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水商売の変貌

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  • 1:

    名無しさん

    1 名前:杏奈:05/09/09 06:58
    夜の世界ではでも耳にしたことがありますよね?突然の変貌や変身って言葉を。そしてその世界に入ってくる約七割が心に何らかの闇を抱えていることを。
    つかればつかる程変わっていく。これは本職ホストの彼氏の実話を元にした話。

    2006-09-07 14:29:00
  • 101:

    杏奈

    『分かってるんやったらこんなことすんなや』
    私はそれでも我慢した。光輝のためやねんから…。
    『もうそんなんいーからさご飯だけ食べて行ってよ。せっかく作ってんから』
    私がそう言うと光輝はテーブルに並べてた料理を全部手で払いのけた。ガチャーンガチャンとお皿の割れる音が部屋中に響いた。

    2006-09-09 00:45:00
  • 102:

    杏奈

    私はもう無気力やった。心なんてなくなってしまえばいいのにって。なかったら何も考えんで済むのに…。悔しさも苦しさも苛立ちも全部とおり越してた。
    ただ悲しかった。
    悲しくてどうしようもなかった。ずっとずっと我慢してたのにもう止まらんかった。
    涙が出た。もう限界やった。いくら頑張っても、もう光輝は前の光輝には戻らない。

    2006-09-09 00:46:00
  • 103:

    杏奈

    『あ、杏奈…ごめ…』
    光輝は泣いてる私の肩に手を触れようとしてきた。
    『触らんといて!』
    発作的にでた言葉だった。狂ってしまった歯車はもう元には戻らなかった。
    『か、勝手にしろや!』

    2006-09-09 00:47:00
  • 104:

    杏奈

    光輝はまた怒鳴り声をあげるとバンっとドアを閉めて出て行った。
    (杏奈…ごめ…)
    光輝の言葉が頭に何度も繰り返された。…さっき一瞬つながりかけた光輝との隙間を、私は自分から断ち切ってしまったんや。
    自分が楽な道を選んだんや。逃げたんや光輝から…。頑張るって決めたのに…私が助けなあかんって思ってたのに…

    2006-09-09 00:48:00
  • 105:

    杏奈

    でももう何もできんかった。私には強さがなくなってしまった。心の中の色んなところに穴を開けられて色んな物を突き刺されて。
    割れたお皿や料理を見ながら“これで良かったんや”って何度も自分に言い聞かせた。

    2006-09-09 00:49:00
  • 106:

    杏奈

    割れた食器を片付けると、お母さんに電話をかけた。
    『はい工藤です』
    お母さんの声を聞くと少しホッとした。
    『お母さん?杏奈やけど迎えに来てくれへん?もう光輝とは別れたから』
    『えっ!?急にどうしたんよ。ケンカでもした?』

    2006-09-09 00:51:00
  • 107:

    杏奈

    『違う。もういいねん。荷物も手伝ってほしいから2時間後ぐらいに来て』
    私はお母さんの話も聞かずに電話を切った。
    別れた…わけじゃない。ちゃんと別れたわけじゃ。でももう終わったも同然。このままサヨナラするほうがラク…。
    私は荷造りしながらそう思ってた。でも片付ければ片付けていくほど辛かった。どんどん出てくる懐かしい物たち。

    2006-09-09 00:52:00
  • 108:

    杏奈

    そのひとつ一つに光輝との思い出があった。たくさんの楽しかった日々が。
    そんな思い出も断ち切らなきゃならない。そうしないと自分が壊れてつぶれてしまうから。
    お母さんは迎えに来てくれた。お父さんもいた。私はびっくりした。
    『ほんまお前がようもったわ一年も。飯食ったか?』
    お父さんはケロッとした顔で私にそう言った。

    2006-09-09 00:53:00
  • 109:

    杏奈

    『二年やろ?光輝君と付き合ってたのは』
    お母さんがお父さんにそう言った。私はそんなことは聞こえないフリをして聞き流した。
    『ご飯食べてないわーおなかすいた』
    『じゃあ帰りにどっかで食べて帰ろうか』
    お父さんはそう言って荷物を持つと先に玄関から出て行った。残りの荷物を私とお母さんは持ち、最後に鍵を閉めた。

    2006-09-09 00:54:00
  • 110:

    杏奈

    置き手紙も何もない。鍵はポストに落とした。
    “バイバイ…光輝”私は心の中で言うと振り返ることなくエレベーターに乗り、下で待っていたお父さんの車に乗り込んだ。
    帰りはイタリアンレストランに寄り、普通に食事した。私は笑ってた。何もかも忘れたくて。笑うことで自分の気持ちを殺した。
    空元気でもいい、笑ってたら大丈夫だや。

    2006-09-09 00:56:00
  • 111:

    杏奈

    それから次の日、私は起きてからずっとぼーっとしてた。でもお昼前ごろ光輝から携帯に電話がかかってきた。
    『ハイ』
    『俺やけど…』
    『うん…分かってる』
    『…杏奈いまどこ?』

