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705

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  • 1:

    ◆PDr/gY//aU


    あたし何でこんなつまんない毎日を送ってるんだろ―――――何でここに居るのかわからない。

    こんなはずじゃなかったのに・・・・・・・・

    2007-03-31 12:13:00
  • 2:

    ◆PDr/gY//aU

    『明日遊び行こ?』
    「ん〜・・・・起きれたらね!」


    付き合って3年。同棲して1年半ともなれば休日前の誘いも意図も簡単に流される。

    2007-03-31 12:16:00
  • 3:

    ◆PDr/gY//aU

    昔はね〜・・・なんて切なく過去を語るのもなんだが、それなりにいい彼氏だった。
    いつも新鮮さと笑顔がそこにはあった。時間の流れさえ惜しく感じたりもしたくらいに。
    ただ、馴れ合いと歳月が2人の関係をくだらないものにしてしまっただけ。

    問題は・・・・・何もない。

    2007-03-31 12:21:00
  • 4:

    ◆PDr/gY//aU

    何もないんだけど、かと言って楽しみもない。

    なのになんであたしはここにいるんだろう。

    1LDKの光り輝いていた2人のお城・・・・・・時が流れた今では1人ぽっちの犬小屋にさえ感じてしまう。

    2007-03-31 12:25:00
  • 5:

    ◆PDr/gY//aU

    朝7時にアラームで目を覚ます。軽めな朝食とお弁当の準備にとりかかり、7時半、マキを起こす。
    ダラダラと動きの遅いマキを急かし8時15分、玄関で見慣れたスーツ姿の背中を見送る。

    玄関のロックをした瞬間からあたしのくだらない時間は始まる。

    2007-03-31 12:32:00
  • 6:

    ◆PDr/gY//aU

    早くて20時、遅くて24時までの間あたしはひたすら暇を持て余す。

    同棲したての頃は夜働いてたし午前中の内に掃除や洗濯、晩御飯の下準備なんかをバカみたいにウキウキしながらやってたのに・・・・・

    今ではメニューを考えるコトにもめんどくささまで感じてしまうくらいだ。

    2007-03-31 12:37:00
  • 7:

    ◆PDr/gY//aU

    『これ本見て初めて作ったやつ!食べてみて☆』
    「・・・・ぁ、うまい。」

    え?それだけ??昔は誉めてくれたのに・・・・・言わなくても気づいてくれたのに・・・・・
    ――――――なんて卑屈なコトももう思わなくもなった。それが当たり前なんだって言い聞かせる。

    2007-03-31 12:41:00
  • 8:

    ◆PDr/gY//aU

    いつドコで何を間違ったのか・・・・・
    3年前のあたし達には今の2人を想像することなんて微塵もなかった。
    思い描く未来はいつも笑顔が絶えない明るい空間。決してよくばって特別なんて求めていない・・・・
    ―――何を間違った??
    1年半前のあたし達もまた、こんな生活を予想もしていなかった。予想していたらまず同棲なんてしていないだろう。

    2007-03-31 12:45:00
  • 9:

    ◆PDr/gY//aU

    “あたしに悪いところがあるからこうなったんじゃないか?”
    ――そう思って改善すべきところを探す。
    もっと料理のレパートリーを増やそう!もっと綺麗になろう!ダイエットもして、カラーもいつものやめて変えてみよう!
    新しいカーテンに変えてクロスも変えて・・・・・・
    なんて真剣に悩んで悩んであたしなりの最善をつくした。

    2007-03-31 12:51:00
  • 10:

    ◆PDr/gY//aU

    マキの反応はこうだった。

    「カーテン変えた??」

    気づいたのはそれだけ。

    2007-03-31 12:53:00
  • 11:

    ◆PDr/gY//aU

    これ以上今の生活が続くのが不安になったあたしは、マキに、仕事しよかな〜って言ってみた。
    「食っていけてるし貯金にも手つけてないじゃん。ゆっくりしとき。」
    それがマキの返答。

    マキなりの優しさ。わかってるけど・・・・昔みたいにかまってほしい。

    2007-03-31 13:01:00
  • 12:

    ◆PDr/gY//aU

    食事を終えお風呂に入り、リビングにいるあたしになんの言葉もなくマキはそのまま寝室に行った。
    会話が少なくなったのはいつからだっけ?
    あたしから話し掛けないと言葉も交わしてくれなくなったのはいつからだっけ?

    そんなのに慣れてしまったのはいつから―――??

