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足りないパズル

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  • 1:


    2002年6月−ちょうど今から5年前、
    「ふぅちゃん二十歳おめでとぉー」とたくさんの人に祝福されてアタシは17歳をむかえた。

    2007-06-14 18:19:00
  • 2:

    6月の梅雨どきに生まれたアタシの名前はふゆ。
    女手1つで育ててくれた母はアタシが15歳の時にいきなりいなくなった。
    しょうがないから働こうと思ってラウンジで働きだした。もちろん15歳だと雇ってくれないので、18だと嘘をついた。
    幸いふけ顔だったのでダレもアタシを疑う事なく受け入れてくれた。
    短気で気遣いがまったくできないアタシは水商売にはむいてない。だけど3つ離れた妹を養うには水商売しかなかった。

    2007-06-14 19:16:00
  • 3:

    働きだして3ヵ月ほどでそれなりに接客もできるようになってきて、アタシに会いに来てくれるお客さんもいた。
    仕事だとわかっていても、触ってくる客や酔っ払いのわけわからん客には容赦なくキレたりした。そんなアタシはむかつく事があると何故かゴルフの打ちっぱなしに行った。
    妹と2人で住んでるマンションから打ちっぱなし場までは原付で5分もかからないので、わりと楽にストレス発散する事ができた。
    話を戻して17歳のバースデイ。テンションあがった客にシャンパンをぶっかけられた。

    2007-06-14 19:29:00
  • 4:

    『つめ…っ、なにすんのよ!!』
    すると客は「えーやんけ、誕生日やねんから!雨やしわからへんやろ〜」と笑った。無性に腹が立ったけど、せっかくの誕生日を台無しにしたくなかったから笑ってすませた。
    その日家に帰ったのは朝の4時。ドアをあけた瞬間「パ〜ン!」とひも状の物たちがアタシの頭にふってきた。
    「ふーチャンおめでとお!」なんと14歳の妹がこんな時間まで起きてアタシを待っててくれたのだ。そんな妹がかわいらしくてアタシは妹を抱きしめた。
    「…くさっ!酒くさ!」と言いアタシから離れて部屋に戻った妹を見て、シャンパンぶっかけ野郎にまたまたムカついた。

    2007-06-14 19:41:00
  • 5:

    シャワーを浴びながら
    とりあえず明日起きたら打ちっぱなし行こうと決め、その日は寝た。
    昼過ぎに目がさめ、二日酔いで吐いた。リビングに水をのみに行くとプレゼントらしき物がテーブルに置いてあった。開けて見ると、シャネルのピアスとネックレスだった。14歳の妹からシャネルをもらうなんて予想してなかったアタシは、びっくりして妹にメールを送った。
    ?『ありがとう。姉さん嬉しいわ!お金どないしたんや?』
    ?「お小遣いためてた」アタシは妹に月5000円のお小遣いをあげていた。

    2007-06-14 19:47:00
  • 6:

    今よく考えたらおかしな話だが、当時のアタシは単純に納得した。
    ルンルン気分でもらったピアスとネックレスを身にまとい、クラブを持って家を出た。打ちっぱなし場につき、いつもの2階のはしっこに行くとすでに人がいてた。
    仕方ないのでその人のとなりで打つ事にした。
    ゴルフの経験がまったくないアタシは空振りばっかりなのでちょっと照れた。
    となりのお兄さんがすごいうまかったので負けじと頑張ってみた。

    2007-06-14 19:59:00
  • 7:

    何度目かの空振りで、お兄さんが話しかけてきた。
    「自分そんな打ち方しとったら腰いためんで!」
    と言ってアタシのところまで来てクラブの持ち方などを教えてくれた。何分か経って、疲れたから休憩しようとベンチにすわり、お兄さんが買ってくれたコーヒーを飲んだ。
    これが彼との出会い。後に大切な人になるこの人の名前は光輝。アタシより10歳年上の27歳だ。

    2007-06-14 20:33:00
  • 8:

    他愛ない話を30分ほどして帰った。
    帰りにスーパーによってから家に帰って晩御飯を作って、仕事の準備をした。
    妹がまだ帰ってこない。学校おわってどこか遊びに行ってるのかな?
    (ちんして食べや)と置き手紙をおいて仕事に行った。
    昨日のシャンパン野郎が謝りに来たので許して一緒に楽しく飲んだ。

    2007-06-14 21:18:00
  • 9:

    それから1ヵ月程は何もなく楽しい日々を過ごしていた。
    妹とは最近あまり顔を合わせていない。メールと置き手紙のやりとりだけで、少し気になったがあまり干渉する事はなかった。
    もう少し早く妹の異変に気づいてあげれてたら、あの子はまた違う人生を歩めたかなぁと今になって思う。
    穏やかな日々が続き、7月も半分を過ぎ毎日暑い日が続いた。

    2007-06-14 22:33:00
  • 10:

    『おはようございまーす』出勤するとすでにお客さんが入ってたみたいで店内から笑い声が聞こえてきた。ささっと更衣室で香水をふり、お客さんの元へ。
    ボックス席に3人のお客さんが座っていた。適当に座り、『ふゆでーす』と挨拶をしてハッとした。
    「お!打ちっぱなしの子やん」なんとまぁこんな偶然が…。
    それからまぁなんやかんやと皆さん楽しく飲みまして、電話番号を交換しちゃいました。

    2007-06-15 02:08:00
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