    2006-09-09 00:58:00
  • 112:

    杏奈

    『実家…帰ってきた』
    ぎこちなかった。しばらく沈黙にもなった。光輝は何も喋らんかった。
    『光輝?あのな、もう杏奈達あかんかってん。無理してずっと一緒におったんやって分かった。光輝に言われて気付いてん。ほんまにアホやったなって…必死でご飯作ったりして。でもな自分のこともっと大事にして。体も今みたいな生活してたら絶対壊れるから』

    2006-09-09 00:58:00
  • 113:

    杏奈

    光輝は黙って聞いてた。
    『確かに1番はカッコイイことやで?でもその1番のために自分を失ってしまったらどうしようもないよ?光輝が何のためにナンバーワンを求めてるかは分からんけど、自分をちゃんと持ってないとただの人形と同じやから。光輝の目…今は死んでる。気持ちをもたへん人形みたいに。自分で分かってる?分かってないやろ?』

    2006-09-09 01:02:00
  • 114:

    杏奈

    『俺は…怖いねん。自分の場所がなくなるんが。居場所がなくなるのが』
    光輝はやっと話した。
    『居場所って…杏奈は作ってあげれんかったんかな?光輝にとっての安心できる場所、作ってあげられへんかったんかな…』
    『違うそうじゃないねん。俺は…自分の親が仕事が……たから』
    肝心なところが聞こえなかった。

    2006-09-09 01:03:00
  • 115:

    杏奈

    『なんて?聞こえんかったもう一回ゆって』
    『いや…いいわ。もう。ごめんな…』
    そう言うと光輝は電話を切った。何を言ってたんやろう…でも声、声が光輝の声やった。冷めた声じゃない、暖かい光輝の声に戻ってた。
    最後に聞くなんて…皮肉やなぁと思った。

    2006-09-09 01:04:00
  • 116:

    名無しさん

    今日ゎ終わり?

    2006-09-09 01:15:00
  • 117:

    名無しさん

    ぁげ??

    2006-09-09 04:34:00
  • 118:

    名無しさん

    めっちゃ懐かしい??
    この話めちゃ好きゃった?長いけどコピペの人頑張ってください??
    完結までお願いします??

    2006-09-09 08:51:00
  • 119:

    名無しさん

    まじ続ききになる・・

    2006-09-09 17:09:00
  • 120:

    名無しさん

    気になるぅ??

    2006-09-09 22:14:00
  • 121:

    名無しさん

    親が…って言ってた。光輝の親?そういえば付き合ってた間、会ったこともなかった。話を聞くことも。
    私はあえて聞くことをしなかった。何か聞いたらあかんようなそんな感じがしてたから。
    唯一光輝がよく話すのは、小学校三年の夏にオーストラリアに行ったってことぐらいだった。光輝はひとりッコで兄弟が欲しかったとも言ってたなぁ。

    2006-09-10 11:04:00
  • 122:

    名無しさん

    でもそれ以外何も知らなかった。私は唖然とした。光輝のことちゃんと分かってなかったんだなって。
    初めて光輝に会った時、私は何かを感じてた。何かをかかえてる影、時々見せる淋しげな目。
    だから光輝にひかれてた。何でこんなに寂しそうなんやろうって。何でそれやのに笑ってんねんやろうって。

    2006-09-10 11:05:00
  • 123:

    名無しさん

    光輝のかかえていた心の闇は、この時の私には分かってなかった。想像しているよりも遥かに深い傷も何もかも…知らずにいた。
    そして私は、そんな光輝の心を分からずに離れてしまった。逃げだしたのだ。
    光輝はきっと私に気付いて欲しかったのかもしれない。心の闇から助けてほしかったのかもしれない。
    私はこれから起こる数々の出来事を通して“その闇”を知っていくことになる。

    2006-09-10 11:06:00
  • 124:

    名無しさん

    光輝と離れてから一週間がたった。私は仕事もせずに毎日友達と遊んでた。光輝からはあれ以来電話もないまま、私もかけることもないまま。
    そんな時、携帯にアースさんからの着信が入った。
    「もしもし杏奈ちゃん?」
    「久しぶりですアースさんどうしたんですか?」
    「光輝知らん?一緒におる?」

    2006-09-10 11:27:00
  • 125:

    名無しさん

    「え?いないですけど。もう別れたんです。あの、どうかしたんですか?」
    「いや、じゃあいいわ分かったごめんな」
    私は嫌な予感がした。裏の経営者アースさんが私に電話をしてくるなんておかしいと。
    「教えて下さい」
    「いや・・・実はおらんようなってん。ちょうど一週間ぐらいになるかなぁ?」

    2006-09-10 11:30:00
  • 126:

    名無しさん

    「一週間ですか?」
    「そうやねん。携帯もずっと即ルスで繋がらんし家行ってもおらんみたいで。まぁ連絡取れたら一回連絡ちょーだいって言っといて。事故とか病気やったら心配やから」
    電話は切れた。一週間?って…そう。光輝は私と別れた日からいなくなっていた。私は何も知らなかった。
    不安になった。まさかホントに事故や病気やったらどうしようって…