    2007-03-31 13:06:00
  • 13:

    ◆PDr/gY//aU

    ―――限界。
    あたしいなくていいじゃん。いらないじゃん。

    何でこんなに我慢してたんだろ。
    意味も出口もない我慢はもうしたくない。

    2007-03-31 13:08:00
  • 14:

    ◆PDr/gY//aU

    涙がこぼれそうになるのを必死で堪え、震える手で、アルバムを開く。

    2人笑って並んでる写真が当たり前に並んでるのに・・・・日付は1年前で止まってた。

    懐かしい3年前の写真の2人・・・・隣に並ぶことにすら恥ずかしがってる。

    2007-03-31 13:15:00
  • 15:

    ◆PDr/gY//aU

    「真樹誰かに告白したことある?」『あるよぉ』
    「ソノ男と付き合えた?」『一応。すぐフラレたケド』
    「何て告白したん?!」『え〜・・・・普通に付き合ってって言ったかなぁ』

    出逢って1年経ったある日の2人の会話。何、中学生みたいなこと言ってるんだ?って不思議に思ったのを覚えてる。

    2007-03-31 13:27:00
  • 16:

    ◆PDr/gY//aU

    「じゃ、俺も普通に!
    俺と付き合って下さい」―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――もちろんあたしの答えはイエスで、2人で照れ笑いしたね。


    あの日からもう3年。あたしはマキを好きだけど、昔のマキが好きなだけ・・・・

    2007-03-31 13:30:00
  • 17:

    ◆PDr/gY//aU

    堪えきれず溢れてしまった涙を拭って寝室のベットに滑り込む。
    マキはまだ起きてるけど何も言ってこない。


    『・・・・・・・・マキ?』

    2007-03-31 13:32:00
  • 18:

    ◆PDr/gY//aU

    「ん?」
    『・・・あたしのこと・・・もぉ好きじゃなくなった?必要ない?』
    「は?!いきなり何?何かあった?んなことあるわけないじゃん」
    ―――自分から聞いたのに“好きじゃなくなった?”の言葉の重さに涙が溢れた。――――
    重要なのはその質問の答えじゃなくて、それを口にして聞かなければならなくなった2人の今の関係。

    2007-03-31 13:38:00
  • 19:

    ◆PDr/gY//aU

    「え?泣いてんの?!どぉしたん?何かあった?泣いてたらわからんて」
    優しい声で頭をなでてくれるマキ。いつぶりだろうか?こんなに優しく声をかけられたのは。

    決壊した心の扉から溢れるキモチは止まらなくなってしまった。

    2007-03-31 13:46:00
  • 20:

    ◆PDr/gY//aU

    うまく息が出来ない。伝えたいことはいっぱいあるのに・・・・・
    「真樹?何か思い詰めてた?何も気づかんくてごめんな?そんななるまで溜め込ませてごめんな?ただ、ちゃんと聞きたいからゆっくりでいいから理由教えて?」

    そぉだ・・・マキはこぉゆう優しい人だった。それは昔も今もやっぱり一緒で・・・・なのにうまく行かないのはやっぱりあたしのせい?

    2007-03-31 13:51:00
  • 21:

    考えれば考える程、答えに辿り着けない。
    子供の様に泣きながら、持ち合わせる限りの言葉を繋ぎ合わせ、思いを少しでも鮮明に伝え様と努力した。

    でも・・・・自分が維持できなくなるくらいのキモチも言葉にして発してみると陳腐なものだった―――" " "07/03/31 13:56

    2007-03-31 13:56:00
  • 22:

    ◆PDr/gY//aU

    何でかまってくれなくなったの?
    何で一緒にいても会話もないの?
    何で遊びにも連れて行ってくれないの?
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――何で今の生活を普通に過ごせるの・・・・・?

    2007-03-31 14:00:00
  • 23:

    ◆PDr/gY//aU

    マキにとってこの生活は普通なの?満足してるの?あたしには普通に思えなくてツライよ。マキは変わったね・・・・・

    そんなコトを伝えた。

    きっとマキにとっては、くだらなさすぎて、そんなコトで泣き喚くあたしを哀れんでいたに違いない。

    2007-03-31 14:04:00
  • 24:

    名無しさん

    おもろい?頑張って???

    2007-03-31 17:36:00
  • 25:

    ??

    うんッ?おもしろい?
    早く続き読みたい???

    2007-03-31 20:05:00
  • 26:

    ◆PDr/gY//aU

    *25*26*サン、ぁりがとぅござぃます??

