん、どれがいいかしら』
    『美智子さんはどれがいいと思う?』

    2007-08-06 05:29:00
  • 78:

    期待した言葉は食事が終わった後、車の中で言われた。
    『今日、家寄って行かない?』
    待ってた!俺は行きます、と即答した。家には帰りたくない。今渚と会うと冷静に話をできない気がした。
    『また飲みなおそうね』
    美智子さんと仕事の話や趣味の話をしながら、目一杯背伸びをした。釣り合わない、ガキなんて思われたくなくて。

    2007-08-06 20:49:00
  • 79:

    『すごく楽しいわ。ねぇ、もっと楽しくならない?』
    美智子さんの家にはバーカウンターがある。もう売っていない違法のお酒、危ない方のアブサンを出してくれた。

    ん!まずい!なんだこれ。美智子さんはカクテルグラスでグイッと飲み干す。俺も慌てて飲んだよ。30分もしないうちに頭はグルグル。

    2007-08-06 20:55:00
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