    2006-09-10 11:32:00
  • 127:

    名無しさん

    私は電話をかけた。
    【留守番電話サービス…】
    アースさんの言っていたとおり携帯は即ルスやった。光輝…どこにおんの?断ち切ったはずの光輝への思いが溢れ出てくる。
    私はその日、同棲していたマンションに行った。インターホンも連打した。カギは返してしまってたし開けることはできなかった。
    反応もなかった。そして光輝はここにはいない、何故かそう思った。

    2006-09-10 11:33:00
  • 128:

    名無しさん

    私は電話をかけまくった。光輝が仲良くしてた他店のホスト達や友達みんなに。でも、誰一人として光輝の“居場所”を知る人はいなかった。
    逆にみんなに聞かれた。
    「光輝の居場所分かったらすぐに教えて」と。
    “居場所”最後に光輝が電話で言っていた言葉を思い出した。光輝が求めてた居場所とゆう意味は何だったのか。あんなに必死でナンバーワンを継続し続けていたのに。こんなにアッサリと捨てられたんだろうか。

    2006-09-10 11:34:00
  • 129:

    名無しさん

    そして誰も…私でさえも本当の光輝を知らなかった。光輝は地元の話もほとんどしなかったし、家族の話も聞くことはなかったから。私は初めて気付いた。
    光輝のこと分かったふりしてただけで何も分かっていなかったことを。
    何であの時光輝から離れてしまったんだろう。私はズルイ逃げ道に走った自分を後悔した。

    2006-09-10 11:38:00
  • 130:

    名無しさん

    その日から私は動いた。動き回った。光輝を探すためだけに必死だった。
    そしてアースさんから電話があったあの日から五日目、ようやく光輝と再会することになる。
    探して見つけたんじゃなかった。光輝は私に会いにきた。実家にいた私は家のピンポンが鳴り、窓から外を見ると光りに照らされた光輝の茶色い髪が見えた。
    光輝っ!?

    2006-09-10 11:53:00
  • 131:

    名無しさん

    気になるっ?

    2006-09-10 12:06:00
  • 132:

    名無しさん

    私は急いで家を飛び出した。光輝は私を見て「ごめん」と謝った。私は聞いた。
    「何で謝るん?」って。
    「会いに来てごめん」と光輝は言った。意味が分からなかったけど私はホッとした。光輝が無事でいてくれてちゃんと私の目の前にいる。ただそれだけで救われた気がした。
    「今誰も家おらんから入って。とりあえずこんなかっこじゃ寒いやろ」
    光輝は何故か11月半ばやったのにカットソー一枚やった。

    2006-09-10 14:36:00
  • 133:

    名無しさん

    家に入った光輝は黙ったままだった。私は何も言わなかった聞かなかった。
    光輝は話してくれる、そんな気がしたから。
    しばらく二人して黙ってた。ちょっとおかしかった。「杏奈なに笑ってるん?」
    光輝は不思議そうな顔で私を見ていた。
    「なんもないよ」

    2006-09-10 14:40:00
  • 134:

    名無しさん

    私はそう言うとまた少し笑った。
    「俺…富山県行っててん。今日の朝まで。おかんに会いに。ってゆっても10年ぶりぐらいやってんけど」
    「富山県?」
    「うん。ちょうど五ヵ月前かなぁ?親戚から預かった手紙もらってん」
    五ヵ月…前か。あ、光輝がおかしくなり始めた頃じゃなかったっけ?私は一人で考えながら黙って話を聞いていた。

    2006-09-10 14:41:00
  • 135:

    名無しさん

    「会おうかどうか悩んでてんずっと。でも誰にも相談できんかった。お前にも恥ずかしくてよう言わんかった。俺は…ずっと一人やったから。何でも一人で考えてやってきてた。小学校ん時からずっと」
    私は初めて聞く光輝の過去にびっくりした。なにより聞いてて悲しくなった。

    2006-09-10 14:42:00
  • 136:

    名無しさん

    「俺な、隠してたわけちゃうけど福祉施設に入っててんやん。昔からじゃないで。多分小学校三年の終わりぐらいかなぁ」
    福祉施設…?あぁ親がいない子供達がたくさん集まって生活するところやったっけ。光輝の“過去”は深い闇だった。

    2006-09-10 14:43:00
  • 137:

    名無しさん

    なんで名無しに変わってるん?