    2007-03-31 22:25:00
  • 27:

    ◆PDr/gY//aU


    あたしの泣きじゃっくりと鼻をすする音だけが寝室の静寂を遮る。

    何も言わないマキ。
    これ以上コトバにできない臆病なあたし。

    2007-03-31 22:27:00
  • 28:

    ◆PDr/gY//aU

    あたしの涙腺が落ち着きを取り戻した頃、マキはそっと話始めた。
    「ごめんな?俺、真樹がそんなん思ってるって知らんくて・・・・・・・俺は真樹が好きだし別れたくない。・・・・・一緒に住んでから、デートとか会話とかあんま前程大事にできてなかったな俺。真樹が何も言わないってことは俺と同じ気持ちって勝手に思ってた。」

    2007-03-31 22:37:00
  • 29:

    ◆PDr/gY//aU

    確かにハッキリ言葉にして伝えられなかったあたしも悪い。
    けど、価値観の違いってやつで――――――――時間と場所さえ共有していれば問題ないと思ってきたマキ。
    中身のないうすっぺらな時間と場所を共有することに何も意味はない、ツラィとさえ思い始めたあたし。

    マキが間違ってるんじゃない。あたしが正しいわけでもない。

    2007-03-31 22:44:00
  • 30:

    ◆PDr/gY//aU

    2人の価値観の違いを補うにはどぉすればいい?何を頑張ればいい?

    3年も付き合ってるのにわからない。

    もぉずっとあたしの生活の大半をマキが占めてるのに・・・・・・いつからか出口を探し逃げ惑うあたしがいた。

    2007-03-31 22:47:00
  • 31:

    ◆PDr/gY//aU

    マキから逃げる?
    違う―――――――――あたしはマキから離れたくなくて必死だった。
    もっと自分を見てほしくて、愛されてるんだって感じたくて・・・・・

    この家に2人の幸せはあるんだって信じていたくて・・・・・・バカみたいに必死だった。

    2007-03-31 22:53:00
  • 32:

    ◆PDr/gY//aU

    明るい光の射す出口はどこにあるの?


    あたしが逃げていることはきっと“もぉ昔みたいに当たり前に笑い合ったりできないの?”って言う不安の波。
    それはあたしの持て余す、あまりにも滑稽な時間に、幾度と押し寄せては止まないでいるから・・・・・

    2007-03-31 23:01:00
  • 33:

    ◆PDr/gY//aU



    それでもあたしを救ってくれるのはマキしかいないって信じてる。

    ―――――幸せになりたい。ただそれだけ。

    2007-03-31 23:04:00
  • 34:

    ◆PDr/gY//aU

    「真樹?これからはもっと何でも言って?俺が言いづらくさせてたんだろうけど、俺、鈍感だし言ってくれた方が助かる!仲良くやってこ!
    ホンマにゴメンな。」

    マキはそぉ言って髪をなでてくれた。

    2007-03-31 23:09:00
  • 35:

    ◆PDr/gY//aU

    好きな人に素直な気持ちを言葉で伝えられないのはナゼだろう―――――――――――――――――――あたしは、好きな人にこそ、自分が言う前にわかってほしくて、うまく言葉にできない。

    “言わなくてもわかってほしい”―――――――なんてあたしのエゴだけど、言葉にすると醜いものになってしまう気がして怖くて・・・・・また1人不安の波に打たれてしまうんだ。

    2007-03-31 23:15:00
  • 36:

    ◆PDr/gY//aU

    例えば「ホンマにゴメンな」って言われたトキに伝えたかった『あたしもゴメンね。』だとか――――
    例えば無言で料理を口に運ぶマキを見て伝えたかった『おいしくなかった?』だとか―――――
    『カラー明るくしてみたんだけどどぉかな?』だとか―――――

    あたしの日常にはマキに伝えたかったコトバがいっぱいあったのに・・・・どれも宙を彷徨っては行き場をなくしていた。

    2007-03-31 23:27:00
  • 37:

    ◆PDr/gY//aU

    変えなきゃいけなかったのは、容姿でも料理の味でも、カーテンでもクロスでもなくて―――――

    現状を変えたいのに現状に怯えて何も言えなくなってしまったあたしの心だったんだ。

    マキだけが変わったんじゃなぃ。あたしも変わってしまったんだ。

    2007-03-31 23:30:00
  • 38:

    ◆PDr/gY//aU

    1人殻に閉じこもって、ひとりぽっちのお城で、自分を悲観視しては悲劇のヒロインにでもなったかのように被害者ぶって――――――――それでも離れたくなくて意味のない我慢と自分勝手な解釈で努力して・・・・・・それが受け入れられなければまた被害者ぶる・・・・・


    あたしはいつから
    こんな醜い人間になったのだろうか――――

    2007-03-31 23:35:00
  • 39:

    ◆PDr/gY//aU



    隣で眠ってしまったマキを見つめながら、自己嫌悪で涙が零れ落ちそうになった。

    マキのコト理解してるつもりだったのに・・・・何もわかってなかったのはあたしの方だったのかもしれない。

    2007-03-31 23:38:00
  • 40:

