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太陽はあたしを照らしている
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1:
☆星☆
何で?一人にはせぇへん言うたやん…
お前を幸せにするって言うたやん…
誰か嘘と言って…2007-01-20 02:14:00 -
2:
☆星☆
この世界に神様が居るとするなら、この世の何者よりも残酷で、温もりの欠片さえもない者だろう。
あたしは、お経に混じって聞こえるススリ泣く声を微かに耳に感じながら考えていた。
…どうやって死のう。2007-01-20 02:21:00 -
3:
☆星☆
不思議と涙は出てこない。
今は昼なのか…夜なのか…。それとも…今は現実…?…夢?
あぁ…そうか…。夢だ…夢に決まってるじゃないか。
あたしは今、幸せの絶頂にいるんだもの。
優しい旦那に、可愛い子供。あたしは間違いなく、幸せの絶頂に居る。2007-01-20 02:26:00 -
4:
☆星☆
「麻衣子…最後に…一目…」
お母さん?何泣いてるの?あたしは今幸せの絶頂だよ?最後…?最後って誰と?
あたしはお母さんに支えられて、棺の前に座らされた。
小窓から除く、白い顔。周りを囲む無数の鮮やかな花が、より一層白さを引き立てている。
「…………ゆうくん?」2007-01-20 02:35:00 -
5:
☆星☆
「お母さん?何でゆうくんこんなとこで眠ってるんやろ?布団出してくるわ。風邪ひいて優愛に移ったら大変やから!」
「…ッ。麻衣子…勇一くんは亡くなったんやで…?」
……………冗談やめてよ。
昨日まで笑ってたのに?優愛抱っこしてたのに?抱きしめてくれたのに?2007-01-20 02:40:00 -
6:
☆星☆
あたしと勇一の出会いは、あたしが22才、勇一が21才の時に働いていたレストランでの同僚としてだった。勇一はシェフ、あたしはホール。最初は挨拶を交わす程度の付き合いで、爽やかな青年だな…と思うことはあっても、男として見たことはなかった。
当時のあたしは身も心もボロボロで、疲れはてていて、恋愛をする気持ちにはとてもじゃないけどなれなかったのだ。
16才で2歳年上の男と結婚して、17才では長女の玲羅を授かった。
若い母親になったあたしだけど、自分なりに精一杯愛情もかけていた…もちろん旦那にも。2007-01-21 05:42:00 -
7:
☆星☆
でも…旦那は18才。まだまだ遊びたい年頃。
パチンコ…車…バイク…服…飲み代…。
お金はどんどん消えていく。
玲羅は可愛い。けど…この結婚はまだ早すぎたんや…。……玲羅。ごめんね?ママ情けないね…。玲羅の寝顔を見つめながら、毎晩のように繰り返し呟いては涙を流した。2007-01-25 05:38:00 -
8:
☆星☆
玲羅が2歳になった頃には、旦那は家にも帰ってこなくなっていた。
いつも、ほんの少しだけの生活費を残して、どこかに消えてゆく。
――強くなろう。
玲羅の為に…自分の為に…。
そう前向きに思え出した頃…父が倒れた。2007-01-25 05:42:00 -
9:
☆星☆
病名は、肝硬変。簡単に言えば肝臓のガン。
母は、働きに出ていたし、姉と兄はしらんぷりをきめこんでいたせいで、あたしが父の看病をすることになった。
玲羅の子守に追われながら、父の病院に通う日々…。
厳しかった父は、弱々しく変わり果て、たくましかった体はどんどん痩せていく。
「最後の最後まで迷惑かけてすまんな………」2007-01-25 05:48:00 -
10:
☆星☆
「何言ってるんよ〜最後とか!お父ちゃんが冗談言うてんの初めて聞いたわ!(笑)」
あまりに弱々しい父の言葉に、涙が出そうになるのを我慢しながら笑った。……ほんまは笑えんよ。父は、もう助からない。
あたしは笑いながら病室を出て、トイレで泣いた。
ごめんな?お父ちゃん…嘘ついてごめんな…。2007-01-25 05:55:00