    2006-09-10 18:17:00
  • 138:

    杏奈

    「俺の親父はすごいやつやってん。仕事人間やったけど会社経営してたし周りからめちゃめちゃ必要とされてた。そんな親父が俺はカッコイイと思ってた。だから周りの友達みたいにキャッチボールできんでも遊園地にいけんでも俺は平気やった。みんなに必要とされてる親父は俺にとって憧れってゆうか目標みたいな感じになってて」
    光輝は静かに淡々と話していく。

    2006-09-10 21:00:00
  • 139:

    杏奈

    「オーストラリアに行った話したことあったやろ?小学校三年の夏に行ってんけどな。その間にこっちでは色んなことが起きてて…。経理課の人間が横領して逃げてん。まぁそれで済めば良かったんやけどバブルもはじけて終わってもーた上におまけに不渡りまで出して。一瞬やったなぁ潰れるまでは。」
    光輝のお父さんの会社は倒産していた。

    2006-09-10 21:00:00
  • 140:

    杏奈

    「そっからが終わってたわ。親父は負債かかえて毎日資金繰りに走り回ってな。でもあんなに親父にベッタリやった同業者とか卸業者は手の平返したように冷たかった。俺はあんま覚えてないねんけど一個だけちゃんと覚えてるねん。どっかの奴が親父に向かって、人間地位と名誉がなくなったら終わりやって言ったんや。」

    2006-09-10 21:02:00
  • 141:

    杏奈

    「そいつは親父と1番仲良かった奴やった。だから親父は唇かんで一粒だけ涙こぼしてん。あの姿だけが忘れられへん。家も差し押さえで競売にかけられてなくなった。それからは親父の兄貴の家に居候させてもらった。そしたらおかんは離婚届け置いて出て行ったんや。人の世話になるようなこんな生活は嫌ですって」

    2006-09-10 21:10:00
  • 142:

    杏奈

    「俺は理解できんかった。一緒に来いって言われたけど親父から離れたくなかった。だから行かんかった。親父は気付いたら二ヵ月で11キロも痩せてた。頬もこけてやつれて。俺の見て来てた親父とは別人やった。」

    2006-09-10 21:13:00
  • 143:

    杏奈

    光輝の深い闇を知っていくごとに少しずつ分かってくる。
    どうして光輝があんな目をするのか、どうして時々いなくなったかのように心をなくしてしまうのかが。
    閉ざしていた心の扉は開かれた。でもその闇は深く深く見えないものに包まれていた。

    2006-09-10 21:14:00
  • 144:

    杏奈

    「んでな、親父も野球好きやってん。全然知らんかってんけど。だからキャッチボールも初めてできた。俺は嬉しかったほんまに。そんな状況でも幸せやなぁと思えた。親父は相変わらず朝から晩まで色んなとこ毎日走り回ってたけど、夜はキャッチボールしてくれた。でな、ほんまに金もなかったんやろうけど誕生日には新しいグローブ買ってくれてん」
    そう話す光輝の目は楽しかった頃を思い出すかのようにキラキラしていた。

    2006-09-10 21:16:00
  • 145:

    杏奈

    「そんな時に親父が知り合いか何かに仕事頼みに行ったんやけど結局断られて。でも野球のチケットを二枚貰ってきたんや。それを俺に見せながら嬉しそうに笑ってた。見にいくぞって。その試合の日は電車に乗って行った。おばさんにおにぎり作ってもらって水筒持って。初めての野球場やったからドキドキしてた。それに親父と二人でどっか行くの初めてやったから」

    2006-09-10 21:18:00
  • 146:

    名無しさん

    しおり

    2006-09-11 02:49:00
  • 147:

    杏奈

    「でな、着いたから係員に見せて入ろうとしてん。そしたら待って下さいって言われて。窓口でお金払って下さいって。そのチケットは入場券やなかってん。優待券やった。まぁ安くなる券やってんけどな。二人で1600円はらわなあかんかった。1600円やで?笑うやろ。でも入られへんかった。親父は900円しか持ってなかったから。帰りの電車代もぎりぎりやった。でも親父は俺に一人で入れば800円やから入ってこいって言った」

    2006-09-11 07:31:00
  • 148:

    杏奈

    「俺は入らんかった。俺が見たかったのは野球じゃない、親父と見る野球やったから。だから俺は親父に言った。大きくなったら僕が連れて来たるからなって。そしたら親父は黙って俺の頭を撫でてくれた。」
    私は聞いてて涙が出た。光輝のお父さんはきっと素敵な人なんやろうなって。そう思った。

    2006-09-11 07:32:00
  • 149:

    杏奈

    「その日は結局電車で帰って近くの公園で親父とおにぎり食うたわ。でも楽しかったで。一日中二人で遊んでくれたの初めてやったから。ほんま嬉しかった」
    光輝はそう言うとそっと目を閉じた。何かを思い出しているかのように。そして悲しい淋しげな顔をした。初めて会ったあの日に見たあの顔を。

    2006-09-11 07:33:00
  • 150:

    杏奈

    「光輝…?大丈夫?」
    私は光輝が今にも壊れてしまいそうに見えた。
    「大丈夫やで。まだ話さなあかんことあるから」
    光輝は目を閉じたままそう言った。
    「でもな、それが親父と遊んだ…話した…最後の日やった」

    2006-09-11 07:35:00
  • 151:

    杏奈

    「さ、最後?って…」
    私は分からなかった。その意味が。
    「次の日死んだんや。自分で…親父は自殺した。睡眠薬やったから眠ってるみたいに死んでた。でも俺はまだ死ぬってことがちゃんと分かってなかった。でな、遺書みたいな紙があって。今も持ってんねん俺」
    そう言うと光輝は財布の中のからボロボロになった折られた紙を取り出した。

    2006-09-11 07:36:00
  • 152:

    杏奈

    そして私に手渡した。
    「見ていいん?」私が聞くと光輝はうなずいた。
    紙を開いて行くとハガキサイズのメモ用紙だった。
    そこには綺麗な達筆な字で光輝への思いが綴られていた。
    切なくなりました。

    2006-09-11 07:38:00
  • 153:

    杏奈

     光輝へ

    2006-09-11 07:38:00
  • 154:

    杏奈

    まず、野球ごめんな。お父さんは情けなかった。お前に恥ずかしい思いをさせたことがお父さんの一番の恥や。何もしてやれんでごめん。許してくれな。
    光輝の名前はお父さんが付けたんやぞ。いつまでも光り輝くようにって想いを込めて。そんな想いの通りに育っていた光輝を見てお父さんは今日安心しました。これからもずっと今のまま光り輝いていけよ。お父さんはずっと見守ってるから。     菅原正輝

    2006-09-11 07:39:00
  • 155:

    杏奈

    読み終わった私の目には、ただ涙が流れ続けた。止まらない涙と行き場のない感情。ボロボロになった紙切れを見て、もう私は悲しいだけだった。

    多分光輝はお父さんからのこの手紙を何度も何度も読み返してたんだろう。

    こんな手紙をまだ十歳にもならない子供が読んだのかと思うと胸が痛くなった。

    2006-09-11 07:42:00
  • 156:

    杏奈

    小さい頃からお父さんの大きな背中を見て憧れ続けた光輝。一緒に遊ぶ時間がなくても仕事で一生懸命な姿を見て、いつかああなりたいと目標にしてた光輝。

    やっと…やっと共有できる時間ができたって嬉しかったはずなのに…。

    自ら命を断った光輝のお父さんは、強すぎて優し過ぎたのかもしれん。光輝のことが大好きやったから…だから光輝に恥ずかしい思いをさせた自分が許されへんかったんや…。

    2006-09-11 07:44:00
  • 157:

    杏奈

    金策に走り回って頭を下げたり、プライドを捨てて仕事を頼みに行くことはできても、子供にはそんな思いさせたくないって思ったのかな…。

    でもそれって本当に寂しいことだね。
    大切な人のことを思ってしたことが大切な人を苦しめてしまうことになった。

    2006-09-11 07:46:00
  • 158:

    杏奈

    「泣くなよお前が。可哀相とか同情されんの一番嫌やねん俺」

    光輝がうつむいて私に言った。

    「ち…がうもん…。同情なんかじゃない。ただ…光輝のこと…光輝のそんな過去とか気持ちに気付いてあげられへんかった自分が悔しいねん」

    2006-09-11 07:47:00
  • 159:

    杏奈

    「みんなそう言うねん。でも内心ではムゴイとか可哀相とか思ってんねん絶対。俺は中学一年から今まで誰にもこの話したことなかった。何でか分かるか?」

    光輝の問い掛けに私は分からず首を振った。

    2006-09-11 07:48:00
  • 160:

    杏奈

    「俺な、施設おったって言ったやろ?親父が死んでからおかんにおかんの田舎の富山で一緒に住もって言われてん。けど俺は行かんかった。肩書も金もなくなった親父を捨てたおかんが嫌やったから」

    光輝は淡々と話してく。

    2006-09-11 07:49:00
  • 161:

    杏奈

    「だからそのまま親戚の家で世話なっててんけどな。でも幼いながらにも気とか使ってまうねん不思議と。ほんでそん時にちょうど施設の話してんの聞いてもうてんやん。あー俺ジャマやねんなぁって分かって。だから自分から施設入れてくれってゆうてん」

    小学校三年生の子供が…?信じられない、信じたくない衝撃的な言葉やった。

    2006-09-11 07:50:00
  • 162:

    杏奈

    「そしたら止められることなくすんなり入れられた。親父の兄貴のおじさんはたまに会いに来てくれたりしたけど俺に会いにくるやつなんか他には誰もおらんかった。おかんも俺が富山行くの断ってから連絡もなかったし…。まぁでも似たような境遇のやつとか生まれた時から施設おったやつとかおったし、施設じたいは嫌じゃなかったで」

    2006-09-11 07:51:00
  • 163:

    杏奈

    「でもな、中学なってすぐに友達になったやつがおってん。そいつと野球部入って仲良うしててんな。めっちゃいいやつやって思ってた。だから俺は施設おることとか親父が自殺した話とか隠さんと全部話してん。そしたら目に涙ためて聞いてくれてた。でも次の日学校行ったらみんなに言いふらして笑っててんでそいつ。悪気があったんかとか知らんけど俺めっちゃ悔しくてな。恥ずかしいとは思わんかったけど、ただめっちゃ悔しかってん」