    ◆PDr/gY//aU

    昔に戻りたい――――
    その気持ちがあるから我慢できたんだから・・・・・これからは、また素の自分で歩み寄れるように頑張れるよ。

    その方がずっと簡単で恋人らしいじゃないか。
    そぉ自分を励まし、スッキリしたような腑に落ちないような複雑な気持ちで眠りについた。

    2007-04-02 02:49:00
  • 41:

    8455

    朝7時、いつもの様に目を覚まし、いつも通りに朝食とお弁当の準備に取り掛かる。

    いつもと違ったことと言えば、珍しくあたしが起こす前にマキが起きてきて笑顔で「おはよ」って言ってくれたこと。

    朝食をとりながら会話を探しては、持ちかけるマキ。なんだかよそよそしく流れる空気に戸惑った。

    2007-04-02 02:54:00
  • 42:

    ◆PDr/gY//aU

    でも何だか嬉しかった。

    昨日のコトを気にかけ、あたしを気遣ってくれるマキが、やっぱりあたしは好きで仕方ない。

    どぉしてもっと早くこんな簡単なコトができなかったんだろぅ。何にそんなに怯えていたのか・・・・・・

    2007-04-02 02:58:00
  • 43:

    ◆PDr/gY//aU

    今日から新しい生活の始まりと思って頑張ろぅ!!なんてことを思って、はりきって家事をこなしていった。


    この先に何が起こるかも知らずに。

    2007-04-02 03:05:00
  • 44:

    ◆PDr/gY//aU

    その日、マキはいつもの時間に帰って来て、2人で食卓を囲んだ。

    いつもと違って箸やスプーンの音だけじゃなく、そこには会話があった。

    「今、担当してるお客さん絶対決めたい!!イロイロ注文多いんだけどかなり額デカイから頑張るゎ!!」―――――マキはそう言って契約間近のお客さんの話をしてくれた。

    2007-04-02 03:11:00
  • 45:

    ◆PDr/gY//aU

    マキの仕事はマンションの売買。
    営業は向いてる。そぅ言って始めた仕事。マキは夜の仕事しかしたことがなかったからまさかこんなに続くとは思ってなくて、あたしとしてはかなり嬉しい。
    頑張る姿はやっぱりかっこいいし頼もしいものだ。

    「この契約とれたらお祝いかねて有給で旅行でも行こか!真樹に我慢ばっかさせてたし!」

    2007-04-02 03:15:00
  • 46:

    ◆PDr/gY//aU

    ・・・・・・・・・・―――――

    「え?!ちょ!真樹ぃ〜何で泣くかなあ〜!真樹泣きすぎな〜!」
    苦笑いで髪をなでてくれるマキ。
    ――――嬉しすぎて涙が出たのは初めてだった。

    2007-04-02 03:18:00
  • 47:

    ◆PDr/gY//aU

    「昨日も言ったけど、不満とかはすぐ言ってな。自分ばっか我慢しよぉとか思うなよ?俺も頑張って変わるから付いてきてな?」

    『・・・・アリガト!仕事の邪魔はしないから・・・・たまには遊んでね?』

    「うん。てか邪魔とか思ったコトないから。俺、同期とかに真樹のコト話したら、いっつも、いい彼女じゃん!って言われてたから調子のってたわ。ほんまゴメン!今からの俺を見てください。」

    2007-04-02 03:24:00
  • 48:

    ◆PDr/gY//aU

    テーブルに手をついて頭をペコっと下げたマキが可愛くて思わず笑ってしまった。

    顔を上げたマキもまた、そんなあたしを見て大好きな笑顔を見せてくれた。

    いつもの時間のいつもの2人の食卓なのに、気持ちが通じ合うだけでこんなにも違うんだ。

    2007-04-02 03:27:00
  • 49:

    ◆PDr/gY//aU



    また光を取り戻せるよね
    _

    2007-04-02 03:28:00
  • 50:

    名無しさん

    続き楽しみ(´ー`)

    2007-04-04 08:57:00
  • 51:

    ◆PDr/gY//aU

    52サンありがとぉ??

