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自分との戦いの日々
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1:
リナ
――人を愛する事が、こんなにも切ないなんて知らなかった――。
2006-12-20 17:18:00 -
2:
リナ
「リナちゃん、1番テーブルお願いね」
店のママが私に言った。1番テーブルは団体だった。
《嫌やなぁ、団体かぁ。》2006-12-20 17:22:00 -
3:
リナ
水商売をしていながらこんな事を言うのはどうかと思うが、私は人見知りが激しい。
団体の中から1番絡みやすそうな人を選び、隣に座った。
「失礼しまぁす」2006-12-20 17:25:00 -
4:
リナ
席についてみたものの、盛り上がってる話についていけず、グラスをまめに拭いたり灰皿をかえたり…必要以上に働いてみた。
絡みやすそうと思った隣の人は絡みにくく、仕方なく無理矢理笑顔を作って歌に合わせて手拍子をした。
歌が終わり拍手をする。2006-12-20 17:31:00 -
6:
リナ
「すごぉい!歌、お上手ですねぇ」
…別に聞いてなかったけどとりあえず言ってみた。
私のちょうど前に座り、歌ってた彼は、私の顔を一瞬見てすぐ隣の人と話しはじめた。2006-12-20 17:33:00 -
7:
リナ
《無視かよ!》
なんて気ぃ悪い客や。
結局誰と喋る事もなく、その団体はすぐ帰って行った。
ドアを開け、1人1人の顔を見ながら
「ありがとぉございます」と会釈する。2006-12-20 17:36:00 -
8:
リナ
《あ。さっき歌ってた気ぃ悪い客や…》と思いながら、笑顔で送り出すと、
彼はにっこり笑って私の頭にポンと手を置いた。
「アリガトウ。また来るわっ」
2006-12-20 17:38:00 -
9:
リナ
――きっと、この時だ。私が貴方を好きになったのは――
2006-12-20 17:39:00 -
10:
リナ
それから2ヶ月が経った。
私はカウンターに立ち、常連客と他愛もない話に花を咲かせていた。
その時扉が開いた…。2006-12-20 17:45:00 -
11:
リナ
2人組のまぁまぁ若い兄ちゃん。。
1人、どっかで見たような気がするけど……誰やろ?
「リナちゃんお願いねー」いつものようにママが言う。
「はぁい」
オシボリを手に持ち、席へ。2006-12-20 17:48:00 -
12:
リナ
「いらっしゃいませぇ。久しぶりやねぇ」
「おぅ。久しぶりやんけ」
声を聞いて思い出した。
あの時の団体…。2006-12-20 17:59:00 -
13:
リナ
喋ってみると意外に気さくだった。話も面白くて、優しい。
「好きなん飲めよ」とか「仕事すんなよ」とか言って、水割りも作らせてくれない。
「俺らそんなえらい人間ちゃうからよー、火つけてくれる値打ちないわ」
って笑いながら言ってた。2006-12-20 18:02:00 -
14:
リナ
彼の色んな事を知った。
名前はダイキ。歳は27。家が結構近い事。身長は170…って言ってるけど、ちょっとごまかして実際たぶん165くらい。笑。
そして…結婚してる事。2006-12-20 18:06:00 -
15:
リナ
――結婚してるって知った時、何で気持ちを切り替えなかったんだろう――
2006-12-20 21:06:00 -
16:
リナ
次の日もダイちゃんは来た。そして、してしまった。してはいけない事を…。
「メールしよか」
まっすぐ私の目を見て言うダイちゃん。2006-12-21 04:14:00 -
17:
リナ
ずるいよ。
断られへんやん…。
「うん」2006-12-21 04:16:00 -
18:
リナ
そして毎日のメールが日課になった。
【おはよう?今日も仕事頑張れよ!俺も頑張るわあ】
1週間くらいかな?ずっとこんな感じのメールで…《普通やなぁ》って思った。2006-12-21 04:18:00 -
19:
リナ
何回目かの来店。いつもの通り席につく。
「あ、お前ネックとかせぇへんの?」
「ん〜ん。たまたまやでぇー。忘れてたわぁ」2006-12-21 04:23:00 -
20:
リナ
「んな今日はこれ付けとけや!」って渡されたのはダイちゃんがつけてるネック。
《うわぁ。》内心ドキドキの私は、平常心を保って言った。
「もらうわぁ笑。」2006-12-21 04:26:00 -
21:
リナ
このネックレスは、私の宝物…。ダイちゃんを1番近くで感じれるの。
寂しい夜はギュッて持って寝る。そうするとダイちゃんの夢を見れるの。
――私。こんなに乙女やったっけ?――2006-12-21 04:29:00 -
22:
リナ
この時私には彼氏が居た。1年くらい付き合ってた彼氏。別にお互いそんなに好きではなかった。
ただ、寂しいから。
そんな感じでくっついた二人。デートはいつだって気まぐれで、月2回くらいしか会ってない。2006-12-21 04:32:00 -
23:
リナ
会えばとりあえずホテル。体の相性は抜群。彼氏っていうよりセフレみたいな存在。
…だけど二人で過ごした日々は輝いてたじゃない?