    2006-09-11 07:53:00
  • 164:

    杏奈

    「そっから周りは同情の目やし腫れ物に触るみたいな扱いやったわ。“可哀相”って。でもそんなんはどーでも良かった。でも信じたやつに裏切られたのはきつかったわ…。好きやった野球部もそれからやめたし俺には何もなくなってしまってた。」

    2006-09-11 07:54:00
  • 165:

    杏奈

    光輝はまたあの目をしていた。時々見せるあの淋しげな目を。私はどうしていいか分からなかったけど、光輝の手を握った。
    少しでも気持ちを分けてほしくて。一人で抱え込む辛さを半分でいいから取り去ってあげたかった。

    2006-09-11 07:55:00
  • 166:

    杏奈

    「何で自殺したん?」って聞いてきたやつとかもおった。何でってめちゃくちゃやろ?でもな、俺が殺したんかなて思うようになっててん。俺があの時、一人でも球場入ってたら親父は死なんですんだんかなって」
    「それは違うって。光輝のせいじゃないやん」

    「ほんなら誰のせいやねん?誰が親父を殺してん」

    2006-09-11 07:57:00
  • 167:

    杏奈

    「光輝ちょっと落ち着こ。大丈夫やから。杏奈はちゃんと聞くから。光輝がお父さんのことでずっと苦しんできたのは分かった。でもずっとそうやって自分のこと責め続けんの?」

    「お前に何がわかんねん!俺はおかんにも言われたわ。あの時オーストラリアに行かんかったらこんなことにはならんかったのにって。オーストラリア行ったんは俺の誕生日があったからやって。結局全部俺のせいやんけ!」

    2006-09-11 07:58:00
  • 168:

    杏奈

    お母さんがそんなこと言ったん?自分の子供に向かって責任おしつけたん?いくら何でもひどすぎる。
    その一言が光輝をどれだけ傷つけてどれだけ苦しめたか。自分は離婚届け置いて別れて逃げて…自分だけ楽な道を選んだん?

    助けてあげなきゃ守ってあげなきゃならない夫を捨てて愛してあげなきゃあかんはずの子供から逃げて。

    2006-09-11 08:00:00
  • 169:

    杏奈

    「中学からは散々やったわ。友達って呼べるやつがおらんかった。うわべで遊ぶ奴らはおったけど心底付き合いできるやつなんか誰一人おらんかったから。信じて裏切られるぐらいなら信じんほうがマシやって。信じんかったら楽やんって。みんな自分のことしか考えてないねん結局。自分だけが大事やねん。そんなんもういらんねん」

    2006-09-11 08:01:00
  • 170:

    杏奈

    「でも…親父だけは嫌いになれんかった。親父だけは俺のこと考えてくれてた。だから悔しいねん。何もできんかったのが…もう何も言われへんのが…」

    光輝は初めて泣きました。初めて私の前で声を出して泣きました。

    「俺怖かってん。親父みたいになりたいけどなるのが。居場所が欲しいけど手に入れてもなくったらどうしよって怖かった」

    2006-09-11 08:02:00
  • 171:

    杏奈

    「どうゆう意味?」

    「ホストになってすぐにお前と付き合ったやん?もちろん好きやったで。でも初めは信じてなかった。お前も俺から離れていくって思ってたし。それから客がつくにつれて役職ももらえるようなったし上の人に頼りにされるようになったやん。客も俺を必要としてくれて。だんだん自分の居場所ができてくるにつれて嬉しかった。俺のことちゃんと見てくれてる人がおるんやって思えた。」

    2006-09-11 08:04:00
  • 172:

    杏奈

    「うん。そうやなぁ」

    私は静かにうなずいた。

    「でもな、もし居場所がなくなってしまったらどうしようって…俺がなんか下手うったりしてみんなに必要とされんくなった時のこと考えたら怖なった。俺がホストやから…ナンバーワンやからみんな周りにおるけど何もなくなってただの人になってもうたら親父ん時の周りみたいにお前とか仕事仲間とか同業者とか客とか、みんなおらんようになるんやろなって」

    2006-09-11 08:05:00
  • 173:

    杏奈

    「そんなことないって。杏奈はそんなんで離れへんしホストの光輝が好きなんじゃないもん。お金がある光輝とかナンバーワンの光輝が好きなんじゃないねんから。みんなもそうやって。光輝のこと、みんな大切に思ってるって」

    光輝は少し黙りこんでしまった。

    繋いだ手は強く握られたまま何かを考えながら。

    2006-09-11 08:07:00
  • 174:

    あ◆YFg3Sf4Pw.