    2007-04-11 03:05:00
  • 52:

    ◆PDr/gY//aU





    一年半前、あたしとマキは全てに疲れ、全てを捨てて大阪の街に逃げるように足を踏み入れた。

    2007-04-11 03:08:00
  • 53:

    ◆PDr/gY//aU

    マキは歌舞伎町でホストをしていて、あたしは六本木のクラブで働いていた。
    よくある組み合わせだと思うだろう。
    まさにどこにでもあるありきたりなあたしたちの恋愛。

    ただ、あたしは2人で頑張ろぉだとか、同じ夜の仕事同士励まし合うだとか、そんな気さらさらなかった。

    2007-04-11 03:11:00
  • 54:

    ◆PDr/gY//aU

    ただ、マキと同じ位置に立ちたかった。

    あたしのちっぽけなプライドが邪魔をして、働いてるマキを見に行く事は1度もなかった。
    行ってみたいと何度も何度も思った。―――でも、キラキラ輝いてるマキを直視できる自信がなかった。
    ―――――――――――――――――――――――――――――マキの実績に対する嫉妬心が邪魔をして、頑張ってるマキを素直に応援することなんてできなかったコドモすぎたあたし。

    2007-04-11 03:18:00
  • 55:

    ◆PDr/gY//aU

    自分が上に上がれないことに焦りを感じ仕事がうまくいかなくなった。
    水商売初心者にクラブなんて無理だったんだ。―――そう自分に言い訳をし、もっともらしい逃げ道を用意して、あたしは3ヵ月たらずでクラブを辞めた。

    マキは辞めた理由について何も聞かず、ゆっくり休んで昼間働いたらいいよって言ってくれた。・・・・でもそれが“お前には無理だったんだよ。”って言われてる気がして悔しくて涙が流れそうになったあたしは、相当なひねくれ者なんだろうか・・・・

    2007-04-11 03:24:00
  • 56:

    ◆PDr/gY//aU

    クラブを辞めてすぐにキャバクラで働きだした。マキは嫌がったけど、あたしはどうしても同じ世界の同じ位置に立ってみたかった。



    お互いがむしゃらに働いていた二十歳の夏、キャバクラに移って1年が過ぎた。面白い程にグラフは伸びて行くのに、あたしは未だにNo.1と言う位置に立てずにいた。

    2007-04-11 03:28:00
  • 57:

    ◆PDr/gY//aU

    丁度その頃、マキが徐々におかしくなってきて・・・・自信に満ち溢れていたマキが、今にも崩れてしまいそうなくらい小さく感じていた。
    『マキ?もぉ、大丈夫じゃなくない?無理しすぎたんじゃん?―――辞めてよ。ホスト。』

    あたしの本音だった。
    マキが仕事に生き甲斐を感じていることも、そこで輝いていることも知っていた。・・・・それでも、今のマキを見ているとツラかった・・・ツラくて仕方なくて、あたしはマキを助けてあげたかった。

    2007-04-11 03:34:00
  • 58:

    ◆PDr/gY//aU

    もぉ頑張らなくていいんだよ?―――あたしはそう言うしかなかった。だって、何でマキがそこまで追い詰められてるのか・・・・どんなに聞いても絶対に教えてくれなくて、いつも“大丈夫”って、大丈夫じゃない笑顔で言うばかりだったから。

    何度、2人で夜上がろう。って言っても首を縦に振らなかったマキ。

    でもこの日初めてマキはあたしの言葉に賛同してくれた。

    2007-04-11 03:38:00
  • 59:

    ◆PDr/gY//aU

    あたし達はこの日から、お互いの店に指定したラストの日まで、コドモながらに必死だったね。
    特にあたしは、くだらない負けず嫌い根性で、最後くらいNo.1になってやる!って、その思いだけでがむしゃらになってた。

    最近のあたしはいつもいつも2番か3番。沢山いるキャストの中で、No.1は不動のNo.1で・・・・どんなに必死になってもその差は笑えるくらいに開いていた。

    2007-04-11 03:45:00
  • 60:

    ◆PDr/gY//aU

    仲良しの2番手争い仲間、碧にメイクルームで辞めることを伝えた。
    「マジで?!淋しくなる・・・・・・でも決めたなら仕方ないね!―――――真樹、最後華咲かせて終わるんだよ!!」

    碧はそぉ言って応援してくれた。
    やっぱり碧もイチバンになりたいよね?その気持ちはフロアにいるキャスト全てが持ち合わせているだろう。

    2007-04-11 03:51:00
  • 61:

    ◆PDr/gY//aU

    あたしのラストイベントは締め日に行われることになった。
    No.1の雅サンはイベント月じゃなかったし、もし借りにあたしがNo.1になれても、それは実力じゃない。――――それでも・・・・・・ずるくても、必死すぎてみっともなくても、あたしはなりたかったんだ。

    あの店のイチバンに。
    マキと対等な評価をさせるキャストに。

    2007-04-11 03:55:00
  • 62:

    ◆PDr/gY//aU

    少ない睡眠時間を削ってあたしとマキは毎日逢って、仕事辞めたらあれをしよう。これをしよう。って、あたり前の生活を夢物語のように胸をはずませて話したね。

    時間が経つのが嘘みたいに早く感じる、マキと共有する時間。

    ラストイベント2週間前にはマキはもう、仕事の話を避ける程に疲れきっていた。

    2007-04-11 04:02:00
  • 63:

    ◆PDr/gY//aU

    イベント1週間前。
    あたしは出張客やあまり頻繁に来店されないゲストを詰めて呼んでいた。中には辞めるまで毎日通うよって言って下さる方や、いつもの何倍も長くいて下さる方・・・・
    それだけであたしのモチベーションは上がって、最後の日を心待ちにしていたくらいだった。

    2007-04-11 04:06:00
  • 64:

    ◆PDr/gY//aU

    「真樹〜最後なんだからさぁ、真樹の彼氏教えてよ☆ホストでしょ?あたし口外したりしないから〜」
    碧が可愛らしい笑顔でねだってくるが、こればっかりは言えない。マキに口止めされたわけではないがあたしは、誰にもマキとの関係を言っていない。

    言わない理由が、マキの仕事に支障をきたすのが嫌だから。とかなら、出来た彼女なんだろう。

    2007-04-11 04:10:00
  • 65:

    ◆PDr/gY//aU

    イベント4日前。
    グラフを見ると毎月の平均指名数を超えていた。
    ――“頑張れ”
    小さく自分に呟く。

    「もぉそんなに行ったとかすごいじゃん!!あと一息!――――なれよ。No.1!」―――――――――――――――――――――――マキが言ってくれたその言葉、あの時の笑顔、嬉しくてよく思い出すよ。

    2007-04-11 04:20:00
  • 66:

    *8455

    「今日で最後だな。」『うん・・・・何か実感ないけど・・・緊張してきたかも。』
    「真樹が今までやってきたよーに今日も頑張ればいいよ。あんま飲みすぎんなよ!」『んー頑張るよ!終わったら電話するね☆』

    そんな会話をしながらゴハンを食べに行った後、

    2007-04-11 04:28:00
  • 67:

    ◆PDr/gY//aU

    「はい、これ。頑張った真樹にごほーび☆最後これつけて働いて☆」
    そぉ言ってあたしに付けてくれたのは、前から欲しいって言ってたネックレスだった。

    2007-04-11 04:33:00
  • 68:

    ◆PDr/gY//aU

    『ありがと!大事にするから!頑張るから!』
    「真樹ぃ〜出勤前から泣いてどぉすんの!笑
    セット連れて行ってあげる。化粧も直せよ!」

    あたしはあの日程、何かに必死に取り組めたことあったかな?

    2007-04-11 04:41:00
  • 69:

    ◆PDr/gY//aU

    セットが終わってマキのトコロに行くと車はナゼかラブホテル街へと入って行った。
    『え?!マキ?!ちょ、あたし同伴入ってるし!セット崩れるし!え?!』
    「いーから来いって。」

    有無を言わさずスタスタとあたしの手を引き中に入るマキ。

    2007-04-11 04:45:00
  • 70:

    ◆PDr/gY//aU

    部屋に入りいつもより長いキスで口を塞がれた。
    目が合い赤面するあたしに「真樹のエッチィ〜!何もしません!これ、着てよ。選ぶの超恥ずかしかったから!」
    差し出されたのは淡いピンク地の全面にキラキラと刺繍の施されたロングドレス。
    『・・・・・・・・・・・・・マキ・・・・・・・・・やること、キザすぎじゃない?』
    あたしの目からはまた涙が流れてしまった。

    2007-04-11 04:50:00
  • 71:

    ◆PDr/gY//aU

    「うるさいよ。笑
    それ着てNo.1になってこい。同伴何時から?あ、オレも店前ね☆」
    『あ、もぉ行かないと。って、何で店前?!マキ寝てないんじゃないの?いいよ!てか恥ずかしいよ!』
    「真樹が働いてるとこ見たいから☆はい、早く行く!客入れたら連絡して。」
    そぉ言って、ドレスを身に纏ったあたしの手を強引に引きホテルを後にした。

    2007-04-11 04:54:00
  • 72:

    名無しさん

    いい話しだね?
    頑張って書いて下さいね?

    2007-04-11 09:49:00
  • 73:

    名無しさん

    あげ??

    2007-04-11 21:05:00
  • 74:

    ◆PDr/gY//aU

    78サン、ぃぃ話だなんてァリガトゥござぃます???
    79サン、アゲてくれてァリガトゥゴザィマス??