ダイちゃんを意識しはじめて1ヶ月がたった。相変わらず電話・メールの毎日。たまに店に来る。店外で会った事はない。2006-12-21 04:34:00 -
24:
リナ
――――――――――――久しぶりの彼氏とデート。行き先はラブホテル。
「リナ…愛してるよ」
そう言って腰をふる彼氏に《嘘ばっか》と嫌になりながらも私は言う。2006-12-21 04:37:00 -
25:
リナ
不覚にもイク瞬間にダイちゃんの顔を浮かべていた。
2006-12-21 04:41:00 -
26:
リナ
行為が終わり、煙草に火をつける彼氏。
その横で崩れた化粧を直す私。
――そこに愛なんて存在しない事、とっくに知っていたよ――2006-12-21 04:43:00 -
27:
リナ
何気なく聞いてみた。
「なぁ。あんた別にリナの事すきちゃうやろ笑」
本当に何気なく…。2006-12-21 04:48:00 -
28:
リナ
普段無口な彼氏がいきなりベラベラ喋りだした。
「いやぁ別に好きちゃうわけじゃないで〜。好きやで。でもなぁ、なんか違うねんなぁドキドキせぇへんってゆうか〜…………」
なんだこの展開。笑2006-12-21 04:50:00 -
29:
リナ
「…で?別れたいん?」
呆れて聞いてみた。
長い沈黙の後
「……うん」と言われた。2006-12-21 04:51:00 -
30:
リナ
一瞬時間がとまったが、すぐ理解できた。
私、フラレた…?
こいつに?
こんな男に?2006-12-21 04:52:00 -
31:
リナ
お世辞でもカッコイイとは言えない彼氏。貧乏な彼氏。ちょっとヲタク系の彼氏。女かよってツッコミたくなるくらい女々しい彼氏。
に、フラレた私って…?2006-12-21 04:54:00 -
32:
リナ
急に涙がこみあげて来た。悲しいとか嫌とかじゃない。
悔しい。情けない。
私ってこんなダメ男にフラレたの?2006-12-21 04:56:00 -
33:
リナ
そこまで言うなら何で付き合っててん!って感じやけど………ほんま情けない。
私は暴れた―――。
そこらへんにある物を投げつける。止めようと必死な彼氏は私の腕を掴む。2006-12-21 12:44:00 -
34:
リナ
泣き叫びながら暴れて、暴れるのにも疲れて
「帰る」と言って部屋を出た。帰ると言ったものの、家からずいぶん遠い場所にいる。
歩いて2時間はかかる。
何を思ったのかダイちゃんに電話をかけた。2006-12-21 12:47:00 -
35:
リナ
「もしもし」
電話に出た瞬間、私はまた泣いた。
「おい!え?お前何泣いてんねん」2006-12-21 12:48:00 -
36:
リナ
「ないてないもんっ…」
あきらかに泣いてるのに強がってみた。
「お〜そぉかそぉか。泣いてへんか。てか聞けや!今日なぁ〜…」2006-12-21 12:49:00 -
37:
リナ
ダイちゃんはどぉでもいい話を一生懸命話している。
私が泣きやむと、
「で、どないしてん」2006-12-21 12:51:00 -
38:
リナ
『急に寂しくなってん。だいチャン迎えに来てよ』
「しゃあなしな!」
だいチャンはすぐに来た。本当にくると思ってなかったので、化粧なおしもしてない私にだいチャンは言った。2006-12-28 18:29:00 -
39:
リナ
「ぶっちゃいパンダさんやのぉ〜。」って。
慌てて鏡を取り出し顔を見ると、笑っちゃうくらいぐちゃぐちゃだった。
2人で顔を見合わせて爆笑した。とても捨てられたばっかりの女には見えないだろう。
「お前んちどこやねん」2006-12-28 18:31:00 -
40:
リナ
『帰りたないんやけどなぁ〜』と私が言うと、だいチャンは無言で車を運転した。
『ねぇ?』……無視。
『ちょ、だいチャン?』……………無視。2006-12-28 18:33:00 -
41:
リナ
『怒ってる?リナわがままゆうたから…』
不安になり質問すると、だいチャンは笑って
「黙って俺についてこい!」と言った。
2006-12-28 18:53:00