    2006-09-11 11:09:00
  • 175:

    杏奈

    「信じてよ。杏奈は絶対裏切ったりしいひん。絶対に光輝のこと傷つけたり悲しませるようなことせえへんから」

    「あのな、俺ちょっとここ何ヶ月かおかしかったやろ?ずっと。お前に八つ当たりしたりして。さっきゆうたやん?おかんから手紙きて富山行ってたって」

    2006-09-11 13:18:00
  • 176:

    杏奈

    光輝は確かに変やった。一日中話さないままの日があったり、何かあればウルサイ、ダマレの答えだけ。

    いつも二人で寝てたベッドで他の女と浮気もされたし喧嘩ばっかりやった。

    「ずっと考えててん。会うかどうしよか。けど杏奈にも言われへんかってん。杏奈に昔の話も話されへんかったままやったから。今更になって会いたいとか手紙送られて気狂いそうやったしな」

    2006-09-11 13:21:00
  • 177:

    杏奈

    光輝のお母さんは今になってやっと連絡をしてきた。何の理由があって手紙を書いてきたのかは私には分からなかった。

    「せっかく今俺はやっと自分の場所見つけたのに手紙のせいで壊れてまいそうやった。また昔のこと思い出すようになったから。考えたくなかった。だから酒飲んでた。飲みまくって酔ったら考えんで済むと思って。だから毎日潰れるまで飲んでた」

    2006-09-11 13:24:00
  • 178:

    杏奈

    そうやった。光輝は一時期から毎日酔い潰れて帰ってきてた。帰って来ない日もあった。お店で酔い潰れて寝てしまってたり。

    「帰ったらお前に当たってまうやろ。それ分かってたから帰れんかった。帰った時でもずっと喋らんかったりしてたやん俺。ほんでお前と喧嘩して。」

    2006-09-11 13:27:00
  • 179:

    杏奈

    「でもお前はずっと家におったやん。俺が帰らんでもずっと家で毎日待ってたやん。帰らんかった日は朝から晩まで電話鳴ってたし。いくらキツイことゆうてもおらんようにならんかったやん。だから甘えててん。お前は離れていかんかもしれんって」

    2006-09-11 13:30:00
  • 180:

    杏奈

    「だから杏奈になら過去のこと話せるかもって考えるようになってた。手紙のこともどうしたらいいか考えてもらおうって。でも二年目の記念の日に俺帰らんかったやん。で次の日帰ったら杏奈おらんようなってて。俺のワガママやったけどあーやっぱり杏奈も離れて行ったんか…と思って」

    私はその時出て行ってた。光輝が迎えに来るのを信じて光輝から連絡あるのを待ってた。

    2006-09-11 13:33:00
  • 181:

    杏奈

    でも光輝は一週間待っても実家に迎えに来なかった。電話さえなかったっけなぁ。だから帰った。自分から家に戻った。
    その間に…浮気してた。

    「俺もうめちゃくちゃになってた。お前おらんようなっておかしなってた。他の女…連れこんだりして。俺何やってんねんって分かってたで。でもどうしようもなかった…ごめん」

    2006-09-11 13:35:00
  • 182:

    杏奈

    「許すわけないやん。嘘ついてくれたほうが良かった。ゴムがあっても証拠あっても違うって…言ってほしかった」

    「ゴメン…な」

    2006-09-11 13:37:00
  • 183:

    杏奈

    「許さんってば。光輝は自分が一番嫌いな裏切りを杏奈にしてんで。信じた人に裏切られた気持ち光輝なら分かるやろ?めっちゃキライ…キライになりたかったわ」

    「えっ…?なりたかったって?どうゆう意味?」

    「なられへんかったってこと。光輝のこと、キライになられへんかった。」

    2006-09-11 13:40:00
  • 184:

    杏奈

    光輝はまた手をぎゅっと強く握った。それから手を引っ張られて抱きしめてきた。
    「ごめん…ごめんな…」

    何回も何回も光輝はずっと謝り続けた。

    2006-09-11 13:42:00
  • 185:

    杏奈

    「メシ作ってくれたのにあの時あんなんしてごめん。浮気して…浮気じゃないな。気持ちは浮ついてたわけちゃうから。けど他の女とあんなんしてごめん。あと今までほんまの俺のこと隠しててごめん。とにかくごめんなさい」

    光輝は謝りっぱなしやった。

    2006-09-11 13:58:00
  • 186:

    杏奈

    「もう謝らんでいいよ。許さんけど光輝のこと信じてるから。杏奈ずっと思ってたことが今日やっと分かった気がした。ほんまの光輝が見えた気がしたから…。光輝はもう一人じゃないで。杏奈だって周りの人達だってみんな光輝のこと好きやねんから」

    2006-09-11 14:01:00
  • 187:

    杏奈

    「富山行ってきたんやろ?会ったん?てゆうかアースさんからも連絡あったしホストさん達からもいっぱい連絡あったで。心配してたよみんな」

    それから光輝は私が出て行った次の日に富山に行ったことを話してくれた。

    2006-09-11 14:02:00
  • 188:

    杏奈

    「会ってきた。めっちゃ変わってたわ。おばはんなってた。ずっと謝ってきた。俺ずっと憎んできてたしキライやったけどもう許すって言ってん。でももう会いませんって言った。最後にするって。俺の中ではあの出て行った時にもう母親じゃなくなってたから…。だから一日だけ会って、そのまま富山から石川県の金沢行って何日も旅館泊まって温泉つかってた」

    2006-09-11 14:08:00
  • 189:

    杏奈

    「温泉?十日以上も?」

    「うん。頭おかしいやろ。なんやろな…ゆっくり考えて整理したかった。だから携帯も切って毎日滝見に行ったり川行ったり温泉つかったりしてた。全部スッキリしたで。おかんのことも全部終わったし過去にも区切りつけれたし。でもな、杏奈のことだけがずっと頭から離れんかってん」

    2006-09-11 14:09:00
  • 190:

    杏奈

    「はいはい」

    「いやほんまの話やから。なんかずっと今までのこと考えてたら俺めっちゃ最悪やったなぁと思ってんな。自分の気持ちばっかりで杏奈のこと振り回して傷つけてた。人のこと言われへんよな俺も。だから嫌いになられててもいい、杏奈には全部話しておこうと思って今日来てん」

    2006-09-11 14:10:00
  • 191:

    杏奈

    「そうやったんや…でも良かった。アースさんからおらんようになったって連絡もらった時めっちゃ後悔してたから。何で光輝のことほっといてしまったんやろって。だからさっき光輝の顔見てほっとした」

    私がそう言うと光輝はニコッと笑って私の肩をとんとんと優しくたたいてくれた。

    2006-09-11 14:14:00
  • 192:

    杏奈

    「とりあえずアースさんに連絡しとき。めっちゃ心配してたから」

    光輝は私にそう言われると携帯の電源を入れてアースさんに電話をかけた。

    「もしもし、ハイ。あ…すいませんでした。ハイ。ちょっと色々あったんすけど話せば長くなるんで…明日時間ありますか?明日からまた行くんでその時に。ハイ…ハイ分かりました。ハイ。じゃあ明日…」

    2006-09-11 14:15:00
  • 193:

    杏奈

    電話を切った光輝は、少し落ち着きを取り戻してほっとした顔をしていた。
    光輝がホストになって二年二ヶ月。初めて無断欠勤したこの12日間。きっとたくさんのことが光輝を苦しめ、悩ませ、追い詰めた。でも…きっともう大丈夫。光輝には私がついてるんやから。

    2006-09-11 14:16:00
  • 194:

    杏奈

    (ガチャ…)
    その時玄関が開く音が聞こえた。パタパタとした足音も。

    「ただいま。あっ光輝くんやん。どうしたん仲直りしたん?」

    2006-09-11 14:20:00
  • 195:

    杏奈

    帰ってきたのはお母さん。びっくりすることもなく光輝に普通に話しかけた。

    「すいませんでした。僕が悪かったんです。仲直りってゆうかとりあえず杏奈に謝りたくて来たんすけど。もうそろそろ帰るんで…すいません」

    光輝が緊張気味にそう言うとお母さんはクスッと笑ってた。

    2006-09-11 14:21:00
  • 196:

    杏奈

    「若いなぁほんまに。まぁ何があったかは知らないけど、一年も同棲しててんから喧嘩なんかしかたないわ。杏奈今日向こう戻るんやろ?」

    「えっ…あ、あぁ…」

    2006-09-11 14:23:00
  • 197:

    杏奈

    「えっ杏奈帰ってきてくれるん?いいん?」

    光輝は目を丸くしてびっくりしていた。その顔を見て私も笑ってしまった。

    「お父さんにはお母さんからゆっとくから。帰ってくるまでにもう行き。説教されたくないやろ光輝君も」

    2006-09-11 14:24:00
  • 198:

    杏奈

    「いえ。説教されてから行きます。杏奈を迎えに来たわけやしまた同棲するわけやからちゃんとゆってから戻ります」

    「ははっ変な子やなぁ。じゃあご飯食べて行き。杏奈も行くまでにまた荷物用意しときや。光輝くん車?」

    2006-09-11 14:25:00
  • 199:

    杏奈

    「はい。近くの駐車場に停めてます」

    「荷物とかほとんど持って帰ってきてそのままにしてるからすぐ出せるで。てゆうかもういいやん。お父さん遅いやろうし向こう帰ろうや」

    「うん、多分今日遅いよ。光輝くんまた日曜日でも遊びにおいで。」

    2006-09-11 14:27:00
  • 200:

    杏奈

    光輝は渋ってたけど、しかたなく帰ることになった。車を家の前に停め、荷物を積むと私達は一年前のあの時のようにお母さんに見送られながら実家をあとにした。
    帰りの車の中は穏やかな空気で何も話さなくてもすごく心地良かった。

    「布団買いに行こうや」

    2006-09-11 14:30:00
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