    2007-04-12 04:28:00
  • 75:

    ◆PDr/gY//aU

    最後の日、同伴するよって言ってくれたゲストの中から、この人だ。って決めた人は、初めて本指名で来てくれた佐伯サン。
    何かと可愛がってくれて、あたしは佐伯サンの席が一番好きだった。


    マキと別れ、佐伯サンと合流し、彼のエスコートで割烹料理屋の前に着く。

    2007-04-12 04:33:00
  • 76:

    ◆PDr/gY//aU

    暖簾を片手に佐伯サンがチラっとあたしを見て、ふっと笑った。
    「ドレスで割烹料理ってのもなぁ〜」!!!『あ!そぉだよね!ごめんね?着物着ればよかった・・・・』「嘘うそ。それ下ろしたて?似合ってるよ。じゃあそのドレスに似合うとこに予定変更な。」

    そぉ言って彼は店主に予約キャンセルを告げ、別の行き着けのお店へと案内してくれた。

    2007-04-12 04:37:00
  • 77:

    ◆PDr/gY//aU

    着いたのはホテルのスカイラウンジ。仕事前と言うコトもありあっさり目なワインでグラスを重ね、出会いから今までの話で盛り上がった。
    「お前辞めたら淋しいな。また復活するときは連絡して?今日は潰れるなよ。」――笑顔で励まされ、あたしは初めて、仕事を辞めるコトに淋しさと切なさを感じた。

    『ありがとう。佐伯サンにはお世話になりっぱなしだったね。――これ。よかったら使って☆』

    2007-04-12 04:43:00
  • 78:

    ◆PDr/gY//aU

    あたしが差し出したのはエルメスのカフス。
    あたしの何倍もの収入がある彼からしたら安物で付けることもないだろうと思いながらも、何か形でお礼がしたくて選んだ物だった。
    リボンをほどき箱を開け、
    「俺には可愛いすぎない?でも嬉しいよ。ありがとう。」―――心の中ではいい気はしていなかったかもしれないが彼は優しい笑顔でそぉ言うと器用にカフスを着けて、お、今日のネクタイに合うな。なんて披露してくれた。

    2007-04-12 04:49:00
  • 79:

    ◆PDr/gY//aU

    佐伯サンだけじゃない。
    あたしを指名して下さるゲストはみんなこんな素敵な方ばかりだ。

    早くラストの日にならないかな。なんて昨日まで思ってたのに何だか少し気持ちが揺らいだ。

    2007-04-12 04:51:00
  • 80:

    ◆PDr/gY//aU

    「そろそろ行くか。主役が遅刻じゃ客が可哀想だからな。」『待ちくたびれるくらいにお客様が来てくれてたらいいけど!』


    お店に向かうタクシーの中、ネオン街を見つめながらナゼだか涙が零れ落ちそうになった。

    2007-04-12 04:54:00
  • 81:

    ◆PDr/gY//aU



    『じゃあ、ちょっとメイク直して来るね。』

    そぉ佐伯サンに告げあたしはメイクルームに入る。

    2007-04-12 04:56:00
  • 82:

    ◆PDr/gY//aU

    薄暗い店内をあまり見ないように急いだから、どれくらいゲストが入っているかわからなかった。
    と言うより、怖くて見たくなくて急いだんだ。

    今更かなり緊張してきて、ソファに座りこんでしまった。
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――どぉしよう・・・・・・・何か怖いよ・・・

    2007-04-12 05:00:00
  • 83:

    ◆PDr/gY//aU

    ――コンコン―――――――――――「真樹サン?もう出れますか?4組6名様お待ちです。」――――――――――――――――――――――――――――ヨカッタ・・・・・・・・・来てくれたんだ・・・。

    そのトキ、携帯の振動が着信を知らせた。

    >>>>>>>着信 マキ

    2007-04-12 05:03:00
  • 84:

    ◆PDr/gY//aU

    「もぉ入った?連絡してくれよな〜」『ゴメン!!!さっき入った。マキ本当に来る気?!』「ん。外いるから来て。」――プープープー・・・・・・・・・

    恥ずかしいし・・・・・

    とりあえずメイクを直し、ロッカールームに荷物を直し、マキを迎えに行った。

    2007-04-12 05:06:00
  • 85:

    ◆PDr/gY//aU

    「おっそぃよ!」『ゴメンゴメン!てか恥ずかしいからすぐ帰ってよ?』「はいはぁい〜」―――そんな会話をしながら店内に戻りあたしは順に接客をこなした。
    ケーキや花束、プレゼントなんかを用意してくれてて、あたしはふと思ったんだ。


    “こんなに沢山の人に必要とされること、後にも先にもないだろうな”って。

    2007-04-12 05:09:00
  • 86:

    ◆PDr/gY//aU

    ゲストは目的はそれぞれ違えど、お気に入りの子を探しに来てる。たまたまあたしを選んでくれただけで、あたしが去ればまた違う子を探す。
    そんなことの繰り返しの世界だけど。ただこの日だけは、あたしは必要とされてたんだって自惚れてみたりした。


    ゲストがいるから今日まであたしがキャバクラ嬢として成り立ってきたんだ。

    2007-04-12 05:14:00
  • 87:

    名無しさん

    めっちゃおもろい???今一番好きな小説??????

