小説掲示板【向日葵】のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

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【向日葵】

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  • 1:

    ミキ

    いつ見ても元気をくれた。常に上を向き、エネルギーたっぷりで、綺麗というより可愛い向日葵の花。
    私もそうなりたい。

    2006-11-10 04:09:00
  • 2:

    ミキ

    いつからだろう。
    この花が大好きになっていた。向日葵の花を。
    きっと幼い頃からだったと思う。
    初めて見た時はただただ
    大きな花だなと思った。

    2006-11-10 04:12:00
  • 3:

    ミキ

    「お誕生日おめでとう」
    夏産まれの私は父に向日葵の花をもらった。
    女の子に花束をあげるなら普通はピンク系か赤系の花束だろう。
    しかし違った。
    黄色の大きな向日葵の花を12本くれた。
    12歳の誕生日だった。

    2006-11-10 04:16:00
  • 4:

    ミキ

    「何で向日葵なの?」
    「ミキは夏産まれでパパはお前に向日葵みたいに常に上を見て元気でパワーのある子になってほしいからだよ」
    父は私にそう言った。
    それから毎年誕生日には年齢の数だけ向日葵をくれるようになった。

    2006-11-10 04:20:00
  • 5:

    ミキ

    そう言った父なのに18歳の誕生日に向日葵をくれなかった…パパ何で?毎年、年齢の数だけ向日葵くれるんじゃなかったの?
    父の代わりに祖母がくれた18本の向日葵を見て思って泣いた。

    2006-11-10 04:26:00
  • 6:

    ミキ

    そう、父が急にいなくなった。もともと母は私が物心ついた頃にはいなかった。父と私の2人で暮らしていた。父までいなくなり、私は悲しくて悲しくて祖母にあたり散らした。

    2006-11-10 04:29:00
  • 7:

    ミキ

    「何でパパはいなくなったの?おばあちゃんがいたって寂しい!ミキにはパパしかいないのに」
    祖母に言っても仕方ないのは頭で分かっていても、毎日毎日言っていた。
    おばあちゃんゴメンね…困らせて、傷付けて、苦しめて。
    でも、あの時はおばあちゃんに当たるしかできなかったの…

    2006-11-10 04:33:00
  • 8:

    ミキ

    みてほしかった。
    父にありがとうって言いたかった。
    何も言えないまま父はいなくなり、いなくなった理由を知ったのは、だいぶ後になる。
    私はひとりになってしまったのは事実で、祖母がいたって私は寂しく過ごした。

    2006-11-10 04:41:00
  • 9:

    ミキ

    春になり以前から決まっていた大学に入学した私は、進学した事を後悔した。
    就職して自立し、ひとり暮らしをすれば良かったと思った。祖母といると嫌でも父を思いだし、父と暮らした家にいるのが耐えれなかったから。

    2006-11-10 04:45:00
  • 10:

    ミキ

    そうは思っても一度は決めた事だから通った。
    友達もたくさんできた。
    また1から自分をやり直せる機会だし、自分の事を誰も知らないから、気持ち的に楽だった。
    無駄に明るく振る舞い、はしゃぎ、常に笑顔で接した

    2006-11-10 06:11:00
  • 11:

    ミキ

    同じ学科の子と、すぐに打ち解ける事ができた。
    大ちゃん、けんぼー、奈々、瑞穂、麻衣。
    この5人と一緒にいると嫌な事も全て楽しかった。

    2006-11-10 06:17:00
  • 12:

    ミキ

    博多出身のけんぼーの口調は私はすごく好きだった。「ミキちゃん今日も元気でよかね。俺は雨だと元気でないっちゃん」
    関西弁しか聞いた事ない私には新鮮で優しく可愛く聞こえた。博多の話を色々してくれたり、自分の事をすごく話してくれるのが私はすごく好きだった。

    2006-11-10 06:22:00
  • 13:

    ミキ

    大ちゃんと奈々は中学からの同級生らしく付き合ってもいた。もう5年も恋人関係だというのを聞いた時は驚いたが、お似合いのカップルだと思った。
    奈々の方が大ちゃんに惚れているのは誰もがわかった。そんな2人が羨ましくも思えた。

    2006-11-10 06:26:00
  • 14:

    ミキ

    麻衣は見たまんまのギャルで強烈なキャラクターの持ち主だった。
    ヤバーイ、うざい、ムカつくが口癖で、しかも大声で、でも歌がすごく上手だった。私達のグループの盛り上げ役というかムードメーカーだった。

    2006-11-10 06:30:00
  • 15:

    ミキ

    瑞穂は少し変わっていた。情緒不安定な感じで、すごく内向的で、でも人一倍、みんなを思いやり、優しい子だった。
    瑞穂は秘密をいっぱい持っていた事をあとから私だけが知っていく事になる。

    2006-11-10 06:35:00
  • 16:

    ミキ

    最後に私はというと、
    みんなの中立的な存在だった。自分の事をほとんど喋らず聞き手になる事が多く悩み事や授業でわからない事も全て私に言ってきていた。そう私は勉強はできたんです。

    2006-11-10 06:39:00
  • 17:

    ミキ

    授業も昼食も休み時間も、学校にいる時はいつも6人でいた。
    昼食の時いつもどおりに、みんなで食堂に向かう途中事件が起こった。
    「ゴメン私、今日はミキと2人で食べたい…」
    瑞穂が泣きながら言った。

    2006-11-10 06:43:00
  • 18:

    ミキ

    当然のごとく、みんなが問いつめる。
    「何でそんな事言いよっと?何かあるなら言ったらいいやん」
    「奈々も聞くし、どしたんよ瑞穂〜」
    「俺も聞くで瑞穂!どないしたんや?」
    次々に瑞穂に問いかける中「みんなウザイ!瑞穂がミキと2人がいいって言ってるんやから麻衣らは行くで、わかった?」
    意外だった。麻衣がみんなを丸みこみ、引き連れて歩いて行ったのだから。

    2006-11-10 06:48:00
  • 19:

    ミキ

    瑞穂は泣いているし、みんなはどこかに行ってしまうし私はどうしたらいいかわからなかった。
    とりあえず人が少ない方に向かいベンチに座り瑞穂が何か言うのを待った。
    しかし泣いてばかりいた瑞穂に私から言い出すしかなかった…

    2006-11-10 06:54:00
  • 20:

    ミキ

    「瑞穂…どしたん?」
    そう切り出すしかなかった。瑞穂は泣いたまま腕をまくりあげた。
    呆然として言葉が出なかった………
    無数の青いアザと手首には切傷というか、リストカットだと思う傷があった。

    2006-11-10 09:02:00
  • 21:

    ミキ

    初めて見たから衝撃的だったのを覚えている。
    一体何があったんだろう…いつから、こんな事になっていたんだろう?色々な疑問が浮かぶが言葉にできない私は、そっと瑞穂の手を握るしかできなかった。

    2006-11-10 09:06:00
  • 22:

    ミキ

    「ミキ…私が悪いねん全部…彼氏に暴力振るわれるんやけど、私が悪いねん。私が彼氏をイライラさすからやねんてさ…ミキ達だけやねん。優しくしてくれんの。お願いやから嫌いにならんといて」瑞穂は私に泣きながら、すがって言った。

    2006-11-10 09:12:00
  • 23:

    ミキ

    瞬時に理解しようとした。まず瑞穂に彼氏がいる事。そして彼氏に暴力を振るわれる事。
    全て初耳だった。
    あとはリストカットの事か…

    2006-11-10 09:15:00
  • 24:

    ミキ

    「痛かったやろ?手首より瑞穂の心がもっと傷付いてるやん。血が出るだけが傷じゃないんやで?手首の傷は治るけど、瑞穂の心が痛いって叫んでるんやで」
    私は半分泣きながら言ったのを今でも覚えている。
    「瑞穂、痛い時は痛い。辛い時は辛いって言わないとあかんねんで」
    私は瑞穂に強く言った。

    2006-11-10 09:28:00
  • 25:

    ミキ

    「ミキありがとう。私、友達はミキ達しかいないんよ。親にも言えないし、ミキ達に言って嫌われたら、どうしようって思うと怖くて、でも誰かに助けてほしくて」瑞穂の言ってる事が理解できる。
    繊細で内向的な瑞穂は、なかなか言い出せずにいたんだ。嫌われるのが怖いからでしょ?大丈夫だよ。

    2006-11-10 09:33:00
  • 26:

    ミキ

    しかし瑞穂に彼氏がいたのが驚きだった。
    もしかして彼氏ができた事がないのは私だけ?
    少し落ち着いた瑞穂は
    「うわぁ…絶対に麻衣達怒ってるよね。どうしよう…ミキが話を聞いてくれそうやと思ったから言っただけで、みんな好きなんよ」
    瑞穂はすぐに人の事を気にしていた。みんな勝手に遊んでるよ(笑)

    2006-11-10 09:39:00
  • 27:

    ミキ

    瑞穂を安心させるように私が説得していると
    「瑞穂〜アイスあげる」
    麻衣が笑顔で私達の方に来た。ほらね?みんなは瑞穂を想って心配してるんよ?「疲れてる時は甘い物を食べるべき!いっぱい買ってきてんから食べな怒るよ」麻衣がたくさんのお菓子を瑞穂に渡した。
    すごい量だけど、その量が麻衣の瑞穂に対しての想いなんだろうと私は思った。みんな、すごく温かい。
    これが友達なんだ。

    2006-11-10 09:46:00
  • 28:

    ミキ

    「ありがとう麻衣。心配かけてゴメンね…」
    「瑞穂、笑う門には福来たり!スマイル、スマイル」そんな2人のやりとりを見て私は嬉しかった。
    あれ?奈々と大ちゃんとけんぼーは?とも思った。

    2006-11-10 09:49:00
  • 29:

    ミキ

    奈々と大ちゃんはアルバイトで帰ったようだった。
    けんぼーはというと
    「瑞穂は俺が嫌いなんやろ?何で俺を仲間はずれにするとよ…」スネていた(笑)瑞穂が心配する必要ないでしょ?逆にけんぼーは瑞穂に嫌われているとさえ想っていたくらいなんだから。「けんぼーが彼氏やったら幸せなんやろうね」
    瑞穂はけんぼーの優しさを理解していた。

    2006-11-11 05:05:00
  • 30:

    ミキ

    みんなに心配され思われている瑞穂が羨ましく思えてしまった。
    しかし、瑞穂の彼氏はどんな人なんだろう?とも私は思った。
    「けんぼー彼女いた事ある?」
    私は無意識に聞いていた。「そりゃあるよ。ミキだってあるやろ?」
    けんぼーの質問に言葉が詰まった…

    2006-11-11 05:09:00
  • 31:

    ミキ

    正直にないと言うべきなのだろうか?
    見栄を張るべきなのだろうか?
    「………ないよ」
    気付くと私はそう答えていた。彼氏いた事ないって、おかしいの?変なの?
    麻衣とけんぼーと瑞穂までが驚いてるのが、わかった。

    2006-11-11 05:12:00
  • 32:

    ミキ

    「マジで?!ありえーん」「本当に言いよっと?」
    「何か意外かも…」
    みんなで寄ってたかって言うの、やめて下さい。
    本当なんだもん、仕方ないやん。
    もうじき19歳、彼氏いない歴19年。
    何か問題ですか???

    2006-11-11 05:16:00
  • 33:

    ミキ

    決めた。今年中に彼氏とは言わなくても、恋をしてみたいと私は心の中で密かに誓った。
    この瞬間にみんなに子供扱いされた気分だった。
    「何かあったらミキの相談乗るから、麻衣に任せなさーい」
    「俺も。何でも聞くよ」
    ありがとうと素直に思えなかった私は皮肉れていますか?

    2006-11-11 05:21:00
  • 34:

    ミキ

    こんな私でも、恋をする事になる。
    肉親のパパでさえ急にいなくなるのに、他人なんて
    一緒にいれる期間なんて知れてる。
    好きになったって、いづれかは私の前からいなくなるんだから。
    好きになっても自分が傷付くんだ…

    2006-11-11 05:24:00
  • 35:

    ミキ

    私は父がいなくなった日から、そう思うようになっていた。
    ずっと一緒だなんて、夢のまた夢であり、無理な事なんだ。そんな事が成り立つ訳がない。絶対そうだ。
    パパ、私は間違ってる?
    男性の愛情なんて、理解できないよ。
    最終的にいなくなる位なら、私を最初から愛さないで。いなくなった時に悲しくなるだけなんだから。

    2006-11-11 05:29:00
  • 36:

    ミキ

    そんな事を思う反面、私は父が戻ってくる事を信じていた。いや、信じたかった。定期入れに父の写真と
    向日葵の花の写真を入れて、時々眺めていた。
    こんな私はバカですか?
    どこかで戻ってこないと思い、戻ってきてくれるとも思っていた私はバカですか?

    2006-11-11 05:33:00
  • 37:

    ミキ

    これだけ学校で一緒にいるのに、みんなに家族の話はした事がなかった。
    正確にいうと、できなかったという方が合ってるかもしれない。
    みんなは、私に聞いてきた事もないが、きっと敢えて聞かないのだろう。

    2006-11-11 05:37:00
  • 38:

    ミキ

    見慣れた街並み、父と歩いた家へ向かう坂道を、ひとり歩きながら思う。
    父がいなくなった今、何も変わらない景色を見て思う。もうじき向日葵が咲き、嫌でも父の存在が街全体で感じるようになる。
    夏がくる。
    そして私の誕生日も。

    2006-11-11 05:43:00
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