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白い世界。
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1:
◆ANxww3E//2
真実――?
偽り――…?
もう、この際どっちでも 良かった。 君が笑ってくれるなら。 全て捨てれる気がした。
生きていけると思った。2007-04-06 09:33:00 -
2:
◆ANxww3E//2
2007-04-06 09:33:00 -
3:
◆ANxww3E//2
「愛してる。…俺と一緒に生きていこう。」
一瞬の出来事だった。そう告げた彼の冷たい唇が、あたしの唇を塞ぐ―。思考回路は朦朧としていた。 ただ、目の前にいるこの人が愛しくて。愛しくて。
周りとか、世間体とか、そんなくだらないモノどうでもいいと思った。彼がいれば生きていける。
あたしにはもう、失うものなんて一つもない―…。2007-04-06 09:44:00 -
4:
◆ANxww3E//2
"このままあたしは、どうなってしまうんだろう" そんな不安さえ、今はどこかへ消え去ってしまった。
一度離れた唇を、今度は自分から近付ける。彼は、あたしの首に手を回しゆっくりとそれを受け入れる。
「果穂、返事は…?」2007-04-06 09:51:00 -
5:
◆ANxww3E//2
不安そうに呟く彼を見て、込み上げる何かを必死で胸の奥に閉まった。
『愛してる…あたしも。』
結露した窓は、外の景色を消してしまうくらい真っ白で、この世界にはあたし達二人だけしか存在していない気さえした。
真っ白な… それは"奇跡"のような―…2007-04-06 10:00:00 -
6:
◆ANxww3E//2
「初めまして。代表の片瀬です。ヨロシク。」 某年、8月。――彼とあたしは出会った。
『…果穂です。ヨロシクお願いします。』 たまたま友人に紹介されたお店で、"代表"として挨拶をしてきた彼の名は
━片瀬 栄侍(カタセエイジ)━2007-04-06 10:39:00 -
7:
◆ANxww3E//2
「何かあったら、何でも聞いて。一緒に頑張っていこうな。」
キリッとした表情から一転し笑った時に、少し垂れる目元が印象的だった。
まぁ、…適当に頑張ったらいいだろう。あたしは、実家暮しのフリーター。生活面で金銭的に困る事はなかったし、洋服代や化粧品代、遊ぶお金になる小遣い稼ぎ程度に夜の仕事をするつもりだった。2007-04-06 11:20:00 -
8:
◆ANxww3E//2
甘く考えすぎていたのかも知れない。あの頃のあたしは、全てにおいて。 夜の世界に、無知だった。
入店して一ヶ月が経つ頃、だんだんと店にも仕事にも慣れてきた。もともと負けず嫌いの性格だったせいか"他の子に負けたくない―"そんな意地やプライドを、持つようになった。
「今月からやのに頑張ってるなー。期待の星やな。」指名を多く取れた日は、代表が褒めてくれた。自然と笑顔になる自分がいた。2007-04-06 11:28:00 -
9:
◆ANxww3E//2
だんだんと、この仕事にハマっていくのが分かった。自分を目当てに来てくれるお客様が、いる。シャンパンや、ブランド物のプレゼント。大金を落としてまであたしを喜ばそうとしてくれるお客様が―、いる。
あたしは、より一層努力するようになった。苦手だったメールもマメに返信し、口説き文句も、下心見え見えの誘いも、うろたえず交わせるようになった。
それに比例するように、見た目は派手になり…指名本数もどんどんと上がっていく。2007-04-06 11:41:00 -
10:
◆ANxww3E//2
「…新人のくせに。」 「どこが可愛いん?」 「ろくな接客も出来ないくせに。」 この世界で、知ったこと。女のプライド、陰口、嫉妬は想像以上に恐ろしいということ。
「果穂、気にすんな。お前はお前のペースで頑張ったらいいから。」 代表が、声をかけてくる。『…気にしてないですよ。ありがとうございます。』
腹が立たないわけじゃ―‥なかったけど、そんなことよりも今は仕事が楽しくて。やっと、"夢中になれるモノを見つけた"、フラフラと適当なバイト生活をしてきたあたしには、そんな感じだった。2007-04-09 17:12:00