    2007-04-12 17:21:00
  • 88:

    さくら

    読んでます?頑張って下さい?

    2007-04-15 02:13:00
  • 89:

    名無しさん

    挙げ?

    2007-04-15 14:11:00
  • 90:

    名無しさん

    書かないんですか??

    2007-04-25 06:17:00
  • 91:

    93サン、さくらサン、95サン、96サンありがとうござぃます?
    里帰してました?
    よかったらまた読んで下さい?

    2007-05-03 03:10:00
  • 92:

    >>92

    バタバタと席を回っていたときだった。
    「真樹、ちゃんとエントランス見た?」
    『ん?入る時通ったに決まってるじゃん☆』

    2007-05-03 03:15:00
  • 93:

    あたしが勤めていたキャバクラはドアを開けると12畳程のエントランスがあり、キャッシャーなんかもそこにあった。

    「ちゃんと見てこい。」
    『?・・・え?うん・・・』
    マキの席にやっと着けたのに、何であたしを追い払うんだろ・・・って少し悲しくなった。それでも言われた様にエントランスへと向かった。

    2007-05-03 03:20:00
  • 94:

    「あ!!真樹サン、頑張ってますね。見て下さいよこれ。もぉ俺今日は真樹サンの花係ですよ!笑」――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――これを見て涙が出ない人なんていないんじゃないかな?


    エントランスの中央に敷かれた絨毯の左右に、所狭しと並べられたスタンド。
    あたしは声も出さずただただ涙を零した。

    2007-05-03 03:24:00
  • 95:

    店に入った時はまだ半分も埋まってなかったのに・・・・いつの間にかそこにはあたしだけの花道が出来ていた。
    「真樹サン、まだまだこれからですよ!!潰れないように頑張って下さいね!ほら!お客さん待ってますよ。」

    黒服にそうせかされあたしはマキの席に戻った。

    2007-05-03 03:26:00
  • 96:

    「真樹〜泣きすぎ!」

    そう言って優しく手を握ってくれたマキの目は優しさで溢れていて・・・あたしはまた込み上げるものを抑えるのに必死だった。

    『バカだよね。あたし。たかが1年やそこら働いただけなのに、夜の世界でごく当たり前にある光景に一喜一憂しちゃって・・・・・・マキは・・・バカだなぁって思ってるでしょ?』

    2007-05-03 03:31:00
  • 97:

    たかがスタンドを贈られただけで―――ラストにゲストが足を運んでくれただけで―――本心でもない「お前がいなくなったら寂しいよ」なんて言われただけで――――

    夜の世界にありふれた、ほんの一晩にあたしは涙し、心から笑ったりなんかして・・・・・・・

    こんな光景を幾度と見てきたマキや、このホールにいるキャストからしたら、とんだ勘違いなバカキャストだっただろう。

    2007-05-03 03:37:00
  • 98:

    それでも・・・・・
    感情を出さずにはいられなかった。

    「バカとか思うわけないじゃん。真樹らしく頑張って言ったじゃん?まだまだ折り返しの時間でもないって!枯れるくらい泣いてこい。」
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――マキがそう言って優しく背中を押してくれたから、あたしは変なプライドを捨てて頑張れたんだ。カッコ悪くてもそれがあたしだから。

    2007-05-03 03:43:00
  • 99:

    そこからあたしは人目も気にせず泣いて笑って、バカであたしらしいあたしのまま仕事をこなした。

    まるでブラウン管の中の世界に迷い込んだかのような非日常的な夜が静かに、着々と終幕を迎えようとしていた。

    2007-05-03 03:46:00
  • 100:

    気付けばマキはラストまでいてくれて、残るゲストは佐伯サンだけとなった。
    「よく頑張ったな。真樹の最後見届けたし俺も帰るよ。楽しかった。ありがとな。」

    ホールを見渡すとマキの他には雅サンのお客様がいるだけだった。
    「No.1・・・・・やっぱやり手だな。」

    2007-05-03 03:51:00
  • 101:

    チラっと雅を振り返り、佐伯サンは意味深な一言を残し席を立った。

    エントランスを佐伯サンと眺めながら、やっぱり涙が流れてしまったけど、その時には達成感も溢れていた。

    佐伯サンを見送り深く頭を下げると、気分に任せて忘れかけていた酔いが回ってきた。

    2007-05-03 03:57:00
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