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林檎と月

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  • 1:

    雪弥

    幻想の世界の物語を書きます。
    ここは下界から遥か上の世界。
    落ちこぼれ悪魔
    ウリエルは今日も下界を眺める。

    2005-06-09 08:42:00
  • 101:

    「大きな…月がある…」
    ミカエルは空を見上げ呟いた

    『…魂の集合体だよ』
    「魂の…集…合体…?」
    『・・・・。
    死者の中には、オマエのように魂となれる者もいれば、なれない者もいるからな…』

    2005-06-09 10:20:00
  • 102:

    ミカエルは悲しくなった。
    自ら命を捨てた弱いはずの自分が、魂となり意志もある…。
    この時初めて
    “バカな事をしたのだ”
    と弱い自分と向き合った。
    「…あんなに…光っているのに…。」
    『・・・そうだな』

    2005-06-09 10:21:00
  • 103:

    [ウリエル…聞こえるか?]
    〔あぁ…聞こえるぜ!分かったか?〕
    [フム。その子が命を断ってから…30分だ]

    “・・・ギリギリだが、
    まだ間に合う!”

    ウリエルは覚悟を決めた。
    〔…サンキュ。なぁガブリエル、俺様はコイツの為に…力を使うぜ!!〕

    2005-06-09 10:22:00
  • 104:

    ガブリエルは動揺した。
    […力??何の事だ?]
    【フッ・・・】
    〔…隠すなよ。俺様は命をかけてコイツを救ってみてぇ…〕
    [ばっ…!!馬鹿な事を言うな!]
    〔なぁ…、落ちこぼれの俺様でも、コイツを救う事位なら出来るさ…〕
    [力を使えばオマエは消滅するんだぞっ!!よく考えろ!]

    2005-06-09 10:23:00
  • 105:

    〔もう…時間がねぇ。〕
    [やめろ!その子が例え、下界に戻ってもオマエとの記憶は消えるんだぞ!!]
    何も知らないで、笑うミカエルを見ながら言った。
    〔それでも…いいさ!〕
    [ウリエル…やめるんだ!!]
    〔…感謝してるぜ…。サンキュ…親父・・・〕
    [やめろぉぉぉお!!]

    2005-06-09 10:24:00
  • 106:

    【プツッ…】
    そして交信は途絶えた…。
    ガブリエルは膝を付き、その場にうなだれた・・。

    針葉樹の雫がキラキラと
    春の桜のように光舞う…

    ーミカエルとウリエル、そしてウリエルとガブリエル…それぞれの
    別れが近づいていた…ー

    2005-06-09 10:24:00
  • 107:

    『ミカエル…俺とオマエが会話出来るのは…』
    「うん?」
    『おそらくこれが…最後だ…』
    ミカエルの顔がこわばった。
    「…何…言ってるの?」
    ミカエルがあとずさりする
    『聞け…』
    「い…いやだ…」
    一心不乱に首を振る
    ウリエルは嫌がるミカエルの腕を掴んだ。

    2005-06-09 10:25:00
  • 108:

    『聞けっ!!』
    「…あ…あ…」
    涙で顔がぐしゃぐしゃだ。

    「ぼく…ッ…ウリエルと…一緒…に…ヒック…いた…い」
    ウリエルは拳を握り締めた。
    『オマエの周りのニンゲンの記憶もすり替えてやるから…心配するな…』
    「ボクはっ…ヒック…そんなの要らないっ…ヒック」
    ウリエルは感情を押し殺し首を横に振った。
    『…オマエは変われたハズだ…』

    2005-06-09 10:26:00
  • 109:

    「…でもっっ!!!」
    『オマエはまだ若い…これから先、たくさんのヒトと出会うだろう…辛い事も悲しい事もあるさ。でも喜びもある…。わかるな?
    オマエが愛される事を誰よりも願ってるぞ…』
    「…ヒック…ウリエル…」
    『気付いていないだけだ…愛されない奴なんて居ない…オマエは答えを急ぎ過ぎた…間違いは誰にだってあるさ。諦めるな…』

    2005-06-09 10:27:00
  • 110:

    『俺様の最後の願い…
    聞いてくれるな…?』
    …ミカエルは小さく頷いた
    「ボク…ウリエルの事…忘れ…ないからっ…」
    ミカエルの目から涙が溢れた。ウリエルはミカエルの頭を静かに撫でた…
    『オマエはずっと…俺の友達だ…』
    そして【ニカッ】と笑ってみせた。

    2005-06-09 10:28:00
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